説明

液晶ディスプレイ用のアモルファスポリマーを有する多層光学補償膜

LCDs用の多層光学補償器は、ポリマーで構成される一層以上の第1層及び、ポリマーで構成される一層以上の第2層を有する。第1層は、-0.01より大きく、0.01より小さな面外複屈折率(Dnth)を有するポリマーを有する。第2層は、-0.01より大きく、0.01より小さな面外複屈折率(Dnth)を有するアモルファスポリマーを有する。多層補償器の全面内リターデーション(Rin)は、20nmより大きく、多層補償器の面外リターデーション(Rth)は、-20nmより大きく、20nmより小さい。一層以上の第1層の面内リターデーション(Rin)は、多層補償器の全面内リターデーション(Rin)の30%以下である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ用の多層光学補償器に関する。本発明はまた、そのような補償器及び、当該補償器を用いた液晶ディスプレイの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は電子ディスプレイに広く利用されている。これらのディスプレイシステムでは、一般的には、液晶セルが一対の偏光子とアナライザとの間に設けられている。偏光子によって偏光された入射光は液晶セルを通過し、液晶の分子配向の影響を受ける。液晶の分子配向は電圧印加によって変化することが可能である。上述の影響で変化した光はアナライザへ向かう。この原理を用いることで、周辺光を含む外部光源からの透過光を制御することが可能となる。この制御を実現するのに必要なエネルギーは一般的に、陰極管(CRT)のような他のディスプレイに使用される発光材料に必要なエネルギーよりもはるかに小さい。従って、液晶技術は、多数の電子画像装置に用いられている。そのような装置には、デジタル時計、電卓、ノートパソコン及び、電子ゲームが含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの装置では、軽量、低消費電力及び長動作時間が重要な特性となる。
【0003】
コントラスト、色再現性及び安定したグレイスケール強度は、液晶技術を用いる電子ディスプレイにとって重要な属性である。液晶ディスプレイ(LCD)のコントラストを制限する主要な要因は、暗いつまり“黒い”画素状態の液晶素子つまりセルに光が“漏れる”ことである。さらに、漏れ、つまり液晶ディスプレイのコントラストはまた、ディスプレイスクリーンを見る方向にも依存してしまう。典型的には、最適コントラストは、ディスプレイに対する法線入射を中心とする、狭い視野角内でのみ実現され、視野方向がディスプレイ法線から離れるにしたがってコントラストは急激に減少する。カラーディスプレイでは、漏れの問題は、コントラストを劣化させるだけではなく、色再現性の劣化につながる、色つまり色相シフトを引き起こしてしまう。
【0004】
LCDsは、オフィス又は家庭用デスクトップコンピュータのモニタとして、CRTに代わるものとして急速に普及している。また、大きなスクリーンサイズを有するLCDテレビモニタの台数が近い将来急激に増加することも予想されている。しかし、色相シフト、コントラスト劣化及び明るさ反転のような視野角依存性に関する問題が解決されない限り、従来のCRTに代わる物としてのLCDの用途は限定されてしまう。
【特許文献1】米国特許公開第6108058号明細書
【特許文献2】特開1999-95208号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2001/0026338号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0086033号明細書
【特許文献5】特開2002-210766号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第10/631152号明細書
【特許文献7】米国特許公開第6152345号明細書
【特許文献8】米国特許公開第6108930号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
垂直配向液晶ディスプレイ(VA-LCD)は、法線入射光に対して極端に高いコントラストを供する。図2A及び図2Bは、オフ状態201及び、オン状態203でのVA液晶セルの概略図である。OFF状態では図2Aに図示されているように、液晶の光学軸205は、基板207に対してほとんど垂直である。電圧を印加すると図2Bに図示されているように、光学軸205は、セル法線から傾斜する。OFF状態では、光は法線方向209において複屈折を示さず、直交する偏光子の状態に近い、暗い状態を与える。しかし、斜めに伝搬する光211はリターデーションを起こし、それによって光が漏れる。この結果、ある視野角範囲でのコントラストが劣悪になってしまう。
【0006】
光学補償ベンド液晶ディスプレイ(OCB-LCD)とも呼ばれる、ベンド配向ネマティック液晶ディスプレイは、対称性を有するベンド状態に基づいたネマティック液晶セルを利用する。実際の動作においては、ベンド配向ネマティック液晶セルを用いたディスプレイの明るさは、図3A(OFF)301及び図3B(ON)303で図示されているように、セル内部でのベンド配向の程度を変化させる印加電圧つまり電場によって制御される。両方の状態において、液晶の光学軸305は、セル中心面307の周りで対称性を有するベンド状態をとる。ON状態では、光学軸は、セル基板309近傍を除いたセル面に対して実質的に垂直となる。OCBモードは、液晶ディスプレイテレビ(LCD-TV)応用に適する速い応答速度を供する。OCBモードはまた、ツイステッド・ネマティック液晶ディスプレイ(TN-LCD)のような従来のディスプレイよりも優れた視野角特性(VAC)をも有する。
【0007】
上述の二モードは、従来のTN-LCDよりも優れているので、LCD-TVのような高性能用途において有力となることが予想される。しかし、OCB及びVA-LCDsの実用には、VACを最適化させるための光学補償手段が必要となる。両モードにおいても、液晶及び交差する偏光子が複屈折を起こすため、VACは、ディスプレイを斜めから見たときのコントラスト劣化に悩まされる。二軸膜の利用によって、OCB(特許文献1)及びVA-LCDs(特許文献2)を補償することが示唆された。両モードでは、液晶はON状態(OCB)又は、OFF状態(VA)でのセルの面に十分垂直に配向する。この状態は正のRthを与えるので、満足の行く光学補償を実現するために、補償膜は十分大きな負のRthを有しなければならない。大きなRthを有する二軸膜が必要であるというのは、スーパー・ツイステッド・ネマティック液晶ディスプレイ(STN-LCD)についでも同じである。
【0008】
OCB、VA及びSTNのようなLCDモードを補償するのに適する十分な負の値を有する二軸膜の製造方法が複数提案されてきた。
【0009】
特許文献3は、リターデーションを増大させる物質をトリアセチルセルロース(TAC)と組み合わせて利用することについて開示している。リターデーションを増大させる物質は、少なくとも二のベンゼン環を有する芳香族化合物から選択される。そのようなリターデーションを増大させる物質をドープしたTACを伸張させることで、Rth及びRinを生成することが可能となる。この方法の問題は、ドープする物質の量である。Rth及びRinの増加という所望の効果を起こすには、意図しない着色又は、ドープする物質のLCD内の他の層への移動(拡散)を引き起こす恐れがあるほどの量の物質をドープする必要がある。その結果、Rth及びRinの損失及び、これらに近接する層への望ましくない化学的影響が生じる恐れがある。この方法では、Rth及びRinの値を各独立に制御するのは難しい。
【0010】
Sasaki他は、正の複屈折を有する熱可塑性基板上に設けられたコレステリック液晶の利用を提案した(特許文献4)。コレステリック液晶(CHLC)のピッチは、可視光の波長よりも短いため、適切に配向したCHLCは、負のRthを与える複屈折状態を示す。Rinは、熱可塑性基板の伸張程度を調節することで制御される。その方法によって、Rth及びRinを各独立して調節することが可能となる。しかし、短いピッチを有するCHLCの使用は、製造コストの増大となるだけではなく、配向過程のために、処理が複雑化してしまう。
【0011】
特許文献5は、プロピオン酸又はブチル酸で置換されたTACの使用について開示している。これらの置換されたTACは、通常のTACよりも高い複屈折性を示す。よって、置換されたTAC膜を二軸で伸張させることによって、Rin及びRthが発生する。その方法は、付加的なコーティング又は層を必要としないが、Rin及びRthを各独立して制御することが困難であることに悩まされる。
【0012】
よって解決すべき問題は、製造が十分可能でかつ、Rth及びRinを各独立に制御できる多層光補償器の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一層以上のポリマーで構成される第1層及び、一層以上のポリマーで構成される第2層を有する多層補償器を提供する。第1層は、-0.01より大きく、又は0.01より小さな面外複屈折率(Δnth)を有するポリマーを有する。第2層は、-0.01より小さく、又は0.01より大きな面外複屈折率を有するアモルファスポリマーを有する。多層補償器の全面内リターデーション(Rin)は20nmより大きく、面外リターデーション(Rth)は、-20nmより小さく、又は+20nmより大きい。一層以上の第1層の面内リターデーション(Rin)は、多層補償器の全面内リターデーション(Rin)の30%以下である
【実施例】
【0014】
本明細書では、以下の定義を適用する。
【0015】
光学軸とは、伝播する光が複屈折を示さない方向を意味する。
【0016】
ON及びOFF状態とは、液晶セルに対して電圧が印加されている状態及び、印加されていない状態をそれぞれ意味する。
【0017】
面内リターデーションRinは、図1の層101を例にとって説明すると、(nx-ny)dで定義される量で、nxはx方向での屈折率、nyはy方向での屈折率である。x軸は、xy平面において屈折率が最大となる方向とし、y方向はx軸に垂直な方向とする。よってRinは、常に正の値である。xy平面は、層の面103に平行である。dはz方向における層の厚さである。(nx-ny)の大きさは、面内複屈折率Δninを表す。面内複屈折率はまた、常に正の値を有する。以降で出てくるΔnin及びRinの値は、波長λ=550nmで与えられる。
【0018】
面外リターデーションRthは、図1の層101を例にとって説明すると、[nz-(nx+ny)/2]dで定義される量である。nzはz方向での屈折率である。[nz-(nx+ny)/2]dの大きさは面外複屈折率Δnthと呼ばれる。nz>(nx+ny)/2である場合、Δnthは正で、それに対応するRthも正である。nz<(nx+ny)/2である場合、Δnthは負で、それに対応するRthも負である。Δnth及びRthの値は、波長λ=550nmで与えられる。
【0019】
アモルファスとは、長距離秩序がないことを意味する。よって、アモルファスポリマーは、X線回折のような方法で測定されるときには長距離秩序を示さない。これは単なる例示だが、図6Aと図6Bとの特徴を比較することで示される。図6Aは、剛性棒状ポリマーの広角X線回折パターン(透過モード)を図示している。剛性棒状ポリマーとは特に、特許文献6で参照されるような、(BPDA-TFNB)0.5-(PMDA-TFMB)0.5ポリイミドである。図6Bは、本発明のアモルファスポリマーである、ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート)の広角X線回折パターン(透過モード)である。
【0020】
発色団とは、光吸収においてユニットの役目を果たす一の原子又は原子群を意味する(非特許文献1)。典型的な発色団の基には、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基(つまり、フェニール、ナフチル、ビフェニル、チオフェン、ビスフェノールのような芳香族複素環化合物基又は、炭素環芳香族基)、スルホン基及び、アゾ基又は上記基の組み合わせが含まれる。
【0021】
不可視発色団とは、400nm-700nmの範囲外で吸収が最大となる発色団を意味する。
【0022】
隣接とは、物質が互いに接触していることを意味する。二の隣接する層では、一の層が他の層と直接接触している。よって、コーティングによってポリマー層が形成される場合、基板及びポリマー層は隣接している。
【0023】
特許文献6では、実施例のうちの少なくとも一において、先に伸張されたポリマー支持層上にコーティングされたアモルファス層が供されていることを特徴とする多層光補償器について開示されている。支持層は、20nmより大きな面内リターデーションを発生させるように伸張される。
【0024】
本明細書で説明してきたように、本発明は、アモルファスポリマー層がポリマー支持体表面上にコーティングされた後、多層光補償器の二(又は全ての)層を少なくとも部分的に、同時に伸張させることを特徴とする。補償器が“湿った(wet)”状態にあるときに、伸張を起こすことができる。湿った状態とは、複数の層を同時堆積(又は一の層上に他の層をコーティング)した後及び、アモルファスポリマーの乾燥前(又は乾燥と同時)であるときの状態である。その代わりに、又はそれに加えて、“乾燥”伸張は、多層補償器を堆積させ、アモルファス層を乾燥させた後に起こすことができる。伸張は、横方向つまり膜の堆積方向と一致する方向で発生させることが可能である。あるいはその代わりに、又はそれに加えて、伸張は横方向と垂直な方向で発生させることも可能である。あるいはその代わりに、又はそれに加えて、伸張は横方向に対して斜めの方向(つまり対角方向)で発生させることもまた可能である。
【0025】
様々な液晶ディスプレイでは、完全なスクリーン系を実現するために視野角を最適化するため、偏光子の積層構造の複屈折率を調節することが望ましい。本発明の実施例に従った製造方法と特定のポリマーとを組み合わせることで、アモルファスポリマーの第2層(又は同時供給層)によって、トリアセチルセルロース(TAC)の基本シートを調節することが可能になる。TAC及び、第2層ポリマーの厚さは変化させることによって、光学特性の“調節が可能な”パッケージを供することが可能となる。湿った状態での伸張では、製造中にシートに加えられる応力によって、面内(x、y)リターデーションを制御することが可能で、第2層ポリマーの厚さによって、面外リターデーションを制御することが可能である。同様に、乾燥した状態での伸張では、製造後にシートに加えられる応力によって、面内(x、y)リターデーションを制御することが可能で、第2層ポリマーの厚さによって、面外リターデーションを制御することが可能である。このようなアモルファス層を使用することにより、経済的な方法で、有用なシートを単純な方法で作製できるようになる。
【0026】
多層光補償器は、相互の上部に密接に堆積された、二の押出成形ホッパーを用いることによって実現が可能となる。この場合では、二のポリマー溶液は、対になった、積層ホッパーのダイリップで一つになる。同時堆積物とは、単一ダイキャビティ中に二層のポリマー層で構成される積層構造である。流れ特性及び、ポリマーの粘性は、供給ブロックによって制御され、単一ダイ中に二の異なる層を形成する。この動作はまた、同一の堆積面上に、二の独立したホッパーで実行することも可能である。本目的は、TAC層(堆積面と対をなす)及び、第2層ポリマー(TAC上部に存在する)を形成することである。これにより、ポリマー間の最適な架橋が実現される。より優れた架橋が望ましい場合、TAC層と第2層との間の第3架橋層を堆積する代替方法がある。
【0027】
以降で詳述する実験では、四の第2層ポリマーがTAC(典型的には、2.86アセチル置換された、220000分子質量のポリマー)上に同時に堆積された。全てのポリマーは、塩化メチレン中又は、塩化メチレン及びメタノール溶液中で分解された。多層光補償器は、全長約3.1ミル(80μm)で製造された。機械のライン速度は、毎分1.22[m]から毎分1.83[m]の範囲で変化した。これにより、乾燥時間3分から4分の堆積表面が供される。堆積表面端部では、硬化膜は、(高研磨性)堆積表面から剥ぎ取られ、端部制限ベルトに送られる。端部ベルトは、二のエンドレスベルトであって、二のベルトが一緒になることで曲がりくねった経路を形成し、乾燥膜が二のベルト間に挟まれた状態となる。これらのベルトについては、特許文献7及び、特許文献8で説明されている。
【0028】
湿式(相当な量の溶媒が存在する状態)シートが端部ベルトにあるとき、加熱乾燥空気が、シート両面で送風される。空気を高温かつ高速で強制的に送風することで、急速な加熱及び乾燥を行う。強制空気乾燥が急速でかつ、温度がTg(シートと溶媒が1つになったときの温度)を超えない場合、横方向の応力が発生し、シート剥離で与えられる機械方向の応力が緩和される、又は横方向の応力が、機械方向の応力を超えて増大することで、二層シートを横方向で配向させる。これは、意図的、能動的に伸張させるための乾燥ではなく、ポリマーシートを乾燥させることで、単に収縮力を保持させるためである。上述の過程は、“受動的テンタリング”と呼ばれるべきものである。十分なエネルギーで加熱される場合、そのシートは、Tg(溶媒とポリマーとが混合した状態の)より高い温度をとることが可能な場合、乾燥及び、剥離応力を緩和することが可能である。この方法を利用することで、面内応力及び、リターデーションの大きさ及び配向を操作することが可能である。
【0029】
80μmのTACシートの面外リターデーション(Rth)は、約-80nmからアニール時の値である、約-40nmまで変化する。TACのRthは、制約を受けた加熱セクションでの表面堆積時間及び温度によって操作可能である。
【0030】
アモルファスポリマーの第2層は、その複屈折性を保持するために急速乾燥される必要がある。第2層は、TAC層上部に存在する揮発性溶媒から急速に乾燥される。乾燥TACシートからの溶媒は、第2層を、分子の緩和が可能なほど十分には柔らかくはしない。第2層ポリマーの厚さを変化させることで、多層補償器の光学特性を制御することが可能である。第2層アモルファスポリマーのRinは、(TACについて)前述した制約及び温度によって操作することが可能である。
【0031】
以降に示す表Aは、本発明の実施例に従って、同時堆積及び、湿った状態で伸張させることによって得られた光補償器の複屈折率について検討した実験結果を示している。第1試料は、TAC層のみで、第2層ポリマーはない。他の各試料は、下地であるTAC層上に第2層ポリマーを有する。全ての試料において、TAC層は、18.7質量%のTAC、73.2質量%の塩化メチレン及び、8.1質量%のメタノールで構成された。
【0032】
表Aは各試料について、下地であるTAC層の厚さ及び、第2層ポリマーの厚さを示している。各試料は、湿ったままの試料を端部制約ベルトに設け、プレナム熱を加えることで得られた。ベルトは、横方向での収縮に抵抗し、湿式の受動テンタリングを供する。試料のエアフロー温度についても示されている。堆積した状態での各試料の幅及び、湿式受動テンタリング後の各試料の幅が測定され、横方向に関するおおよその伸張の程度が計算された。
【0033】
表Aは、上述のプロセスの結果である、各試料の面内リターデーション及び、面外リターデーションを図示している。これらのリターデーションは、エリプソメータ(モデルM2000V(登録商標)、ジェー・エー・ウーラム株式会社)によって波長550nmで測定された。これらの結果から明らかなように、面内リターデーション及び、面外リターデーションの大きさは、第2層の伸張及び厚さと相関する。
【0034】
【化1】

【0035】
【化2】

【0036】
【表1】

すでに乾燥した多層光補償器(80μmのTAC上に存在する1μmのウシゼラチン上に6μmのポリマーC)の伸張(“能動テンタリング”)によって、所望の大きさの面内異方性が発生することが、発明者らによって発見された。
【0037】
【化3】

よって面内異方性は、都合の良い温度でかつ、非常に低い引っ張り(2%〜12%)で実現された。以降に示す表Bは、負の面外複屈折率を有する多層光補償器の面外リターデーション及び面内リターデーションへの影響を及ぼす、伸張(%)及び温度の効果を図示している。これらのリターデーションは、エリプソメータ(モデルM2000V(登録商標)、ジェー・エー・ウーラム株式会社)によって波長550nmで測定された。二の第1層(ウシゼラチン及びTAC)がこの例では使用された。ウシゼラチンは、ねじれ制御層としての役割を果たす。第2層及び、ゼラチン層のTAC層への架橋は、加熱及び伸張後に格段に改善されることを明記する。それに加えて、この例における多層補償器は、60℃1000時間でかつ相対湿度90%のような条件でそのような補償器が経年劣化した後のRin及びRthに関する持続性を増大させたと思われる。
【0038】
【表2】

以降に示す表Cは、負の面外複屈折率を有する多層光補償器(80μmのTAC上に存在する1μmのウシゼラチン上に3.5μmのポリマーC)の面外リターデーション及び面内リターデーションへの影響を及ぼす、伸張(%)及び温度の効果を図示している。これらのリターデーションは、エリプソメータ(モデルM2000V(登録商標)、ジェー・エー・ウーラム株式会社)によって波長550nmで測定された。二の第1層(ウシゼラチン及びTAC)がこの例では使用された。ウシゼラチンは、ねじれ制御層としての役割を果たす。第2層及び、ゼラチン層のTAC層への架橋は、加熱及び伸張後に格段に改善されることを明記する。それに加えて、この例における多層補償器は、60℃を1000時間でかつ相対湿度90%のような条件でそのような補償器が経年劣化した後のRin及びRthに関する持続性を増大させたと思われる。
【0039】
表A、表B及び表Cにおいては、第2層及び、伸張(%)を変化させることで、広範囲にわたるRin及びRthの値を得ることができることに留意すべきである。
【0040】
【表3】

表Dは、負の面外複屈折率を有する多層光補償器(80μmのTAC上に存在する1μmのウシゼラチン上に3.6μmのポリマーD)の面外リターデーション及び面内リターデーションへの影響を及ぼす、伸張(%)及び温度の効果を図示している。これらのリターデーションは、エリプソメータ(モデルM2000V(登録商標)、ジェー・エー・ウーラム株式会社)によって波長550nmで測定された。
【0041】
【化4】

【0042】
【表4】

表B、表C及び表Dにおいては、Rthは本質的には第2層の厚さによって制御されること、及び、は本質的に引っ張り(extension)(%)/伸張(stretch)によって制御されることに留意すべきである。よって、Rth及びRinの値は、各独立した制御(結合していない)方法で得ることができる。
【0043】
後述する方法は、次に論じる多層補償器の製造を可能にする。つまり本発明は、一層以上のポリマーからなる第1層及び、一層以上のポリマーからなる第2層を有する多層補償器を供する。その多層補償器は、第1層は、-0.01より大きく、又+0.01よりも小さな面外複屈折率(Δnth)を有するポリマーを有し、第2層は、-0.01より小さく、又+0.01よりも大きな面外(Δnth)複屈折率を有するアモルファスポリマーを有することを特徴とする。多層補償器の全面内リターデーション(Rin)は20nmより大きく、当該多層補償器の面外リターデーションは、-20nmより大きく、又+20nmより小さい。ここで当該一層以上の第1層の面内リターデーション(Rin)は、当該多層補償器の全面内リターデーション(Rin)の30%以下である。任意で、二層以上の第1層及び、当該第2層が隣接している。
【0044】
第1層は、-0.01より大きく、又+0.01より小さな面外(Δnth)複屈折率を有するポリマー膜から構成される。そのようなポリマーの例には、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、フルオレン基を含有するポリアクリル酸塩及び、当業者に既知である他のポリマーが含まれる。
【0045】
第2層を組み合わせた厚さは、30μm未満が好ましく、1.0μmから10μmがより好ましく、2μmから8μmが最も好ましい。
【0046】
多層補償器の全面内リターデーション(Rin)は、21nmから200nmの範囲であることが好ましく、25nmから150nmの範囲であることがより好ましく、25nmから100nmの範囲であることが最も好ましい。
【0047】
第1層と第2層とを組み合わせた厚さは、200μm未満が好ましく、40μmから150μmがより好ましく、80μmから110μmが最も好ましい。
【0048】
多層光補償器の面外リターデーション(Rth)が-20nm未満である場合、少なくとも一の第2層はその主要部中に、非可視の発色団基を含むポリマーを有し、180℃より高温のTgを有する。ポリマーはその主要部中に、非可視の発色団を有して良い。非可視の発色団は、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、炭酸塩基、芳香族化合物基、スルホン基又は、アゾ基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基又はチオフェン基を含む。第2層に適するポリマーの例には、(1)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート)、(2)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラクロロビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(4)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン)-ビスフェノール-co-(2-ノルボニルイデン)-ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデン)-ビスフェノール-co-(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラブロモ)-ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(7)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート又は、(8)上記のポリマーのうちの二以上による共重合体が含まれる。
【0049】
多層補償器の面外リターデーション(Rth)が+20nmより大きい場合、少なくとも一層の第2層は、主要部外に不可視発色団基を有するポリマーを有し、160℃より高温のガラス転移温度(Tg)を有する。不可視発色団基は、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基、複素環若しくは炭素環芳香族基又はチオペン基を含んで良い。第2層のポリマーはその主要部中に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を含んで良い。第2層に適するポリマーの例には、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N-ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1-アセチルインダゾール-3-イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタリミドエチレン)、(G)ポリ(4-(1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2-ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2-ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2-フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3-(4-ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4-(4-ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4-シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、(O)ポリ(ペルフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4-ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5-ジイソプロピルスチレン)、及び(R)ポリ(2,4,6-トリメチルスチレン)又は、(S)上記のポリマーのうちの二以上による共重合体、が含まれる。
【0050】
ここで、図を参照する。図中には、本発明の様々な構成要素に番号が付され、当業者が本発明を実施できるように、本発明について説明する。特に図示又は説明のない構成要素は、当業者にとって周知の様々な形式の要素を用いて良い。
【0051】
図4A、図4B及び図4Cは、本発明に従った、典型的な多層光補償器の正面概略図である。当該多層光補償器は、-0.01より大きく、又+0.01より小さな面外(Δnth)複屈折率を有するポリマーA層及び、-0.01より小さく、又+0.01より大きな面外複屈折率を有するアモルファスポリマーB層を有する。図4Aの補償器401は、B層409がA層407上に設けられた構造を有する。A層407とB層409とは隣接する。図4Bの補償器403のように、一層のA層411上に二層のB層413、415を設けることも可能である。他の例である405では、一層のB層417が二層のA層419、421によって挟まれている。補償器405はたとえば、隣接するA層421及びB層417並びに、単一層であるA層419を積層することによって作製することが可能である。積層構造はB層417とA層419との界面で実現され、二の層である417及び419は、積層方法によって、隣接しても良いし、隣接しなくても良い。当業者は、より複雑な構造を思いつくだろう。
【0052】
図5Aに図示されたLCD501では、液晶セル503が偏光子505とアナライザ507との間に設けられている。偏光子509の透過軸とアナライザ511の透過軸とは、90±10°の角度をなすので、対をなす偏光子509とアナライザ511とは、“交差偏光子(crossed polarizer)”と呼ばれる。多層光補償器512は、偏光子505と液晶セル503との間に設けられている。多層光補償器512はまた、液晶セル503とアナライザ507との間に設けられても良い。図5Bで概略的に図示されているLCD513は、液晶セル503の両面に設けられた二の多層光補償器515、517を有する。図5Cは、反射型LCD519における多層光補償器の応用例である。液晶セル503は、偏光子505と反射板521との間に設けられている。図5Cでは、多層補償器523は、液晶セル503と偏光子505との間に設けられている。しかし、多層補償器523は、反射板521と液晶セル503との間に設けることも可能である。
【0053】
従来技術と比較して、本発明の実施例は、意図しない着色又は補償器へ拡散することでリターデーション損失及び/若しくは、意図しない化学的性質を引き起こす恐れのあるリターデーション増大物質を回避し、液晶化合物の使用及びその配向処理を必要せず、比較的薄い(<200μm)構造において増大した光補償を供し、並びに容易に製造できる。

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】厚さdの典型的な層を図示している。層の横にはx-y-z座標系を示している。
【図2A】VA液晶セルでの一般的なOFF状態を概略的に図示している。
【図2B】VA液晶セルでの一般的なON状態を概略的に図示している。
【図3A】OCB液晶セルでの一般的なOFF状態を概略的に図示している。
【図3B】OCB液晶セルでの一般的なON状態を概略的に図示している。
【図4A】本発明の多層光補償器の正面から見た概略図である。
【図4B】本発明の多層光補償器の正面から見た概略図である。
【図4C】本発明の多層光補償器の正面から見た概略図である。
【図5A】本発明の多層光補償器を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図5B】本発明の多層光補償器を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図5C】本発明の多層光補償器を有する液晶ディスプレイの概略図である。
【図6A】高秩序、つまり非アモルファス材料の透過モードにおける広角X線回折パターンを図示している。
【図6B】本発明のアモルファス材料の透過モードにおける広角X線回折パターンを図示している。
【符号の説明】
【0055】
101 膜
103 膜の面
201 OFF状態でのVA液晶セル
203 ON状態でのVA液晶セル
205 液晶の光学軸
207 液晶セルの基板
209 セルの法線方向を伝搬する光
211 斜め方向を伝搬する光
301 OFF状態でのOCB液晶セル
303 ON状態でのOCB液晶セル
305 液晶の光学軸
307 セル中間面
309 セル境界
401 多層光補償器
403 多層光補償器
405 多層光補償器
407 A層
409 B層
411 A層
413 B層
415 B層
417 B層
419 A層
421 A層
501 LCD
503 液晶セル
505 偏光子
507 アナライザ
509 偏光子の透過軸
511 アナライザの透過軸
512 多層光補償器
513 LCD
515 多層光補償器
517 多層光補償器
519 LCD
521 反射板
523 多層光補償器
nx x方向における屈折率
ny y方向における屈折率
nz z方向における屈折率
Δnth 面外複屈折率
Δnin 面内複屈折率
d 層又は膜の厚さ
Rth 面外リターデーション
Rin 面内リターデーション
λ 波長
Tg ガラス転移温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一層以上のポリマーからなる第1層及び、一層以上のポリマーからなる第2層を有する多層補償器であって:
前記第1層が、-0.01より大きく、又は+0.01より小さい面外(Δnth)複屈折率を有するポリマーを有する;
前記第2層が、-0.01より小さく、又は+0.01より大きい面外複屈折率を有するアモルファスポリマーを有する;
全面内リターデーション(Rin)が+20nmより大きく、かつ全面外リターデーション(Rth)が-20nmより小さく、又は+20nmより大きい;及び、
前記一層以上の第1層の面内リターデーション(Rin)は、前記の多層補償器の全面内リターデーションの30%以下である;
ことを特徴とする多層補償器。
【請求項2】
少なくとも二層が隣接することを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項3】
前記第1層及び前記第2層の全てが隣接することを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項4】
前記第2層の複数を組み合わせた厚さが30μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項5】
前記第2層の複数を組み合わせた厚さが1.0μmから30μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項6】
前記第2層の複数を組み合わせた厚さが2μmから8μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項7】
全面内リターデーション(Rin)が21nmから200nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項8】
全面内リターデーション(Rin)が25nmから150nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項9】
全面内リターデーション(Rin)が25nmから100nmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項10】
前記第1層と前記第2層とを組み合わせた厚さが200μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項11】
前記第1層と前記第2層とを組み合わせた厚さが40μmから150μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項12】
前記第1層と前記第2層とを組み合わせた厚さが80μmから110μmの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項13】
面外リターデーション(Rth)が-20nmより小さいことを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項14】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部中に不可視発色団基を含むポリマーを有し、かつ180℃より高温のTgを有することを特徴とする、請求項13に記載の多層補償器。
【請求項15】
少なくとも一層の第2層がその主要構成部中に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基若しくはアゾ基を含む不可視発色団基、フェニール基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基又はチオフェン基を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項13に記載の多層補償器。
【請求項16】
少なくとも一層の第2層が、(1)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート)、(2)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラクロロビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(4)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン)-ビスフェノール-co-(2-ノルボニルイデン)-ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデン)-ビスフェノール-co-(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラブロモ)-ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(7)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート又は、(8)上記のポリマーのうちの二以上による共重合体、を含む共重合体を有することを特徴とする、請求項13に記載の多層補償器。
【請求項17】
少なくとも一層の第1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン又は、フルオレン基を含有するポリアクリル酸塩を有するポリマーを有することを特徴とする、請求項13に記載の多層補償器。
【請求項18】
面外リターデーション(Rth)が+20nmより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の多層補償器。
【請求項19】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部外に不可視発色団を有するポリマーを有し、かつ160℃より高いガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項18に記載の多層補償器。
【請求項20】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部外に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項18に記載の多層補償器。
【請求項21】
前記不可視発色団基が、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニール基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基又はチオフェン基を含むことを特徴とする、請求項19に記載の多層補償器。
【請求項22】
前記不可視発色団基が、複素環芳香族基又は、炭素環芳香族基を含むことを特徴とする、請求項19に記載の多層補償器。
【請求項23】
少なくとも一層の第2層が、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N-ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1-アセチルインダゾール-3-イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタリミドエチレン)、(G)ポリ(4-(1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2-ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2-ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2-フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3-(4-ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4-(4-ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4-シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、(O)ポリ(ペルフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4-ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5-ジイソプロピルスチレン)、及び(R)ポリ(2,4,6-トリメチルスチレン)又は、(S)上記のポリマーのうちの二以上による共重合体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の多層補償器。
【請求項24】
少なくとも一層の第1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フルオレン基を含有するポリアクリル酸塩を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項23に記載の多層補償器。
【請求項25】
液晶セル;
前記セルの各面に一つずつ設置されている一対の交差偏光子;及び、
少なくとも一の請求項1に記載の補償器;
を有する液晶ディスプレイ。
【請求項26】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、面内スイッチングモードセル、又は光学補償されたベンド液晶セルであることを特徴とする、請求項25に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項27】
液晶セル;
少なくとも一の偏光子;
反射板;及び、
少なくとも一の請求項1に記載の補償器;
を有する液晶ディスプレイ。
【請求項28】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、面内スイッチングモードセル、又は光学補償されたベンド液晶セルであることを特徴とする、請求項27に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項29】
ポリマーを有する一層以上の第1層上を、溶媒中にアモルファスポリマーを有する、一層以上の第1層でコーティングする、又は前記第1層及び前記第2層を同時に堆積する工程;及び、
前記第1層及び、前記第2層を伸張させる工程;
を有し、前記工程により、
前記第1層が、-0.01より大きく、又は0.01より小さい面外(Δnth)複屈折率を有するポリマーを有する;
前記第2層が、-0.01より小さく、又は0.01より大きい面外複屈折率を有するアモルファスポリマーを有する;
前記多層補償器の全面内リターデーション(Rin)が+20nmより大きく、かつ前記多層補償器の全面外リターデーション(Rth)が-20nmより小さく、又は+20nmより大きい;及び、
前記一層以上の第1層の面内リターデーション(Rin)は、前記の多層補償器の全面内リターデーションの30%以下である;
となることを特徴とする、LCディスプレイ用補償器の作製方法。
【請求項30】
前記の伸張工程が、
前記第1層及び、前記第2層の少なくとも一面を保持する工程;及び、
加熱することによって、前記第1層及び、前記第2層を乾燥させる工程;
を有することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
加熱前に、前記第1層及び、前記第2層を乾燥させることで前記溶媒を除去する工程;及び、
それに続いて前記第1層及び、前記第2層を伸張させる工程;
をさらに有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記多層補償器の面外リターデーション(Rth)が-20nmより小さいことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部中に不可視発色団基を含むポリマーを有し、かつ180℃より高温のTgを有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部中に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基、アゾ基、フェニール基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基又はチオフェン基を含む不可視発色団基を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一層の第2層が、(1)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート)、(2)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデンビスフェノール)テレフタレート、(3)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラクロロビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(4)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン)-ビスフェノール-co-(2-ノルボニルイデン)-ビスフェノールテレフタレート、(5)ポリ(4,4’-ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-5-イリデン)-ビスフェノール-co-(4,4’-イソプロピルイデン-2,2’,6,6’-テトラブロモ)-ビスフェノールテレフタレート、(6)ポリ(4,4’-イソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート、(7)ポリ(4,4’-ヘキサフルオロイソプロピルイデン-ビスフェノール-co-4,4’-(2-ノルボニルイデン)ビスフェノール)テレフタレート-co-イソフタレート又は、(8)上記のポリマーのうちの二以上による共重合体、を含む共重合体を有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも一層の第1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フルオレン基を含有するポリアクリル酸塩を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記多層補償器の面外リターデーション(Rth)が+20nmより大きいことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部外に不可視発色団を有するポリマーを有し、かつ160℃より高いガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも一層の第2層が、その主要構成部外に、ビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、芳香族基、スルホン基又はアゾ基を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記不可視発色団基が、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボン酸基、フェニール基、ナフチル基、ビフェニル基、ビスフェノール基又はチオフェン基を含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記不可視発色団基が、複素環芳香族基又は、炭素環芳香族基を含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも一層の第2層が、(A)ポリ(4ビニルフェノール)、(B)ポリ(4ビニルビスフェニル)、(C)ポリ(N-ビニルカルバゾール)、(D)ポリ(メチルカルボキシフェニルメタクリルアミド)、(E)ポリ[(1-アセチルインダゾール-3-イルカルボニルオキシ)エチレン]、(F)ポリ(フタリミドエチレン)、(G)ポリ(4-(1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル)スチレン)、(H)ポリ(2-ヒドロキシメチルスチレン)、(I)ポリ(2-ジメチルアミノカルボニルスチレン)、(J)ポリ(2-フェニルアミノカルボニルスチレン)、(K)ポリ(3-(4-ビフェニル)スチレン)、(L)ポリ(4-(4-ビフェニル)スチレン)、(M)ポリ(4-シアノフェニルメタクリレート)、(N)ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、(O)ポリ(ペルフルオロスチレン)、(P)ポリ(2,4-ジイソプロピルスチレン)、(Q)ポリ(2,5-ジイソプロピルスチレン)、及び(R)ポリ(2,4,6-トリメチルスチレン)又は、(S) 上記のポリマーのうちの二以上による共重合体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも一層の第1層が、トリアセチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、フルオレン基を含有するポリアクリル酸塩を含むポリマーを有することを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
液晶セル;
前記セルの各面に一つずつ設置されている一対の交差偏光子;及び、
請求項29の方法によって作製された、少なくとも一の補償器;
を有する液晶ディスプレイ。
【請求項45】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、面内スイッチングモードセル、又は光学補償されたベンド液晶セルであることを特徴とする、請求項44に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項46】
液晶セル;
少なくとも一の偏光子;
反射板;及び、
請求項29に記載の方法によって作製された、少なくとも一の補償器;
を有する液晶ディスプレイ。
【請求項47】
前記液晶セルが、垂直配向セル、ツイステッド・ネマチックセル、面内スイッチングモードセル、又は光学補償されたベンド液晶セルであることを特徴とする、請求項46に記載の液晶ディスプレイ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2008−502000(P2008−502000A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515183(P2007−515183)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/017480
【国際公開番号】WO2005/121848
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】