説明

液体塗布機構、液体塗布装置および液体塗布方法

【課題】長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる、液体塗布機構、当該液体塗布機構を備える液体塗布装置および液体塗布方法を提供する。
【解決手段】液体塗布機構25は、液体材料12を微細領域に塗布する液体塗布機構であって、先端部において液体材料12を塗布する塗布部10と、液体保持部11とを備えている。塗布部10と液体保持部11とは、塗布部10と液体保持部11との間に液体材料12を保持可能な液体保持空間が形成され、液体保持空間に保持されるべき液体材料12が液体保持空間と塗布部10の先端部との間において連続的に存在可能となるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗布機構、液体塗布装置および液体塗布方法に関するものであって、より特定的には、液体材料を微細領域に塗布する液体塗布機構、当該液体塗布機構を備える液体塗布装置および液体塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)に代表されるフラットパネルディスプレイの大型化や高精細化が進められており、これに伴い画素数も増大している。これにより、フラットパネルディスプレイの生産工程において欠陥が発生する確率も高くなっており、無欠陥で生産することは困難となっている。そのため、歩留まりの向上を図るために、生産ラインにおいて欠陥修正装置を導入することが不可欠となっている。
【0003】
以下、LCDの一部材であるカラーフィルタの生産工程において発生する欠陥について説明する。図17〜図19を参照して、カラーフィルタ500は、ガラス基板などの透明基板と、透明基板の表面に形成された格子状のパターンであるブラックマトリクス510と、複数組のR(赤色)画素520、G(緑色)画素530およびB(青色)画素540とを含んでいる。
【0004】
カラーフィルタ500の生産工程では、色が抜けた白欠陥550(図17参照)、隣の画素と色が混色した黒欠陥560(図18参照)および異物が付着した異物欠陥570(図19参照)などが発生する。図20を参照して、白欠陥550が発生した場合は、色が抜けた部分に本来有するべき色のインクを塗布して修正部590を形成することにより、欠陥を修正することができる。また、黒欠陥560および異物欠陥570が発生した場合は、たとえばレーザを欠陥部分に照射することにより、当該欠陥を白欠陥に変換した上で、色が抜けた部分に本来有するべき色のインクを塗布して修正部590を形成することにより、欠陥を修正することができる。
【0005】
また、フラットパネルディスプレイの大型化に伴い、画素サイズも増大している。図21を参照して、たとえば最近市販されている65インチサイズの大型LCDの画素サイズは、従来の小型LCDの画素サイズがL(長さ)=350μm、W(幅)=130μm程度であるのに対し(図21(A)参照)、L’(長さ)=740μm、W’(幅)=240μm程度と非常に大きくなっている(図21(B)参照)。
【0006】
このように、画素サイズが増大することにより発生する欠陥のサイズも増大しており、結果として修正サイズも増大している。これにより、欠陥修正に要する工程作業時間(タクトタイム)が遅延し、欠陥の修正効率が低下するという問題がある。また、図20を参照して、修正サイズが増大すると、修正部590の周囲に形成されるインクの重なり部580も増大する。そして、重なり部580が増大することにより、欠陥修正後の目視による外観検査等において、重なり部580が、シミあるいはムラとして確認されるという問題がある。
【0007】
一方、欠陥部にインクを塗布するための塗布針として、先端にすり割り加工を施した塗布針が提案されている(たとえば特許文献1参照)。具体的には、特許文献1において提案されている塗布針100(図24および図25参照)は、従来の塗布針110(図22および図23参照)とは異なり、その先端にスリット溝140が形成されており、スリット溝140にインク120を補充することができる。そして、図26および図27を参照して、塗布針100を基板200に接触させつつ、図中の矢印に示す向きに移動させることにより、基板200においてライン状にインク120を塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−268982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、最近、新規なフラットパネルディスプレイとしての電子ペーパの量産が開始されている。図28および図29を参照して、電子ペーパに含まれる下部基板200Bには、着色画素500と、微細な隔壁であるリブ400とが形成されている。図30を参照して、特に高精細タイプの電子ペーパにおいては、リブ400の幅(w)および高さ(h)は、それぞれ20μmおよび20〜100μm程度とされている。
【0010】
図31および図32を参照して、電子ペーパの生産工程では、下部基板200Bに形成されたリブ400の上部に接着剤410を塗布した後、リブ400の上部に上部基板200Aを載せることにより、下部基板200Bと上部基板200Aとの貼り合わせが行なわれる。しかし、上記のようにリブ400幅の狭い高精細タイプの電子ペーパの生産工程においては、リブ400の上部に安定して接着剤410を塗布することは困難である。また、特許文献1において提案されている塗布針によれば、ライン状に液体材料を塗布することは可能であるが、形成される液体材料のラインは短い。そのため、リブ400の上部への塗布のように、塗布領域が長距離にわたる場合において当該塗布針を適用することはできない。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型LCDの欠陥修正や電子ペーパの生産における接着剤の塗布などに対応して、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる、液体塗布機構、当該液体塗布機構を備える液体塗布装置、および液体塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従った液体塗布機構は、液体材料を微細領域に塗布する液体塗布機構であって、先端部において液体材料を塗布する塗布部と、液体保持部とを備えている。塗布部と液体保持部とは、塗布部と液体保持部との間に液体材料を保持可能な液体保持空間が形成され、液体保持空間に保持されるべき液体材料が液体保持空間と塗布部の先端部との間において連続的に存在可能となるように配置されている。
【0013】
本発明に従った液体塗布機構において、塗布部と液体保持部との間には、液体材料を保持可能な液体保持空間が形成されている。また、液体保持空間に保持されるべき液体材料は、液体保持空間と塗布部の先端部との間において連続的に存在可能となるように、すなわち液体保持空間から塗布部の先端部に流入可能とされている。そのため、本発明に従った液体塗布機構を用いれば、液体保持空間に保持されるべき液体材料を塗布部の先端部に供給しつつ、塗布部による液体材料の塗布を行なうことができる。つまり、塗布部による液体材料の塗布に際して、塗布部の先端部付近の液体材料が減少すると、液体保持空間に保持された液体材料が当該先端部に流入し、直ちに当該先端部に液体材料を補充することができる。このように、本発明に従った液体塗布機構によれば、液体保持空間に保持されるべき液体材料を用いることにより、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる。
【0014】
上記液体塗布機構において、塗布部は針状の形状を有し、液体保持部は塗布部の側面と液体保持部との間に液体保持空間が形成されるように塗布部の側面と対向して配置されてもよい。これにより、液体保持空間に保持されるべき液体材料を塗布部の側面に沿って容易に塗布部の先端部に供給することができる。
【0015】
上記液体塗布機構において、液体保持部は、筒形状を有し、塗布部と液体保持部とは、塗布部の側面と液体保持部の内周面とが対向し、塗布部の側面と液体保持部の内周面との間に液体保持空間が形成されるように配置されていてもよい。これにより、針状の形状を有する塗布部を液体保持部の内部に挿入することにより、容易に塗布部と液体保持部との間に液体保持空間を形成することができる。
【0016】
上記液体塗布機構において、液体保持部には、内周面に囲まれた領域と外部とを連通する連通部が形成されていてもよい。これにより、液体保持空間内の空気を連通部を通じて外部に排出することができるため、液体保持空間内において液体材料を円滑に補充することができる。
【0017】
上記液体塗布機構において、液体保持部は棒形状を有し、液体保持部は、塗布部の側面と液体保持部との間に液体保持空間が形成されるように、塗布部の長手方向に沿って延在していてもよい。これにより、液体保持空間から塗布部の先端部に供給される液体材料を適量に調整することができる。
【0018】
上記液体塗布機構は、液体材料を保持するための液体材料容器を備えていてもよい。また、液体材料容器には、液体材料容器の内部と外部とを連通し、塗布部が貫通する孔部が形成されていてもよい。また、液体材料容器のうち、孔部の周辺領域が液体保持部として機能してもよい。
【0019】
これにより、液体材料容器を液体材料を貯蔵するための部材として使用しつつ、塗布部との間に液体保持空間を形成するため液体保持部として機能させることができる。その結果、液体塗布機構に備えられるべき部材の数を削減することができる。
【0020】
上記液体塗布機構において、液体材料容器は、塗布部に沿って突出する突起部を含んでいてもよい。また、孔部は、突起部を貫通するように形成されていてもよい。これにより、塗布部と液体材料容器との間に形成される液体保持空間をより広く形成することができる。
【0021】
上記液体塗布機構において、塗布部の先端部と側面とを繋ぐ領域には、平坦面あるいは溝部が形成されていてもよい。これにより、当該領域においてより多量の液体材料を保持することができる。
【0022】
本発明に従った液体塗布装置は、液体材料を微細領域に塗布する液体塗布装置であって、上記本発明の液体塗布機構を備えている。
【0023】
本発明に従った液体塗布装置は、上記本発明の液体塗布機構を備えることにより、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる。
【0024】
本発明に従った液体塗布方法は、上記本発明の液体塗布装置を用いて、液体材料を塗布対象物上の微細領域に塗布する液体塗布方法である。
【0025】
本発明に従った液体塗布方法では、上記本発明の液体塗布装置が用いられるため、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる。
【0026】
上記液体塗布方法においては、塗布部を塗布対象物に対して垂直に接触させつつ塗布対象物上に液体材料を塗布してもよい。これにより、液体保持空間に保持されるべき液体材料を効率的に塗布部の先端部に供給することができる。
【0027】
上記液体塗布方法においては、塗布部と塗布対象物とを、互いに相対的に直線移動させつつ、塗布対象物上に液体材料を塗布してもよい。これにより、塗布対象物上において、直線状に液体材料を塗布することができる。
【0028】
上記液体塗布方法においては、塗布部と塗布対象物とを、互いに相対的に曲線移動させつつ塗布対象物上に液体材料を塗布してもよい。これにより、塗布対象物上において、曲線状に液体材料を塗布することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明から明らかなように、本発明に従った液体塗布機構、当該液体塗布機構を備える液体塗布装置および液体塗布方法によれば、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液体塗布装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】液体塗布機構の構成を示す概略図である。
【図3】塗布部および外方部材の構成を示す概略側面図である。
【図4】塗布部および外方部材の構成を示す概略断面図である。
【図5】塗布部の先端部への液体材料の供給を示す概略図である。
【図6】塗布部および外方部材の構成を示す概略図である。
【図7】塗布部および外方部材の構成を示す概略図である。
【図8】塗布部および外方部材の構成を示す概略図である。
【図9】塗布部および外方部材の構成を示す概略図である。
【図10】液体塗布方法を説明するための概略図である。
【図11】液体塗布方法を説明するための概略図である。
【図12】液体塗布方法を説明するための概略図である。
【図13】液体塗布方法を説明するための概略図である。
【図14】実施の形態2に係る液体塗布機構の構成を示す概略図である。
【図15】実施の形態2に係る液体塗布機構における塗布部の先端部への液体材料の供給を示す概略図である。
【図16】実施の形態2に係る液体塗布機構の構成を示す概略図である。
【図17】カラーフィルタの構造とカラーフィルタに含まれる白欠陥を示す概略図である。
【図18】カラーフィルタの構造とカラーフィルタに含まれる黒欠陥を示す概略図である。
【図19】カラーフィルタの構造とカラーフィルタに含まれる異物欠陥を示す概略図である。
【図20】カラーフィルタの構造とカラーフィルタに含まれる白欠陥の修正後を示す概略図である。
【図21】大型LCDと小型LCDの画素サイズの比較を示す図である。
【図22】従来技術の塗布針の構造を示す概略図である。
【図23】図22中の線分XXIII−XXIIIに沿う概略断面図である。
【図24】従来技術の塗布針の構造を示す概略図である。
【図25】図24中の線分XXV−XXVに沿う概略断面図である。
【図26】従来技術のインク塗布方法を説明するための概略図である。
【図27】従来技術のインク塗布方法を説明するための概略図である。
【図28】電子ペーパの構成を示す概略図である。
【図29】図28中の領域A付近を拡大して示す概略図である。
【図30】図29中の線分XXX−XXXに沿う概略断面図である。
【図31】電子ペーパの生産工程を説明するための概略図である。
【図32】電子ペーパの生産工程を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0032】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る液体塗布装置の構成について説明する。図1を参照して、本実施の形態に係る液体塗布装置1は、X軸テーブル28と、Y軸テーブル29と、Z軸テーブル27と、観察光学系30と、CCD(Charge Coupled Device)カメラ31と、紫外線照明33と、ハロゲンランプ照明34と、液体塗布機構25と、制御用コンピュータ35と、操作パネル36とを備えている。
【0033】
Y軸テーブル29は、基板20を図1中Y軸方向に移動可能に保持する。観察光学系30およびCCDカメラ31は、上方より基板20の表面を観察可能な位置に配置されている。液体塗布機構25は、液体材料を基板20に塗布する。Z軸テーブル27は、液体塗布機構25を図1中Z軸方向に移動可能に保持する。X軸テーブル28は、Z軸テーブル27に連結され、観察光学系30、CCDカメラ31、紫外線照明33、ハロゲンランプ照明34および液体塗布機構25を図1中X軸方向において移動可能に保持する。液体塗布機構25の構成の詳細については後述する。
【0034】
紫外線照明33およびハロゲンランプ照明34は、液体塗布機構25により基板20に塗布された液体材料を乾燥させて硬化させる。制御用コンピュータ35は、液体塗布装置1の全体を制御する。制御用コンピュータ35への指令の入力は、操作パネル36により行なわれる。
【0035】
次に、本実施の形態に係る液体塗布機構の構成について説明する。図2を参照して、本実施の形態に係る液体塗布機構25は、液体材料を微細領域に塗布する液体塗布機構であって、以下の構成を備えている。すなわち、液体塗布機構25は、塗布部10と、液体保持部としての外方部材11と、液体材料容器13とを備えている。
【0036】
塗布部10は、たとえば先端部に向かって細くなるテーパ型の針形状を有しており、先端部において液体材料12を基板20に塗布する。外方部材11は、たとえば筒形状を有しており、塗布部10の側面と対向して配置されている。より具体的には、塗布部10と外方部材11とは、塗布部10の側面と外方部材11の内周面が対向するように配置されている。また、塗布部10の先端部は、外方部材11から露出した状態とされている。外方部材11は、たとえば円筒形状であってもよいし、あるいは他の筒状形状であってもよい。
【0037】
液体材料容器13は、液体材料12を貯蔵する。液体材料容器13の底部には、液体材料容器13の内部と外部とを連通し、塗布部10および外方部材11が貫通する孔部13aが形成されている。
【0038】
図3および図4を参照して、塗布部10と外方部材11とは、塗布部10と外方部材11との間に液体材料を保持可能な液体保持空間14が形成されるように配置されている。より具体的には、塗布部10と外方部材11とは、塗布部10の側面と外方部材11との間に液体保持空間14が形成されるように配置されている。本実施の形態においては、塗布部10と外方部材11とは、塗布部10の側面と外方部材11の内周面との間に液体保持空間14が形成されるように配置されている。
【0039】
また、塗布部10と外方部材11とは、液体保持空間14に保持されるべき液体材料が、液体保持空間14と塗布部10の先端部との間において連続的に存在可能となるように配置されている。より具体的には、図5を参照して、液体保持空間に保持されるべき液体材料12は、塗布部10の側面に沿って塗布部10の先端部に流入可能とされている。つまり、塗布部10の先端部を基板20に接触させると、塗布部10の先端部より基板20に液体材料12が塗布されるとともに、液体保持空間に保持される液体材料12が、塗布部10の側面に沿って、図中の矢印に示すように塗布部10の長手方向に延びる軸線を中心として円錐状に広がる。
【0040】
図2〜図5を参照して、以上のように、本実施の形態に係る液体塗布機構25において、塗布部10と外方部材11との間には、液体材料12を保持可能な液体保持空間14が形成されている。また、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12は、液体保持空間14と塗布部10の先端部との間において連続的に存在可能となるように、すなわち液体保持空間14から塗布部10の先端部に流入可能とされている。そのため、本実施の形態に係る液体塗布機構25を用いれば、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12を塗布部10の先端部に供給しつつ、塗布部10による液体材料12の塗布を行なうことができる。つまり、塗布部10による液体材料12の塗布に際して、塗布部10の先端部付近の液体材料12が減少すると、液体保持空間14に保持された液体材料12が当該先端部に流入し、直ちに当該先端部に液体材料12を補充することができる。このように、本実施の形態に係る液体塗布機構25によれば、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12を用いることにより、長距離にわたり連続的に液体材料12を塗布することができる。
【0041】
また、本実施の形態に係る液体塗布機構25においては、塗布部として針状の形状を有する塗布部10を採用することにより、塗布部10の側面と外方部材11との間に液体保持空間14が形成される。そのため、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12を、塗布部10の側面に沿って容易に塗布部10の先端部に供給することができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る液体塗布機構25においては、液体保持部として筒形状を有する外方部材11を採用することにより、針状の形状を有する塗布部10を外方部材11の内部に挿入することにより、容易に塗布部10と外方部材11との間において液体保持空間14を形成することができる。
【0043】
また、外方部材11には、内周面に囲まれた領域と外部とを連通する連通部が形成されていてもよい。具体的には、図6を参照して、外方部材11には、連通部としての切欠部11aが部分的に形成されていてもよい。これにより、液体保持空間内の空気を切欠部11aを通じて外部に排出することができるため、液体保持空間内において液体材料を円滑に補充することができる。
【0044】
また、外方部材11は、棒形状を有していてもよい。具体的には、図7を参照して、棒形状の外方部材11が、塗布部10の側面と外方部材11との間に液体保持空間が形成されるように、塗布部10の長手方向に沿って延在していてもよい。
【0045】
外方部材11が棒形状を有する場合には、外方部材11が筒形状を有する場合に比べて、塗布部10と外方部材11との間に形成される液体保持空間がより狭くなり、液体保持空間に保持される液体材料の量も減少する。つまり、棒形状の外方部材11を採用することにより、液体保持空間において過量の液体材料が保持されることが抑制され、液体保持空間より塗布部10の先端部に流入する液体材料の量を適量に調整することができる。これにより、たとえば過量の液体材料が塗布部10の先端部に流入し、基板20において大きく広がることなどを抑制することができる。なお、図7に示すように、棒状の外方部材11の先端部は、塗布部10の側面に接触させるように折り曲げられていてもよい。
【0046】
また、図8を参照して、塗布部10の先端部と側面とを繋ぐ領域には、平坦面10aが形成されていてもよい。これにより、当該領域の全体が曲面である場合に比べて、より多量の液体材料を当該領域において保持することができる。その結果、塗布部10による液体材料の塗布を効率的に行なうことができる。
【0047】
また、図9を参照して、塗布部10の先端部と側面とを繋ぐ領域には、溝部としてのスリット溝10bが形成されていてもよい。これにより、当該領域においてスリット溝10bが形成されていない場合に比べて、より多量の液体材料を当該領域において保持することができる。
【0048】
次に、本実施の形態に係る液体塗布方法について説明する。本実施の形態に係る液体塗布方法は、液体塗布装置を用いて、液体材料を塗布対象物上の微細領域に塗布する液体塗布方法である。また、本実施の形態に係る液体塗布方法においては、上記本実施の形態に係る液体塗布装置1が液体塗布装置として用いられ、以下に示す工程により実施される。
【0049】
図1を参照して、まず、塗布対象物としての基板20が、液体塗布装置1へ搬入される。次に、X軸テーブル28およびY軸テーブル29を動作させて、観察光学系30を、基板20の液体材料を塗布すべき位置の上方に位置させる。
【0050】
観察光学系30により、基板20の液体材料を塗布すべき位置の詳細を確認した後、再びX軸テーブル28およびY軸テーブル29を動作させて、液体塗布機構25に含まれる塗布部を、液体材料を塗布すべき位置の上方に位置させる。次に、Z軸テーブル27を動作させて、液体塗布機構25を基板20に接近させる。そして、液体塗布機構25を基板20に近接する位置まで接近させた後に、Z軸テーブル27を停止させる。
【0051】
図10を参照して、Z軸テーブルを停止させた状態では、塗布部10および外方部材11は、液体材料容器13に保持された液体材料12に浸漬された状態となっている。このとき、塗布部10と外方部材11との間に形成された液体保持空間に液体材料12が補充される。次に、図11を参照して、塗布部10および外方部材11を、液体材料容器13に形成された孔部より突出させる。そして、塗布部10および外方部材11をさらに下降させて、基板20に接触させることにより、基板20に液体材料12が塗布される。
【0052】
本実施の形態に係る液体塗布方法では、塗布部10を基板20に対して垂直に接触させつつ、基板20上に液体材料12を塗布してもよい。これにより、液体保持空間に保持されるべき液体材料12を効率的に塗布部10の先端部に供給しつつ、基板20上に液体材料12を塗布することができる。
【0053】
次に、図12を参照して、塗布部10の先端部と基板20とが接触した状態において、塗布部10を、基板20の平面に沿って、図中の矢印に示す向きに移動させる。このとき、塗布部10と外方部材11との間に形成された液体保持空間より塗布部10の先端部へ液体材料12が供給されつつ、塗布部10の先端部より基板20に液体材料12が塗布される。その結果、基板20上においてライン状に液体材料12が塗布される。また、この工程では、塗布部10と基板20とを、互いに相対的に直線移動または曲線移動させつつ基板20上に液体材料12を塗布してもよい。これにより、基板20上において、直線状または曲線状に液体材料12を塗布することができる。
【0054】
図13を参照して、液体材料12の塗布が完了した後に、塗布部10および外方部材11を基板20より退避させて、液体材料容器13に貯蔵された液体材料12に浸漬された状態とする。次に、図1を参照して、Z軸テーブル27を動作させて、液体塗布機構25を基板20より退避させる。
【0055】
次に、X軸テーブル28およびY軸テーブル29を動作させて、紫外線照明33あるいはハロゲンランプ照明34を、基板20において液体材料12を塗布した領域の上方に位置させる。そして、紫外線照明33あるいはハロゲンランプ照明34により塗布された液体材料12に光照射することで、塗布された液体材料12が乾燥し硬化する。最後に、基板20が液体塗布装置1より排出され、本実施の形態に係る液体塗布方法による液体材料の塗布が完了する。
【0056】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る液体塗布装置および液体塗布方法について説明する。実施の形態2に係る液体塗布装置は、基本的には実施の形態1に係る液体塗布装置1と同様の構成を備え、同様に動作し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2に係る液体塗布装置においては、外方部材11に代えて液体材料容器13を液体保持部として機能させるという点において、実施の形態1に係る液体塗布装置1とは異なっている。
【0057】
また、実施の形態2に係る液体塗布方法は、液体塗布装置として以下に示す実施の形態2に係る液体塗布装置を用いるという点において、実施の形態1に係る液体塗布方法と異なっている。すなわち、実施の形態2に係る液体塗布方法は、基本的には上記実施の形態1に係る液体塗布方法と同様の手順により実施され、かつ同様の効果を奏する。
【0058】
以下、実施の形態2に係る液体塗布装置に備えられた液体塗布機構26の構成について説明する。図14を参照して、実施の形態2に係る液体塗布機構26は、塗布部10と、液体材料容器13とを備えており、液体材料容器13のうち、液体材料容器13の底部に形成された孔部13aの周辺領域が、外方部材11に代わり液体保持部として機能する。より具体的には、塗布部10の側面と、孔部13aの付近に形成された孔壁面13bとの間において、液体材料12を保持可能な液体保持空間14が形成されている。
【0059】
これにより、図15に示すように、基板20への液体材料12の塗布に際して、塗布部10の先端部から基板20へ液体材料12が塗布されると共に、液体保持空間14に保持される液体材料12は、塗布部10の先端部に流入することができる。すなわち、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12を塗布部10の先端部に供給しつつ、塗布部10による液体材料12の塗布を行なうことができる。このように、実施の形態2に係る液体塗布機構26によれば、実施の形態1に係る液体塗布機構25と同様に、液体保持空間14に保持されるべき液体材料12を用いることにより、長距離にわたり連続的に液体材料12を塗布することができる。さらに、液体保持空間14には、液体材料容器13に貯蔵された液体材料12が供給されるため、一層長距離にわたり連続的に液体材料12を塗布することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る液体塗布機構26においては、液体材料容器13を液体材料12を貯蔵するための部材として使用しつつ、塗布部10との間に液体保持空間14を形成するための液体保持部として機能させることができる。その結果、実施の形態1に係る液体塗布機構25に比べて、備えられるべき部材の数を削減することができる。
【0061】
また、図16を参照して、液体材料容器13は、塗布部10に沿って突出する突起部13cを含んでいてもよい。また、液体材料容器13において、孔部は、突起部13cを貫通するように形成されていてもよい。これにより、塗布部10の側面と液体材料容器13との間に形成される液体保持空間14をより広く形成することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の液体塗布機構、液体塗布装置および液体塗布方法は、長距離にわたり連続的に液体材料を塗布することが要求される、液体塗布機構、液体塗布装置および液体塗布方法において特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0064】
1 欠陥修正装置、10 塗布部、10a 平坦面、10b スリット溝、11 外方部材、11a 切欠部、12 液体材料、13 液体材料容器、13a 孔部、13b 孔壁面、13c 突起部、14 液体保持空間、20 基板、25,26 液体塗布機構、27 Z軸テーブル、28 X軸テーブル、29 Y軸テーブル、30 観察光学系、31 CCDカメラ、33 紫外線照明、34 ハロゲンランプ照明、35 制御用コンピュータ、36 操作パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料を微細領域に塗布する液体塗布機構であって、
先端部において前記液体材料を塗布する塗布部と、
液体保持部とを備え、
前記塗布部と前記液体保持部とは、前記塗布部と前記液体保持部との間に前記液体材料を保持可能な液体保持空間が形成され、前記液体保持空間に保持されるべき前記液体材料が前記液体保持空間と前記塗布部の前記先端部との間において連続的に存在可能となるように配置されている、液体塗布機構。
【請求項2】
前記塗布部は針状の形状を有し、
前記液体保持部は、前記塗布部の側面と前記液体保持部との間に前記液体保持空間が形成されるように、前記塗布部の前記側面と対向して配置されている、請求項1に記載の液体塗布機構。
【請求項3】
前記液体保持部は、筒形状を有し、
前記塗布部と前記液体保持部とは、前記塗布部の前記側面と前記液体保持部の内周面とが対向し、前記塗布部の前記側面と前記液体保持部の前記内周面との間に前記液体保持空間が形成されるように配置されている、請求項2に記載の液体塗布機構。
【請求項4】
前記液体保持部には、前記内周面に囲まれた領域と外部とを連通する連通部が形成されている、請求項3に記載の液体塗布機構。
【請求項5】
前記液体保持部は、棒形状を有し、
前記液体保持部は、前記塗布部の前記側面と前記液体保持部との間に前記液体保持空間が形成されるように、前記塗布部の長手方向に沿って延在している、請求項2に記載の液体塗布機構。
【請求項6】
前記液体材料を貯蔵するための液体材料容器を備え、
前記液体材料容器には、前記液体材料容器の内部と外部とを連通し前記塗布部が貫通する孔部が形成されており、
前記液体材料容器のうち、前記孔部の周辺領域が前記液体保持部として機能する、請求項2に記載の液体塗布機構。
【請求項7】
前記液体材料容器は、前記塗布部に沿って突出する突出部を含み、
前記孔部は、前記突出部を貫通するように形成されている、請求項6に記載の液体塗布機構。
【請求項8】
前記塗布部の前記先端部と前記側面とを繋ぐ領域には、平坦面または溝部が形成されている、請求項1〜7に記載の液体塗布機構。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体塗布機構を備える、液体塗布装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液体塗布装置を用いて前記液体材料を塗布対象物上の微細領域に塗布する、液体塗布方法。
【請求項11】
前記塗布部を前記塗布対象物に対して垂直に接触させつつ、前記塗布対象物上に前記液体材料を塗布する、請求項10に記載の液体塗布方法。
【請求項12】
前記塗布部と前記塗布対象物とを、互いに相対的に直線移動させつつ前記塗布対象物上に前記液体材料を塗布する、請求項10または11に記載の液体塗布方法。
【請求項13】
前記塗布部と前記塗布対象物とを、互いに相対的に曲線移動させつつ前記塗布対象物上に前記液体材料を塗布する、請求項10または11に記載の液体塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2013−13865(P2013−13865A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149121(P2011−149121)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】