説明

液体洗浄剤組成物

【課題】蛍光増白剤のスポッティングを抑制し、衣類全体の染着性を向上できる液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(a)下記一般式(I)で示される化合物を(a)成分中6〜11質量%含有する非イオン界面活性剤 10〜50質量%
R−O(AO)H (I)[式中、Rは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0,1及び2から選ばれる数である]
、(b)陰イオン界面活性剤、(c)蛍光増白剤0.01〜5質量%を含有し、(b)陰イオン界面活性剤の含有量/(a)非イオン界面活性剤の含有量=0.1〜0.5である液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用に適した液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光増白剤は、木綿等の衣類の白さを増長させるのに有効であり、これを液体洗剤に使用することは知られている。
【0003】
液体洗剤を使用する場合は、ひどい汚れに直接塗布するといった使用方法が一般に知られているが、蛍光増白剤を含む液体洗剤の場合この使用方法では、塗布した部分に蛍光増白剤が沈着し、洗濯後も局在化する現象(スポッティング)が起こることが課題となっていた。また、このような場合には、衣類に色むらが生じるばかりでなく、局在化した蛍光増白剤が全体に広がらないため、衣類全体の蛍光増白効果も低下してしまう。
【0004】
スポッティングを抑制する方法としては、ノニオン界面活性剤(平均付加モル数5モル以上)を多く配合することが有効であるが、衣類全体の染着性が低下する課題がある。また、アニオン界面活性剤を配合すると、衣類全体への染着性は向上するが、スポッティングが悪化するという課題があった。
【0005】
特許文献1には、蛍光増白剤とカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の組み合わせでスポッティングを抑制する技術が示されているが、衣類全体の染着性向上にはまだ改善の余地がある。特許文献2には、特定の蛍光増白剤を配合する液体洗剤が示されているが、スポッティング抑制効果、染着性は十分ではない。また、特許文献3には、特定の蛍光増白剤、特定の重合体、高分散ケイ酸を配合する液体洗剤が示されているが、スポッティング抑制効果、染着性は十分ではない。
【0006】
このように従来は、液体洗剤系においては、蛍光増白剤のスポッティングを抑制しながら、かつ衣類全体の染着性が高いレベルまで向上されたものはなかった。特許文献4には、炭素数12〜20のアルコールなどをエトキシ化して得られる、エトキシ化数が異なる2種の非イオン界面活性剤及び蛍光増白剤を含有する泡沫性が調整された液体洗浄剤が記載されている。特許文献5には、低酸化エチレン(以下EOと称する)付加モル数の非イオン界面活性剤と、高EO付加モル数ノニオンを併用する液体洗浄剤であって、低EO付加モル数の分布範囲が狭いことを特徴とする洗浄性と臭気のない液体洗浄剤が記載されており、任意の成分として蛍光剤が開示されている。何れの場合も本発明の課題について触れるものはなかった。
【特許文献1】特開2001−254100号公報
【特許文献2】特開平2−20600号公報
【特許文献3】特開平2−73900号公報
【特許文献4】特開昭50−22811号公報
【特許文献5】特開2000−355700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、蛍光増白剤のスポッティングを抑制しながら、衣類全体の染着性をより向上させることができる液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(1)下記(a)〜(c)成分を含有する液体洗浄剤組成物を提供する。
【0009】
(a)下記一般式(I)で示される化合物を(a)成分中6〜11質量%含有する非イオン界面活性剤 10〜50質量%
R−O(AO)H (I)
[式中、Rは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0,1及び2から選ばれる数である]
(b)陰イオン界面活性剤
(c)蛍光増白剤 0.01〜5質量%
を含有し、(b)陰イオン界面活性剤の含有量/(a)非イオン界面活性剤の含有量=0.1〜0.5である液体洗浄剤組成物。
【0010】
更に本発明は、(2)前記(a)成分が、炭素数8〜22の高級アルコールにアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加して得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと一般式(I)で示される化合物を含有する非イオン界面活性剤であって、該非イオン界面活性剤のアルキレンオキシドの付加モル数分布のピーク値が7〜20の間にある非イオン界面活性剤である、前記(1)記載の液体洗剤組成物もまた提供する。
【0011】
更に本発明は、(3)(a)成分が(a−1)アルキル基の炭素数が8〜22であるアルコールに対して、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均7〜20モル付加することによって得られるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤と(a−2)アルキル基の炭素数が8〜22のアルコールに対して、炭素数が2〜4のアルキレンオキシドを平均1〜4モル付加することによって得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなり、一般式(I)で示される化合物を(a)成分中の6〜11質量%含有し、アルキレンオキシドの付加モル数をピーク値が少なくとも7〜20にある非イオン界面活性剤である、前記(1)記載の液体洗浄剤組成物もまた提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体洗剤組成物は、蛍光増白剤のスポッティングを抑制しながら、衣類全体の染着性をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、主基材である非イオン界面活性剤である、一般に衣料用の洗浄基材として用いることが知られているものを使用することができるが、下記一般式(I)で示される化合物を(a)成分中に6〜15質量%含有するものである。
【0014】
R−O(AO)H (I)
[式中、Rは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0,1及び2から選ばれる数である]
【0015】
一般式(I)の化合物は、後述する(a−1)成分や(a−2)成分の一部として配合してもよく、別途製造して特定の非イオン界面活性剤に添加して用いてもよい。
本発明者らは、一般式(I)で示される化合物を含有する非イオン界面活性剤を用いることで、酵素の安定性に影響することなく、優れた洗浄力を発揮することを見出し本発明を完成するに至った。
【0016】
一般式(I)における化合物のRは炭化水素基であるが、本発明では、炭素数が8〜22、好ましくは10〜18のアルキル基である。またAOは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基が好ましい。本発明では、特にAOで示されるオキシアルキレン基の数とその濃度が重要である。
【0017】
(a)成分中の一般式(I)の化合物の含有量は、洗浄力の点から非イオン界面活性剤中の6質量%以上、好ましくは7質量%であり、液体洗浄剤の相安定性のために11質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
【0018】
一般式(I)においてn=0の化合物は高級アルコールであるが、本発明では“付加モル数が0”という表現をする場合もある。これは反応工程における未反応のアルコールを考慮しているが、本発明では別途添加したものであってもよい。しかしながら、アルコールは臭いや液相の安定性に影響するため、好ましくは一般式(I)の化合物はn=1及び/又は2の化合物と伴に、より好ましくはn=1及び2の化合物と伴に配合する。
【0019】
なお、一般式(I)の化合物は、公知の製法によって製造することができるが、後述する(a−2)成分として配合することが好ましい。一般式(I)の化合物はガスクロマトグラフ法によって分析される。
【0020】
(a)成分に含まれる一般式(I)以外の非イオン界面活性剤としては、炭素数が8〜22のアルキル基である疎水性基と、ヒドロキシ基及びポリオキシエチレン基から選ばれる1種以上の親水性基とを有する化合物であり、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ポリグリセリンモノアルキルエーテル等を挙げることができる。本発明では、特に下記に(a−1)成分として示すポリオキシアルキレンアルキルエーテル型の非イオン界面活性剤が好ましい。
【0021】
(a−1)成分は、アルキル基の炭素数が8〜22であるアルコールに対して、炭素数2〜4のアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを平均7〜20モル、より好ましくは7〜18モル、最も好ましくは8〜15モル付加することによって得られるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤である。但し、ブチレンオキシド及びプロピレンオキシド、特にはプロピレンオキシドは疎水性を付与することになるため得られた非イオン界面活性剤の平均付加モル数は3以下であり、且つ親水性基のエチンオキシドの平均付加モルよりも少ない数であることが好ましい。
【0022】
高級アルコールのアルキル基の炭素数は、安定性、洗浄性能の観点から10〜18が好ましく、12〜16がより好ましい。高級アルコールは天然又は合成のいずれであってもよく、(a−1)成分のアルキル基は1級アルコール由来が好ましい。またアルキル基の平均炭素数はあって、平均炭素数10〜18が好ましく、10〜16がより好ましく、12〜14が最も好ましい。アルキレンオキシドの平均付加モル数は、一般式(I)の化合物との相溶解性及び洗浄力の観点から7〜18が好ましく、8〜15がより好ましい。
【0023】
(a−1)成分は、前記炭素数を有するアルコールの1モルに、特定範囲のアルキレンオキシドを付加することによって得られたものであり、従って、(a−1)成分は、特定のアルキレンオキシド付加モル数(以下AO付加モル数という場合がある)、特にエチレンオキシドの場合は、製造工程で使用したアルキレンオキシドのアルコール1モルに対して添加したエチレンオキシドのモル数の前後を頂点とする、AO付加モル数の分布を持った混合物となる。すなわちアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(及びプロピレンオキシド)の付加モル数を横軸にとり、縦軸に(a−1)成分中の付加モル数別の化合物の質量%をプロットしたグラフによって示される分布において、本発明では最も含有率の高い化合物のAO付加モル数(以下、ピーク値という場合がある)が、7〜20の間、更には7〜18の間、特には8〜15の間にある混合物が好ましい。
【0024】
(a−1)成分はアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの平均付加モル数が7以上の化合物(但しプロピレンオキシドの平均付加モル数は3モル以下)であるが、一般式(I)で示される付加モル数が0、1及び2の化合物を少量含有する。しかしながら、一般的な方法でアルコールにエチレンオキシドを付加させた場合、未反応のアルコールや低アルキレンオキシド付加モル数の化合物の、(a−1)成分中に占める割合は非常に少なく、(a−1)成分のみでは、本発明の条件を満たすことは難しい。
【0025】
しかも、低アルキレン付加モル数の化合物は、前記したように臭いの問題や相分離の原因になるため好ましくない物質と考えられており、市販の非イオン界面活性剤の中には未反応アルコールを蒸留することで除去したり、低付加モル数の化合物を含有しないように、製造工程で特別な触媒を用いることで、アルキレンオキシド付加モル数の分布域の狭い非イオン界面活性剤が提案されているほどである。
【0026】
本発明の(a)成分は、(a−1)成分に一般式(I)の化合物を配合することで、洗浄力と低AO付加ノニオン特有の安定性を損なうことがなくなる。この場合、(a)成分は、単純に次のように表現される。すなわち(a)炭素数8〜22の高級アルコールに、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加して得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、一般式(I)で示される化合物とを含有する非イオン界面活性剤であって、該非イオン界面活性剤のアルキレンオキシドの付加モル数のピーク値が7〜20、好ましくは7〜18、より好ましくは8〜15の間にある非イオン界面活性剤、である。なお、本発明において(a−1)成分は複数の平均付加モル数のものを併用してもよい。ピーク値は該特定範囲に複数あってもよいし、一部は範囲外にあってもよいが、アルキレンオキシドの付加モル数分布において、最も大きい山の盛り上がりが該範囲の一部に入っていることが好ましい。
【0027】
以上より、(a)成分は(a−1)成分と一般式(I)の化合物からなる非イオン界面活性剤であるが、本発明では一般式(I)の化合物を下記(a−2)成分として配合することが、安定性や使用勝手及び臭いなどの点から特に好ましい。
【0028】
すなわち(a−2)成分は、アルキル基の炭素数が8〜22のアルコールに対して、炭素数が2〜4のアルキレンオキシドを平均1〜4モル、好ましくはエチレンオキシド及び/又はエチレンオキシドを平均1〜4モル付加することによって得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤である。
【0029】
アルキル基の炭素数は安定性の観点から8〜18が好ましく、8〜16が好ましい。原料アルコールとして異なる炭素数のアルコールが混在したものを用いる場合、(a−1)成分のアルキル基の平均炭素数は8〜18であり、8〜16が好ましい。
【0030】
また(a−2)成分は安定性の点からアルキル基は直鎖2級アルキル基であることが好ましい。
【0031】
アルキレンオキシドの平均付加モル数は1〜4、好ましくは2〜4であり、平均付加モル数が前記範囲内であると、酵素の安定化効果が高く、洗浄力に優れる。また(a−2)成分のアルキレンオキシドは、エチレンオキシドのみ、或いはエチレンオキシドとプロピレンオキシドの両方を有するものが好ましく、その場合プロピレンオキシドは平均2モル以下、好ましくは平均1モル以下である。
【0032】
本発明の(a−2)成分は、アルコール1モルに対してアルキレンオキシド、特にはエチレンオキシドを1〜4モルの割合で付加させて得られた化合物(但し、エチレンオキシドの2モル以下はプロピレンオキシドに置き換えてもよい)が好ましく、それらはアルキレンオキシドの付加モル数の異なる化合物の混合物となり、特にアルキレンオキシド付加モル数が0〜10のものが80質量%以上を占める混合物であることが好ましい。もし未反応アルコール含有量が多く、臭いの問題や液相安定性に影響がある場合は、蒸留操作等により未反応のアルコールを低減したものを用いてもよい。(a−2)成分はエチレンオキシド(及びプロピレンオキシド)付加モルを横軸にとり、縦軸に(a−2)成分中の付加モル数別の化合物の質量%をプロットしたグラフによって示される分布において、本発明では、最も多く含まれる化合物の付加モル数(前記同様ピーク値という場合がある)が0〜4モル、特に1〜4モルの間にあるものが好ましい。なおエチレンオキシドを1モル付加させたものは、未反応アルコールが(a−2)成分中、最も多い化合物となる。なお(a−2)成分は2種以上を混合したものを用いてかまわない。
【0033】
(a−2)成分が(a−1)成分と伴にポリオキシアルキレンアルキルエーテルの場合は、異なる2つのアルキレンオキシド付加モル数分布を有する非イオン界面活性剤が混合されることになる。従って(a)成分を構成している個々の化合物のアルキレンオキシド付加モル数分布において、一般に製造したものよりも広域に広がる。2つの分布は重なる場合もあるが、混合物のアルキレンオキシドの付加モル数分布を示したグラフにおいて、(a−1)成分の低AO付加モル数付近の稜線の一部、具体的には前記(a−2)のピーク値範囲に、少しの盛り上がり乃至ピーク部を有する分布が好ましく、特に(a−1)成分及び(a−2)成分の2箇所のピークを示すような分布の混合物であることが好ましい。
【0034】
従って、本発明の好ましい(a)成分は下記のようにも表現することができる。すなわち(a)成分が(a−1)アルキル基の炭素数が8〜22であるアルコールに対して、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均7〜20モル付加することによって得られるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤と(a−2)アルキル基の炭素数が8〜22のアルコールに対して、アルキレン基の炭素数が2〜4を平均1〜4モル付加することによって得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤からなり、一般式(I)で示される化合物を(a)成分中の6〜11質量%含有し、アルキレンオキシドの付加モル数をピーク値が少なくとも7〜20にある非イオン界面活性剤、である。なおピーク値が2つ見られる場合の他方は、0〜4である。
【0035】
(a)成分は、10〜50質量%、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%であって、(a−1)成分と(a−2)成分の配合比(質量比)である(a−2)/(a−1)は0.05〜0.4であり、好ましくは0.1〜0.25である。前記比率が下限値以上であるとスポッティング抑制効果が高く、上限値以下であると衣類全体への染着性が良い。
【0036】
<(b)成分>
(b)成分の陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸又はその塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、又はα-スルホ脂肪酸エステル類である。中でも、アルキル基の炭素数が10〜20のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、脂肪酸若しくはその塩類が好ましい。特に、ドラム洗濯機での洗浄性能の点で、脂肪酸若しくはその塩類、特に炭素数8〜14の脂肪酸若しくはその塩が好ましい。
【0037】
陰イオン界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属以外に、マグネシウム等のアルカリ土類金属及び/又はモノ、ジ、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられ、特にアルカノールアミンを用いることで液安定性が向上する。また、陰イオン界面活性剤を酸形態で組成中に配合してもよく、別途添加したアルカリ剤(アルカノールアミン等)で中和してもよい。
【0038】
(a)成分と(b)成分は、(b)成分の含有量/(a)成分の含有量=0.1〜0.5の比率で含有しており、前記比率は0.15〜0.4が好ましい。前記比率が0.1以上であると衣類全体への染着性が良く、0.5以下であるとスポッティング抑制効果が高い。なお、これら濃度の規定は(b)成分を酸型とみなした時の濃度である。
【0039】
<(c)成分>
(c)成分の蛍光増白剤としては、スルホン酸基又はその塩を有する蛍光増白剤が好ましく、特に好ましくはビフェニル型蛍光増白剤及び/又はスチルベン型蛍光増白剤を用いる。
【0040】
ビフェニル型蛍光増白剤としては4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム)や4,4’−ビス(2−スルホ−4クロロスチリル)ビフェニルジアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム)を挙げることができ、特に4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウムが増白効果の点で好ましい。スチルベン型蛍光増白剤としては一般式(1)の化合物(Mはナトリウム)が特に好ましい。
【0041】
【化1】

【0042】
(c)成分の組成物中の含有割合は0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜0.2質量%である。0.01質量%以上であると蛍光増白効果が良く、5質量%以下であると配合安定性が良い。
【0043】
<その他の成分>
本発明の組成物には、キレート剤を配合することが好ましい。キレート剤としては、例えば、
ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、
ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、
ポリアクリル酸又はその塩、ポリマレイン酸又はその塩、カルボキシメチルセルロース又はその塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体又はその塩、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体又はその塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体又はその塩、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体又はその塩、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体又はその塩等のカルボン酸系ポリマー、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー、
アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属又は低級アミン塩等が挙げられる。
【0044】
キレート剤の組成物中の配合割合は酸型とみなした場合に0.1〜5質量%であり、好ましくは0.3〜4質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
【0045】
本発明の液体洗剤組成物には、アルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等の他に、液体洗剤では一般的なアルカノールの炭素数が2〜4で、1〜3つのアルカノール基を有するアルカノールアミンを挙げることができる。このうちアルカノールは、ヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は、水素原子、メチル基又はエチル基である。本発明ではモノエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましく、特にモノエタノールアミンが好ましい。
【0046】
アルカリ剤は後述するpH調整剤として用いることができる。また前記した(b)成分、(c)成分及び(g)成分の対塩として配合してもよいが、アルカリ剤は、組成物の25℃のpHがアルカリ性を示すことでその存在を判断することができる。
【0047】
本発明では、アルカノールアミンを、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%含有する。
【0048】
本発明の組成物には、従来から液体洗剤に配合することが知られている成分を配合することができる。例えば、ば減粘剤や可溶化剤として、いわゆる溶剤に分類される、エタノール及びプロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類、分子量200以上〜数千位の低分子量のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル(フェノキシエタノールや、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル[EO平均付加モル数0〜5])等;溶剤以外の相調整剤として、いわゆるハイドロトロープ剤としてパラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)並びに尿素等;再汚染防止剤や分散剤としての、ポリアクリル酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等のカルボン酸基を有する高分子重合体等;色移り防止剤としてポリビニルピロリドン等;蛍光染料としてのチノパールCBS(チバスペシャルティケミカルス社製)、ホワイテックスSA(住友化学社製)等;柔軟性付与を目的としたシリコーン、陽イオン界面活性剤;消泡剤としてのシリカ、シリコーン;プロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ及びリパーゼ等の酵素;塩化カルシウム等の酵素安定化剤;酸化防止剤としてのブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等;着色剤;香料;抗菌防腐剤等が挙げられる。
【0049】
本発明の組成物は、上記各成分と共に水を配合する。水は、全体を100質量%とする調整量である。
【0050】
本発明の組成物のpH(JIS Z 8802の7.2)は、6.0〜11.0(25℃)が好ましい。pHは、公知のアルカリ又は酸で調整する。
【実施例】
【0051】
表1、表2に示す各成分を混合して、実施例及び比較例の組成物を得た。得られた各組成物を用い、下記の各評価を行った。結果を表1、表2に示す。pHは水酸化ナトリウム水溶液及び塩酸水溶液で調製した。
【0052】
〔蛍光増白剤のスポッティング抑制効果と染着性の評価〕
8cm×8cmの蛍光増白剤未染着の木綿布(金巾#2003)を10枚用意し、このうち5枚に対して、0.3g/枚ずつ表1に示す各洗浄剤組成物をスポイドにて布の真中に滴下することで塗布した。5分放置したのち、洗浄剤を塗布した5枚の木綿布と未塗布の5枚の木綿布との合計10枚を一緒にして、ターゴトメータにて洗浄を行った(水1L、硬度71.2mgCaCO3、水温20℃、100r/min、10分)。その後、木綿布10枚は水道水で5分間流水すすぎを行い、脱水後室内で自然乾燥させた。そして洗浄剤組成物を直接塗布した布5枚と未塗布の布5枚について、それぞれのIF値を測定した。下記に示す式よりスポッティング抑制指数を測定した。なお、染着性指数は未塗布5枚のIF値の平均値である。
【0053】
スポッティング抑制指数
=[塗布した布5枚のIF値の平均]−[未塗布の布5枚のIF値の平均]
IF値の測定は、分光色彩・白度計 PF−10(日本電色工業株式会社製)を用いて行った。IF値は、該装置の紫外線カットフィルターを通す場合(UV−IN側)と通さない場合(UV−OUT側)に得られるISO白色度の差である。ISO白色度は、ISO Brightness(ISO2470:1999)に記載されているものであり、前記測定装置を用いて測定することができる。
【0054】
IF値を測定し、スポッティング抑制指数を求めることによって、洗浄工程で液体洗浄剤組成物を塗布した木綿布から未塗布の木綿布への蛍光染料の染着の程度を調べることができ、スポティング抑制効果を確認することができる。スポッティング抑制指数が1.5以下、且つ染着性指数は5以上の結果を示す組成物が衣料用洗浄剤として好ましいことになる。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
(a)成分(注)
(a−1)成分
(a-1-1):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均10モル付加させたものであって、ピーク値が11である非イオン界面活性剤
(a-1-2):炭素数12〜14の2級アルコールにEOを平均7モル付加させたもの未反応アルコールを含有せず、ピーク値が7である非イオン界面活性剤(ソフタノール70;(株)日本触媒製)
(a-1-3):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均7モル、POを平均2モル、EOを平均3モルの順にブロック付加させたものであって、EO及びPO合計の付加モル数のうちピーク値が12の非イオン界面活性剤
(a-1-4):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均10モル、POを平均1モルの順にブロック付加させたものであって、EO及びPO合計の付加モル数のうちピーク値が12である非イオン界面活性剤
(a−2)成分
(a-2-1):炭素数12〜14の2級アルコールにEOを平均3モル付加させたものであって、未反応アルコールを含有せず、ピーク値が3である非イオン界面活性剤(ソフタノール33;(株)日本触媒製)
(a-2-2):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均1モル付加させたものであって、ピーク値が0である非イオン界面活性剤。
(a-2-3):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均4モル付加させたものであって、ピーク値が3の非イオン界面活性剤。
(a-2-4):ラウリルアルコールにPOを平均1モル付加させたものであって、ピーク値が1の非イオン界面活性剤。
【0058】
(a-2-5):炭素数12の2級アルコールアルコールにEOを平均1モル、POを平均1モル付加させたものであって、ピーク値が1の非イオン界面活性剤
注:一般式(I)で示される割合は表1及び2に示した。また表1及び表2の組成物中、(a)成分の非イオン界面活性剤におけるAO付加モル数分布のピーク値は、最も配合量の多い成分のピーク値と同一になった。
(b)成分
(b-1):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(炭素数10〜14の直鎖アルキル、EO平均付加モル数3、ナトリウム塩)
(b-2):炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(b-3):脂肪酸 ルナックL−55(花王株式会社製)
(c)成分
(c-1):チノパールCBS−X;蛍光染料、ジスチリルビフェニル系化合物(チバスペシャルティケミカルス社製)
(c-2):チノパールAMS−GX;蛍光染料、ビス−(トリアジニルアミノ)−スチルベン−ジスルホン酸系化合物(チバスペシャルティケミカルス社製)
(その他の成分)
ポリマー(1):特開平10-60476号公報の4頁段落0020の合成例1の方法で合成した高分子化合物
ポリマー(2):ポリエチレングリコール(平均分子量2000)
酵素:エバラーゼ16.0L−EX(プロテアーゼ、ノボザイム社)
色素(1):カヤシオンターキスENA
色素(2):緑色202号
pH調整剤;塩酸水溶液、或いは水酸化ナトリウム(原液pHを調整するため配合した。)水溶液である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(c)成分を含有する液体洗浄剤組成物。
(a)下記一般式(I)で示される化合物を(a)成分中6〜11質量%含有する非イオン界面活性剤 10〜50質量%
R−O(AO)H (I)
[式中、Rは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは0,1及び2から選ばれる数である]
(b)陰イオン界面活性剤
(c)蛍光増白剤 0.01〜5質量%
を含有し、(b)陰イオン界面活性剤の含有量/(a)非イオン界面活性剤の含有量=0.1〜0.5である液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分が、炭素数8〜22の高級アルコールにアルキレンオキシドを付加して得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、一般式(I)で示される化合物を含有する非イオン界面活性剤であって、該非イオン界面活性剤のアルキレンオキシドの付加モル数分布のピーク値が7〜20の間にある非イオン界面活性剤である、請求項1記載の液体洗剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が(a−1)アルキル基の炭素数が8〜22であるアルコールに対して、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均7〜20モル付加することによって得られるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤と、(a−2)アルキル基の炭素数が8〜22のアルコールに対して、アルキレン基の炭素数が2〜4のアルキレンオキシドを平均1〜4モル付加することによって得られるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤とからなり、一般式(I)で示される化合物を(a)成分中の6〜11質量%含有し、アルキレンオキシドの付加モル数をピーク値が少なくとも7〜20にある非イオン界面活性剤である、請求項1記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−138057(P2009−138057A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313741(P2007−313741)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】