説明

液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス

【課題】簡素で信頼性が高くエネルギを節約する方式で排出空気流から液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイスを提供する。
【解決手段】本発明は、液体塗料の過剰噴霧の粒子が塗装ラインの塗布区域において排出空気流内へ進入するとき、前記液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む前記排出空気流から前記過剰噴霧を分離するデバイスに関する。該デバイス126は、前記排出空気流120の少なくとも一部分から前記過剰噴霧を分離する少なくとも一台の分離デバイスを備え、分離デバイスは、少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ146を有し、塗布区域108から分離デバイス145までの排出空気流120の流路は少なくとも一個の狭い領域140を有し、排出空気流12)の中央流れ方向は狭い領域140を通過するときに実質的に保持されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗料の過剰噴霧の粒子が塗装ラインの塗布区域において排出空気流内へ進入するとき、前記液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む前記排出空気流から前記過剰噴霧を分離するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるデバイスは、被加工材を塗装する設備、特に、ラインの塗布区域を通る空気流が発生されて該塗布区域から過剰な液体塗料を取り去る車体噴霧塗装を行う設備において使用される。
【0003】
浮遊して搬送された液体塗料の過剰噴霧を、洗浄流体を用いて洗浄設備において排出空気流から分離することは公知である。
【0004】
しかし上記公知の洗浄設備は、特に空気再循環の場合に、排出空気流に対して大量の湿気が送給されることで排出空気流から液体塗料の過剰噴霧が分離されることから、液体塗料の過剰噴霧の分離が完了した後で排出空気流はエネルギ集中的な除湿を受けねばならないという不都合がある。
【0005】
更に、液体塗料の過剰噴霧をともなう洗浄流体の処理に対しては多額の経費が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡素で信頼性が高くエネルギを節約する方式で排出空気流から液体塗料の過剰噴霧を分離することができる上述の形式のデバイスを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は本発明によれば、請求項1の前文の特徴を備えると共に、当該デバイスは、上記排出空気流の少なくとも一部分から上記過剰噴霧を分離する少なくとも一台の分離デバイスであって少なくとも一個の再生可能な表面フィルタを有する少なくとも一台の分離デバイスを備え、上記塗布区域から上記分離デバイスまでの上記排出空気流の流路は少なくとも一個の狭い領域を有し、上記排出空気流の中央流れ方向は上記狭い領域を通過するときに実質的に保持されるデバイスにより達成される。
【0008】
この場合、再生可能な表面フィルタとは、排出空気流により浮遊して搬送された液体塗料の過剰噴霧が堆積するフィルタ表面であって好適には上記デバイスの連続的作動中に清浄化されて当該フィルタ表面上に堆積した塗料過剰噴霧を除去することができるフィルタ表面を有するフィルタを意味すると理解されるべきである。
【0009】
かかる再生可能な表面フィルタは“乾式”の分離デバイスであり、排出空気流から過剰噴霧の粒子を洗い落とすために流体が使用されず、代わりに、空気流から過剰噴霧の粒子を分離するためにフィルタ要素が使用される。
【0010】
この場合、上記再生可能な表面フィルタの清浄化は、“乾式”清浄化デバイスにより即ち清浄化流体を使用せずに、または、“湿式”清浄化デバイスにより即ち清浄化流体を使用して達成されることができる。
【0011】
再生可能な分離要素上における過剰噴霧の粒子の分離が乾燥様式でのみ即ち洗浄流体を用いる洗浄なしで行われる限りにおいて、“乾式“分離デバイスは“湿式”清浄化デバイスも備えることができる。
【0012】
液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流からの該過剰噴霧の全体的分離は好適には、完全に乾式で、すなわち、排出空気流から過剰噴霧の粒子を洗い落とす流体を使用せずに行われる。
【0013】
上記分離デバイスにおいては再生可能な表面フィルタが使用されることから、洗浄設備を用意して関連する水処理を行う必要はない。この結果として、上記分離デバイスのエネルギ消費量、および、(水処理が不要なので)該デバイスのスペース要件は相当に減少される。
【0014】
上記表面フィルタの清浄化能力によれば、大量の液体塗料の過剰噴霧が形成されたとしても上記フィルタの長期の寿命が確実とされる。
【0015】
上記塗布区域から上記分離デバイスまでの排出空気流の流路内に狭い領域を配置することにより、上記塗布区域による直接的な影響から上記再生可能な表面フィルタを保護することが更に可能とされる。
【0016】
上記狭い領域を通過する間に排出空気流の中央流れ方向は実質的に保持されることから、上記狭い領域の境界壁部上における液体塗料の過剰噴霧の尚早な分離を回避することができる。
【0017】
本発明に係る上記デバイスの好適な形態において、上記狭い領域は上記塗布区域の下方に配置される措置が取られる。
【0018】
上記塗布区域が塗装キャビン内に配置されるなら、上記狭い領域は好適には、上記塗装キャビンの床面積の垂直投影内に配置される。
【0019】
上記狭い領域の上記境界壁部上に排出空気流から液体塗料の過剰噴霧が尚早に堆積することを防止するために、上記排出空気流の流れ方向における上記狭い領域の長さは略6mより短く、好適には約1mより短く、特に略0.5mより短ければ好適である。
【0020】
もし上記塗布区域が長手方向を備えた塗装キャビン内に配置されるなら、上記狭い領域は好適には、実質的に上記塗装キャビンの全長にわたり上記塗装キャビンの上記長手方向に伸びる。
【0021】
この場合、上記狭い領域は、上記塗装キャビンの上記長手方向において複数個の絞り下位領域へ細分することができる。
【0022】
また、上記狭い領域は、上記塗装キャビンの上記長手方向において細分しないこともできる。
【0023】
もし上記塗布区域が横断方向を備えた塗装キャビン内に配置されるなら、上記狭い領域は、上記塗装キャビンの上記横断方向において複数個の絞り下位領域へ細分することができる。
【0024】
また、上記狭い領域は、上記塗装キャビンの上記横断方向において細分しないこともできる。
【0025】
上記狭い領域内への上記排出空気流の入口は好適には、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタの上方に配置される。
【0026】
上記塗布区域が横断方向を備えた塗装キャビン内に配置される場合、上記排出空気流が通過する上記狭い領域の最小断面積は好適には、上記塗装キャビンの上記横断方向において、上記塗装キャビンの上記横断方向における上記塗装キャビンの広さの多くとも約20%である広さを有する。
【0027】
上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタを損傷から保護するために、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタの垂直方向の上方には、上記塗布区域から上記再生可能な表面フィルタ上へ物体、塵埃および/または塗料粒子が垂直に落下することを防止する少なくとも一個の流れ遮蔽要素が配置されることが好都合である。
【0028】
この場合には、上記少なくとも一個の遮蔽要素は上記狭い領域の境界を形成することができる。
【0029】
上記排出空気流の流路における好都合な流れ条件を達成するために、上記デバイスは、上記排出空気流の少なくとも一部分を上記狭い領域に向けて導く少なくとも一個の流れ案内要素を備えれば好適である。
【0030】
この場合に上記流れ案内要素は、少なくとも断面において実質的に水平に方向付けられた流れ案内表面を有することができる。
【0031】
また、上記流れ案内要素は、好適には上記狭い領域に向けて、少なくとも断面において、水平方向に対して傾斜された流れ案内表面を有することができる。
【0032】
上記デバイスが、上記排出空気流の下方への流路を制限する基部を有する場合、上記基部の少なくとも一部分は、上記排出空気流が通過する上記デバイスの領域から分離された領域により覆われることができる。その結果、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタに到達する前に上記排出空気流から分離された液体塗料の過剰噴霧により汚れる基部領域が減少する。この場合、上記排出空気流が通過する上記デバイスの領域から分離された上記領域の上側境界壁部は、上記排出空気流の少なくとも一部分を上記狭い領域に向けて導く流れ案内要素の少なくとも一部分を形成することができる。
【0033】
上記塗布区域が塗装キャビン内に配置され、上記デバイスは少なくとも一本の排出空気ダクトを備え、該排出空気ダクトには上記分離デバイスを通過した後に上記排出空気流の少なくとも一部分が進入するとしても、上記排出空気ダクトが上記塗装キャビンの床面積の垂直投影内に配置されるなら、特にスペースを節約する上記デバイスの構造が実現できる。
【0034】
上記再生可能な表面フィルタの清浄化を促進するために、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタは、フィルタ表面の目詰まりを防止するプレコート材料(precoat material)から成る障壁層を有するならば好都合である。
【0035】
上記表面フィルタ上にプレコート材料の上記障壁層を発生させるために、上記デバイスは、上記排出空気流内へプレコート材料を放出する少なくとも一つのプレコート供給手段を有することができる。
【0036】
この場合、上記排出空気流内へのプレコート材料の放出は、連続的または間欠的に行うことができる。
【0037】
たとえば石灰、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、粉末塗料などをプレコート材料として使用することができる。
【0038】
基本的に、液体塗料の過剰噴霧の流体を吸収することができる任意の媒体はプレコート材料として適切である。
【0039】
基本的に上記プレコート供給手段は、たとえば、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタの直前に配置することができる。
【0040】
更に、上記少なくとも一つのプレコート供給手段を、上記塗布区域に対して直接的に隣接するように、すなわち上記塗装キャビンの床領域に配置することができる。
【0041】
但し、上記少なくとも一つのプレコート供給手段が上記排出空気流の流路の上記狭い領域に配置されるならば特に好適である。上記排出空気流の流路の上記狭い領域は特に高い流速となることから、この箇所にて上記プレコート材料の供給によるベンチュリ乱流により上記排出空気流には特に良好なプレコートの分布が達成される。
【0042】
プレコーティングの間に実行される中間プレコーティングの可能性もある。その場合には、上記表面フィルタを予め清浄化せずに新たなプレコート材料が塗布されることで、上記表面フィルタの次の清浄化作動が改善される。
【0043】
上記分離デバイスの上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタは、好適には間欠的に清浄化することができる。
【0044】
これに対して代替的にまたは付加的に、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタは上記デバイスの作動中に湿った表面を有することができる。
【0045】
上記表面フィルタはたとえば、脱塩水、ブチル・グリコールまたは他の溶媒のような洗浄剤または加湿剤により加湿して維持することができる。
【0046】
これらの加湿剤は、上に説明したプレコート材料と同一の箇所で上記排出空気流内に取入れられることができる。
【0047】
上記表面フィルタのフィルタ表面の完全な清浄化のためには、上記少なくとも一個の表面フィルタの表面を連続的または間欠的に洗浄することができれば好都合である。
【0048】
これに対して代替的にまたは付加的に、上記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタは圧縮空気パルスにより清浄化することもできる。
【0049】
上記デバイスが空気再循環回路を有し、液体塗料の過剰噴霧が分離された上記排出空気流は上記空気再循環回路において、少なくとも部分的に上記塗布区域に対して再び送給されれば、塗装ラインの特にエネルギ節約的な作動が可能とされる。
【0050】
請求項30は、少なくとも一個の塗装キャビンと、液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流から該過剰噴霧を分離する本発明に係る少なくとも一台のデバイスとを備える、目的物、特に車体を塗装するラインに関する。
【0051】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の説明および図面中の代表的実施例より明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
全ての図面において、同一のまたは機能的に等しい要素には同一の参照番号が付されている。
【0053】
車体102を噴霧塗装するために図1から図7に示されると共に全体的な参照番号100が与えられたラインは(単に概略的に示された)搬送デバイス104を備え、該デバイスにより車体102は、全体的参照番号110が与えられた塗装キャビンの塗布区域108を通る搬送方向106に移動することができる。
【0054】
搬送デバイス104は、たとえば、倒置された循環コンベアとして、または、倒置された単軌道コンベアとして構成することができる。
【0055】
特に搬送デバイス104は、2つの部分から構成することができると共に、図1、図3および図4から最適に理解されることができるように、搬送方向106に対して平行に伸び搬送方向106に直交する水平方向に相互に離れた2本の搬送軌道104aおよび104bを備えることができる。
【0056】
塗布区域108は塗装キャビン110の内部であり、該塗装キャビンは、該塗装キャビン110の長手方向に対応する搬送方向106に直交して伸びる水平横断方向112において、搬送デバイス104の両側にて夫々のキャビン壁部114により形成される。
【0057】
搬送デバイス104の両側において塗装キャビン110内には、たとえば塗装ロボットの形態の噴霧塗装デバイス116(図1から図4を参照)が配置される。
【0058】
図1において矢印119により示されるように実質的に垂直に上方から下方に向けて塗布区域108を通る空気流は、図5において概略的に示された空気流発生手段118により発生される。
【0059】
この空気流は、塗布区域108における過剰噴霧の粒子の形態の塗料過剰噴霧を取り込む。
【0060】
この場合に“粒子”という語句は、特に小滴である固体および液体の粒子の両方を包含する。
【0061】
ライン100における塗装のために液体塗料が使用されるなら、液体塗料の過剰噴霧は塗料の小滴から成る。
【0062】
過剰噴霧の粒子のほとんどの最大寸法は、約1μmから約100μmの範囲である。
【0063】
矢印120により表された排出空気流は、空気透過性格子124により形成されたキャビン床部122を通り塗装キャビン110を離脱する。
【0064】
ライン100は、さらに塗布区域108の下方に配置されると共に空気流120から液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス126を備える。
【0065】
デバイス126は実質的に立方体形状の流れチャンバ128を備え、該流れチャンバは、塗装キャビン110の全長に亙り且つ該キャビンを越えて搬送方向106に伸びると共に、塗装キャビン110の横断方向112においては、塗装キャビン110の側方キャビン壁部114と実質的に整列された垂直側壁部130により形成される結果、流れチャンバ128は塗装キャビン110と実質的に同一の水平断面積を有すると共に、該流れチャンバは、完全に塗装キャビン110の床面積の垂直投影内に配置される。
【0066】
流れチャンバ128は、この好適実施例においては実質的に水平に方向付けられた流れ妨害板134として構成された流れ案内要素132により上側区画136および下側区画138へ細分される。
【0067】
流れチャンバ128の上側区画136および下側区画138は狭い領域140により相互に接続され、該狭い領域は、対置された流れ案内要素132の自由縁部同士の間の間隙142の形態であると共に、流れチャンバ128を通る排出空気流120の流路の狭い箇所を形成する。
【0068】
各流れ案内要素132の上側面は夫々、排出空気流120を狭い領域140に向けて導く流れ案内表面135を形成する。
【0069】
上記流路の狭い領域140には、連続的にまたは間欠的にプレコート材料を排出空気流120内へ放出するプレコート供給手段144が配置される。
【0070】
プレコート供給手段144はたとえば、噴霧の形態のプレコート材料を排出空気流120内に放出するプレコート噴霧ノズルとして構成されることができる。
【0071】
排出空気流120の流路の狭い領域140にプレコート供給手段144を配置すると、排出空気流120の流速が増大され且つ流れ断面積が小さいことから、排出空気流に乱流が生じ、該排出空気流120におけるプレコート材料の乱流が確保され、ゆえに、排出空気流120におけるプレコート材料の特に好都合な分布が確実になるという利点が提供される。
【0072】
プレコート供給手段144は、(不図示の)プレコート貯蔵容器から(不図示の)プレコート送給ポンプにより流動可能状態でプレコート材料を送給する(不図示の)プレコート送給管に接続される。
【0073】
基本的に、液体塗料の過剰噴霧の流体成分を吸収することができる任意の媒体がプレコート材料として使用されることができる。
【0074】
特に、石灰、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、粉末塗料または類似物は、プレコート材料と見做されることができる。
【0075】
プレコート材料を流動可能かつ噴霧可能とするために、たとえば上記材料の分散水溶液が使用される。
【0076】
もしプレコート供給手段144の後に配置されるフィルタがプレコートされずに単に加湿されるならば、単に加湿剤をプレコート供給手段144により排出空気流120内へ取入れることも可能である。
【0077】
たとえば、特に脱塩水、ブチル・グリコールその他の溶媒はかかる加湿剤と見做されることができる。
【0078】
流れチャンバ128の下側区画138において狭い領域140の両側には夫々、排出空気流120から液体塗料の過剰噴霧を分離する分離デバイス145が配置される。分離デバイス145は夫々、流れチャンバ128の両方の対置垂直側壁部130上で搬送方向106において相互に離間して配置された複数個の再生可能な表面フィルタ146を備え、該表面フィルタは、それらのフィルタ要素148をもって流れチャンバ128の下側区画138内へ突出している(特に図1、図2および図4を参照)。
【0079】
図6および図7には、これらの再生可能な表面フィルタ146の内の一つが詳細に示されている。
【0080】
再生可能な表面フィルタ146の各々は中空本体150を備え、該本体上には複数の、たとえば夫々において4個のフィルタ要素154が保持される。
【0081】
フィルタ要素154はたとえば実質的にプレート形状であり、好適には図6から明らかなように鋸歯状の断面を有することで利用可能なフィルタ表面156を増大している。
【0082】
フィルタ要素154はたとえば、外側面上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の膜を備えた焼結ポリエチレンのプレートとして構成することができる。
【0083】
これに対して代替的にまたは付加的に、フィルタ要素154はPTFE被覆を備えた不織布から形成することもできる。
【0084】
PTFEの被覆は、表面フィルタ146の濾過等級を高める(すなわちその透過性を減少する)と共に、排出空気流120から分離された液体塗料の過剰噴霧が永続的に付着することを防止する役割を果たす。
【0085】
フィルタ要素154の基礎材料およびそのPTFE被覆の両方が多孔性を有する結果、排出空気はそれらの孔を通り夫々のフィルタ要素154の内側領域176へ通過することができる。
【0086】
フィルタ表面156の目詰まりを防止するために、フィルタ表面は、さらに排出空気流内に放出されたプレコート材料の障壁層を備える。
【0087】
この障壁層はデバイス126の作動中に、排出空気流120内へ放出されたプレコート材料をフィルタ表面156上に単に堆積させることで形成される。
【0088】
排出空気流120内へ放出されたプレコート材料の大部分は好適には、再生可能な表面フィルタ146のフィルタ要素154上のプレコート材料の障壁層の厚みがたとえば約150μmから200μmの範囲内である様に調整される。
【0089】
排出空気流120は、再生可能な表面フィルタ146のフィルタ要素154のフィルタ表面156を塗る。そして、浮遊して搬送されたプレコート材料および浮遊して搬送された液体塗料の過剰噴霧の両方がフィルタ表面156上に堆積される。該排出空気流は多孔性のフィルタ表面156を通過し、本体150の内側のキャビティに接続されたフィルタ要素154の内側領域176内へ進行する。
【0090】
ゆえに、清浄化された排出空気流120は本体150を通り排出空気管158内へ進行するが、該排出空気管は、夫々の再生可能な表面フィルタ146から、流れチャンバ128の垂直側壁部130の側方に隣接して搬送方向106に平行に伸びる排出空気ダクト160まで伸びている。
【0091】
図5の概略的表示から理解することができるように、液体塗料の過剰噴霧が除去されて清浄化された排出空気は2本の排出空気ダクト160から出て少なくとも部分的に空気流発生手段118に戻り、該空気流発生手段は清浄化された排出空気を再び、送給管162を介して塗装キャビン110における塗布区域108へ送給する。
【0092】
清浄化された排出空気流の別の部分は、排出空気管166内の放出ノズル164を介して周囲領域へ放出される。
【0093】
周囲領域へ放出されたこの排出空気流の部分は、外気送給管168を介して空気流発生手段118へ送給される新鮮な空気と置換される。
【0094】
ゆえに、塗布区域108を通る空気の大部分は、空気再循環回路170内へ導かれる。空気再循環回路170は、空気流発生手段118と、送給管162と、塗布区域108と、流れチャンバ128と、排出空気ダクト160と、から成る。その結果、新たに供給される追加空気を定常的に加熱することが回避されるので、エネルギ・コストは相当に削減される。
【0095】
排出空気流120からの液体塗料の過剰噴霧の分離は再生可能な表面フィルタ146により乾式に即ち清浄化流体による洗浄なしで行われることから、再循環回路170内へ導かれる空気は液体塗料の過剰噴霧の分離中に加湿されることはなく、ゆえに、再循環回路170内で導かれる空気を除湿するデバイスは全く必要とされない。
【0096】
更に、液体塗料の過剰噴霧を洗浄/清浄化流体から分離するデバイスは必要でない。
【0097】
再生可能な表面フィルタ146は、フィルタ上の液体塗料の過剰噴霧の堆積量が所定値に到達したときに、特定の時間間隔における圧縮空気パルスにより清浄化される。
【0098】
この清浄化は、作業交代毎に一回、すなわち作業日毎に2〜3回実施することができる。
【0099】
必要な圧縮空気パルスは圧縮空気貯蔵ユニット172により発生されるが、該ユニットは夫々の再生可能な表面フィルタ146の本体150上に配置される。そして、該ユニットは、圧縮空気管174へ圧縮空気パルスを放出することができる。圧縮空気管174は、夫々の本体150の内側で伸び、圧縮空気貯蔵ユニット172からフィルタ要素154の内側領域176に通ずる。
【0100】
フィルタ要素154の内側領域176から、圧縮空気パルスは多孔性のフィルタ表面156を通りフィルタ要素154の外側領域へ通過し、フィルタ表面156上に形成されたプレコート材料の障壁層およびその上に堆積した液体塗料の過剰噴霧はフィルタ表面156から分離されるので、フィルタ表面156は元の清浄状態に戻される。
【0101】
清浄化中に再生可能な表面フィルタ146を通る圧縮空気の流れ方向は、図7において矢印177により表される。
【0102】
圧縮空気貯蔵ユニット172における貯蔵圧縮空気は、構造物側に存在する圧縮空気供給源から(不図示の)圧縮空気送給管を介して補充される。
【0103】
圧縮空気パルスによる清浄化に対して代替的または付加的に、フィルタ表面156上に堆積した液体塗料の過剰噴霧を除去するために、再生可能な表面フィルタ146は、所定の時間間隔にて適切な洗浄デバイスにより洗浄することもできる。
【0104】
図1および図2から最適に理解されることができるように、再生可能な表面フィルタ146のフィルタ表面156から清浄化除去された物質は、流れチャンバ128の基部上に配置されると共に例えば被動ローラ180および戻り用アイドル・ローラ182の回りを回転する無端ベルトとして構成された回収用ベルト178上へ受け渡される。
【0105】
被動ローラ180は駆動モータ184により回転すべく設定されることで、回収用ベルト178を搬送方向106の作動に設定する。
【0106】
この様にして、プレコート材料と分離された液体塗料の過剰噴霧とから成る物質であって再生可能な表面フィルタ146から回収用ベルト178上へ受け渡された物質は回収用ベルト178により(不図示の)分離デバイスへ搬送され、この物質は該分離デバイスにより、(たとえば剥離により)回収用ベルト178から引き離されて回収され、更なる使用へ用いることも可能である。
【0107】
回収用ベルト178はまた、排出空気流120が再生可能な表面フィルタ146に到達する前に排出空気流120から回収用ベルト178上へ直接的に到達した液体塗料の過剰噴霧の一部分を拾い上げる。
【0108】
図8から図10には、デバイス126において使用することができる再生可能な表面フィルタ146の代替的構成が示される。相互に隣接すると共に垂直に方向付けられた複数個のプレート形状のフィルタ要素の代わりに、図8から図10に示された再生可能な表面フィルタは、断面において鋸歯状フィルタ表面156を同様に有することで利用可能なフィルタ要素154を増大する実質的に円筒状のフィルタ要素154′を備える。
【0109】
圧縮空気パルスの発生に加え、この実施例においては再生可能な表面フィルタ146を清浄化する洗浄流体リング管路186が配置される。このリング管路は該洗浄流体リング管路186の径方向内側に配置された洗浄流体吐出口を通してフィルタ要素154′のフィルタ表面156に対して洗浄流体を噴射する結果、洗浄流体は障壁層とその上に堆積した液体塗料の過剰噴霧とをフィルタ表面156から引き離して回収用ベルト178へ移動させる。
【0110】
図11から図14に示された車体102を塗装するライン100の第2実施例は、液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス126の流れチャンバ128の上側区画136から下側区画138を仕切る流れ案内要素132が、第1実施例の場合と同じ様に実質的に水平に方向付けられるのではなく、図11に最適に示されるように該流れ案内要素が狭い領域140に向けて下方に傾斜するように水平方向に対して傾斜される点において上述の第1実施例と異なる。
【0111】
水平方向に対する傾斜の角度は好適には、約5°から約30°である。
【0112】
流れ案内要素132の、ゆえに該要素の上側の流れ案内表面135の傾斜の結果として、流れチャンバ128の上側区画136の下側領域の漏斗形状構造が達成され、該構造により、狭い領域140に向かう空気流は更に均一とされ且つ流れ案内要素132の上側面上の乱流の程度は減少される。この様にして、排出空気流120が流れチャンバ128の下側区画138に到達する前に、液体塗料の過剰噴霧の僅かな割合は流れ案内表面135上にすでに堆積する。
【0113】
これに加えて流れ案内要素132は流れチャンバ128の内側で、第1実施例におけるよりも第2実施例における方が僅かに高位に配置される。
【0114】
その他の点に関して図11から図14に示された車体102を塗装するライン100の第2実施例は、図1から図10に示された第1実施例と同一の構造および機能を有することから、上記実施例の上記説明を参照されたい。
【0115】
図15から図18に示された車体102を塗装するライン100の第3実施例は、狭い領域140が、各流れ案内要素132の対向縁部間の間隙142により単に形成されるのではなく、流れ案内要素132の対向縁部から垂直に下方に伸びる排出空気用立坑188を備えると共に、該立坑の2つの長手側部においては搬送方向106に伸びる垂直立坑側壁部190により形成される点において上述の第2実施例と異なる。
【0116】
各立坑側壁部190の下縁部と流れチャンバ128の基部上の回収用ベルト178の上側面との間には夫々の垂直間隙192が構成され、該間隙を通り排出空気流120は狭い領域140から流れチャンバ128の下側区画138内へ通過し、この実施例において流れチャンバ128の下側区画138は、排出空気用立坑188の横側に夫々配置された2個の下位領域138a、138bへ細分される。
【0117】
更に、この実施例において、再生可能な表面フィルタ146のフィルタ要素154は流れチャンバ128の下側区画138内へ実質的に水平方向に伸びるのではなく、水平方向に対して傾斜され、すなわち、好適には流れ案内要素132の流れ案内表面135と略同一の角度で傾斜される。
【0118】
水平方向に対するこの傾斜の角度は好適には、約5°から約30°の範囲である。
【0119】
水平方向に対する再生可能な表面フィルタ146のフィルタ要素154のこの傾斜のゆえに、再生可能な表面フィルタ146の本体150および流れチャンバ128の下側区画138の側壁部130の上側領域もまた、垂直に方向付けられるのではなく、水平方向に対するフィルタ要素154および流れ案内表面135の傾斜の角度に対応する鋭角にて垂直方向に対して傾斜される。
【0120】
この実施例において、再生可能な表面フィルタ146は、塗布区域108から落下する物体から特に良好に保護される。
【0121】
更に、流れチャンバ128の上側区画136および下側区画138は流れに関して排出空気用立坑188により相互に遮断される結果、流れチャンバ128の下側区画138内の排出空気流は、流れチャンバ128の上側区画136における流れ条件にほとんど依存しない。
【0122】
この実施例においては、排出空気流120が通過して流れチャンバ128の下側区画138に進入する2つの間隙192が存在することから2つのプレコート供給手段144も配置され、該手段は夫々、一方の立坑側壁部190の下端部における一方の垂直間隙192の近傍に配置される。
【0123】
その他の点に関して図15から図18に示された車体102を塗装するライン100の第3実施例は、図11から図14に示された第2実施例と同一の構造および機能を有することから、上記実施例の上記説明を参照されたい。
【0124】
図19から図22に示された車体102を塗装するライン100の第4実施例は、排出空気流120から液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス126が塗装キャビン110の長手中心平面194に対して対称的に構成されるのではなく、この長手中心平面194に対して非対称的に構成される点において上述の第1実施例と異なる。
【0125】
特にこの実施例において、再生可能な表面フィルタ146は長手中心平面194の一方側(すなわち図19において左方に示された側)にのみ配置される。
【0126】
この実施例においては単一の排出空気ダクト160のみが配置され、該ダクトは更に、側方において流れチャンバ128の側壁部130の外側に配置される代わりに、流れチャンバ128に一体化され且つ一方の流れ案内要素132の直下に配置される結果、夫々の流れ案内要素132は排出空気ダクト160の上側境界を形成する。
【0127】
この実施例において、再生可能な表面フィルタ146は排出空気ダクト160に対して排出空気管158により接続されるのではなく、排出空気ダクト160の下側境界壁部196上に直接的に配置され、再生可能な表面フィルタ146のフィルタ要素154は、排出空気ダクト160の下側境界壁部196から実質的に垂直方向に流れチャンバ128の下側区画138内へ吊下される。
【0128】
この吊下配置の結果として、再生可能な表面フィルタ146の特に効率的な清浄化が可能である。
【0129】
再生可能な表面フィルタ146が配置された流れチャンバ128の側の逆である該流れチャンバ128の下側区画138の側は、排出空気流120が通過する流れチャンバ128の下側区画138の領域から、垂直仕切壁198により分離される。
【0130】
この分離領域200は、上方では一方の流れ案内要素132により範囲限定されると共に、流れチャンバ128の基部202まで下方に伸びている。
【0131】
流れチャンバ128の通過流領域から分離されたこの領域200は、たとえば、ファン、貯蔵容器、ポンプのような補助ユニットを収容するために使用することができる。
【0132】
これに対して代替的にまたは付加的に、分離領域200を、たとえば付加的な排出空気ダクト、外気供給ダクトまたは排出空気放出ダクトなどの空気ダクトとして使用することができる。
【0133】
流れチャンバ128の下側区画138の通過流領域は、底部に向けて回収用ベルト178により形成される。
【0134】
図20からは特に、回収用ベルト178はその戻り用アイドル・ローラ182の領域において、プレコート材料および堆積した液体塗料の過剰噴霧を含む物質であって回収用ベルト178の表面上に収集された物質を除去する剥離器204により清浄化され、回収用ベルト178から剥離された上記物質は移動収集タンク206内へ受け渡されることが理解される。
【0135】
移動収集タンク206において所定の最大充填レベルが達成されたとき、該移動収集タンク206は空の移動収集タンク206と交換され、充填された移動収集タンク206は、収集および更なる処理のためのステーションへ駆動される。
【0136】
図19から図22に示された第4実施例において液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス126の全ての構成要素は塗装キャビン110の床面積の垂直投影内に配置されることから、この実施例は特にコンパクトな構造を有すると共に、制限されたスペース条件に対して特に適切である。
【0137】
その他の点に関して図19から図22に示された第4実施例は、図1から図10に示された第1実施例と同一の構造および機能を有することから、上記実施例の上記説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流から該過剰噴霧を分離するデバイスであって、排出空気流から過剰噴霧を分離する2台の分離デバイスならびに塗装キャビンの境界の近傍の左右にて横方向に伸びる2本の排出空気ダクトを備えるデバイスが下方に配置された塗装キャビンの塗布区域と上記分離デバイスとの間には、排出空気流の流路の狭い領域であって水平に方向付けられた流れ案内要素により形成された狭い領域が配置される塗装キャビンの第1実施例の概略的垂直断面図である。
【図2】図1のラインの概略的側面図である。
【図3】図1および図2のラインの上方からの概略的平面図である。
【図4】図1から図3のラインの概略的斜視図である。
【図5】図1から図4のラインの再循環回路の概略図である。
【図6】図1から図5のラインの再生可能な表面フィルタの概略的斜視図である。
【図7】図6の表面フィルタの概略的な長手断面図であり、表面フィルタの清浄化プロセスを示している。
【図8】再生可能な表面フィルタの代替実施例の概略的斜視図である。
【図9】図8の表面フィルタの概略断面図であり、表面フィルタの清浄化プロセスを示している。
【図10】図8および図9の表面フィルタの上方からの概略的平面図である。
【図11】液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流から該過剰噴霧を分離するデバイスであって、排出空気流から過剰噴霧を分離する2台の分離デバイスならびに塗装キャビンの境界の近傍の左右にて横方向に伸びる2本の排出空気ダクトを備えるデバイスが下方に配置された塗装キャビンの塗布区域と上記分離デバイスとの間には、排出空気流の流路の狭い領域であって水平方向に対して傾斜された流れ案内要素により形成された狭い領域が配置される塗装キャビンの第2実施例の概略的垂直断面図である。
【図12】図11のラインの概略的側面図である。
【図13】図11および図12のラインの上方からの概略的平面図である。
【図14】図11から図13のラインの概略的斜視図である。
【図15】液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流から該過剰噴霧を分離するデバイスであって、排出空気流から過剰噴霧を分離する2台の分離デバイスならびに塗装キャビンの境界の近傍の左右にて横方向に伸びる2本の排出空気ダクトを備えるデバイスが下方に配置された塗装キャビンの塗布区域と上記分離デバイスとの間には、排出空気流の流路の狭い領域であって垂直方向に伸びる立坑の形態である流れ案内要素により形成された狭い領域が配置される塗装キャビンの第3実施例の概略的垂直断面図である。
【図16】図15のラインの概略的側面図である。
【図17】図15および図16のラインの上方からの概略的平面図である。
【図18】図15から図17のラインの概略的斜視図である。
【図19】液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流から該過剰噴霧を分離するデバイスであって、排出空気流から過剰噴霧を分離する分離デバイスと、塗装キャビンの床面積の垂直投影内に配置された排出空気ダクトとを備えるデバイスが下方に配置された塗装キャビンの第4実施例の概略的垂直断面図である。
【図20】図19のラインの概略的側面図である。
【図21】図19および図20のラインの上方からの概略的平面図である。
【図22】図19から図21のラインの概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0139】
100 ライン
102 車体
104 搬送デバイス
104a、104b 搬送軌道
106 搬送方向/長手方向
108 塗布区域
110 塗装キャビン
112 水平横断方向
114 側方キャビン壁部
116 噴霧塗装デバイス
118 空気流発生手段
119 空気流
120 排出空気流
122 キャビン床部
124 空気透過性格子
126 液体塗料の過剰噴霧を分離するデバイス
128 流れチャンバ
130 垂直側壁部
132 流れ案内要素/遮蔽要素
134 流れ妨害板
135 流れ案内表面
136 上側区画
138 下側区画
138a、138b 下位領域
140 狭い領域
142 間隙
144 プレコート供給手段
145 分離デバイス
146 再生可能な表面フィルタ
148 フィルタ要素
150 中空本体
154 フィルタ要素
154′ 円筒状フィルタ要素
156 フィルタ表面
158 排出空気管
160 排出空気ダクト
162 空気送給管
164 放出ノズル
166 排出空気管
168 外気送給管
170 空気再循環回路
172 圧縮空気貯蔵ユニット
174 圧縮空気管
176 内側領域
177 圧縮空気の流れ方向
178 回収用ベルト
180 被動ローラ
182 戻り用アイドル・ローラ
184 駆動モータ
186 洗浄流体リング管路
188 排出空気用立坑
190 垂直立坑側壁部
192 垂直間隙
194 長手中心平面
196 下側境界壁部
198 垂直仕切壁
200 分離領域
202 基部
204 剥離器
206 移動収集タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体塗料の過剰噴霧の粒子が塗装ライン(100)の塗布区域(108)において排出空気流(120)内へ進入するとき、前記液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む前記排出空気流(120)から前記過剰噴霧を分離するデバイス(126)において、
該デバイス(126)は、前記排出空気流(120)の少なくとも一部分から前記過剰噴霧を分離する少なくとも一台の分離デバイスを備え、
該分離デバイスは、少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)を有し、
前記塗布区域(108)から前記分離デバイス(145)までの前記排出空気流(120)の流路は少なくとも一個の狭い領域(140)を有し、
前記排出空気流(120)の中央流れ方向は前記狭い領域(140)を通過するときに実質的に保持されることを特徴とする、過剰噴霧を分離するデバイス(126)。
【請求項2】
前記狭い領域(140)は前記塗布区域(108)の下方に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記塗布区域(108)は塗装キャビン(110)内に配置され、前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の床面積の垂直投影内に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記排出空気流(120)の流れ方向における前記狭い領域(140)の長さは略6mより短く、好適には約1mより短く、特に略0.5mより短いことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記塗布区域(108)は長手方向(106)を備える塗装キャビン(110)内に配置され、
前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の実質的に全長に亙り該塗装キャビン(110)の前記長手方向(106)に伸びることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記塗布区域(108)は長手方向(106)を備える塗装キャビン(110)内に配置され、
前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の前記長手方向(106)において複数個の絞り下位領域へ細分されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記塗布区域(108)は長手方向(106)を備える塗装キャビン(110)内に配置され、
前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の前記長手方向(106)において細分されないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記塗布区域(108)は横断方向(112)を備える塗装キャビン(110)内に配置され、
前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の前記横断方向(112)において複数個の絞り下位領域へ細分されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記塗布区域(108)は横断方向(112)を備える塗装キャビン(110)内に配置され、
前記狭い領域(140)は前記塗装キャビン(110)の前記横断方向(112)において細分されないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記狭い領域(140)内への前記排出空気流(120)の入口は前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)の上方に配置されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記塗布区域(108)は横断方向(112)を備えた塗装キャビン(110)内に配置され、
前記排出空気流(120)が通過する前記狭い領域(140)の最小断面積は前記塗装キャビン(110)の前記横断方向(112)において、前記塗装キャビン(110)の前記横断方向(112)における前記塗装キャビン(110)の面積の多くとも約20%であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)の垂直方向の上方には、前記塗布区域(108)から前記再生可能な表面フィルタ(146)上へ物体、塵埃および/または塗料粒子が垂直に落下することを防止する少なくとも一個の流れ遮蔽要素(132)が配置されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも一個の遮蔽要素(132)は前記狭い領域(140)の境界を形成することを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイス(126)は、前記排出空気流(120)の少なくとも一部分を前記狭い領域(140)に向けて導く少なくとも一個の流れ案内要素(132)を備えることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記流れ案内要素(132)は、少なくとも断面において実質的に水平に方向付けられた流れ案内表面(135)を有することを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記流れ案内要素(132)は、好適には前記狭い領域(140)に向けて、少なくとも断面において、水平方向に対して傾斜された流れ案内表面(135)を有することを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイス(126)は、前記排出空気流(120)の下方への流路を制限する基部(202)を有し、
前記基部(202)の少なくとも一部分は、前記排出空気流(120)が通過する前記デバイス(126)の領域から分離された領域(200)により覆われることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記排出空気流(120)が通過する前記デバイス(126)の領域から分離された前記領域(200)の上側境界壁部は、前記排出空気流(120)の少なくとも一部分を前記狭い領域(140)に向けて導く流れ案内要素(132)の少なくとも一部分を形成することを特徴とする、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記塗布区域(108)は塗装キャビン(110)内に配置され、
前記デバイス(126)は少なくとも一本の排出空気ダクト(160)を備え、該排出空気ダクトには前記分離デバイス(145)を通過した後に前記排出空気流(120)の少なくとも一部分が進入し、前記排出空気ダクト(160)は前記塗装キャビン(110)の床面積の垂直投影内に配置されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)は、フィルタ表面(156)の目詰まりを防止するプレコート材料から成る障壁層を有することを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記排出空気流(120)内へプレコート材料を放出する少なくとも一つのプレコート供給手段(144)を有することを特徴とする、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記排出空気流(120)内へのプレコート材料の放出は連続的に行われることを特徴とする、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記排出空気流(120)内へのプレコート材料の放出は間欠的に行われることを特徴とする、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記少なくとも一つのプレコート供給手段(144)は前記排出空気流(120)の流路の前記狭い領域(140)に配置されることを特徴とする、請求項21から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)は間欠的に清浄化することができることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)は前記デバイス(126)の作動中に湿った表面を有することを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)は連続的または間欠的に清浄化することができることを特徴とする、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記少なくとも一個の再生可能な表面フィルタ(146)は圧縮空気パルスにより清浄化することができることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイス(126)は空気再循環回路(170)を有し、液体塗料の過剰噴霧が分離された前記排出空気流(120)は前記空気再循環回路において、少なくとも部分的に前記塗布区域(108)へ再び送給されることを特徴とする、請求項1から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
少なくとも一個の塗装キャビン(110)と、液体塗料の過剰噴霧の粒子を含む排出空気流(120)から該過剰噴霧を分離する少なくとも一個のデバイス(126)とを備える、目的物、特に車体(102)を塗装するライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2008−536661(P2008−536661A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502294(P2008−502294)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002469
【国際公開番号】WO2006/099999
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】