説明

液体漂白剤物品

【課題】 陰イオン界面活性剤を実質的に用いることなく、液垂れ、目詰まりの防止性に優れ、洗浄性能、起泡性に優れた液体漂白剤物品を提供する。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)非イオン界面活性剤、(c)フェノール系溶剤、(d)ホウ素化合物、(e)水、及び(f)陰イオン界面活性剤を、特定比率で含有する液体漂白剤組成物(イ)を、該(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器に液体漂白剤組成物を収容した液体漂白剤物品、及び液体漂白剤組成物を用いた洗浄方法に関する。特に衣類用液体漂白剤物品、及び衣類用洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食べこぼしのシミや肌着の黄ばみ等は通常の洗剤では落としきれない汚れであるため、一般に漂白剤が併用されたり、漂白剤が配合された洗剤を使用するなどの方法が採られている。漂白剤は塩素系漂白剤と酸素系漂白剤に分けられるが、塩素系漂白剤は使用できる繊維に制限があり、色、柄物に使用できず、また特有の臭いを有していることから、これらの欠点の無い酸素系漂白剤が近年著しく普及している。中でも、過酸化水素を主基剤とする液体漂白剤組成物は色・柄物に使用でき、汚れに直接塗布できるなどの利点から好まれて使用されている。
【0003】
また、利便性の点から、液体漂白剤組成物を吐出容器に収納した物品が知られている(特許文献1、2、3、4、5参照)。液状物を吐出する吐出容器においては、容器本体の口部に、トリガー式スプレイヤー、ポンプ式スプレイヤー等の吐出装置が装着された吐出容器、ボトルをスクイズすることにより泡やシャワー状に液状物を吐出するスクイズ式吐出容器等多くのタイプの吐出容器がある。これらの容器においては、使用時の液垂れ、目詰まりについて考慮する必要がある。
【0004】
洗浄性能の点で非イオン界面活性剤を用いることが好ましいが、目詰まりを起こしやすい傾向にあるため、一般には陰イオン界面活性剤と併用して用いている。その一方で、陰イオン界面活性剤は、泡立ちが良すぎる傾向にあり、特にトリガー式スプレイヤーを用いた場合泡の安定性が良過ぎるために、被洗浄物(衣類等)に浸透し難い傾向がある。
【特許文献1】特開平5−156293号公報
【特許文献2】特表平11−500778号公報
【特許文献3】特開平11−100594号公報
【特許文献4】特開2004−76006号公報
【特許文献5】特表2001−503814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、陰イオン界面活性剤を実質的に用いることなく、液垂れ、目詰まりの防止性に優れ、洗浄性能、起泡性に優れた液体漂白剤物品、及び液体漂白剤組成物を用いた洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体漂白剤組成物(イ)を、該液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品であって、
前記液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜20質量%、(c)フェノール系溶剤0.001〜5質量%、(d)ホウ素化合物0.01〜5質量%、(e)水65〜98質量%、及び(f)陰イオン界面活性剤を1質量%以下含有し、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比が10/1〜1/50である液体漂白剤物品に関する。
【0007】
また、本発明は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜20質量%、(c)フェノール系溶剤0.001〜5質量%、(d)ホウ素化合物0.01〜5質量%、(e)水65〜98質量%、及び(f)陰イオン界面活性剤を1質量%以下含有し、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比が10/1〜1/50である液体漂白剤組成物(イ)を、被洗浄物に泡状に塗布して用いる洗浄方法に関する。
【0008】
本発明の好ましい態様として以下のものが挙げられる。
(i)更に、前記液体漂白剤組成物(イ)が(g)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%含有する液体漂白剤物品、
(ii)更に、前記液体漂白剤組成物(イ)が(j)(j1)炭素数1〜5の1価アルコール、(j2)炭素数2〜12の多価アルコール、(j3)下記の一般式(1)で表される化合物、及び(j4)下記の一般式(2)で表される化合物からなる群から選ばれるアルコール系化合物0.05〜10質量%含有する液体漂白剤物品、
【0009】
1O(C24O)e(C36)f2 (1)
3OCH2CH(OH)CH2OH (2)
〔式中、R1及びR2は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R1及びR2の双方が水素原子となる場合を除く。eは0〜10の数を、fは0〜10の数を示すが、e及びfの双方が0である場合を除く。R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
(iii)液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHが7以下である液体漂白剤物品、
(iv)被洗浄物が衣料である洗浄方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、液垂れ、目詰まりの防止性に優れ、洗浄性能、起泡性(特に保存後の起泡性)に優れた液体漂白剤物品、及び液体漂白剤組成物を用いた洗浄方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<液体漂白剤組成物(イ)>
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素〔以下、(a)成分という〕0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤〔以下、(b)成分という〕1〜20質量%、(c)フェノール系溶剤〔以下、(c)成分という〕0.001〜5質量%、(d)ホウ素化合物〔以下、(d)成分という〕0.01〜5質量%、(e)水〔以下、(e)成分という〕65〜98質量%を含有し、及び(f)陰イオン界面活性剤〔以下、(f)成分という〕を1質量%以下含有し、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比が10/1〜1/50である。
【0012】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHは、安定性の点で、好ましくは7以下、より好ましくは1〜6.5、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは2〜4である。このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸などの無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、20℃における粘度が3〜100mPa・s、更に3〜80mPa・s、特に4〜60mPa・sの範囲であることが、吐出性の点、特に好ましい泡状物として吐出する点で好適である。このような粘度に調整するために本発明では粘度調整剤を配合することができる。(1)粘度調整剤としては炭素数1〜3のアルキル基、もしくはヒドロキシ基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸、(2)重量平均分子量3000〜100000のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコール、(3)キサンタンガム、グアガム、及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる糖系高分子化合物、(4)炭素数12〜20、好ましくは14〜18のアルキル基もしくはアルケニル基と平均付加モル数が60〜200、好ましくは100〜200のポリオキシエチレン鎖とを有する非イオン性物質、及び(5)該非イオン性物質とビニルシクロヘキセンジエポキシド等のジエポキシ化合物との反応生成物を用いることができる。このような粘度調整剤の比率は液体漂白剤組成物(イ)中0〜10質量%、更に0.01〜5質量%が好適である。
【0014】
〔(a)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(a)成分として過酸化水素を0.1〜10質量%含有する。好ましくは(a)成分を0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、安全性を得ることができる。
【0015】
〔(b)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(b)成分として非イオン界面活性剤を1〜20質量%含有する。好ましくは(b)成分を2〜18質量%、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは5〜12質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、良好な泡特性を得ることができる。
【0016】
優れた漂白効果、トリガー式スプレイヤーを用いた場合の摺動性の長期間維持の点で、(a)過酸化水素/(b)非イオン界面活性剤の質量比は5/1〜1/5が好ましく、3/1〜1/3がより好ましく、2/1〜1/1が更に好ましい。
【0017】
(b)成分としては、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック)、脂肪酸モノグリセライド、及びアミンオキサイド等の、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤、又は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル(特にエチレンオキサイド(以下、EO)平均付加モル数7〜12、アルキル基の炭素数10〜16)が好ましい。
【0018】
〔(c)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(c)成分としてフェノール系溶剤を0.001〜5質量%含有する。好ましくは(c)成分を0.005〜4質量%、より好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.05〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%含有する。このような範囲において優れた目詰まりの防止性、安定性の長期間維持を得ることができる。
【0019】
(c)成分としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール、フェノールなどが挙げられる。これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールがより好ましく、更にフェノール系溶剤の安定性を考慮すれば、これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が更に好ましく、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0020】
優れた漂白効果、安定性の長期間維持を得る点で、(b)非イオン界面活性剤/(c)フェノール系溶剤の質量比は100/1〜1/1が好ましく、80/1〜5/1がより好ましく、60/1〜10/1が更に好ましく、50/1〜15/1がより更に好ましく、40/1〜20/1が特に好ましい。
【0021】
〔(d)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(d)成分としてホウ素化合物を0.01〜5質量%含有する。優れた目詰まりの防止性、安定性の長期間維持を得る点で、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.5〜1質量%が特に好ましい。
【0022】
(d)成分としては、ホウ酸やホウ酸塩等を挙げることができるが、中でも4ホウ酸ナトリウム・5水塩、4ホウ酸ナトリウム・10水塩が製造上好ましい。
【0023】
優れた漂白効果、安定性の長期間維持を得ることに加え、起泡性の点で、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比は10/1〜1/50であり、5/1〜1/30が好ましく、2/1〜1/20がより好ましく、1/1〜1/10が更に好ましく、1/4〜1/8が特に好ましい。
【0024】
〔(e)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(e)成分として水を65〜98質量%含有する。水は、微量に水に溶解している金属を除去したイオン交換水又は蒸留水が貯蔵安定性の点から好適である。(e)成分の液体漂白剤組成物(イ)中の含有量は、安定性、吐出性の点で好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。
【0025】
〔(f)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、洗浄性能の点から(f)成分として陰イオン界面活性剤を含有することもできるが、衣料への浸透性等の観点から、含有量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下であり、実質的に含有しないことが好ましい。
【0026】
(f)成分としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤、又は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤が挙げられ、その例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、アルファオレフィンスルホン酸等を挙げることができる。
【0027】
〔その他の成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、優れた漂白効果、安定性の長期間維持を得る点から、(g)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を0.05〜5質量%含有することが好ましく、0.1〜4質量%がより好ましく、0.5〜3質量%が更に好ましく、1〜2質量%が特に好ましい。
【0028】
(g)成分としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体やその塩を挙げることができる。これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やその塩が好ましい。
【0029】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を向上させる目的から(h)成分として漂白活性化剤を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%が特に好ましい。
【0030】
(h)成分としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0031】
これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0032】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を高める目的から(i)成分として分散剤を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.05〜14質量%がより好ましく、0.1〜8質量%が更に好ましい。特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸のコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマー、及び/又は重量平均分子量4千〜2万、好ましくは5千〜1万のポリエチレングリコールから選ばれる非イオン性ポリマーが好ましい。
【0033】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を高める目的で(j)成分としてアルコール系化合物を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.05〜10質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が更に好ましく、0.1〜2質量%が特に好ましい。
【0034】
(j)成分としては、(j1)炭素数1〜5の1価アルコール、(j2)炭素数2〜12の多価アルコール、(j3)下記の一般式(1)で表される化合物、及び(j4)下記の一般式(2)で表される化合物からなる群から選ばれるアルコール系化合物が好適である。
【0035】
1O(C24O)e(C36)f2 (1)
3OCH2CH(OH)CH2OH (2)
〔式中、R1及びR2は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示すが、R1及びR2の双方が水素原子となる場合を除く。eは0〜10の数を、fは0〜10の数を示すが、e及びfの双方が0である場合を除く。R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【0036】
(j1)の炭素数1〜5の1価アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
【0037】
(j2)の炭素数2〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
【0038】
(j3)の化合物は、一般式(1)において、R1及びR2がアルキル基である場合の炭素数は1〜4が特に好ましい。また、一般式(1)中、EO及びプロピレンオキシドの平均付加モル数のe及びfは、それぞれ0〜10の数である(e及びfの双方が0である場合を除く)が、これらの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものであってもよい。(j3)の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=2〜3)ポリオキシプロピレン(p=2〜3)ジメチルエーテル(pは平均付加モル数を示す、以下同様)、ポリオキシエチレン(p=1〜4)フェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)モノフェニルエーテルが好ましい。
【0039】
また、(j4)の化合物としてはアルキルグリセリルエーテル化合物が挙げられ、好ましくは一般式(2)中のR3が炭素数3〜8のアルキル基の化合物である。
【0040】
これらのなかでも本発明の性質を満たすために(j1)〜(j4)のアルコール系化合物が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)モノフェニルエーテルから選ばれる溶剤が好ましい。
【0041】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパールCBS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、チノパールSWN(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製社製)や、カラー・インデックス蛍光増白剤28、40、61、71等のような蛍光増白剤や、漂白性能を向上させるために酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)することができる。また染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤等の種々の微量添加物を適量配合してもよい。
【0042】
<吐出容器>
本発明に係わる吐出容器は、液体漂白剤組成物(イ)の収納部と、該液体漂白剤組成物(イ)の泡状での吐出手段としてトリガー式スプレイヤーを備える。
【0043】
本発明に係るトリガー式スプレイヤーには、互いに摺動する構成部材と、嵌合により該トリガー式スプレイヤーを構成する部材とが存在する。例えば、互いに摺動する構成部材としては、トリガー式スプレイヤーのピストンとシリンダー等が挙げられる。また、嵌合によりトリガー式スプレイヤーを構成する部材としては、ポンプハウジングに対する通液体等が挙げられる。
【0044】
<液体漂白剤物品>
本発明の液体漂白剤物品は、上記液体漂白剤組成物(イ)を、上記吐出容器に充填してなるものであり、硬質表面用漂白剤、衣料用漂白剤として用いることができる。本発明の液体漂白剤物品は、衣料用漂白剤としてより好ましい。
【0045】
安全性、漂白性能の点で、液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出させて用いることが好ましい。特に、本発明では、「泡状」とは、対象表面に付着させたときの組成物の単位質量当りの見掛け体積が、気泡を含むことにより2倍以上となり、且つ1分経過後も2倍以上の見掛け体積を保持した状態が好ましい。また、泡状物を構成する気泡は、平均泡径1〜10000μm、更に10〜5000μm、特に100〜3000μmであることが好ましい。また、泡状に吐出された組成物の粘度は、20℃で3〜100mPa・s、更に3〜80mPa・s、特に4〜60mPa・sであることが好ましい。
【0046】
<洗浄方法>
被洗浄物に対して、本発明の液体漂白剤組成物(イ)を泡状に塗布し、接触時間を設けた後、濯ぐ。好ましくは接触時間を設けた後一般の弱アルカリ性洗剤と共に洗濯する。
【0047】
被洗浄物の単位面積(cm2)に対する泡状組成物の付着量(g)は、0.1〜1g/cm2、好ましくは0.1〜0.5g/cm2が高い漂白効果を得る目的から好ましい。また、泡状組成物と被洗浄物の接触時間は、1〜600分間、更に3〜300分間、特に5〜60分間が好ましい。被洗浄物としては、繊維製品、特に衣料が好ましい。
【実施例】
【0048】
実施例1〜7及び比較例1〜7
表1の液体漂白剤組成物を吐出容器(下記参照)に300ml収納し、40℃、湿度20%に保存し、以下の方法で漂白性能、スプレーノズルの状態、及び起泡性を観察した。結果を表1に示した。
【0049】
(漂白性能評価)
ビリルビン汚染布(親油性汚れのモデル汚れに相当)に、上記条件で一週間保存した液体漂白剤組成物を1g泡状にスプレーして塗布し、1分間放置した。試験布は5枚用意した。放置後、試験布5枚をターゴトメーター(Terg−o−tometer)を用い、市販洗剤(アタック)を0.0667%の濃度で溶解させた洗濯液(硬度3DH、20℃)1Lにて100rpm、10分間洗浄処理した。この時、試験布5枚は、同じビーカー内で処理した。洗浄後、試験布は流水下(水道水)で十分に濯がれ、室温で乾燥された。乾燥後の試験布の漂白率を下記式に従って計算し、試験布5枚の平均値を求めた。その結果を表1に示した。
【0050】
<ビリルビン汚染布>
ビリルビン(メルク社製の試薬)0.03gを100mlのクロロホルムに溶解した。このビリルビン−クロロホルム溶液0.06mlを5cm×5cmの木綿布に均一になるように滴下し、室温で乾燥後、ビリルビン汚染布を得た。
【0051】
<漂白率の算出方法>
漂白率は以下のように算出した。
【0052】
【数1】

【0053】
反射率は日本電色工業(株)製ND−300Aで460nmフィルターを使用して測定した。
【0054】
(スプレーノズルの状態評価方法)
1週間に一度10回のスプレーを行い、4週間(その間の保存条件は前記の通り)後の状態を以下の評価基準に従い評価した。
評価基準 ○:ノズルに変化なし
△:ノズルに僅かに付着物がある
×:ノズルに詰まりがみられる(噴霧不良)
【0055】
(起泡性評価)
上記条件で4週間保存した液体漂白剤組成物を、15cmの距離(水平)から、木綿布に2回吐出して、できた泡の状態を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準 ○:周りに飛び散らず、キレイな泡
△:水っぽく、周りに飛び散る泡
×:泡にならない
【0056】
<液体漂白剤組成物>
表1に示す組成物を調製した。何れも、20℃におけるpHを表1に示したように調整した(1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液で調整)。表1中の成分は以下のものである。
・C12EO10:炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均10モル付加させたもの
・C10アルキルグルコシド:炭素数10〜12のアルキルグルコシド(糖縮合度p=1.3)
・LAS:アルキル基の炭素数12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・PHG-30:フェノールにEOを平均3モル付加させたもの
・BDG:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・Dequest2010:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ソルーシア社)
【0057】
<吐出容器>
・吐出容器No.1
実開平7−3744号の図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、下記一般式(3)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R’が炭素数10のアルキル基、Aが共にメチル基、n/mが12で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキル変性シリコーンを0.05g/m2の割合で塗布した。この吐出容器は、手動ポンプ組立体(吐出手段)を設け、手動ポンプ組立体に加える手動操作により、容器内容物を泡状に吐出可能としてなる吐出容器であり、手動ポンプ組立体の摺動部及び嵌合部に前記長鎖アルキル変性シリコーンオイルを塗布してなるものである。
【0058】
【化1】

【0059】
・吐出容器No.2
実開平7−3744号の図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、下記一般式(4)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R’が炭素数12のアルキル基、R''が2−フェニルプロピル基、Bが共にメチル基、(p+q)/rが9、q/pが4で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーンを0.05g/m2の割合で塗布した。
【0060】
【化2】

【0061】
・吐出容器No.3
実開平7−3744号の図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、25℃の粘度が500mPa・sのジメチルシリコーンを0.05g/m2の割合で塗布した。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体漂白剤組成物(イ)を、該液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品であって、
前記液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜20質量%、(c)フェノール系溶剤0.001〜5質量%、(d)ホウ素化合物0.01〜5質量%、(e)水65〜98質量%、及び(f)陰イオン界面活性剤を1質量%以下含有し、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比が10/1〜1/50である液体漂白剤物品。
【請求項2】
更に、前記液体漂白剤組成物(イ)が(g)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%含有する請求項1記載の液体漂白剤物品。
【請求項3】
更に、前記液体漂白剤組成物(イ)が(j)(j1)炭素数1〜5の1価アルコール、(j2)炭素数2〜12の多価アルコール、(j3)下記の一般式(1)で表される化合物、及び(j4)下記の一般式(2)で表される化合物からなる群から選ばれるアルコール系化合物0.05〜10質量%含有する請求項1又は2記載の液体漂白剤物品。
1O(C24O)e(C36)f2 (1)
3OCH2CH(OH)CH2OH (2)
〔式中、R1及びR2は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はベンジル基を示すが、R1及びR2の双方が水素原子となる場合を除く。eは0〜10の数を、fは0〜10の数を示すが、e及びfの双方が0である場合を除く。R3は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【請求項4】
液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHが7以下である請求項1〜3何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項5】
(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜20質量%、(c)フェノール系溶剤0.001〜5質量%、(d)ホウ素化合物0.01〜5質量%、(e)水65〜98質量%、及び(f)陰イオン界面活性剤を1質量%以下含有し、(c)フェノール系溶剤/(d)ホウ素化合物の質量比が10/1〜1/50である液体漂白剤組成物(イ)を、被洗浄物に泡状に塗布して用いる洗浄方法。
【請求項6】
被洗浄物が衣料である請求項5記載の洗浄方法。

【公開番号】特開2007−9067(P2007−9067A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191782(P2005−191782)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】