液体食品容器のストロー開口部構造
【課題】包材の頂部を熱可塑性材料で形成して成る液体食品容器において、搬送時の振動等で破断せず、ストローで容易に開口できる液体食品容器のストロー開口部構造を提供する。
【解決手段】ストロー開口部15の表裏側に複数の襞M1、M2が等間隔Pで形成され、襞M1、M2は断面が同じ大きさの略半円形状である。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2とが同一平面上に形成される。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2の水平部Q1、表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q2とすると、Q1<Q2の関係である。表側の襞M1の溝部N1にストロー13の先端部を突刺すと、ストロー開口部15の表側の襞M1の溝部N1が下降するとともに裏側の溝部N2も下降し、最終的に薄肉の易破断部である水平部Q1で破断する。表裏側の襞によって撓み剛性が向上するので搬送時の振動等で破断することがない。
【解決手段】ストロー開口部15の表裏側に複数の襞M1、M2が等間隔Pで形成され、襞M1、M2は断面が同じ大きさの略半円形状である。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2とが同一平面上に形成される。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2の水平部Q1、表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q2とすると、Q1<Q2の関係である。表側の襞M1の溝部N1にストロー13の先端部を突刺すと、ストロー開口部15の表側の襞M1の溝部N1が下降するとともに裏側の溝部N2も下降し、最終的に薄肉の易破断部である水平部Q1で破断する。表裏側の襞によって撓み剛性が向上するので搬送時の振動等で破断することがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器の頂部に形成されるストロー開口部構造に関するもので、ストローの突刺し開口を容易にする液体食品容器のストロー開口部構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、清涼飲料水等の液体食品を充填する紙容器の熱可塑性樹脂の蓋に形成されるストロー開口部構造として特許文献1の記載が知られている。
【0003】
特許文献1によれば図12(a)、(b)に示すように、液体食品容器115の包材111は、紙基材121が熱可塑性樹脂の外側層120と内側層122で覆われ、ストロー孔116は熱可塑性樹脂で覆ってストロー孔密封部117が形成される。このストロー孔密封部117は液体食品容器115の形成工程で図示しない金型装置を使用してインジェクション成形される。ところが、ストロー孔密封部117はストローを突刺す際にストローが滑って貫通し難く、また、ストロー孔密封部117が硬くてストロー先端部が曲がってしまうという問題があった。
【0004】
このため、ストロー孔密封部117に、例えばストロー孔密封部117の深さの85%〜95%で密封性を損なわない程度に薄肉溝部127が形成されるので、消費者が内容液を吸い出す際にストローでストロー孔密封部117を容易に突刺し貫通することができる。
【特許文献1】特開2002−362548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、薄肉溝部127によって、ストローでストロー孔密封部117を容易に貫通できるが、稀ではあるが液体食品容器115の搬送・流通過程で振動等によって薄肉溝部127が破断する可能性があった。しかし、これを回避するために薄肉溝部127の深さを浅くすると、ストロー孔密封部117が容易に貫通できないので使用勝手が劣るという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はかかる従来技術の問題に鑑みなされたものであって、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材を用いて頂部を熱可塑性樹脂で形成して成る液体食品容器において、搬送時の振動等の外力で簡単に破断や漏れることなく、且つストローの突刺しによって容易にストロ孔が開口できる液体食品容器のストロー開口部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器のストロー開口部の構造であって、前記ストロー開口部は前記頂部と一体的に形成され、前記ストロー開口部の表側と裏側に複数の襞を平行に備え、表側の前記襞の溝部と裏側の前記襞の溝部は同一水平面上でずれて形成され、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る垂直部の厚さより薄く形成され、前記水平部が易破断部であることを特徴としている。
【0008】
従って、請求項1記載の発明では、前記ストロー開口部にストローを突刺すと、ストローの先端が表側の前記襞の溝部に掛かって、前記ストロー開口部が湾曲し液体食品容器の内部に押込まれる。この押込みによって、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部が徐々に垂直方向に傾いていく。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記襞の断面形状は同じ大きさで略半円形状又は弓形状に形成されることを特徴としている。
【0010】
このため、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の作用に加えて、表側の隣接する前記襞によってストローの先端が安定して保持されるので、前記ストロー開口部が確実且つ安定して液体食品容器の内部に湾曲して押込まれる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記ストロー開口部は平面視三角星形状に形成されることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記ストロー開口部は平面視U字形状に形成されることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記複数の襞は平面視S字状で形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、前記ストロー開口部にストローを突刺すと、ストローの先端は表側の前記襞の溝部に力が掛かって前記ストロー開口部が湾曲するように液体食品容器の内部に押込まれて、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部が徐々に垂直方向に傾く。そして、前記水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る前記垂直部の厚さより薄く形成された易破断部なのでストローで容易に貫通し突刺すことができる。
【0015】
さらに、前記垂直部の厚さが前記水平部の厚さがより厚いので、搬送時等に前記ストロー開口部に対して垂直方向に外力が掛かっても前記ストロー開口部は表側と裏側に形成される複数の襞によって充分な強度を備えているので、搬送時の振動等の外力で破断することがない。
【0016】
請求項2の発明によれば、表側の隣接する前記襞によってストローの先端が安定して保持されるので、前記ストロー開口部が確実且つ安定して液体食品容器の内部に湾曲して押込まれるので請求項1の発明の効果がさらに確実に得られる。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、前記ストロー開口部は平面視三角星形に形成されるので、デザイン的効果が得られるので商品価値が向上する。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、前記ストロー開口部は外形U字形状に形成されるので、ストローがU字形状の円弧部に支えられて挿入できるため、前記ストロー開口部を確実に安定して切断できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項の発明の効果に加えて、複数の襞が平面視S字状で形成されるので前記襞の易破断部の全長が長くなるため、ストローを突刺すと前記ストロー開口部がさらに小さい力で押込まれて容易に湾曲して切断できるので操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<本発明の第一の実施形態>
<液体食品容器のストロー開口部構造の構成>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜8に基づいて説明する。
図1、図2、図3に示すように、液体食品容器1は、紙基材2の両面を熱可塑性樹脂3aで覆った包材4を縦シール5して筒状包材6に形成し、この筒状包材6の一端部6aに熱可塑性樹脂3bで四隅円弧状の矩形でドーム状の頂部8を形成し、他端部6bは横シール9で密封してその両端のフラップ部9aを折込んで底部10が形成される。
【0021】
ドーム状の中央部の頂部8には小さなドーム状のキャップ12を備え、このキャップ12の略1/6円弧領域にさらに一段低いドーム部12aが形成され、このドーム部12aにストロー13を突刺してジュース等の内容液11を飲用するためのストロー開口部15が平面視三角星形状で形成される。
【0022】
ここで、包材4には折込み容易とするため溝状のクリース線が形成されるが、頂部8近傍における縦シール5にクリース線は形成されないので、液体食品容器1に内容液11が充填された状態で頂部8近傍は水平断面視で四隅円弧状の矩形に容易に形成される。
【0023】
ドーム部12aの裾部には図示しない弱め線12bが形成されているので、内容液11を飲用する際に把持部14を持って引上げることにより弱め線12bが破断してキャップ12を開封し、直接内容液を飲むこともできる。このとき、第一フック16が第二フック17に沿って滑り込んで保持部18に係止されるので、内容液を飲む場合にキャップ12が閉まる方向に戻らないように保持できる。
【0024】
<液体食品容器の製造工程の説明>
ここで、液体食品容器1の製造工程の一例を図4、図5に基づいて説明する。なお、図1、図2、図3で説明した液体食品容器1と同構成部分についてはその名称と符合を適宜用いて説明し、重複した説明は省略する。
【0025】
図4に示すように、繰出工程31において、リール状に巻かれた帯状の包材4を連続的に繰出す。包材4の紙基材2には成形しやすいように予め折り目線が形成され、紙基材2の外面に熱可塑性樹脂3aとしての低密度ポリエチレン(LDPE)が用いられ、その外面又は内面にデザイン等の印刷が施される。紙基材2の内面には熱可塑性樹脂3aとして低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)等が用いられ、必要によりアルミ箔等の酸素バリア層を備える。
【0026】
切断工程32において、図示しない切断具によって包材4を所定の長さのシート32aに横切断する。
【0027】
縦シール工程33において、シート32aの両側端部を縦シール5して矩形の筒状包材6が形成される。筒状包材6は搬送手段としてのマンドレル34に底部10側(この時点では底部10そのものは未だ形成されていない)から挿入され、マンドレル34の90度回転に伴って下方のインジェクション成形工程35に送られる。なお、マンドレル34は2列配備されている。
【0028】
インジェクション成形工程35において、可動金型36が矢印で示すように上昇して可動金型36の凹部36aが筒状包材6の頂部側の端部6a及びその近傍を閉囲する。マンドレル34の先端部には凸部34aが形成されている。凹部36aと凸部34aの間に形成される図示しないキャビティ空間にノズル36bから熱可塑性樹脂3bを射出して端部6aの周囲を包み込みドーム状の頂部8が形成される。なお、熱可塑性樹脂3bを射出すると同時に図示されない空気抜きから空気が抜けるようになっており、射出完了後に可動金型36が矢印で示すように下降する。
【0029】
なお、インジェクション成形工程35の概要説明容易のため単純な形状の凹部36aと凸部34aを用いたが、実際の頂部8は四隅円弧状のドーム形状の中央部にストロー開口部15を備えたドーム状のキャップ12が形成されて成る二重ドーム形状である。このため、説明しない特殊な金型を用いることで、頂部8、キャップ12(把持部14、ストロー開口部15、第一フック16、第二フック17、保持部18)等の熱可塑性樹脂部分が全て同時に成形される。二重ドーム形状をインジェクション成形した後、筒状包材6はマンドレル34に装着されて角度90度回転して水平状態に上昇する。
【0030】
充填工程37において、頂部8が形成された水平状態の筒状包材6がマンドレル34から離れてカセット部37bに頂部8の方から挿入され、カセットコンベヤー37aによって筒状包材6の開放状態の底部10側を上方にして水平搬送される。その途中で貯蔵タンク37cから底部10側に内容液11であるジュース等が充填される。その後、図示しないシール装置によって底部10を矩形状に形成して液体食品容器1が完成する。液体食品容器1はカセットコンベヤー37aの終端部で180度回転してカセット部37bから自然落下して離脱し、頂部8を上方に向けた状態で搬出される。
【0031】
図6、図7に示すように、キャップ12の略1/6円弧領域(θ≒60度)の一段低いドーム部12aに形成されるストロー開口部15は水平状に形成される。ストロー開口部15の平面視三角星形状は、点F1、点F2、点F3で囲まれた三角形15aと、点F1、点F2と他の点F4で囲まれた三角形15bと、点F2、点F3と他の点F5で囲まれた三角形15cと、点F3、点F1と他の点F6で囲まれた三角形15dと、を連結される。ここで、三角形15b、15c、15dの連結する一対の辺で形成される角度θ1、θ2、θ3が180度より小さく形成される。
【0032】
三角形15cの頂点としての点F5と、三角形15bと三角形15dの共通する底辺の点F1と、を結ぶ線の延長線上にキャップ12の略中心Fが位置する。点F1、点F2、点F3を包含して形成される円形領域Sは直径P2=6mmで、直径6mmのストロー13が差込まれる領域である。
【0033】
ストロー開口部15の表裏側の両面に複数の凸状の襞M1、M2が平行に等間隔Pで形成され、襞M1、M2は断面が略半円形状で同じ大きさである。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2は同一水平面上で水平部Q1の厚さ=0.1mmずれて形成される。襞M1、襞M2の頂部近傍は半径R=0.25mmで襞M1と襞M2を合わせた全厚さが Hである。ここで、表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q2の厚さと、水平部Q1との関係は、Q1<Q2の関係で、水平部Q1が易破断部として形成される。
【0034】
図8に示すように、表側の襞M1の溝部N1にストロー13の先端部を突刺すと、表側の襞M1と溝部N1が下降するとともに裏側の襞M1と溝部N2も下降する。そして、Q1<Q2の関係なので最終的に薄肉部である水平部Q1が略垂直状態に成った時点で破断する。
【0035】
<液体食品容器のストロー開口部構造の作用>
ストロー開口部15は易破断部として薄厚の水平部Q1を備えて一体形成されるが、ストロー開口部15の表裏側にそれぞれ複数で断面同形の襞M1、M2を略半円形状で備えるのでストロー開口部15の強度が向上する。そして、水平部Q1<垂直部Q2の関係なので、ストロー開口部15が水平部Q1の厚さと同じ厚さで全面形成された状態に比較して、ストロー開口部15に対する直角方向の剪断力に対抗する強度が増加するので搬送・流通過程で振動等の外力で破断したり漏れることがない。ストローを突刺して開封するときには易破断部である水平部Q1を容易に貫通できる。このように、ストローを突刺す際にストローが滑って貫通し難く、また、ストロー開口部15が硬くてストロー先端部が曲がってしまうという問題が解消できる。なお、易破断部としての水平部Q1の厚さは0.1mmに拘らず使用する熱可塑性樹脂の特性に応じて決められる。
【0036】
このように、ストロー開口部15が適度な強度と容易な開封性を兼ね添えるのでその信頼性が増すので内容液の劣化が防止できて衛生性が向上し、紙容器の品質が向上し商品価値を高めることができる。さらに、ストロー開口部15の平面視三角星形状は、三角形15b、15c、15dの連結する一対の辺で形成される角度θ1、θ2、θ3が180度より小さく形成されるので外観に優れたデザイン的効果によって品質価値が向上する。
【0037】
<本発明の第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図9を用いて説明するが、図7に示すストロー開口部の断面図と同様の構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の平面図は図6に示す構成と同じであるためその説明および図面を省略する。
【0038】
ストロー開口部15の表裏側の両面に複数の襞M1、M2が平行に等間隔P1で形成され、襞M1、M2の断面は半径R1の弓形状で、表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2の水平部Q1=0.1mmで形成される。表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q3とすると、Q1<Q3の関係に形成される。この場合、本発明の第一の実施形態に比べて、襞M1、M2のそれぞれの間隔が同じP1=Pとした場合、襞M1と襞M2を合わせた全厚さH1が薄く( H1<H )なるので、搬送時の想定される外力が小さい場合に使用できる断面形状である。
【0039】
<本発明の第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図10を用いて説明するが、図6に示すストロー開口部の平面図と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の断面図は図7に示す構成と同様であるためその説明および図面を省略する。
【0040】
図10に示すように、ストロー開口部15は外形U字形状に形成される。この場合、表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2が7組設けられる。このため、表側の溝部N1にストロー13を突刺すと、図7の場合の三組に比べて凸状襞の溝部N1、N2の数が多いためストロー開口部15の断面剛性が小さいので容易に下降して薄肉部である易破断部としての水平部Q1を速やかに破断できる。また、ストロー13が下降する際に外形U字形状によってストロー13がガイドされるのでストロー13は安定して下降できるので、ストロー開口部15の貫通作業が迅速に安定して実施できる。
【0041】
<本発明の第四の実施形態>
本発明の第四の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図11を用いて説明するが、図10に示すストロー開口部の断面図と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の断面図は図7に示す構成と同様であるためその説明および図面を省略する。
【0042】
図11に示すように、ストロー開口部15の表裏側の複数の断面同形状の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2が7組で平面視S字状に形成されるので、溝部N1、N2の延べ長さが増加する。このため、図10の場合に比べてさらに断面剛性が下がるので、表側の溝部N1にストローを突刺すと、さらに容易に下降して易破断部としての水平部Q1を迅速に安定して破断できる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0044】
ドーム部12aに水平状に形成されるストロー開口部15はドーム部12aの形状に合わせて球面状に形成しても構わない。この場合、溝部N1と溝部N2は同一球面上に形成され、水平部Q1は球面に沿って略水平状態で、垂直部Q2は球面に対して垂直状態に形成される。
【0045】
形成される溝部の組数はストロー開口部15に求められる剛性と開口性能としての開け易さとのバランスで設定される。例えば、第一の実施形態におけるストロー開口部15の表裏側にストロー13に対応して設けられる三組の溝部は、三組に限らず任意に必要組数が選定できる。
【0046】
ストロー開口部の表裏側の襞の断面形状は半円形状の替わりに半長円形状や台形形状でも構わない。ストロー開口部15はストローの外形状に合わせて直径6mmの円形形状でもよく、直径6mm以外のストロー径に対応して決定してもよい。ストロー13の先端部は表側の襞M1の溝部N1に突刺しても表側の襞M1に突刺してもよい。液体食品容器1の形状は、8角柱状、容器頂面および底面が4角形で胴体部が8角形の柱状液体食品容器等々色んな形状の液体食品容器に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1の側面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、図1のA―斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、図1のB−B矢視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1の製造工程を示す斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1のドーム状の頂部8を形成するインジェクション成形工程35で、マンドレル34に挿入された筒状包材6と可動金型36との状態を示す一部透視側面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態における、ストロー開口部15の詳細平面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態における図6のC―C断面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態における図6の状態からストロー開口部15をストロー13で押込んで破断する状態を示すイメージ断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態における、断面弓形状の襞M1、M2が形成されたストロー開口部15の状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態における、外形U字形状のストロー開口部15の状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態における、外形U字形状のストロー開口部15に平面視S字状の襞M1、M2が形成された状態を示す平面図である。
【図12】従来例における、(a)は液体食品容器115に設けられるストロー孔116の断面図、(b)はストロー孔116の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
13 ストロー
15 ストロー開口部
M1 襞
M2 襞
N1 溝部
N2 溝部
Q1 水平部
Q2 垂直部
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器の頂部に形成されるストロー開口部構造に関するもので、ストローの突刺し開口を容易にする液体食品容器のストロー開口部構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、清涼飲料水等の液体食品を充填する紙容器の熱可塑性樹脂の蓋に形成されるストロー開口部構造として特許文献1の記載が知られている。
【0003】
特許文献1によれば図12(a)、(b)に示すように、液体食品容器115の包材111は、紙基材121が熱可塑性樹脂の外側層120と内側層122で覆われ、ストロー孔116は熱可塑性樹脂で覆ってストロー孔密封部117が形成される。このストロー孔密封部117は液体食品容器115の形成工程で図示しない金型装置を使用してインジェクション成形される。ところが、ストロー孔密封部117はストローを突刺す際にストローが滑って貫通し難く、また、ストロー孔密封部117が硬くてストロー先端部が曲がってしまうという問題があった。
【0004】
このため、ストロー孔密封部117に、例えばストロー孔密封部117の深さの85%〜95%で密封性を損なわない程度に薄肉溝部127が形成されるので、消費者が内容液を吸い出す際にストローでストロー孔密封部117を容易に突刺し貫通することができる。
【特許文献1】特開2002−362548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、薄肉溝部127によって、ストローでストロー孔密封部117を容易に貫通できるが、稀ではあるが液体食品容器115の搬送・流通過程で振動等によって薄肉溝部127が破断する可能性があった。しかし、これを回避するために薄肉溝部127の深さを浅くすると、ストロー孔密封部117が容易に貫通できないので使用勝手が劣るという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はかかる従来技術の問題に鑑みなされたものであって、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材を用いて頂部を熱可塑性樹脂で形成して成る液体食品容器において、搬送時の振動等の外力で簡単に破断や漏れることなく、且つストローの突刺しによって容易にストロ孔が開口できる液体食品容器のストロー開口部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器のストロー開口部の構造であって、前記ストロー開口部は前記頂部と一体的に形成され、前記ストロー開口部の表側と裏側に複数の襞を平行に備え、表側の前記襞の溝部と裏側の前記襞の溝部は同一水平面上でずれて形成され、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る垂直部の厚さより薄く形成され、前記水平部が易破断部であることを特徴としている。
【0008】
従って、請求項1記載の発明では、前記ストロー開口部にストローを突刺すと、ストローの先端が表側の前記襞の溝部に掛かって、前記ストロー開口部が湾曲し液体食品容器の内部に押込まれる。この押込みによって、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部が徐々に垂直方向に傾いていく。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記襞の断面形状は同じ大きさで略半円形状又は弓形状に形成されることを特徴としている。
【0010】
このため、請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の作用に加えて、表側の隣接する前記襞によってストローの先端が安定して保持されるので、前記ストロー開口部が確実且つ安定して液体食品容器の内部に湾曲して押込まれる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記ストロー開口部は平面視三角星形状に形成されることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記ストロー開口部は平面視U字形状に形成されることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体食品容器のストロー開口部構造であって、前記複数の襞は平面視S字状で形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、前記ストロー開口部にストローを突刺すと、ストローの先端は表側の前記襞の溝部に力が掛かって前記ストロー開口部が湾曲するように液体食品容器の内部に押込まれて、前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部が徐々に垂直方向に傾く。そして、前記水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る前記垂直部の厚さより薄く形成された易破断部なのでストローで容易に貫通し突刺すことができる。
【0015】
さらに、前記垂直部の厚さが前記水平部の厚さがより厚いので、搬送時等に前記ストロー開口部に対して垂直方向に外力が掛かっても前記ストロー開口部は表側と裏側に形成される複数の襞によって充分な強度を備えているので、搬送時の振動等の外力で破断することがない。
【0016】
請求項2の発明によれば、表側の隣接する前記襞によってストローの先端が安定して保持されるので、前記ストロー開口部が確実且つ安定して液体食品容器の内部に湾曲して押込まれるので請求項1の発明の効果がさらに確実に得られる。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、前記ストロー開口部は平面視三角星形に形成されるので、デザイン的効果が得られるので商品価値が向上する。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加えて、前記ストロー開口部は外形U字形状に形成されるので、ストローがU字形状の円弧部に支えられて挿入できるため、前記ストロー開口部を確実に安定して切断できる。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか一項の発明の効果に加えて、複数の襞が平面視S字状で形成されるので前記襞の易破断部の全長が長くなるため、ストローを突刺すと前記ストロー開口部がさらに小さい力で押込まれて容易に湾曲して切断できるので操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<本発明の第一の実施形態>
<液体食品容器のストロー開口部構造の構成>
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜8に基づいて説明する。
図1、図2、図3に示すように、液体食品容器1は、紙基材2の両面を熱可塑性樹脂3aで覆った包材4を縦シール5して筒状包材6に形成し、この筒状包材6の一端部6aに熱可塑性樹脂3bで四隅円弧状の矩形でドーム状の頂部8を形成し、他端部6bは横シール9で密封してその両端のフラップ部9aを折込んで底部10が形成される。
【0021】
ドーム状の中央部の頂部8には小さなドーム状のキャップ12を備え、このキャップ12の略1/6円弧領域にさらに一段低いドーム部12aが形成され、このドーム部12aにストロー13を突刺してジュース等の内容液11を飲用するためのストロー開口部15が平面視三角星形状で形成される。
【0022】
ここで、包材4には折込み容易とするため溝状のクリース線が形成されるが、頂部8近傍における縦シール5にクリース線は形成されないので、液体食品容器1に内容液11が充填された状態で頂部8近傍は水平断面視で四隅円弧状の矩形に容易に形成される。
【0023】
ドーム部12aの裾部には図示しない弱め線12bが形成されているので、内容液11を飲用する際に把持部14を持って引上げることにより弱め線12bが破断してキャップ12を開封し、直接内容液を飲むこともできる。このとき、第一フック16が第二フック17に沿って滑り込んで保持部18に係止されるので、内容液を飲む場合にキャップ12が閉まる方向に戻らないように保持できる。
【0024】
<液体食品容器の製造工程の説明>
ここで、液体食品容器1の製造工程の一例を図4、図5に基づいて説明する。なお、図1、図2、図3で説明した液体食品容器1と同構成部分についてはその名称と符合を適宜用いて説明し、重複した説明は省略する。
【0025】
図4に示すように、繰出工程31において、リール状に巻かれた帯状の包材4を連続的に繰出す。包材4の紙基材2には成形しやすいように予め折り目線が形成され、紙基材2の外面に熱可塑性樹脂3aとしての低密度ポリエチレン(LDPE)が用いられ、その外面又は内面にデザイン等の印刷が施される。紙基材2の内面には熱可塑性樹脂3aとして低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)等が用いられ、必要によりアルミ箔等の酸素バリア層を備える。
【0026】
切断工程32において、図示しない切断具によって包材4を所定の長さのシート32aに横切断する。
【0027】
縦シール工程33において、シート32aの両側端部を縦シール5して矩形の筒状包材6が形成される。筒状包材6は搬送手段としてのマンドレル34に底部10側(この時点では底部10そのものは未だ形成されていない)から挿入され、マンドレル34の90度回転に伴って下方のインジェクション成形工程35に送られる。なお、マンドレル34は2列配備されている。
【0028】
インジェクション成形工程35において、可動金型36が矢印で示すように上昇して可動金型36の凹部36aが筒状包材6の頂部側の端部6a及びその近傍を閉囲する。マンドレル34の先端部には凸部34aが形成されている。凹部36aと凸部34aの間に形成される図示しないキャビティ空間にノズル36bから熱可塑性樹脂3bを射出して端部6aの周囲を包み込みドーム状の頂部8が形成される。なお、熱可塑性樹脂3bを射出すると同時に図示されない空気抜きから空気が抜けるようになっており、射出完了後に可動金型36が矢印で示すように下降する。
【0029】
なお、インジェクション成形工程35の概要説明容易のため単純な形状の凹部36aと凸部34aを用いたが、実際の頂部8は四隅円弧状のドーム形状の中央部にストロー開口部15を備えたドーム状のキャップ12が形成されて成る二重ドーム形状である。このため、説明しない特殊な金型を用いることで、頂部8、キャップ12(把持部14、ストロー開口部15、第一フック16、第二フック17、保持部18)等の熱可塑性樹脂部分が全て同時に成形される。二重ドーム形状をインジェクション成形した後、筒状包材6はマンドレル34に装着されて角度90度回転して水平状態に上昇する。
【0030】
充填工程37において、頂部8が形成された水平状態の筒状包材6がマンドレル34から離れてカセット部37bに頂部8の方から挿入され、カセットコンベヤー37aによって筒状包材6の開放状態の底部10側を上方にして水平搬送される。その途中で貯蔵タンク37cから底部10側に内容液11であるジュース等が充填される。その後、図示しないシール装置によって底部10を矩形状に形成して液体食品容器1が完成する。液体食品容器1はカセットコンベヤー37aの終端部で180度回転してカセット部37bから自然落下して離脱し、頂部8を上方に向けた状態で搬出される。
【0031】
図6、図7に示すように、キャップ12の略1/6円弧領域(θ≒60度)の一段低いドーム部12aに形成されるストロー開口部15は水平状に形成される。ストロー開口部15の平面視三角星形状は、点F1、点F2、点F3で囲まれた三角形15aと、点F1、点F2と他の点F4で囲まれた三角形15bと、点F2、点F3と他の点F5で囲まれた三角形15cと、点F3、点F1と他の点F6で囲まれた三角形15dと、を連結される。ここで、三角形15b、15c、15dの連結する一対の辺で形成される角度θ1、θ2、θ3が180度より小さく形成される。
【0032】
三角形15cの頂点としての点F5と、三角形15bと三角形15dの共通する底辺の点F1と、を結ぶ線の延長線上にキャップ12の略中心Fが位置する。点F1、点F2、点F3を包含して形成される円形領域Sは直径P2=6mmで、直径6mmのストロー13が差込まれる領域である。
【0033】
ストロー開口部15の表裏側の両面に複数の凸状の襞M1、M2が平行に等間隔Pで形成され、襞M1、M2は断面が略半円形状で同じ大きさである。表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2は同一水平面上で水平部Q1の厚さ=0.1mmずれて形成される。襞M1、襞M2の頂部近傍は半径R=0.25mmで襞M1と襞M2を合わせた全厚さが Hである。ここで、表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q2の厚さと、水平部Q1との関係は、Q1<Q2の関係で、水平部Q1が易破断部として形成される。
【0034】
図8に示すように、表側の襞M1の溝部N1にストロー13の先端部を突刺すと、表側の襞M1と溝部N1が下降するとともに裏側の襞M1と溝部N2も下降する。そして、Q1<Q2の関係なので最終的に薄肉部である水平部Q1が略垂直状態に成った時点で破断する。
【0035】
<液体食品容器のストロー開口部構造の作用>
ストロー開口部15は易破断部として薄厚の水平部Q1を備えて一体形成されるが、ストロー開口部15の表裏側にそれぞれ複数で断面同形の襞M1、M2を略半円形状で備えるのでストロー開口部15の強度が向上する。そして、水平部Q1<垂直部Q2の関係なので、ストロー開口部15が水平部Q1の厚さと同じ厚さで全面形成された状態に比較して、ストロー開口部15に対する直角方向の剪断力に対抗する強度が増加するので搬送・流通過程で振動等の外力で破断したり漏れることがない。ストローを突刺して開封するときには易破断部である水平部Q1を容易に貫通できる。このように、ストローを突刺す際にストローが滑って貫通し難く、また、ストロー開口部15が硬くてストロー先端部が曲がってしまうという問題が解消できる。なお、易破断部としての水平部Q1の厚さは0.1mmに拘らず使用する熱可塑性樹脂の特性に応じて決められる。
【0036】
このように、ストロー開口部15が適度な強度と容易な開封性を兼ね添えるのでその信頼性が増すので内容液の劣化が防止できて衛生性が向上し、紙容器の品質が向上し商品価値を高めることができる。さらに、ストロー開口部15の平面視三角星形状は、三角形15b、15c、15dの連結する一対の辺で形成される角度θ1、θ2、θ3が180度より小さく形成されるので外観に優れたデザイン的効果によって品質価値が向上する。
【0037】
<本発明の第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図9を用いて説明するが、図7に示すストロー開口部の断面図と同様の構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の平面図は図6に示す構成と同じであるためその説明および図面を省略する。
【0038】
ストロー開口部15の表裏側の両面に複数の襞M1、M2が平行に等間隔P1で形成され、襞M1、M2の断面は半径R1の弓形状で、表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2の水平部Q1=0.1mmで形成される。表側の襞M1の溝部N1から裏側の襞M2への垂直部Q3とすると、Q1<Q3の関係に形成される。この場合、本発明の第一の実施形態に比べて、襞M1、M2のそれぞれの間隔が同じP1=Pとした場合、襞M1と襞M2を合わせた全厚さH1が薄く( H1<H )なるので、搬送時の想定される外力が小さい場合に使用できる断面形状である。
【0039】
<本発明の第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図10を用いて説明するが、図6に示すストロー開口部の平面図と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の断面図は図7に示す構成と同様であるためその説明および図面を省略する。
【0040】
図10に示すように、ストロー開口部15は外形U字形状に形成される。この場合、表側の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2が7組設けられる。このため、表側の溝部N1にストロー13を突刺すと、図7の場合の三組に比べて凸状襞の溝部N1、N2の数が多いためストロー開口部15の断面剛性が小さいので容易に下降して薄肉部である易破断部としての水平部Q1を速やかに破断できる。また、ストロー13が下降する際に外形U字形状によってストロー13がガイドされるのでストロー13は安定して下降できるので、ストロー開口部15の貫通作業が迅速に安定して実施できる。
【0041】
<本発明の第四の実施形態>
本発明の第四の実施形態の液体食品容器のストロー開口部構造を、図11を用いて説明するが、図10に示すストロー開口部の断面図と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。なお、ストロー開口部の断面図は図7に示す構成と同様であるためその説明および図面を省略する。
【0042】
図11に示すように、ストロー開口部15の表裏側の複数の断面同形状の襞M1の溝部N1と裏側の襞M2の溝部N2が7組で平面視S字状に形成されるので、溝部N1、N2の延べ長さが増加する。このため、図10の場合に比べてさらに断面剛性が下がるので、表側の溝部N1にストローを突刺すと、さらに容易に下降して易破断部としての水平部Q1を迅速に安定して破断できる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0044】
ドーム部12aに水平状に形成されるストロー開口部15はドーム部12aの形状に合わせて球面状に形成しても構わない。この場合、溝部N1と溝部N2は同一球面上に形成され、水平部Q1は球面に沿って略水平状態で、垂直部Q2は球面に対して垂直状態に形成される。
【0045】
形成される溝部の組数はストロー開口部15に求められる剛性と開口性能としての開け易さとのバランスで設定される。例えば、第一の実施形態におけるストロー開口部15の表裏側にストロー13に対応して設けられる三組の溝部は、三組に限らず任意に必要組数が選定できる。
【0046】
ストロー開口部の表裏側の襞の断面形状は半円形状の替わりに半長円形状や台形形状でも構わない。ストロー開口部15はストローの外形状に合わせて直径6mmの円形形状でもよく、直径6mm以外のストロー径に対応して決定してもよい。ストロー13の先端部は表側の襞M1の溝部N1に突刺しても表側の襞M1に突刺してもよい。液体食品容器1の形状は、8角柱状、容器頂面および底面が4角形で胴体部が8角形の柱状液体食品容器等々色んな形状の液体食品容器に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1の側面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、図1のA―斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、図1のB−B矢視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1の製造工程を示す斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態における、液体食品容器1のドーム状の頂部8を形成するインジェクション成形工程35で、マンドレル34に挿入された筒状包材6と可動金型36との状態を示す一部透視側面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態における、ストロー開口部15の詳細平面図である。
【図7】本発明の第一の実施形態における図6のC―C断面図である。
【図8】本発明の第一の実施形態における図6の状態からストロー開口部15をストロー13で押込んで破断する状態を示すイメージ断面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態における、断面弓形状の襞M1、M2が形成されたストロー開口部15の状態を示す断面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態における、外形U字形状のストロー開口部15の状態を示す平面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態における、外形U字形状のストロー開口部15に平面視S字状の襞M1、M2が形成された状態を示す平面図である。
【図12】従来例における、(a)は液体食品容器115に設けられるストロー孔116の断面図、(b)はストロー孔116の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
13 ストロー
15 ストロー開口部
M1 襞
M2 襞
N1 溝部
N2 溝部
Q1 水平部
Q2 垂直部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器のストロー開口部の構造であって、
前記ストロー開口部は前記頂部と一体的に形成され、前記ストロー開口部の表側と裏側に複数の襞を平行に備え、表側の前記襞の溝部と裏側の前記襞の溝部は同一水平面上でずれて形成され、
前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る垂直部の厚さより薄く形成され、前記水平部が易破断部であることを特徴とする液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項2】
前記襞の断面形状は同じ大きさで略半円形状又は弓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項3】
前記ストロー開口部は平面視三角星形状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項4】
前記ストロー開口部は平面視U字形状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項5】
前記複数の襞は平面視S字状で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項1】
紙基材を熱可塑性樹脂で覆った包材で底部と側部を形成し頂部が熱可塑性樹脂で形成されて成る液体食品容器のストロー開口部の構造であって、
前記ストロー開口部は前記頂部と一体的に形成され、前記ストロー開口部の表側と裏側に複数の襞を平行に備え、表側の前記襞の溝部と裏側の前記襞の溝部は同一水平面上でずれて形成され、
前記表側の溝から隣接する前記裏側の溝に亘る水平部の厚さが、前記表側の溝から前記裏側の襞に亘る垂直部の厚さより薄く形成され、前記水平部が易破断部であることを特徴とする液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項2】
前記襞の断面形状は同じ大きさで略半円形状又は弓形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項3】
前記ストロー開口部は平面視三角星形状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項4】
前記ストロー開口部は平面視U字形状に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【請求項5】
前記複数の襞は平面視S字状で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体食品容器のストロー開口部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−116168(P2010−116168A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288585(P2008−288585)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】
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