説明

液体調味料の製造方法及び液体調味料

【課題】 菜種粕を用い大豆醤油と遜色のないこれの代替となれる液体調味料を提供する。
【解決手段】 菜種粕の原料の水分量を調整するとともに該菜種粕の原料を加熱してそのタンパク質を変性させる前処理を行う前処理工程(1)と、前処理された菜種粕の原料に種麹を接種する接種工程(2)と、原料の粒度調整を行う粒度調整工程(3)と、種麹を摂取し粒度調整された菜種粕の原料を製麹し製麹原料を得る製麹工程(4)と、製麹原料に食塩を添加して仕込み諸味を得る仕込み工程(5)と、仕込み諸味をこれに種菌を添加して発酵させ熟成諸味を得る発酵工程(6)と、熟成諸味を加熱する熟成諸味加熱工程(7)と、熟成諸味を圧搾して生調味液を得る圧搾工程(8)と、生調味液を調整して液体調味料にする調整工程(9)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造残渣を用いた液体調味料の製造方法及び液体調味料に係り、特に、菜種から搾油した後の菜種粕を用いて醤油様の液体調味料を製造する液体調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品製造残渣を用いた液体調味料の製造方法としては、例えば、特許文献1(特開2007−244262号公報)に掲載された技術が知られている。
これは、食品製造残渣として酒粕を用い、この酒粕に食塩水と醤油麹とを混合し、発酵、熟成させて醤油様の調味料を得ている。
【0003】
ところで、食品製造残渣としては、油糧種子として利用される菜種から搾油した後の菜種粕があり、その量は膨大なものである。従来から、搾油された後の抽出粕は脱溶剤され、主に肥料または飼料として利用されている。しかしながら、肥料または飼料としての利用だけではなく、醤油と同等の調味料としての利用を図ることができれば、醤油原料の大豆の使用量の削減にもつながってより有用になる。そのため、上記従来の液体調味料の製造方法において、酒粕に代えて菜種粕を用い、醤油様の調味料を得ることが考えられる。
【0004】
また、従来、食品製造残渣を用いた液体調味料の製造方法としては、例えば、特許文献2(特許第4063473号公報)に掲載された技術も知られている。
これは、食品製造残渣原料に、醤油麹,醸造用アルコール及び食塩を加え、諸味中のアルコール濃度3.5〜6%v/v及び塩濃度8〜12%w/vとして、醤油酵母、酒精酵母及び醤油乳酸菌が生育しない条件下で醤油麹を作用させ、醤油香気を有しないこく味調味料を製造する技術である。この特許文献2においては、食品製造残渣として、菜種粕を用いて良いことが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−244262号公報
【特許文献2】特許第4063473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の従来の前者の液体調味料の製造方法において、酒粕に代えて単に菜種粕を用いても、酒粕と菜種粕との性状が著しく異なるので、必ずしも、品質の良い醤油様の調味料を得ることができないという問題があった。
また、後者の液体調味料の製造方法においても、醤油麹を用いてはいるが、醸造用アルコールを加えて、醤油香気がないようにしているので、醤油とは別の調味料になっており、そのまま適用することはできない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、菜種粕を用い大豆醤油と遜色のないこれの代替となれる液体調味料を製造する液体調味料の製造方法及び液体調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するための本発明の液体調味料の製造方法は、菜種粕を原料として液体調味料を製造する液体調味料の製造方法であって、菜種粕の原料の水分量を調整するとともに該菜種粕の原料を加熱してそのタンパク質を変性させる前処理を行う前処理工程と、前処理された菜種粕の原料に種麹を接種する接種工程と、種麹を摂取した菜種粕の原料を製麹し製麹原料を得る製麹工程と、製麹原料に食塩を添加して仕込み諸味を得る仕込み工程と、仕込み諸味を発酵させ熟成諸味を得る発酵工程と、熟成諸味を圧搾して生調味液を得る圧搾工程と、生調味液を調整して液体調味料にする調整工程とを備えた構成としている。
【0009】
これにより、前処理工程では、菜種粕の原料の水分調整が行われるとともにタンパク質が変性させられる。ここで、タンパク質の変性とは、タンパク質分子の立体構造を破壊し、酵素による分解作用を受けることのできる状態にするということである。そのため、タンパク質の変性を行ってから、種麹を接種し、その後、製麹してから、これに食塩を添加して発酵させるので、従来のように、単に食塩水と醤油麹とを混合して発酵、熟成させる方法と比較して、発酵が十分に行われ、タンパク質が良く分解し、大豆醤油と略同等の液体調味料にすることができ、即ち、菜種粕を用い大豆醤油と遜色のないこれの代替となれる液体調味料を製造することができる。また、前処理工程では、菜種粕の原料の水分調整が行われるので、原料が泥状にならないように調整することができ、そのため、製麹工程において、原料内に空気を良く流通させて、麹菌の繁殖を促進させることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記製麹工程前に、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように原料の粒度調整を行う粒度調整工程を設けた構成としている。尚、1メッシュ以下の粒度のものは除外される。製麹工程においては、原料間に空気が流通するが、この粒度調整工程において、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように粒度調整が行われているので、原料間に隙間が多く形成され、そのため、空気が良く原料内に流通し、麹菌の繁殖が促進され品質の高い製麹原料が得られる。10メッシュ以下の粗粒度原料が50重量%未満であると、麹菌の繁殖に劣る。特に、原料が粉末状になると、原料間が密になって空気の流通が悪くなる。
【0011】
また、必要に応じ、上記発酵工程後、圧搾工程前に、熟成諸味を加熱する熟成諸味加熱工程を設けた構成としている。これにより、熟成諸味から油分が分離して浮上してくるとともに、諸味の界面状態が変化し、諸味をまろやかにすることができる。また、その後の圧搾工程で目詰が防止される。
【0012】
更に、必要に応じ、上記前処理工程において、原料の水分含有率を30〜60重量%に調整する構成としている。好ましくは40〜55重量%である。これにより、原料が泥状にならないように調整することができ、そのため、製麹工程において、原料内に空気を良く流通させて、麹菌の繁殖を促進させることができる。
この場合、上記前処理工程において、原料を115〜140℃の温度で60〜180分蒸煮することが有効である。115℃に満たないと、タンパク質変性に時間がかかり効率が悪い。140℃を超えると装置が複雑になり汎用性に劣る。また、60分に満たないと、タンパク質変性が不十分になる。180分を超えると時間がかかり効率が悪い。具体的には、115℃以上121℃未満では、90〜180分が望ましく、121℃以上140℃未満では、60〜120分が望ましい。これにより、タンパク質の変性が短時間で確実に行われ、その後の種麹の接種が確実に行われる。
【0013】
更にまた、必要に応じ、上記製麹工程において、添加する種麹として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌、ペニシリウム(Penicillium)属菌、ムコール(Mucor)属菌、リゾップス(Rhizopus)属菌を単独若しくは2種以上用いる構成としている。
上記アスペルギルス属菌を用いる場合、アスペルギルス属菌として、アスペルギルス・シドウィー(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソヤー(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・イヌイ(Aspergillus inuii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を単独若しくは2種以上用いることが有効である。
特に、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)を、菜種粕に接種し、該接種した菜種粕において、目視により胞子の成長が確認できたものを抽出し、当該抽出した第二世代のものを、添加する種麹として用いることが有効である。
【0014】
また、必要に応じ、上記製麹工程において、原料に種麹を添加して混合し、その後、該原料を、温度25〜35℃、湿度60〜100%の環境下で、36〜84時間静置する構成としている。好ましくは湿度80〜100%である。麹菌の繁殖が促進され品質の高い製麹原料が得られる。
【0015】
更に、必要に応じ、上記発酵工程において、仕込み諸味に乳酸菌及び/または酵母からなる種菌を添加して発酵させる構成としている。
上記発酵工程において、添加する乳酸菌として、ペディオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)、ラクトバチルス・プランタム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、酵母として、カンジダ・エチェルシー(Candida etchellsii)、カンジダ・ビルサチルス(Candida versatilis)、サッカロマイセス・セレビジア(Saccharomyces cerevisiae)、ジゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)から単独若しくは2種以上選択して用いることが有効である。乳酸菌の添加により諸味中の酸の生成、それに伴うpHの低下、水分活性の低下などが期待できる。また、酵母類の添加により諸味中の糖をアルコールに発酵させるとともに香気成分の生成を行うことができる。
【0016】
更にまた、必要に応じ、上記発酵工程を、温度20〜42℃の環境下で、3〜24ヶ月行う構成としている。この温度に保つことで諸味中に添加した菌の活動が活発になり、発酵が促進される。
【0017】
そして、本発明の液体調味料は、上記の製造方法によって製造される液体調味料にある。タンパク質が良く分解し、大豆醤油と略同等の液体調味料にすることができ、菜種粕を用い大豆醤油と遜色のないこれの代替となれる液体調味料になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、菜種粕を用い大豆醤油と遜色のないこれの代替となれる液体調味料になる。特に、製麹工程前に、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように原料の粒度調整を行う場合には、製麹工程においては、原料間に隙間が多く形成され、そのため、空気が良く原料内に流通し、麹菌の繁殖が促進され品質の高い製麹原料を得ることができ、より一層確実に大豆醤油と略同等の液体調味料にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る液体調味料の製造方法及び液体調味料について詳細に説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る液体調味料の製造方法は、菜種粕を原料とする。一般に、菜種油を製造するには、菜種を熱処理し、その後、エクストルーダーといわれる圧搾機で搾油する。これにより、含有油の約50〜75%を採油することができる。更に、必要に応じ、圧搾粕に残された油をn−ヘキサンによって抽出する。この圧搾または抽出後に残された粕が、菜種粕となる。
【0020】
また、一般に、菜種粕の原料は、乾燥されて粉末状のもの、チップ状のもの、あるいは、搾油後に未乾燥である程度水分を含み、塊状になって大小の粒度のものが混在した状態のものなど、種々の形態のものがある。実施の形態では、圧搾機で搾油し、その後、油の抽出は行わない原料を用いた。この原料は、ある程度水分を含み、塊状になって大小の粒度のものが混在している。
【0021】
実施の形態に係る液体調味料の製造方法の構成は、菜種粕の原料の水分量を調整するとともに該菜種粕の原料を加熱してそのタンパク質を変性させる前処理を行う前処理工程(1)と、前処理された菜種粕の原料に種麹を接種する接種工程(2)と、原料の粒度調整を行う粒度調整工程(3)と、種麹を摂取し粒度調整された菜種粕の原料を製麹し製麹原料を得る製麹工程(4)と、製麹原料に食塩を添加して仕込み諸味を得る仕込み工程(5)と、仕込み諸味をこれに種菌を添加して発酵させ熟成諸味を得る発酵工程(6)と、熟成諸味を加熱する熟成諸味加熱工程(7)と、熟成諸味を圧搾して生調味液を得る圧搾工程(8)と、生調味液を調整して液体調味料にする調整工程(9)とを備えて構成される。以下、各工程について説明する。
【0022】
(1)前処理工程
菜種粕の原料の水分量を調整するとともに菜種粕の原料を加熱してそのタンパク質を変性させる前処理を行う。
詳しくは、原料が粉末状あるいはチップ状の塊であると、先ず、原料を水に適時間漬し、あるいは、原料に水を散水し、原料の水分含有率が30〜60重量%程度の範囲で、外側に離水が生じないように調整する。水分含有率がもともと所定範囲に入る原料においては、特に水への浸漬あるいは散水をすることは不要になる。例えば、水分量7.5重量%の原料においては、散水を行うが、散水量は菜種においては、80〜100重量%が限界である。80重量%以上の散水量になると麹が泥状になり通気性が悪く、そのままの状態では製麹が困難である。散水後の水分を、51重量%未満に設定することが望ましい。
次に、原料を115℃〜140℃の温度で60〜180分蒸煮する。115℃に満たないと、タンパク質変性に時間がかかり効率が悪い。140℃を超えると装置が複雑になり汎用性に劣る。また、60分に満たないと、タンパク質変性が不十分になる。180分を超えると時間がかかり効率が悪い。具体的には、115℃以上121℃未満では、90〜180分が望ましく、121℃以上140℃未満では、60〜120分が望ましい。蒸煮は、周知の蒸煮器を用い、例えば、蒸煮圧力0.08〜0.15Mpaで、60〜120分行う。これにより、タンパク質の変性が短時間で確実に行われ、その後の種麹の接種が確実に行われる。
そして、蒸煮後の原料の水分含有率を30〜60重量%になるように調整する。好ましくは40〜55重量%である。これにより、原料が泥状にならないように調整することができ、そのため、製麹工程において、原料内に空気を良く流通させて、麹菌の繁殖を促進させることができる。
【0023】
(2)接種工程
水分調整された菜種粕の原料に種麹を接種し撹拌する。接種する種麹として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌、ペニシリウム(Penicillium)属菌、ムコール(Mucor)属菌、リゾップス(Rhizopus)属菌を単独若しくは2種以上用いる。
アスペルギルス属菌を用いる場合、アスペルギルス属菌として、アスペルギルス・シドウィー(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソヤー(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・イヌイ(Aspergillus inuii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を単独若しくは2種以上用いる。実施の形態では、アスペルギルス・オリーゼーを用いた。特に、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)を、菜種粕に接種し、該接種した菜種粕において、目視により胞子の成長が確認できたものを抽出し、当該抽出した第二世代のものを、添加する種麹として用いることが有効である。
【0024】
(3)粒度調整工程
原料の粒度調整を行い、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように原料の粒度調整を行う。上記もしたように、搾油後の原料は、搾油条件やその後の搬送条件によっても異なるが、塊状になって大小の粒度のものが混在しており、10メッシュ以下の粗粒度原料も相当量含む。10メッシュ以下の粗粒度原料が50重量%に満たないと、その後の、製麹が十分に行われない。
そのため、原料の状態を見て、条件に適合するものはそのまま用い、10メッシュ以下の粗粒度原料が50重量%に満たない場合には、例えば、30〜60メッシュのいずれかの篩にかけて、粒度が30〜60メッシュ篩上のものを原料にする。
粒度が30〜60メッシュ篩下の原料は、集めて圧縮するなどして塊状に造粒するとよい。
【0025】
(4)製麹工程
種麹を摂取し粒度調整された菜種粕の原料を製麹し製麹原料を得る。この製麹工程においては、製麹室に原料を入れる。一般に、製麹室の床は、例えば、2mm×15mmの楕円形の孔が行列状に多数開けられたステンレス製のパンチングメタルで形成されており、床下から強制的に空気が送給されて床上の原料に空気を吹き込み、種麹の繁殖を促進することができるように形成されている。尚、原料の量が少ないときは、底壁が網状のトレーもしくは通気性の良い布を用い、このトレーや布に原料を載置し、同様に底壁下から空気を吹き込むようにする。
そして、この製麹室においては、原料を、温度25〜35℃、湿度60〜100%の環境下で、36〜84時間静置する。好ましくは湿度80〜100%である。
この場合、原料は、粒度調整工程において、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように粒度調整が行われているので、原料間に隙間が多く形成され、そのため、空気が良く原料内に流通し、麹菌の繁殖が促進され品質の高い製麹原料が得られる。10メッシュ以下の粗粒度原料が50重量%未満であると、麹菌の繁殖に劣る。特に、原料が粉末状になると、原料間が密になって空気の流通が悪くなるとともに、床(パンチングメタル)が目詰まりして、益々、空気の流通を阻害する。
【0026】
(5)仕込み工程
製麹原料に食塩を添加して仕込み諸味を得る。仕込用食塩水は18〜25%w/vの食塩濃度に調整し、出来上がった麹に対して等量から3倍量を加えて仕込む。
【0027】
(6)発酵工程
仕込み諸味を発酵させ熟成諸味を得る。発酵工程においては、仕込み諸味に乳酸菌及び/または酵母からなる種菌を添加し、これを樽に入れて、発酵させる。添加する乳酸菌として、ペディオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)、ラクトバチルス・プランタム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテ リウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、酵母として、カンジダ・エチェルシー(Candida etchellsii)、カンジダ・ビルサチルス(Candida versatilis)、サッカロマイセス・セレビジア(Saccharomyces cerevisiae)、ジゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)から単独若しくは2種以上選択して用いる。
これにより、乳酸菌の添加により諸味中の酸の生成、それに伴うpHの低下、水分活性の低下などが期待できる。また、酵母類の添加により諸味中の糖をアルコールに発酵させるとともに香気成分の生成を行うことができる。
また、発酵工程を、温度20〜42℃の環境下で、3〜24ヶ月行う。この温度に保つことで諸味中に添加した菌の活動が活発になり、発酵が促進される。
【0028】
(7)熟成諸味加熱工程
発酵工程後、圧搾工程前に、熟成諸味を加熱する。加熱条件は、熟成諸味が65℃以上になるようにする。例えば、85℃で12時間加熱する。これにより、熟成諸味から油分と固形分が分離して浮上してくるとともに、諸味の界面状態が変化し、諸味をまろやかにすることができる。また、その後の圧搾工程で目詰まりしにくくなる。
【0029】
(8)圧搾工程
熟成諸味を圧搾して生調味液を得る。圧搾は、周知の手段による。例えば、諸味を麻の布で覆い、これを、プレス型の圧搾機により圧縮する。この場合、熟成諸味加熱工程で熟成諸味を加熱しているので、熟成諸味がまろやかで滑らかになっており、布の目詰まりが確実に防止される。
【0030】
(9)調整工程
生調味液を調整して液体調味料にする。調整工程において、生調味液から油分を分離する。油分の分離は、生調味液を容器内に静置する。これにより、油分が浮上するので、浮上した油分の上澄みを除去する。
その後、この生調味料を加熱する所謂火入れを行なう。
最後に、タンク内に静置し、澱を沈殿させるとともに、油分を浮上させ、タンクの底部より所定高さ上の位置にある、取り出し口を開けて、澱および油分のない液を液体調味料として取り出す。
【0031】
このようにして製造された液体調味料によれば、粒度調整工程において、原料の粒度調整が行われ、製麹工程で麹菌の繁殖が促進され品質の高い製麹原料を得て、これを発酵させるので、タンパク質が良く分解し、そのため、大豆醤油と略同等の液体調味料になる。また、熟成諸味加熱工程において、熟成諸味を加熱しているので、熟成諸味の界面状態が変化し、まろやかになっていることから、この点でも、大豆醤油と遜色ない液体調味料が得られる。
【0032】
尚、上記実施の形態において、前処理工程において、原料を蒸煮したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、原料を焙煎して熱を加え、その後、散水して水分調整しても良く、適宜変更して差支えない。
また、上記実施の形態においては、原料として、圧搾機で搾油し、その後、油の抽出は行わないものを用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、圧搾粕に残された油をn−ヘキサンによって抽出した後の圧搾粕を、菜種粕の原料としてよく、適宜変更して差支えない。また、原料としては、乾燥した粉体のものでも良い。この場合には、水分調整を行うとともに、粒度調整工程では、造粒して、粒度を大きくすることになる。
更にまた、粒度調整工程は、前処理工程の前に設けても良く、適宜変更して差支えない。
尚また、本液体調味料に、他の調味料、例えば、大豆を原料とした醤油を加えるようにしても良い。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の実施例を示す。実施例において、用いた原料は、圧搾機で搾油し、その後、油の抽出は行わないものを用いた。用いた原料の成分を図2に示す。
(1)水分調整工程
周知の蒸煮器を用い、例えば、118℃で、90分蒸煮した。蒸煮後の水分含有率を、49重量%に調整した。
(2)接種工程
水分調整された菜種粕の原料に、種麹を接種した。種麹として、株式会社樋口松之助商店から入手したアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)(S−03株)を用い、これを菜種粕に接種しこの接種した菜種粕において、目視により胞子の成長が確認できたものを振るって抽出した第二世代のものを用いた。
(3)粒度調整工程
原料を15メッシュの篩にかけて、粒度が15メッシュ篩上のものを選別し、これを原料にした。10メッシュ以下の粗粒度原料の比率は、82重量%以上であった。
【0034】
(4)製麹工程
種麹を摂取し粒度調整された菜種粕の原料を製麹室に入れ、温度28℃、湿度100%の環境下で、48時間静置した。
(5)仕込み工程
製麹原料に食塩水を200重量%添加した。
(6)発酵工程
仕込み諸味に種菌を添加し、これを樽に入れて、発酵させた。この際、種菌として、ジゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)を添加した。また、この発酵工程を、温度30℃の環境下で、6ヶ月行った。
【0035】
(7)熟成諸味加熱工程
熟成諸味を85℃で12時間の条件で加熱した。
(8)圧搾工程
熟成諸味を圧搾して生調味液を得た。
(9)調整工程
生調味液を容器内に静置し、浮上した油分の上澄みを除去した。その後、この生調味料を加熱する所謂火入れを行ない、最後に、タンク内に静置し、澱を沈殿させるとともに、油分を浮上させ、タンクの底部より所定高さ上の位置にある、取り出し口を開けて、澱および油分のない液を、実施例に係る液体調味料として取り出した。
【0036】
次に、試験例を示す。
<試験例1>
種麹の性能について試験した。種麹としては、種麹1として、秋田今野商店から入手したAspergillus sojae(秋田今野醤油用1号)を用い、種麹2として、株式会社樋口松之助商店から入手したAspergillus oryzae(S−03株)を用い、種麹3として、種麹2を菜種粕に接種し、この接種した菜種粕において、目視により胞子の成長が確認できたものを振るって抽出し、この抽出した第二世代のものを用いた。
試験は以下のように行った。菜種粕を1000g計量し、ミキサーにて均一に破砕してフライパンで品温が130℃に達するまで炒った。盛り込み時の水分が約45%前後になるよう散水し、各種麹を1/1000量振り均一に混合した。28℃設定で培養し経時毎にその麹菌の発生様子を目視で観察し記録した。
【0037】
結果を図3に示す。目視により成長したと思われる時点(図3中で+で記載された時点)で20gを採取、23重量パーセントの塩水を40ml加え55℃で33時間反応させた後分解された窒素の量を確認した。図3において、「−」は目視による胞子の発現なしを示し、「±」は目視による胞子の発現が確認できたことを示し、「+」は目視により胞子の成長が確認できたことを示す。この試験結果から、麹の培養条件はAspergillus oryzae種を一度菜種粕で胞子をつけて馴養し、2世代目を種麹とするのが好ましいことが分かった。
【0038】
<試験例2>
菜種粕とその他の数種の原料を麹にして麹の出す酵素力価と原料としての資質を評価した。その試験方法と得られた結果を図4に示す。各原料を1000g計量し、ミキサーにて均一に破砕してフライパンで品温が130℃に達するまで炒った。盛り込み時の水分が約40%前後になるよう散水し、種麹(Aspergillus oryzae S−03株)を1/1000量振り28℃設定で72時間培養し麹を得た。得た麹500gに対し23重量%の塩水を1000ml加え、55℃で33時間振盪培養し酵素分解を進めた。以上をろ紙で濾した濾液の全窒素を分析し原料適正を比較した。
この結果から、菜種粕が大豆原料と比較して劣らず、製法を工夫すれば、従来の大豆、小麦を使用した醤油と同等の調味液にできる資質をもった種類の原料であることが分かった。
【0039】
<試験例3>
製麹工程において、菜種粕の粒度の影響について試験した。図5に示すように、菜種粕を篩により分別して数種の粒子のサイズ別に分けた。分けた原料を1000g計量し、オートクレーブで110℃、10分間処理した。盛り込み時の水分が約45%前後になるよう散水し、Aspergillus oryzae(S−03株2世代)を1/1000量振り均一に混合した。盛込みの厚さを5cmに設定し28℃設定で60時間培養し麹菌の発育状態を目視で観察し記録した。できた麹を20g採取し、23重量パーセントの塩水を40ml加え55℃で33時間反応させた後分解された窒素の量を測定した。
【0040】
結果を図5に示す。この結果から、メッシュサイズを大きくすることで、麹の通気性が改善され厚く盛込めることで生産性が上がることが判明した。また、エクストルーダーで押し出し、10メッシュ以下の原料を50重量%以上含有させた場合も大きいサイズに細かい粉末が付着してコロイドを形成するため条件が改善されることが判明した。20メッシュ以上の原料だと通気性が悪くなり、厚盛に適さないため生産性が大幅に落ちるため現実的ではないことも確認できた。原料が細かい場合には、サイズを一定以上の条件に合わせることが非常に重要といえる。
【0041】
<試験例4>
前処理工程における散水量について試験を行った。試験は、水分量7.5重量%の原料に、散水量を変化させて散水し水分量の違いによる原料の性状を見た。結果を図6に示す。大豆は120%程度吸水するが、菜種は80〜100%が限界である。100%以上の散水量になると麹が泥状になり好ましくない。この結果、原料の水分含有率が30〜60重量%程度の範囲で、外側に離水が生じないように調整することが好ましく、特に、散水後の水分を、51重量%未満に設定することが望ましいことが分かった。
【0042】
<試験例5>
前処理工程に関し、菜種原料のタンパク質変性試験を行った。試験方法は、菜種粕に80重量%の水を加え、105℃、110℃、115℃、118℃、121℃、135℃にて加圧蒸煮を行った。上記各試料19gに20%食塩水50mlを加え、さらにアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)より得た酵素を添加し40℃で24時間消化させた。沸騰の後に濾過し、その濾液を水で5倍に希釈の後3分間湯煎し、混濁の有無を確認した。混濁がでないものを一次変性完全と判断した。
結果を、図7に示す。105℃では、540分蒸煮しても、タンパク質変性が生じなかった。110℃以上では、時間の下限を把握できた。しかしながら、110℃では、タンパク質変性は行われるが540分以上の長時間を要し、効率が悪いことが分かった。時間の上限は、特に設けなくても、タンパク質変性に影響はないが、できるだけ短く設定することが製造効率上良いので、115℃以上121℃未満では、90〜180分に設定することが望ましく、121℃以上140℃未満では、60〜120分に設定することが望ましいことが分かった。
【0043】
<試験例6>
前処理工程に関し、比較例として、大豆について、試験例5と同様の試験を行った。
結果を、図8に示す。このことから、大豆と同等の条件を、特に、時間の下限において、菜種粕にそのまま適用できない範囲があることが分かった。
【0044】
<試験例7>
上記の実施例について、比較例とともに官能試験を行った。比較例として、大豆、小麦で製造した醤油(株式会社浅沼醤油店製造、本醸造特級醤油)を用いた。
実施例に係る液体調味料と、比較例に係る醤油とを、夫々、小皿に約10mlを用意した。そして、色、香り、味についてパネラーによる官能比較試験を行った。参考資料として塩分、pH、全窒素量についても分析をした。図9に示すように、パネラーaは30代男性、パネラーbは30代女性、パネラーcは60代男性である。評価点については、以下の基準で設定した。評価1:とても評価にたえられない劣悪と評価、評価2:基準とするものよりやや劣ると評価、評価3:醤油らしい色、香り、味は普通程度と評価、評価4:醤油らしい色、香り、味はやや良いと評価、評価5:醤油らしい色、香り、味はとても優れていると評価。総合評価は全体のバランスを加味して、1から5点評価として、5点を満点として評価した。その結果を図9に示す。
この結果から、全窒素も醤油のJAS規定の本醸造特級をクリアしており、官能試験結果からも両者に有意差は見られず、代替の効果は十分であることが明確に出来た。
【0045】
<試験例8>
上記の実施例について、上記の比較例とともに別の官能試験を行った。
この官能試験は、実施例と比較例とを使ってのかけ醤油としての用途における食味比較試験である。国産木綿豆腐(以下「食品」という)を用い、これを任意の大きさにカットして二つの皿に別々に用意した。比較例に係る醤油と本発明の調味液を食品に5ml上掛けし、その食味について上記と同様のパネラーによる官能試験を行った。評点については以下の基準で設定した。評価1:とても評価にたえられない劣悪と評価、評価2:基準とするものよりやや劣ると評価、評価3:食品(国産豆腐)らしい色、香り、味は普通程度と評価、評価4:食品(国産豆腐)らしい色、香り、味はやや良いと評価、評価5:食品(国産豆腐)らしい色、香り、味はとても優れていると評価。総合評価は全体のバランスを加味して、1から5点評価として、5点を満点として評価した。その結果を図10に示す。本結果から両製品間には有意差は見られず、本発明の発酵調味液は醤油の代替が十分にあることを明確に出来た。
【0046】
<試験例9>
上記の実施例について、上記の比較例とともにまた別の官能試験を行った。試験例8と同様に、国産牛肉(「食品」)を用いての上記と同様のパネラーによる食味比較試験を行った。国産牛肉を任意の大きさにカットしてニンニクと一緒にフライパンで炒め、二つの皿に別々に用意した。比較例に係る醤油と本発明の調味液を食品に5ml上掛けし、その食味について評価した。結果を図11に示す。本結果においても、両製品間には有意差はなく、実施例に係る液体調味料は、醤油の代替になれることを明確に出来た。
【0047】
<試験例10>
上記の実施例について、上記の比較例とともに更に別の官能試験を行った。この試験は、実施例に係る液体調味料と比較例に係る醤油とを、煮魚(「食品」)に用い、この煮魚について上記と同様のパネラーによる上記と同様の官能試験を行った。
実施例及び比較例を各24g、それに共通したものとして本みりん16g、砂糖16g、水24gを合わせて80gの調味液を作成した。真ガレイを2枚(約200g)に調味液を加え、弱火で10分間煮詰めた。十分に加熱調理後、冷却を待って別々の皿に取り食味比較試験を実施した。その結果を図12に示す。本結果から全ての内容で両者に有意差は見られず、代替の効果は十分であることが明確に出来た。
【0048】
<比較例11>
上記の実施例について、上記の比較例とともに更にまた別の官能試験を行った。この試験は、実施例に係る液体調味料と比較例に係る醤油とを、「すまし汁」(「食品」)に用い、この「すまし汁」について上記と同様のパネラーによる上記と同様の官能試験を行った。
実施例及び比較例を各50g、それに共通したものとして、水1000g、本みりん20g、清酒50g、L−グルタミン酸ナトリウムを1g加え、他に具材としては里芋とネギをスライスして加え加熱調理して澄まし汁を作成した。その官能試験結果を図13に示した。本結果から全ての内容で両者に有意差は見られず、代替の効果は十分であることが明確に出来た。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体調味料の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施例に係る原料の成分を示す表図である。
【図3】試験例1に係り、種麹の性能について試験した結果を示す表図である。
【図4】試験例2に係り、菜種粕の原料としての資質を評価した結果を示す表図である。
【図5】試験例3に係り、製麹工程における菜種粕の粒度の影響について試験した結果を示す表図である。
【図6】試験例4に係り、菜種粕の原料の水分の影響についての比較試験結果を示す表図である。
【図7】試験例5に係り、菜種粕の原料についてタンパク質の変性試験の結果を示す表図である。
【図8】試験例6に係り、大豆原料についてタンパク質の変性試験の結果を示す表図である。
【図9】試験例7に係り、実施例について比較例とともに行った品質評価試験結果を示す表図である。
【図10】試験例8に係り、実施例について比較例とともに行った食品(豆腐)における官能試験結果を示す表図である。
【図11】試験例9に係り、実施例について比較例とともに行った食品(サイコロステーキ)における官能試験結果を示す表図である。
【図12】試験例10に係り、実施例について比較例とともに行った食品(煮魚)における官能試験結果を示す表図である。
【図13】試験例11に係り、実施例について比較例とともに行った食品(すまし汁)における官能試験結果を示す表図である。
【符号の説明】
【0050】
(1)前処理工程
(2)接種工程
(3)粒度調整工程
(4)製麹工程
(5)仕込み工程
(6)発酵工程
(7)熟成諸味加熱工程
(8)圧搾工程
(9)調整工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菜種粕を原料として液体調味料を製造する液体調味料の製造方法であって、
菜種粕の原料の水分量を調整するとともに該菜種粕の原料を加熱してそのタンパク質を変性させる前処理を行う前処理工程と、
前処理された菜種粕の原料に種麹を接種する接種工程と、
種麹を摂取した菜種粕の原料を製麹し製麹原料を得る製麹工程と、
製麹原料に食塩を添加して仕込み諸味を得る仕込み工程と、
仕込み諸味を発酵させ熟成諸味を得る発酵工程と、
熟成諸味を圧搾して生調味液を得る圧搾工程と、
生調味液を調整して液体調味料にする調整工程とを備えたことを特徴とする液体調味料の製造方法。
【請求項2】
上記製麹工程前に、10メッシュ以下の粗粒度原料を50重量%以上含有させるように原料の粒度調整を行う粒度調整工程を設けたことを特徴とする請求項1記載の液体調味料の製造方法。
【請求項3】
上記発酵工程後、圧搾工程前に、熟成諸味を加熱する熟成諸味加熱工程を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の液体調味料の製造方法。
【請求項4】
上記前処理工程において、原料の水分含有率を30〜60重量%に調整することを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の液体調味料の製造方法。
【請求項5】
上記前処理工程において、原料を115〜140℃の温度で60〜180分蒸煮することを特徴とする請求項4記載の液体調味料の製造方法。
【請求項6】
上記製麹工程において、添加する種麹として、アスペルギルス(Aspergillus)属菌、ペニシリウム(Penicillium)属菌、ムコール(Mucor)属菌、リゾップス(Rhizopus)属菌を単独若しくは2種以上用いることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の液体調味料の製造方法。
【請求項7】
上記アスペルギルス属菌を用いる場合、アスペルギルス属菌として、アスペルギルス・シドウィー(Aspergillus sydowii)、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソヤー(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・イヌイ(Aspergillus inuii)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を単独若しくは2種以上用いることを特徴とする請求項6記載の液体調味料の製造方法。
【請求項8】
アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)を、菜種粕に接種し、該接種した菜種粕において、目視により胞子の成長が確認できたものを抽出し、当該抽出した第二世代のものを、添加する種麹として用いることを特徴とする請求項7記載の液体調味料の製造方法。
【請求項9】
上記製麹工程において、原料に種麹を添加して混合し、その後、該原料を、温度25〜35℃、湿度60〜100%の環境下で、36〜84時間静置することを特徴とする請求項6乃至8何れかに記載の液体調味料の製造方法。
【請求項10】
上記発酵工程において、仕込み諸味に乳酸菌及び/または酵母からなる種菌を添加して発酵させることを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載の液体調味料の製造方法。
【請求項11】
上記発酵工程において、添加する乳酸菌として、ペディオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)、ラクトバチルス・プランタム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、酵母として、カンジダ・エチェルシー(Candida etchellsii)、カンジダ・ビルサチルス(Candida versatilis)、サッカロマイセス・セレビジア(Saccharomyces cerevisiae)、ジゴサッカロマイセス・ルキシー(Zygosaccharomyces rouxii)から単独若しくは2種以上選択して用いることを特徴とする請求項10記載の液体調味料の製造方法。
【請求項12】
上記発酵工程を、温度20〜42℃の環境下で、3〜24ヶ月行うことを特徴とする請求項10または11記載の液体調味料の製造方法。
【請求項13】
上記請求項1乃至12何れかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする液体調味料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−136644(P2010−136644A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314459(P2008−314459)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(307008679)株式会社浅沼醤油店 (4)
【Fターム(参考)】