説明

液体製品またはジェル製品用の易開封性の包装体

本発明は、ジェルなど食品に関する製品用の包装体(1)であって、第1のシート(2)であり、第1のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部(4)を有し、折重ね部(4)のシート材が可剥性密封部(6)で互いに接合される第1のシートと、第2のシート(3)であり、第2のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部(5)を有し、折重ね部(5)のシート材が可剥性密封部(7)で互いに接合される第2のシートとを備える包装体を提案する。第1および第2のシート(2、3)は、互いに接合されて製品空洞部(8)を形成し、第1および第2のシート(2、3)は、2つの折重ね部(4、5)が外側に突出して互いに反対向きに配置され、折重ね部の方向と交差する方向に引っ張られることにより、2つの可剥性密封部(6、7)が剥離され、包装体の両側に開口部(9、10)が形成されて製品空洞部(8)へのアクセスが可能となるように配置されている。本発明は、そのような包装体を作る方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に関する製品(以下、食品ともいう。)用、特に機能性ジェル(performance gel)製品用の包装体と、そのような包装体に収容された製品に関する。ジェル製品は、そのような機能性製品の典型例とみなされる。
【背景技術】
【0002】
食品用の包装体は、従来技術として公知であり、包装された製品の鮮度と風味の保持を主に目的としている。このため、包装体は、たいてい密封されており、したがって水分と気体を通さない。
【0003】
液体、ジェル、ペースト、ピューレなどのために、柔軟な包装材が用いられる。一般に、包装体には、包装材を破って包装体を開封でき、包装体内の製品を取り出しできる切れ目が設けられる。破られて開口部を形成した包装材の部分は、包装体から取り除かれて棄てられてもよく、包装体に取り付けられたままでもよい。通常、液体またはジェルを収容する柔軟な包装体は、一方の手で包装体を把持し、他方の手で包装体を破ることにより、両手で開封される。あるいは、包装を開封するためにハサミが用いられてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポーツまたは機能性製品の分野では、エナジージェル、アミノ酸ジェルなどの液体またはジェルなどは、菓子製品などとは全く異なる状況での消費を意図されている。機能性ジェルは、たいてい訓練中または競技中に消費される。よって、その包装体は、ランニング中、サイクリング中などに濡れた手つまり汗ばんだ手で開封されなければならない。よって、包装体は、ときどき片手で開封されなければならず、および/または口(唇または歯)を用いて開封されなければならない。運動者が製品を携帯しなければならない場合、容易に保管でき正確に服用できることが望まれる。また、炭水化物を多く含む製品は、こぼれると、非常にべとついてしまう。
【0005】
包装の分野では、可剥性密封部により接合された包装材の垂直折重ね部を有する直立パウチが存在する。包装体内で可剥性密封部に交差して水平に引っ張られると、密封部は、包装体の上部に1つの開口部を形成する。これらのパウチは、両手での開封を要するので、スポーツまたは機能性製品には都合良くない。また、開口部から製品を服用する際の調節が難しい。
【0006】
このため、スポーツまたは機能性製品に用いることができ開封容易な柔軟材の包装体が必要とされている。また、製品を正確に服用でき、製品のこぼれを防止できる包装体が必要とされている。
【0007】
好ましくは、包装体の開封では、包装材のより小さい多くの断片が散らからないように、包装体が纏まった一体物として維持されるべきである。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決しようとするものである。本発明は、また、明細書の他の部分に記載されるような他の目的を目指しており、具体的には他の課題の解決策を目指している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、ジェルなど食品に関する製品用の包装体を提供する。この包装体は、
第1のシートであり、第1のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部を有し、折重ね部のシート材が可剥性密封部で互いに接合される、第1のシートと、
第2のシートであり、第2のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部を有し、折重ね部のシート材が可剥性密封部で互いに接合される、第2のシートと、
を備え、
第1および第2のシートが互いに接合されて製品空洞部を形成し、
第1および第2のシートが、2つの折重ね部が外側に突出して互いに反対向きに配置され、折重ね部の方向と交差する方向に引っ張られることにより、2つの可剥性密封部が剥離され、包装体の両側に開口部が形成されて製品空洞部へのアクセスが可能となるように配置されている。
【0010】
この柔軟な包装体は、プッシュプル閉鎖バルブ付のキャップを伴うスポーツボトルと同様な利点を有することが分かった。これらのボトルは、キャップを引っ張り上げてバルブを開放することにより開封される。消費者は、一方の手で柔軟な包装体を把持し、歯または唇で引っ張ることにより、同様な動作を行うことができる。よって、消費者は、サイクリング中、ランニング中などに包装体を容易に開封できる。
【0011】
開口部は、折曲げ部により調節型の開封部を形成する。
【0012】
本発明に係る密封包装体によれば、食品に関する製品の保管に際して長期的な安定性をもたらすように、水分や気体などの環境影響に対して食品を効果的に保護できる。
【0013】
包装材は、好ましくは、プラスチック、紙もしくは金属ホイル、または食品の包装分野で知られているこれらの複合ホイルで作られる。
【0014】
包装体では、第1と第2のシートは、2つの折重ね部が外側に突出して互いに反対向きに配置されるように配置される。折重ね部の基部は、折重ね部がシートの主平面から延びるところに実質的に当接することが好ましい。これにより、シート材の折重ね部内の間で密封部を容易に剥がすことができる。
【0015】
好適な実施形態では、包装体は、上部と下部を備え、下部から上部を垂直方向に引き離すことにより包装体の開封が可能となる。有利には、上部は、首部を有し、包装体からの製品の取り出しを容易にする。可剥性密封部を伴う折重ね部は、好ましくは、首部において、首部の側部で包装体の2つの開口部の開封を可能とする。
【0016】
スポーツ栄養製品のための本発明の特に有利な実施形態では、包装体の首部は、歯または口で引っ張られるように設計されており、内容物の取り出しのために口に入れられるように構成されている。これにより、ランニング中、サイクリング中など、濡れた手つまり汗ばんだ手での使用に特に好都合となる。首部の幅は、好ましくは10〜50mmであり、さらに好ましくは10〜30mmである。
【0017】
有利には、包装体の下部には、シート材で形成され、シート材上の折重ね部により形成された基部を設けることができる。
【0018】
包装体から製品を都合よく取り出すために、折重ね部は、各シート面から5〜20mm、好ましくは5〜10mmの深さ(14)を有している。これにより、25℃で0.5〜1.5Pa.sの粘性を有するジェル食品を取り出すのに適切なサイズの開口部が得られる。
【0019】
ある実施形態では、包装体は、それ自体の上で用いられる密封フィルム、または包装材の他の層に加えられる密封フィルムにより密封される。このため、密封フィルムは、好ましくは、ポリオレフィンなどの熱可塑性材からなるヒートシール可能な可剥性フィルムである。
【0020】
好適な実施形態では、ヒートシール可能フィルムは、共押出しフィルムである。共押出しフィルムは、比較的廉価な樹脂材からなるバルク層と、より薄い可剥性シーラント層とを有する。バルク層は、密封に際して緩衝効果をもたらし、フィルムに本体部を与える。これにより、可剥性フィルムの厚さを調整して個々の包装体のニーズを満たせる。さらに、共押出しフィルムを包装材の他の層にラミネートできる。よって、遮蔽特性および/または印刷特性を向上できる。
【0021】
一般に、ヒートシール可能な共押出しフィルムは、粘着性または接着性の剥離を可能とするように設計されてもよい。これにより、使用する樹脂材の選択に応じて、密封の耐久性と遮蔽特性を向上できる。
【0022】
包装体の効果的な密封を可能にするために、ヒートシール可能な共押出し可剥性フィルムに代えて、ヒートシール可能な塗料、またはアクリルベースなどのコールドシール接着剤を塗布してもよいことに留意されたい。これは、信頼性の高い密閉性を包装体に求める場合、望ましい密封となる。
【0023】
第2の態様において、本発明は、請求項に記載された方法を提案する。
【0024】
本発明に係る包装体と包装方法は、ジェルまたは液体製品に限らず、ペースト、粒状体、粉体など他の形態の製品にも有益であることに留意されたい。
【0025】
柔軟な包装材は、遮蔽特性を伴ってもよく、伴わなくてもよい。遮蔽特性を要する場合、遮蔽層は、アルミニウムホイル、金属被覆ホイル、またはEVOH、AluOx(酸化アルミニウム)/SiOx(酸化ケイ素)など特定の遮蔽材とすることができる。
【0026】
本発明の他の特徴、利点および目的は、添付図面の図を参照しながら、以下に記述する本発明の実施形態の詳細な説明を読む当業者に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】消費者がスポーツボトルと同様に本発明の包装体をどのようにして直感的に開封できるかを示す図である。
【図2】本発明に係る包装体の開封を示す図である。
【図3】包装体の詳細図である。
【図4】包装体の詳細図である。
【図5】包装体の詳細図である。
【図6】包装体の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、消費者が本発明の包装体をどのようにして直感的に開封できるかが示されている。この動作は、キャップのバルブによりスポーツボトルを開封するときの動作と同じである。包装体は、上部(11)と下部(12)を備えている。消費者は、片手と歯を用いて、折重ね部の方向と交差する方向に包装体を引っ張る。この動作により上部(11)と下部(12)が離される。よって、側部にある2つの可剥性密封部が剥がされ、包装体の両側に開口部が形成され、製品空洞部へのアクセスが可能となる。そして、製品は、包装体を絞ることにより口へ直に取り出され、製品を都合よく容易に消費することが可能となる。
【0029】
図2は、本発明に係る包装体(1)を両手で開封する様子を示している。
【0030】
図3は、包装体の詳細図を示している。第1および第2のシート(2、3)は、2つの折重ね部(4、5)が外側に突出し、折重ね部の方向と交差する方向に引っ張られることにより、2つの可剥性密封部(6、7)が剥ぎ取られ、包装体の両側に開口部(9、10)が形成され、製品空洞部(8)へのアクセスが可能となるように、配置される。図4は、包装体の開封に際して製品空洞部(8)から2つの開口部(9、10)を通る製品の流れを示す概要図である。
【0031】
本発明に係る方法の好適な実施形態では、包装体が以下のように作られる。
【0032】
図3に示すように、第1のシート(2)と第2のシート(3)には、第1のシート(2)の両端間にありシート材を折り重ねてなる1つの折重ね部(4)と、第2のシート(3)の両端間にありシート材を折り重ねてなる1つの折重ね部(5)が設けられる。包装体の各側に2以上の整数個分を要する場合、より多くの折重ね部が設けられてもよい。第1および第2のシート(2、3)は、2つの折重ね部(4、5)が外側に突出し互いに反対向きに配置されるように配置される。好ましくは、これは、シート(2、3)に係合して移動され、折重ね部(4、5)を形成して可剥性密封部(6、7)を形成する2対の密封工具を用いて行われる。また、折重ね部を折り畳んで第1および第2のシート(2、3)の相互接合を容易にする随意的な工程が行われてもよい。
【0033】
製品空洞部(8)を形成するために、包装体のリム(16)を密封し、それにより製品空洞部(8)を形成するように、密封工具がシート(2、3)に接触される。製品は、注入装置を用いて製品空洞部に充填される。製品空洞部(8)は、そして密封される。続いて、所定の形にされた成形工具を用いて包装体の首部(13)が形成される。首部(13)は、所定の形にされた切断工具で切開される。図5は、首部(13)の密封リム(15)と、首部(13)の切開前のシート材(16)の外形とを示している。よって、本発明に係る包装体が提供される。
【0034】
第1および第2のシートは、好ましくは熱溶接または接着を伴う密封により接合される。熱溶接で密封する場合、包装は、好ましくは形成・充填・密封・包装マシンにより行われる。有利には、このような包装マシンは、水平HFFSまたは鉛直VFFSの形成充填密封包装マシンである。
【0035】
図6は、閉鎖位置または開封位置におけるシート(6、7)の折重ね部の側面図である。折重ね部は、有利には、それぞれのシート平面から5〜20mm、好ましくは5〜10mmの深さ(14)を有している。これは、ジェルまたは液体製品の服用に都合のよい開口部をもたらす。折重ね部の寸法を服用される製品の種類に適合してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェルなど食品に関する製品用の包装体(1)であって、
第1のシート(2)であり、前記第1のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部(4)を有し、前記折重ね部(4)のシート材が可剥性密封部(6)で互いに接合される、第1のシートと、
第2のシート(3)であり、前記第2のシートの両端間にありシート材を折り重ねてなる少なくとも1つの折重ね部(5)を有し、前記折重ね部(5)のシート材が可剥性密封部(7)で互いに接合される、第2のシートと、
を備え、
前記第1および第2のシート(2、3)が互いに接合されて製品空洞部(8)を形成し、
前記第1および第2のシート(2、3)が、2つの前記折重ね部(4、5)が外側に突出して互いに反対向きに配置され、前記折重ね部の方向と交差する方向に引っ張られることにより、2つの前記可剥性密封部(6、7)が剥離され、前記包装体の両側に開口部(9、10)が形成されて前記製品空洞部(8)へのアクセスが可能となるように配置されている包装体。
【請求項2】
前記包装体が、上部(11)と下部(12)を備え、前記下部から前記上部を垂直方向に引き離すことにより当該包装体の開封が可能となる、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
上部が首部(13)を有し、前記首部(13)において、前記可剥性密封部を伴う前記折重ね部(4、5)により前記首部(13)の側部で当該包装体の2つの前記開口部(9、10)の開封が可能となる、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
首部(13)の幅が10〜50mmであり、好ましくは10〜30mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
当該包装体の前記首部(13)が、歯または口で引っ張られるように設計されており、内容物の取り出しのために口に入れられるように構成されている、請求項4に記載の包装体。
【請求項6】
当該包装体の下部(12)には、シート材で形成された基部が設けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項7】
前記折重ね部が、各シート面から5〜20mm、好ましくは5〜10mmの深さ(14)を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項8】
当該包装体が柔軟材で形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項9】
柔軟材が多層材である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項10】
前記第1および第2のシートが接着またはシール熱溶接で互いに接合されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項11】
ジェルなど食品に関する製品用の包装体を提供する方法であって、
第1のシート(2)と第2のシート(3)を準備する工程と、
前記第1のシート(2)を折り重ねて前記第1のシートの両端間にあるシート材からなる少なくとも1つの折重ね部(4)を形成する工程と、
前記第2のシート(3)を折り重ねて前記第2のシートの両端間にあるシート材からなる少なくとも1つの折重ね部(5)を形成する工程と、
前記折重ね部(4、5)のそれぞれで可剥性密封部(6、7)によりシート材を互いに接合する工程と、
2つの前記折重ね部(4、5)が外側に突出し互いに反対向きに配置されるように、前記第1および第2のシート(2、3)を配置する工程と、
前記第1および第2のシート(2、3)を互いに接合して製品空洞部(8)を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
充填装置により前記製品空洞部(8)へ製品を充填する工程と、
前記製品空洞部の前記製品を密封する工程と、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
所定の形にされた成形工具で前記包装体に首部(13)を形成し、所定の形にされた切断工具で前記首部(13)を切開する工程をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の包装体内に収容された食品に関する製品であって、液体またはジェルからなる食品に関する製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500213(P2013−500213A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522162(P2012−522162)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060954
【国際公開番号】WO2011/012644
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】