説明

液晶シール剤及び液晶セル

【課題】液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせが常温で可能で、接着強度と耐湿信頼性、可撓性に優れた液晶シール剤を提供する。
【解決手段】(a)液状エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75℃以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)充填剤として粒径が10μm以下のアルミナ及び/又はシリカ、及び(d)硬化促進剤として平均粒径が6μm以下のアミンアダクト又は2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物を必須成分とし、(a)成分と(b)成分の混合物が液状であるか又は環球法の測定で50℃以下の軟化点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シール剤及びそれを用いた液晶セルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶セルを作成するに当たっては、液晶シール剤をディスペンサー、或いはスクリーン印刷等の方法よりガラス基板に塗布後、通常、加熱または加熱無しでレベリングを行った後に、上下ガラス基板をアライメントマークを用いて高精度に貼り合わせて、シール剤をプレスするというプロセスで上下ガラス基板の貼り合わせを行っている。ここで使用する液晶シール剤には、現在、主として熱硬化型エポキシ樹脂が使用されているが、エポキシ樹脂の硬化剤として、アミン類、イミダゾール類、ヒドラジッド類を使用した液晶シール剤は、接着性、耐湿信頼性に劣るという問題点を有している。この問題点を解決する方法として特公昭59−24403号ではフェノールノボラック樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤とし、溶剤を添加して塗布作業のできる液状にした液晶シール剤が耐湿性に優れることを示している。
【0003】
しかし、この液晶シール剤は、3核体以上のフェノールノボラック樹脂を使用しており、この液晶シール剤を使用して上下ガラス基板の貼り合わせを行う場合、該フェノールノボラック樹脂は軟化点が80℃以上の固体で、脱溶剤する過程で、通常ではシール剤の樹脂成分が固化するため、この上下ガラス基板を加熱する事によりシール剤を加熱溶融して貼り合わせを行わなくてはならなかった。又、近年このガラス基板はますます大型化してきており、加熱しながら貼り合わせた場合、上下のガラス基板の温度差及びガラス基板の場所による温度差による熱膨張の違いで、高精度に上下のガラス基板を貼り合わせることが困難となってきた。この問題を解決する方法として常温でガラス基板を貼り合わせる方法が考えられているが、フェノールノボラック樹脂を硬化剤とする液晶シール剤で常温で貼り合わせ可能なシール剤は未だ知られていない。
【0004】
更に、最近の液晶セルは、大きなガラス基板に多数の電極を形成後、上下基板を貼り合わせて組み立てた後に、1個1個の液晶セルに分断するマルチ加工プロセスをとっているが、その加工枚数も従来の1枚取りから2枚取り、4枚取り、6枚取り、9枚取りへとガラス基板自体もますます大型化している。更に、近年液晶セル自体もますます大型化してきているため、マルチ加工プロセス時にシール部にかかる応力は従来に比し格段に大きくなってきている。そのため、シール部に強い力がかかった場合、シール部の剥離が生じるという問題がでてきた。これには接着性、可撓性に優れるシール剤が求められるが、従来のアミン類、イミダゾール類、ヒドラジッド類を硬化剤としたシール剤は接着性に劣り、3核体以上のフェノールノボラック樹脂を硬化剤としたシール剤は、硬くて脆いという欠点を有するため、ガラス基板、液晶セルの大型化に対応できなくなってきている。また、液晶セルの大型化に伴ってシール線長が長くなってきていることから更に耐湿信頼性に優れる、そして、シールの線幅の狭小化からガラス基板との密着性に優れ且つ可撓性のあるシール剤が求められてきている。更に、液晶シール剤の作業性についても、粘度の増粘の少ない、ポットライフの長いシール剤が求められてきている。
【特許文献1】特公昭59−24403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせが常温で可能で、かつ、接着強度と耐湿信頼性、可撓性に優れた液晶シール剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものである。即ち本発明は、
(1).(a)液状エポキシ樹脂としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75℃以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)充填剤として粒径が10μm以下のアルミナ及び/又はシリカ、及び(d)硬化促進剤として平均粒径が6μm以下のアミンアダクト又は2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物を必須成分とし、
前記(a)成分と(b)成分の混合物が液状であるか又は環球法の測定で50℃以下の軟化点を有することを特徴とする液晶シール剤。
(2).前記液状エポキシ樹脂中の全塩素量が1500ppm以下である(1)の液晶シール剤。
(3).前記硬化剤が二核体を20〜80重量%含むノボラック樹脂からなる硬化剤である(1)又は(2)の液晶シール剤。
(4).前記充填剤の平均粒径が2μm以下である(1)乃至(3)のいずれかの液晶シール剤。
(5).前記充填剤の含有量が全液晶シール剤中の5〜30体積%である(1)乃至(4)のいずれかの液晶シール剤。
【0007】
(6).カップリング剤を含有していることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかの液晶シール剤。
(7).前記カップリング剤がアミノシラン系カップリング剤である(6)の液晶シール剤。
(8).スペーサー(間隙制御材)を含有していることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかの液晶シール剤。
【0008】
(9).(1)乃至(8)のいずれかの液晶シール剤でシールされた液晶セルを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶シール剤を使用することにより液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせが常温で可能で、かつ、接着強度と耐湿信頼性、可撓性に優れた液晶セルの製造が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の液晶シール剤は、(a)液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75℃以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)粒径が10μm以下の充填剤、及び(d)硬化促進剤を必須成分とする。
【0011】
本発明で用いられる液状エポキシ樹脂(a)としては特に限定されるものではなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、フェニルグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、(3,4−3’,4’エポキシシクロ)ヘキシルメチルヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロ無水フタル酸ジグリシジルエステル等の一般に製造、販売されているエポキシ樹脂が挙げられるが、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、(3,4−3’,4’エポキシシクロ)ヘキシルメチルヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロ無水フタル酸ジグリシジルエステルであり、更に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。これらの液状エポキシ樹脂は、2種以上を混合して用いても良い。これらの液状エポキシ樹脂は、常温で液状であるため、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時の液晶シール剤の樹脂粘度が低く、常温での貼り合わせが可能となり、且つギャップ形成が容易となる。
【0012】
本発明で使用する液状エポキシ樹脂のエポキシ等量は230以下、好ましくは210以下、更に好ましくは190以下である。230以上では硬化剤との反応性が劣り、作業性も問題が出て来る。又、本発明に使用する液状エポキシ樹脂の全塩素量は1500ppm以下、好ましくは1200ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下である。全塩素量が1500ppm以上では液晶セルのITO電極の腐食が著しくなる。尚、エポキシ等量はJIS K7236により、又全塩素量は加水分解法により測定される(以下同じ)。
【0013】
本発明で用いられる硬化剤(b)としては、環球法による軟化点が通常75℃以下、好ましくは65℃以下、さらに好ましくは50℃以下のノボラック樹脂であり、各種のフェノール性水酸基を有する化合物を原料とするノボラック樹脂が好ましい。軟化点はJIS K7234に規定される環球法により測定される。
【0014】
ノボラック樹脂としては、例えばビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等のフェノール系ノボラック樹脂が挙げられ、好ましくはフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂であり、更に好ましくはフェノール、クレゾール類、オクチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノール類を原料とするノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂であり、特に好ましくはフェノールを原料とするフェノールノボラック樹脂、クレゾール類を原料とするクレゾールノボラック樹脂である。
【0015】
これらのノボラック樹脂は単独で又は2種以上を混合して使用される。又、本発明で用いられるノボラック樹脂の使用量は、シール剤中のエポキシ樹脂のエポキシ等量に対して、ノボラック樹脂中の水酸基の等量として0.6〜1.4化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量である。又、ノボラック樹脂は、その製造工程から、通常分子中に2個のフェノール性水酸基を有する2核体と分子中に3個以上のフェノール性水酸基を有するものの混合物として得られる。本発明で使用される好ましいフェノール系ノボラック樹脂は、2核体の含有量が20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%のものである。
【0016】
本発明で用いられる好ましいノボラック樹脂はモノフェノール類を原料とするノボラックで、下記一般式
【化1】

【0017】
(式中Rは、水素、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンを示し、mは1〜3の整数を示しmが2または3の時Rは異なった種類であっても良い。nは0又は正の整数を示す。)で表されるものである。
【0018】
上記式において、低級アルキルとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1〜C4のアルキルが、低級アルコキシとしては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1〜C4のアルコキシが、ハロゲンとしては、例えば臭素等があげられる。nにおける正の整数は1〜10が好ましい。
【0019】
本発明で使用するフェノール系ノボラック樹脂からなる硬化剤は上記式の化合物において、n=1以上である成分は軟化点が高いので、n=0である成分が存在している方が好ましく、その存在量は、ノボラック樹脂中通常20〜80重量%、好ましくは25〜70重量%、より好ましくは30〜50重量%程度である(残りはn=1以上である成分)。
【0020】
上記フェノール系ノボラック樹脂と液状エポキシ樹脂との混合物は常温で液状であるか又は環球法の測定で50℃以下の軟化点を有するものであることが好ましい。又、本発明で使用するフェノール系ノボラック樹脂からなる硬化剤は、好ましくはエポキシ当量が230以下の液状エポキシ樹脂との組み合わせにおいて、ガラス基板との接着性と耐湿信頼性が優れている。フェノール系ノボラック樹脂のエポキシ樹脂との反応において、2核体(例えば上記式においてn=0の化合物)のフェノールノボラック樹脂は、3核体以上(例えば上記式においてn=1の化合物)のフェノールノボラック硬化剤の硬化による3次元架橋構造に対して、線形に架橋するために、剛直な構造に可撓性がでるために、ガラス基板との接着性が向上している。更に、本発明で用いられるフェノールノボラック樹脂は軟化点が75℃以下と低いために、液晶セル製造時の上下ガラス基板貼り合わせプロセス時の液晶シール剤の樹脂粘度が低いものとなり、貼り合わせ、ギャップ形成が容易になる。
【0021】
本発明で使用する充填剤(c)としては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナである。これら充填剤は2種以上を混合して用いても良く、特に好ましくはシリカとアルミナを併用した場合である。
【0022】
本発明で用いられる充填剤の最大粒径は、レーザー法の測定で10μm以下、好ましくは6μm以下、更に好ましくは4μm以下であり、特に好ましくは4μm以下でその平均粒径が2μm以下のものである。10μmより充填剤の粒径が大きいと、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ後のギャップ形成がうまくできない。このような充填剤のシリカは、例えば、溶融シリカ又は結晶シリカを破砕し、分級することによって製造される。アルミナは、例えば、水酸化アルミニウムを焼成してできたアルミナ又は無水塩化アルミニウムの火焔加水分解によってできたアルミナ又はアンモニウム明ばんを焼成して得られたアルミナを粉砕、分級して製造される。
【0023】
本発明で使用される充填剤の液晶シール剤中の含有量は、溶剤を除いた液晶シール剤中5〜30体積%、より好ましくは15〜25体積%である。充填剤の含有量が5体積%より低い場合、充填剤量が少ないため低粘度になり、液晶シール剤塗布後にガラス基板上でだれ、はじきが起こり易くなり、シール形状が乱れてしまうおそれがある。又、充填剤の含有量が30体積%より多い場合、充填剤含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう。
【0024】
本発明に用いられる硬化促進剤(d)としては、例えばイミダゾール類、イミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類及び該アミド類とフェノール類、前記多価カルボン酸類、又はフォスフィン酸類との塩類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及び該ジアザ化合物とフェノール類、前記多価カルボン酸類、又はフォスフィン酸類との塩類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト等があげられる。
【0025】
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等があげられる。
【0026】
これら硬化促進剤のうち好ましいものとしては、例えば2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、イミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類, アミンアダクト等があげられる。硬化促進剤の添加量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部好ましくは1〜15重量部であり、更に好ましくは、2〜10重量部である。
【0027】
これら硬化促進剤は、潜在性硬化促進剤の形式で使用した方が、作業性の向上(ポットライフ時間の延長)等のメリットがあり、好ましい。潜在性硬化促進剤は、室温では固体で、加熱されることによって溶解し、初めて硬化促進剤として反応するという性質を有するもので、例えばこれら硬化促進剤剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤や溶剤やエポキシ樹脂に溶解しにくい固体分散型の硬化促進剤(例えばイミダゾール類)、アミンアダクト等が挙げられる。
【0028】
これら硬化促進剤のうち、固体分散型の潜在性硬化促進剤の平均粒径はレーザー法の測定で6μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下程度である。平均粒径が6μmより大きい潜在性硬化促進剤を使用すると、ディスペンサー塗布が難しく、また、塗布後の形状も均一でなく、そのため、シール後のシール形状も均一でなくなってしまう。また、平均粒径が6μmより大きい硬化促進剤を使用した液晶シール剤のシール後のシール部に充填剤の荒い粗密が確認される。
【0029】
本発明の液晶シール剤は、上記の液状エポキシ樹脂(a)、環球法による軟化点が75℃以下のノボラック樹脂からなる硬化剤(b)、粒径が10μm以下の充填剤(c)、及び硬化促進剤(d)を必須成分とし、(a)成分と(b)成分の(溶融)混合物の軟化点が環球法の測定で50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは常温で液状であることを特徴とする。軟化点が50℃より高い場合には、溶剤を使用して液状の液晶シール剤とするが、この場合、溶剤の蒸発工程が必要であり、更に溶剤揮発後のシール剤が固形となり、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせは、上下ガラス基板への加熱無しで行うために、上下ガラス基板を貼り合わせる時に常温では液晶シール剤がつぶれないので、液晶セルの製造ができない。本発明の液晶シール剤が常温で液状である場合、その粘度は作業性を考慮すると200〜400ポイズ(25℃)程度が適当である。
【0030】
本発明の液晶シール剤には、1種又は2種以上の固形エポキシ樹脂を加えることが出来る。用いられる固形エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、シクロヘキサン等の脂肪族骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、イソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック等のブロム化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられ、その使用量は得られたシール剤の融点、作業性、物性に影響を与えない範囲で用いられる。又、この固形エポキシ樹脂の全塩素量は1500ppm以下、好ましくは1200ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下である。全塩素量が1500ppm以上では液晶セルのITO電極の腐食が著しくなる。
【0031】
本発明の液晶シール剤には、カップリング剤を加えることが出来る。カップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル( N−エチルアミノエチルアミノ) チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ( ジオクチルピロフォスフェート) オキシアセテート、テトライソプロピルジ( ジオクチルフォスファイト) チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−( β−アミノエチル) アミノフェニル) チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス( ドデカノイル) ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス( エチレンジアミノエチル) ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル) ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられるが、好ましくはシリコン系カップリング剤であり、更に好ましくはアミノシラン系カップリング剤である。カップリング剤を使用する事により耐湿信頼性が優れ、吸湿後の接着強度の低下が少ない液晶シール剤が得られる。
【0032】
本発明の液晶シール剤は、作業性を向上させるために、粘度を低粘度化するために溶剤を添加しても良い。使用しうる溶剤としては、例えばアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、アセテート系溶剤があげられ、これらは1種又は、2種以上を、単独で又は混合して、任意の比率で用いることができる。
【0033】
アルコール系溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等のアルキルアルコール類、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−メチル−3−n−プロポキシブタノール、3−メチル−3−イソプロポキシブタノール、3−メチル−3−n−ブトキシシブタノール、3−メチル−3−イソブトキシシブタノール、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール、3−メチル−3−tert−ブトキシシブタノール等のアルコキシアルコール類があげられる。
【0034】
エーテル系溶剤としては、例えば1価アルコールエーテル系溶剤、アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤、アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤、ジアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤、トリアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤等があげられる。
【0035】
1価アルコールエーテル系溶剤としては、例えば3−メチル−3−メトキシブタノールメチルエーテル、3−メチル−3−エトキシブタノールエチルエーテル、3−メチル−3−n−ブトキシシブタノールエチルエーテル、3−メチル−3−イソブトキシシブタノールプロピルエーテル、3−メチル−3−sec−ブトキシブタノール−イソプロピルエーテル、3−メチル−3−tert−ブトキシブタノール−n−ブチルエーテル等があげられる。
【0036】
アルキレングリコールモノアルキルエーテル系溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル等があげられる。
【0037】
アルキレングリコールジアルキルエーテル系溶剤としては、例えばプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジイソブチルエーテル、プロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジイソブチルエーテル、エチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等があげられる。
【0038】
ジアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤としては、例えばジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等があげられる。
【0039】
トリアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤としては、例えばトリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールじ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジイソブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−sec−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−tert−ブチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類等があげられる。
【0040】
アセテート系溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−エトキシブチルアセテート、3−メチル−3−プロポキシブチルアセテート、3−メチル−3−イソプロポキシブチルアセテート、3−メチル−3−n−ブトキシエチルアセテート、3−メチル−3−イソブトキシシブチルアセテート、3−メチル−3−sec−ブトキシシブチルアセテート、3−メチル−3−tert−ブトキシシブチルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、酢酸ブチル等の溶媒が挙げられる。
【0041】
溶剤の使用量は、液晶シール剤がディスペンサー或いはスクリーン印刷等の方法で塗布できる粘度、例えば200〜400ポイズ(25℃)、に調整するのに必要な任意の量を用いることができ、通常、液晶シール剤中の不揮発成分が70重量%以上、好ましくは85〜95重量%になるように使用する。
【0042】
本発明の液晶シール剤は、前記したエポキシ樹脂、ノボラック樹脂、必要に応じて溶剤を添加し、加熱混合撹拌により溶解し、さらに、充填剤、硬化促進剤、必要に応じカップリング剤、消泡剤、レベリング剤等の所定量を添加し、公知の混合装置、例えばボールミル、サンドミル、3本ロール等により混合することにより製造する事が出来る。
【0043】
本発明の液晶セルは、ガラス基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶を封入したものである。その製法としては、例えば本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサーにより該液晶シール剤を塗布した後、例えば100℃10分間の加熱で溶剤を蒸発させ、ついで上下ガラス基板を貼り合わせ、プレスにてギャップ出しを行い、160〜180℃で1〜2時間硬化することにより得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶セルは接着性、耐湿熱性に優れたものである。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、ガラスビーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜10μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、溶剤を除く本発明の液晶シール剤100重量部に対し0.1〜4重量部、好ましくは0.5〜2重量部、更に、好ましくは0.9〜1.5重量部程度である。
【実施例】
【0044】
以下に実施例をあげ本発明を更に詳しく説明する。
【0045】
実施例1
エポキシ樹脂としてエポキシ当量が185の液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE−310S、全塩素量500ppm、日本化薬製)100g、硬化剤として軟化点が50℃であるフェノールノボラック樹脂(PN−152、日本化薬製)54gを溶剤のプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート40gに加熱溶解させる。この樹脂溶液に充填剤として粒径が3μm以下(平均粒径1.5μm以下)のシリカ32g、粒径が0.5μm以下(平均粒径0.5μm以下)のアルミナ83g、カップリング剤としてN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン20gを3本ロールにより混合分散し、硬化促進剤として平均粒径が3μm以下の2MAOK−PW(四国化成製)5gを添加して本発明の液晶シール剤を得た。このエポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂の混合物は、25℃で液状で粘度は10000ポイズ(25℃)であった。
【0046】
ガラス基板貼り合わせギャップ形成テスト得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして7μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上にディスペンサーで塗布し、ホットプレート加熱により、溶剤の揮発を行った後、25℃でそのガラス基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせ、荷重をかける。この時点で、液晶シール剤がつぶれて上下ガラス基板が密着しているか確認する(ガラス基板の重ね合わせテスト)。その後、140℃のホットプレート上で荷重をかけてつぶして、7μmのスペーサーの厚みまで液晶シール剤がつぶれたかどうか顕微鏡にて確認する(ガラス基板のギャップ形成テスト)。その結果を表2に示した。
【0047】
耐湿接着強度テスト得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして7μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上にディスペンサーで塗布し、ホットプレート加熱で溶剤揮発を行い、その液晶シール剤上に2mm×2mmのガラス片を貼り合わせ180℃で1時間硬化した後、121℃、2気圧、湿度100%の条件でプレシャークッカーテストを行い、せん断接着強度を測定した。その結果を表2に示した。
【0048】
実施例2〜5、比較例1、2表1の処方に従って配合し、実施例1と同様にして本発明又は比較用の液晶シール剤を得、同様に評価した。評価結果は、表2に示した。表2からわかるように、実施例2〜5は、常温貼り合わせ性と耐湿性に優れている事がわかる。
【表1】

【0049】
使用原料の説明
エポキシ樹脂
液状エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE−310S 日本化薬製)
固体状エポキシ樹脂B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1001 油化シェル製)
硬化剤硬化剤A:フェノールノボラック樹脂(PN−152:二核体含有率40%日本化薬製)
硬化剤B:フェノールノボラック樹脂(PN−80:二核体含有率12% 日本化薬製)
硬化剤C:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾール(1’) )エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(2MAOK−PW 四国化成製)
硬化促進剤
硬化促進剤A:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾール(1’) )エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(2MAOK−PW 四国化成製)
アミンアダクト(平均粒径3μm以下) アミキュアMY−H 味の素製
2エチル4メチルイミダゾール 2E4MZ 四国化成製溶剤
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
シランカップリング剤
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573 信越化学工業製)
【表2】

【0050】
○:貼り合わせ良好。
【0051】
△:常温でのガラス基板の貼り合わせはできないが、加熱により液晶シール剤が溶融するので、加熱時のギャップだしが可能。
【0052】
×:貼り合わせ不良。
【0053】
表2から明らかなように、本発明の液晶シール剤は液晶セル製造時の上下ガラス基板の常温における重ね合わせ性、ギャップ形成性が良好で、又耐湿性に優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液状エポキシ樹脂としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及び/又はビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、(b)環球法による軟化点が75℃以下のノボラック樹脂からなる硬化剤、(c)充填剤として粒径が10μm以下のアルミナ及び/又はシリカ、及び(d)硬化促進剤として平均粒径が6μm以下のアミンアダクト又は2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物を必須成分とし、
前記(a)成分と(b)成分の混合物が液状であるか又は環球法の測定で50℃以下の軟化点を有することを特徴とする液晶シール剤。
【請求項2】
前記液状エポキシ樹脂中の全塩素量が1500ppm以下である請求項1の液晶シール剤。
【請求項3】
前記硬化剤が二核体を20〜80重量%含むノボラック樹脂からなる硬化剤である請求項1又は2の液晶シール剤。
【請求項4】
前記充填剤の平均粒径が2μm以下である請求項1乃至3のいずれか一項の液晶シール剤。
【請求項5】
前記充填剤の含有量が全液晶シール剤中の5〜30体積%である請求項1乃至4のいずれか一項の液晶シール剤。
【請求項6】
カップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項の液晶シール剤。
【請求項7】
前記カップリング剤がアミノシラン系カップリング剤である請求項6の液晶シール剤。
【請求項8】
スペーサーを含有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項の液晶シール剤。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項記載の液晶シール剤でシールされた液晶セル。

【公開番号】特開2007−79588(P2007−79588A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277624(P2006−277624)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【分割の表示】特願平9−92894の分割
【原出願日】平成9年3月28日(1997.3.28)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】