説明

液体混合物から標的分子を分離するための方法および装置

疑似移動床装置を使用して、液体混合物から標的分子を連続的に分離するための疑似移動床装置および方法を開示する。この疑似移動床システムは、直列に流体連通した複数のフィルターカートリッジモジュールを含む。各フィルターカートリッジモジュールは、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子を含む。各フィルターカートリッジモジュールは、フィルターカートリッジ出口およびフィルターカートリッジ入口と流体接続している再循環配管も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、合衆国法典第119条(e)に基づいて2004年10月1日に出願された米国仮出願第60/615,500号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、複数のカートリッジフィルターモジュールを含む疑似移動床を使用して液体混合物から標的分子を分離するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
たとえば、生体高分子などの標的分子は、生きている細胞の構成要素または産物であり、そのようなものとしては、たとえば、タンパク質、炭水化物、脂質、および核酸が挙げられる。これらの材料の検出および定量、ならびに単離および精製は、長い間、研究者の目的となっている。検出および定量は、たとえば、疾病などの種々の生理学的状態の指標として診断上重要である。生体高分子の単離および精製は、特定の生体高分子が不足する患者に投与する場合、またはある医薬品の生体適合性担体として使用する場合などの治療目的、ならびに生物医学的研究に使用する場合に重要である。化学反応を触媒することが可能な特殊なタンパク質である酵素などの生体高分子は、産業的にも有用であり;甘味料、抗生物質、ならびにエタノール、酢酸、リジン、アスパラギン酸などの種々の有機化合物、抗体およびステロイドなどの生物学的に有用な生成物を製造するために、酵素が単離され、精製されて、利用されている。
【0004】
インビボの天然の状態においては、これらの生体高分子の構造および対応する生物学的活性は、一般に、pHおよびイオン強度が非常に狭い範囲内で維持される。したがって、あらゆる、分離および精製の作業は、結果として得られる処理された生体高分子が有効性を有するようにするために、これらの要因を考慮する必要がある。
【0005】
クロマトグラフィーは、生物学的産物の混合物において実施可能な分離および精製の作業である。これは、気体または液体であってよい移動相と、固定相との間での溶質の交換に基づく技術である。溶液混合物の種々の溶質の分離は、各溶質の固定相との結合相互作用が異なるために実現され、移動相の解離または置換の作用が生じる場合、一般に、相互作用が弱い溶質と比較して、結合相互作用が強いほど保持時間が長くなり、これによって、分離および精製を行うことができる。
【0006】
最新の捕捉または精製クロマトグラフィーは、従来のカラム技術によって行われている。これらの技術は、下流精製においてボトルネックとなる重大な問題を有し、この技術を使用した処理能力は低い。これらの問題を軽減しようとする試みとしては、クロマトグラフィーカラムの直径の増加が挙げられるが、今度はこれによって、カラムを効率的かつ再現性良く充填することが困難となるために問題が発生する。カラム直径がより大きくなると、問題となるチャネリングの発生も増加する。また、従来のクロマトグラフィーカラムでは、特定の量を超える所望の生成物の破過点が検出されると、吸収作用が停止される。これによって、吸着媒体の動的または有効容量が、全体または静的能力を大きく下回るようになる。このような有効性の低下は、一部のクロマトグラフィー用樹脂が効果であることを考えると、経済的に重大な問題となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本発明は、疑似移動床システムを使用して、溶液混合物から標的分子を連続的に分離するための疑似移動床装置および方法に関する。この疑似移動床装置は、直列で流体連通した複数のフィルターカートリッジモジュールを含む。各フィルターカートリッジモジュールは、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子を含む。各フィルターカートリッジモジュールは、フィルターカートリッジ出口およびフィルターカートリッジ入口に流体接続している再循環配管も含む。
【0008】
一実施形態において、溶液混合物から標的分子を連続的に分離する方法は、複数のフィルターカートリッジモジュールを含む疑似移動床装置を提供するステップと、標的分子を含む溶液混合物を、複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップと、標的分子をある体積の固定相粒子に結合させて標的分子:固定相粒子生成物を形成するステップと、標的分子:固定相粒子生成物を含有する充填済みフィルターカートリッジモジュールを溶液混合物流から取り外すステップと、充填済みフィルターカートリッジ中の標的分子:固定相粒子生成物から標的分子を分離して、単離された標的分子生成物と再生済みフィルターカートリッジとを形成するステップと、再生済みフィルターカートリッジモジュールを溶液混合物流に加えるステップとを含む。各フィルターカートリッジモジュールは、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子と、フィルターカートリッジモジュール入口と、フィルターカートリッジモジュール出口と、フィルターカートリッジモジュール出口およびフィルターカートリッジモジュール入口を接続するフィルターカートリッジモジュール再循環配管とを含む。これらの複数のフィルターカートリッジモジュールは直列で流体接続している。溶液混合物流の再循環部分は、フィルターカートリッジモジュール出口からフィルターカートリッジモジュール入口に再循環され、溶液混合物の残りの部分は、次のフィルターカートリッジモジュール入口に流される。
【0009】
別の実施形態においては、溶液混合物から標的分子を連続的に分離する疑似移動床装置は、捕捉ゾーンと回収ゾーンとを含む。捕捉ゾーンは、第1の充填済みフィルターカートリッジモジュールと最終の再生済みフィルターカートリッジモジュールとを含む、直列に接続された複数のフィルターカートリッジモジュールを含む。第1の充填済みフィルターカートリッジモジュールは、溶液混合物供給源に接続され、最終の再生済みフィルターカートリッジモジュールは、標的分子をほとんど含まない溶液混合物容器に接続される。各フィルターカートリッジモジュールは、多孔質基材層と隣接し標的分子と結合することができるある体積の固定相粒子と、フィルターカートリッジモジュール入口と、フィルターカートリッジモジュール出口と、フィルターカートリッジモジュール出口をフィルターカートリッジモジュール入口に接続するフィルターカートリッジモジュール再循環配管とを含む。フィルターカートリッジモジュール出口は、引き続く下流のフィルターカートリッジモジュールのフィルターカートリッジモジュール入口にも接続される。回収ゾーンは、充填済みフィルターカートリッジモジュール中の標的分子をある体積の固定相粒子から分離して、再生済みフィルターカートリッジモジュールを形成するゾーンである。回収ゾーンは、少なくとも1つのフィルターカートリッジモジュールを含む。
【0010】
以上の本発明の要約は、開示されるすべての実施形態または本発明のすべての実施について説明することを意図するものではない。以下の図面、詳細な説明、および実施例によって、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0011】
添付の図面と関連する、以下の本発明の種々の実施形態の詳細な説明を考慮すれば、本発明をより十分に理解できるであろう。
【0012】
本発明は種々の修正および変形に適用可能であり、それらの具体例が図面によって示されており、これより詳細に説明する。しかし、説明される特定の実施形態に本発明が限定されることを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本発明の意図および範囲の中にあるすべての修正、同等物、および変形を含むことを意図している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に定義される用語について、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が使用されるのでなければ、これらの定義を適用すべきである。
【0014】
用語「濾過層」または「多孔質基材層」は、組み合わせると1枚のシートを形成することができる1つ以上の個別の層を含むことができ、平均孔径が1マイクロメートルを超え最大50マイクロメートルとなることができる、シート状の織布または不織布の多孔質材料を意味する。
【0015】
用語「複合濾過媒体」は、その上流面上に固定相粒子層を含む濾過層を意味し、この媒体は、最大0.25メガパスカル(MPa)のフィルターカートリッジ圧力において少なくとも0.01cm/分の流動速度を維持することができる。
【0016】
用語「フィルターエレメント」または「フィルタリングエレメント」または「濾過エレメント」は、流体が通過するよう構成された複合濾過媒体を意味する。
【0017】
用語「フィルターカートリッジ」は、円筒形であることが好ましい全量濾過装置を意味する。
【0018】
用語「フィルターカートリッジハウジング」は、フィルターカートリッジの支持構造を意味する。
【0019】
用語「分離フィルター組立体」は、上流面上に固定相粒子が配置された複合フィルター媒体を含む全量フィルターカートリッジが収容されたハウジングを意味する。
【0020】
用語「全量フィルター」または「全量濾過装置」は、流体の100%がフィルターを通過するフィルタリングエレメントを意味する。
【0021】
用語「流動速度」は、フィルタリングエレメントを通過する流体流の速度を意味し、流速を濾過層の表面積で割ったものに等しい。このように説明することで、液体流の流れを特徴付けることができ、これは濾過層の大きさには依存しない。流動速度は、フィルターの圧力低下にも寄与し、すなわち、一般に流動速度が増加すると、システムの圧力も増加する。工業的なフィルターカートリッジの用途においては、最大量の液体流を処理する最小寸法のフィルターが得られることが望ましい場合がある。したがって、流速を増加させることによって流動速度が増加することが望ましい。
【0022】
用語「固定相粒子」は、溶液混合物中の対象となる標的分子と結合性会合を形成することができる不溶性粒子を意味する。具体的な結合性会合としては、吸着、イオン交換、疎水性、および親和性の相互作用を挙げることができる。
【0023】
用語「標的分子」は、本明細書に記載される疑似移動床装置が、液体供給流または溶液混合物供給流から分離するよう意図された、1種類以上の化学種を意味する。標的分子としては、たとえば、薬物種;細菌、酵母、哺乳動物、植物、または昆虫の細胞によって発現される、タンパク質および抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)、DNA、ならびにRNAなどの生体高分子;無機物;ならびにたとえば、合成有機小分子、ペプチドおよびポリペプチド、オリゴ糖、ならびに糖修飾タンパク質などの人工化学種を挙げることができる。ある実施形態においては、標的分子は、1種類以上の不純物または廃棄物であってよく、たとえば、タンパク質;金属、金属イオン、あるいはカーボネート、サルフェート、酸化物、ホスフェート、バイカーボネート、ならびに工業、住居、および生物学的な供給流中に一般的に見られるその他のイオンなどの無機化学種;限定するものではないが染料、殺虫剤、肥料、添加剤、および安定剤を含むものなどの有機小分子;プロセスの副生成物および汚染物質;バイオプロセスで得られたDNA、RNA、リン脂質、ウイルス、またはその他の細胞残屑であってよい。さらに別の実施形態においては、上流のアフィニティー分離プロセスによるプロテインAなど、浸出したリガンドが標的分子であってもよい。別の実施形態においては、本明細書に記載される疑似移動床装置は、たとえば吸着または酵素反応のいずれかによって、排水または飲料水の流れから、種々の化学的または生物学的種を分離するために使用することができる。
【0024】
用語「不溶性」は、23℃において100部の溶媒中に1部以下の固体が溶解することを意味する。
【0025】
用語「フィルターカートリッジ圧力差」は、分離システム中のフィルターカートリッジユニットの入口または上流と、出口または下流との間の圧力の差を意味する。
【0026】
用語「床高さ」は、固定相粒子の体積を多孔質基材の表面積で割ったものとして定義される。
【0027】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれるすべての数字を含んでいる(たとえば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含んでいる)。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに他の場合を意味するのでなければ、単数形の「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を含んでいる。したがって、たとえば、「1種類の化合物」(a compound)を含有する組成物についての言及は、2種類以上の化合物の混合物を含んでいる。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上明らかに他の場合を意味するのでなければ、一般に用語「または」は、「および/または」を含めた意味で使用される。
【0029】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、性質の測定値などの量を表すすべての数字は、すべての場合で用語「約」によって修正されることを理解されたい。したがって、反対の意味で示されるのでない限り、上記の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメーターは、本発明の教示を利用する当業者によって求められる所望の性質に応じて変化させることが可能な近似値である。最後に、特許請求の範囲の同等物の原理の適用を限定しようとするものではないが、各数値パラメーターは、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮し、通常の丸め方法を使用することによって構成されるべきである。本発明の広い範囲を表す数値の範囲およびパラメーターは概略値であるが、具体例に示される数値はできる限り正確に報告している。しかし、あらゆる数値は、それぞれの試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を本質的に含んでいる。
【0030】
疑似移動床クロマトグラフィーは、所望の生成物または標的分子を有する溶液を供給するシステムによって、一連の充填済みカラムの割送りまたは回転(物理的に、またはバルブ調節の使用によって)が行われる比較的最近の技術である。充填済みカラムが飽和すると、システムの割送りにより、飽和したカラムを回収ゾーンまで移動させ、このゾーンでそのカラムが洗浄され、溶離され、平衡化され、さらに場合により再生される。平衡化されたカラムは、次に一連のカラムの終端でラインに接続される。従来のカラムクロマトグラフィーでは、動的な破過点の問題のために、使用者はクロマトグラフィー樹脂の低い処理能力および不十分な実用性という2つの問題に直面している。
【0031】
ある実施形態においては、本明細書に記載される疑似移動床(SMB)システムは、数例を挙げると、抗体、免疫反応性化合物、またはその他のタンパク質を浄化した発酵ブロスから分離するのに適している。これは単離(たとえば体積の減少)および精製ステップとして使用することを意図している。発酵ブロスは、浄化した後で、SMBシステムに通すことができる。これは、細胞、支持体、および細胞残屑が、たとえば遠心分離、全量精密濾過、またはタンジェンシャルフロー精密濾過などの分離方法によって少なくとも大部分が除去されていることを意味する。
【0032】
図1は、疑似移動床10を概略的に示した図である。疑似移動床10は、捕捉ゾーン20と回収ゾーン30とを含む。捕捉ゾーン20は、たとえば第1のフィルターカートリッジモジュール21と、最終フィルターカートリッジリッジモジュール22と、場合により中間のフィルターカートリッジモジュール23とを含む複数のフィルターカートリッジモジュールを含む。ある実施形態においては、複数のフィルターカートリッジモジュールのそれぞれが「全量」濾過装置である。
【0033】
これらのフィルターカートリッジは、たとえば順方向供給ライン26および27を介して、直列して流体接続(直列流体接続)の状態で接続される。各フィルターカートリッジモジュールには、標的分子と結合可能なある体積の固定相粒子が収容されている。これらのフィルターカートリッジモジュールについては以下により詳細に説明する。操作中、第1のフィルターカートリッジモジュール21を「充填済み」フィルターカートリッジモジュールと呼ぶことができ、これは、固相上に捕捉された最大量の標的分子を含むフィルターカートリッジモジュールを意味する。第1のフィルターカートリッジモジュール21は、供給源24に接続されている。
【0034】
回収ゾーン30は、最初に飽和または「充填済み」フィルターカートリッジモジュールと命名され、物理的またはバルブ調節のいずれかによって捕捉ゾーン20から取り出された、少なくとも1つのフィルターカートリッジモジュール34を含む。回収ゾーン30は、フィルターカートリッジモジュール34を再生して、再生済みフィルターカートリッジモジュールが形成する。用語「再生済みフィルターカートリッジモジュール」は、洗浄され、溶離され、場合により清浄化され、そして再平衡化させたフィルターカートリッジモジュールを意味する。洗浄ステップでは、充填済みフィルターカートリッジモジュールから溶液混合物が取り出される。溶離ステップでは、希望するならさらに処理するために固定相から標的分子が取り出される。清浄化ステップでは、フィルターカートリッジモジュールから不純物または微量の汚染物質が除去される。再平衡化は、緩衝液交換を含むことができ、これにより再生したフィルターカートリッジモジュールを捕捉ゾーンに再度導入することができる。ある実施形態においては、回収ゾーン30からの液体の少なくとも一部を、希望通りに供給源流24中に導入することができる。
【0035】
再生済みフィルターカートリッジモジュールは、物理的、あるいはマニホルドおよびバルブ調節の使用のいずれかによって、捕捉ゾーン20に戻すことができる。再生済みフィルターカートリッジモジュールは、最終のフィルターカートリッジリッジモジュール22として配置することができる。したがって、フィルターカートリッジモジュール(固相)は、溶液混合物流に対して向流となるように割送ることができる。
【0036】
捕捉ゾーン20は、0、1、2、3、4、5、6、7、または8個以上の中間フィルターカートリッジモジュール23を直列の流体接続で含むことができる。回収ゾーン30は、0、1、2、3、4、またはそれを超える数のフィルターカートリッジモジュールを含むことができる。たとえば、カートリッジが汚染物質の除去のために使用され、そのカートリッジが使い捨てである場合には、回収ゾーンが0個のモジュールを含む。
【0037】
第1のまたは「充填済み」フィルターカートリッジモジュール21は、流体入口31と、流体出口41と、流体入口31および流体出口41に流体接続している再循環配管51と、流体入口31、流体出口41、および供給源24に流体接続しているポンプ61とを含む。ポンプ61は、フィルターカートリッジモジュール21を通過する十分な流体流を提供することができる。順方向供給ライン26は、直列に配置された次のフィルターカートリッジモジュール(図1の23)に向けて流体流の少なくとも一部を流すことができる。
【0038】
最終または「再生済みの」フィルターカートリッジモジュール22は、流体入口32と、流体出口42と、流体入口32および流体出口42に流体接続している再循環配管52と、流体入口32、流体出口42、および直列に配列された前のフィルターカートリッジモジュールからの順方向供給ライン27に流体接続しているポンプ62とを含む。ポンプ62は、フィルターカートリッジモジュール22を通過する十分な流体流を提供することができる。流体出口42は、標的分子をほとんど含まない溶液混合物流ライン25と流体接続している状態が示されている。この標的分子をほとんど含まない溶液混合物流ライン25は、標的分子をほとんど含まない溶液混合物容器(図示していない)に流体接続することができる。
【0039】
場合により選択される中間カートリッジモジュール23は、流体入口33と、流体出口43と、流体入口33および流体出口43に流体接続している再循環配管53と、流体入口33、流体出口43、および直列に配列された前のフィルターカートリッジモジュールからの順方向供給ライン26に流体接続しているポンプ63とを含む。ポンプ63は、フィルターカートリッジモジュール23を通過する十分な流体流を提供することができる。
【0040】
一実施形態においては、溶液混合物から標的分子を連続的に分離する方法は、複数のフィルターカートリッジモジュールを含む疑似移動床装置を提供するステップと、標的分子を含む溶液混合物を複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップと、標的分子をある体積の固定相粒子に結合させて標的分子:固定相粒子生成物を形成するステップと、標的分子:固定相粒子生成物を含有する充填済みフィルターカートリッジモジュールを溶液混合物流から取り外すステップと、充填済みフィルターカートリッジからの標的分子:固定相粒子生成物から標的分子を分離して、単離された標的分子と、再生済みフィルターカートリッジとを形成するステップと、再生済みフィルターカートリッジモジュールを溶液混合物流に加えるステップとを含む。各フィルターカートリッジモジュールは、多孔質基材(すなわち、濾過)層に隣接するある体積の固定相粒子と、フィルターカートリッジモジュール入口と、フィルターカートリッジモジュール出口と、フィルターカートリッジモジュール出口およびフィルターカートリッジモジュール入口を接続するフィルターカートリッジモジュール再循環配管とを含む。これらの複数のフィルターカートリッジモジュールは直列で流体接続している。溶液混合物流の再循環部分は、フィルターカートリッジモジュール出口からフィルターカートリッジモジュール入口に再循環され、溶液混合物の残りの部分は、直列に配列した次のフィルターカートリッジモジュール入口などの後続のフィルターカートリッジモジュール入口に流れる。
【0041】
例証的な一実施形態においては、取り外すステップと加えるステップとが同時に行われる。別の例証的な実施形態においては、取り外すステップと、流すステップと、加えるステップとが同時に行われる。別の例証的な実施形態においては、分離するステップと結合させるステップとが同時に行われる。さらに別の例証的な実施形態においては、除去するステップと、分離するステップと、流すステップと、結合させるステップと、加えるステップとが同時に行われる。
【0042】
1つのフィルターカートリッジモジュールと関連して1つのポンプが示されているが、各フィルターカートリッジモジュールに2つ以上のポンプを関連させることができることが理解できるであろう。さらに、2つ以上のフィルターカートリッジモジュールを各ポンプと関連させることができることも理解できるであろう。ある実施形態においては、ポンプをまったく使用しなくてもよい。
【0043】
捕捉ゾーン内の各フィルターカートリッジモジュールは、フィルターカートリッジモジュール中の固定相粒子1リットル当たりの溶液混合物のリットル/分として定義される特定の速度で中を流れる溶液混合物を有する。この流速はあらゆる有用な値であってよい。ある実施形態においては、この流速は、固定相粒子1リットル当たり少なくとも3リットル/分、または固定相粒子1リットル当たり少なくとも5リットル/分、または固定相粒子1リットル当たり少なくとも7リットル/分、または1リットル当たり3〜20リットル/分、または1リットル当たり5〜20リットル/分、または1リットル当たり7〜20リットル/分である。
【0044】
捕捉ゾーン内の各フィルターカートリッジモジュールは、そのフィルターカートリッジモジュールを出た溶液混合物の一部を、同じフィルターカートリッジモジュールの入口に再循環させることができ、残りの溶液混合物流部分は、後続のフィルターカートリッジモジュールまで進行させてさらに分離を行うことができる。この再循環部分は、フィルターカートリッジモジュールを通過する全流量に対する再循環パーセントとして表すことができる。この再循環パーセントは、たとえば、25%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上;あるいは50〜95%、または75〜95%、または80〜95%などのあらゆる有用な量であってよい。
【0045】
捕捉ゾーン内の各フィルターカートリッジモジュールは、フィルターカートリッジ入口とフィルターカートリッジ出口との間で、溶液混合物の圧力低下または圧力差を有する。ある実施形態においては、この圧力低下は、172kPa(25psi)以下、138kPa(20psi)以下、103kPa(15psi)以下、69kPa(10psi)以下、または34kPa(5psi)以下である。例証的な一実施形態においては、フィルターカートリッジモジュールは、固定相粒子(5〜30マイクロメートルの平均直径)1リットル当たり少なくとも7リットル/分の流速を有し、圧力低下は103kPa(15psi)以下である。別の例証的な実施形態においては、フィルターカートリッジモジュールは、固定相粒子(5〜30マイクロメートルの平均直径)1リットル当たり少なくとも5リットル/分の流速を有し、圧力低下は69kPa(10psi)以下である。さらに別の例証的な実施形態においては、フィルターカートリッジモジュールは、固定相粒子(5〜30マイクロメートルの平均直径)1リットル当たり少なくとも3リットル/分の流速を有し、圧力低下は34kPa(5psi)以下である。
【0046】
本明細書に記載されるフィルターカートリッジモジュールは、従来のクロマトグラフィー用充填カラムと少なくともいくつかの点で異なる。低い流速で操作される媒体が充填された管とは異なり、本発明のフィルターカートリッジモジュールは、高い流速で操作される多孔質膜上に支持された媒体の比較的薄い層(床高さ)に依存する。これによって、従来のクロマトグラフィー用充填カラムを使用する場合よりも、圧力低下が小さくなり、外部の物質移動が良好になり、さらにより小さな媒体粒子を使用することができる。
【0047】
多くの実施形態においては、フィルターカートリッジモジュールは、希望通りに、1センチメートル未満、または0.02〜0.20センチメートルの範囲内、または0.02〜0.14センチメートルの範囲内、または0.04〜0.10センチメートルの範囲内、または0.05〜0.08センチメートルの範囲内の固定相粒子床高さ(固定相粒子の体積を多孔質基材の表面積で割ったもの)を有する。例証的な実施形態においては、多孔質基材の表面積は100,000〜200,000平方センチメートルの範囲内である。
【0048】
例証的な一実施形態においては、フィルターカートリッジは、高さが1mであり、5〜30マイクロメートルの平均直径および0.04〜0.10センチメートルの床高さを有し多孔質基材上に支持されたプロテインAビーズを15リットル有する。
【0049】
図2は、上流面上に不溶性固定相粒子112が配置されている1つ以上の個別の層であってよい表面濾過層111としての例証的な不織ウェブを含む複合濾過媒体110の断面の概略図である。濾過層110は、上流プレフィルター層113と、下流の多孔性がだんだんと微細になっていく複数の濾過層を含むことができる濾過層114と、下流カバー層115とを含むことができる。
【0050】
図3は、フィルターカートリッジモジュールの例証的な一実施形態を製造するために使用される複合濾過媒体120上のエンボス形状パターンのひだのない部分122の斜視図である。エンボス加工は、表面積を増加させ、より十分な表面フィルタリングエレメントを画定するために行うことができる。分かりやすくするために不溶性固定相粒子は図から省略している。
【0051】
図4は、長手方向に延在する円筒形のひだ付きフィルターエレメント130の1つの例証的な実施形態の斜視図である。複合濾過(多孔質基材)エレメント130の放射状のひだ132が示されているが、分かりやすくするために固定相粒子112は省略している。ある実施形態においては、複合濾過エレメント130は、10以上、20以上、30以上、40以上、または50以上のひだ132を含む。
【0052】
図5は、円筒形フィルターカートリッジ140内の複合濾過エレメント130(図示せず)のための内部および外部の補助的支持部材の一実施形態を示す斜視図である。複数の孔を有するスクリムまたはスクリーンなどの外部支持構造141は、内側から流出する流体流状態において、フィルターエレメントの破裂の可能性を軽減するためのさらなる支持体となることができる。同様に、スクリムまたはスクリーン、あるいは多孔質ケーシングまたは類似の構造からなる内部支持構造142は、外側から流入する流体流の状況で、フィルターエレメント130(図示せず)の高圧使用時の崩壊を防止する支持体となることができる。どちらの場合も、これらの補助的支持構造は、フィルターカートリッジの末端部143に取り付けることで、一体的なユニットを形成することができる。有用なフィルターカートリッジモジュールの一例が米国特許第5,468,847号明細書に記載されている。
【0053】
図2を参照すると、固定相粒子112は、吸着、イオン交換、疎水性会合、サイズ排除、および/または親和性結合の、相互作用の1つ以上の組み合わせによって、溶液混合物中の対象となる標的分子と結合または強く会合する。
【0054】
吸着固定相粒子の一部の例としては、ハイドロキシアパタイト(カリフォルニア州リッチモンドのバイオラド・ラボラトリーズ(BioRad Laboratories,Richmond,CA)より入手可能)、アルミナ(ニュージャージー州ギブズタウンのEMセパレーションズ(EM separations,Gibbstown,NJ)より入手可能)、シリカゲル(EMセパレーションズ(EM Separations)より入手可能)、シリカ(セライト(Celite)より入手可能)、ジルコニア(米国特許第5,015,373号明細書に開示されている)、ゼオライト、モンモリロナイトクレイ、チタニア、水酸化亜鉛、およびポリマーコーティングされたジルコニアが挙げられる。
【0055】
一部のイオン交換固定相粒子は、たとえば、アマシャム(Amersham)、トーソー・ハース(Toso Haas)、EMセパレーションズ(EM Separations)、JTベーカー(J T Baker)、およびサイファージェン(Ciphergen)より市販されている。好適なイオン交換樹脂としては、アガロース、デキストラン、ポリアクリル、ポリイミン、ビニルポリマー、アクリルアミドポリマー、多糖、セルロース系ポリマー、およびその他のポリマー、たとえばジビニルベンゼンで修飾されたポリスチレン、陰イオン交換の場合はジアミノエチル基、第4級アンモニウム基を有するように、陽イオン交換の場合にはカルボキシメチル基、スルホ基、およびスルホプロピル基を有するようにそれぞれ修飾されたアクリレート/エチレングリコールコポリマーが挙げられる。イオン交換樹脂の他の支持体としては、未処理のシリカ、およびジルコニアなどの無機種で安定化されたシリカの両方のシリカが挙げられる。混合機能吸着剤としては、たとえば両性イオン交換吸着剤(エポキシ活性化アガロースに結合したスルファニル酸)が挙げられる。ポリエチレンイミンは、核酸を精製し、核タンパク質を沈殿させるために使用することができる。疎水性相互作用粒子は、短い脂肪族鎖(C4〜C10)およびフェニル基を含有することができ、一方、より長い脂肪族鎖(C8〜C18)を含有する逆相吸着剤は、より小さなタンパク質用に使用することができる。逆相クロマトグラフィー担体としては、オルガノシランと結合したシリカ、チタニア、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)、酸化アルミニウムなどを主成分とするものが挙げられる。
【0056】
サイズ排除粒子の一部の例としては:多孔質ガラス、ジオールで修飾されたシリカ系担体、ジルコニアなどの金属酸化物で後に修飾されるジオール結合シリカ、架橋したアガロースおよびデキストラン、またはその両方を含有するポリマー系粒子;メチレンビスアクリルアミドと架橋したアリルデキストラン、触手状ポリマー(tentacle polymer)として合成されたポリマー(メルク(Merck)のフラクトゲル(Fractogel))、セルロース、ポリヒドロキシメタクリレート、架橋多糖、ならびに共重合したアクリレートが挙げられる。
【0057】
アフィニティークロマトグラフィー粒子は、特に、アマシャム(Amersham)、ミリポア(Millipore)、東ソー(Tosoh)、EMセパレーションズ(EM Separations)、サイファージェン(Ciphergen)、およびアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)より市販されている。そのベース担体は、アガロース、セルロース、およびビニルポリマーを含むことができる。一部の粒子は、シリカ(ミリポア(Millipore)のプロセップ(ProSep))およびステンレス鋼(アマシャム(Amersham)のストリームライン(Streamline))などのコア中の無機担体、あるいは複合材料(バイオセプラ(BioSepra)セラミックおよびアクリルなど)を含むこともできる。ベース担体は、リガンドを固定化するために使用することができる基で修飾したり、そのような基を提供したりすることができる。このような基としては、アズラクトン、CNBr、エポキシ、ヒドラジド、NHS、トレシル、チオフィリック基、およびハイドロキシアパタイトが挙げられる。リガンド(特異的な生体高分子親和性を有する)は、以下のものを含む広範囲から選択することができる:アルギニンおよびベンズアミジン(セリンプロテアーゼ);カルモジュリン(ATPアーゼ、プロテインキナーゼ、ホスホジエステラーゼ、および神経伝達物質);ゼラチン(フィブロネクチン);グルタチオン(トランスフェラーゼ、グルタチオン依存性タンパク質、および融合タンパク質);ヘパリン(増殖因子、凝固タンパク質、ステロイド受容体、制限エンドヌクレアーゼ、リポタンパク質、およびリパーゼ);プロテインAおよびプロテインG(IgGおよびサブクラス);プロテインAミミック合成リガンド(IgG、IgM、およびその他の免疫グロブリン);L−リジン(プラスミノーゲン、プラスミノーゲンアクチベーター、およびリボソームRNA);コンカナバリンAおよびレクチン(糖タンパク質、膜タンパク質、糖脂質、および多糖);DNA(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、T−4ポリヌクレオチドキナーゼ、およびエキソヌクレアーゼ);ならびにAMP、ADP、NADH、およびNADPHに基づくクロマトグラフィー(NADH依存性およびNADPH依存性デヒドロゲナーゼ、レダクターゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ならびにトランスフェラーゼなどの酵素)。
【0058】
他のアフィニティー方法としては、配位結合の形成によって精製が行われるIMAC(固定化金属アフィニティークロマトグラフィー)の主成分を形成するFe、Co、Ni、Cu、Al、およびZnなどの固定化金属などの、生体特異的相互作用を使用しない方法が挙げられる。他のアフィニティーマトリックスでは、γグロブリンおよびモノクローナル抗体に対して親和性を有する、ビニルスルホンが結合したメルカプトエタノール、ピリジルジスルフィド結合などのチオフィリックリガンドを使用している。
【0059】
アフィニティーマトリックスは、細胞の分離に利用することもできる(細胞アフィニティークロマトグラフィーまたはCAC)。CAC用マトリックスとしては、アガロース、セルロース、デキストラン、ポリアクリルアミド、ガラス、ポリスチレン、トリスアクリルが挙げられる(−OH、−OCN、−CH−CH2O、−NH2などの反応性基を有するように修飾し、アビジン、IgG、抗IgG、抗IgEなどの特定のタンパク質と結合させることで、リンパ球、幹細胞、神経細胞、肥満細胞、好塩基球、赤血球などの特定の細胞型を捕捉する)。他の変法としては、リガンドをグラフト化ポリマー鎖(ポリグリシジルメタクリレートグラフト化ゲルであるメルク(Merck)のフラクトゲル(Fractogel)など)に結合させる触手方法(tentacle approach)の使用が挙げられ;このリガンドは前述のいずれかであってよく、直接的(チオフィリック吸着/IMACの場合)または間接的(アミノ中間体を介した色素−リガンドアフィニティークロマトグラフィー、またはアズラクトン中間体を介した固定化タンパク質の場合)のいずれかで結合させることができる。
【0060】
セファデックスG−25(Sephadex G−25)(ファルマシア(Pharmacia)より市販されている)、ポリエチレングリコール、またはカルボキシメチルセルロースなどの限外濾過および濃縮用の粒子を使用することもできる。これらの材料は、カートリッジフィルターモジュール中にスラリー形態で充填することができ、このスラリーは、入手した状態の粒子から製造する場合もあり、一部の溶媒または緩衝液中にあらかじめ膨潤させる必要がある場合もあり、予備処理が必要な場合もある。
【0061】
本発明において有用な固定相粒子の寸法は、1〜200マイクロメートル、または3〜50マイクロメートル、または5〜40マイクロメートル、または5〜30マイクロメートル、または5〜15マイクロメートルの範囲の平均直径を有することができる。実例となる固定相粒子としては、たとえば、ミリポア・インコーポレイテッド(Millipore Inc.)(マサチューセッツ州ビルリカ(Billerica,MA))より市販されるプロセップ−A(ProSep−A)(登録商標)ウルトラ・レジン(Ultra resin)、およびGEヘルスケア(GE Healthcare)(英国のチャルフォント・セントジャイルズ(Chalfont St. Giles))より市販されるマブセレクト(MabSelect)(登録商標)樹脂が挙げられる。ある実施形態においては、各フィルターカートリッジモジュールが、5〜25リットルの固定相粒子、または10〜20リットルの固定相粒子を含む。
【0062】
本発明は、本明細書に記載される特定の例に限定されると考えるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に記載される本発明のすべての態様を含んでいると理解すべきである。本発明が適用可能な種々の修正、同等の方法、および多数の構造は、本発明が関連する当業者には、本明細書を検討することによって容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0063】
実施例1〜3は数学的モデリングから得られた結果に基づいている。これらは、システムがどのように機能するかを示すことを意図している。本発明者らの仮定およびモデルのパラメーターの一部は実験データに基づいているが、全体として実施例はモデルからの予想に基づいている。
【0064】
以下の実施例では、プロテインAアフィニティー分離によってモノクローナル抗体を精製するためのシステムを開示する。各実施例に記載されるフィルターカートリッジモジュールは、3M(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))より市販される水平方向のひだがついたフィルター743Bなどのフィルターカートリッジと、カートリッジフィルターハウジングと、分離に使用するためのある体積の固体材料(固定相粒子生成物)とで構成されるものであった。実施例1〜3において分離に使用した固体材料は、15リットルのプロセップ−Aウルトラ(ProSep−A Ultra)(登録商標)樹脂であった。図6および7に示されるように、各フィルターカートリッジモジュールと対応して、ポンプと、入口流と、出口流とが存在する。出口流は2つの流れに分割され、一方の流れは、そのフィルターカートリッジモジュールのポンプのすぐ上流まで戻されて再循環され、他方は、次のフィルターカートリッジモジュールへの供給流となる(最終フィルターカートリッジリッジモジュールの場合を除く)。各フィルターカートリッジモジュールおよび関連する配管における液体の体積は、50Lであると概算した。実施例1の捕捉ステップ用には、4つのフィルターカートリッジモジュールが直列に接続されている(図6)。実施例2および3の捕捉ステップ用には、6つのフィルターカートリッジモジュールが直列に接続されている(図7)。供給流は、第1のフィルターカートリッジモジュールの入口に入る。再循環で分割された後で、最終フィルターカートリッジリッジモジュールからの出口は、標的分子をほとんど含まない流れ、すなわち廃棄物流である。
【0065】
最終フィルターカートリッジリッジモジュールの廃棄物流が、たとえば1%または2%の供給流標的分子濃度などの特定のレベルに到達したときに、フィルターカートリッジモジュールを割送ることができる。この割送り時間の決定は、数学的モデリング、インラインセンサー、またはインライン試験によって希望通りに行うことができる。
【0066】
割送り時間において、システム中でフィルターカートリッジモジュールの割送りまたは回転が行われる(物理的またはバルブ調節のいずれかによって)。捕捉ステップ中の最上流にあるフィルターカートリッジモジュールは、捕捉シリーズから取り外されて、回収ゾーンまで行われる。同時に、回収サイクルを完了した再生済みフィルターカートリッジモジュールが、シリーズの最下流の位置に加えられ、捕捉シリーズ中の残りのモジュールは、1つ上流の位置まで割送られる。割送り時間直後は、加えられた再生済みフィルターカートリッジモジュールは標的分子を含有せず、廃棄物流の標的分子の濃度が0に戻ると仮定される。
【0067】
以下の実施例1〜3の動力学およびモデリングのために数学的モデルを使用した。使用した支配方程式(時間変化に対する濃度変化)は:
∂q/∂t=K(C−C*
であり、上式中、qは樹脂中の抗体濃度(mg/mL)であり、tは時間(min)であり、Kは運動速度定数(min-1)であり、Cは溶液混合物中の抗体濃度(mg/mL)であり、C*は、qと平衡状態にある溶液混合物中の抗体濃度である。ラングミュア(Langmuir)の等温線によって、平衡時のCとqとの間の関係が表され、これは次の形を有し:
q=(Qmax・C)/(Kd+C)
上式中、Qmaxは樹脂中の最大抗体濃度(mg/mL)であり、Kdはラングミュア(Langmuir)の平衡定数の逆数(mg/mL)である。
【0068】
プロセップ−Aウルトラ(ProSep−A Ultra)(登録商標)樹脂についてモデルパラメーターを概算した。運動速度定数Kは、モノクローナル抗体溶液を1つのフィルターカートリッジモジュールに通して再循環させ、経時的にアリコートを採取したバッチ取り込み速度から概算した。バッチ吸着速度は、濃度0.7mg/mLのモノクローナル抗体溶液を3.4L使用して、161mLのプロセップ−Aウルトラ(ProSep−A Ultra)で測定した。より得られたq(IgG吸着)対時間のプロットを使用して、速度定数Kのフィッティングを行った。吸着平衡等温線はラングミュア(Langmuir)型であると仮定した。ラングミュア(Langmuir)定数KdおよびQmaxは、700オングストロームの多孔質ガラス(プロセップ−Aウルトラ(ProSep−A Ultra)(登録商標)樹脂と同等であると仮定した)に関する文献から採用した(マッキュー(McCue),J.Chrom.A、989(2003)139−153)。
【0069】
実施例1
この疑似移動床装置200の実施例は、捕捉ゾーン中の直列の4つのフィルターカートリッジモジュール201、202、203、204と、回収ゾーン中の1つのフィルターカートリッジモジュール250とを含む(図6参照)。
【0070】
最初にシステム200を開始するときには、固定相粒子はIgG抗体を全く含有していない。各モジュール中の液相中の抗体濃度も0である。フィルターカートリッジモジュールは、緩衝液を充填して開始する。供給材料210は、抗体濃度1mg/mL、流速12L/分で導入する。廃棄物流220の抗体濃度が供給材料濃度の1%、すなわち0.01mg/mLに到達したときに、フィルターカートリッジモジュールを割送る。廃棄物流220は流速12L/分で除去する。したがって、各供給流211、212、213は12L/分の速度で流れる。
【0071】
それぞれの入口221、222、223、224において各フィルターカートリッジモジュール201、202、203、204に入る流速は150L/分である。再循環配管216、217、218、219を通って再循環される流速は138L/分である。したがって、92%の溶液混合物が、各フィルターカートリッジモジュール201、202、203、204を通って再循環される。各フィルターカートリッジモジュール201、202、203、204の入口および出口での圧力低下は69kPa(10psi)未満になる。
【0072】
標的分子濃度が0.01mg/mL(供給標的分子濃度の1%)に到達すると、疑似移動床が割送られる。割送り時間は、数学的モデリングによって求めた。最初の割送り時間は、それに続く割送り時間よりも長い。各フィルターカートリッジモジュール中の液相中の抗体濃度C、および固定相粒子中の抗体濃度qが時間とともに変化するにもかかわらず、割送り時間は一定値に到達する。これは、疑似定常状態と呼ばれる。最初の割送り時間は122分であった。それに続く割送り時間は84分であった。
【0073】
特定の時間における各フィルターカートリッジモジュール中のC(溶液混合物1mL当たりのIgGのmg数)は、そのフィルターカートリッジモジュールの出口における濃度と同じであると仮定した。表1は、疑似定常状態において割送る直前の各フィルターカートリッジモジュール中の濃度Cおよびq(固定相粒子1mL当たりのIgGのmg数)を示している。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例2
この疑似移動床装置300の実施例は、捕捉ゾーン中の直列の6つのフィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306と、回収ゾーン中の1つのフィルターカートリッジモジュール350とを含む(図7参照)。
【0076】
最初にシステム300を開始するときには、固定相粒子はIgG抗体を全く含有していない。各モジュール中の液相中の抗体濃度も0である。フィルターカートリッジモジュールは、緩衝液を充填して開始する。供給材料310は、抗体濃度1mg/mL、流速34L/分で導入する。廃棄物流(320)の抗体濃度が供給材料濃度の2%、すなわち0.02mg/mLに到達したときに、フィルターカートリッジモジュールを割送る。廃棄物流320は流速34L/分で除去する。したがって、各供給流311、312、313、314、315は34L/分の速度で流れる。
【0077】
それぞれの入口321、322、323、324、325、326において各フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306に入る流速は150L/分である。再循環配管331、332、333、334、335、336を通って再循環される流速は116L/分である。したがって、77%の溶液混合物が、フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306を通って再循環される。各フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306の入口および出口での圧力低下は69kPa(10psi)未満になる。
【0078】
標的分子濃度が0.02mg/mL(供給標的分子濃度の2%)に到達すると、疑似移動床が割送られる。割送り時間は、数学的モデリングによって求めた。最初の割送り時間は、それに続く割送り時間よりも長い。各フィルターカートリッジモジュール中の液相中の抗体濃度C、および固定相粒子中の抗体濃度qが時間とともに変化するにもかかわらず、割送り時間は一定値に到達する。これは、疑似定常状態と呼ばれる。最初の割送り時間は61分であった。それに続く割送り時間は29分であった。
【0079】
特定の時間における各フィルターカートリッジモジュール中のC(溶液混合物1mL当たりのIgGのmg数)は、そのフィルターカートリッジモジュールの出口における濃度と同じであると仮定した。表2は、疑似定常状態において割送る直前の各フィルターカートリッジモジュール中の濃度Cおよびq(固定相粒子1mL当たりのIgGのmg数)を示している。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例3
この疑似移動床装置300の実施例は、捕捉ゾーン中の直列の6つのフィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306と、回収ゾーン中の1つのフィルターカートリッジモジュール350とを含む(図7参照)。
【0082】
最初にシステム300を開始するときには、固定相粒子はIgG抗体を全く含有していない。各モジュール中の液相中の抗体濃度も0である。フィルターカートリッジモジュールは、緩衝液を充填して開始する。供給材料310は、抗体濃度2mg/mL、流速30L/分で導入する。廃棄物流320の抗体濃度が供給材料濃度の1%、すなわち0.02mg/mLに到達したときに、フィルターカートリッジモジュールを割送る。廃棄物流320は流速30L/分で除去する。したがって、各供給流311、312、313、314、315は30L/分の速度で流れる。
【0083】
それぞれの入口321、322、323、324、325、326において各フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306に入る流速は150L/分である。再循環配管331、332、333、334、335、336を通って再循環される流速は120L/分である。したがって、80%の溶液混合物が、フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306を通って再循環される。各フィルターカートリッジモジュール301、302、303、304、305、306の入口および出口での圧力低下は69kPa(10psi)未満になる。
【0084】
標的分子濃度が0.02mg/mL(供給標的分子濃度の1%)に到達すると、疑似移動床が割送られる。割送り時間は、数学的モデリングによって求めた。最初の割送り時間は、それに続く割送り時間よりも長い。各フィルターカートリッジモジュール中の液相中の抗体濃度C、および固定相粒子中の抗体濃度qが時間とともに変化するにもかかわらず、割送り時間は一定値に到達する。これは、疑似定常状態と呼ばれる。最初の割送り時間は30分であった。それに続く割送り時間は16分であった。
【0085】
特定の時間における各フィルターカートリッジモジュール中のC(溶液混合物1mL当たりのIgGのmg数)は、そのフィルターカートリッジモジュールの出口における濃度と同じであると仮定した。表3は、疑似定常状態において割送る直前の各フィルターカートリッジモジュール中の濃度Cおよびq(固定相粒子1mL当たりのIgGのmg数)を示している。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例4
この実施例は、捕捉ゾーン中の直列の6つのモジュールと、回収ゾーン中の1つのモジュールとを含む(図7参照)。プロテインAアフィニティー分離によって、供給溶液からIgGを取り出すために、このシステムを使用した。モジュールは、パール(Pall)製造のフィルターカプセル(品番(Part Number)12121)と、分離用に使用される固体材料とで構成された。各モジュールは、平均粒径28マイクロメートルおよび床高さ0.04cmを有するプロテインAバイオサポート・ミディアム(Biosupport Medium)(米国特許第5,907,016号明細書の実施例4に従って調製)13mLを収容している。各モジュールに対応して、ポンプと、入口流と、出口流とが存在した。出口流は2つの流れに分割され、その一方は、そのフィルターカートリッジモジュールのポンプのすぐ上流まで戻されて再循環され、他方は、次のフィルターカートリッジモジュールへの供給材料となった。モジュールおよび配管の液体の体積は、112mLであると概算した。捕捉ステップ用に、6つのモジュールを直列に接続する。供給流は、第1のモジュールの入口にあった。第6のモジュールの出口は、再循環の分割の後は、廃棄物、すなわち流出液の流れであった。プロセス全体は、捕捉、洗浄、溶離、場合による清浄化、および再平衡化を含む。これらのモジュールは、そのバッチの最後の溶離の後で清浄化し、その他の場合には、モジュールを再平衡化して、捕捉ゾーンに戻した。割送り時間において、プロセス流の流れを方向付けるバルブを変化させることによって、システム中のモジュールの割送りおよび回転が行われる。捕捉ステップにおいて最上流であったモジュールを、シリーズから取り外し、次に10mMのPBS(140mMのNaCl中のリン酸ナトリウム、pH7.2)で洗浄し、次に溶離緩衝液(0.5Mの酢酸、pH2.45)で溶離させ、次にPBSで再平衡化させた。これらの洗浄、溶離、および再平衡化の3つのステップは回収ゾーンで行われる。同時に、再生済みフィルターカートリッジモジュールが、シリーズの最下流位置に挿入し、捕捉シリーズ中の残りのモジュールは1つ上流の位置に移動させた。
【0088】
最初にシステムを開始したときには、固定相粒子はIgG抗体を全く含有していない。各モジュール中の液相中の抗体濃度も0であった。フィルターカートリッジモジュールは、10mMのPBS緩衝液を充填して開始した。供給溶液(PBS緩衝液中に、テキサス州カービル(Kerrville,TX)のイクイテック−バイオ・インコーポレイテッド(EQUITECH−BIO,Inc.)のヒトポリクローナルIgGを含有する)は、約20mL/分の流速および1.0mg/mLの抗体濃度で、各モジュールを980mL/分の全流量で通過するように導入した。カートリッジは2回割送りを行った。割送り間の時間は、各サイクルで30分であった。最終サイクル終了時に、シリーズのすべてのカートリッジをPBSで洗浄し、0.5Mの酢酸(pH2.45)で溶離させ、再びPBSで洗浄し、次にグアニジン緩衝液(2MのグアニジンHCl、10mMのTRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、pH7.5)で再生した。紫外可視光(UV−Vis)分光光度計により280nmで測定した吸収から濃度を計算した。
【0089】
【表4】

【0090】
第2のサイクル中にモジュールAの洗浄、溶離、および再平衡化を行った。
【0091】
【表5】

【0092】
第2のサイクルの終了後、第3のサイクル中にモジュールBの洗浄、溶離、および再平衡化を行った。
【0093】
【表6】

【0094】
モジュールC、D、E、F、G、およびAを一緒に洗浄し、別々に溶離し、サイクル3後にすべてのカートリッジを2MグアニジンTRIS緩衝液で一緒に再生した。
【0095】
サイクル1の場合は、各カートリッジから3分ごとに試料を採取し、サイクル2およびサイクル3の場合は、シリーズの最後のカートリッジから3分ごとに試料を採取した。
【0096】
【表7】

【0097】
【表8】

【0098】
実施例5
この実施例は、目標供給流速が40mL/分であり、各モジュールを通過する全流量が890mL/分であったことを除けば、実施例4と同じであった。
【0099】
【表9】

【0100】
【表10】

【0101】
前述したように、サイクル1の場合は、各カートリッジから3分ごとに試料を採取し、サイクル2およびサイクル3の場合は、シリーズの最後のカートリッジから3分ごとに試料を採取した。
【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】疑似移動床の概略説明図である。
【図2】複合濾過媒体の断面の概略図である。
【図3】例証的な複合濾過媒体の斜視図である。
【図4】例証的な円筒形ひだ付きフィルターエレメントの斜視図である。
【図5】円筒形フィルターカートリッジの斜視図である。
【図6】実施例1に記載される疑似移動床の概略説明図である。
【図7】実施例2、3、4、および5に記載される疑似移動床の概略説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液混合物から標的分子を連続的に分離する方法であって:
複数のフィルターカートリッジモジュールを含む疑似移動床装置を提供するステップであって、各フィルターカートリッジモジュールが、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子を含み、各フィルターカートリッジモジュールが、フィルターカートリッジモジュール入口と、フィルターカートリッジモジュール出口と、前記フィルターカートリッジモジュール出口および前記フィルターカートリッジモジュール入口を接続するフィルターカートリッジモジュール再循環配管とを有し、前記複数のフィルターカートリッジモジュールが直列で流体接続しているステップと;
標的分子を含む溶液混合物を、前記複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップであって、前記フィルターカートリッジモジュール出口から前記フィルターカートリッジモジュール入口まで、前記溶液混合物流の再循環部分が再循環され、前記溶液混合物の残りの部分は、次のフィルターカートリッジモジュール入口に流されるステップと;
前記標的分子を前記ある体積の固定相粒子に結合させて標的分子:固定相粒子生成物を形成するステップと;
前記標的分子:固定相粒子生成物を含有する充填済みフィルターカートリッジモジュールを前記溶液混合物流から取り外すステップと;
前記充填済みフィルターカートリッジの前記標的分子:固定相粒子生成物から前記標的分子を分離して、単離された標的分子生成物と再生済みフィルターカートリッジとを形成するステップと;
前記再生済みフィルターカートリッジモジュールを前記溶液混合物流に加えるステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記提供するステップが、複数のフィルターカートリッジモジュールを含む疑似移動床装置であって、各フィルターカートリッジモジュールが、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子を含み、前記ある体積の固定相粒子が1センチメートル未満の床高さを有する疑似移動床装置を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供するステップが、複数のフィルターカートリッジモジュールを含む疑似移動床装置であって、各フィルターカートリッジモジュールが、多孔質基材層に隣接するある体積の固定相粒子を含み、前記ある体積の固定相粒子が5〜30マイクロメートルの範囲内の平均直径を有する疑似移動床装置を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流すステップが、標的分子を含む溶液混合物を、前記複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップを含み、前記フィルターカートリッジモジュール出口から前記フィルターカートリッジモジュール入口まで、前記溶液混合物流の再循環部分が再循環され、前記再循環部分が前記溶液混合物流の75%以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流すステップが、標的分子を含む溶液混合物を流すステップを含み、前記標的分子が生体高分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流すステップが、標的分子を含む溶液混合物を流すステップを含み、前記標的分子がタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記取り外すステップと前記加えるステップとが同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記取り外すステップと、前記流すステップと、前記加えるステップとが同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分離するステップと、前記結合させるステップとが同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記取り外すステップと、前記分離するステップと、前記流すステップと、前記結合させるステップと、前記加えるステップとが同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記取り外すステップが、固定相粒子1ミリリットル当たり標的分子を第1の濃度で含有する充填済みフィルターカートリッジモジュールを取り外すステップを含み、前記加えるステップが、固定相粒子1ミリリットル当たり標的分子を第2の濃度で含有する前記再生済みフィルターカートリッジモジュールを加えるステップを含み、固定相粒子1ミリリットル当たりの標的分子の前記第1の濃度が、固定相粒子1ミリリットル当たりの標的分子の前記第2の濃度よりも高い、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記流すステップが、標的分子を含む溶液混合物を、前記複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップを含み、各フィルターカートリッジモジュール中の固定相粒子1リットル当たり少なくとも5リットル/分の速度で、前記溶液混合物が各フィルターカートリッジに流され、各フィルターカートリッジが、前記フィルターカートリッジモジュール入口から前記フィルターカートリッジモジュール出口までで69kPa(10psi)以下の圧力低下を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記流すステップが、標的分子を含む溶液混合物を、前記複数のフィルターカートリッジモジュールに連続的に流すステップを含み、各フィルターカートリッジモジュール中の固定相粒子1リットル当たり少なくとも7リットル/分の速度で、前記溶液混合物が各フィルターカートリッジに流され、各フィルターカートリッジが、前記フィルターカートリッジモジュール入口から前記フィルターカートリッジモジュール出口までで103kPa(15psi)以下の圧力低下を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
溶液混合物から標的分子を連続的に分離するための疑似移動床装置であって:
第1の充填済みフィルターカートリッジモジュールと、最終の再生済みフィルターカートリッジモジュールとを含む直列に接続された複数のフィルターカートリッジモジュールを含む、捕捉ゾーンであって、前記第1の充填済みフィルターカートリッジモジュールは、溶液混合物供給源に接続されており、前記最終の再生済みフィルターカートリッジモジュールは、標的分子をほとんど含まない溶液混合物容器に接続されており、各フィルターカートリッジモジュールは、標的分子と結合可能であり多孔質基材層に隣接しているある体積の固定相粒子を含み、各フィルターカートリッジは、フィルターカートリッジモジュール入口と、フィルターカートリッジモジュール出口と、前記フィルターカートリッジモジュール出口を前記フィルターカートリッジモジュール入口に接続するフィルターカートリッジモジュール再循環配管とを有し、前記フィルターカートリッジモジュール出口は、次の下流フィルターカートリッジモジュールのフィルターカートリッジモジュール入口に接続されている、捕捉ゾーンと;
充填済みフィルターカートリッジモジュール中の前記標的分子が、前記ある体積の固定相粒子から分離されて、再生済みフィルターカートリッジモジュールが形成される回収ゾーンであって、少なくとも1つのフィルターカートリッジモジュールを含む回収ゾーンとを含む、疑似移動床装置。
【請求項15】
前記捕捉ゾーンが、前記フィルターカートリッジモジュール入口および前記フィルターカートリッジモジュール再循環配管に流体接続している溶液混合物ポンプをさらに含む、請求項14に記載の疑似移動床。
【請求項16】
前記複数のフィルターカートリッジモジュールが、前記第1の充填済みフィルターカートリッジモジュールと前記最終の再生済みフィルターカートリッジモジュールとの間に直列で接続された1つ以上の中間フィルターカートリッジモジュールをさらに含む、請求項14に記載の疑似移動床。
【請求項17】
前記捕捉ゾーンが、前記複数のフィルターカートリッジモジュールのそれぞれと流体接続している少なくとも1つの溶液混合物ポンプをさらに含む、請求項14に記載の疑似移動床。
【請求項18】
前記固定相粒子が、5〜30マイクロメートルの範囲内の平均粒度を有する、請求項14に記載の疑似移動床。
【請求項19】
前記ある体積の固定相粒子が、1センチメートル未満の床高さを有する、請求項14に記載の疑似移動床。
【請求項20】
前記複数のフィルターカートリッジモジュールのそれぞれが、標的分子と結合可能な固定相粒子を5〜25リットルの体積で含む、請求項14に記載の疑似移動床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−514724(P2008−514724A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534812(P2007−534812)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035247
【国際公開番号】WO2006/039528
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】