説明

液体洗浄剤組成物

【課題】高濃度の界面活性剤を含有し、洗浄力及び保存安定性に優れ、水で希釈する際のゲル化形成等による溶解性の低下のない液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)(a−1)炭素数5又は6の還元糖に由来する基を有する特定の非イオン界面活性剤及び(a−2)陰イオン界面活性剤を含む界面活性剤、(B)水混和性有機溶剤、並びに、(C)水を含有し、(A)中(a−1)が50質量%以上であり、(a−1)と(a−2)の質量比が(a−1)/(a−2)=50/50〜99/1である、液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄性能及び溶解性に優れた、液体洗浄剤組成物、特に衣料等の繊維製品用に好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する意識が高まってきており、環境に対し負荷の少ない洗浄剤の登場が渇望されている。従来の洗浄剤より洗浄成分濃度が高い、いわゆる濃縮タイプの洗浄剤は、洗浄剤自身のサイズを小さくし、容器樹脂量の削減、輸送費の削減、使用後のゴミの削減等、環境に対する負荷を低減させるのに非常に有効であると考えられる。
【0003】
しかしながら、通常の液体洗浄剤において、洗浄成分である界面活性剤濃度を増加させると増粘やゲル化が起こり、著しく使用性を損ねてしまうという課題があった。これは、界面活性剤濃度の上昇により、組成物中に液晶や結晶といった粘度が著しく高い相を形成してしまうためである。このような高濃度系で液晶や結晶相を作らない流動性のある組成も存在するが、洗濯の際に水、特に冷水で希釈されることで液晶を形成し、溶解性不良を起こすという課題を避けて通れず、また界面活性剤濃度が高まってくると、低温保存時に組成物が固化し易くなるなど、溶解性や安定性に課題があった。
【0004】
一方、近年の洗濯機も、環境・エネルギー問題や経済性への対応から、浴比の低下、攪拌力の低下、洗濯水の低温化、洗浄時間の短縮化等の傾向にある。これらの傾向は、いずれも洗浄剤の溶解速度の遅延、ひいては洗浄剤の洗浄能力を著しく低下させることから、洗浄剤の溶解速度の大幅な向上が切望されている。
【0005】
特許文献1〜5には、特定の脂肪酸アルキルエステルエトキシレートを配合した濃縮タイプの液体洗浄剤組成物が記載されているが、これらは界面活性剤濃度の増加に伴う粘度増加(ゲル化)を防止する技術であり、製品そのものの粘度は低く抑えられているものの、希釈時のゲル化抑制性に問題があり、特に冷水に対する溶解性に課題があった。また、低温保存における安定性にも課題があった。
【0006】
特許文献6には、高級アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)を付加した非イオン界面活性剤と特定の溶剤を配合した濃縮タイプの液体洗浄剤組成物が記載されている。本文及び実施例において好ましい非イオン界面活性剤として、EOを付加した後、POを付加した、EO/POブロックタイプの非イオン界面活性剤が記載されている。
【0007】
特許文献7の実施例には、糖平均縮合度1.2のアルキルポリグルコシドを所定量配合した衣料用液体洗浄剤組成物が記載されている。また、特許文献8の実施例には、糖平均縮合度1.4のアルキルポリグルコシドを所定量配合した食器用液体洗浄剤組成物が記載されている。このようなタイプの非イオン界面活性剤は低温における安定性や冷水に対する溶解性に課題があり、また単独で使用した場合、衣料に付着する汚れに対する洗浄性能に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−7705号公報
【特許文献2】特開2008−7706号公報
【特許文献3】特開2008−7707号公報
【特許文献4】特開2009−7451号公報
【特許文献5】国際公開第2008/001797号パンフレット
【特許文献6】特開平8−157867号公報
【特許文献7】特開2006−160822号公報
【特許文献8】特開平4−292698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、高濃度の界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物において、洗浄力及び保存安定性に優れ、水で組成物を希釈する際のゲル化形成等による溶解性の低下のない液体洗浄剤組成物を提供することである。また、低機械力となる低浴比においても水で組成物を希釈する際のゲル化形成等による溶解性の低下のない液体洗浄剤組成物による洗濯方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記(a−1)成分及び(a−2)成分を含む(A)成分、下記(B)成分、並びに、下記(C)成分を含有し、(A)成分中(a−1)成分が50質量%以上であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比が(a−1)/(a−2)=50/50〜99/1である、液体洗浄剤組成物に関する。
(A)成分:界面活性剤 40〜90質量%
(a−1)成分:下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤及び下記一般式(II)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる非イオン界面活性剤
1−O−(AO)l−(G)m−(X)n (I)
2−COO−(AO)p−(G)q−(X)r (II)
(式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基、R2は炭素数7〜21の鎖式炭化水素基、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、l及びpはAOの平均付加モル数を表し、それぞれ0〜5、m及びqはGの平均糖縮合度を表し、それぞれ1〜10、Xは炭素数1〜22の鎖式炭化水素基、炭素数2〜22のアシル基又は−(AO)s−Hを表し、sはAOの平均付加モル数を表し0.1〜10、n及びrはGに結合するXの平均数を表し、nは0〜(2×m)、rは0〜(2×q)である。なお、lとnは同時に0になることは無い。また、pとrは同時に0になることは無い。)
(a−2)成分:陰イオン界面活性剤
(B)成分:水混和性有機溶剤 1〜40質量%
(C)成分:水 5〜50質量%
【0011】
また、本発明は、上記本発明の液体洗浄剤組成物から調製した洗浄媒体を用いて、浴比2〜12L/kgで繊維製品を洗浄する工程を有する、洗濯方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄成分である界面活性剤を高濃度配合しているにもかかわらず、溶解性、特に冷水に対する溶解性や、低機械力となる低浴比での溶解性に優れ、保存安定性、洗浄性能にも優れるものである。また、本発明の液体洗浄剤組成物は、低浴比の洗濯においても優れた溶解性を示すため、優れた洗浄力が得られる洗濯方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<(A)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、下記(a−1)成分及び(a−2)成分を含む界面活性剤を含有する。
(a−1)成分:下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤及び下記一般式(II)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる非イオン界面活性剤
1−O−(AO)l−(G)m−(X)n (I)
2−COO−(AO)p−(G)q−(X)r (II)
(式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基、R2は炭素数7〜21の鎖式炭化水素基、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、l及びpはAOの平均付加モル数を表し、それぞれ0〜5、m及びqはGの平均糖縮合度を表し、それぞれ1〜10、Xは炭素数1〜22の鎖式炭化水素基、炭素数2〜22のアシル基又は−(AO)s−Hを表し、sはAOの平均付加モル数を表し0.1〜10、n及びrはGに結合するXの平均数を表し、nは0〜(2×m)、rは0〜(2×q)である。なお、lとnは同時に0になることは無い。また、pとrは同時に0になることは無い。)
(a−2)成分:陰イオン界面活性剤
【0014】
(a−1)成分は、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤及び前記一般式(II)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる非イオン界面活性剤である。
【0015】
一般式(I)及び(II)中、安定性、洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、R1は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、特にはアルキル基がより好ましい。またR1は、炭素数10〜16が好ましく、12〜14がより好ましく、R2は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、特にはアルキル基がより好ましい。またR2は、炭素数9〜15が好ましく、11〜13がより好ましい。特に溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、AOはオキシプロピレン基が好ましく、l及びpはそれぞれ0.1〜4.5が好ましく、0.3〜4がより好ましく、0.5〜3.5が更に好ましく、1〜3が特に好ましい。
【0016】
一般式(I)及び(II)中、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する基であり、より具体的にはグリコシド基が挙げられる。原料の還元糖としては、アルドースとケトースの何れであっても良く、また、炭素数が5又は6個のペントース、ヘキソースを挙げることができる。アルドースとして具体的にはアピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができ、ケトースとしてはフラクトースを挙げることができる。本発明では安定性、洗浄性の観点よりこれらの中でも特に炭素数5又は6のアルドペントースあるいはアルドヘキソースが好ましく、中でもグルコースが最も好ましい。
【0017】
一般式(I)及び(II)中、m及びqはそれぞれ1〜4が好ましく、1〜2がより好ましく、1〜1.5が更に好ましい。
【0018】
一般式(I)及び(II)中、安定性、洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、Xは炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数2〜22のアシル基又は−(AO)s−Hが好ましく、更には炭素数1〜4のアルキル又は−(AO)s−Hがより好ましく、−(G)m−又は−(G)q−のどの水酸基に結合しても良く、例えばm又はqが1であるときのG中に含まれる水酸基が3の場合、1〜3個の水酸基がXによって置換されうる。特に溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を表し、オキシプロピレン基がより好ましく、sは0.1〜10であり、0.3〜7が好ましく、0.5〜5が更に好ましく、1〜3が特に好ましい。
【0019】
一般式(I)及び(II)中、安定性、洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、lとn、pとrは、それぞれ、同時に0になることは無く、lが0.1〜5且つnが0〜2であることが好ましく、また、lが0.1〜5且つrn0であることがより好ましい。また、pが0.1〜5且つrが0〜2であることが好ましく、pが0.1〜5且つrが0であることがより好ましい。この範囲となることで、液晶、結晶形成抑制能がより向上するため、溶解性、低温での安定性に優れるようになる。
【0020】
(A)成分は、安定性、洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より、一般式(I)で表される非イオン界面活性剤を含むことが好ましく、下記一般式(III)で表される非イオン界面活性剤であることがより好ましい。
3−O−(PO)t−(G)u (III)
(式中、R3は炭素数8〜22、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14の鎖式炭化水素基であり、特には直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。POはオキシプロピレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、tはPOの平均付加モル数を表し0.1〜5、好ましくは0.3〜4、より好ましくは0.5〜3、uはGの平均付加モル数を表し1〜4、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5である。)
【0021】
(a−2)成分は、陰イオン界面活性剤であり、例えば下記(a−2−1)〜(a−2−5)から選ばれる陰イオン界面活性剤が使用できるが、洗浄性能、安定性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点で、(a−2−1)、(a−2−2)、(a−2−4)が好ましく、更に(a−2−1)を含有することがより好ましい。(a−2−1)を含有する場合(a−2)成分中の80質量%以上、特には90質量%を占めることが洗浄性、低温安定性、溶解性の点で最も好ましい。(a−2)成分は、洗浄成分としての効果とともに、特定の比率で(a−1)成分と用いることにより、安定性、溶解性を向上させる。この理由は定かではないが、(a−1)成分の分子間に(a−2)成分の分子が混合されることで、(a−2)成分の陰イオン基の電気的反発から界面活性剤分子の整列が抑制され、結果として液晶、結晶形成が抑制されるものと予想される。
【0022】
(a−2−1)平均炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩。
(a−2−2)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩。
(a−2−3)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩。
(a−2−4)平均炭素数8〜20の脂肪酸塩。
(a−2−5)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩。
【0023】
(a−2)成分を構成する塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などを挙げることができるが、特に安定性の観点からアルカノールアミン塩であることが好ましい。陰イオン界面活性剤は、液体洗浄剤中には酸型で添加して、系内でアルカリにより中和してもよい。本発明では、(a−2)成分はアルカノールアミン塩か、酸型で添加して系中でアルカノールアミン〔後述する(D)成分のアルカリ剤として用いるアルカノールアミン〕で中和することが好ましく、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属系の対イオンは、少ないことが好ましく、実質的には5質量%以下、特には3質量%以下であることが好ましい。
【0024】
(a−1)成分及び(a−2)成分以外の(A)成分としては、例えば下記の(a−3)〜(a−5)が挙げられる。
(a−3)(a−1)成分に該当しない非イオン界面活性剤。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸アルカノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等が挙げられ、中でも下記(a−3−1)〜(a−3−2)が好ましい。
(a−3−1)脂肪酸アルカノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド。
(a−3−2)ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル。例えば次の一般式で表されるポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましい。
4−O[(EO)a/(PO)b]−H
〔式中、R4は炭素数10〜18、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示す。Eはエチレン基、Pはプロピレン基を示す。aは平均付加モル数0〜20の数、bは平均付加モル数0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。好ましくはaの平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12が良好であり、bの平均付加モル数は0〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。/はEO及びPOがランダム又はブロックであってもよいことを示す。〕
なお、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0025】
(a−4)陽イオン界面活性剤。
例えば、長鎖アルキル基を有する1級〜3級のアミン(但し後述のアルカノールアミンを除く)であって、好ましくは途中にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有してもよい炭素数8〜22のアルキル基を1つ又は2つ有し、残りが水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシ基を有してもよいアルキル基である陽イオン界面活性剤を挙げることができる。本発明では、炭素数8〜22の長鎖アルキル基を1つ有する第4級アンモニウム型界面活性剤、炭素数8〜22の長鎖アルキル基を1つ有する3級アミンが好ましい。
【0026】
(a−5)両性界面活性剤
例えば、炭素数10〜18のアルキル基を有するスルホベタイン又はカルボベタインを挙げることができる。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物において、(A)成分の含有量は、洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より40〜90質量%であり、45〜80質量%が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。
【0028】
洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より(A)成分中の(a−1)成分は50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。また、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましい。
【0029】
洗浄性、溶解性(希釈時のゲル化抑制性)の観点より(a−1)成分と(a−2)成分の質量比は(a−1)/(a−2)=50/50〜99/1であり、60/40〜98/2が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。なお(a−2)成分の陰イオン界面活性剤は、塩の分子量によって、その質量が異なることから、本発明では塩ではなく、酸型すなわち対イオンを水素原子イオンと仮定した時の質量を(a−2)成分の質量とする。(a−1)成分は(a−2)成分を併用することで、組成物の洗浄力を高め、更に液晶形成を抑制することで溶解性を高めることが可能となる。
【0030】
本発明の特徴は、高濃度の界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物、すなわち界面活性剤濃度が50質量%以上、特には60質量%以上である液体洗浄剤組成物において、(a−1)成分と(a−2)成分とを特定比率で併用し後述する水混和性有機溶剤を配合することにより、優れた安定性と洗浄力のみならず、水に溶解させる時のゲル化による溶解性阻害を抑制することに成功したことである。これは(a−1)成分に拠るところが大きく、(a−1)成分により、水−界面活性剤−溶剤の3成分相図での液晶相の領域を低減させることが可能になることを見出した点にある。更に(a−1)成分と(a−2)成分とを特定比率にすることで液晶相の領域を低減させることが可能となったばかりか、洗浄性能にあまり寄与しない水混和性有機溶剤の配合量を低減することが可能となった。
【0031】
<(B)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、安定性、溶解性向上の点で、(B)水混和性有機溶剤を1〜40質量%含有する。本発明でいう水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解するもの、すなわち、溶解の程度が50g/L以上である溶剤を指す。
【0032】
(B)成分としては、洗浄性能、安定性、溶解性の点で、水酸基及び/又はエーテル基を有する水混和性有機溶剤が好ましい。
【0033】
水混和性有機溶剤としては、
(b−1)エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルカノール類、
(b−2)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、又はヘキシレングリコールなどの炭素数2〜6のアルキレングリコール類やグリセリン、
(b−3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、又は重量平均分子量400〜5000のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールなどの炭素数2〜4のアルキレングリコール単位からなるポリアルキレングリコール類、
(b−4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、又は1−エトキシ−2−プロパノールなどの炭素数2〜4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1〜5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、
(b−5)グリセリン−1,3−ジメチルエーテル、エチルグリセリルエーテル、グリセリン−1,3−ジエチルエーテル、グリセリントリエチルエーテル、イソもしくはノルマルペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、又は2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数1〜8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類、
(b−6)エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の炭素数2〜3のアルキレングリコール単位を有する(ポリ)アルキレングリコールの芳香族エーテル類、
が挙げられる。
【0034】
(B)成分は、組成物の粘度調整剤、ゲル化抑制剤として有効であり、上記の(b−1)〜(b−6)の分類から選ばれる2種以上を併用することが好ましく、より好ましくは(b−2)、(b−4)及び(b−6)の分類から選ばれる2種以上、特に好ましくは(b−2)及び(b−4)の各分類から選ばれる2種以上、又は(b−2)及び(b−6)の各分類から選ばれる2種以上であり、具体的にはプロピレングリコールとジチレングリコールモノブチルエーテルとを併用すること、或いはジエチレングリコールモノブチルエーテルとモノ〜トリエチレングリコールモノフェニルエーテルとを併用することが好ましい。
【0035】
(B)成分の含有量は、安定性、溶解性の点から、組成物中、1〜40質量%であり、2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、4〜10質量%が更に好ましい。また、安定性、溶解性の観点から、(a−1)成分及び(a−2)成分の合計と(B)成分との質量比〔(a−1)+(a−2)〕/(B)は90/10〜65/35が好ましく、85/15〜70/30がより好ましく、80/20〜70/30が更に好ましい。
【0036】
<(C)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、安定性、溶解性向上の点で、(C)成分として、水を5〜50質量%含有する。更に10〜40質量%含有することが好ましく、15〜30質量%含有することがより好ましい。水はイオン交換水などの組成に影響しないものを用いることが好ましい。
【0037】
<その他の成分>
以下、本発明の液体洗浄剤組成物に配合できるその他成分について説明する。
〔(D)アルカリ剤〕
本発明の液体洗浄剤組成物には、アルカリ剤〔以下、(D)成分という〕を配合することが好ましい。アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などの他に、液体洗浄剤では一般的なアルカノールの炭素数が2〜4の1〜3つのアルカノール基を有するアルカノールアミンをあげることができる。このうちアルカノールはヒドロキシエチル基であるものが好ましい。アルカノール基以外は水素原子、以外に炭素数1〜3のアルキル基であればアルカリ剤として使用でき、特にはメチル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ、ジ、トリの混合物)等のアルカノールアミン類が挙げられる。本発明ではモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、特にはモノエタノールアミンが最も好ましい。(D)成分は後述するpH調整剤として用いることができる。
【0038】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(D)成分を、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜7質量%含有する。なかでも、(D)成分としてアルカノールアミンを、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜7質量%含有する。なおアルカノールアミンは、(a−2)成分の塩などの対イオンとして配合することもでき、それらの量も(D)成分として算入する。
【0039】
〔(E)成分〕
本発明の液体洗浄剤組成物は、キレート剤〔以下、(E)成分という〕を含有することができる。(E)成分のキレート剤は、液体洗浄剤に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はこれらの塩、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸又はこれらの塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、これらのアルカリ金属または低級アミン塩等が挙げられる。本発明では前記(a-2)成分であげたアルカノールアミンを塩とすることが好ましく、酸で配合し系中でアルカリ剤で中和した塩であってもよい。
【0040】
(E)成分の組成物中の配合割合は、酸型とみなした場合に0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0041】
〔その他の成分〕
更に本発明の液体洗浄剤組成物には、次の(i)〜(xi)に示す成分を本発明の効果を損なわない程度で配合することができる。
(i)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマーなどの再汚染防止剤及び分散剤
(ii)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤
(iii)過酸化水素、過炭酸ナトリウムまたは過硼酸ナトリウム等の漂白剤
(iv)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤
(v)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素
(vi)ホウ素化合物、カルシウムイオン源(カルシウムイオン供給化合物)、ビヒドロキシ化合物、蟻酸等の酵素安定化剤
(vii)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料
(viii)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤
(ix)パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)などの可溶化剤
(x)オクタン、デカン、ドデカン、トリデカンなどのパラフィン類、デセン、ドデセンなどのオレフィン類、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンなどのハロゲン化アルキル類、D−リモネンなどのテルペン類などの水非混和性有機溶剤。
(xi)その他、色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤
【0042】
以下に本発明の液体洗浄剤組成物中、前記任意成分を配合する場合の指標としての濃度を示すが、本効果を損なわない程度に適宜調整され、配合に適さない場合は除外される。(i)の再汚染防止剤及び分散剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(ii)の色移り防止剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(iii)の漂白剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(vi)の漂白活性化剤の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。(v)の酵素の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vi)の酵素安定化剤の含有量は0.001〜2質量%が好ましい。(vii)の蛍光染料の含有量は0.001〜1質量%が好ましい。(viii)の酸化防止剤の含有量は0.01〜2質量%が好ましい。(ix)の可溶化剤は0.1〜2質量%が好ましい。(x)の水非混和性有機溶剤は0.001〜2質量%が好ましい。(xi)のその他の成分は例えば公知の濃度で配合することができる。
【0043】
なお、上記任意成分のうち(ix)、(x)は液体洗浄剤組成物の安定性に影響を及ぼすのでその配合には特に注意を要する。
【0044】
本発明の液体洗浄剤組成物のJIS K3362の8.3:1998記載の20℃で測定する。組成物のpHは、安定性の上で3〜9が好ましく、3.5〜8がより好ましい。また0.05質量%の水溶液のpHは、洗浄性能、安定性の点から5〜11が好ましく、5〜10がより好ましく、6〜9が更に好ましい。
【0045】
pH調整剤として塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられ、なかでもpH緩衝の効果の点から、有機酸が好ましい。有機酸として具体的には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、またはそれらの塩などの多価カルボン酸類;クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、またはそれらの塩などのヒドロキシカルボン酸類が挙げられ、なかでもクエン酸またはその塩が特に好ましい。pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。pH調整剤の含有量として具体的には、たとえば、液体洗浄剤組成物中、0.05〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。該範囲の下限値以上であることによりpHを一定に保つことが容易となる。一方、上限値以下であることにより、pHを5〜11に調整するpH調整効果が充分に得られ、経済的にも有利となる。
【0046】
本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、取り扱いの容易さの点で10〜500mPa・sが好ましく、50〜400mPa・sがより好ましく、100〜300mPa・sが更に好ましい。(B)成分や可溶化剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。
【0047】
また本発明の液体洗浄剤組成物は、水による希釈時に、ゲル化や高粘度化が起こらない組成物である。
【0048】
本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を液体洗浄剤組成物又は希釈液の粘度とする。
【0049】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料、寝具、布帛等の繊維製品用として好適である。
【0050】
<洗濯方法>
本発明の洗濯方法では、本発明の液体洗浄剤組成物から調製される洗浄媒体(洗濯浴)を用いて、浴比2〜12L/kgで繊維製品を洗浄する。通常、洗浄媒体は、本発明の液体洗浄剤組成物と水とから得られる。浴比は、洗濯物である繊維製品1kg当たりの水量(L)である。この範囲の浴比では攪拌による機械力が低下するため、従来の濃縮タイプの液体洗浄剤組成物(例えば特許文献1〜5)では希釈時にゲル化して溶解性が低下するため、十分な洗浄力が得られない。とりわけ、家庭用の全自動洗濯機を用いる場合は、こうした低浴比での攪拌力の低下は顕著となる傾向にある。また、場合によりゲル化した液体洗浄剤組成物が洗濯物に付着することもあるが、本発明の液体洗浄剤組成物はこのような低機械力となる低浴比においても十分な溶解性及び洗浄性能を示す。
【0051】
洗浄時間は、2〜30分が好ましく、3〜20分がより好ましく、5〜15分が更に好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は希釈時にゲル化することなく容易に溶解するため、短時間の攪拌でも未溶解物が残留する恐れがない。また、洗浄性能に優れるため、短時間の洗浄でも十分な洗浄性能が得られる。
【0052】
該洗濯浴の温度は3〜40℃が好ましく、4〜30℃がより好ましく、5〜25℃が更に好ましい。従来の濃縮タイプの液体洗浄剤組成物は高温では溶解するものの、低温では希釈時にゲル化して溶解性が低下するため、十分な洗浄力が得られない。また、場合によりゲル化した液体洗浄剤組成物が洗濯物に付着することもあるが、本発明の液体洗浄剤組成物はこのような低温においても十分な溶解性及び洗浄性能を示す。
【0053】
該洗濯浴中の液体洗浄剤組成物濃度は、全界面活性剤の濃度として0.01〜0.5質量%、特に0.01〜0.1質量%が好ましい。
【実施例】
【0054】
表1〜3に示す各成分を混合して、実施例及び比較例の組成物を得た。得られた各組成物を用い、下記の各評価を行った。結果を表1〜3に示す。
【0055】
(1)洗浄力評価
JIS K3362:1998 記載の襟あか布を調製する。JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1〜3の液体洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較した。表1〜3の液体洗浄剤組成物の使用濃度を0.33g/Lとした。洗浄力の判定は、指標洗剤より勝る場合を「◎」、指標洗剤と同等の場合を「○」、指標洗剤より劣る場合を「×」とした。
【0056】
(2)保存安定性評価
50mLのサンプルビン(No.6広口規格ビン、ガラス製、直径40mm、高さ80mmの円筒形)に、液体洗浄剤組成物を40mL充填し、蓋をした後、7.5℃の恒温室で20日間静置した。組成物の安定性は、目視で外観を観察し、下記の基準で判定した。
○;液晶、結晶を形成していない均一液体相であり、液安定性に優れる。
×;液晶形成、又は結晶形成、又は分離、又は析出が認められる。
【0057】
(3)溶解性評価
(3−1)溶解性のモデル評価
液体洗浄剤組成物とイオン交換水を、〔(液体洗浄剤組成物の質量)/(液体洗浄剤組成物の質量+イオン交換水の質量)〕×100=5〜95質量%となるように、5質量%刻みで混合した計19サンプルを準備し、7.5℃の恒温室で1日間静置した後、このサンプルの7.5℃における粘度を以下の条件で測定し、以下の基準で判定した。これは7.5℃の水に対する溶解性モデル試験である。
測定機器 東京計器(株)製 デジタルB型粘度計(型番;DV M−B)
測定条件 60r/min 60秒
○;すべてのサンプルの粘度が1500mPa・s未満である。これは、冷水による希釈時に液晶形成や結晶形成等により増粘しないことを意味し、溶解性に優れると判断できる。
×;サンプルの中に粘度が1500mPa・s以上のものがある。これは冷水による希釈時に液晶形成、又は結晶形成等により増粘する場合があることを意味し、溶解性が劣ると判断される。
【0058】
(3−2)洗濯機による溶解性評価
Haier(株)製全自動洗濯機JW−Z20A型を用い、標準コース(洗い15分、濯ぎ2回、脱水5分、水量15L)、水温10℃、浴比10で、水を入れた後、液体洗浄剤組成物を5g投入して洗濯試験を行った。被洗濯物としてグンゼ(株)製半袖丸首肌着YGを用いた。
○;全工程終了後の洗濯槽内に未溶解物が確認できない。
×;全工程終了後の洗濯槽内に未溶解物が確認できる。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
(注)表中の成分は以下のものである。なお、(D)のモノエタノールアミンは(a−2)成分由来のアルカノールアミンを含む量として記載している。
【0063】
(A)成分
(a−1)成分
(a−1−1):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが平均1.5、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−1−2):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが平均0.5、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−1−3):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが平均3、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−1−4):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがEO平均2モルとPO平均2モルのランダム配列(lが平均4)、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−1−5):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが平均1.5、Gがグルコース残基、mが平均3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−1−6):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、lが0、Gがグルコース残基、mが平均1.3、Xが−(PO)s−H、sが平均1.5、nが平均1.3の非イオン界面活性剤
(a−1−7):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、lが0、Gがグルコース残基、mが平均1.3、Xがプロピル基、nが平均1.3の非イオン界面活性剤
(a−1−8):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、lが平均1.5、Gがグルコース残基、mが平均1.3、Xが−(PO)s−H、sが平均1.5、nが平均1.3の非イオン界面活性剤
(a−1−9):一般式(II)中のR2が炭素数11のアルキル基と炭素数13のアルキル基の混合、pが平均1.5、Gがグルコース残基、qが平均1.3、rが0の非イオン界面活性剤
(a−1−10):一般式(II)中のR2が炭素数11のアルキル基と炭素数13のアルキル基の混合、pが0、Gがグルコース残基、qが平均1.3、Xがプロピル基、rが平均1の非イオン界面活性剤
【0064】
(a−2)成分
(a−2−1):炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸
(a−2−2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(炭素数10〜14の直鎖アルキル、EO平均付加モル数3、モノエタノールアミン塩、但し表に記載の濃度は酸型に換算)
(a−2−3):ルナックL−55(商品名)(ヤシ油系脂肪酸;花王株式会社製)
【0065】
(a−3)成分
(a−3−1):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが0、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−3−2):一般式(II)中のR2が炭素数11のアルキル基と炭素数13のアルキル基の混合、pが0、Gがグルコース残基、qが平均1.3、rが0の非イオン界面活性剤
(a−3−3):一般式(I)中のR1が炭素数12のアルキル基と炭素数14のアルキル基の混合、AOがPO、lが平均7、Gがグルコース残基、mが平均1.3、nが0の非イオン界面活性剤
(a−3−4):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均12モル付加させたもの
(a−3−5):炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均7モル付加させたもの
(a−3−6):炭素数12〜14の2級アルコールにEOを平均3モル付加させたもの〔ソフタノール30(商品名)、株式会社日本触媒製〕
【0066】
(B)成分
(B−1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(B−2):プロピレングリコール
(B−3):トリエチレングリコールモノフェニルエーテル
(B−4):エタノール
(B−5):ポリエチレングリコール(重量平均分子量1000)
【0067】
ポリマー(1):特開平10−60476号公報の4頁段落0020の合成例1の方法で合成した高分子化合物
蛍光染料:チノパールCBS−X(商品名)(チバスペシャリティケミカルズ製)
酵素:エバラーゼ16.0L−EX(商品名)(プロテアーゼ、ノボザイム社製)
色素(1):緑色202号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a−1)成分及び(a−2)成分を含む(A)成分、下記(B)成分、並びに、下記(C)成分を含有し、(A)成分中(a−1)成分が50質量%以上であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比が(a−1)/(a−2)=50/50〜99/1である、液体洗浄剤組成物。
(A)成分:界面活性剤 40〜90質量%
(a−1)成分:下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤及び下記一般式(II)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる非イオン界面活性剤
1−O−(AO)l−(G)m−(X)n (I)
2−COO−(AO)p−(G)q−(X)r (II)
(式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基、R2は炭素数7〜21の鎖式炭化水素基、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、l及びpはAOの平均付加モル数を表し、それぞれ0〜5、m及びqはGの平均糖縮合度を表し、それぞれ1〜10、Xは炭素数1〜22の鎖式炭化水素基、炭素数2〜22のアシル基又は−(AO)s−Hを表し、sはAOの平均付加モル数を表し0.1〜10、n及びrはGに結合するXの平均数を表し、nは0〜(2×m)、rは0〜(2×q)である。なお、lとnは同時に0になることは無い。また、pとrは同時に0になることは無い。)
(a−2)成分:陰イオン界面活性剤
(B)成分:水混和性有機溶剤 1〜40質量%
(C)成分:水 5〜50質量%
【請求項2】
請求項1記載の液体洗浄剤組成物から調製した洗浄媒体を用いて、浴比2〜12L/kgで繊維製品を洗浄する工程を有する、洗濯方法。

【公開番号】特開2011−26430(P2011−26430A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172868(P2009−172868)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】