説明

液体漂白剤組成物

【課題】 防菌・防カビ効果に優れ、貯蔵後も漂白・洗浄力を発揮し、液感が劣化しない液体漂白剤組成物の提供。
【解決手段】 (a)非イオン性界面活性剤、(b)式(1)で表される第4級アンモニウム塩及び(c)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が1〜50質量%、(b)成分の含有量が0.1〜10質量%である液体漂白剤組成物。
【化1】


[式中、R11〜R14のうち1又は2がフェニル基を1個有する炭化水素基又はC8-36の脂肪族炭化水素基、残りが炭素数1〜5のアルキル基で、R11〜R14の総炭素数は19以上、X-はハロゲンイオン若しくはC1-3のアルキル硫酸イオンである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
非イオン性界面活性剤は、界面活性能が高く洗浄力に優れることから、衣料用洗剤や漂白剤などに広く使用されている。また、過酸化水素を主基剤とする液体漂白剤は色・柄物に使用でき、汚れに直接塗布できるなどの利点から好まれて使用されている。過酸化水素は、弱アルカリ洗剤と共に使用することによって漂白効果を発揮するが、製品のpHを高くすることは過酸化水素の安定性の面から非常に困難である。そこで、過酸化水素の安定化技術の開発がなされており、特許文献1には2種の非イオン性界面活性剤を組み合わせることによって過酸化水素を安定化する技術が開示されている。また、特許文献2には、過酸化水素安定化剤としてフェノール誘導体を配合しpHを4〜7に調整した液体漂白剤が開示されている。
【0003】
一方、陽イオン性界面活性剤は、衣類に吸着し抗菌・防臭効果があることから、洗浄剤や柔軟剤に広く使用されている。特許文献3には、抗菌剤として陽イオン性界面活性剤を配合した液体洗浄剤組成物が開示されており、また特許文献4には、衣類の抗菌・防臭剤として陽イオン性界面活性剤を配合した柔軟剤が開示されている。
【特許文献1】特開2001−200300号公報
【特許文献2】特開平11−181492号公報
【特許文献3】特開2002−60788号公報
【特許文献4】特開2001−146681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過酸化水素は、弱アルカリ性以上のpH領域で使用することによって、漂白効果や除菌・除臭効果を発揮することができる。しかしながら、特許文献1及び2における液体漂白剤組成物を長期間貯蔵した場合、過酸化水素から生成するヒドロキシラジカルによって、非イオン性界面活性剤が分解し、液感の劣化や組成物の分解が促進され漂白・洗浄能力の低下が生じる。
【0005】
また、特許文献3、4の液体組成物を使用した場合、衣類に対する抗菌効果は発揮するが、除菌効果や洗濯槽の防菌・防カビ効果は低く、洗濯後の衣類や洗濯槽から菌由来の不快な臭いが発生する。
【0006】
従って本発明の課題は、防菌・防カビ効果に優れ、貯蔵後も漂白・洗浄力を発揮し、液感が劣化しない液体漂白剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の4級アンモニウム塩を特定割合で含有する液体漂白剤組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が1〜50質量%、(b)成分の含有量が0.1〜10質量%である液体漂白剤組成物を提供する。
(a)非イオン性界面活性剤
(b)一般式(1)で表される4級アンモニウム塩
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、R11、R12、R13、R14のうち1つ又は2つがフェニル基を1個有する炭化水素基又は炭素数8〜36の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、残りが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。但し、R11、R12、R13及びR14の総炭素数は19以上である。X-は、ハロゲンイオン若しくは炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。]
(c)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体漂白剤組成物は、防菌・防カビ効果に優れ、液感が劣化せず、貯蔵後も漂白・洗浄力を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[(a)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(a)成分として、非イオン性界面活性剤を含有する。
【0013】
非イオン性界面活性剤としては、液感の劣化を抑制する観点から、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、あるいはグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤が好ましく、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、及びグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0014】
また、(a)成分として、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤及びグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種((a1)成分という)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤((a2)成分という)との混合物を用いることも好ましく、(a1)成分と(a2)成分の質量比は、液感の劣化を抑制する観点から、(a1)/(a2)=1/30〜30/1が好ましい。
【0015】
(a1)成分のオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤は、ランダム共重合体、又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよく、その中でもブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体の形態としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0016】
21-O-(C24O)p−(C36O)q−(C24O)rH (2)
〔式中、R21は炭素数8〜18の炭化水素基であり、p、q及びrはそれぞれ独立にオキシアルキレン基の数平均付加モル数を示す1〜10の数である。〕
一般式(2)において、R21は炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基又はアルケニル基、更に好ましくはアルキル基である。p、q、rはそれぞれ独立にオキシアルキレン基の数平均付加モル数を示す1〜10の数であり、2〜8の数が好ましい。
【0017】
(a1)成分のグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0018】
22−O−(C362)s−H (3)
〔式中、R22は炭素数8〜18の炭化水素基であり、C362で示される基は直鎖又は分岐鎖であり、sは数平均付加モル数を示す1〜10である。〕
一般式(3)において、R22は炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基又はアルケニル基、更に好ましくはアルキル基である。sは数平均付加モル数を示す1〜10の数であり、2〜6の数が好ましい。
【0019】
[(b)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(b)成分として、前記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩を含有する。
【0020】
一般式(1)において、R11、R12、R13、R14は、それらのうち1つ又は2つがフェニル基を1個有する炭化水素基又は炭素数8〜36の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基、残りが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。フェニル基を1個有する炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0021】
これらの中では、R11、R12、R13、R14のうち1つ又は2つが炭素数8〜36のアルキル基、フェニル基又はベンジル基、特に炭素数16〜22のアルキル基で、残りが炭素数1〜3のアルキル基、特にメチル基、エチル基であるものが好ましい。R11、R12、R13及びR14の総炭素数は19以上であるが、19〜40が好ましく、19〜32が更に好ましい。
【0022】
-は、ハロゲンイオン若しくは炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンであるが、塩素イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンが好ましい。
【0023】
(b)成分の具体例としては、セチルトリメチルアンモニウム塩;トリメチルステアリルアンモニウム塩;ベンジルセチルジメチルアンモニウム塩;ベンジルジメチルステアリルアンモニウム塩などが挙げられる。液感の劣化を抑制する観点から、ベンジルセチルジメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0024】
[(c)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(c)成分として過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物を含有する。水中で過酸化水素を生成する化合物としては、過炭酸塩及び過ホウ酸塩等が挙げられる。
【0025】
[液体漂白剤組成物]
本発明の液体漂白剤組成物は、必須成分として、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する。
【0026】
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、液感の劣化を抑制する観点から、1〜50質量%であり、15〜40質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。
【0027】
本発明の組成物中の(b)成分の含有量は、液感の劣化を抑制する観点から、0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。
【0028】
本発明の組成物中の(c)成分の含有量は、優れた漂白効果を得る観点から、過酸化水素として、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜4.5質量%が更に好ましい。
【0029】
本発明の液体漂白剤組成物は、(d)成分として、ホスホン酸基又はその塩基を有する金属イオン封鎖剤を含有することが好ましい。ホスホン酸基又はその塩基を有する金属イオン封鎖剤としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸から選ばれるホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸から選ばれるホスホノカルボン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩を挙げることができ、好ましくはホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩であり、特にエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩が好ましい。
【0030】
本発明の組成物中の(d)成分の含有量は、過酸化水素の安定性を得る観点から、0.05質量%以上0.3質量%未満が好ましく、0.1〜0.25質量%がより好ましく、0.15〜0.2質量%が更に好ましい。
【0031】
本発明の液体漂白剤組成物は、pHジャンプ効果を賦与するため、即ち、保存時の組成物のpHを低く維持し、使用場面での希釈時にはpH値を高めるために、(e)成分として、ホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物、並びに(f)成分として隣合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物を、(f)成分/(e)成分のモル比が1.5〜2.7となる割合で含有することが好ましい。
【0032】
(e)成分のホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0033】
(f)成分の具体例としては下記(1)〜(4)の化合物が挙げられる。
【0034】
(1)グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、アルキル基の炭素数1〜10のアルキルグリセリルエーテル、アルキルジグリセリルエーテル、アルキルトリグリセリルエーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールから選ばれるグリセロール類又はグリコール類
(2)ソルビトール、マンニトール、マルチトース、イノシトール、フィチン酸から選ばれる糖アルコール類
(3)グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、フルクトースから選ばれる還元糖類
(4)デンプン、デキストラン、キサンタンガム、グアガム、カードラン、プルラン、アミロース、セルロースから選ばれる多糖類。
【0035】
本発明では、特に上記(2)の糖アルコール類が好適であり、特にソルビトールが安定性及び漂白/洗浄効果の点から好適である。なお、(3)の還元糖類については、過酸化水素の安定性に影響を及ぼす還元性のアルデヒド基が分子中に存在するために使用する場合には注意を要する。
【0036】
本発明においては、保存時の液体漂白剤組成物の20℃におけるpHを4.0〜7.0にする一方、使用時に水に希釈することでpHを上昇させることが好ましく、液体漂白剤組成物に対して1000容積倍の水により希釈した場合の希釈液の20℃におけるpHが、8.5以上10.5未満、更に9以上9.5未満になることが良好な漂白/洗浄効果を得る観点から好ましい。このようなpHジャンプ効果を得るために、本発明の組成物中に(e)成分と(f)成分を上記の割合で配合することが好ましい。
【0037】
ここで、(e)成分と(f)成分との間には下記のような平衡反応が存在する。
【0038】
【化3】

【0039】
本発明においてはジ体がpHジャンプ系の主要成分であることが希釈溶液のpHを8.5以上10.5未満にするために好適であり、液体漂白剤組成物中において、(e)成分の70〜100モル%がジ体となっていることが好ましい。また十分なpHジャンプ効果、及び漂白/洗浄効果を得る観点から、モノ体となっている(e)成分の割合は0〜5モル%が好ましく、(e)成分中、ホウ酸、ホウ砂又はホウ酸塩として単独で存在する割合は0〜25モル%が好適である。
【0040】
また、(f)成分が過剰に存在すると過酸化水素の安定性を損なうおそれがあるため、(e)成分と(f)成分の比率には注意が必要である。従って本発明では(f)成分/(e)成分のモル比(ただし、ホウ砂及び4ホウ酸ナトリウムの場合はホウ素原子を4個含むため、4当量と考える)が、好ましくは1.5〜2.7、より好ましくは2.0〜2.7、更に好ましくは2.2〜2.7の割合で混合することで、本発明の優れたpHジャンプ効果及び過酸化水素の安定性の両方を得ることができる。
【0041】
なお、本発明では(e)成分及び(f)成分を液体漂白剤組成物に配合する場合には、液体漂白剤組成物中では上記モノ体及びジ体の化合物に変換されているため、本発明でいう(e)成分及び(f)成分の含有量とは、単独で存在する(e)成分及び(f)成分の含有量に、上記モノ体、ジ体の含有量から(e)成分及び(f)成分の量を換算した量を加えた量の合計を意味する。本発明の組成物中の(e)成分の含有量は、ホウ素原子として、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.15〜0.5質量%、更に好ましくは0.2〜0.4質量%である。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
【0042】
なお、変換されたモノ体、ジ体の含有量は、ホウ素(11B)のNMR分光法とICP発光分析法との組合せを用いることで算出することができる。
【0043】
本発明の液体漂白剤組成物は、(g)成分として漂白活性化剤を含有することが好ましい。漂白活性化剤とは、無機過酸化物と反応することで有機過酸を生成する化合物を意味する。(g)成分の漂白活性化剤としては、アルカノイル基の炭素数が8〜14のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸あるいはそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、良好な貯蔵安定性を得る観点から、炭素数8〜14の分岐アルカノイルオキシ基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸あるいはそれらの塩が好ましく、アルカノイルオキシ基のエステル結合を形成する炭素原子のα位又はβ位に側鎖を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸あるいはそれらの塩が更に好ましい。
【0044】
エステル結合を形成する炭素原子のα位又はβ位に側鎖を有するアルカノイルオキシ基としては、2−エチルヘキサノイル基、2−プロピルヘプタノイル基、3,5,5−トリメチルヘキサノイル基等が挙げられ、これら分岐アルカノイルオキシ基を有するベンゼンスルホン酸又はベンゼンカルボン酸(安息香酸)あるいはその塩が特に好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0045】
(g)成分の具体例としては、下記式(g−1)〜(g−4)で表される化合物が挙げられ、式(g−1)〜(g−2)で表される化合物が好ましい。
【0046】
【化4】

【0047】
本発明の組成物中の(g)成分の含有量は、優れた漂白効果を発現させる観点から、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.2〜2質量%が更に好ましい。
【0048】
また、本発明の組成物は、過酸化水素の安定性の点から、(h)成分として過酸化水素安定化剤(ラジカルトラップ剤)を含有することが好ましい。ラジカルトラップ剤としては、一般的にフェノール誘導体が知られており、特開平11−181492号公報等に開示されている。本発明では、フェノール誘導体としてフェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体を好ましく用いることができる。このような化合物としては、具体的にクレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−フェノールスルホン酸、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール等が挙げられる。この中で好ましい化合物は、G.E.Penketh,J.Appl.Chem.,Vol 7,512〜521頁(1957)に記載されている酸化還元電位(O.P.)0(25℃)が0.3〜1.25Vの化合物であり、より好ましくは0.6〜0.75Vの化合物である。更に、配合のしやすさの点から、溶解度の高いラジカルトラップ剤がより効果的であり、溶解性を示す疎水性パラメーターlogP値で3以下のものが好ましい。上述した酸化還元電位及び溶解性の点から、4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、4−フェノールスルホン酸、ヒドロキノン、カテコールが好ましい。これらフェノール系ラジカルトラップ剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。本発明の組成物中の(h)成分の配合量は0.01〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0049】
本発明の液体漂白剤組成物の20℃におけるpHは好ましくは4.0〜11.0であり、より好ましくは4.0〜7.0、更に好ましくは4.2〜6.5、特に好ましくは4.5〜5.5である。このようなpHに調整するためのpH調整剤としては、塩酸や硫酸から選ばれる無機酸、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれる無機塩基を用いることが好ましい。
【0050】
本発明の液体漂白剤組成物は、水に希釈して漂白/洗浄を行う方法に供され、希釈する水は液体漂白剤組成物に対して600〜2000質量倍、好ましくは700〜1500質量倍である。また、このような倍率で希釈された溶液の20℃におけるpHが8.5以上10.5未満、特に8.5以上9.5未満になることが好ましい。このような洗浄液を用いることにより優れた漂白/洗浄効果を得ることができる。
【実施例】
【0051】
実施例1
下記成分を用い表1及び表2に示す組成の液体漂白剤組成物を調製した。得られた液体漂白剤組成物を用いて、過酸化水素の貯蔵安定性、貯蔵前後の洗浄性及び曇点、洗浄後の洗濯槽の臭いを以下の方法により評価した。その結果を表1及び表2に示す。
【0052】
<配合成分>
(a)成分
(a1)−1;CH3(CH2)11-O-(C24O)p-(C36O)q-(C24O)r-H(数平均付加モル数p=7、q=2及びr=3)
(a1)−2;CH3(CH2)11-O-(CH2CH(OH)CH2O)-(CH(CH2OH)CH2O)-(CH2CH(OH)CH2O)-H
(a2)−1;CH3(CH2)11-O-(C24O)p-H(数平均付加モル数p=8)
(b)成分
(b)−1;セチルトリメチルアンモニウムクロリド
(b)−2;トリメチルステアリルアンモニウムクロリド
(b)−3;ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド
(b)−4;ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド
(b’)成分((b)成分の比較品)
(b)’−1;エチルトリメチルアンモニウムクロリド
(b)’−2;ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド
(b)’−3;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド
(c)成分
(c)−1;過酸化水素
(d)成分
(d)−1;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸
(e)成分
(e)−1;ホウ酸
(f)成分
(f)−1;ソルビトール
(g)成分
(g)−1;前記式(g−2)で表される化合物
(g)−2;前記式(g−1)で表される化合物
(h)成分
(h)−1;4−フェノールスルホン酸ナトリウム
<過酸化水素の貯蔵安定性の評価法>
液体漂白剤組成物を100mLガラス製サンプルビンに80g入れ、30℃1週間貯蔵した。貯蔵前後の液体漂白剤組成物を1/10N過マンガン酸標準液で滴定し、有効酸素量を求め下式により過酸化水素残存率を測定した。
【0053】
【数1】

【0054】
<貯蔵前後の洗浄性の評価法>
液体漂白剤組成物を100mLガラス製サンプルビンに80g入れ、30℃1週間貯蔵した。貯蔵前後の液体漂白剤組成物1mLと4°DHを混合し1000mLに調整した後、ターゴトメータを用いて20℃、80rpmでモデル皮脂汚れ汚染布(4枚)の洗浄試験を行った。洗浄処理前後の布表面の反射率を測定し、下式により洗浄率を求めた。
・皮脂汚れ汚染布の調製
皮脂汚れ汚染布(人工汚染布)は、10cm×10cmの木綿布に下記組成より成るモデル皮脂汚れ2gを均一に塗布して皮脂汚れ汚染布を作製した。モデル皮脂汚れの組成は、綿実油60質量%、コレステロール10質量%、オレイン酸10質量%、パルミチン酸10質量%、液体及び固体パラフィン10質量%である。
【0055】
【数2】

【0056】
<貯蔵前後の曇点の測定法>
液体漂白剤組成物を100mLガラス製サンプルビンに80g入れ、50℃で1ケ月貯蔵した。貯蔵前後の液体漂白剤組成物を緩やかに昇温して白濁する温度(曇点)を測定した。
【0057】
<洗濯槽の臭い評価法>
液体漂白剤組成物30mLと4°DHを混合し30Lに調整した後、全自動洗濯機(松下電器産業株式会社製;NA−F60K2型)を用いて肌着4kgを洗浄する試験を60回繰り返し行った。累積洗濯後の洗濯槽の臭いを7段階(0:無臭、1:ごくわずかに臭う、2:弱く臭う、3:はっきり臭う、4:強く臭う、5:かなり強く臭う、6:非常に強く臭う)にレベル分けし、官能評価を行った。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が1〜50質量%、(b)成分の含有量が0.1〜10質量%である液体漂白剤組成物。
(a)非イオン性界面活性剤
(b)一般式(1)で表される4級アンモニウム塩
【化1】

[式中、R11、R12、R13、R14のうち1つ又は2つがフェニル基を1個有する炭化水素基又は炭素数8〜36の直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、残りが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。但し、R11、R12、R13及びR14の総炭素数は19以上である。X-は、ハロゲンイオン若しくは炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンである。]
(c)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物
【請求項2】
更に、(d)成分としてホスホン酸基又はその塩基を有する金属イオン封鎖剤を含有する請求項1記載の液体漂白剤組成物。
【請求項3】
(a)成分が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、及びグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の液体漂白剤組成物。
【請求項4】
(a)成分が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤及びグリセリル基を有するポリグリセリルアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種((a1)成分という)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤((a2)成分という)との混合物であり、(a1)成分と(a2)成分の質量比(a1)/(a2)が1/30〜30/1である請求項1又は2記載の液体漂白剤組成物。

【公開番号】特開2007−106904(P2007−106904A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299643(P2005−299643)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】