説明

液体消費装置及び液体収容容器

【課題】小型化が可能な液体消費装置及び液体収容容器を提供すること。
【解決手段】液体が消費される液体消費部と、前記液体を収容すると共に表面に所定形状の位置規制孔を有する液体収容容器が着脱可能に装着され、前記液体消費部に前記液体を供給する容器装着部と、前記容器装着部に設けられ、前記所定形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記液体収容容器の装着位置を規制する位置規制部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体消費装置及び液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置の一種としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という)がある。このプリンターは、キャリッジに搭載された液体噴射ヘッド(以下、「ヘッド」という)の複数のノズルからプラテン上に配置された記録媒体にインク(液体)を噴射することで印刷を行っている。
【0003】
このようなプリンターにあっては、複数のインクカートリッジが着脱可能となるようにカートリッジホルダーに支持され、ヘッドに対して各色のインクが供給されるように構成されている。また、各インクカートリッジに収容されたインクの種類、インクの色、インクの残量等の情報を、インクカートリッジ側に持たせ、プリンター本体との間で前記情報の授受を行うことにより、印刷動作の管理がなされている。
【0004】
例えば、複数設けられるカートリッジホルダーに、異なる種類若しくは異なる色のインクを収容するインクカートリッジが誤って装着されないように、インクカートリッジ及びプリンター本体には、誤挿入防止機構(例、開口部、爪部など)が形成されている。また、これとは別に、装着されたインクカートリッジの位置がずれないように、インクカートリッジ及びプリンター本体には、位置規制機構(例、孔部、挿入用ピン)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−152297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクカートリッジやプリンター本体に上記のような誤挿入防止機構や位置規制機構などが配置されていると、その分スペースが必要になるため、小型化しづらいという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明は、小型化が可能な液体消費装置及び液体収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液体消費装置は、液体が消費される液体消費部と、前記液体を収容すると共に表面に所定形状の位置規制孔を有する液体収容容器が着脱可能に装着され、前記液体消費部に前記液体を供給する容器装着部と、前記容器装着部に設けられ、前記所定形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記液体収容容器の装着位置を規制する位置規制部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、位置規制部が、所定形状の位置規制孔に挿入され、かつ、所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制されるため、位置規制部において、液体収容容器の装着位置を規制することができると共に、所定形状の位置規制孔以外の孔に誤って挿入される(誤挿入)状態を防ぐことができる。このように、液体収容容器の位置規制と誤挿入防止とを一の場所にて行うことができる。これにより、装着位置の規制機構と、誤挿入防止機構とを別個に設けずに済むため、液体消費装置の小型化が可能となる。
【0010】
上記の液体消費装置は、前記液体は、種類の異なる第一液体及び第二液体を含み、前記容器装着部は、前記第一液体を収容し第一形状の前記位置規制孔を有する第一液体収容容器が着脱可能な第一装着部と、前記第二液体を収容し前記第一形状とは異なる第二形状の前記位置規制孔を有する第二液体収容容器が着脱可能な第二装着部と、を有し、前記位置規制部は、前記第一装着部に設けられ、前記第一形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記第一形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記第一収容容器の装着位置を規制する第一規制部と、前記第二装着部に設けられ、前記第二形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記第二形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記第二収容容器の装着位置を規制する第二規制部と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、液体収容容器として第一液体を収容する第一収容容器と、第二液体を収容する第二収容容器とを用いる場合において、当該第一収容容器及び第二収容容器のそれぞれについて、装着位置の規制と誤挿入の防止とを図ることができ、更には液体収容容器間での誤挿入を防ぐことができる。
【0011】
上記の液体消費装置は、前記位置規制部は、前記位置規制孔の配置に対応する位置に設けられた位置規制ピンを有し、前記位置規制ピンは、前記所定形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成された挿入調整部を有することを特徴とする。
このような構成によれば、位置規制ピンが所定形状の位置規制孔に挿入され、かつ、所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成された挿入調整部を有することとしたので、位置規制ピンにおいて、液体収容容器の装着位置を規制することができると共に、所定形状の位置規制孔以外の孔に誤って挿入されるのを防ぐことができる。このように、一部材で装着位置の規制及び誤挿入防止を図ることができるため、液体消費装置の小型化が可能となる。
【0012】
上記の液体消費装置は、前記容器装着部は、前記液体収容容器の内部に設けられ前記液体を収容する液体収容室に挿入され、前記液体収容室と前記液体消費部とを接続する液体供給針、を有し、前記位置規制ピンは、前記液体供給針を挟む位置に複数設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、容器装着部には液体収容容器の液体収容室に挿入され液体収容室と液体消費部とを接続する液体供給針が設けられており、位置規制ピンが当該液体供給針を挟む位置に複数設けられているため、より正確に液体収容容器の位置を規制することができると共に、位置規制ピンが挿入されるのを防ぐことができる。
【0013】
上記の液体消費装置は、前記挿入調整部は、前記位置規制ピンの先端部分から外れた位置に設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、挿入調整部が位置規制ピンの先端部分から外れた位置に設けられているため、まず位置規制ピンの先端部分による装着位置の規制が行われた後、挿入調整部による誤挿入の防止が行われることになる。このように装着位置の規制と誤挿入の防止とが二段階で行われるため、誤挿入防止をより正確に防ぐことができる。
【0014】
上記の液体消費装置は、前記挿入調整部は、前記位置規制ピンの延在方向において前記液体供給針の先端部分と前記位置規制ピンの先端部分との間の位置に先端部分が設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、液体収容容器を装着する際に、まず位置規制ピンの先端部分において装着位置が規制され、次に挿入調整部によって誤挿入が防止され、その後液体の供給が行われることになる。これにより、不具合の発生を極力回避しつつ、液体消費装置に液体を供給することができる。
【0015】
本発明に係る液体収容容器は、液体を消費する液体消費装置に装着される液体収容容器であって、前記液体を収容する収容室を内部に有すると共に、前記収容室に収容される前記液体を前記液体消費装置に供給する液体供給口を表面に有する容器本体と、前記容器本体の前記表面に設けられ、前記収容室に収容される前記液体の種類に応じた形状に形成され、前記液体消費装置に装着された状態での装着位置を規制するための位置規制孔とを備えることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、容器本体の表面には、収容室に収容される液体の種類に応じた形状に形成され液体消費装置に装着された状態での装着位置を規制するための位置規制孔が設けられているため、当該位置規制孔において液体収容容器の装着位置を規制することができると共に、液体収容容器が液体消費装置のうち所望の位置とは異なる位置に装着されるのを防ぐことができる。このように、位置規制孔により、装着位置の規制と、誤挿入防止とを図ることができるため、装着位置の規制機構と、誤挿入防止機構とを別途に設ける必要が無く、液体収容容器の小型化を図ることができる。
【0017】
上記の液体収容容器は、前記位置規制孔は、前記液体供給口を挟む位置に複数設けられていることを特徴とする。
このような構成によれば、位置規制孔が液体供給口を挟む位置に複数設けられているため、より正確に液体収容容器の位置を規制することができると共に、液体収容容器が液体消費装置のうち所望の位置とは異なる位置に装着されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の正面の構成を示す概略斜視図。
【図2】印刷装置の背面の構成を示す概略斜視図。
【図3】印刷装置の内部構成を示す概略断面図。
【図4】カートリッジホルダーの構成を示す斜視図。
【図5】カートリッジホルダーの一部の構成を示す図。
【図6】カートリッジホルダーの一部の構成を示す図。
【図7】位置規制ピンの構成を示す斜視図。
【図8】カートリッジホルダーの一部の構成を示す図。
【図9】インクカートリッジの斜視図。
【図10】インクカートリッジの分解斜視図。
【図11】インクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図12】回路基板及びその取付部を示す概略断面図。
【図13】インクカートリッジの装着の様子を示す工程図。
【図14】同、工程図。
【図15】同、工程図。
【図16】同、工程図。
【図17】カートリッジホルダー及びインクカートリッジの他の構成を示す図。
【図18】カートリッジホルダー及びインクカートリッジの他の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0020】
図1は、本実施形態に係る印刷装置1の正面側の構成を示す概略斜視図である。図2は、印刷装置1の背面の構成を示す概略斜視図である。
以下、図1に示したXYZ直交座標系に基づいて説明する。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向は印刷装置1が設置される面方向と平行となっており、Z方向は印刷装置1が設置される面方向と直交している。実際には、XY平面は水平面に平行な面に設定されており、Z方向は鉛直上方向に設定されている。ここでは、カートリッジホルダー(容器ホルダー)80にインクカートリッジ(液体収容容器)90が装着される装着方向がY方向(−Y方向)、液体噴射ヘッド21aの走査方向がX方向に設定されている。
【0021】
図1に示すように、印刷装置1は、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙に記録するインクジェット方式のラージフォーマットプリンター(LFP)であり、プリンター本体(液体噴射装置)2と、脚部3とを備えた構成になっている。この印刷装置1は、プリンター本体2に対して脚部3が取り外し可能に固定されている。以下、印刷装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明する。
【0022】
印刷装置1は、インク(液体)を噴射する液体噴射ヘッド21aと、前記インクを収容するインクカートリッジ90(インクカートリッジ本体91)(図9参照)と、インクカートリッジ90を着脱自在に装着するカートリッジホルダー80と、カートリッジホルダー80にインクカートリッジ90が装着される装着方向(以下、装着方向と呼ぶ)に沿うインクカートリッジ90の側面に移動可能に設けられた回路基板100(図9参照)と、装着方向に平行なカートリッジホルダー80の側面に取り付けられたコネクタ端子110と、カートリッジホルダー80に設けられるとともに、カートリッジホルダー80にインクカートリッジ90を装着する際に、回路基板100をコネクタ端子110から離間した位置からコネクタ端子110に接触する位置まで移動させる位置規制ピンPN(図5参照)と、を備えて構成されている。
【0023】
なお、インクカートリッジ90は、インクカートリッジ本体91と、回路基板100と、を備えて構成され、印刷装置1に使用される。また、プリンター本体2は、液体噴射ヘッド21aと、カートリッジホルダー80と、コネクタ端子110と、位置規制ピンPNと、を備えて構成され、印刷装置1に使用される。つまり、プリンター本体2は、印刷装置1のうちインクカートリッジ90を除いた装置である。
【0024】
また、プリンター本体2は、給紙部10、記録部20及び排紙部30を備えている。給紙部10は、記録部20の上部に設けられており、背面側(+Y方向側)に突出するように設けられている。給紙部10には、ロール紙ホルダー11と、ロール紙カバー12とが設けられている。
【0025】
ロール紙ホルダー11は、1本のロール状の記録用紙(以下、ロール紙という)を設置する部分であり、給紙部10の内部に設けられている。このロール紙ホルダー11は、スピンドル部13及びスピンドル受部14,15を備えている。スピンドル部13は、ロール紙を保持する軸部材でありX方向に延在している。スピンドル部13にはロール紙押さえ部が設けられている。これにより、スピンドル部13に保持されたロール紙は両側から押さえられて位置がずれないようになっている。スピンドル受部14,15は、スピンドル部13を回転可能に支持する軸受部である。
【0026】
ロール紙カバー12は、跳ね上げ式の開閉可能なカバー部材であり、給紙部10の外側に取り付けられている。このロール紙カバー12は、全体が回動可能に支持されている。
ロール紙カバー12の下部を押し上げることで開状態としたり、押し下げることにより閉状態としたりすることが可能になっている。図1においてはロール紙カバー12が開状態となっている。ロール紙カバー12は、閉状態でロール紙ホルダー11を覆うようになっている。
【0027】
記録部20は、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、フレキシブルフラットケーブル(FFC)23、カートリッジホルダー(容器ホルダー)80、インクチューブ25、蓋部材26、操作パネル27、キャッピング機構28、及び廃液回収部29を備えている。また、記録部20は、これらの他にも印刷装置1の各構成部品の動作を制御する制御部70(図3参照)、紙送りローラー(図示略)などを備えている。
【0028】
キャリッジ21は、液体噴射ヘッド21aを保持する保持部材であり、キャリッジ移動機構22によって主走査方向(X方向)に移動可能になっている。液体噴射ヘッド21aは、ブラックインクを吐出するブラックインク用液体噴射ヘッドと、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等の各色のインクを吐出する複数のカラーインク用液体噴射ヘッドとを有している。この液体噴射ヘッド21aは、圧力発生室と当該圧力発生室に繋がるノズル開口とを備えている。圧力発生室にはインクが貯留されるようになっている。そして、インクが貯留された状態で当該圧力発生室内を所定圧で加圧することにより、ノズル開口からロール紙に向けてインク滴が噴射されるようになっている。
【0029】
キャリッジ移動機構22は、レール22aとキャリッジベルト22bとを有している。
キャリッジベルト22bにはキャリッジ21が連結されている。キャリッジベルト22bが主走査方向に移動することでキャリッジ21がレール22aに案内されて主走査方向に往復移動するようになっている。
【0030】
FFC23は、液体噴射ヘッド21aと制御部70とを電気的に接続するケーブルであり、一方の端部が液体噴射ヘッド21aのコネクタに接続されると共に他方の端部が制御部70のコネクタに接続された構成になっている。このFFC23を介して、制御部70からの記録信号が液体噴射ヘッド21aに伝達されるようになっている。
【0031】
カートリッジホルダー80は、内部にインクカートリッジ90(図9参照)を備えている。インクカートリッジ90は、上記液体噴射ヘッド21aから噴射される各色(ブラック、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等)のインクを収容するカートリッジである。
【0032】
インクチューブ25は、液体噴射ヘッド21aと上記インクカートリッジ90をつなぐチューブ部材であり、上記色毎に別個に設けられている。インクチューブ25には図示しないインク加圧供給機構が接続されている。これにより、当該インク加圧供給機構によって加圧された各色のインクが各インクカートリッジ90から液体噴射ヘッド21aへと送出されるようになっている。
【0033】
蓋部材26は、前蓋26aと、上蓋26bとを有している。前蓋26aは記録部20の正面に設けられており、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、インクチューブ25などを覆うようになっている。この前蓋26aを押し下げることで開状態としたり、押し上げることで閉状態としたりすることが可能に構成されている。図1では、前蓋26aは開状態になっている。上蓋26bは記録部20の上部に設けられており、不図示の給紙ローラーなどを覆うようになっている。この上蓋26bを押し上げることで開状態としたり、押し下げることで閉状態としたりすることが可能に構成されている。図1では、上蓋26bは閉状態になっている。
【0034】
操作パネル27は、印刷装置1を操作するための操作部であり、記録部20の上蓋26bの図中右側(+X方向側)に設けられている。この操作パネル27は、例えば液晶装着などからなる表示画面27aと、各種ボタン(図示略)とが設置されており、表示画面を確認しながらボタン操作できるようになっている。操作パネル27の表示画面27aには、例えば印刷動作に関する情報や、インクの交換に関する情報、廃液回収部29に供給されているインクの量に関する情報などが表示されるようになっている。
【0035】
キャッピング機構28は、図2に示すように、液体噴射ヘッド21aのノズル開口近傍のインク粘度が上昇するのを防止するためのメンテナンス機構である。キャッピング機構28には吸引機構が取り付けられており、ノズル開口に付着したインクを吸引できるようになっている。
【0036】
廃液回収部29は、例えばキャッピング機構28によって吸引されたインクや、液体噴射ヘッド21aに初期充填する際に使用されるインク、液体噴射ヘッド21aに至るインク供給系を洗浄する際に使用される洗浄液などの廃液が供給される部分である。この廃液回収部29は、図2に示すようにプリンター本体2の背面側(+Y方向側)、キャッピング機構28の下方に設けられている。この廃液回収部29には、廃液ユニット60が着脱可能に装着されている。
【0037】
排紙部30は、記録部20の下側に設けられており、排紙ローラー(図示略)と、排紙ガイド31bとを有している。排紙ローラーはロール紙に当接可能に設けられており、当該排紙ローラーを介してロール紙が副走査方向(主走査方向の直交方向)へ送出されるようになっている。排紙ガイド31bは記録部20の正面側(−Y方向側)に突出するように設けられており、当該排紙ガイド31bを介してロール紙が副走査方向へ導かれるようになっている。
【0038】
脚部3は、移動用のコロ41を有する2本の支持柱42と、これらの支持柱42の間に掛け渡されている補強棒43とを備えている。支持柱42の上部には記録部20がネジ止め固定されている。支持柱42の間には、排紙部30から排出されてくるロール紙を受ける紙受け装着が配置されるように所定のスペースが設けられている。
【0039】
図3は、印刷装置1の内部構成を示す概略断面図である。
図3に示すように、給紙部10から記録部20を経て排紙部30へ向かう用紙搬送経路50は、印刷装置1の上部後面側(+YZ方向側)から下部前面側(−YZ方向)にかけて傾斜して設けられている。この用紙搬送経路50は、給紙部10から記録部20にかけて配設された平坦な給紙ガイド51、対向配置された接触・離間可能な紙送りローラー52及び従動ローラー53、キャリッジ21に搭載された液体噴射ヘッド21aと対向配置された平坦な用紙搬送案内部であるプラテン54、記録部20から排紙部30にかけて設けられた平坦な紙吸引部55、排紙部30に設けられた排紙ガイド31bを備えている。
【0040】
給紙ガイド51、排紙ガイド31bの各表面は、用紙搬送面として作用する。紙吸引部55の表面は、用紙搬送面及び用紙吸引面として作用する。この紙吸引部55は、主走査方向に複数並設され、副走査方向に3列配設された吸引口(媒体吸引部)55a、55b、55cを備えている。記録部20の内部に設けられたファン57により外気が各吸引口55a、55b、55cから吸引されることにより、紙吸引部55上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。
【0041】
プラテン54の表面は、用紙搬送案内面として作用すると共に用紙吸引面としても作用する。このプラテン54は、主走査方向に交互に複数並設された吸引口54aを備えており、記録部20の内部に配設されたファン57により外気が各吸引口54aから吸引されることにより、プラテン54上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。従って、記録時において特にロール紙の幅が広くてもロール紙はプラテン54上で全幅にわたって確実に吸引されて略平坦になる。
【0042】
プラテン54と吸引部55との間には隙間56が設けられており、ファン57によって外気が隙間56から吸引され、隙間56上を搬送されるロール紙を吸着するようになっている。このプラテン54は、ロール紙の幅方向のサイズに対応させて分割、例えば4インチの幅で7つに分割されている。各分割部には例えばスポンジや不織布等のインク吸収材が設けられている。
【0043】
図4は、液体収容容器を装着するカートリッジホルダー80の斜視図である。図5は、図4に示したカートリッジホルダー80の正面図である。なお、図5はカートリッジホルダー80の正面図である。また、図6は位置規制ピンPNの拡大正面図である。
【0044】
図4及び図5に示すように、カートリッジホルダー80は、L字状のホルダー本体81と、U字状の枠体82とを備えて構成されている。枠体82は、一対の支持側壁82a,82aと、支持側壁82a,82aの上端縁を連結する天壁82bと、を備えている。
【0045】
ホルダー本体81は、平面視矩形状の基板81aと、基板81aの+Y側に配置された壁体81bと、を備えている。基板81aは、インクカートリッジ90がカートリッジホルダー80に装着された場合に、各インクカートリッジ90を並列して載置するための支持台である。基板81a上には、複数のガイドレール83がY方向と平行に延在して列設されている。
【0046】
ガイドレール83は、インクカートリッジ90をカートリッジホルダー80に着脱する際に、インクカートリッジ90を案内するものである。カートリッジホルダー80の内部は、ガイドレール83によって、5つのカートリッジスロット89A、89B、89C、89D、89Eに区画されている。カートリッジスロット89A〜89Eは、それぞれ各色のインクカートリッジ90を個別に収容する容器装着部として機能する。
【0047】
壁体81bは+Y方向側に開口しており、その上端には矩形状の天板81cが取り付けられている。また、壁体81bには、スライダー部材84が設けられている。スライダー部材84は、図示しない付勢手段によって、前方(+Y方向)、すなわちインクカートリッジ90の装着方向(−Y方向)とは反対の方向に付勢されている。スライダー部材84の奥端面(XZ面)84aは、カートリッジスロット89A〜89Eの装着方向下流側(−Y方向側)の端部が当接する面である。スライダー部材84は、インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに装着されていない時は、付勢手段の力によって、前方側(+Y方向側)に位置している。
【0048】
インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに挿入されると、スライダー部材84は、インクカートリッジ90の先端面(装着方向下流側の面)に押されながら、後方(−Y方向)に移動する。インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに完全に装着されると、スライダー部材84は、所定の位置で停止する。スライダー部材84は、インクカートリッジ90をカートリッジスロット89A〜89Eに装着されている時も、付勢手段の力によって、装着されたインクカートリッジ90に対して、その装着方向とは反対の方向への付勢力を常時付与している。この付勢力は、インクカートリッジ90をカートリッジスロット89A〜89Eから取り外すときに、インクカートリッジ90を前方へ押し出すように作用する。
【0049】
各カートリッジスロット89A〜89Eの壁体81bには、二本の位置規制ピンPN、エア連絡口86、インク供給針87が設けられている。また、各カートリッジスロット89A〜89Eの壁体81bには、インクカートリッジ90に移動可能に設けられた回路基板100(図9参照)と電気的に接続されるコネクタ端子110が固定されている。位置規制ピンPNは、カートリッジスロット89A〜89Eのそれぞれに、インク供給針87及びエア連絡口86を挟む位置に設けられている。
【0050】
エア連絡口86は、各カートリッジスロット89A〜89Eの下側の位置規制ピンPNに近接して設けられている。エア連絡口86は、各インクカートリッジ90の位置規制孔98及び位置規制孔99に挿入される上下一対の位置規制ピンPN及びインクカートリッジ90に空気を供給するためのものである。
【0051】
位置規制ピンPNは、インクカートリッジ90の位置を規制する。つまり、位置規制ピンPNは、コネクタ端子110に対して離れた位置から当該コネクタ端子110に接触する位置まで回路基板100を案内するとともに、インクカートリッジ90に挿入されることで当該インクカートリッジ90の装着位置が変動しないように規制する。
【0052】
インク供給針87は、各カートリッジスロット89A〜89Eにおいて例えば+Z側の位置規制ピンPNに近接した位置に設けられている。インク供給針87は、インクチューブ25(図1参照)に接続されている。インク供給針87は、先端部分がインクカートリッジ90に挿入されるようになっている。インクカートリッジ90に収容されたインクは、インク供給針87からインクチューブ25(図1参照)に供給され、当該インクチューブ25を介して液体噴射ヘッド21a(図1参照)へと供給されるように構成されている。
【0053】
コネクタ端子110は、インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに装着された時に、インクカートリッジ90に設けられた回路基板100と接触して導通接続するようになっている。
【0054】
図6は、カートリッジスロット89A〜89Eを−Y方向に見たときの構成を示す図である。図7は、位置規制ピンPNの構成を示す斜視図である。図8は、図5におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。
【0055】
図6〜図8に示すように、カートリッジスロット89A〜89Eに配置された位置規制ピンPN(PN1〜PN5)は、それぞれ本体部95aと、凸部(挿入調整部)95bと、を備えている。各位置規制ピンPN1〜PN5は、本体部95aが円柱状に形成されており、凸部95bは角柱状に形成されている。
【0056】
位置規制ピンPN1〜PN5の外周面には、それぞれ2つの凸部95bが設けられている。凸部95bのうち一方は、例えば位置規制ピンPN1〜PN5の図中上側(+Z側)に配置されている。凸部95bのうち他方は、例えば位置規制ピンPN1〜PN5によってそれぞれ異なる位置に配置されている。
【0057】
具体的には、位置規制ピンPN1の他方の凸部95bに対して、位置規制ピンPN2の他方の凸部95bが60°反時計回りの方向にずれた位置に配置されている。同様に、他方の凸部95bは、位置規制ピンPN3、位置規制ピンPN4及び位置規制ピンPN5に向かうに従って60°ずつ反時計回りの方向にずれた位置に配置されている。
【0058】
このため、位置規制ピンPN1〜PN5は、凸部95bの配置及び形状を含めた全体の形状がそれぞれ異なるように形成されている。なお、凸部95bの配置については、上記構成に限られることは無く、他の配置であっても構わない。また、凸部95bの個数は2つに限られず、1つ若しくは3つ以上であっても構わない。
【0059】
図7に示すように、位置規制ピンPN(PN1〜PN5)の先端部分95c(+Y側の端部)は、例えば先細りの形状(テーパー形状)に形成されている。2つの凸部95bは、それぞれ位置規制ピンPN(PN1〜PN5)の先端部分95cから外れた位置に形成されている。
【0060】
図8に示すように、位置規制ピンPN及びインク供給針87は、ホルダー本体81の壁体81bに取り付けられている。位置規制ピンPNのY方向の寸法L1は、インク供給針87のY方向の寸法L3よりも長くなっている。また、位置規制ピンPNに設けられる2つの凸部95bは、例えばY方向に同一の寸法となるように形成されている。この2つの凸部95bのY方向の寸法Lは、位置規制ピンPNのY方向の寸法よりも短く、かつ、インク供給針87のY方向の寸法L3よりも長くなっている(L1>L2>L3)。
【0061】
図9は、インクカートリッジ90の斜視図である。図10は、図9に示したインクカートリッジ90の分解斜視図である。
図9及び図10に示すように、インクカートリッジ90は、扁平な略直方体のインクカートリッジ本体(液体収容容器)91と、回路基板100と、を備えている。インクカートリッジ本体91の内部には、上部を開放した略箱形の袋体収容部91aと、この袋体収容部91aの前面側(−Y方向側)に位置する検出ユニット収容部91bが形成されている。袋体収容部91aには、液体収容室としてのインクパック92が収容される。また、検出ユニット収容部91bには、インク供給口93a(液体供給口)が設けられた液体残量検出ユニット93が収容される。
【0062】
液体残量検出ユニット93は、インクカートリッジ本体91に対して着脱可能となっている。この、液体残量検出ユニット93には、図示しない残量検出センサー(圧電素子を用いたセンサー)が設けられている。残量検出センサーは、インクカートリッジ90内のインクの残量を検出するためのセンサーである。
【0063】
また、インクカートリッジ本体91には、袋体収容部91a及び検出ユニット収容部91bを覆ってカバー96が装着される。なお、インクカートリッジ90は、例えば縦置きでカートリッジスロット89A〜89Eに装着されるようになっている。
【0064】
インクカートリッジ90の先端面(−Y側の面)90fには、インク供給口93aと、エア流入口97と、位置規制孔98及び99とが設けられている。インク供給口93aはインクパック92のインク吐出口92aに接続されている。位置規制孔98及び99は、インク供給口93aを挟む位置に配置されている。例えば図9及び図10では、位置規制孔98及び99は、Z方向にインク供給口93aを挟む位置に配置されている。
【0065】
ここで、インクパック92から液体噴射ヘッド21aへのインクの供給について説明する。インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに装着されると、インク供給口93aに、上述したインク供給針87が挿入される。インク供給針87は、インクチューブ25を介して液体噴射ヘッド21aに接続されている。
【0066】
また、インクカートリッジ90がカートリッジスロット89A〜89Eに装着されると、エア流入口97が、上述したエア連絡口86に挿入される。エア連絡口86は、不図示の加圧空気供給路を介して加圧ポンプに接続されている。加圧ポンプが、加圧空気供給路、エア連絡口86、エア流入口97を介して、袋体収容部91aに加圧空気を供給することで、インクパック92が加圧される。インクパック92が加圧されることにより、インクパック92のインク吐出口92aから流出するインクが、インク供給口93aを介して液体噴射ヘッド21aへと供給される。また、インクカートリッジ90の先端面(−Y方向側の面)には、互いに離間して一対の位置規制孔98及び99が設けられている。
【0067】
図11(a)〜図11(e)は、インクカートリッジ90の先端面90fのうち位置規制孔98の周辺の構成を示す図である。図11(a)はカートリッジスロット89Aに装着されるインクカートリッジ90A、図11(b)はカートリッジスロット89Bに装着されるインクカートリッジ90B、図11(c)はカートリッジスロット89Cに装着されるインクカートリッジ90C、図11(d)はカートリッジスロット89Dに装着されるインクカートリッジ90D、図11(e)は、カートリッジスロット89Eに装着されるインクカートリッジ90Eについてそれぞれ示している。
【0068】
本実施形態では、インクカートリッジ90として、例えばインクカートリッジ90A〜90Eの5種類が用いられている。5種類のインクカートリッジ90A〜90Eの各インクパック92内には、それぞれ異なる5色のインクが貯留されている。図11(a)〜図11(e)に示すように、これら5種類のインクカートリッジ90は、インクパック92の内部に貯留されているインクの種類と上述した位置規制孔98及び99の形状が互いに異なっている。
【0069】
位置規制孔98及び99は、各カートリッジスロット89A〜89Eの位置規制ピンPN1〜PN5の形状に対応する形状に形成されている。図11(a)〜図11(e)に示すように、位置規制孔98の形状は、装着されるカートリッジスロット89A〜89Eによって異なっている。なお、同一のインクカートリッジ90に形成される位置規制孔98及び99は、例えば同一の形状に形成されている。以下、図11(a)〜図11(e)について言及する際、位置規制孔98の構成を代表させて説明するが、位置規制孔99についても同様の説明が可能である。勿論、位置規制孔98の構成と位置規制孔99の構成とが異なる構成であっても構わない。
【0070】
図11(a)〜図11(e)に示すように、位置規制孔98の形状は、上記の位置規制ピンPN1〜PN5の形状に対応するように形成されている。具体的には、位置規制孔98は、位置規制ピンPN1を+Y方向に見たときの当該位置規制ピンPN1の輪郭に一致する形状に形成されている。このため、例えばカートリッジスロット89Aに装着されるインクカートリッジ90Aの位置規制孔98Aには、当該カートリッジスロット89Aの位置規制ピンPN1が挿入されるようになっている。
【0071】
同様に、位置規制孔98B〜98Eは、それぞれ位置規制ピンPN2〜PN5を+Y方向に見たときの当該位置規制ピンPN2〜PN5の輪郭にそれぞれ一致する形状に形成されている。このため、カートリッジスロット89B〜89Eに装着されるインクカートリッジ90B〜90Eの位置規制孔98B〜98Eには、当該カートリッジスロット89B〜89Eの位置規制ピンPN2〜PN5がそれぞれ挿入されるようになっている。
【0072】
また、各位置規制ピンPN1〜PN5は、それぞれ対応する一種類のインクカートリッジ90A〜90Eの位置規制孔98A〜98Eとのみ嵌合することができるようになっており、他の種類のインクカートリッジ90の位置規制孔98A〜98Eとは嵌合できない形状となっている。
【0073】
インクカートリッジ90に形成される位置規制孔98及び99の形状は、当該インクカートリッジ90に収容されるインクの種類に応じて異なるように形成されている。このため、カートリッジスロット89A〜89Eのそれぞれにおいて、予め設定された種類(色)とは異なる種類(色)のインクを収容するインクカートリッジ90が誤って装着されないようになっている。
【0074】
本実施形態の印刷装置1は、インクカートリッジ90の位置規制孔98A〜98Eと各位置規制ピンPN1〜PN5の凸部95bとの組み合わせによって、インクカートリッジ90の誤装着が生じないように形成されている。このように、位置規制ピンPN1〜PN5は、インクカートリッジ90の位置を規制しつつ、しかもインクカートリッジ90の誤挿入を防ぐように構成されている。
【0075】
図12は、回路基板100及びその取付部を示す概略断面図である。なお、本図は装着方向下流側(−Y方向側)に平行なインクカートリッジ90の側端部(+Z方向側の端部)を示している。図12に示すように、回路基板100は、回路素子部101と、回路基板本体104と、支持部106と、支持軸107と、ガイド部108と、を備えている。回路素子部101は、回路基板本体104の側端部(+Z方向側の端部)に形成された凹部101b内に取り付けられている。これにより、回路素子部101の位置決めがなされている。
【0076】
回路素子部101の表面(+Z方向側の面)には、コネクタ端子110(図8参照)と電気的に接続される電極パッド101aが形成されている。この電極パッド101aは、上述した残量検出センサーと電気的に接続されている。また、この電極パッド101aには回路パターン(図示略)が導通して形成されている。この回路パターンは、例えばソルダーレジスト膜(図示略)によって被覆されている。また、回路素子部101の裏面(−Z方向側の面)には、例えばEEPROM等のメモリ素子102が搭載されている。このメモリ素子102は、例えばインク残量やカートリッジの使用履歴等の情報を記録するためのものである。そして、メモリ素子102は、モールド樹脂103により回路素子部101の裏面に固着されている。
【0077】
回路基板100は、装着方向(−Y方向)に平行なインクカートリッジ90(インクカートリッジ本体91)の側面(+Z方向側の面)に移動可能に設けられている。この回路基板100は、支持部106を支持する支持軸107を中心軸として回動するようになっている。また、支持軸107はX方向に延在する棒状の部材であり、支持部106の中心部に位置している。また、支持軸107の両端は、インクカートリッジ本体91に固定されている。回路基板100は、カートリッジホルダー80にインクカートリッジ90を装着する際に、コネクタ端子110と接触する面が装着方向(−Y方向)に対して傾いた状態から装着方向に平行な状態に回転動作するようになっている。なお、図12においては、便宜上、回路基板100が装着方向に平行な状態を示している。
【0078】
ガイド部108は、回路基板本体104の側端部(−Z方向側の端部)に設けられている。また、ガイド部108の装着方向下流側の端部は傾斜したテーパ状になっている。回路基板100は、カートリッジホルダー80にインクカートリッジ90を装着する際に、ガイド部108に位置規制ピンPNが接触して移動することにより回転動作することになる。
【0079】
また、回路基板本体104の側端部(+Z方向側の端部)の装着方向下流側には、回路素子部101に近接して、回路基板100の表面側(+Z方向側)に突出する突起部105が形成されている。この突起部105は、回路素子部101の端部(−Y方向側の端部)が後述するコネクタ端子110に接触することを回避するために機能する。具体的には、回路基板本体104がガラスエポキシ等の材料により形成されている場合、コネクタ端子110が直接的に接触すると、回路素子部101の端部が欠ける等して損傷してしまう問題が生じる。このため、回路素子部101の端部がコネクタ端子110に接触しないような構成とされている。
【0080】
図8に示すように、コネクタ端子110は、装着方向に平行なカートリッジホルダー80の側面に取り付けられている。具体的には、コネクタ端子110は、壁体81bの−Y方向側の面にその基端が支持され、弾性的に揺動可能に取り付けられている。なお、コネクタ端子110は、例えば銅などの弾性金属材料によって形成されている。
【0081】
また、コネクタ端子110の表面(−Z方向側の面)には、回路基板100側の電極パッド101aと電気的に接続される接点部110aが形成されている。この接点部110aは、電極パッド101aに対応する位置に設けられている。なお、コネクタ端子110は不図示の配線を介してプリンター本体2側の制御回路に電気的に接続されている。
【0082】
インクカートリッジ90がカートリッジホルダー80に装着されると、回路基板100側の電極パッド101aがコネクタ端子110側の接点部110aに接触する。これにより、回路基板100を介して、メモリ素子102や残量検出センサーがプリンター本体2側の制御回路に電気的に接続され、メモリ素子102や残量検出センサーの動作をプリンター本体2側から制御することが可能となっている。
【0083】
次に、インクカートリッジ90をカートリッジホルダー80に装着する動作を説明する。図13〜図16は、カートリッジホルダー80にインクカートリッジ90を装着する様子を示す図である。
まず、図13に示すように、インクカートリッジ90の先端面90fをカートリッジホルダー80に向け、カートリッジスロット89A〜89Eのうち所定のカートリッジスロットにインクカートリッジ90を−Y方向に挿入する。
【0084】
次に、図14に示すように、インクカートリッジ90を所定距離だけ−Y方向に挿入すると、インクカートリッジ90の位置規制孔98及び99に位置規制ピンPNの先端部分95cが挿入される。位置規制ピンPNの先端部分95cは、+Y側に向けて先細りの形状に形成されているため、先端部分95cが位置規制孔98及び99に容易に挿入されることになる。
【0085】
この状態から、更にインクカートリッジ90を−Y方向に挿入すると、インクカートリッジ90が2つの位置規制ピンPNに案内されるように−Y側へ移動し、位置規制ピンPNの凸部95bがインクカートリッジ90の位置規制孔98及び99に到達する。本実施形態では、位置規制ピンPNの形状(例えば、凸部95bの配置)が、位置規制孔98及び99の形状に対応する形状であれば、図15に示すように、位置規制ピンPNの凸部95bが位置規制孔98及び99に挿入されていく。
【0086】
一方、位置規制ピンPNの形状が、例えば位置規制孔98及び99の形状に対応する形状ではない場合には、凸部95bが位置規制孔98及び99の入口に引っかかってしまう。このため、当該位置規制ピンPNの凸部95bと、カートリッジホルダー80の位置規制孔98及び99とによって、位置規制ピンPNの挿入が抑制されることになる。
【0087】
位置規制ピンPNの凸部95bが位置規制孔98及び99に挿入された場合、更にインクカートリッジ90を−Y方向に移動させると、インク供給針87がインク供給口93aに挿入され、インクカートリッジ90と液体噴射ヘッド21aとが接続される。この状態で、更にインクカートリッジ90を−Y方向に移動させると、図16に示すように、インクカートリッジ90が完全に装着された状態となる。
【0088】
図16に示す状態では、コネクタ端子110の接点部110aと、回路基板100の電極パッド101aとが接触し、コネクタ端子110と回路基板100とが電気的に接続される。これにより、回路基板100を介して、メモリ素子102や残量検出センサーがプリンター本体2側の制御回路に電気的に接続され、メモリ素子102や残量検出センサーの動作をプリンター本体2側から制御することが可能となる。また、インクカートリッジ90が各カートリッジスロット89A〜89Eに完全に装着されると、位置規制孔98及び99が、一対の位置規制ピンPNと嵌合した状態となる。このため、インクカートリッジ90の先端面に沿う方向の位置が決められ、インクカートリッジ90の移動が規制される。
【0089】
以上のように、本実施形態によれば、位置規制ピンPNが、所定形状の位置規制孔98及び99には挿入され、かつ、所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制されるため、位置規制ピンPNにおいて、インクカートリッジ90の装着位置を規制することができると共に、所定形状の位置規制孔98及び99以外の孔に誤って挿入される(誤挿入)状態を防ぐことができる。このように、インクカートリッジ90の位置規制と誤挿入防止とを一の場所にて行うことができる。これにより、装着位置の規制機構と、誤挿入防止機構とを別個に設けずに済むため、プリンター本体2の小型化が可能となる。
【0090】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、本実施形態では、回路基板100は、インクカートリッジ本体91の+Z方向側の端部に取り付けられているが、これに限らない。例えば、回路基板100は、インクカートリッジ本体91の−Z方向側の端部に取り付けられていてもよいし、インクカートリッジ本体91の+X方向側の端部もしくは−X方向側の端部に取り付けられていてもよい。すなわち、回路基板100は、装着方向に平行なインクカートリッジ本体91の側面に移動可能に設けられていればよい。
【0091】
また、本実施形態では、コネクタ端子110は、壁体81bの−Y方向側の面にその基端が支持されているが、これに限らない。例えば、コネクタ端子110は、天板81cの−Z方向側の面にその裏面(接点部110aが形成された側と反対側の面)が支持されていてもよい。すなわち、コネクタ端子110は、回路基板100が配置された位置に対応する位置であって、装着方向に平行なカートリッジホルダー80の側面に固定されていればよい。
【0092】
また、本実施形態では、位置規制ピンPNに設けられる挿入調整部が凸部95bである構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば図17に示すように、挿入調整部として、位置規制ピンPNのうち円柱状に形成された本体部95aの外周に凹部95dが形成された構成であっても構わない。この場合、インクカートリッジ90に形成される位置規制孔98(及び99)については、図17に示すような、当該位置規制ピンPNの形状に対応する形状に形成されていれば良い。
【0093】
また、本実施形態では、位置規制ピンPNの形状は、正面視において、本体部95aが円形であり、凸部95bが矩形となっているが、これに限らない。例えば、位置規制ピンPN(本体部95a、凸部95b)の形状は、円形、楕円形、矩形、星形などの種々の形状となっていてもよいし、これらの形状を組み合わせた形状となっていてもよい。
【0094】
例えば、図18には、位置規制ピンPNの断面形状が三角形である構成が示されている。この場合、カートリッジホルダー80に装着するインクカートリッジ90の種類(インクの種類)毎に、位置規制ピンPNの断面形状や各辺の長さ、回転方向における傾きなどを異なる構成とすることで、異なる種類のインクカートリッジ90の誤挿入を防ぐ構成とすることができる。なお、インクカートリッジ90に形成される位置規制孔98(及び99)の形状については、例えば図18に示すような、当該位置規制ピンPNの形状に対応する形状に形成されるようにする。
【符号の説明】
【0095】
PN(PN1〜PN5)…位置規制ピン 1…印刷装置 2…プリンター本体 21a…液体噴射ヘッド 25…インクチューブ 80…カートリッジホルダー 81…ホルダー本体 82…枠体 87…インク供給針 89A〜89E…カートリッジスロット 90(90A〜90E)…インクカートリッジ 90f…先端面 91…インクカートリッジ本体 91a…袋体収容部 92…インクパック 92a…インク吐出口 93a…インク供給口 93…液体残量検出ユニット 95a…本体部 95b…凸部 95c…先端部分 95d…凹部 98(98A〜98E)…位置規制孔 99…位置規制孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が消費される液体消費部と、
前記液体を収容すると共に表面に所定形状の位置規制孔を有する液体収容容器が着脱可能に装着され、前記液体消費部に前記液体を供給する容器装着部と、
前記容器装着部に設けられ、前記所定形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記液体収容容器の装着位置を規制する位置規制部と
を備える液体消費装置。
【請求項2】
前記液体は、種類の異なる第一液体及び第二液体を含み、
前記容器装着部は、
前記第一液体を収容し第一形状の前記位置規制孔を有する第一液体収容容器が着脱可能な第一装着部と、
前記第二液体を収容し前記第一形状とは異なる第二形状の前記位置規制孔を有する第二液体収容容器が着脱可能な第二装着部と
を有し、
前記位置規制部は、
前記第一装着部に設けられ、前記第一形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記第一形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記第一収容容器の装着位置を規制する第一規制部と、
前記第二装着部に設けられ、前記第二形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記第二形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成され、前記第二収容容器の装着位置を規制する第二規制部と
を有する
請求項1に記載の液体消費装置。
【請求項3】
前記位置規制部は、前記位置規制孔の配置に対応する位置に設けられた位置規制ピンを有し、
前記位置規制ピンは、前記所定形状の前記位置規制孔に挿入され、かつ、前記所定形状とは異なる形状の孔には挿入が抑制される形状に形成された挿入調整部を有する
請求項1又は請求項2に記載の液体消費装置。
【請求項4】
前記容器装着部は、前記液体収容容器の内部に設けられ前記液体を収容する液体収容室に挿入され、前記液体収容室と前記液体消費部とを接続する液体供給針、を有し、
前記位置規制ピンは、前記液体供給針を挟む位置に複数設けられている
請求項3に記載の液体消費装置。
【請求項5】
前記挿入調整部は、前記位置規制ピンの先端部分から外れた位置に設けられている
請求項3又は請求項4に記載の液体消費装置。
【請求項6】
前記挿入調整部は、前記位置規制ピンの延在方向において前記液体供給針の先端部分と前記位置規制ピンの先端部分との間の位置に先端部分が設けられている
請求項4又は請求項5に記載の液体消費装置。
【請求項7】
液体を消費する液体消費装置に装着される液体収容容器であって、
前記液体を収容する収容室を内部に有すると共に、前記収容室に収容される前記液体を前記液体消費装置に供給する液体供給口を表面に有する容器本体と、
前記容器本体の前記表面に設けられ、前記収容室に収容される前記液体の種類に応じた形状に形成され、前記液体消費装置に装着された状態での装着位置を規制するための位置規制孔と
を備える液体収容容器。
【請求項8】
前記位置規制孔は、前記液体供給口を挟む位置に複数設けられている
請求項7に記載の液体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−40711(P2012−40711A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182119(P2010−182119)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】