説明

液体注入方法及び液体収容容器

【課題】液体収容容器の諸機能を損なうことなく液体を注入することができる液体収容容器の液体注入方法及び液体収容容器を提供する。
【解決手段】容器本体10内に、インク収容部と、印字ヘッドに接続されるインク供給部50と、インク収容部に貯留したインクをインク供給部50に誘導する下流側インクエンドセンサ連絡通路410と、インクIの消費に伴って外部から大気をインク収容部5内に導入する大気連通路と、下流側インクエンドセンサ連絡通路410への気体の流入を検知することでインク収容部のインクが消尽されたことを検出する液体残量センサ31と、を備えるインクカートリッジに対し、液体収容部に連通する注入口を大気連通路に形成し、注入口から所定量のインクを注入し、インクを注入した後に注入口を封止して成るインクカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等に着脱可能なインクカートリッジとして好適な大気開放タイプの液体収容容器に液体を注入する液体注入方法及び液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の液体消費装置に着脱可能なインクカートリッジ(液体収容容器)として、プリンタに着脱可能な容器本体内に、インクを収容するインク収容部(液体収容部)と、プリンタ側の印字ヘッド(液体噴射部)に接続されるインク供給部(液体供給部)と、インク収容部に貯留したインクをインク供給部に誘導するインク誘導路(液体誘導路)と、インク収容部内のインクの消費に伴って外部から大気をインク収容部内に導入する大気連通路と、を備える大気開放タイプのものが各種提案されている。
【0003】
この種のインクカートリッジには、圧電振動体を有するセンサを液体収容部内の基準高さに配置したインク残量検出機構(液体検出部)が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。このインク残量検出機構は、印刷処理によるインク消費で液体収容部のインク液面が基準高さまで下がって、インクの消費に伴って大気連通路から液体収容部に導入された外気がセンサの検出位置に到達すると、センサ周囲がインク液で満たされている場合とセンサ周囲に空気が接触している場合における振動特性(残留振動)の変化から、インクの液面が基準高さまで下がったことを検出するものである。
【0004】
すなわち、液体収容部に設けた圧電素子を有する圧電装置又はアクチュエータの振動部を振動させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することで、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出して音響インピーダンスの変化を検出する。この検出信号がインクの残量表示やカートリッジ交換時期の通知に利用される。
【0005】
【特許文献1】特開2001−146019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インクカートリッジは、多数の部品から構成される高精度に形成された容器であるため、インクを消尽した時に、そのまま廃棄することは、有用な資源の廃棄となり、経済的に大きな損失となってしまう。そこで、使用済みのインクカートリッジにインクを再注入して再生することが望まれている。
【0007】
ところが、従来のインクカートリッジは、その組立工程の途中に、インクの注入工程を組み込んでおり、インクカートリッジの組立完了後は、同様のインク注入方法が利用できない場合が多い。そこで、新品のインクカートリッジを組み立てる際のインク注入方法は使わずに、インクの充填を実現するインク注入方法の開発が必要となる。
【0008】
しかし、最近のインクカートリッジは、インク収容室とインク供給部とを連通するインク誘導路に、インク供給部へ供給するインク圧を調整すると共にインク供給部側からの逆流を防止する逆止弁としても機能する差圧弁が設けられたり、あるいはインクの残量を検出するインク残量検出機構が設けられたりして、高性能化されている。更には、インク収容室や大気連通路の構造も複雑化している。
【0009】
そのため、インク注入のために、不用意に容器本体を加工すると、インクを注入した際に、インク収容室以外の部分にインクが漏れたり、インク注入時に混入する気泡の為に当初の機能が損なわれたりして、再生不良を招く虞がある。
特に、注入されたインクの液中を浮遊する気泡がインク残量検出機構のセンサ表面に付着すると、付着した気泡が残留振動の変化を招いて、インクの有無が正確に検出できずインクの液面が下がったものと誤検出されてしまう虞がある。
【0010】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、液体収容容器の諸機能を損なうことなく液体を注入することができる液体収容容器の液体注入方法及び液体収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、液体消費装置に着脱可能な容器本体内に、液体収容部と、前記液体消費装置に接続される液体供給部と、前記液体収容部に貯留した液体を前記液体供給部に誘導する液体誘導路と、前記液体収容部内の液体の消費に伴って外部から大気を前記液体収容部内に導入する大気連通路と、前記液体誘導路の途中に設けられ、当該液体誘導路への気体の流入を検知することで前記液体収容部の液体が消尽されたことを検出する液体検出部と、前記液体誘導路に設けられ、前記液体検出部へ液体を流入させる液体流入開口の内周上部より鉛直方向上方に上端が配置された堰部と、を備える大気開放タイプの液体収容容器に液体を注入する方法であって、
前記液体収容部に連通する注入口を前記大気連通路に形成する工程と、
前記注入口から所定量の液体を注入する工程と、
前記液体を注入する工程の終了後に前記注入口を封止する工程と、
を含む液体収容容器の液体注入方法により達成される。
【0012】
上記構成の液体注入方法によれば、注入口から注入されて液体誘導路を通過する液体が堰部を通過した後、堰部の上端より低い位置の液体流入開口へ流れ込み、堰部を通過する液体に気泡が混じる場合、気泡には、液体誘導路に充填された液体によって液体流入開口への接近に抗する浮力が作用する。これにより、気泡は液体流入開口へ進入し難くなる。
【0013】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置に着脱可能な容器本体内に、液体収容部と、前記液体消費装置に接続される液体供給部と、前記液体収容部に貯留した液体を前記液体供給部に誘導する液体誘導路と、前記液体収容部内の液体の消費に伴って外部から大気を前記液体収容部内に導入する大気連通路と、前記液体誘導路の途中に設けられ、当該液体誘導路への気体の流入を検知することで前記液体収容部の液体が消尽されたことを検出する液体検出部と、前記液体誘導路に設けられ、前記液体検出部へ液体を流入させる液体流入開口の内周上部より鉛直方向上方に上端が配置された堰部と、を備える大気開放タイプの液体収容容器に対し、
前記液体収容部に連通する注入口を前記大気連通路に形成し、前記注入口から所定量の液体を注入し、前記液体を注入した後に前記注入口を封止して成る液体収容容器により達成される。
【0014】
上記構成の液体収容容器によれば、注入口から注入されて液体誘導路を通過する液体が堰部を通過した後、堰部の上端より低い位置の液体流入開口へ流れ込み、堰部を通過する液体に気泡が混じる場合、気泡には、液体誘導路に充填された液体によって液体流入開口への接近に抗する浮力が作用する。
これにより、気泡は液体流入開口へ進入し難くなる。また、液体誘導路の液体が徐々に減少した場合には、液面が堰部の上端から徐々に下降することとなり、残留液が液体誘導路に存在する状態で、先に液面が液体流入開口に達することがない。
【0015】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体流入開口と前記堰部との間における少なくとも一部の前記液体誘導路の底面が、前記液体流入開口に向かって鉛直下方向に傾斜することが望ましい。
このような構成によれば、液体誘導路の液体が徐々に減少し、液面が堰部の上端から徐々に下降する場合、液体流入開口から遠い液体が徐々に傾斜底面に沿って液体流入開口の方向へと流れる。
即ち、液体の掃けが良好となり、残留液体の全てが液体誘導路に取り残されることなく、液体流入開口へと導かれる。
【0016】
また、上記構成の液体収容容器において、前記液体誘導路には、前記液体に対して毛管現象を生じさせる狭い流路が形成されることが望ましい。
このような構成によれば、液体誘導路の液体が狭い流路へと進入すると、液流に加え、毛管現象によって液体が液体流入開口側へと吸引され、滞りのない良好な液流が得られる。また、液体誘導路の液体の終端(気液の境界)が、通過する場合においても、毛管現象による吸引作用によって、終端の液体が残留することなく液体流入開口へと導かれる。
【0017】
また、上記構成の液体収容容器において、複数の前記狭い流路が、並列して形成されることが望ましい。
このような構成によれば、狭い流路個々の毛管現象による吸引作用が確保されつつ、液体の通過流路断面積が大きく確保されて、液体の損失水頭を低減させることができる。また、同一流路断面積の液体誘導路を一つで形成する場合に比べ、大きな気泡(或いは気液の境界)が液体流入開口へ到達する確率を低減させることができる。
【0018】
また、上記構成の液体収容容器において、前記狭い流路が、矩形断面形状に形成されることが望ましい。
このような構成によれば、矩形断面形状の長辺より短辺が十分に小さく設定されることで、流路が扁平となり、同一流路断面積の液体誘導路を円形状で形成した場合に比べ、気泡の流れ込み防止効果を大きくすることができる。
【0019】
また、上記構成の液体収容容器において、前記液体誘導路の最上流側である入り口部が、前記狭い流路の矩形断面形状短辺より大きい直径の丸穴であることが望ましい。
このような構成によれば、液体誘導路の入り口部が、狭い流路の矩形断面形状短辺より大きい直径の丸穴となることで、仮に、矩形断面形状短辺と同等以下の直径を有する複数の気泡が入り口部に流入した際、気泡同士を結合させ、最大、丸穴と同等の大きさまで成長させることが可能となり、狭い流路に対し気泡を通過し難くできる。換言すれば、矩形断面形状短辺と同一直径以下で入り口部が形成された場合には、入り口部を通過した全ての気泡が狭い流路に進入してしまう。本構成では、気泡を通過し難い大きさに成長させることで、気泡の液体流入開口への進入を効果的に防止することが可能となる。
【0020】
また、上記構成の液体収容容器において、前記狭い流路における少なくとも一つの内壁面が、前記液体誘導路の内壁面を兼ねることが望ましい。
このような構成によれば、狭い流路の内壁面が液体誘導路の内壁面となることで、液体誘導路の内壁面に外周を接触させ、かつ狭い流路に進入できない直径を有した気泡は、その中心が狭い流路の中心からずれることとなる。
【0021】
すなわち、気泡は、内壁面に拘束されることで、中心を通る対称軸に非対称な異形変形を強いられることとなる。この場合、表面張力の作用により、異形変形の方が対称変形に比べ、球体に戻ろうとする気泡の復元力が大きい。これにより、気泡を狭い流路内へ吸引し難くすることが可能となる。換言すれば、液体のみを狭い流路へ流入し易くすることができる。
【0022】
また、狭い流路の内壁面が液体誘導路の内壁面となることで、内壁面と内壁面とに挟まれて形成される隅部が、液体誘導路と液体流入開口まで連続して延在することとなり、狭い流路内の液体を隅部で発生する毛管現象によって、液体流入開口まで吸い寄せることが可能となる。
【0023】
また、上記構成の液体収容容器において、前記液体誘導路には、上流側より下流側の天面が鉛直下方向に配設された段部が設けられることが望ましい。
このような構成によれば、注入口から注入された液体が液体誘導路を液体流入開口へ向かって流れる際、液体は段部に捕捉される。これにより、液体中に気泡が混入していた場合には、気泡が液体から分離され、分離された気泡は、浮力によって段部の上方側の天面に溜まることとなる。
また、この分離作用によって、本来なら狭い流路を通過してしまう小径の気泡を、狭い流路を通過できない大径の気泡へと成長させることも可能となり、液体検出部へ気泡をより付着し難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る液体注入方法及び液体収容容器の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態では、液体収容容器の一例として、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置(プリンタ)に装着されるインクカートリッジを挙げて説明する。
【0025】
図1は本発明に係る液体収容容器の一実施形態としてのインクカートリッジの外観斜視図であり、図2は本実施形態のインクカートリッジを図1とは逆の角度からみた外観斜視図である。図3は本実施形態のインクカートリッジの分解斜視図、図4は本実施形態のインクカートリッジを図3とは逆の角度からみた分解斜視図である。図5は本実施形態のインクカートリッジをキャリッジに取り付けた状態を示す図であり、図6はキャリッジへの取付直前の状態を示す断面図、図7はキャリッジへの取付直後の状態を示す断面図である。
【0026】
本実施形態のインクカートリッジ1は、図1及び図2に示すように、略直方体形状を有し、内部に設けられたインク収容室(液体収容室)にインク(液体)Iを貯留・収納する液体収容容器である。インクカートリッジ1は、液体消費装置の一例としてのインクジェット式記録装置のキャリッジ200に装着され、当該インクジェット式記録装置にインクを供給する(図5参照)。
【0027】
インクカートリッジ1の外観的特徴について説明すると、図1及び図2に示すように、インクカートリッジ1は、フラットな上面1aを有し、上面1aに対向する底面1bにインクジェット式記録装置に接続されてインクを供給するインク供給部(液体供給部)50が設けられている。また、底面1bには、インクカートリッジ1内部に大気を導入する大気開放孔100が開口している。すなわち、インクカートリッジ1は、大気開放孔100から空気を導入しつつインク供給部50からインクを供給する大気開放型のインクカートリッジである。
【0028】
本実施形態では、大気開放孔100は、図6に示すように、底面1bに底面側から上面側に向けて開口した略円筒形状の凹部101と、凹部101の内周面に開口した小孔102とを有している。小穴102は、後述の大気連通路に連通しており、この小穴102を介して大気が後述の最上流の上部インク収容室370に導入される。
【0029】
大気開放孔100の凹部101は、キャリッジ200に形成された突起230を受け入れるような深さに構成されている。この突起230は、大気開放孔100を気密に閉塞する閉塞手段としての封止フィルム90の剥がし忘れを防止するための剥離忘れ防止突起である。すなわち、封止フィルム90が貼り付けられた状態では、大気開放孔100内に突起230が挿入されないため、インクカートリッジ1がキャリッジ200に取り付けられない。これによりユーザが、大気開放孔100上に封止フィルム90が貼り付けたままキャリッジ200にインクカートリッジ1を取り付けようとしても取り付けられないようにすることにより、インクカートリッジ1の装着時には確実に封止フィルム90を剥がすように促すことができる。
【0030】
また、図1に示すように、インクカートリッジ1の上面1aの一つの短辺側に隣り合う狭側面1cには、インクカートリッジ1が誤った位置に装着されることを防ぐための誤挿入防止突起22が形成されている。受け手となるキャリッジ200側には、図5に示すように、誤挿入防止突起22と対応する凹凸220が形成されており、インクカートリッジ1は誤挿入防止突起22と凹凸220とが干渉しない場合のみキャリッジ200に装着される。誤挿入防止突起22は、インクの種類毎に異なる形状を有し、受け手となるキャリッジ200側の凹凸220も対応するインクの種類に応じた形状を有している。したがって、図5に示すように、キャリッジ200が複数のインクカートリッジを装着可能な場合でも、誤った位置にインクカートリッジを装着することがない。
【0031】
また、図2に示すように、インクカートリッジ1の狭側面1cと対向する狭側面1dには、係合レバー11が設けられている。この係合レバー11は、キャリッジ200への装着時にキャリッジ200に形成された凹部210と係合する突起11aが形成されており、係合レバー11が撓みつつ突起11aと凹部210が係合することによりキャリッジ200に対してインクカートリッジ1が位置固定される。
【0032】
また、係合レバー11の下方には、回路基板34が設けられている。この回路基板34上には、複数の電極端子34aが形成されており、これら電極端子34aがキャリッジ200に設けられた電極部材(不図示)と接触することにより、インクカートリッジ1が電気的にインクジェット式記録装置と接続される。回路基板34には、データ書換可能な不揮発性メモリが設けられており、インクカートリッジ1に関する各種情報やインクジェット式記録装置のインク使用情報等が記憶される。また、回路基板34の裏側には、インクカートリッジ1内のインク残量を、残留振動を利用して検出する液体残量センサ(液体検出部)31(図3または図4参照のこと)が設けられている。以下の説明では、液体残量センサ31と回路基板34とを合わせてインクエンドセンサ30と呼称することとする。
【0033】
また、インクカートリッジ1の上面1aには、図1に示すように、インクカートリッジの中身を示すラベル60aが貼り付けられている。このラベル60aは、広側面1fを覆う外表面フィルム60の端部が上面1aにまでまたがって貼り付けられることによって形成されている。
【0034】
また、図1及び図2に示すように、インクカートリッジ1の上面1aの2つの長辺側に隣り合う広側面1e,1fは、フラットな面形状とされている。以下の説明では、便宜上、広側面1eの側を正面側、広側面1fの側を背面側、狭側面1cの側を右側面側、そして狭側面1dの側を左側面側として説明する。
【0035】
次に、図3及び図4を参照しながら、インクカートリッジ1を構成する各部について説明する。
インクカートリッジ1は、容器本体であるカートリッジ本体10と、カートリッジ本体10の正面側を覆う蓋部材20とを有している。
【0036】
カートリッジ本体10は、その正面側には様々な形状を有するリブ10aが形成されており、これらのリブ10aが仕切を為して、インクIが充填される複数のインク収容室(液体収容室)、インクIは充填されない未充填室、後述の大気連通路150の途中に位置する空気室などを、内部に区画形成する。
【0037】
カートリッジ本体10と蓋部材20との間には、カートリッジ本体10の正面側を覆うフィルム80が設けられており、このフィルム80によってリブ、凹部、溝の上面が塞がれて複数の流路やインク収容室、未充填室、空気室が形成される。
【0038】
またカートリッジ本体10の背面側には、差圧弁40を収容する凹部としての差圧弁収容室40aと気液分離フィルタ70を構成する凹部としての気液分離室70aとが形成されている。
差圧弁収容室40aには、バルブ部材41とバネ42とバネ座43とが収納されて差圧弁40を構成している。差圧弁40は、下流側のインク供給部50と上流側のインク収容室との間に配置されており、上流側に対して下流側を減圧することで、インク供給部50に供給されるインクIが負圧となるように構成されている。
【0039】
気液分離室70aの上面には、気液分離室70aの中央部近傍に設けられた外周を囲む土手70bに沿って気液分離膜71が貼着されている。この気液分離膜71は、気体を通過させるとともに液体を通過不可能に遮断する素材であり、全体で気液分離フィルタ70を構成している。気液分離フィルタ70は、大気開放孔100とインク収容室とを結ぶ大気連通路150内に設けられており、インク収容室のインクIが大気連通路150を経て大気開放孔100から流出しないようにするためのものである。
【0040】
カートリッジ本体10の背面側には、差圧弁収容室40aと気液分離室70a以外にも複数の溝10bが刻まれている。これらの溝10bは、差圧弁40と気液分離フィルタ70が構成された状態で外表面を外表面フィルム60が覆うことにより各溝10bの開口部が塞がれ、大気連通路150やインク誘導路(液体誘導路)が形成される。
【0041】
カートリッジ本体10の右側面側には、図4に示すように、インクエンドセンサ30を構成する各部材を収納する凹部としてセンサ室30aが形成されている。このセンサ室30aには、液体残量センサ31と、液体残量センサ31をセンサ室30aの内壁面に押しつけて固定する圧縮バネ32とが収納される。また、センサ室30aの開口部はカバー部材33によって覆われ、このカバー部材33の外表面33a上に回路基板34が固定される。液体残量センサ31のセンシング部材は回路基板34と接続されている。
【0042】
液体残量センサ31は、インク収容室からインク供給部50との間のインク誘導路の一部を形成するキャビティと、このキャビティの壁面の一部を形成する振動板と、この振動板上に振動を印加させる圧電素子(圧電アクチュエータ)とを備えて、前記振動板に振動を印加した際の残留振動から前記インク誘導路内におけるインクIの有無を検出する。この液体残量センサ31は、インクIと気体(インクに混入した気泡B)との間での残留振動の振幅、周波数等の違いを検出して、カートリッジ本体10内におけるインクIの有無を検出する。
具体的には、カートリッジ本体10内のインク収容室のインクIが消尽されて、インク収容室内に導入された大気がインク誘導路を伝って、液体残量センサ31のキャビティ内に進入すると、その時の残留振動の振幅や周波数の変化から、その旨を検知し、インクエンドを示す電気信号を出力する。
【0043】
カートリッジ本体10の底面側には、先ほど説明したインク供給部50と大気開放孔100以外に、図4に示すように、インク注入時に真空引き手段を介してインクカートリッジ1内部から空気を吸い出して減圧に用いられる減圧孔110と、インク収容室からインク供給部50に至るインク誘導路を構成する凹部95aと、インクエンドセンサ30の下方に設けられたバッファ室30bとが形成されている。
【0044】
インク供給部50、大気開放孔100、減圧孔110、凹部95a、及びバッファ室30bは、インクカートリッジ製造直後には、全てそれぞれ封止フィルム54,90,98,95,35によってそれぞれの開口部が封止された状態となっている。このうち、大気開放孔100を封止する封止フィルム90は、インクカートリッジをインクジェット式記録装置に装着して使用状態とする前にユーザによって剥離される。これにより、大気開放孔100が外部に露出し、インクカートリッジ1内部のインク収容室が大気連通路150を介して外気と連通する。
【0045】
また、インク供給部50の外表面に貼り付けられた封止フィルム35は、図6及び図7に示すように、インクジェット式記録装置への装着時にインクジェット式記録装置側のインク供給針240によって破られるように構成されている。
【0046】
インク供給部50の内部には、図6及び図7に示すように、装着時にインク供給針の240の外表面に押しつけられる環状のシール部材51と、プリンタに装着されていない場合はシール部材51と当接してインク供給部50を閉塞するバネ座52と、バネ座52をシール部材51の当接方向に付勢する圧縮バネ53とを備えている。
【0047】
図6及び図7に示すように、インク供給針240がインク供給部50内に挿入されると、シール部材51の内周とインク供給針240の外周がシールされ、インク供給部50とインク供給針240との間の隙間が液密に封止される。また、インク供給針51の先端がバネ座52と当接し、バネ座52を上に押し上げ、バネ座52とシール部材51のシールが解除されることにより、インク供給部50からインク供給針240にインクが供給可能となる。
【0048】
次に、図8〜図12を参照しながら、本実施形態のインクカートリッジ1の内部構造について説明する。
図8は本実施形態のインクカートリッジ1のカートリッジ本体10を正面側から見た図であり、図9は本実施形態のインクカートリッジ1のカートリッジ本体10を背面側から見た図であり、図10の(a)は図8の簡略模式図であり、図10の(b)は図9の簡略模式図であり、図11は図8のA−A断面図である。また、図12は図8に示した流路の一部拡大斜視図である。
【0049】
本実施形態のインクカートリッジ1では、インクIが充填される主なインク収容室として、上下2つに分断された上部インク収容室370及び下部インク収容室390と、これらの上下のインク収容室に挟まれるように位置するバッファ室430とからなる3つのインク収容室が、カートリッジ本体10の正面側に形成されている(図10参照)。
また、カートリッジ本体10の背面側には、インクIの消費量に応じて、大気を最上流のインク収容室である上部インク収容室370に導入する大気連通路150が形成されている。
【0050】
インク収容室370,390及びバッファ室430は、リブ10aにより区分されている。そして、本実施形態の場合、これらの各インク収容室は、水平方向に延在して収容室の底壁となるリブ10aの一部に、下方に窪ませた形状の窪み374,394,434が形成されている。
【0051】
窪み374は、上部インク収容室370のリブ10aによる底壁375の一部を下方に窪ませたものである。窪み394は、下部インク収容室390のリブ10aによる底壁395と壁面の膨出部によりカートリッジ厚さ方向に窪ませたものである。窪み434は、バッファ室430のリブ10aによる底壁435の一部を下方に窪ませたものである。
【0052】
そして、各窪み374,394,434の底部又はその付近には、インク誘導路380、上流側インクエンドセンサ連絡流路400及びインク誘導路440に連通するインク排出口371,311,432が設けられている。
インク排出口371,432は、各インク収容室の壁面をカートリッジ本体10の厚さ方向に貫通した貫通孔である。また、インク排出口311は、底壁395を下方に貫通した貫通穴である。
【0053】
インク誘導路380は、一端が上部インク収容室370のインク排出口371に連通すると共に、他端が下部インク収容室390に設けられたインク流入口391に連通しており、上部インク収容室370のインクIを下部インク収容室390に誘導する連絡流路となっている。このインク誘導路380は、上部インク収容室370のインク排出口371から鉛直下方に延びた形態で設けられており、連絡流路内でのインクIの流れ方向が上から下への降下流となる降下型接続で一対の液体収容室370,390相互を接続している。
【0054】
インク誘導路420は、一端が下部インク収容室390の下流に位置する液体残量センサ31内のキャビティのインク排出口312に連通すると共に、他端がバッファ室430に設けられたインク流入口431に連通しており、下部インク収容室390のインクIをバッファ室430に誘導する。このインク誘導路420は、液体残量センサ31内のキャビティのインク排出口312から斜め上方に延びた形態で設けられており、連絡流路内でのインクIの流れ方向が下から上への上昇流となる上昇型接続で一対のインク収容室390,430相互を接続している。
即ち、本実施形態のカートリッジ本体10では、3個のインク収容室370,390,430相互は、降下型接続と、上昇型接続とを交互に繰り返す直列状に接続されている。
【0055】
インク誘導路440は、バッファ室430のインク排出口432から差圧弁40にインクを誘導するインク流路である。
本実施形態の場合、各インク収容室のインク流入口391,431は、いずれも、各インク収容室において、それぞれの収容室に設けられたインク排出口371,311よりも上方で、且つ各インク収容室の底壁375,395,435の近傍に設けられている。
【0056】
以下、まず主たるインク収容室である上部インク収容室370からインク供給部50に至るまでのインク誘導路を、図8〜図12を参照しながら説明する。
上部インク収容室370は、カートリッジ本体10内の最上流(最上位)のインク収容室であり、図8に示すように、カートリッジ本体10の正面側に形成されている。この上部インク収容室370は、インク収容室の約半分を占めるインク収容領域であり、カートリッジ本体10の略半分から上の部分に形成されている。
【0057】
上部インク収容室370の底壁375の窪み374には、インク誘導路380と連通するインク排出口371が開口している。このインク排出口371は、上部インク収容室370の底壁375よりも下がった位置にあり、上部インク収容室370内のインク液面Fが底壁375まで下がっても、その時のインク液面Fよりも下方に位置して、安定したインクIの導出を継続する。
【0058】
インク誘導路380は、図9に示すように、カートリッジ本体10の背面側に形成され上方からインクIを下方の下部インク収容室390に導く。
下部インク収容室390は、上部インク収容室370に貯留されているインクIが導入されるインク収容室で、図8に示すように、カートリッジ本体10の正面側に形成されるインク収容室の約半分を占めるインク収容領域であり、カートリッジ本体10の略半分から下の部分に形成されている。
【0059】
インク誘導路380と連通するインク流入口391は、下部インク収容室390の底壁395の下方に配置された連通流路に開口しており、該連通流路を介して上部インク収容室370からのインクIが流入する。
【0060】
下部インク収容室390は、底壁395を貫通したインク排出口311により上流側インクエンドセンサ連絡流路400に連通している。上流側インクエンドセンサ連絡流路400には、三次元的に形成された迷路流路が形成されており、この迷路流路にてインクエンド前に流入した気泡B等を捕捉して下流側に流れないように構成されている。
【0061】
上流側インクエンドセンサ連絡流路400は、貫通孔であるインク入り口部427を介して下流側インクエンドセンサ連絡流路410に連通しており、下流側インクエンドセンサ連絡流路410を介してインクIが液体残量センサ31に導かれる。
【0062】
液体残量センサ31に導かれたインクIは、液体残量センサ31内のキャビティ(流路)を通って、キャビティの出口であるインク排出口312からカートリッジ本体10の背面側に形成されたインク誘導路420に導かれる。
インク誘導路420は、液体残量センサ31から斜め上方にインクIを導くように形成されており、バッファ室430と連通するインク流入口431に接続されている。これにより、液体残量センサ31を出たインクIは、インク誘導路420を経てバッファ室430に導かれる。
【0063】
バッファ室430は、上部インク収容室370と下部インク収容室390との間にリブ10aにより区画形成された小部屋であり、差圧弁40の直前のインク貯留空間として形成されている。バッファ室430は、差圧弁40の裏側に対向するように形成されており、バッファ室430の窪み434に形成されたインク排出口432が連通したインク誘導路440を介して差圧弁40にインクIが流入する。
【0064】
差圧弁40に流入したインクIは、差圧弁40によって下流側に導かれ、貫通孔451を介して出口流路450に導かれる。出口流路450は、インク供給部50に連通しており、インク供給部50に差し込まれたインク供給針240を介してインクIがインクジェット式記録装置側に供給される。
【0065】
本実施形態の下流側インクエンドセンサ連絡流路(液体誘導路)410には、図13及び図14に示すように、液体残量センサ31が設けられたセンサ室へインクIを流入させるインク流入開口423の内周上部423aより鉛直方向上方に上端425aが配置された堰部425を設けている。本実施形態では、図14中の下流側インクエンドセンサ連絡流路410の右端に後述するインク入り口部427が形成され、左端にインク流入開口423が形成される。
【0066】
そこで、下流側インクエンドセンサ連絡通路410内のインクIは、インク入り口部427を上方へ流れた後、堰部425を越えて左端のインク流入開口423へと流れることとなる。下流側インクエンドセンサ連絡通路410を通過するインクIは、堰部425を通過した後、堰部425の上端425aより低い位置のインク流入開口423へと流れ込む。
したがって、堰部425を通過するインクIに気泡Bが混じる場合、気泡Bには、下流側インクエンドセンサ連絡通路410に充填されたインクIによってインク流入開口423への接近に抗する浮力が作用する。これにより、気泡Bは、インク流入開口423へ進入し難くなる。また、下流側インクエンドセンサ連絡通路410内のインクIが徐々に減少した場合には、液面が堰部425の上端425aから徐々に下降することとなる。したがって、残留液が下流側インクエンドセンサ連絡通路410に存在する状態で、先に液面がインク流入開口423に達することがない。
【0067】
インク流入開口423と堰部425との間における少なくとも一部の下流側インクエンドセンサ連絡通路410は、底面410aがインク流入開口423に向かって鉛直下方向に傾斜している。本実施形態では、底面410aとインク流入開口423との間に水平底面410bが形成されるが、水平底面410bが省略され、底面410aが直接インク流入開口423に連続してもよい。
【0068】
このような傾斜底面410aが設けられることで、下流側インクエンドセンサ連絡通路410のインクが徐々に減少し、液面が堰部425の上端425aから徐々に下降する場合、インク流入開口423から遠いインクIが徐々に傾斜底面410aに沿ってインク流入開口423の方向へと流れる。すなわち、インクIの掃けが良好となり、残留インクの全てが下流側インクエンドセンサ連絡通路410に取り残されることなく、インク流入開口423へと導かれるようになっている。
【0069】
ここで、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の底面410a上方には、インクIに対して毛管現象を生じさせる狭い流路429が形成されている。このような狭い流路429を形成することで、堰部425を越えたインクIが狭い流路429へと進入すると、液流に加え、毛管現象によってインクIがインク流入開口423側へと吸引され、滞りのない良好な液流が得られるようになっている。
また、下流側インクエンドセンサ連絡通路410のインクの終端(気液の境界)が、狭い流路429を通過する場合においても、毛管現象による吸引作用によって、終端のインクIが残留することなくインク流入開口423へと確実に導かれるようになっている。
【0070】
狭い流路429は、底面410a上方の下流側インクエンドセンサ連絡通路410に、隔壁片411を形成することで、2つの狭小流路429a,429bを形成してなる。即ち、狭い流路429は、複数の狭小流路429a,429bが並列して形成される。
狭い流路429を複数の狭小流路429a,429bによって構成することで、狭い流路429a,429b個々の毛管現象による吸引作用が確保されつつ、インクIの通過流路断面積が大きく確保されて、インクIの損失水頭を低減させている。また、同一流路断面積の下流側インクエンドセンサ連絡通路410を一つの断面形状で形成する場合に比べ、大きな気泡(或いは気液の境界)がインク流入開口423へ到達する確率を低減させている。
【0071】
本実施形態では、図15及び図16に示すように、狭い流路429のそれぞれの狭小流路429a,429bが、矩形断面形状に形成されている。
このように、矩形断面形状の長辺より短辺が十分に小さく設定されることで、流路が扁平となり、同一流路断面積の下流側インクエンドセンサ連絡通路410を円形状で形成した場合に比べ、インクI中の気泡Bの流れ込み防止効果を大きくしている。また、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の最上流側であるインク入り口部427は、図13及び図14に示すように、狭い流路429の矩形断面形状短辺より大きい直径の丸穴で形成されている。下流側インクエンドセンサ連絡通路410へ流入するインクIは、このインク入り口部427を上方へ流れた後、堰部425を越えて狭い流路429へと流れる。
【0072】
このように、下流側インクエンドセンサ連絡通路410のインク入り口部427が、狭い流路429の矩形断面形状短辺より大きい直径の丸穴となることで、仮に、矩形断面形状短辺と同等以下の直径を有する複数の気泡がインク入り口部427に流入した際、気泡同士を結合させ、最大、丸穴と同等の大きさまで成長させることが可能となり、狭い流路429に対しインクI中の気泡Bを通過し難くできる。換言すれば、矩形断面形状短辺と同一直径でインク入り口部427が形成された場合には、インク入り口部427を通過した全ての気泡Bが狭い流路429に進入してしまう。本構成では、気泡Bを通過し難い大きさに成長させることで、インクI中の気泡Bのインク流入開口423への進入を効果的に防止することが可能となっている。
【0073】
さらに、図15に示すように、狭い流路429を構成する狭小流路429aは、一つの内壁面が下流側インクエンドセンサ連絡通路410の内壁面である天面410fを兼ねている。又、狭い流路429を構成する狭小流路429bは、一つの内壁面が下流側インクエンドセンサ連絡通路410の内壁面である底面410aとなって、水平底面410bと連続している。
このように、狭い流路429を構成する狭小流路429a,429bにおけるそれぞれ一つの内壁面が、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の内壁面である天面410f又は底面410aを兼ねていることで、例えば図16(a)に示すように、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の天面410fに外周を接触させ、かつ狭小流路429aに進入できない直径を有したインクI中の気泡Bは、その中心が狭小流路429aの中心からずれることとなる。
すなわち、気泡Bは、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の天面410fに当接して拘束されることで、中心を通る対称軸に非対称な異形変形を強いられる。
【0074】
これに対し、例えば図16(b)に示すように、狭い流路429が一対の隔壁片411a,411bにより形成された狭小流路429cを有する場合、該狭小流路429c一つの内壁面が下流側インクエンドセンサ連絡通路410の天面410f又は底面410aを兼ねていない。
そこで、狭小流路429c進入できない直径を有したインクI中の気泡Bは、その中心が狭小流路429cの中心と一致し、中心を通る対称軸に対称な変形をする。
【0075】
従って、表面張力の作用により、図16(a)に示す異形変形の方が、図16(b)に示す対称変形に比べ、球体に戻ろうとする気泡Bの復元力が大きい。これにより、インクI中の気泡Bを、狭小流路429a内へ吸引し難くすることが可能となる。換言すれば、インクIのみを狭い流路429へ流入し易くすることができる。
【0076】
また、狭小流路429bの内壁面が、下流側インクエンドセンサ連絡通路410の底面410aとなって水平底面410bと連続していることで、図15に示すように、底面410aと内側壁410cとに挟まれて形成される隅部410dが、下流側インクエンドセンサ連絡通路410とインク流入開口423まで連続して延在することとなり、狭い流路429内のインクIを隅部410dで発生する毛管現象によって、インク流入開口423まで容易に吸い寄せることが可能となる。
【0077】
また、図14に示すように、下流側インクエンドセンサ連絡通路410には、上流側の天面410eより下流側の天面410fが鉛直下方向に配設された段部415が形成されている。この段部415が形成されることにより、堰部425の上方にはエアポケット部437が形成されることとなる。
インク入り口部427から流入したインクIは、下流側インクエンドセンサ連絡通路410をインク流入開口423へ向かって流れる際、段部415に捕捉される。これにより、インクI中に気泡Bが混入していた場合には、気泡BがインクIから分離され、分離された気泡Bは、浮力によって段部415の上方側の天面410eに溜まることとなる。また、この分離作用によって、本来なら狭い流路429を通過してしまう小径の気泡Bを、狭い流路429を通過できない大径の気泡Bへと成長させることも可能となり、液体残量センサ31へ気泡Bをより付着し難くしている。
【0078】
したがって、本実施形態によるインクカートリッジ1によれば、インク流入開口423の内周上部423aより鉛直方向上方に上端425aが配置された堰部425を設けたので、下流側インクエンドセンサ連絡通路410を通過するインクIは、堰部425を通過した後、堰部425の上端425aより低い位置のインク流入開口423へ流れ込む。
そこで、堰部425を通過するインクIに気泡Bが混じる場合、気泡Bには、下流側インクエンドセンサ連絡通路410に充填されたインクIによってインク流入開口423への接近に抗する浮力が作用し、気泡Bがインク流入開口423へ進入し難くなる。これにより、インク収容室370,390,430の液中に混入した気泡Bが液体残量センサ31に付着することによる誤検出を防止することができる。
【0079】
また、下流側インクエンドセンサ連絡通路410のインクIが徐々に減少した場合には、液面が堰部425の上端425aから徐々に下降することとなり、残留液が下流側インクエンドセンサ連絡通路410に存在する状態で先に液面がインク流入開口423に達することがない。これにより、インク収容室370,390,430のインク残量が実際と異なりゼロになったと誤検出することがない。
【0080】
次に、大気開放孔100から上部インク収容室370に至るまでの大気連通路150、図8〜図12を参照しながら説明する。
インクカートリッジ1内のインクIが消費されてインクカートリッジ1内部の圧力が低下すると、貯留しているインクIの減少分だけ大気開放孔100から大気(空気)が上部インク収容室370に流入する。
【0081】
大気開放孔100の内部に設けられた小穴102は、カートリッジ本体10の背面側に形成された蛇道310の一端に連通している。蛇道310は、大気開放孔100から上部インク収容室370までの距離を長くしインク中の水分の蒸発を抑制するように細長く形成された蛇行路である。蛇道310の他端は、気液分離フィルタ70に接続されている。
【0082】
気液分離フィルタ70を構成する気液分離室70aの底面には、貫通孔322が形成されており、貫通孔322を介してカートリッジ本体10の正面側に形成された空間320に連通している。
気液分離フィルタ70においては、貫通孔322と蛇道310の他端との間に気液分離膜71が配置される。気液分離膜71は撥水性および撥油性の高い繊維材料をメッシュ状に編みこんだもので形成される。
【0083】
空間320は、カートリッジ本体10の正面側からみて上部インク室370の右上方に形成されている。空間320には、貫通孔322の上部に貫通孔321が開口している。空間320は、この貫通孔321を介して背面側に形成された上部連結流路330に連通している。
【0084】
上部連結流路330は、インクカートリッジ1の最も上面側、すなわちインクカートリッジ1が取り付けられた状態における重力方向で最も上となる部分を通過するように、背面側から見て貫通孔321から長辺に沿って右方向に延びる流路部分333と、短辺近傍の折り返し部335で折り返して流路部分333よりもインクカートリッジ1の上面側を通って貫通孔321の近傍に形成された貫通孔341まで延びる流路部分337とを有している。なお、貫通孔341は、正面側に形成されたインクトラップ室340に連通している。
【0085】
ここで、背面側からこの上部連結流路330を見ると、折り返し部335から貫通孔341まで延びる流路部分337には、貫通孔341が形成された位置336と、位置336よりカートリッジ厚さ方向位置が深く掘り下げられた凹部332が設けられており、この凹部332を区切るようにリブ331が複数形成されている。また、貫通孔321から折り返し部335まで延びる流路部分333は、折り返し部335から貫通孔341まで延びる流路部分337よりも深さが浅く形成されている。
【0086】
本実施形態では、上部連結流路330を重力方向で最も上となる部分に形成しているので、基本的にはインクIが上部連結流路330を超えて大気開放孔100側に移動しないように構成されている。また、上部連結流路330は、毛細管現象等によりインクIの逆流が発生しない程度に幅広の太さを有するとともに、流路部分337には凹部332が形成されているので逆流してきたインクIを捕捉しやすく構成されている。
【0087】
インクトラップ室340は、正面側から見てカートリッジ本体10における右上方の隅の位置に形成された直方体形状の空間である。貫通孔341は、図12に示すように、正面側から見てインクトラップ室340の左上方奥側隅部近傍に開口している。また、インクトラップ室340の右下方手前側隅部には、仕切となるリブ10aの一部が切り欠かれた切り欠き部342が形成されており、この切り欠き部342を介して連絡バッファ室350に連通している。
【0088】
ここで、インクトラップ室340および連絡バッファ室350は、大気連通路150の途中の容積を拡張した形態の空気室であり、何らかの理由により上部インク収容室370からインクIが逆流した場合でも、このインクトラップ室340および連絡バッファ室350にインクIを留め、これ以上大気開放孔100側へなるべく流れ込まないように構成されたものである。具体的なインクトラップ室340および連絡バッファ室350の役割については後述する。
【0089】
連絡バッファ室350は、インクトラップ室340の下方に形成された空間である。連結バッファ室350の底面352には、インク注入時に空気抜きを行うための減圧孔110が設けられている。また、底面352近傍であってインクジェット式記録装置への装着時最も重力方向下方の部位には、厚さ方向側に貫通孔351が開口しており、この貫通孔351を介して背面側に形成された連絡流路360に連通している。
【0090】
連絡流路360は、背面側から見て中央上方側に延びており、上部インク収容室370の底壁近傍に開口した大気連通路150の下流端である貫通孔372を介して上部インク収容室370と連通している。すなわち、大気開放孔100から連絡流路360までが本実施形態の大気連通路150を構成している。連絡流路360は、メニスカスを形成し、インクIの逆流が発生しない程度の細さに形成されている。
【0091】
本実施形態のインクカートリッジ1の場合、図8にも示したように、カートリッジ本体10の正面側には、前述のインク収容室(上部インク収容室370、下部インク収容室390、バッファ室430)や、空気室(インクトラップ室340、連絡バッファ室350)や、インク誘導路(上流側インクエンドセンサ連絡流路400、下流側インクエンドセンサ連絡流路410)の他に、インクIが充填されない未充填室501が画成されている。
【0092】
未充填室501は、カートリッジ本体10の正面側で、ハッチングを施した左側面寄りの領域で、上部インク収容室370と下部インク収容室390とに挟まれるように区画形成されている。
そして、この未充填室501は、その内部領域の左上隅に、背面側に貫通した大気開放孔502が設けられ、該大気開放孔502により外気に連通している。
【0093】
この未充填室501は、インクカートリッジ1を減圧パック包装した時に、脱気用負圧を蓄圧した脱気室となる。そこで、使用前にはカートリッジ本体10内部の気圧が未充填室501と減圧パックの負圧吸引力により規定値以下に保たれ、溶存空気の少ないインクIを供給することができる。
【0094】
次に、以上に説明したインクカートリッジ1内のインクIが消尽された場合に、その使用済みのインクカートリッジ1にインクIを注入する方法の一実施形態を、図17に基づいて説明する。
【0095】
まず、本実施形態の注入方法で使用するインク再注入装置の構成について説明する。
インク再注入装置600は、図17に示すように、インクカートリッジ1に穿孔加工により開けた注入口601に接続されるインク注入手段610と、カートリッジ本体10のインク供給部50に接続される真空吸引手段620とから構成されている。
【0096】
インク注入手段610は、充填するインクIを貯留したインクタンク611と、このインクタンク611内のインクIを前記注入口601に接続された流路612に圧送するポンプ613と、このポンプ613と注入口601との間で流路612を開閉するバルブ614とを備えている。
【0097】
真空吸引手段620は、真空吸引に必要な負圧を発生する真空ポンプ621と、この真空ポンプ621の発生する負圧をインク供給部50に作用させる連絡流路622と、連絡流路622の途中に装備されて真空吸引によりカートリッジ本体10側から連絡流路622に流入してきたインクIを捕捉・回収して、インクミスト等から真空ポンプ621を保護するインクトラップ623と、このインクトラップ623とインク供給部50との間で連絡流路622を開閉するバルブ624とを備えている。
【0098】
本実施形態では、インクカートリッジ1の構造や機能を配慮し、上部インク収容室370に連通する注入口601を大気連通路150に形成する位置が、大気連通路150の一部を構成している連絡流路360の下流端に位置する貫通孔372と対向する位置付近とされる。
【0099】
そして、貫通孔372と対向する注入口601は、貫通孔372に一致するように、カートリッジ本体10の背面側を覆っている外表面フィルム60に孔を開けることで形成する。なお、該注入口601に挿入される流路612の先端部は、例えば、貫通孔372に押し当てると、貫通孔372の周囲の容器壁面に気密に密着して、流路612と貫通孔372とを気密な接続状態とするシールリング等が設けられている。
【0100】
なお、上部インク収容室370に連通する注入口601は、上部インク収容室370より上流に位置する大気連通路150に形成すれば良く、注入口601の形成位置は上記実施形態に限らない。
例えば、大気連通路150の一部を構成している連絡流路360に一致するように、外表面フィルム60に孔を開けたり、外表面フィルム60を剥がしたりすることで注入口601を形成することができる。また、気液分離フィルタ70を構成する気液分離室70aに開口する貫通孔322に一致するように、外表面フィルム60及び気液分離膜71を剥がして注入口601を形成することもできる。
【0101】
更に、インクカートリッジ1から蓋部材20を取り外して、カートリッジ本体10の正面側を覆うフィルム80を露出させ、大気連通路150の一部を構成している連絡流路360の上端に位置する貫通孔351に一致するように、フィルム80に孔を開けることで形成することもできる。
【0102】
本実施形態では、先ず、上部インク収容室370に連通する注入口601を大気連通路150に形成する注入口形成工程と、インク供給部50から内部に残留するインク及び残留気体を真空吸引手段620により吸引除去する真空吸引工程と、注入口601からインク注入手段610により所定量のインクを注入する液体注入工程と、液体注入工程の終了後に注入口601を封止する封止工程と、を順に実施することで、使用済みのインクカートリッジ1を、再び使用可能なインクカートリッジ(液体収容容器)として復活させる。
封止工程は、具体的には注入口601を封止フィルムの接着,溶着、栓等で気密に塞ぐ処理工程である。
【0103】
以上に説明した本実施形態のインクカートリッジのインク注入方法では、インクIの注入のためにインクカートリッジ1に実施する加工は、上部インク収容室370に連通するように、インクIを注入するための注入口601を外表面フィルム60に開口させることと、インクIの注入後に、注入口601を封止する加工であり、いずれも簡単な加工となる。従って加工コストが安価で済み、また、手間もかからない。
【0104】
そして、本実施形態では、インク供給部50から内部に残留するインク及び残留気体を吸引除去する真空吸引工程を備えているため、注入口601から所定量のインクIを注入する液体注入工程は、カートリッジ本体10の各インク誘導路380,420,440や各インク収容室を減圧環境に管理して、注入したインクIを、インク収容室370,390,430だけでなく、インク供給部50に至るすべてのインク誘導路の隅々まで、効率よく充填できる。
【0105】
また、インクIの注入時に混入する気泡も、真空吸引によりインク供給部50から外部に排除したり、あるいは真空吸引により形成する容器内の減圧環境により、流入した気泡を液中に溶解・消滅させたりすることができる。
更に、インクの充填時に堰部425を通過するインクIに混入した気泡Bには、上述したように下流側インクエンドセンサ連絡通路410に注入されたインクIによってインク流入開口423への接近に抗する浮力が作用し、気泡Bがインク流入開口423へ進入し難くなる。従って、インク注入時にインク収容室370,390,430のインク中に混入した気泡Bが、液体残量センサ31に付着することによる誤検出を防止することができる。
【0106】
そして、このようなインク注入方法により再生した再生インクカートリッジを提供すれば、インクカートリッジの容器としての製品寿命が延びるため、資源の節約、環境汚染の防止に貢献することができる。また、再生に要するコストが低く、安価に提供できるため、インクジェット式記録装置の運用コストの低下にも貢献する。
【0107】
なお、上述した本実施形態のインクカートリッジのインク注入方法において、真空吸引工程と液体充填工程との間に、注入口601からカートリッジ本体10内に洗浄液を注入して、容器内部で凝固したインクの洗浄・除去を行うようにしても良い。また、真空吸引工程と液体充填工程とは、明確に処理順を設定する必要はない。例えば、真空吸引工程を実施しながら、並行して液体充填工程を実施することもできる。
【0108】
また、本実施形態のインク注入方法を実施する際に使用するインク再注入装置600は、具体的には入手が容易な器具を代用することもできる。
例えば、インク注入手段610の場合、注射器の用にシリンダとピストンで構成される注入器を代用したり、変形可能なペットボトルに補充インクを収容した補充ボトルを代用したりすることもできる。
【0109】
なお、本発明に係る液体収容容器における容器本体、液体収容部、液体供給部、液体誘導路、大気連通路、液体検出部及び堰部等の構成は、上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【0110】
また、本発明の液体収容容器の用途は、上述したインクジェット記録装置のインクカートリッジに限らない。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。
液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロデスペンサ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明に係る液体収容容器の一実施の形態としてのインクカートリッジの外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジを図1とは逆の角度からみた外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジの分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジを図3とは逆の角度からみた分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジをインクジェット式記録装置のキャリッジに取り付けた状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジのキャリッジへの取付直前の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジのキャリッジへの取付直後の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジのカートリッジ本体を正面側から見た図である。
【図9】本発明の一実施形態としてのインクカートリッジのカートリッジ本体を背面側から見た図である。
【図10】(a)は図8の簡略模式図、(b)は図9の簡略模式図である。
【図11】図8のA−A断面図である。
【図12】図8に示したカートリッジ本体内の流路構造の一部を示す拡大斜視図である
【図13】図8の要部拡大斜視図である。
【図14】図13に示した液体誘導路の要部拡大断面図である。
【図15】図14のV−V線における断面斜視図である。
【図16】気泡の中心が狭い流路の中心からずれる異形変形を(a)、対称変形を(b)に表した作用説明図である。
【図17】本発明に係る液体収容容器の液体注入方法を実施するインク再注入装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0112】
1…インクカートリッジ(液体収容容器)、10…カートリッジ本体(容器本体)、20…蓋部材、30…インクエンドセンサ、31…液体残量センサ(液体検出部)、40…差圧弁、50…インク供給部(液体供給部)、70…気液分離フィルタ、80…フィルム、100…大気開放孔、150…大気連通路、200…キャリッジ、330…上部連結流路、340…インクトラップ室(空気室)、350…連結バッファ室(空気室)、370…上部インク収容室(液体収容室)、371,311,432…インク排出口(液体排出口)、374,394,434…窪み、375,395,435…液体収容室の底壁、380…インク誘導路(液体誘導路)、390…下部インク収容室(液体収容室)、391,431…インク流入口(液体流入口)、400…上流側インクエンドセンサ連絡流路(液体誘導路)、410…下流側インクエンドセンサ連絡流路(液体誘導路)、410a…底面、410c…内側壁、410f…天面、411…隔壁片、415…段部、420…インク誘導路(液体誘導路)、423…インク流入開口(液体流入開口)、423a…内周上部、425…堰部、425a…上端、427…インク入り口部(入り口部)、429…狭い流路、429a,429b…狭小流路、430…バッファ室(液体収容室)、501…未充填室(脱気室)、B…気泡、I…インク(液体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体消費装置に着脱可能な容器本体内に、液体収容部と、前記液体消費装置に接続される液体供給部と、前記液体収容部に貯留した液体を前記液体供給部に誘導する液体誘導路と、前記液体収容部内の液体の消費に伴って外部から大気を前記液体収容部内に導入する大気連通路と、前記液体誘導路の途中に設けられ、当該液体誘導路への気体の流入を検知することで前記液体収容部の液体が消尽されたことを検出する液体検出部と、前記液体誘導路に設けられ、前記液体検出部へ液体を流入させる液体流入開口の内周上部より鉛直方向上方に上端が配置された堰部と、を備える大気開放タイプの液体収容容器に液体を注入する方法であって、
前記液体収容部に連通する注入口を前記大気連通路に形成する工程と、
前記注入口から所定量の液体を注入する工程と、
前記液体を注入する工程の終了後に前記注入口を封止する工程と、
を含む液体収容容器の液体注入方法。
【請求項2】
液体消費装置に着脱可能な容器本体内に、液体収容部と、前記液体消費装置に接続される液体供給部と、前記液体収容部に貯留した液体を前記液体供給部に誘導する液体誘導路と、前記液体収容部内の液体の消費に伴って外部から大気を前記液体収容部内に導入する大気連通路と、前記液体誘導路の途中に設けられ、当該液体誘導路への気体の流入を検知することで前記液体収容部の液体が消尽されたことを検出する液体検出部と、前記液体誘導路に設けられ、前記液体検出部へ液体を流入させる液体流入開口の内周上部より鉛直方向上方に上端が配置された堰部と、を備える大気開放タイプの液体収容容器に対し、
前記液体収容部に連通する注入口を前記大気連通路に形成し、前記注入口から所定量の液体を注入し、前記液体を注入した後に前記注入口を封止して成る液体収容容器。
【請求項3】
前記液体流入開口と前記堰部との間における少なくとも一部の前記液体誘導路の底面が、前記液体流入開口に向かって鉛直下方向に傾斜することを特徴とする請求項2に記載の液体収容容器。
【請求項4】
前記液体誘導路には、前記液体に対して毛管現象を生じさせる狭い流路が形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体収容容器。
【請求項5】
複数の前記狭い流路が、並列して形成されることを特徴とする請求項4に記載の液体収容容器。
【請求項6】
前記狭い流路が、矩形断面形状に形成されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液体収容容器。
【請求項7】
前記液体誘導路の最上流側である入り口部が、前記狭い流路の矩形断面形状短辺より大きい直径の丸穴であることを特徴とする請求項6に記載の液体収容容器。
【請求項8】
前記狭い流路における少なくとも一つの内壁面が、前記液体誘導路の内壁面を兼ねることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体収容容器。
【請求項9】
前記液体誘導路には、上流側より下流側の天面が鉛直下方向に配設された段部が設けられることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか1項記載の液体収容容器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2008−44192(P2008−44192A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220759(P2006−220759)
【出願日】平成18年8月12日(2006.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】