説明

液晶ディスプレイに使用するためのホログラフィック多色光学要素および該要素の製造方法

【課題】液晶ディスプレイの多色フィルタとして用いるホログラフィック多色光学要素および、該要素の製造方法を提供すること。
【解決手段】ホログラフィック多色光学要素は、多色の反射型または透過型フィルタとして使用可能である。この要素は、1、2、3またはそれ以上のホログラフィック記録フィルム層を有することができる。各層は、ホログラフィックミラーを含む少なくとも第1および第2の画素体、および好ましくはさらにホログラフィックミラーを含む第3の画素体を具える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイにおいて多色フィルタとして使用されるホログラフィック多色光学要素および該要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多色液晶ディスプレイ(LCD)装置には、車両のダッシュボード、腕時計、計算機、テレビ、コンピュータ、ビデオカメラのビューファインダ等のディスプレイを含む多くの用途で用いられている。慣用の多色LCD装置は、典型的には赤、緑および青の異なる色の光を、画素と呼ばれる選択された表面の小さな領域に透過することによって画像を表示するように構成されている。多色LCD装置の例は、アメリカ特許第4,834,508号、第4,878,741号、第4,929,060号、第4,966,441号、第5,089,905号、第5,113,274号、第5,130,826号、第5,150,236号および第5,245,449号に開示されている。
【0003】
慣用の多色LCD装置では、典型的には吸収フィルターを用いて、各画素を透過されるべき所望の色以外の光を吸収する。多色LCD装置に用いる吸収フィルタの例は、アメリカ特許第4,822,718号、第4,876,165号、第4,966,441号、第5,185,059号、第5,229,039号および第5,232,634号および日本特許公報JP−04355451、JP−5313009−AおよびJP−05343631に開示されている。ある特定の場合には、アメリカ特許第4,229,039号に示されているように、カラーフィルタの材料は、二つの役割を有しており、カラーフィルタとして機能するほかに配向層としても機能する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収フィルタは、バックグラウンド光および赤、緑および青の内の不要な二つの色の光の十分な吸収を確実にするために、特定の染料の高い濃度に依存している。吸収性染料は、典型的にはディスプレイの色、陰影および解像度を制限する広い帯域の光を吸収する。さらに、吸収性染料は、所望の波長での透過において最高ではない。大きな吸収性フィルタを、高品質で製造することは困難であり、特にフィルタ全体に亘って画素サイズが小さい場合には困難である。慣用の吸収性フィルタの軽量な代替物の発見が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
少なくとも縦横(列と行)に並んだ第1の複数の画素体(pixel volume)と第2の複数の画素体を具える光硬化ホログラフィック記録フィルム要素を具え、
前記第1の画素体の各個が、少なくとも1種の第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、少なくとももう1種の色(例えば緑)の波長帯の光を反射する体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、少なくとも前記もう1種の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも前記1種の色(例えば赤)の波長帯の光を反射する体積ホログラフィックミラーを含むことを特徴とする液晶ディスプレイ装置の多色フィルタとして用いられる体積ホログラフィック光学要素に関するものである。
【0006】
本発明は、さらに、
第1の複数の画素体、第2の複数の画素体および第3の複数の画素体を具える光硬化ホログラフィック記録フィルム要素を具え、
前記第1の画素体の各個が、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を反射させ、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させる第1の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、前記第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射させ、少なくとも前記第1の色(例えば赤)の波長帯および前記第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させる第2の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第3の画素体の各個が、前記第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射させ、少なくとも前記第1の色(例えば赤)の波長帯および前記第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させる第3の体積ホログラフィックミラーを含むことを特徴とする液晶ディスプレイ装置の多色反射フィルタとして用いられる体積ホログラフィック光学要素に関するものである。
【0007】
本発明は、またさらに、
第1の複数の画素体、第2の複数の画素体および第3の複数の画素体を具える光硬化ホログラフィック記録フィルム要素を具え、
前記第1の画素体の各個が、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射させる第1の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、前記第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、前記第1の色(例えば赤)の波長帯および前記第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射させる第2の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第3の画素体の各個が、前記第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、前記第1の色(例えば赤)の波長帯および前記第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射させる第3の体積ホログラフィックミラーを含むことを特徴とする液晶ディスプレイ装置の多色透過フィルタとして用いられる体積ホログラフィック光学要素に関するものである。
【0008】
この体積ホログラフィック光学要素は、好ましくは、1、2または3つのホログラフィック記録フィルムを具えるホログラフィック記録要素で形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、以下に説明する添付図面を参照する以下の詳細な説明によりさらに良く理解することができる。
【0010】
以下の詳細な説明において、図面中の全ての数字において、同様の参照符号は、同様の要素を表すものである。
【0011】
I.ホログラフィック光学要素および製造方法
1.0 第1のホログラフィック光学要素
図1には、本発明による第1の体積ホログラフィック光学要素100が示されている。第1の体積ホログラフィック光学要素100は、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素102を有している。本実施例において、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素102は、第1の面106および第2の面108を有する単一の第1のホログラフィック記録フィルム層104を有している。第1のホログラフィック記録フィルム層104は、第1の複数の画素体(first pixel volumes)110、第2の複数の画素体(second pixel volumes)112および第3の複数の画素体(third pixel volumes)114を有している。
【0012】
各第1の画素体110は、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を反射し、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を透過させる第1の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各第2の画素体112は、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射し、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を透過させる第2の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各第3の画素体114は、第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射し、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第1の色(例えば赤)の波長帯の光を透過させる第3の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。
【0013】
ホログラフィックミラーは、干渉縞および回折格子によって形成されている。ここで開示される全てのホログラフィックミラーの回折格子は、慣用のホログラフィック方法によって形成される全ての形状および傾斜とすることができる。回折格子は、記録媒体の面106,108に平行な一致回折格子(conformal grating)および/または面106,108と平行でない不一致回折格子(non-conformal grating)とすることができる。
【0014】
第1の体積ホログラフィック光学要素100の操作または機能は、図1に示されている。特に、光源2は、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素100に向かって光を与えるように示されている。光源2は、第1の色(例えば赤)の波長帯、第2の色(例えば緑)の波長帯および/または第3の色(例えば青)の波長帯を放射することができる。光源2は、コヒーレント、実質的にコヒーレントまたは非コヒーレントな光を放射する。図1中の文字は、各色の波長帯を示しており、これらに関連付けられた矢印は、光源がこうした色の波長帯における短波長の放射光を放射すると仮定した場合に、要素100が特定の色の波長帯を透過するかまたは反射するかを示している。好ましくは、光源2が他の色の波長帯も放射する場合、こうした波長帯も第1の体積ホログラフィック光学要素100を透過する。第1の体積ホログラフィック光学要素100は、光源2が第1の体積ホログラフィック光学要素100のいずれの側に位置しているかに関わらず、同様に機能する。
【0015】
第1の色の波長帯、第2の色の波長帯および第3の色の波長帯は、光のいずれの識別可能な波長帯とすることも可能である。好ましくは、識別可能な波長帯は、他の波長帯によって分離する。好ましくは、第1の色の波長帯を有する光は、赤に見える612ナノメータを含む少なくとも5(より好ましくは約20〜30)ナノメータの帯域幅を有している。好ましくは、第2の色の波長帯を有する光は、緑に見える545ナノメータを含む少なくとも5(より好ましくは約20〜30)ナノメータの帯域幅を有している。好ましくは、第3の色の波長帯を有する光は、青に見える436ナノメータを含む少なくとも5(より好ましくは約20〜30)ナノメータの帯域幅を有している。特段の記載がない場合、全ての画素体中の文字は、全ての図において、画素体によって反射される色の波長帯を示し、他の全ての色の波長帯が該画素体を透過することを示している。「R」の文字は、第1の色の波長帯として示す赤の波長帯を示している。「G」の文字は、第2の色の波長帯として示す緑の波長帯を示している。「B」の文字は、第3の色の波長帯として示す青の波長帯を示している。これらの文字の二つ以上が一緒に示されている場合、光は、本質的に示された文字のそれぞれの波長帯で構成されていることを示している。
【0016】
第1の画素体110、第2の画素体112および第3の画素体114は、フィルム層104中においていかなる形状および順序とすることもできる。画素体110,112,114は、フィルム層104の第1および第2の面106,108の部分である側部を有さない。図1は、一列の、画素体110,112,114の二次元配列を示している。好ましくは、画素体110,112,114は、第1の画素体110の1つと、次に第2の画素体112の1つと、次に第3の画素体114の1つのと連続の繰り返しの列の各列に配列されている。隣接した列の画素体110,112,114は相互にオフセットして配置することができる。
【0017】
第1の体積ホログラフィック光学要素100は、さらに任意に、フィルム層104の第1の面106を支持する平らな表面を有する寸法的に安定な基板116を有している。第1のホログラフィック記録フィルム要素102は、さらに、フィルム層104の第2の面108上のバリア層118を有している。
【0018】
図2は、反射型液晶ディスプレイ(LCD)装置120に多色反射フィルタとして用いられる第1の体積ホログラフィック光学要素100を示している。反射型液晶ディスプレイ装置は、順に配置された、第1の光偏光子122と、上端または第1の寸法的に安定な支持体124と、液晶ディスプレイ要素126と、第2の光偏光子128と、ホログラフィック多色反射フィルタ100とから構成されている。第1の光偏光子122は、第1の直線偏光を有する周辺光等の光を直線的に偏光させて透過させるためのものである。上端の寸法的に安定な面1基板4は、剛性および全体的な構造的支持を付与する。液晶ディスプレイ要素126は、当業者において周知であり、セルX,Y,Zの配列を透過する光の偏光を選択的に変化させて、セルXの第1の組と、セルYの第2の組とセルZの第3の組を透過する光の偏光を第2の直線偏光に変化させることができるようにするためのものである。液晶ディスプレイ要素の例は、本明細書の発明の技術背景の部分において引用された刊行物に示されている。第2の偏光は、典型的には、第1の偏光に対して垂直である。液晶ディスプレイ要素126は、順に配置された、第1の回路層(circuit layer) 130と、第1の配向層132と、液晶層134と、第2の配向層136と、第2の回路層138およびレベリング層140とから構成されている。回路層130は、第1の配向層132を介して液晶層134内の液晶の特定の第1の側面の配向を変化させることができる電気駆動回路の第1の側面を構成する。液晶層134は、反射フィルタ100中の各画素体に対応するセル中に液晶を封入する。第2の配向層136は、特定の第2の側面の配向を液晶層134内の液晶に導入する。第2の回路層138は、第2の整列層136を介して液晶層134内の液晶の特定の第2の側面の配向を変化させることができる電気駆動回路の第2の側面を構成する。レベリング層140は、フィルタ100に対して堅く平坦な面を付与する。第2の光偏光子は、第2の偏光を持つ液晶ディスプレイ要素126からの光を透過するためのものである。
【0019】
操作において、液晶ディスプレイ要素126が第1の組のセルXを透過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させるときに、光は第2の偏光子128を透過して第1の画素体110に入射し、第1の体積ホログラフィックミラーは第1の色(例えば赤)の波長帯を有する光を液晶ディスプレイ要素126を経て、LCD装置の第1の偏光子122に入射する周辺光4と同じ側に位置する観察者に向かって反射する。液晶ディスプレイ要素126が、第2の組のセルYを透過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させる場合には、光は第2の偏光子128を透過して、第2の画素体112に入射し、そこにおいて、第2の体積ホログラフィックミラーは第2の色(例えば緑)の波長帯を有する光を、液晶ディスプレイ要素126を介して観察者に向かって反射する。液晶ディスプレイ要素126が第3の組のセルZを透過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させる場合には、光は第2の偏光子128を透過して第3の画素体114に入射し、そこにおいて、第3の体積ホログラフィックミラーは第3の色(例えば青)の波長帯を有する光を、液晶ディスプレイ要素126を介して、観察者に向かって反射する。これらの三つのケースの場合、他の波長帯の光は、液晶ディスプレイ要素を透過して、観察者から遠ざかる。さらに、第2の偏光子128に向かって液晶ディスプレイ要素126を透過するが、第2の偏光を持つように液晶ディスプレイ要素126によって変化されない光は、第2の偏光子128によって吸収される。
【0020】
1.1 第1の要素100の製造方法
図3は、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素100の製造に使用可能な第1のホログラフィック記録フィルム要素142を示している。第1のホログラフィック記録フィルム要素142は、順に、カバーシート144と、非結像および未露光ホログラフィック記録フィルム層104′、バリア層118および寸法的に安定な支持体146とから構成されている。
【0021】
第1の体積ホログラフィック光学要素100の製造方法を、第1の非結像および未露光ホログラフィック記録フィルム要素142から説明する。カバーシート144は、第1のホログラフィックフィルム層104′の第1の面106から取り除かれている。フィルム層104′の第1の面106は、寸法的な安定な基板116上に積層されている。支持体146は、バリア層118から取り除かれる。ホトマスク層150を有する反射防止板148は、第1の屈折率整合流体層(index matching fluid layer)152を介してバリア層118に結合されている。図4は、ホトマスク層150に用いることができるパターンを示している。パターンは、光を遮断する第1の複数の画素Bと光を透過または通過させる第2の複数の画素Pを有する二次元配列の画素である。図4に示すように、画素配列は、以下の三列の画素の反復パターンを持つことができる。
【0022】

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11...
1 B B P B B P B B P B B...
2 P B B P B B P B B P B...
3 B P B B P B B P B B P...
【0023】
ガラス基板116は、第2の屈折率整合流体層154を介して、表面ミラー等の放射板156に結合されている。これにより、図5aに示す積層構造となる。
【0024】
次に、第1の色(例えば赤)の光源6は、本質的に第1の色(例えば赤)の波長帯で構成されるコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光を放射するように選択される。第1の色(例えば赤)の光源6からの光は、順に、反射防止板148、ホトマスク層150の透明画素Pおよび放射板156上の第1のホログラフィックフィルム層104′に向けられる。放射板156は、光を第1のホログラフィックフィルム層104′を通過して反射して、反射した光がフィルム層104′を経て放射板156に向かう光と干渉するようにする。この干渉は、第1のホログラフィックフィルム層104′へホログラフ的に結像または第1のホログラフィックフィルム層104′を結像するようにホログラフ的に露光して、第1の複数の体積ホログラフィックミラーを、各画素体110に1つずつ記録する。
【0025】
次に、反射防止板148とホトマスク層150が第1の方向、すなわち図4のXの方向に1画素分シフトまたは移動される。
【0026】
次に、図5bに示すように、第2の色(例えば緑)の光源8は、本質的に第2の色(例えば緑)の波長帯で構成されるコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光を放射するように選択される。第2の色(例えば緑)の光源8からの光は、順に、反射防止板148、ホトマスク層150の透明画素Pおよび放射板156上の第1のホログラフィックフィルム層104′に向かって入射する。放射板156は、光を第1のホログラフィックフィルム層104′を経て反射して、反射した光が、フィルム層104′を通過して放射板156に向かう光と干渉するようにする。この干渉は、第1のホログラフィックフィルム層104′へホログラフ的に結像するかあるいは第1のホログラフィックフィルム層104′を結像するようにホログラフ的に露光して、第2の複数の体積ホログラフィックミラーを、第2の画素体112の各々に1つずつ記録する。
【0027】
次に、反射防止板148とホトマスク層150が第1の方向、すなわちXの方向に再び1画素分シフトまたは移動される。
【0028】
次に、図5cに示すように、第3の色(例えば青)の光源10は、本質的に第3の色(例えば青)の波長帯で構成されるコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光を放射するように選択される。第3の色(例えば青)の光源10からの光は、順に、反射防止板148、ホトマスク層150の透明画素Pおよび放射板156上の第1のホログラフィックフィルム層104′に向かって入射する。放射板156は、光を第1のホログラフィックフィルム層104′を経て反射して、反射した光が、フィルム層104′を通過して放射板156に向かう光と干渉するようにする。この干渉は、フィルム層104′へホログラフ的に結像するか、またはフィルム層104′を結像するようにホログラフ的に露光して、第3の複数の体積ホログラフィックミラーを第3の画素体114の各々に1つずつ記録する。この第3の連続したホログラフ的な画像形成ステップにより、非結像フィルム層104′の結像フィルム層104への形成を完了する。
【0029】
反射防止板148、ホトマスク層150および第1の屈折率整合流動層152が除かれた後に、結果として得られた積層構造は、任意で硬化、固定または露光して、全てのモノマーを実質的に重合させ、ホログラフィックミラーを積層構造中に固定してもよい。これは、図5dに示すように、広帯域紫外線光源12等からのような非コヒーレント化学線放射を用いることによって達成され、積層構造を投光露光する。本願を通して、「広帯域紫外線光源(broad band ultraviolet light)」の語は、約300ないし450ナノメータのスペクトル領域の光を意味する。このステップによって、約100ミリジュール/平方センチメートル(mJ/cm2 )の露光レベルが与えられるが、露光レベルはより大きくてもよい。このステップは、典型的には、約20秒間生じるが、より長い期間生じてもよい。このステップにより、結像されたフィルム層中の全ての残りの感光性材料が光硬化または実質的に光硬化する。
【0030】
放射板156および第2の屈折率整合流体層154が除かれた後、結果として得られた積層構造は、任意で、図5eに示すような炉14によって加熱される。この構造は加熱されてさらに硬化され、屈折率変調、その効率およびホログラフィックミラーの帯域幅が増加される。この加熱ステップは、約50ないし200℃、好ましくは約100ないし160℃の範囲の温度で起こる。温度が高い程、加熱ステップの期間が短くなる。好適な材料を用いると、ホログラフィック記録フィルム要素は、約100℃で約30分間加熱することができる。
【0031】
これにより、図1および図2に示す第1の体積ホログラフィック光学要素100が得られ、非結像で未露光のホログラフィック記録フィルム層104′は、ホログラフ的にミラーで結像され、任意で固定(投光露光)され、および任意で硬化されたホログラフィック記録フィルム層104となる。
【0032】
2.0 第2のホログラフィック光学要素200
図6は、本発明による第2の体積ホログラフィック光学要素200を示している。第2の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素200は、本実施例においては第2の単一のホログラフィック記録フィルム層204で構成される光硬化ホログラフィック記録フィルム要素202を具える。第2のホログラフィック記録フィルム204層は。第1の複数の画素体210と、第2の複数の画素体212および第3の複数の画素体214とから構成される。
【0033】
第1の画素体210の各個は、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射する第1の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。第2の画素体212の各個は、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射する第2の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。第3の画素体214の各個は、第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯および第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射する第3の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。
【0034】
他の全ての点において、第2の体積ホログラフィック光学要素200は、第1の体積ホログラフィック光学要素100と同一である。
【0035】
第2の体積ホログラフィック光学要素200の操作または機能は、図6に示されている。特に、光源2は、第2の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素200に向かってRGB光を与えるように示されている。矢印は、第1の画素体210が、第1の色(例えばR)の光を通過させ、RGB光源2等に向かって第2および第3の色(例えばGB)の光を反射することを示す。さらに、光源2が他の色の波長帯も放射する場合、こうした波長帯は、第2の体積ホログラフィック光学要素200を通過することが好ましい。第2の体積ホログラフィック光学要素200も、光源2が第2の体積ホログラフィック光学要素200のいずれの側に位置しているかに関わらず、同様に機能する。
【0036】
図7aは、液晶ディスプレイ220の多色透過フィルタとして用いられる第2の体積ホログラフィック光学要素200を示している。透過型液晶ディスプレイ装置は、順に、第1の光偏光子222、ホログラフィック多色透過フィルタ200、液晶ディスプレイ要素226、第1の寸法的に安定な基板224、第2の光偏光子228および光装置230で構成されている。
【0037】
光装置230は、光源232と、放射板または増圧器234と、プレフィルタ236とから構成されている。光源232は、第1の色(例えば赤)の波長帯と、第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を放射する。光源232は、他の波長帯の光を放射してもよい。この場合、プレフィルタ236は、他の波長帯の通過を遮断するために設けられている。図7bは、典型的な多色液晶ディスプレイの光源の波長(λ)に対する相対スペクトル電力(例えばミリワット)のグラフである。プレフィルタ236は、約400〜425、474〜500および575〜595ナノメータの帯域幅を持つ光の通過を遮断するように形成してもよい。好ましくは、プレフィルタ236は、第1の色(例えば赤)の波長帯と、第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、かつ例えば約400〜425、474〜500および575〜595ナノメータの波長帯等の他の波長帯を反射するように設けられる体積ホログラフィック光学要素である。
【0038】
第2の光偏光子225は、第1の偏光を持つ光装置230からの光を直線的に偏光させて通過させる。液晶ディスプレイ要素226は、LCDディスプレイ要素126と同じであってもよく、光または偏光されて変化した光をフィルタ200に向かって通過させる。第1の光偏光子222は、第2の偏光を持つフィルタ200からの光を通過させる。
【0039】
操作において、液晶ディスプレイ要素226が、第1の組のセルXを通過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させた場合、光は、第第1の画素帯210を通過し、そこにおいて、第1の体積ホログラフィックミラーは、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を第1の偏光子222を経て観察者に向かって通過させる。液晶ディスプレイ要素226が、第2の組のセルYを通過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させた場合、光は、第2の画素帯212に向かって通過し、そこにおいて第2の体積ホログラフィックミラーが、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を第1の偏光子222を経て観察者に向かって通過させる。液晶ディスプレイ要素226が、第3の組のセルZを通過する光の偏光を第2の偏光に変化または回転させた場合、光は、第3の画素帯214に向かって通過し、そこにおいて、第3の体積ホログラフィックミラーが、第3の色(例えば青)の波長帯の光を第1の偏光子222を経て観察者に向かって通過させる。
【0040】
2.1 第2の要素200の第1の製造方法
図8は、第2の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素200の製造に用いることができる第2の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素242が示されている。第2の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素242は、第1の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素142と同一または類似であり、第2のカバーシート244と、第2の光硬化性ホログラフィック記録フィルム層204′と、第2のバリア層218とから構成される。しかしながら、第1の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素142の支持体146は、寸法的に安定な支持体248上に被覆されている反射層246と置き換えられる。反射層46は、アルミニウムまたは他の反射性材料とすることができる。
【0041】
第2の体積ホログラフィック光学要素200の第1の製造方法は、ここにおいて第2のホログラフィック記録フィルム要素242により、第1の光硬化ホログラフィック光学要素100を用いて説明される。まず、カバーシート244は、非結像ホログラフィックフィルム層204′の第1の面から除かれる。フィルム層204′の第1の面は、寸法的に安定な基板216上に積層される。第1の光硬化ホログラフィック光学要素100の寸法的に安定な基板116は、屈折率整合流体層252を介して、寸法的に安定な基板216に結合される。この結果、図9aに示される積層構造となる。
【0042】
次に、光源16は、第1の色(例えば赤)の波長帯、第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯で構成されるコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光を放射するように選択される。光源16からの光は、順に、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素100、寸法的に安定な基板216および非結像の第2のフィルム層204′を通って反射層246に向けられている。反射層246は、光を第2のフィルム層246に経て反射して、反射した光が、反射層246に向かって第2のフィルム層204′を通過する光と干渉するようにする。この干渉により、第2のフィルム層204′にホログラフ的に結像されて、第2の結像されたホログラフィック記録フィルム層204を形成する。これは、この方法における単一のホログラフ的結像ステップである。
【0043】
次いで、第2のホログラフィック記録フィルム要素200は、任意で硬化し、固定し、または露光して、全てのモノマーを実質的に重合し、フィルム層204にホログラフィックミラーを固定する。これは、第1の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素100および屈折率整合流体層252を取り除くことによって達成してもよい。次いで、図9bに示すように、広帯域紫外線光源12からのような非コヒーレントな化学線の放射またはその均等物を用いて、図5dに関して説明したように、第2のホログラフィック記録フィルム要素を投光露光する。
【0044】
反射層246および寸法的に安定な支持体248が、その後に取り除かれる。図9cは、第2のホログラフィック記録フィルム要素200を、図5eに関して説明することができる炉14のような装置により加熱するもう1つの任意のステップを示している。この結果、図6および図7aに示す第2の体積ホログラフィック光学要素200が形成され、そこにおいて、非結像で未露光のホログラフィック記録フィルム層204′が、ミラーによりホログラフ的に結像し、任意で固定(投光露光)され、および任意で硬化さるホログラフィック記録フィルム層204になる。
【0045】
2.2 第2の要素200の第2の製造方法
第2の体積ホログラフィック光学要素200の第2の製造方法を、ここにおいて、第1のホログラフィックフィルム要素142により、別のもう一つの第2のホログラフィックフィルム要素200であるマスター201を用いることから説明する。まず、カバーシート144が、第1の非結像ホログラフィック記録フィルム要素104′の第1の面から取り除かれる。非結像ホログラフィックフィルム要素104′の第1の面は、寸法的に安定な基板216′に積層されている。寸法的に安定な基板216′は、第1の屈折率整合流体層254を介して反射防止板256に結合されている。第1のホログラフィック記録フィルム要素142の支持体146が取り除かれる。非結像ホログラフィックフィルム層104′のバリア層118は、第2の屈折率整合流体層258を介してマスター201の寸法的に安定な基板216に結合されている。マスター201のバリア層218は、光学的接着層260を介してハレーション防止層262に結合されている。この結果、図10aに示す積層構造が得られる。
【0046】
次に、光源16からのRGB光またはそれと同等の光が、順に、反射防止板256および非結像フィルム層104′を介して、マスター201のフィルム層204内の第1、第2および第3の画素体210、212、214の第1、第2および第3のミラーに向けられる。第1のミラーは、ハレーション防止層262を通過する第1の色(例えば赤)の光を通過させ、第2の色(例えば緑)の光および第3の色(例えば青)の光をフィルム層104′を介して反射して、反射した光がマスター201のフィルム層204内の第1のミラーに向けてフィルム層104′を通過する光と干渉するようにする。この干渉により、フィルム層104′にホログラフ的に結像されて、ホログラフィック記録フィルム層104′内の第1のミラーがコピーまたは再生される。第2のミラーは、ハレーション防止層262を通過する第2の色(例えば緑)の光を通過させ、第1の色(例えば赤)の光および第3の色(例えば青)の光をフィルム層104′を介して反射して、反射した光が、マスター201の第2のミラーに向けてフィルム層104′を通過する光と干渉するようにする。この干渉により、フィルム層104′に結像されて、第2のホログラフィック記録フィルム層104′内の第2のミラーがコピーまたは再生される。第3のミラーは、ハレーション防止層262を通過する第3の色(例えば青)の光を通過させ、第1の色(例えば赤)の光および第2の色(例えば緑)の光をフィルム層104′を介して反射して、反射した光が、マスター201の第3のミラーに向けてフィルム層104′を通過する光と干渉するようにする。この干渉により、フィルム層104′にホログラフ的に結像されて、第2のホログラフィック記録フィルム要素104′内の第3のミラーがコピーまたは再生される。この単一のホログラフ的結像ステップは、同時に、非結像ホログラフィック記録フィルム層104′を、ミラーでホログラフ的に結像されたホログラフィック記録フィルム層204を形成、コピーまたは再生する。なお、この場合、バリア層118は、バリア層218と同一若しくは実質的に同一であり、基板216′は基板216と同一または実質的に同一である。
【0047】
次いで、第2のホログラフィック記録フィルム要素200は、任意で硬化し、固定し、または露光して、全てのモノマーを実質的に重合させ、フィルム要素200にホログラフィックミラーを固定する。これは、反射防止板256、第1の屈折率整合流体層254、第2の屈折率整合流体層258、マスター201、光学的接着層260およびハレーション防止層262を取り除くことによって達成してもよい。次いで、図10bに示すように、広帯域紫外線光源12からのような非コヒーレントな化学線の放射又はそれに同等な光を用いて、図5dに関して説明したように、第2のホログラフィック記録フィルム要素200を投光露光する。
【0048】
図10cは、第2のホログラフィック記録フィルム要素200を、図5eに関して説明することができる炉14のような装置により加熱するもう一つの任意のステップを示している。この結果、図6および図7aに示す第2の体積ホログラフィック光学要素200が形成される。
【0049】
3.0 第3のホログラフィック光学要素300
図11は、本発明による第3の体積ホログラフィック光学要素300を示している。第3の体積ホログラフィック光学要素300は、第2の体積ホログラフィック光学要素200と同様に効果的に機能する。
【0050】
構造的には、第2の体積ホログラフィック光学要素200と同様に、第3の体積ホログラフィック光学要素300は、第1の複数の画素体310、第2の複数の画素体312および第3の複数の画素体314で構成される光硬化ホログラフィック記録フィルム要素302を有している。各第1の画素体310は、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射させる第1の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各第2の画素体312は、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射させる第2の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各第3の画素体314は、第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第1の色(例えば赤)の波長帯の光を反射させる第3の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。
【0051】
しかしながら、第2の体積ホログラフィック記録フィルム要素202とは異なり、第3の体積ホログラフィック記録フィルム要素302は、第1のホログラフィック記録層303、第2のホログラフィック記録層305および第3のホログラフィック記録層307で構成されている。さらに、図11について説明すれば、第3の体積ホログラフィック記録フィルム要素302は、好ましくは、順に、第1のバリア層309と、第1のホログラフィック記録層303と、第2のバリア層311と、第2のホログラフィック記録層305と、第3のバリア層313と、第3のホログラフィック記録層307とから構成されている。第3の体積ホログラフィック光学要素302は、さらに第3のホログラフィック記録層307に積層された寸法的に安定な基板316を有していてもよい。層315と319とを交換した実施例のように、他の同等なな実施例が存在する。
【0052】
図11に戻って説明すれば、第1の画素体310、第2の画素体312および第3の画素体314の各々は、第1の体積層(layer volume)315と、第2の体積層317および第3の体積層319を有している。第1の体積ホログラフィックミラーの各個は、第4の体積ホログラフィックミラーおよび第5の体積ホログラフィックミラーを有している。第4のミラーは、第1の色(例えば赤)の波長帯および第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射するように設けられている。第4のミラーは、第1の画素体310の第3の体積層319内にある。第5の体積ホログラフィックミラーは、第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射するように設けられている。第5のミラーは、第1の画素体310の第2の体積層317内にある。第2の体積ホログラフィックミラーの各個は、第4のミラーおよび第6のホログラフィックミラーの一つを有している。第4の体積ホログラフィックミラーは、第2の画素体312の第3の体積層319内にある。第6の体積ホログラフィックミラーは、第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を反射させるように設けられている。第6のミラーは、第2の画素体312の第1の体積層315内にある。第3の体積ホログラフィックミラーの各個は、第5のミラーおよび第6のミラーの一つを有している。第5の体積ホログラフィックミラーは、第3の画素体314の第2の体積層317内にある。第6のミラーは、赤を反射し、かつ他の色を反射するので、「R」で示されている。第5のミラーを持つ体積層は、緑を反射し、かつ他の色を反射するので、「G」で示されている。第6のミラーを持つ体積層は、青を反射し、かつ他の色を反射するので、「B」で示されている。
【0053】
第3の体積ホログラフィック光学要素300の操作または機能は、図11に示されている。特に、光源12は、第3の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素300にRGB光を与えるものとして示されている。矢印は、第1の画素体310が、第1の色(例えばR)の光を通過させ、第2および第3の(例えばGB)の光をRGB光の光源12等に向かって反射させることを示す。繰り返せば、光源12が、さらに他の色の波長帯も放射する場合には、こうした波長帯も、第3の体積ホログラフィック光学要素300を通過する。第3の体積ホログラフィック光学要素300も、光源12の位置が第3の体積ホログラフィック光学要素300もいずれの側に有るかに関わらず同様に機能する。
【0054】
3.1 第3の要素300の第1の製造方法
図12は、第3の光硬化ホログラフィック光学要素300の製造に用いることができる第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素342を示している。第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素342は、順に、第1のバリア層309、第1の非結像ホログラフィック記録層303′、第2のバリア層311、第2の非結像ホログラフィック記録層305′、第3のバリア層313、第3の非結像ホログラフィック記録層307′および寸法的に安定な基板316で構成されている。第1、第2および第3のホログラフィック記録層303′,305′,307′の各々は完全に感応性となっている。
【0055】
第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素342が、図9a〜cに関して説明した方法において、非結像ホログラフィック記録フィルム層204′、およびフィルム層204′の両側に積層された寸法的に安定な基板216およびバリア層218の代わりに用いられる場合、第3の体積ホログラフィック光学要素300は、(第2の体積ホログラフィック記録フィルム要素200が図6a、図7に示すように形成されるようにではなく)図11に示したように形成される。これが、第3の体積ホログラフィック光学要素300の第1の製造方法である。
【0056】
3.2 第3の要素300の第2の製造方法
さらに、第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素342が、図10a〜cに関して説明した方法において、第1の光硬化性ホログラフィック記録フィルム層104′、バリア層118および寸法的に安定な基板216の代わりに用いられる場合、第3の体積ホログラフィック光学要素300は(第2の体積ホログラフィック光学要素200が図6および図7に示すように形成されるのではなく)図11に示したように形成される。これが、第3の体積ホログラフィック光学要素300の第2の製造方法である。
【0057】
4.0 第4のホログラフィック光学要素400
第4の体積ホログラフィック光学要素400は、第4の体積ホログラフィック光学要素400が波長選択性(すなわち完全に感応性ではない)のホログラフィック記録層で形成されている以外は、第3の体積ホログラフィック光学要素300と構造的、機能的に同一である。
【0058】
4.1 第4の体積ホログラフィック光学要素400
図13aは、第4の体積ホログラフィック光学要素400の製造方法に用いる第1のホトマスクまたはフィルタ層464のパターンを示している。パターンは、第1の複数の画素466と、第2の複数の画素468および第3の複数の画素470を有する二次元配列である。各第1の画素466内の「R」の文字は、この画素466が赤の光のみを通過させることを示している。各第2の画素468内の「G」の文字は、この画素468が緑の光のみを通過させることを示している。各第3の画素470内の「B」の文字は、この画素470が青の光のみを通過させることを示している。図13aは、二つの例外を除き第1のホトマスクまたはフィルタ層464とと同様の第2のホトマスクまたはフィルタ層472のパターンを示している。特に、画素の配列は、以下の二つの列の反復パターンを持つことができる。
【0059】
【表1】

【0060】
さらに、第2のフィルタ472において、各画素は、第1、第2および第3の波長帯の光に対して実質的に透過性の縁(border)474により包囲されている。この縁は、この領域に第おける1、第2および第3の波長帯を反射するホログラフィックミラーを記録しないことによって形成することができる。これは、第2のフィルタ472の形成において、ホトグラフィック結像放射が、縁において放射によるホログラムの記録を阻止するホトマスクを通過することを要求することによって達成される。使用可能な適当なフィルタの一つは、慣用のLCD製RGBフィルタとして使用されるものである。
【0061】
図14a〜cに関して、第4の体積ホログラフィック光学要素400の製造方法を、第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442を用いて説明する。第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442は、以下の点を除いて、図12に示す第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素342と同一である。すなわち、第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442内において、第1の非結像ホログラフィック記録層403′が第1の色(例えば赤)の波長帯に対して感光性を持つようにのみ実質的に増感されており、第2の非結像ホログラフィック記録層405′が第2の色(例えば緑)の波長帯に対して感光性を有するようにのみ実質的に増感されており、第3の非結像ホログラフィック記録層407′が第3の色(例えば青)の波長帯に対して感光性を有するようにのみ実質的に増感されている点である。
【0062】
第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素440の第1のバリア層409は、寸法的に安定な支持体448にコーティングされた反射層446に積層されている。反射層は、アルミニウム等の反射性金属または他の反射性材料であってよい。第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442の寸法的に安定な基板416は、屈折率整合流体層454によってフィルタ層464に結合されている。
【0063】
次いで、図14aに示されているように、化学線の放射は、光源18からフィルタ層464および第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442を経て反射層446に向けて照射される。反射層446は、第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素442を通して、光を反射する。これによって、フィルム要素442が化学線の放射に結像するように露光されて、選択された第1の体積層315、第2の体積層317および第3の体積層319内のモノマーを重合させて、露光された体積層をホログラフ的に不活性化する。さらに詳細には、フィルタ層464の「R」と表示された画素を通過する化学線放射は、第1の色(例えば赤)の波長帯のみを通過させる。第1のフィルム層403′のみが、第1の色(例えば赤)の波長帯に対する感度を与えられている。従って、「R」と表記されたフィルタ層の画素の下の第1の記録フィルム層403′中の第1の体積層315が、ホログラフ的に不活性となる。「G」と表記されたフィルタ層の画素を通過する化学線放射は、第2の色(例えば緑)の波長帯のみを通過する。第2のフィルム層405′のみが、第2の色(例えば緑)の波長帯に対して感度を有している。従って、「G」と表記されたフィルタ層の画素の下の第2のフィルム層405′中の体積層317が、ホログラフ的に不活性となる。「B」と表記されたフィルタ層の画素を通過する化学線放射は、第3の色(例えば青)の波長帯のみを通過させる。第3のフィルム層407′のみが、第3の色(例えば青)の波長帯に対して感度を有している。従って、「B」と表記されたフィルタ層の画素の下の第3のフィルム層407′中の体積層319が、ホログラフ的に不活性となる。
【0064】
その後に、フィルタ層464および屈折率整合流体層454が取り除かれる。次いで、図14bに示したように、例えば光源16またはこれと均等な光源からのような、コヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光は、順に、フィルム要素442を経て反射層446に照射される。反射層446は、フィルム要素442を経て光を反射して、反射した光が、光源からの直接光と干渉するようにする。この干渉によって、フィルム要素442がホログラフ的に結像して多層の第4の体積ホログラフィック光学要素400を形成する。さらに詳細には、ホログラフィックミラーが、全ての他の波長帯を通過させる第1の層403′の非不活性の第1の体積層315を形成し、そこにおいて、ミラーが第1の色(例えば赤)の波長帯を有する光を反射し、他の波長帯の全てを通過させる。ホログラフィックミラーが、第2の層405′の非不活性な体積層317を形成し、そこにおいてミラーが第2の色(例えば緑)の波長帯を有する光を反射し、全ての他の波長帯を通過させる。ホログラフィックミラーが、第3の層407′の非不活性な体積層319を形成し、そこにおいて、ミラーが第3の色(例えば青)の波長帯を有する光を反射し、全ての他の波長帯を通過させる。これにより、同時に、第1の層403′、第2の層405′および第3の層407′にホログラフ的に結像して、それぞれ結像された層403、405および407を形成する。
【0065】
次いで、反射層446および寸法的に安定な支持体448を取り除く。第4のホログラフィック記録フィルム要素400は硬化が不要である。図14cは、図5eに関して説明された第4のホログラフィック記録フィルム要素400を加熱するもう一つの任意のステップを示している。
【0066】
5.0 第5のホログラフィック光学要素500
図15には、本発明による第5の体積ホログラフィック光学要素500を示している。第5のホロ体積グラフィック光学要素500は、第2の体積ホログラフィック光学フィルム要素200と同様に効果的に機能する。
【0067】
構造的には、第2の体積ホログラフィック光学要素200と同様に、第5の体積ホログラフィック光学要素500は、第1の複数の画素体510と、第2の複数の画素体512と、第3の複数の画素体514とによって構成される光硬化ホログラフィック記録フィルム要素502を有している。各個の第1の画素体510は、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射する第1の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各個の第2の画素体512は、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射する第2の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各個の第3の画素体514は、第3の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも第1の色(例えば緑)の波長帯および第2の色(例えば青)の波長帯の光を反射する第3の体積ホログラフィックミラーを含んでいる。
【0068】
第2の体積ホログラフィック記録フィルム要素200とは異なり、第5の体積ホログラフィック記録フィルム要素502は、第1のホログラフィック記録層503および第2のホログラフィック記録層505のみを有している。さらに、第5体積のホログラフィック記録フィルム要素502は、好ましくは、順に、第1のバリア層509と、第1のホログラフィック記録層503と、第2のバリア層511と、第2のホログラフィック記録層505で構成される。第5の体積ホログラフィック光学要素502は、さらに、第2のホログラフィック記録層505に積層された寸法的に安定な基板516を有していてもよい。
【0069】
各個の第1の画素体510、第2の画素体512および第3の画素体514は、第1の体積層515と第2の体積層517で構成される。各第1の体積ホログラフィックミラーは、第4の体積ホログラフィックミラーと第5の体積ホログラフィックミラーで構成される。第4のミラーは、第1の色(例えば赤)の波長帯および第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、第3の色(例えば青)の波長帯の光を反射するように設けられている。第4のミラーは、第1の画素帯510の第1の体積層515内にある。第5の体積ホログラフィックミラーは、第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯の光を通過させ、第2の色(例えば緑)の波長帯の光を反射するように設けられる。第5のミラーは、第1の画素体510の第2の体積層517に設けられている。第2の体積ホログラフィックミラーの各個は、第4のミラーの1つおよび第6の体積ホログラフィックミラーの一つで構成される。第4のミラーは、第2の画素体512の第2の体積層517内に設けられる。第6の体積ホログラフィックミラーは、第3の色(例えば緑)の波長帯および第2の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、第1の色(例えば赤)の波長帯の光を反射させるように設けられる。第6のミラーは、第2の画素体512の第1の体積層515内に設けられる。各第3の体積ホログラフィックミラーは、第5のミラーの一つおよび第6のミラーの一つで構成される。第5のミラーは、第3の画素体514の第2の体積層517内に設けられる。第6のミラーは、第3の画素体514の第1の体積層515内に設けられる。第4のミラーを有する体積層は、赤を反射して他の光を通過させるので「R」で示される。第5のミラーを有する体積層は、緑を反射して他の光を通過させるので「G」で示される。第6のミラーを有する体積層は、青を反射して他の光を通過させるので「B」で示される。
【0070】
第5の体積ホログラフィック光学要素500の操作および機能は、図15に示されている。特に、光源2は、第5の光硬化ホログラフィック記録フィルム要素500に向けてRGB光を供給するように示されている。矢印は、第1の画素体510が第1の色(例えばR)の光を通過させ、第2および第3の色(例えばGB)の光をRGB光源2へ反射することを示している。重ねていえば、光源2が他の波長帯も放射する場合、こうした波長帯も、第3の体積ホログラフィック光学要素500を通過する。第5の体積ホログラフィック光学要素500も、光源2が第3の体積ホログラフィック光学要素500のいずれの側に位置するかに関わらず同様に機能する。
【0071】
5.1 第5の要素500の第1の製造方法
図16は、第5の光硬化ホログラフィック光学要素500の製造において用いることができる第5の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素542を示している。第5の光硬化性ホログラフィック記録要素542は、順に、第1のバリア層509と、第1の非結像ホログラフィック記録層503′と、第2のバリア層511と、第2の非結像ホログラフィック記録層505′と、寸法的に安定な基板516で構成される。第1のホログラフィック記録層503′は、少なくとも第1の色(例えば赤)の波長帯と第3の色(例えば青)の波長帯に感度を与えられている。第1のホログラフィック記録層503′は、第2の色(例えば緑)の波長帯に対して感度を有しないか、若しくは第1の色(例えば赤)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯に対して与えられているよりも大幅に小さい感度を第2の色(例えば緑)の波長帯に関して与えられている。第2のホログラフィック記録層505′は、少なくとも第2の色(例えば緑)の波長帯と第3の色(例えば青)の波長帯に感度を与えられている。第2のホログラフィック記録層505′は、第1の色(例えば赤)の波長帯に対して感度を有しないか、若しくは第2の色(例えば緑)の波長帯および第3の色(例えば青)の波長帯に対して与えられているよりも大幅に小さい感度を第1の色(例えば赤)の波長帯に関して与えられている。
【0072】
第5の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素542が、図9a〜cに関連して示された方法において、非結像ホログラフィック記録フィルム層204′およびフィルム層204′の両側に積層された寸法的に安定な基板216とバリア層218とに代えて用いられた場合、第5の体積ホログラフィック光学要素は、(第2の体積ホログラフィック光学要素が図6および7aに示されるようにして形成されるのではなく)図15に示されるようにして形成される。これが、第5の体積ホログラフィック光学要素500の第1の製造方法である。
【0073】
5.2 第5の要素500の第2の製造方法
さらに、第5の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素542が、図10a〜cに関して示された方法において第1の光硬化性ホログラフィック記録フィルム層104′、基板216およびバリア層118に代えて用いられた場 合、第5の体積ホログラフィック光学要素は、(第2の体積ホログラフィック光学要素200が図6および7aに示されたようにして形成されたのではなく)図15に示された方法で形成されている。これは、第5の体積ホログラフィック光学要素の第2の製造方法である。
【0074】
6.0 第6のホログラフィック光学要素600
第6の体積ホログラフィック光学要素600は、第6の体積ホログラフィック光学要素600が完全に増感されたホログラフィック記録層で形成されていることを除き、第5の体積ホログラフィック光学要素500と構造的および機能的に同様である。
【0075】
6.1 第6の要素600の製造方法
第6の体積ホログラフィック光学要素600の製造方法を、層が200台の数字ではなく600台の数字で示され、かつフィルム層が605′で示されている以外は、第2の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素242と同一の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素から説明する。まず、カバーシート644は、非結像ホログラフィックフィルム層605′の第1の表面から除去する。フィルム層605′の第1の面は、寸法的に安定な基板616に積層される。寸法的に安定な基板616は、屈折率整合流体層692を介して、第1のホトマスク層672によってコーティングされた寸法的に安定な基板682に結合される。この結果、図17aに示される積層構造が得られる。
【0076】
次に、光源10からの第3の色のコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光、または、それに同等な光は、順に、第1のホトマスク層672および第2の光硬化ホログラフィック記録フィルム層605′を経て反射層646に照射される。反射層646は、光をフィルム層605′に向かって反射させて、反射した光が、フィルム層605′を通過して反射層246へ向かう光と干渉するようにする。この干渉は、青色の光により、フィルム層605′にホログラフ的に結像させ、または結像するようにホログラフ的に露光して、第2の画素体610の第2の体積層617に第4の体積ホログラフィックミラーを記録する。
【0077】
図17bについて説明すれば、寸法的に安定な基板684にコーティングされた第2のホトマスク層674は、寸法的に安定な基板682上にコーティングされた第1のホトマスク層672に代えて用いられる。基板684は、屈折率整合流体層694を介して基板616に結合される。次いで、光源8からのような第2の色のコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光は、順に、第2のホトマスク層674およびフィルム層605′を経て反射層246に照射される。反射金属層246は、光をフィルム層605′に向かって反射させて、反射した光が、フィルム層605′を通過して反射層246の向かう光と干渉するようにする。この干渉は、緑色の光によりホログラフ的に結像し、または結像するようにホログラフ的に露光されて、第1の画素体610および第3の画素体614の第2の体積層617に第4の体積ホログラフィックミラーを記録する。これにより、非結像フィルム層605′の結像フィルム層605への変換が完了する。
【0078】
次いで、第2のホトマスク層674、その寸法的に安定な基板684および屈折率整合流体層694を除去することができる。この結果得られた積層体は、任意で硬化または固定されて、全てのモノマーを実質的に重合し、積層体中にホログラフィックミラーを固定する。図17cに示すように、光源12からの放射光のように非コヒーレントな化学線放射は、図5dに関連して示すように積層体を投光露光するのに用いられる。
【0079】
図17dについて説明すれば、寸法的に安定な基板686にコーティングされた第3のホトマスク層676は、屈折率整合流体層696を有する寸法的に安定な基板616に結合される。さらに、非結像で十分に増感されたホログラフィック記録フィルム層603′および第1のバリア層609は、第2のバリア層611と反射金属層246との間に配置される。次いで、光源10からの光のような第3の色のコヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光は、順に、第3のホトマスク層676、フィルム層605および非結像フィルム層603′を経て反射層246に照射される。反射層246は、光をフィルム層603′に向かって反射させて、反射した光が、フィルム層603′を通過して反射層246の向かう光と干渉するようにする。この干渉は、第3の色(例えば青)の光によりフィルム層603′にホログラフ的に結像するか、あるいは結像するように露光して、第1の画素体610の第1の体積層615に第4の体積ホログラフィックミラーを記録する。
【0080】
図17dについて説明すれば、寸法的に安定な基板688にコーティングされた第4のホトマスク層678は、屈折率整合流体層698を有する寸法的に安定な基板616に結合される。次いで、光源6からの光のように第1の色の光は、順に、第4のホトマスク層678、フィルム層605および第1のフィルム層603′を経て反射層246に照射される。反射層246は、光を第1のフィルム層603′に向かって反射させて、反射した光が、第1のフィルム層603′を通過して反射層246の向かう光と干渉するようにする。この干渉は、第1の色(例えば赤)の光により第1のフィルム層603′にホログラフ的に結像するか、あるいは結像するようにホログラフ的に露光して、第2の画素体612および第3の画素体614の第1の体積層615に第6の体積ホログラフィックミラーを記録する。
【0081】
次いで、第4のホトマスク層678、その寸法的に安定な基板688および屈折率整合流体層698を除去することができる。この結果得られた積層体は、任意で硬化または固定されて、全てのモノマーを実質的に重合し、積層体中にホログラフィックミラーを固定する。図17fに示すように、光源12からの放射光のように非コヒーレントな化学線放射は、図5dに関連して示すように積層体に投光露光するのに用いられる。
【0082】
図17gは、図5eに関して説明することができるもう一つの任意の積層加熱工程を示している。この結果、第6の体積ホログラフィック光学要素600が得られる。
【0083】
II. 材料および/または商業的利用性
寸法的に安定な基板116、124、216、224、316、416、516、616、682、684、686および688は、硬質の透明材料で形成されてもよく、好ましくはガラスまたはプラスチックで形成される。これらの基板のそれぞれは、同一または別異なものとすることができる。
【0084】
バリア層118、218、309、311、313、409、411、413、509、511、609および611は、任意であり、染料増感剤の層内拡散を防止するのに有用である。これが使用される場合、放射がそれらを経て行われる場合、透明であることが必要となる。これらバリア層の各々は、同一または別異なものとすることができる。こうしたバリア層は、透明のポリマーで形成することができ、好ましくはポリビニルアルコール(PVA)で形成される。
【0085】
カバーシート144、244は、使用準備までのフィルム層を保護するために機能する。これらのカバーシートは、一般に、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムとすることができる。
【0086】
非結像および未露光のホログラフィックフィルム層104′、204′、303′、305′、307′、403′、405′、407′、503′、505′、603′および605′は、光硬化性または感光性材料で形成される。これらの層の各々は、特に特定されていない限りは、同一または別異なものとすることができる。ホログラムは、露光の際に光学濃度ではなく変動する屈折率の空間的パターンを生成する材料に記録される。ホログラフィック的な記録材料は、エル.ソリマー(L. Solymer)およびデイ.ジェイ.コック(D. J. Cook)の体積ホログラフィーおよび体積グレーチング、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1981年、第10章254〜304頁;およびダブリュー.ケイ.スモザース(W. K. Smothers)、ビイ.エム.モンロー(B. M. Monroe)、エイ.エム.ウェーバー(A. M. Weber) およびディ.イー.キーズ(D. E. Keys)のホログラフィーのための光重合体、SPIE Vol. 1212 、プラクティカル・ホログラフィーIV(1990年)等の多くの参考文献に記載されている。ホログラフィーにおける初期の開発に関しては、イー.エヌ.リース(E. N, Leith) およびジェイ.ウパトニークズ(J. Upatnieks)のサイエンティフィク・アメリカ、212(6)、24〜35(1965年6月)に記載されている。ホログラフィーの有用な考察は、シー.シー.ゲスト(C. C. Guest) のインサイクロペディア・オブ・フィジカル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Encyclopedia of Physical Science and Technology), Vol .6 、507〜519、アール.エイ.マイヤース(R. A., Myers),Ed 、アカデミック・プレス、オーランド、フロリダ、1987年のホログラフィーの項に示されている。本発明において使用される好ましい記録材料は、光重合性組成物、重クロム酸塩化ゼラチン(dichromated gelatin)およびハロゲン化銀乳濁液である。
【0087】
光重合性組成物は、ハウ(Haugh)に付与されたアメリカ特許
第3,658,526号、チャンドロス(Chandross)に付与されたアメリカ特許第3,993,485号およびフィールディング(Fielding)に付与されたアメリカ特許第4,535,041号および第4,588,664号に示されている。好適な光重合性組成物は、キーズ(Keys)に付与されたアメリカ特許第4,942,102号、モンロー(Monroe)に付与されたアメリカ特許
第4,942,112号、スモザース(Smothers)に付与されたアメリカ特許第4,959,284号、トロウト(Trout)に付与されたアメリカ特許
第4,963,471号、スモザースに付与されたアメリカ特許
第5,236,808号、スモザースに付与されたアメリカ特許
第5,256,520号、さらにアメリカ特許出願第08/146,817号および第08/146,816号に開示されている。好適な記録フィルム要素において使用される組成物は、乾燥塗膜である。
【0088】
本明細書を通して使用される「十分に増感された(感度を与えられた)
(fully sensitized)」とは、材料が、光の可視範囲の全体を含む約400〜約700ナノメータの波長の光に対して感光性であることを意味する。なお、十分に増感されたホログラフィック材料、および十分に増感されていない、あるいは波長に選択的に増感されたホログラフィック材料の製造方法については、アメリカ特許第4,917,977号参照。さらに、光増感剤の使用を開示する以下の関連特許および、より最近のスモザースに付与されたアメリカ特許第5,204,467号、スモザースに付与されたアメリカ特許
第5,236,808号、スモザースに付与されたアメリカ特許
第5,256,520号を参照。
【0089】
寸法的に安定な支持体146、248、448は、放射が該支持体を通過して行われる場合には、透明であることが必要である。支持体146の好適な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースおよびポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムである。
【0090】
反射防止板148、156は、結像光の背面反射を防止するように機能し、ニューメキシコ州アルバカーキのCVI・レーザ・コーポレーション(CVI Laser Corporation)より市販されている。
【0091】
ホトマスク層150、672、674、676、678は、層を通過する全ての光を遮断するように機能し、ガラス上にパターニングされたクロムまたはハロゲン化銀で形成することができる。あるいはまた、結像のための放射は、ハーフトーンまたは連続階調の透明性(transparency)を介して行われる。結像のための照射の他の手段は、吸収性フィルタ等の透過性装置を介しての露光および、走査型レーザ、電子ビーム等を用いた露光を含んでいる。
【0092】
屈折率整合流体層152、154、252、254、258、454、692、694、696、698は、好ましくは炭化水素であり、最も好ましくはペンシルバニア州19399、サウスウエスタンのケミセントラル・コーポレーション(Chemcentral Corporation)から入手可能イソパー(Isopar)(登録商標)Lおよびニュージャージー州シーダーグローヴのアール.ピイ.カージル・ラボラトリーズ、インク(R.P. Cargille Laboratories, Inc.)から入手可能なカージル・エイエル.(Cargille Al) 59である。
【0093】
光学的接着層260は、適当な層間の屈折率整合で隣接する層を接着するように機能する。好ましい、光学的接着材料は透明であり、ポリウレタンおよびニュージャージー州08902、ニュー・ブランズウイックのノーランド・プロダクツ, インク.(Norland Products, Inc.)より市販されている独自の製品を包含する。
【0094】
ハレーション防止層262は、光を吸収し、背面反射を防止するように機能する。好適なハレーション防止層は、フロートガラス上の黒スプレー塗膜またはデラウエア州ウイルミントンのイー・アイ・デュポン・デ・ヌムール・アンド・カンパニー(E. I. du Pont de Nemours & Company)から市販されているクロナー(Chronar)(登録商標)等の高吸収性フィルム上に黒のスプレー塗膜である。
【0095】
III.実施例
本発明の有利な特性は、以下の実施例を参照して観察することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。これらの実施例において、特段のことわりがない限り、部およびパーセントは重量部および重量パーセントである。実施例を通して使用される語および略語は、以下の用語解説に示されている。
【0096】
用語解説
DE(%) パーセントで表現された回折効率;DE(%) = Idif/I0 x 100 ここでIdifは化学線放射の回折ビームの強さ、I0はフィルムサンプルにおける吸収およびフィルムサンプルから外れる偽反射を補正した入射ビームの強さ、

FC-430 Fluorad (登録商標)FC-430; フッ化脂肪族高分子エステル
(fluoroaliphatic polymeric esters);CAS 11114-17-3; スリーエム・カンパニー、ミネソタ州セント・ポール、

GA2-レッド OmniDex (登録商標) GA2-レッド・カラー・チューニング・フィルム(color tuning film) (CTF) ;イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、デラウエア州ウイルミントン、DE;OmniDex (登録商標)イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーの登録商標

イソパー(Isopar)(登録商標)L 脂肪族炭化水素製品;エクソン・カンパニー(Exxon Company), テキサス州ヒューストン

JAW シクロペンタノン, 2,5−ビス[2、3,6,7−テトラヒドロ−1H, 5H−ベンゾ[i,j]キノリジン−9−イル)メチレン]−

MMT 4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾル−3−チオール;CAS24854−43−1

マイラー(Mylar) (登録商標)フィルム ポリエチレンテトラフタレート・フィルム;イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーの登録商標

NVC N−ビニルカルバゾール;9−ビニルカルバゾール;
CAS 1484−13−5

フォトマー(Photomer ) (登録商標)4039 フェノールエトキシレートモノアクリレート;CAS 56641−05−5;ヘンケル・プロセス・ケミカル・カンパニー(Henkel Process Chemical Company) 、ペンシルバニア州アンブラー

PI-B 4,5−ジフェニル−1−[4,5−ジフェニル−2−(2,3,5−トリクロロフェニル)−2H−イミダゾル−2−イル]−2−(2,3,5−トリクロロフェニル)−1H−イミダゾル

PVA ポリ(ビニルアルコール)

サルトマー(Sartomer) 349 エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート; CAS 24447−78−7;サルトマー・カンパニー(Sartomer Company)、ペンシルバニア州ウエスト・チェスター

SD-A 3−[(1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6キノリニル)メチレン]−2,3−ジヒドロ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン;CAS 75535−23−8

SD-B 2,4−ビス[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−8−メチル−8−アザビサイクロ[3.2.1]オクタン−3−オン;CAS 154482−35−6

SD-C 1−エチル−2−[[3−[(1−エチル−1,3−ジヒドロ−5−メトキシ−3,3−ジメチル−2H−インドール−2−イリデン)メチル]−2−ヒドロキシ−4−オクソ−2−シクロブテン−1−イリデン]メチル]−5−メトキシ−3,3−ジメチル−3H−インドリウム水酸化物内部塩;
CAS コンピュータファイル(STNインターナショナル)には存在せず

スポット# 本明細書の実施例において結像されたHRFの(数字で特定された)部分/画素/領域

TFE テトラフルオロエチレン

TMPTMA トリメチロールプロパントリメタクリレート

VAc ビニルアセテート

VOH ビニルアルコール

(λ)max (nm) ホログラフィックミラーからの伝達スペクトルからの最大解析効率(DE (%))を示す化学線放射の波長
【0097】
実施例1
本実施例は、高効率体積ホログラフィック光学要素および多色ホログラフィックフィルタに対して要求される、単一のホログラフィック光重合体層における離れた領域における高効率の単色のミラーの記録能力を示すものである。
【0098】
本実施例において使用されるホログラフィック(光重合体)記録フィルムを調製するために、66.0重量%のテトラフルオロエチレン/ビニルアセテート(TFE/VAc)バインダ共重合体(19.4モル%のTFE と80.6モル%のビニルアセテートを含有し、30℃で計測した1.48デシリットル/グラムの固有粘性を有する)、21.0重量%のフォトマー(登録商標)4039 、6.0重量%のNVC 、3.0重量%のサルトマー 349、3.0重量%のPI-B、1.0重量%のMMT 、0.22重量%のFC-430、0.075重量%のJAW および0.034重量%SD-Cを19:1のジクロロメタン/メタノール中に含有するコーティング溶液を調製した。
【0099】
この溶液は、ウエブコーティング装置を用いて31ft/min(15cm/sec)の速度で50μmのマイラー(登録商標)のベースシートに押出ダイコーティングされた。溶媒は、コーティングされたフィルムを三つの区画の乾燥機(three zone drier)に通すことによって蒸発させた。第1の区画は華氏120度(49℃)であり、第2の区画は華氏140度(60℃)であり、第3の区画は華氏160度(71℃)であった。23μmのマイラー(登録商標)(ポリエチレンテレフタレートフィルム)のカバーシートは、乾燥機から搬出されながら被膜に積層された。ホログラフィック光重合体の乾燥した被膜の厚さは、23μmのMylaマイラー(登録商標)のカバーシートと50μmのマイラー(登録商標)のベースシート間で、20μmであった。カバーシートが光重合体から取り除かれ、粘性のある光重合体が100mm×125mm×3.2mmのフロートガラスの一部に積層された。余分のフィルムは切り落として、積層されたフィルムをガラス基板の縁部に適合させた。ベースシートは、後続の処理の間、そのままの状態に保持された。ベース/ホログラフィック光重合体およびガラス板の構造を、結像プレート(imaging plate) と呼ぶ。結像プレートのフィルム側は、反射防止(AR)板に、イソパー(登録商標)L(エクソン社製)を用いて結合して、フィルムとAR板の屈折率を良好に整合した。結像プレートの反対側には、アルミニウム製前面鏡が、同じ屈折率整合流体を用いて結合された。重ね合わせられたプレートに圧力が負荷されて、薄く、均一な屈折率整合流体層が形成された。重ね合わせられたプレートは、次いで、結像ステージ上の公知のプレートホルダに載置され、30秒以上の間定着された。
【0100】
458nmでの放射を有するアルゴンイオンレーザ、ダイオードによってポンピングされ(diode-pumped)周波数を倍増された532nmでの放射を持つYAGレーザ、および647nmの放射を持つクリプトンイオンレーザが、適当なダイクロイックミラーによって慣用の方法で組み合わされて、3色のビームを形成する。この3色のレーザビームは、無色の光学系を通過して、拡張された平行な3色ビームを形成する。(3色ビーム中において利用可能な三つの波長の一つの色の波長によって、各個の領域(スポットまたは画素)に像を形成するために)シャッターを設けて、各色を別々に導入することを可能にする。結像プレートは、結像ステージ(imaging stage) 上で回転して、3色のレーザビームの方向が結像スタック(imaging stack) に対して垂直になるようにした。
【0101】
フィルム面に対して垂直に向けられた平行な単色レーザビームで露光し、順に反射防止板、イソパー(登録商標)L層、ベースシート、ホログラフィック光重合体、ガラス板およびイソパー(登録商標)L層を通過し、ついで、ミラーから外れてそれ自体に向かって反射させることによって、三つの像形成波長のそれぞれにおける四つのホログラフィックミラーが形成され、それらのホログラフィックミラーのそれぞれは別の領域(スポットまたは画素)に配置される。647nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは、100mJ/cm2 であった。532nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは20mJ/cm2 であった。468nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは10mJ/cm2 であった。同一の結像条件を用いて、プレート上にそれぞれ四つの20mm径の領域の組を形成した。結像プレートは、各露光後にフィルムプレートの非結像領域に移動され、次の露光の前に30秒間定着された。結像後に、ARプレート、前面ミラーおよびイソパー(登録商標)L層が除去された。
【0102】
結像プレートは、120秒間ドーシット(Douthitt)DCOP−X露光ユニット(ドーシット・コーポレーション(Douthitt Corp.)、ミシガン州デトロイト)に搭載されたTheimer-Strahler #5027水銀アークランプ(イクスポージャー・システム・コーポレーション(Exposure Systems Corp.)、コネチカット州ブリッジポート)からの紫外光および可視光により全体が露光された。結像プレートは、強制送風対流式炉で2時間120℃で加熱することにより熱処理された。
【0103】
ホログラフィックミラーの透過スペクトルが、ホログラフィックフィルム面に対して垂直に向けられたサンプルビームを用いて標準の複光束分光計(Perkin-Elmer model Lambda-9) によって記録された。その結果は、表1に示されており、単一のホログラフィック光重合体層中の異なるスポット(領域または画素)に、三つの異なった波長(448、522および635nm)において、単一の波長を持つ高効率のホログラフィックミラーが形成されていることを示している。
【0104】
【表2】

【0105】
実施例2
本実施例は、3色ホログラフィック光学要素の結像、および三つの像形成波長のうちの一つを遮断し、他の二色を複写フィルムに通過させ、該複写フィルム上に記録することを可能とするように設計されたホログラフィック光学要素を通しての3色の像形成を示している。
【0106】
本実施例において使用するホログラフィック(光重合体)記録フィルムを調製するために、66.0重量%のテトラフルオロエチレン/ビニルアセテート(TFE/VAc)バインダ共重合体(20.0モル%のTFEおよび80.0モル%のビニルアセテートを含有し、30℃で計測した固有粘度が1.45デシリットル/グラムである)、21.0重量%のフォトマー(登録商標)4039、6.0重量%のNVC、3.0重量%のサルトマー349、3.0重量%のPI-B、1.0重量%のMMT、0.22重量%のFC-430、0.080重量%のSD-A、0.060重量%のSD-Bおよび0.020重量%SD-Cを19:1のジクロロメタン/メタノール中に含有するコーティング溶液を調製した。この溶液は、ウエブコーティング装置を用いて約31ft/min(15cm/sec)の速度で50μmのマイラー(登録商標)ベースシートに押出ダイコーティングされた。溶媒は、コーティングされたフィルムを三つの区画の乾燥機に通すことによって蒸発させた。第1の区画は華氏120度(49℃)であり、第2の区画は華氏140度(60℃)であり、第3の区画は華氏160度(71℃)であった。23μmのマイラー(登録商標)(ポリエチレンテレフタレートフィルム)のカバーシートが、被膜上に、乾燥機から搬出しながら積層した。乾燥した被膜の厚さは20μmであった。
【0107】
カバーシートが光重合体から取り除かれ、粘性のある光重合体が100mm×125mm×3.2mmのフロートガラスに積層された。余分のフィルムは切り落として、積層されたフィルムがガラス基板の縁部に適合するようにした。ベースシートは、後続の処理の間、そのままの状態に保持された。ベース/ホログラフィック光重合体およびガラス板の構造を、結像プレートと呼ぶ。結像プレートのフィルム側は、イソパー(登録商標)L(エクソン社製)を用いて反射防止(AR)板に結合して、フィルムとAR板の屈折率を良好に整合させた。結像プレートの反対側には、アルミニウム製前面鏡が、同じ屈折率整合流体を用いて表面に結合された。重ね合わせられたプレートに圧力が負荷されて、薄く、均一な屈折率整合流体層が形成された。重ね合わせられたプレートは、次いで、結像ステージ上の慣用のプレートホルダに載置され、30秒以上の間定着された。
【0108】
458nmの放射を有するアルゴンイオンレーザ、576nmの放射を有する色素レーザおよび647nmの放射を持つクリプトンイオンレーザが、適当なダイクロイックミラーによって慣用の方法で組み合わされて、3色のレーザビームを形成する。この3色のビームは無色の光学系を通過して、拡張された平行な3色ビームを形成する。シャッターを設けて、各色を別々に導入することを可能とする。結像プレートは結像ステージ上で回転して、3色のレーザビームの方向がは、結像スタックに対して垂直になるようにする。
【0109】
フィルム面に対して垂直に向けられた平行な単色レーザビームで露光し、順に反射防止板、イソパー(登録商標)L層、ベースシート、ホログラフィック光重合体、ガラス板およびイソパー(登録商標)L層を通過させ、次いで、ミラーから外れてそれ自体に向かって反射させることによって、各像形成波長における四つのホログラフィックミラーが形成された。647nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは、35.4mJ/cm2であった。576nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは、17.7mJ/cm2であった。458nmで結像されたホログラフィックミラーの露光エネルギーは、12.5mJ/cm2であった。同一の結像条件を用いて、プレート上にそれぞれ四つの20mm径の領域の組を形成した。結像プレートは、各露光後にフィルプレートの非結像領域に移動され、次の露光の前に30秒間定着された。結像後に、ARプレート、前面ミラーおよびイソパー(登録商標)L層が除去された。
【0110】
結像プレートは、120秒間ドーシットDCOP−X露光ユニット(ドーシット・コーポレーション(Douthitt Corp.)、ミシガン州デトロイト)に搭載されたTheimer-Strahler #5027水銀アークランプ(イクスポージャー・システム・コーポレーション(Exposure Systems Corp.)、コネチカット州ブリッジポート)からの紫外光および可視光により全体が露光された(約150mJ/cm2 )。結像プレートは、強制送風対流式炉で2時間120℃で加熱することにより熱処理された。
【0111】
ホログラフィックミラーの透過スペクトルが、ホログラフィックフィルム面に対して垂直に向けられたサンプルビームを用いて標準の複光束分光計(Perkin-Elmer model Lambda-9) によって記録された。その結果は、表2に示されている。
【0112】
【表3】

【0113】
表2に示された要素を用い、上記と同じパイロットコーティング装置上の23μmのマイラー(登録商標)のカバーシートと50μmのマイラー(登録商標)のベースシートとの間に20μmの厚さでコーティングされたホログラフィック光重合体が再度用いられた。光重合体からカバーシートが除去され、粘性の光重合体が、100mm×125mm×3.2mmのフロートガラスの一部に積層された。余分のフィルムは切り落として、積層されたフィルムがガラス基板の縁部に適合するようにした。ベースシートは、後続の処理の間、そのままの状態に保持された。ベース/ホログラフィック光重合体およびガラス板の構造を、結像プレートと呼ぶ。結像プレートのフィルム側は、イソパー(登録商標)L(エクソン社製)を用いてパターンが形成されたホログラフィックフォトマスクのガラス面のに結合して、屈折率を良好に整合させる。反射防止板は、パターン形成されたホトグラフィックフォトマスクのフィルム側と結合させて取り付ける。結像プレートの反対側には、アルミニウム製前面鏡が、同じ屈折率整合流体を用いて結合された。重ね合わせられたプレートに圧力が負荷されて、薄く、均一な屈折率整合流体層が形成された。重ね合わせられたプレートは、次いで、結像ステージ上の慣用のプレートホルダに載置され、30秒以上の間定着された。
【0114】
458nmでの放射を有するアルゴンイオンレーザ、576nmでの放射を有する色素レーザおよび647nmでの放射を持つクリプトンイオンレーザが、適当なダイクロイックミラーによって慣用の方法で組み合わされて、3色のレーザビームを形成する。この3色のビームは、無色の光学系を通過して、拡張された平行な3色ビームを形成するシャッターを設けて、各色を別々に導入することを可能とした。結像プレートは、結像ステージ上で回転して、3色のレーザビームの方向が、結像スタックに対して垂直になるようにした。
【0115】
フィルム面に対して垂直に向けられた単色レーザビームで露光し、順に反射防止板、イソパー(登録商標)L層、ベースシート、パターニングされたホログラフィックホトマスクのホログラフィック光重合体層、ガラス板、イソパー(登録商標)L層、ベースシート、結像プレートの未露光ホログラフィック光重合体およびIsopar(登録商標)L層を通過させ、次いでミラーから外れてそれ自体に向かって反射させることによって、各像形成波長における12のホログラフィックミラーが形成された。パターニングされたホログラフィックホトマスクに入射する3色ビームの露光エネルギーは、647nmで27mJ/cm2であり、576nmで13.5mJ/cm2であり、458nmで9.5mJ/cm2である。同一の結像条件を用いて、プレート上にそれぞれ四つの20mm径の領域の組を形成した。結像プレートは、露光後に移動させて、パターニングされたホログラフィックフォトマスクの非結像領域およびフィルムプレートの非結像領域と並べ、次の露光の前に30秒間定着させた。結像後に、ARプレート、前面ミラーおよびイソパー(登録商標)L層が除去された。
【0116】
結像プレートは、120秒間ドーシットDCOP−X露光ユニット(ドーシット・コーポレーション(Douthitt Corp.)、ミシガン州デトロイト)に搭載されたTheimer-Strahler #5027水銀アークランプ(イクスポージャー・システム・コーポレーション(Exposure Systems Corp.)、コネチカット州ブリッジポート)からの紫外光の可視光により全体が露光された(約150mJ/cm2 )。結像プレートは、強制送風対流式炉で2時間120℃で加熱することにより熱処理された。
【0117】
ホログラフィックミラーの透過スペクトルが、ホログラフィックフィルム面に対して垂直に向けられたサンプルビームを用いて標準の複光束分光計(Perkin-Elmer model Lambda-9) によって記録された。その結果は、表3に示されている。スポット1ないし4は、562nmおよび446nmで高い回折効率を示して、633nmで低い回折効率を示さねばらなない。633nmにおいて測定可能な回折効率があるが、これは、表2のスポット1ないし4に示されたように、この波長におけるパターニングされたホログラフィックホトマスクの幾分低い回折効率によるものであると解釈される。スポット5ないし8は、633nmおよび446nmで高回折効率を示し、563nmで低い回折効率を示さねばならない。これは、明らかに証明されている。スポット9ないし12は、633nmと563nmにおいて高い回折効率を示し、446nmにおいては、回折効率を全く示してはならない。繰り返すが、この条件は、明らかに証明されている。
【0118】
【表4】

【0119】
IV.概説
広義において、体積ホログラフィック光学要素のそれぞれは、ここに、光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素を具える体積ホログラフィック光学要素として記載されている。光硬化ホログラフィック記録フィルム要素は、少なくとも第1の複数の画素体および第2の複数の画素体で構成されている。たとえばLCD装置のようなある特定の用途に関して、第1の画素体と第2の画素体は、縦横(列と行)に配置される。各個の第1の画素体は、少なくとも1種の第1の色(例えば赤)の波長帯の光を通過させ、少なくとももう1種の色(例えば緑)の波長帯の光を反射する体積ホログラフィックミラーを含んでいる。各個の第2の画素体は、少なくとも上記もう1種の色(例えば緑)の波長帯の光を通過させ、少なくとも上記1種の色(例えば赤)の波長帯の光を反射する体積ホログラフィックミラーを含んでいる。
【0120】
上記の本発明の技術の恩恵を受ける当業者は、種々の改変が可能である。これらの改変は、添付の請求の範囲に述べた本発明の範囲内に包含されると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】光源からの光を濾波(filtering)している本発明の第1の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図2】液晶ディスプレイ装置において多色反射フィルタとして使用されている上記第1の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図3】第1の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素を示す図である。
【図4】上記第1の体積ホログラフィック光学要素の製造に用いることができるホトマスクを示す図である。
【図5a】は、フィルム要素にホログラフ的に像を形成してフィルム要素中に第1の複数のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図5b】は、フィルム要素にホログラフ的に像を形成してフィルム要素中に第2の複数のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図5c】フィルム要素にホログラフ的に像を形成してフィルム要素中に第3の複数のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図5d】ホログラフィック記録フィルム要素の硬化を示す図である。
【図5e】ホログラフィック記録フィルム要素の加熱を示す図である。
【図6】は、光源からの光を濾波している本発明の第2の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図7a】液晶ディスプレイ装置の多色透過フィルタとして使用される上記第2の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図7b】典型的な多色液晶ディスプレイ光源のための波長に対する相対スペクトル電力を示すグラフである。
【図8】第2の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素を示す図である。
【図9a】上記第1のホログラフィック光学要素を用いてフィルム要素にホログラフ的に像を形成して、該フィルム要素中に複数の第1、第2および第3のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図9b】図9aのホログラフィック記録フィルム要素の硬化を示す図である。
【図9c】図9bのホログラフィック記録フィルム要素の加熱を示す図である。
【図10a】第2のホログラフィック光学要素を用いてフィルム要素にホログラフ的に像を形成して、該フィルム要素中に複数の第1、第2および第3のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図10b】図10aのホログラフィック記録フィルム要素の硬化を示す図である。
【図10c】図10bのホログラフィック記録フィルム要素の加熱を示す図である。
【図11】光源からの光を濾波する第1のホログラフィック層、第2のホログラフィックおよび第3のホログラフィック層を有するホログラフィック記録フィルム要素を備えた本発明の第3の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図12】第3の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素を示す図である。
【図13a】上記第3の体積ホログラフィック光学要素の製造に使用可能な第1のフィルタを示す図である。
【図13b】上記第3の体積ホログラフィック光学要素の製造に使用可能な第2のフィルタを示す図である。
【図14a】フィルム要素を像を形成するように露光して、選択された第1の体積層(layer volumes) 、第2の体積層および第3の体積層をホログラフ的に不活性にすることを示す図である。
【図14b】上記フィルム要素にホログラフ的に像を形成して、該フィルム要素中に複数の第1、第2および第3のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図14c】上記ホログラフィック記録フィルム要素の加熱を示す図である。
【図15】光源からの光を濾波する第1のホログラフィック層および第2のホログラフィック層を有するホログラフィック記録フィルム要素を備えた本発明の第4の体積ホログラフィック光学要素を示す図である。
【図16】第4の光硬化性ホログラフィック記録フィルム要素を示す図である。
【図17a】上記第1のホログラフィック層にホログラフ的に像を形成して、第1のホログラフィック層中に第3のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図17b】上記第1のホログラフィック層にホログラフ的に像を形成して、第1のホログラフィック層中に第2のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図17c】上記第1のホログラフィック層の硬化を示す図である。
【図17d】上記第2のホログラフィック層にホログラフ的に像を形成して、第1のホログラフィック層中に第3のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図17e】上記第2のホログラフィック層にホログラフ的に像を形成して、第1のホログラフィック層中に第1のホログラフィックミラーを記録することを示す図である。
【図17f】上記第4の体積ホログラフィック光学要素の硬化を示す図である。
【図17g】上記第4の体積ホログラフィック光学要素の加熱を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数の画素体、第2の複数の画素体および第3の複数の画素体で構成された光硬化ホログラフィック記録フィルム要素を具える体積ホログラフィック光学要素であって、
前記第1の画素体の各個が、第1の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第2の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第1の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、第2の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第2の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第3の画素体の各個が、第3の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第2の色の波長帯の光を通過させる第3の体積ホログラフィックミラーを具えることを特徴とする体積ホログラフィック光学要素。
【請求項2】
反射型液晶ディスプレイ装置において、順に、
第1の偏光を持つ周辺光を通過させるための第1の光偏光子と、
一連のセルを通過する光の偏光を選択的に変化させて、第1の組、第2の組または第3の組のセルを通過する光の偏光を第2の偏光となるようにするための液晶ディスプレイ要素と、
前記第2の偏光を持つ前記液晶ディスプレイ要素からの光を通過させるための第2の光偏光子と、
第1の複数の画素体、第2の複数の画素体および第3の複数の画素体で構成されたホログラフィック多色反射フィルターとを具え、
前記第1の画素体の各個が、第1の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第2の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第1の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、第2の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第2の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第3の画素体の各個が、第3の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第2の色の波長帯の光を通過させる第3の体積ホログラフィックミラーを含んでおり、
(1)液晶ディスプレイ要素が第1の組のセルを通過する光の偏光を第2の偏光に変化させる場合には、光が第2の偏光子を通過して第1の画素体に入射し、そこにおいて、第1の体積ホログラフィックミラーが第1の色の波長帯の光を観察者に向かって反射し、(2)液晶ディスプレイ要素が第2の組のセルを通過する光の偏光を第2の偏光に変化させる場合には、光が第2の偏光子を通過して第2の画素体に入射し、そこにおいて、第2の体積ホログラフィックミラーが第2の色の波長帯の光を観察者に向かって反射し、(3)液晶ディスプレイ要素が第3の組のセルを通過する光の偏光を第2の偏光に変化させる場合には、光が第3の偏光子を通過して第3の画素体に入射し、そこにおいて、第3の体積ホログラフィックミラーが第3の色の波長帯の光を観察者に向かって反射するようにしたことを特徴とする反射型液晶ディスプレイ装置。
【請求項3】
第1の複数の画素体、第2の複数の画素体および第3の複数の画素体を具えるホログラフィック記録フィルム要素を具え、
前記第1の画素体の各個が、第1の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第2の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第1の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第2の画素体の各個が、第2の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第3の色の波長帯の光を通過させる第2の体積ホログラフィックミラーを含み、
前記第3の画素体の各個が、第3の色の波長帯の光を反射させ、少なくとも第1の色の波長帯および第2の色の波長帯の光を通過させる第3の体積ホログラフィックミラーを含む体積ホログラフィック光学要素を製造する方法であって、
(A)コヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光によって前記ホログラフィック記録フィルム要素をホログラフ的に露光して、前記第1の画素体に前記第1の体積ホログラフィックミラーを記録する工程と、
(B)コヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光によって前記ホログラフィック記録フィルム要素をホログラフ的に露光して、前記第2の画素体に前記第2の体積ホログラフィックミラーを記録する工程と、
(C)コヒーレントまたは実質的にコヒーレントな光によって前記ホログラフィック記録フィルム要素をホログラフ的に露光して、前記第3の画素体に前記第3の体積ホログラフィックミラーを記録する工程と
を具えることを特徴とする体積ホログラフィック光学要素を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【図17f】
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【図17g】
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【公開番号】特開2008−107843(P2008−107843A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335388(P2007−335388)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【分割の表示】特願平8−502205の分割
【原出願日】平成7年6月2日(1995.6.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】