説明

液体洗浄剤組成物

【課題】抗菌力が素早く効果を発揮し、室内干しなどの乾燥条件においても悪臭の発生を抑える効果の高い液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】
(A)非イオン界面活性剤(B)4級アンモニウム基を有するカチオン(C)特定の長鎖アミン化合物(D)-OH基を有し、logP値が0.1〜3.5である有機溶剤を含有する液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌力の向上した液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤における抗菌力を向上させ、室内干しなどの乾燥条件でも臭いを抑える為には、洗濯後に抗菌剤を布に残す必要がある。そのためには、液体洗浄剤組成物に抗菌剤を大量に配合することも有効であるが、抗菌剤を多量に使用することは、組成物の液安定性や経済性の面で好ましくない。そこで、被洗布への抗菌剤の吸着性を高め、抗菌効果を向上させる検討がなされている。例えば、特許文献1には抗菌効果のあるカチオン界面活性剤の被洗布への吸着性を増す剤としてアルキルアミンを併用する例が開示されている。しかしながら、例えば室内干しなどで衣類を乾燥させた場合に悪臭が発生するなど、抗菌効果は十分ではない。
【0003】
【特許文献1】特開2006−316130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、抗菌力が素早く効果を発揮し、室内干しなどの乾燥条件においても悪臭の発生を抑える効果の高い液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、単に抗菌剤の被洗布への吸着性を増すだけでなく、抗菌剤の菌への浸透性を高める特定の疎水性パラメーターを有する溶剤と併用することで、上記の課題を解決する液体洗浄剤組成物を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は
(A)非イオン界面活性剤
(B)4級アンモニウム基を有するカチオン
(C)下記一般式(I)の長鎖アミン化合物
【0007】

【0008】
(式中、R1、R2は、それぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R3は炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基であり、Aは下記一般式(II)または(III)
【0009】



【0010】
(式中、R4、R5は、それぞれ炭素数11〜23の直鎖もしくは分岐したアルキル基又はアルケニル基である)で表される基である)
(D)-OH基を有し、logP値が0.1〜3.5である有機溶剤
を含有する液体洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、抗菌効果の優れ、特に、衣類の洗濯後に部屋干ししたときの悪臭の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(A)非イオン界面活性剤
本発明における(A)成分の非イオン界面活性剤としては、その種類は特に制限されず、一般の洗浄剤組成物に常用される非イオン界面活性剤のいずれも好適に使用することができるが、これらの中でも、特に下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
6−X−[(EO)n]−H (IV)
【0013】
式(IV)中、R6は炭素数8〜20、好ましくは10〜16の疎水基であり、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、不飽和結合を有していてもよい。疎水基としては、例えば高級アルコール、高級脂肪酸、高級アミン、高級脂肪酸アミド等を原料とするものが挙げられ、−X−は、−O−、−COO−、−CONH−などの官能基を表わす。EOはエチレンオキサイドn平均付加モル数を表わし、組成物の経時安定性や衣類への洗浄液の浸透性等の観点から、nは3〜30、好ましくは5〜25、より好ましくは10〜20である。EO付加モル数分布は、上記非イオン界面活性剤を製造する際の反応方法により異なるが、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた分布の比較的広いものでもよく、例えば特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた分布の狭いものでもよい。また、これらは、随意に1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、一般式(IV)の化合物の生成の際には、質量平均分子量200〜20000程度のポリエチレングリコールが、生成物100質量%に対して0.01〜2質量%程度副生するのが一般的である。従って、本発明の液体洗浄剤組成物は、この様な副生物を含有してもよい。
【0014】
本発明の好ましい(A)成分の具体例としては、例えば、Conol(炭素数12:新日本理化(株)製)等の天然アルコールに15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に共して得られるC13アルコール1モルに10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF社製、LutensolTO10)、ヘキセンをガーベット反応に供して得られるC12アルコール1モルに10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(CONDEA社製、ISOFOL12−10EO)、炭素数12〜14の第2級アルコールに9モル相当の酸化エチレンを付加したもの(日本触媒(株)製、ソフタノール90)、ラウリン酸メチルにアルコキシル化触媒を用いて15モル相当の酸化エチレンと3モル相当の酸化プロピレンを付加したもの、ラウリルアミンに9モル相当の酸化エチレンを付加したものなどが挙げられる。また石炭を出発原料とし、Fischer−Tropsch法により得た混合オレフィンを分留することにより得られる所定のアルキル鎖長、分岐率をもつものを用いることができる。工業的に製造され販売が行なわれている原料アルコールとしては、サソール社製のSafol23アルコール(商品名)があり、炭素数が12〜14であり、30質量%以上が分岐しており、かつこの分岐が中間鎖分岐であり、かつこの分岐が中間鎖分岐であるアルキル基及び/又はアルケニル基を有するものである。ここで、「中間鎖分岐」とは、アルキル基又はアルケニル基(以下、「アルキル基等」という)において、最も炭素数が多い鎖(主鎖)の両端部の炭素原子、並びに2位の炭素原子以外に分岐鎖(アルキル基等)が結合していることを示す。すなわち、結合手が伸びる末端炭素原子、並びに「2位」、すなわち結合手がのびる末端炭素原子に隣接する2番目の炭素原子と、結合手を有しない末端炭素原子に隣接する2番目の炭素原子には分岐鎖が結合していないことを示す。「30質量%以上が分岐している」とは、アルキル基等の全質量に対し、分岐鎖を構成するアルキル基等(主鎖を構成しないアルキル基等)の質量の割合(以下、「分岐率」ともいう)が、30質量%以上であることを示す。なお、アルキル基等において、分岐率や、中間鎖分岐が存在することの確認はGC(ガスクロマトグラフィ)を用い、標準品と比較することにより行うことができる。
(A)成分の配合量は液体洗浄剤組成物中、10〜50質量%であり、より好ましくは20〜45質量%である。10質量%以上とすることにより、充分な洗浄力が得られる。また、(A)成分の効果を阻害する皮脂成分を除去できるので抗菌性も向上し、保存安定性も向上する。50質量%以下にすることにより保存安定性が向上し、コストの点からも望ましい。
【0015】
(B)4級アンモニウム基を有するカチオン
本発明では、水溶性の抗菌剤化合物として4級アンモニウム基を有するカチオンが使用される。好ましい抗菌剤化合物としては、炭素数8〜16のアルキル基を少なくとも1つ有する水溶性4級アンモニウム型抗菌性化合物を挙げることができる。水溶性化合物とは、20℃における水100gへの溶解度が1g以上である化合物を意味し、4級アンモニウム基を有するカチオンの好ましい例としては、下記一般式(V)を有する化合物が挙げられる。
【0016】

【0017】
(式中、R7は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基であり、Y-は陰イオン基、好ましくはハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオン又は脂肪酸イオンである。)
好ましい具体例としては、例えば塩化ベンザルコニウム(製品としては、商品名: アーカードCB-50 ライオンアクゾ(株)製 AI=100%)が挙げられる。
また、炭素数8〜20、より好ましくは10〜18のアルキル基を1つまたは2つ有する4級アンモニウム型カチオンを挙げることができる。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、モノアルキル長鎖あるいはジアルキル長鎖4級アンモニウム塩が組成安定性やコストの面から好ましい。好ましい具体例としては、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(製品としては、ライオンアクゾ(株)製 商品名:アーカードT−800が好ましい)や塩化ジデシルジメチルアンモニウム(製品としては、ライオンアクゾ(株)製 商品名:アーカード210が好ましい)等が挙げられる。(B)の成分は1種または2種以上混合して用いることができる。(B)成分の配合量は液体洗浄剤組成物中、0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.5〜2質量%の範囲である。0.1質量%以上とすることにより、抗菌性が向上する。5質量%以下とすることにより、保存安定性が向上する。
【0018】
(C)一般式(I)の長鎖アミン化合物
本発明においては、衣類等への抗菌剤の吸着性を高めるために一般式(I)の長鎖アミン化合物が使用される。
【0019】

【0020】
(式中、R1、R2は、それぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R3は炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基であり、Aは下記一般式(II)または(III)
【0021】



【0022】
(式中、R4、R5は、それぞれ炭素数11〜23、好ましくは12〜18の直鎖もしくは分岐したアルキル基又はアルケニル基である)で表される基である。)
【0023】
一般式(I)のアミン化合物の具体例としては、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジエタノールアミン、ステアリルアミドプロピルジエタノールアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン、パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル三級アミンなどが挙げられ、これらの中でもミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン等が特に好ましい。また、これら脂肪族アミドアルキル三級アミンは、例えば脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体とジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンとを脱水縮合反応させ、その後、未反応のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンを、減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。上記脂肪族エステルアルキル三級アミンは、脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体とジアルキルアミノアルコールとを脱水縮合させるエステル化反応により製造することができる。上記脂肪酸及びその誘導体としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライドや、これらの混合物を適宜用いることができるが、これらの中でも、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸が、より好適に用いられる。また、上記ジアルキルアミノアルコールとしては、例えばジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等が挙げられ、これらの中でもジメチルアミノエタノールがより好ましい。上記エステル化反応においてジアルキルアミノアルコールの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対して、通常、0.1〜5.0倍モルが好適であり、より好ましくは0.3〜3.0倍モルである。反応温度は、反応速度や着色防止の観点などから、通常、100〜220℃が好適であり、より好ましくは120〜180℃である。反応時の圧力は常圧でも減圧でもよく、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込んでもよい。通常、脂肪酸を用いた場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸低級アルキルエステルを用いた場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒下で反応を行うことにより、短時間で効率的に反応させることができる。長鎖長の脂肪族エステルアルキル三級アミンの場合、融点が高く、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形してもよい。
【0024】
本発明において、上記(C)成分は、そのまま使用してもよく、または、酸で中和して酸塩として使用してもよい。中和する酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、高分子アクリル酸などが挙げられる。また、これらの酸は、随意に1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。本発明の組成物における上記(C)成分の配合量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%の範囲である。(C)成分の配合量をこれらの範囲内にすることにより、(B)成分の布へ吸着を促進し、抗菌性を高めることができる。また、コストの面からも好ましい。
【0025】
(D)-OH基を有し、logP値が0.1〜3.5である有機溶剤
本発明の液体洗浄剤組成物は、-OH基を有し、logP値が0.1〜3.5である有機溶剤を含む。本発明における有機溶剤とは実質的に界面活性能を有しない物質のみを含み、この点において本成分(D)は(A)成分の非イオン界面活性剤と明確に区別される。具体的には、例えば、アルコールのエチレンオキシド付加物(エチレングリコール付加物)の化学構造を有する化合物では、アルキル基の炭素鎖長がC8以下でかつエチレンオキサイド付加モル数が2以下のもののみが含まれる。
本発明において、logP値とは、疎水性パラメーターの1つであるオクタノールと水との間における分配係数Pを常用対数で表した値である。ここで、分配係数Pは、オクタノールと水との間における平衡状態での物質の活動比としてP=Co/Cw(Coはオクタノール中の濃度、Cwは水中の濃度を表す)として表される値を意味する。
上記のlogP値は、例えばAdovanced Chemistry Development社製ソフトウェアのACD/Labs 8.00 ver.8.08に搭載されたアプリケーションソフトACD/Chem Sketchで計算することができる。本発明の(D)成分の有機溶剤のlogP値は、好ましくは0.1〜3.5であり、より好ましくは1.0〜3.0である。当該有機溶剤の疎水性が高いほどPの値が大きくなり、従ってlogP値も大きくなる。すなわち、logP値が大きいほど、疎水性の高い有機溶剤である。logP値は、菌に対する浸透性が適当となる範囲が存在すると考えられ、本発明の液体洗浄剤組成物において、logP値が上記範囲内である(D)成分を含有することにより、菌に対して良好な親和性を有するものとなり、更に、(B)成分と他の成分との相乗作用が生じることにより、菌に対して、優れた浸透性を発揮すると推測される。
本発明の(D)成分として使用され得る有機溶剤の例を表1に示す。
【0026】

【0027】
表1に記載の有機溶剤のうち、(ジ(エチレングリコール)モノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルモノグリコール)が好ましい。また、(D)成分は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。液体洗剤組成物中、(D)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、組成物全量に対して0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。(D)成分の配合量が上記範囲内であると、菌に対して良好な親和性を有するものとなり、更に、(B)成分と他の成分との相乗作用が生じることにより、菌に対して、優れた浸透性を発揮すると推測される。
【0028】
その他の成分
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記成分の他に、さらに、必要に応じて以下の任意成分を配合することができる:皮膜形成防止のためにエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコールブチルエーテル、ポリアルキレングリコールフェニルエーテル等のグリコール系溶剤を好ましくは0〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%。低温安定化のためにパラトルエンスルホン酸ナトリウムやキュメンスルホン酸ナトリウム、エタノール等のハイドロトロープ剤を好ましくは0〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%;再汚染防止の為にポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ソイルリリースポリマー等の再汚染防止剤を0〜2質量%;皮脂汚れ以外の洗浄力向上の為にリパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ等の酵素を0〜1質量%;酵素安定化の為に、ホウ酸、硼砂、蟻酸やその塩、塩化カルシウム・炭酸カルシウム・硫酸カルシウムなどのカルシウム塩類0〜3質量%;風合い向上の為にジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンを0〜5質量%;白色衣料の白度向上の為にジスチリルビフェニル型等の蛍光剤を0〜1質量%;液体洗浄剤組成物の着色の為に酸性染料等の色素を0.00001〜0.001質量%:香気安定化の為にジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤を0.0001〜0.5質量%;防腐性の為にケーソンCG(商品名、ローム・アンド・ハース社製)等の抗菌剤を0〜0.03質量%等を配合することができる。また、芳香のための香料としては、特開2002−146399号公報記載の、香料成分、溶剤及び安定化剤を含有する香料組成物等が挙げられ、本発明の液体洗浄剤組成物中に0.01〜1質量%配合することができる。また、pH調整剤として、硫酸、水酸化ナトリウム等の無機酸及び無機塩基を配合することが可能であり、本発明の液体洗浄剤組成物のpHとしては、皮脂汚れ洗浄力、保存安定性等の観点から6.0〜11.0が好ましく、6.5〜10.0がより好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分(D)成分を、必要に応じてや他に配合可能な任意成分とともに、水等の適当な溶剤に溶解することにより、製造することができる。また、液体洗浄剤組成物の固形分濃度は10〜60質量%程度である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示し、表2中の各成分の量は、香料組成物以外は純分としての配合量を示し、香料組成物は組成物としての配合量を示す。
表2に示す組成の液体洗浄剤組成物を常法に基づいて調整し、それらを洗濯に使用し被洗布のにおいの評価及び抗菌効果の評価を行った。
【0030】

【0031】
表2の各成分の詳細は以下の通りである。
<(A)成分>
a−1:
サフォール社製 商品名Safol23アルコール(分岐率50%)をEO15モル化合物(C12/C13=6/4)
224.4g、30質量%NaOH水溶液2.0gを、耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコ−ルを撹拌しながら酸化エチレン(ガス状)763.6gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコ−ルの液中に徐々に加えた。酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応の酸化エチレンを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、p−トルエンスルホン酸(70質量%)を加えて中和し、a−1を得た。
【0032】
a−2:
n2n+1O(EO)15H(n=12の化合物と、n=14の化合物との質量比で71/29の混合物;合成品)
a−1の合成方法において、P&G製のC12,14アルコール(炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの質量比で71/29の混合物;商品名:CO−1214、分岐率*10質量%)224.4gと、酸化エチレン(ガス状)760.4gとを用いた以外は、A−1の合成方法と同様の方法により合成した。
【0033】
<(B)成分>
b−1:
X2X+1+(CH33 Cl- (X=16/18混合物(質量比2/8)、商品名: アーカードT−800 ライオンアクゾ(株)製)
b−2:
(C10212(CH32+ Cl-(商品名: アーカード210 ライオンアクゾ(株)製 AI=50% エタノール溶液)
b−3:
塩化ベンザルコニウム(商品名: アーカードCB-50 ライオンアクゾ(株)製 AI=100%)
【0034】
<(C)成分>
c−1:
X2X+1CONH(CH23N(CH32(X=15/17混合物(質量
比3/7)、商品名: カチナールMPAS−R 東邦化学(株)製、AI=100%)
c−2:
10アミドアミン(合成品)
還流冷却器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、カプリン酸メチル260.9g(ライオンケミカル社製、パステルM−10、分子量186)を仕込み、60℃にて窒素置換を2回行った後、150℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(分子量102)186g(混合脂肪酸に対するモル比:1.30)を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、185〜190℃に保持し、7時間熟成した。
【0035】
<(D)成分>
d−1:
テトラ(エチレングリコール)モノフェニルエーテル 商品名フェニルグリコール40(PhG-40) 日本乳化剤(株)製 AI=100%
d−2:
ブタノール 関東化学(株) 試薬
d−3:
ジ(エチレングリコール)モノフェニルエーテル 商品名:フェニルジグリコール、日本乳化剤(株)製、AI=90%
d−4:
ジエチレングリコール モノ 2−エチルヘキシルエーテル 商品名:2-エチルヘキシルジグリコール、日本乳化剤(株)製、AI=100%
d−5:
イソプロプルメチルフェノール 商品名:ビオゾール 大阪化成(株)製、AI=97%
d−6:
2,2-ビス(4-ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル)プロピル 商品名BA-P4Uグリコール 日本乳化剤(株)製 AI=100%
d−7:
エタノール 商品名:95vol% 合成エタノール(NEDO製)
【0036】
<任意成分>
PEG: ポリエチレングリコール、PEG#1000(商品名 日本油脂(株)製 AI=60%)
DEA: ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製、AI=100%)
MEA: モノエタノールアミン(株式会社日本触媒製、AI=100%)
PTSH: パラトルエンスルホン酸(協和発酵工業(株)製、AI=70%)
クエン酸3Na: クエン酸3ナトリウム2水塩(扶桑化学工業(株)製、AI=100%)
プロテアーゼ: Everlase 16L TYPE EX(商品名 ノボザイムス製)
香料: 特開2002-146399 表11-18のAに記載の香料
【0037】
[におい評価法]
家庭内で3ヶ月以上実際に使用(洗濯、使用の繰り返し)した手拭きタオルを最後だけ洗濯しないように依頼し、回収した。浴比30となるように、その回収手拭タオル3枚と残りを新品の肌シャツを用い、2槽式洗濯機(MITUBISHI CW-C30A1-H)に入れ、温度約20℃、硬度約3゜DHの水道水を30L注水し、表2に記載の各液体洗剤組成物20mLを添加して10分間洗濯した。1分間脱水後、2分間流水ですすぎ、1分間脱水した。
洗濯終了後、回収手拭タオルを室温約25℃、湿度90%RHの室内で干し、24時間乾燥した後のにおいの評価を行った。
上記の通り洗濯・乾燥したタオル3枚について5名のパネラーで官能評価を行った。各タオルについて下記評価基準を基に点数化し、5名の平均点で判定した。
5:強烈な臭い。
4:強い臭い。
3:楽に感知できる臭い。
2:何のにおいかわかる弱い臭い。
1:かすかに感じられる臭い。
0:臭わない。
このうち、0点以上1点未満を◎、1点以上2点未満を○、2点以上3点未満を△、3点以上を×とした。
【0038】
[抗菌効果評価試験]
30×25cmに裁断した綿金巾3号を用いた。洗浄試験はTerg−O−Tometer(U.S.Testing社製)を用い、120rpm,25℃、4°DH水道水、浴比30、洗浄剤濃度667ppmで10分間洗浄し、3分間すすぎを行い、1分間脱水し、最後に室温で一晩乾燥させた。脱水は、組成毎に2槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H、MITUBISHI製)を用い、脱水した。洗浄後乾燥した布をJISL1902の定量試験の菌吸収法に従い抗菌効果の試験を行った。試験菌種としてはstaphylococcus aureus ATCC6538Pを用い、菌接種濃度0.7×105個/mLを0.2mL接種し、18時間培養後の生菌数を測定した。なお、洗剤を用いない、水だけで洗浄した場合での生菌数に対する菌数の差をlogで表示した値を静菌活性値とした。評価基準は以下の通りである。
5点 : 静菌活性値4.0以上
4点 : 静菌活性値3.0以上
3点 : 静菌活性値2.0以上
2点 : 静菌活性値1.0以上
1点 : 静菌活性値1.0未満

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非イオン界面活性剤
(B)4級アンモニウム基を有するカチオン
(C)下記一般式(I)の長鎖アミン化合物

(式中、R、Rは、それぞれ炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐したアルキル基であり、Aは下記一般式(II)または(III)



(式中、R、Rは、それぞれ炭素数11〜23の直鎖もしくは分岐したアルキル基又はアルケニル基である)で表される基である)
(D)-OH基を有し、logP値が0.1〜3.5である有機溶剤
を含有する液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(D)有機溶剤のlogP値が1.0〜3.0である、請求項1記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−73915(P2009−73915A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243609(P2007−243609)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】