液体紙容器加熱用ヒーターノズル
【課題】本発明は、液体紙容器の密封シールする際に、過加熱によるピンホール発生や熱不足による密封シール不良が起こらないようにする液体紙容器加熱用ヒーターノズルを提供することを目的とする。
【解決手段】紙基材層に熱可塑性樹脂層などを積層してなる液体紙容器の密封部分に、熱風を吹き付けて熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の全周に、複数段にわたり熱風吹き出し用孔(4a)を設けた液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通している外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【解決手段】紙基材層に熱可塑性樹脂層などを積層してなる液体紙容器の密封部分に、熱風を吹き付けて熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の全周に、複数段にわたり熱風吹き出し用孔(4a)を設けた液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通している外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした紙容器の頂部や底部を熱圧着して密封シールする際に、密封シールに影響のある箇所の熱のかかりを均一になるようにして、該紙容器に過加熱によるピンホール発生や熱不足による密封シール不良が起こらないようにする液体紙容器加熱用ヒーターノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切り妻屋根型などの液体紙容器を構成する紙基材の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料については、例えば表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と、紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)と、ポリエチレン層(25μm)と、アルミニウム箔層(9μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)と、ポリエチレン層(60μm)とを適宜に順次積層した積層材料などが一般的に用いられている。この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断するガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられることが多くなってきている。
【0003】
このような、紙基材層の表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型などの液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした液体紙容器の開口部の内側全周の密封する部分の近傍に移動して位置させる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにより、熱風を吹きつけて、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、密封する部分を合せて接合する作業が行われている。
【0004】
液体紙容器の頂部の密封方法の一例を示すならば、図10は、液体紙容器(20´)の頂部部分の展開図を示すもので、第一パネル(21´)と第二パネル(22´)と第三パネル(23´)と第四パネル(24´)と糊代部(25´)と、第一パネル(21´)と第三パネル(23´)の上端部に密封する部分(26´、26´)を設け、第二パネル(22´)と第四パネル(24´)には、仮折り用の折り目線(28´、28´)と、該折り目線(28´、28´)を折りこむことで接着する部分(26a´、26a´)が設けられている。
【0005】
先ず、液体紙容器(20´)の製函、充填工程において、第一パネル(21´)の側端部と糊代部(25´)とを貼り合わせて、図11に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20´)とする。次に、この液体紙容器(20´)の頂部の密封する部分(26´、26´)と接着する部分(26a´、26a´)に内面より熱風を吹きつけて表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、折り目線(28´、28´)を介して内側方向に折り込み、該折り目線(28´、28´)に沿って折り込み接着する部分(26a´、26a´)と密封する部分(26´、26´)を接合し密封することで、図12に示すように、液体紙容器(20´)の頂部が形成される。尚、高速充填機などで加圧時間が十分に取れない場合は、接着する部分(26a´、26a´)の外側面にも熱風を吹きつけて両面から加熱を行う方法が取られている。一方、低速充填機などで加圧時間が十分に取れる場合は、外面側まで表面の熱可塑性樹脂層を溶かし接合し密封することができるので内面より熱風を吹きつけるだけでも構わない。
【0006】
ここで、前記液体紙容器(20´)の密封する部分(26´、26´)と接着する部分
(26a´、26a´)の表面の熱可塑性樹脂層を溶かす方法は、例えば、図7および図8に示すように、少なくとも、外気導入部(1´)、ヒーター部(2´)、ヒーターチャンバー部(3´)を順次装着したヒーターノズル(4´)を用いて、前工程からブロアー等で供給された風(外気)を熱風にした後、該ヒーターノズル(4´)の熱風吹き出し用孔(4a´)から吹き出させ液体紙容器(20´)の内面を炙ることにより熱可塑性樹脂層を溶かしている。
【0007】
前記ヒーターノズル(4´)には、ヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a´)が形成されており、図9に示すように、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器(20´)の仮折りされた頂部や底部に臨ませて配置し、前述したように外気導入部(1´)とヒーター部(2´)およびヒーターチャンバー部(3´)を通過してなる熱風を前記熱風吹き出し用孔(4a´)から熱圧着して密封する部分に吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かしている。
【0008】
ところが、例えば、図13に示すように、加熱用ヒーターノズル(4´)の全周に複数段にわたり千鳥模様状或いは並列に同ピッチで貫設された丸形状(直径1.0〜2.0mm)の熱風吹き出し用孔(4a´)から吹き出す熱風によって液体紙容器(20´)の内面を炙ると、図14に示すように、熱のかかり易い部分とかかり難い部分が発生する。熱のかかった部分は、ミラー状に変色するが、実際の熱のかかり具合はまだらになっている。そこで熱の不足している部分に、より一層熱を与えようとすると、熱の掛かっている部分には余計に熱がかかるので過加熱状態になり、図15に示すように、ピンホール(P´)が発生してしまう。このピンホール(P´)の発生箇所が接液部などの場合は、密封シール不良となる。
【0009】
そこでこれらの問題および成形不良など類似の問題を解決するために各種の対策が提案されている。例えば、加熱用ヒーターオーブンの内面側のほぼ中央部に略三角形状の無孔領域を形成し、その周辺部に熱風吹き出し用孔を多数設けたものや(例えば、特許文献1参照。)、センターオーブンと両サイドオーブンを有する加熱用ヒーターオーブンにおいて、該サイドオーブンの凸状側面部に、熱風吹き出し用孔を形成しないものや(例えば、特許文献2参照。)、センターオーブンの全周に貫設された熱風吹き出し用孔を、該センターオーブン上方より1段目又は2段目迄の孔数を他段の孔数より多くする、及び/又は孔の径を大きくすることや(例えば、特許文献3参照。)、熱風の吹き付け範囲を例えば、頂部にあっては、該頂部の上方に水平な折り目線を介して連設される上貼着部の、水平な折り目線より内側の部分で、各パネルの中央位置の水平な折り目線寄り近傍を除いた部分に限定したもの(例えば、特許文献4参照。)などが提案されているがいずれも実用的には完全なものではない。
【0010】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平9−226705号公報
【特許文献2】特開平9−226706号公報
【特許文献3】特開平9−226725号公報
【特許文献4】特開平11−292005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした該容器の頂部や底部を熱圧着して密封シールする際に、該密封シールに影響のある箇所の熱のかかりを均一になるようにして、該紙容器に過加熱によるピンホール発生や熱不足による密封シール不良が起こらないようにする液体紙容器加熱用ヒーターノズルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルは、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部とヒーター部、およびヒーターチャンバー部を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズルの、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズルの液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔を備え、前記ヒーターチャンバー部およびヒーターノズルの内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部と連結し、且つ隔壁により隔離されて形成されていることにより、この温風が加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図であり、図2は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図であり、図3は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図であり、図4は本発明に係る液体紙容器の頂部を示す部分平面図であり、図5は本発明に係る液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図であり、図6は本発明に係る液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【0016】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)は、図1および図2に示すように、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【0017】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)は、図示しないが支持基板と熱風供給部とガイドシリンダーとエアーシリンダーを介して下降、上昇するようになっている。そして該ヒーターノズル(4)が下降した時に、図3に示すように、仮折りされた液体紙容器(20)の頂部である密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の近傍に位置するようになっている。
【0018】
次に、該ヒーターノズル(4)の構造について、より詳細に説明する。まず、前工程からブロアー等で供給された風(外気)を熱風にするため、少なくとも、外気導入部(1)、ヒーター部(2)、ヒーターチャンバー部(3)を順次装着した構成になっている。
【0019】
また、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けている他に該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)が隔壁(7)により隔離された空間になっており、その全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備えている。
【0020】
さらに、前記ヒーターチャンバー部(3)とヒーターノズル(4)の内部を貫通する外気取り入れパイプ部(5)を設けた2重構造になっている。
【0021】
そして、該外気取り入れパイプ部(5)は、該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)が隔壁(7)により隔離された空間に連結されている。
【0022】
このような構造をしたヒーターノズル(4)を用いて、例えば、液体紙容器の仮折りされた頂部を熱圧着して密封する部分の熱可塑性樹脂層を溶かす方法を説明する。
【0023】
まず、本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を、図3に示すように、仮折りされた液体紙容器(20)の頂部である密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の近傍に下降させ配置する。
【0024】
次に、前工程からブロアー等で供給された常温の風(外気)を熱風にするため、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過させ、該ヒーターノズル(4)内部に導入し、熱風吹き出し用孔(4a)を通じて液体紙容器の内面に熱風を吹き付ける。
【0025】
一方、該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)の隔壁(7)により隔離された空間には、熱せられていない常温の風(外気)を前記外気取り入れパイプ部(5)を通じて送風する。このとき送風された風(外気)は、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)を通過する加熱された熱風や滞留している熱風の雰囲気によって熱せられるが、実際の加熱温度より低温の温風となり予熱の役割を果たす。
【0026】
温風吹き出し用孔(4b)から吹き出た温風は、加熱部と非加熱部の境界部(接液部)
に予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【0027】
ところで、本発明に係る液体紙容器の材料構成および構造について詳細に説明する。先ず、材料構成としては、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料を使用する。例えば表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)とポリエチレン層(25μm)とアルミニウム箔層(9μm)とポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)とポリエチレン層(60μm)とを適宜に積層した積層材料などが用いられる。この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断する、ガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられる。
【0028】
次に、本発明に係る液体紙容器の構造、特に液体紙容器の頂部の構造について詳細に説明する。図4に示すように、液体紙容器(20)の頂部部分は、第一パネル(21)と第二パネル(22)と第三パネル(23)と第四パネル(24)と糊代部(25)と、第一パネル(21)と第三パネル(23)の上端部に密封する部分(26、26)を設け、第二パネル(22)と第四パネル(24)には、仮折り用の折り目線(28、28)と、該折り目線(28、28)を折りこむことで接着する部分(26a、26a)が設けられている。
【0029】
次に、このような液体紙容器(20)のブランクをフレームシーラー(特殊なサック貼機)により、第一パネル(21)の側端部と糊代部(25)とを貼り合わせて、スリーブ形状の液体紙容器(20)を作製する。次に、液体紙容器(20)専用の充填包装機に供給し、図5に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20)に成形し、内容物を取り出す注出口栓(30)を取り付け、液体紙容器(20)の頂部の密封する部分(26、26)および接着する部分(26a、26a)に内面より熱風と温風を吹き付け、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、折り目線(28、28)を介して内側方向に折り込み、図6に示すように、該折り目線(28、28)に沿って折り込み、接着する部分(26a、26a)と、密封する部分(26、26)とを接合し、密封することで、液体紙容器(20)の頂部が形成する。特に、加熱部と非加熱部の境界部(接液部)には、温風を吹き付け、予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【0030】
尚、高速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れない場合は、接着する部分(26a、26a)の外側面にも熱風を吹きつけて両面から加熱を行う方法が取られるが、低速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れる場合は、内面側に熱風を吹きつけるだけでも外面側の表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、接合し、密封することができるので内面だけの片面加熱方法でも構わない。
【0031】
このような、表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した、切り妻屋根型の液体紙容器(20)の成形、充填工程において、仮折りした液体紙容器(20)の開口部の
内側全周にわたる密封する部分の近傍に移動して位置する液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)により、熱風と温風を吹きつけて、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、密封する部分を合せて接合する作業が行われる。
【0032】
尚、本発明に係る液体紙容器の材料構成の中で、紙基材としては、化学パルプなどを主原料とするパルプから抄造した坪量が230〜450g/m2程度の範囲内の板紙を選択して使用することが好ましい。
【0033】
次に、最外層の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し、ヒートシール性を有する樹脂ならば特に制約されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0034】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが適当で、紙基材層上にエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。その際の厚さは、15〜50μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0035】
次に、ガスバリア層を形成するアルミニウム箔の代替に用いられる無機酸化物の薄膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)などの金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
【0036】
そして、これら金属の中でも、包装材料に使用する場合は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)が好ましく、これら金属の酸化物である、酸化珪素、酸化アルミニウムを真空蒸着法などにより、薄膜化することが適当である。その際の膜厚は、10〜80nm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0037】
また、前記無機酸化物の薄膜を形成するための支持体となる樹脂フィルムは、強度的に強く、耐熱性が高く、化学的に優れていれば特に制約されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他などの各種のフィルムを使用することができるが、透明性、強度などの物性面、コストなどの経済性などを考慮するとポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂からなるフィルムが好ましい。その際の該樹脂フィルムの厚さは、10〜40μm程度の範囲内で任意に選択して使用することが好ましい。
【0038】
次に、最内層のシーラント層および紙基材層とガスバリア層とを接着する中間層を形成する熱可塑性樹脂は、前記最外層に使用する樹脂と同様に該熱可塑性樹脂が使用される。
【0039】
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0040】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが好ましく、エクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。この際の該中間層の厚さは、15〜30μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。また、該最内層の厚さは、30〜100μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
本発明に係る液体紙容器(20)の材料構成としては、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/アルミニウム箔(9μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた。次に、図4に示すように、液体紙容器(20)の頂部部分は、第一パネル(21)と第二パネル(22)と第三パネル(23)と第四パネル(24)と糊代部(25)と、第一パネル(21)と第三パネル(23)の上端部に密封する部分(26、26)を設け、第二パネル(22)と第四パネル(24)には、仮折り用の折り目線(28、28)と、該折り目線(28、28)を折りこむことで接着する部分(26a、26a)が設けられた構造のブランクを作製し、該ブランクをフレームシーラー(特殊なサック貼機)により、第一パネル(21)の側端部と糊代部(25)とを貼り合わせて、スリーブ形状の液体紙容器(20)を作製した。
【0043】
次に、このような、表面に低密度ポリエチレン樹脂を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型の液体紙容器専用の充填包装機に供給し、成形、充填工程において、図5に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20)に成形し、図1および図2に示すように、加熱用ヒーターノズル(4)の全周に4段にわたり並列に同ピッチで貫設された、丸形状(直径1.0mm)の熱風吹き出し用孔(4a)と該液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付け、予熱を与える最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結され、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されている空間を備えた液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を、図3に示すように該液体紙容器(20)の仮折りされた頂部上にあてがった。
【0044】
次に、前記液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を前記液体紙容器(20)の頂部の密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の内面近傍に下降させた、液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)により、液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付けて予熱を与え、同時に360℃で80mmAqの熱風を1秒間吹きつけて、表面の低密度ポリエチレン樹脂を溶かし、折り目線(28、28)に沿って内側方向に折り込み、接着する部分(26a、26a)と密封する部分(26、26)を接合し密封することで、図6に示すように、該液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0045】
<実施例2>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化珪素蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0046】
<実施例3>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化アルミニウム蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0047】
<評価>
実施例1〜3により得られた液体紙容器(20)の頂部のシールの安定性を評価したところ、いずれにおいても、最下段部(6)の温風吹き出し用孔(4b)から該液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付けて予熱を与えことで、該境界部付近に過加熱によるピンホールが発生せず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良もなかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る液体紙容器の頂部を示す部分平面図である。
【図5】本発明に係る液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図である。
【図6】本発明に係る液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【図7】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図である。
【図8】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図である。
【図9】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図である。
【図10】従来の液体紙容器の頂部を示す部分平面図である。
【図11】従来の液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図である。
【図12】従来の液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【図13】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルの1実施例を示す斜視図(写真)である。
【図14】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルで液体紙容器の頂部内面を炙った状態の1実施例を示す平面図(写真)である。
【図15】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルで液体紙容器の頂部内面を炙った結果、過加熱状態になりピンホールが発生した状態の1実施例を示す平面図(写真)である。
【符号の説明】
【0049】
1、1´・・・外気導入部
2、2´・・・ヒーター部
3、3´・・ヒーターチャンバー部
4、4´・・・液体紙容器加熱用ヒーターノズル
4a、4a´・・・熱風吹き出し用孔
4b・・・温風吹き出し用孔
5・・・外気取り入れパイプ部
6・・・液体紙容器加熱用ヒーターノズルの最下段部
7・・・隔壁
20、20´・・・液体紙容器
21、21´・・・第一パネル
22、22´・・・第二パネル
23、23´・・・第三パネル
24、24´・・・第四パネル
25、25´・・・糊代部
26、26´・・・密封する部分
26a、26a´・・・接着する部分
28、28´・・・折り目線
30、30´・・・注出口栓
P´・・・ピンホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした紙容器の頂部や底部を熱圧着して密封シールする際に、密封シールに影響のある箇所の熱のかかりを均一になるようにして、該紙容器に過加熱によるピンホール発生や熱不足による密封シール不良が起こらないようにする液体紙容器加熱用ヒーターノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切り妻屋根型などの液体紙容器を構成する紙基材の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料については、例えば表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と、紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)と、ポリエチレン層(25μm)と、アルミニウム箔層(9μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)と、ポリエチレン層(60μm)とを適宜に順次積層した積層材料などが一般的に用いられている。この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断するガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられることが多くなってきている。
【0003】
このような、紙基材層の表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型などの液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした液体紙容器の開口部の内側全周の密封する部分の近傍に移動して位置させる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにより、熱風を吹きつけて、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、密封する部分を合せて接合する作業が行われている。
【0004】
液体紙容器の頂部の密封方法の一例を示すならば、図10は、液体紙容器(20´)の頂部部分の展開図を示すもので、第一パネル(21´)と第二パネル(22´)と第三パネル(23´)と第四パネル(24´)と糊代部(25´)と、第一パネル(21´)と第三パネル(23´)の上端部に密封する部分(26´、26´)を設け、第二パネル(22´)と第四パネル(24´)には、仮折り用の折り目線(28´、28´)と、該折り目線(28´、28´)を折りこむことで接着する部分(26a´、26a´)が設けられている。
【0005】
先ず、液体紙容器(20´)の製函、充填工程において、第一パネル(21´)の側端部と糊代部(25´)とを貼り合わせて、図11に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20´)とする。次に、この液体紙容器(20´)の頂部の密封する部分(26´、26´)と接着する部分(26a´、26a´)に内面より熱風を吹きつけて表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、折り目線(28´、28´)を介して内側方向に折り込み、該折り目線(28´、28´)に沿って折り込み接着する部分(26a´、26a´)と密封する部分(26´、26´)を接合し密封することで、図12に示すように、液体紙容器(20´)の頂部が形成される。尚、高速充填機などで加圧時間が十分に取れない場合は、接着する部分(26a´、26a´)の外側面にも熱風を吹きつけて両面から加熱を行う方法が取られている。一方、低速充填機などで加圧時間が十分に取れる場合は、外面側まで表面の熱可塑性樹脂層を溶かし接合し密封することができるので内面より熱風を吹きつけるだけでも構わない。
【0006】
ここで、前記液体紙容器(20´)の密封する部分(26´、26´)と接着する部分
(26a´、26a´)の表面の熱可塑性樹脂層を溶かす方法は、例えば、図7および図8に示すように、少なくとも、外気導入部(1´)、ヒーター部(2´)、ヒーターチャンバー部(3´)を順次装着したヒーターノズル(4´)を用いて、前工程からブロアー等で供給された風(外気)を熱風にした後、該ヒーターノズル(4´)の熱風吹き出し用孔(4a´)から吹き出させ液体紙容器(20´)の内面を炙ることにより熱可塑性樹脂層を溶かしている。
【0007】
前記ヒーターノズル(4´)には、ヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a´)が形成されており、図9に示すように、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器(20´)の仮折りされた頂部や底部に臨ませて配置し、前述したように外気導入部(1´)とヒーター部(2´)およびヒーターチャンバー部(3´)を通過してなる熱風を前記熱風吹き出し用孔(4a´)から熱圧着して密封する部分に吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かしている。
【0008】
ところが、例えば、図13に示すように、加熱用ヒーターノズル(4´)の全周に複数段にわたり千鳥模様状或いは並列に同ピッチで貫設された丸形状(直径1.0〜2.0mm)の熱風吹き出し用孔(4a´)から吹き出す熱風によって液体紙容器(20´)の内面を炙ると、図14に示すように、熱のかかり易い部分とかかり難い部分が発生する。熱のかかった部分は、ミラー状に変色するが、実際の熱のかかり具合はまだらになっている。そこで熱の不足している部分に、より一層熱を与えようとすると、熱の掛かっている部分には余計に熱がかかるので過加熱状態になり、図15に示すように、ピンホール(P´)が発生してしまう。このピンホール(P´)の発生箇所が接液部などの場合は、密封シール不良となる。
【0009】
そこでこれらの問題および成形不良など類似の問題を解決するために各種の対策が提案されている。例えば、加熱用ヒーターオーブンの内面側のほぼ中央部に略三角形状の無孔領域を形成し、その周辺部に熱風吹き出し用孔を多数設けたものや(例えば、特許文献1参照。)、センターオーブンと両サイドオーブンを有する加熱用ヒーターオーブンにおいて、該サイドオーブンの凸状側面部に、熱風吹き出し用孔を形成しないものや(例えば、特許文献2参照。)、センターオーブンの全周に貫設された熱風吹き出し用孔を、該センターオーブン上方より1段目又は2段目迄の孔数を他段の孔数より多くする、及び/又は孔の径を大きくすることや(例えば、特許文献3参照。)、熱風の吹き付け範囲を例えば、頂部にあっては、該頂部の上方に水平な折り目線を介して連設される上貼着部の、水平な折り目線より内側の部分で、各パネルの中央位置の水平な折り目線寄り近傍を除いた部分に限定したもの(例えば、特許文献4参照。)などが提案されているがいずれも実用的には完全なものではない。
【0010】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平9−226705号公報
【特許文献2】特開平9−226706号公報
【特許文献3】特開平9−226725号公報
【特許文献4】特開平11−292005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、清酒やジュースなどを収納する切り妻屋根型の液体紙容器の製函、充填工程において、仮折りした該容器の頂部や底部を熱圧着して密封シールする際に、該密封シールに影響のある箇所の熱のかかりを均一になるようにして、該紙容器に過加熱によるピンホール発生や熱不足による密封シール不良が起こらないようにする液体紙容器加熱用ヒーターノズルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルは、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部とヒーター部、およびヒーターチャンバー部を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズルの、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズルの液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔を備え、前記ヒーターチャンバー部およびヒーターノズルの内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部と連結し、且つ隔壁により隔離されて形成されていることにより、この温風が加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図であり、図2は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図であり、図3は本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図であり、図4は本発明に係る液体紙容器の頂部を示す部分平面図であり、図5は本発明に係る液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図であり、図6は本発明に係る液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【0016】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)は、図1および図2に示すように、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズル(4)の、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズル(4)の液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結し、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズルである。
【0017】
本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)は、図示しないが支持基板と熱風供給部とガイドシリンダーとエアーシリンダーを介して下降、上昇するようになっている。そして該ヒーターノズル(4)が下降した時に、図3に示すように、仮折りされた液体紙容器(20)の頂部である密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の近傍に位置するようになっている。
【0018】
次に、該ヒーターノズル(4)の構造について、より詳細に説明する。まず、前工程からブロアー等で供給された風(外気)を熱風にするため、少なくとも、外気導入部(1)、ヒーター部(2)、ヒーターチャンバー部(3)を順次装着した構成になっている。
【0019】
また、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔(4a)を設けている他に該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)が隔壁(7)により隔離された空間になっており、その全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備えている。
【0020】
さらに、前記ヒーターチャンバー部(3)とヒーターノズル(4)の内部を貫通する外気取り入れパイプ部(5)を設けた2重構造になっている。
【0021】
そして、該外気取り入れパイプ部(5)は、該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)が隔壁(7)により隔離された空間に連結されている。
【0022】
このような構造をしたヒーターノズル(4)を用いて、例えば、液体紙容器の仮折りされた頂部を熱圧着して密封する部分の熱可塑性樹脂層を溶かす方法を説明する。
【0023】
まず、本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を、図3に示すように、仮折りされた液体紙容器(20)の頂部である密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の近傍に下降させ配置する。
【0024】
次に、前工程からブロアー等で供給された常温の風(外気)を熱風にするため、外気導入部(1)とヒーター部(2)、およびヒーターチャンバー部(3)を順次通過させ、該ヒーターノズル(4)内部に導入し、熱風吹き出し用孔(4a)を通じて液体紙容器の内面に熱風を吹き付ける。
【0025】
一方、該ヒーターノズル(4)の最下段部(6)の隔壁(7)により隔離された空間には、熱せられていない常温の風(外気)を前記外気取り入れパイプ部(5)を通じて送風する。このとき送風された風(外気)は、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)を通過する加熱された熱風や滞留している熱風の雰囲気によって熱せられるが、実際の加熱温度より低温の温風となり予熱の役割を果たす。
【0026】
温風吹き出し用孔(4b)から吹き出た温風は、加熱部と非加熱部の境界部(接液部)
に予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【0027】
ところで、本発明に係る液体紙容器の材料構成および構造について詳細に説明する。先ず、材料構成としては、紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料を使用する。例えば表面側から、熱可塑性樹脂層であるポリエチレン層(30μm)と紙基材層(晒クラフト紙310g/m2)とポリエチレン層(25μm)とアルミニウム箔層(9μm)とポリエチレンテレフタレートフィルム層(12μm)とポリエチレン層(60μm)とを適宜に積層した積層材料などが用いられる。この液体紙容器のアルミニウム箔層については、清酒やジュースなどの内容物が空気中の酸素や内容物の香気成分などを遮断する、ガスバリア層として積層したものである。最近では、アルミニウム箔の廃棄処理問題などから、アルミニウム箔の代替品として無機酸化物である酸化珪素や酸化アルミニウムなどをポリエチレンテレフタレートフィルムに真空蒸着した蒸着フィルムが用いられる。
【0028】
次に、本発明に係る液体紙容器の構造、特に液体紙容器の頂部の構造について詳細に説明する。図4に示すように、液体紙容器(20)の頂部部分は、第一パネル(21)と第二パネル(22)と第三パネル(23)と第四パネル(24)と糊代部(25)と、第一パネル(21)と第三パネル(23)の上端部に密封する部分(26、26)を設け、第二パネル(22)と第四パネル(24)には、仮折り用の折り目線(28、28)と、該折り目線(28、28)を折りこむことで接着する部分(26a、26a)が設けられている。
【0029】
次に、このような液体紙容器(20)のブランクをフレームシーラー(特殊なサック貼機)により、第一パネル(21)の側端部と糊代部(25)とを貼り合わせて、スリーブ形状の液体紙容器(20)を作製する。次に、液体紙容器(20)専用の充填包装機に供給し、図5に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20)に成形し、内容物を取り出す注出口栓(30)を取り付け、液体紙容器(20)の頂部の密封する部分(26、26)および接着する部分(26a、26a)に内面より熱風と温風を吹き付け、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、折り目線(28、28)を介して内側方向に折り込み、図6に示すように、該折り目線(28、28)に沿って折り込み、接着する部分(26a、26a)と、密封する部分(26、26)とを接合し、密封することで、液体紙容器(20)の頂部が形成する。特に、加熱部と非加熱部の境界部(接液部)には、温風を吹き付け、予熱を与えることで、該境界部付近に過加熱によるピンホールを発生させず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良が起こらないようになり、シールの安定化が図られる。さらに、液体紙容器の温度が外気等の影響を受け、低温になっていたとしても、予熱を与えることにより、境界部(接液部)を充分加熱させることができる。
【0030】
尚、高速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れない場合は、接着する部分(26a、26a)の外側面にも熱風を吹きつけて両面から加熱を行う方法が取られるが、低速充填機などで加熱・加圧時間が十分に取れる場合は、内面側に熱風を吹きつけるだけでも外面側の表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、接合し、密封することができるので内面だけの片面加熱方法でも構わない。
【0031】
このような、表面に熱可塑性樹脂層を積層した積層材料で作製した、切り妻屋根型の液体紙容器(20)の成形、充填工程において、仮折りした液体紙容器(20)の開口部の
内側全周にわたる密封する部分の近傍に移動して位置する液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)により、熱風と温風を吹きつけて、表面の熱可塑性樹脂層を溶かし、密封する部分を合せて接合する作業が行われる。
【0032】
尚、本発明に係る液体紙容器の材料構成の中で、紙基材としては、化学パルプなどを主原料とするパルプから抄造した坪量が230〜450g/m2程度の範囲内の板紙を選択して使用することが好ましい。
【0033】
次に、最外層の熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し、ヒートシール性を有する樹脂ならば特に制約されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0034】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが適当で、紙基材層上にエクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。その際の厚さは、15〜50μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0035】
次に、ガスバリア層を形成するアルミニウム箔の代替に用いられる無機酸化物の薄膜としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)などの金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。
【0036】
そして、これら金属の中でも、包装材料に使用する場合は、珪素(Si)、アルミニウム(Al)が好ましく、これら金属の酸化物である、酸化珪素、酸化アルミニウムを真空蒸着法などにより、薄膜化することが適当である。その際の膜厚は、10〜80nm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0037】
また、前記無機酸化物の薄膜を形成するための支持体となる樹脂フィルムは、強度的に強く、耐熱性が高く、化学的に優れていれば特に制約されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、その他などの各種のフィルムを使用することができるが、透明性、強度などの物性面、コストなどの経済性などを考慮するとポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂からなるフィルムが好ましい。その際の該樹脂フィルムの厚さは、10〜40μm程度の範囲内で任意に選択して使用することが好ましい。
【0038】
次に、最内層のシーラント層および紙基材層とガスバリア層とを接着する中間層を形成する熱可塑性樹脂は、前記最外層に使用する樹脂と同様に該熱可塑性樹脂が使用される。
【0039】
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他などの樹脂を使用することができる。
【0040】
そして、これら熱可塑性樹脂の中でも、作業性、経済性などの面から、低密度ポリエチレンを使用することが好ましく、エクストルージョンラミネーション法(溶融押出しラミネーション法)などにより行なう。この際の該中間層の厚さは、15〜30μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。また、該最内層の厚さは、30〜100μm程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
本発明に係る液体紙容器(20)の材料構成としては、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/アルミニウム箔(9μm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた。次に、図4に示すように、液体紙容器(20)の頂部部分は、第一パネル(21)と第二パネル(22)と第三パネル(23)と第四パネル(24)と糊代部(25)と、第一パネル(21)と第三パネル(23)の上端部に密封する部分(26、26)を設け、第二パネル(22)と第四パネル(24)には、仮折り用の折り目線(28、28)と、該折り目線(28、28)を折りこむことで接着する部分(26a、26a)が設けられた構造のブランクを作製し、該ブランクをフレームシーラー(特殊なサック貼機)により、第一パネル(21)の側端部と糊代部(25)とを貼り合わせて、スリーブ形状の液体紙容器(20)を作製した。
【0043】
次に、このような、表面に低密度ポリエチレン樹脂を積層した積層材料で作製した切り妻屋根型の液体紙容器専用の充填包装機に供給し、成形、充填工程において、図5に示すように、仮折りされた頂部と底部(図示せず)が開口した角筒状の液体紙容器(20)に成形し、図1および図2に示すように、加熱用ヒーターノズル(4)の全周に4段にわたり並列に同ピッチで貫設された、丸形状(直径1.0mm)の熱風吹き出し用孔(4a)と該液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付け、予熱を与える最下段部(6)が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔(4b)を備え、前記ヒーターチャンバー部(3)およびヒーターノズル(4)の内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部(5)と連結され、且つ隔壁(7)により隔離されて形成されている空間を備えた液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を、図3に示すように該液体紙容器(20)の仮折りされた頂部上にあてがった。
【0044】
次に、前記液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)を前記液体紙容器(20)の頂部の密封する部分(26、26)と接着する部分(26a、26a)の内面近傍に下降させた、液体紙容器加熱用ヒーターノズル(4)により、液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付けて予熱を与え、同時に360℃で80mmAqの熱風を1秒間吹きつけて、表面の低密度ポリエチレン樹脂を溶かし、折り目線(28、28)に沿って内側方向に折り込み、接着する部分(26a、26a)と密封する部分(26、26)を接合し密封することで、図6に示すように、該液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0045】
<実施例2>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化珪素蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0046】
<実施例3>
実施例1において、液体紙容器(20)の材料構成が、最外層面側から、低密度ポリエチレン樹脂(30μm)/晒クラフト紙(310g/m2)/低密度ポリエチレン樹脂(25μm)/酸化アルミニウム蒸着膜(30nm)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/接着剤/低密度ポリエチレン樹脂フィルム(60μm)からなる積層材料を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の液体紙容器(20)の頂部を形成した。
【0047】
<評価>
実施例1〜3により得られた液体紙容器(20)の頂部のシールの安定性を評価したところ、いずれにおいても、最下段部(6)の温風吹き出し用孔(4b)から該液体紙容器の加熱部と非加熱部の境界部(接液部)に温風を吹き付けて予熱を与えことで、該境界部付近に過加熱によるピンホールが発生せず、また液体紙容器の加熱部に充分な熱を与えることが可能となり、熱不足による密封シール不良もなかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る液体紙容器の頂部を示す部分平面図である。
【図5】本発明に係る液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図である。
【図6】本発明に係る液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【図7】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す斜視図である。
【図8】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置の1実施例を示す側断面図である。
【図9】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルを装着した加熱装置を液体紙容器の頂部にあてがう直前の状態を示す斜視図である。
【図10】従来の液体紙容器の頂部を示す部分平面図である。
【図11】従来の液体紙容器のサック貼りした頂部を示す部分斜視図である。
【図12】従来の液体紙容器の密封された頂部を示す部分斜視図である。
【図13】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルの1実施例を示す斜視図(写真)である。
【図14】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルで液体紙容器の頂部内面を炙った状態の1実施例を示す平面図(写真)である。
【図15】従来の液体紙容器加熱用ヒーターノズルで液体紙容器の頂部内面を炙った結果、過加熱状態になりピンホールが発生した状態の1実施例を示す平面図(写真)である。
【符号の説明】
【0049】
1、1´・・・外気導入部
2、2´・・・ヒーター部
3、3´・・ヒーターチャンバー部
4、4´・・・液体紙容器加熱用ヒーターノズル
4a、4a´・・・熱風吹き出し用孔
4b・・・温風吹き出し用孔
5・・・外気取り入れパイプ部
6・・・液体紙容器加熱用ヒーターノズルの最下段部
7・・・隔壁
20、20´・・・液体紙容器
21、21´・・・第一パネル
22、22´・・・第二パネル
23、23´・・・第三パネル
24、24´・・・第四パネル
25、25´・・・糊代部
26、26´・・・密封する部分
26a、26a´・・・接着する部分
28、28´・・・折り目線
30、30´・・・注出口栓
P´・・・ピンホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部とヒーター部、およびヒーターチャンバー部を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズルの、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズルの液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔を備え、前記ヒーターチャンバー部およびヒーターノズルの内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部と連結し、且つ隔壁により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズル。
【請求項1】
紙基材層の両面に熱可塑性樹脂層などを積層した積層材料からなる、切り妻屋根型などの液体紙容器の仮折りされた頂部や底部などを熱圧着して密封する部分に、外気導入部とヒーター部、およびヒーターチャンバー部を順次通過してなる熱風を吹き付けて表面の熱可塑性樹脂層を溶かすヒーターノズルの、前記熱可塑性樹脂層を溶かす頂部や底部に臨ませて配置され、液体紙容器の内面に熱風を吹き付けるヒーターノズル全周に、複数段にわたりそれぞれ異なる位置に多数の熱風吹き出し用孔を設けてなる液体紙容器加熱用ヒーターノズルにおいて、前記ヒーターノズルの液体紙容器の頂部や底部の内面の接液部に臨ませて配置される最下段部が全周にわたり、それぞれ異なる位置に多数の温風吹き出し用孔を備え、前記ヒーターチャンバー部およびヒーターノズルの内部を貫通して形成されている外気取り入れパイプ部と連結し、且つ隔壁により隔離されて形成されていることを特徴とする液体紙容器加熱用ヒーターノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−296918(P2008−296918A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141515(P2007−141515)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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