説明

液晶光スイッチ

【課題】メンテナンスの手間が少なく、外部ノイズによる誤動作がなく、かつシステムコストが安価な監視システムに使用できる液晶光スイッチを提供する。
【解決手段】液晶光スイッチ6は、透明電極601,602が両面に備えられた液晶セル60と、第1のモジュール61と第2のモジュール62とからなる。透明電極601,602にはスイッチ(光信号開閉器駆動回路等)Sを介して、交流源(光電変換器等)ACが接続され、スイッチSの状態により光ファイバーを伝播する光信号を透過または遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視ホストから遠隔地にある油入変圧器等の被監視設備の状態(たとえば、絶縁油面の値、絶縁油温度の値)を監視する監視システムに使用できる液晶光スイッチに関し、具体的には、レーザ光の光伝送路上に、当該レーザ光を光電変換して得られた電力により駆動される光信号開閉器を設け、前記被監視設備が警告必要状態にあるときは光信号開閉器への駆動電力の供給を制御することで、監視ホスト側で被監視設備の異常等を知る監視システムに使用できる液晶光スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば、監視ホストから遠隔地にある、油入変圧器等の被監視設備の状態(たとえば、絶縁油面の値、絶縁油温度の値)を監視するための監視システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
この監視システムでは、監視ホストにより遠隔地の油入変圧器の状態を監視するもので、油入変圧器は、監視手段、絶縁油面の値を検出する油面センサ、絶縁油温度を検出する温度センサ、およびデータ伝送手段が備えられている。監視手段は、油面センサや温度センサから信号を取り込むことで変圧器の状態を監視し、この監視結果をデータ伝送手段が、監視ホストに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−196231公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記監視システムでは、監視結果の伝送路が電気信号ケーブルにより構成されるため、電気信号ケーブルへの雑音混入により集中監視装置では誤った監視結果を取得することがある。また、電気信号ケーブルは、落雷に弱く、また経時劣化も生じやすいため、メンテナンス等に手間がかかる。
【0006】
本発明の目的は、監視ホスト側から遠隔地にある油入変圧器等の被監視設備の状態(たとえば、絶縁油面や絶縁油温度)を監視できる、メンテナンスの手間が少なく、外部ノイズによる誤動作がなく、かつシステムコストが安価な監視システムに使用できる液晶光スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶光スイッチは、光信号を透過または遮断するものであって、
透明電極が両面に備えられた液晶セルと、
前記液晶セルに垂直な軸上に、前記液晶セルの一方側の、遠方から当該液晶セルに向けて順次配置された、
第1の光ファイバーコリメータレンズ、
第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズム、
前記第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズムからの2光路光の偏光を揃える第1の1/2波長板、および、
前記第1の1/2波長板の出力光の偏光向きと同一の偏光向きに配置された第1の偏光板、
を有する第1のモジュールと、
前記液晶セルに垂直な軸上に、前記液晶セルの他方側の、遠方から当該液晶セルに向けて順次配置された、
前記第1の偏光板に対し前記液晶セルの中心面に面対称に配置され、偏光方向が第1の偏光板と平行または90°異なる第2の偏光板、
前記第1の1/2波長板に対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2の1/2波長板、
前記第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズムに対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2のサバール板、複屈折板または偏光プリズム、および、
前記第1の光ファイバーコリメータレンズに対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2の光ファイバーコリメータレンズ、
を有する第2のモジュールと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムでは、レーザ光の光伝送路上に、当該レーザ光を光電変換して得られた電力により駆動される光信号開閉器を設け、前記被監視設備が警告必要状態にあるときは光信号開閉器への駆動電力の供給を制御し、監視ホスト側で被監視設備の異常等を知ることができるように構成した。したがって、電気信号ケーブルを使用する従来の監視システムに比べて、メンテナンスの手間が少なくなり、また外部ノイズによる誤動作を解消でき、さらにシステムを低コストで構築できる。
【0009】
本発明の液晶光スイッチは、光信号を透過または遮断するために、ネマチック液晶を用いているので、故障が皆無に近い光信号開閉器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は本発明の液晶光スイッチが使用できる第1発明の監視システムの一実施形態を示す構成図、(B)は強度変調レーザ光の一例を示す波形図である。
【図2】(A)は光電変換器の後段に液晶駆動に対応した周波数の電圧を発生させる発振器を設けた第1発明の他の実施形態を示す構成図、(B)はDCの強度変調レーザ光の一例を示す波形図である。
【図3】本発明の液晶光スイッチが使用できる第2発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明の液晶光スイッチが使用できる第3発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明の液晶光スイッチが使用できる第4発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
【図6】(A)は本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの実施形態の第1設計変更例を示す説明図、(A)は本発明の監視システムの実施形態の第2設計変更例を示す説明図である。
【図7】(A)は本発明の液晶光スイッチの一実施形態を示す構成図であり、(B)はコリメータレンズを省略して示した液晶光スイッチのON時の概念説明図、(C)はコリメータレンズを省略して示した液晶光スイッチのOFF時の概念説明図である。
【図8】本発明の液晶光スイッチ動作例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの第1発明の実施形態》
図1(A),(B),図2(A),(B)は第1発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
【0012】
図1(A)において、監視システム1は、レーザ光源101と、レーザ光源駆動回路102と、光分岐部103と、光信号開閉器104と、受光器105と、光電変換器106と、光信号開閉器制御回路107と、レーザ光検出回路108と、警告装置109とを備えている。
【0013】
本実施形態では、レーザ光源駆動回路102は、レーザ光源101を強度変調信号TSにより駆動し、レーザ光源101は波長λL、変調周波数fm(kHz,MHzのオーダ)の強度変調レーザ光を出力する。図1(B)に強度変調レーザ光の一例を示す(縦軸:パワー、横軸:時間)。
【0014】
光分岐部103は、レーザ光源101を始端とする光伝送路A1上に設けられ、光伝送路A1を2経路A2,A3に分岐している。なお、本実施形態および後述する他の実施形態および第2から第4発明の各実施形態(図3、図4および図5参照)、および設計変更例(図6参照)において、光伝送路は、光ファイバーにより構成される。
【0015】
光信号開閉器104は、光分岐部103により分岐された光伝送路A2上に設けられており、光電変換器106からの電力DPにより駆動される。
【0016】
受光器105は、光伝送路A2の終端に設けられている。
光電変換器106は、光分岐部103により分岐した他方の光伝送路A3の終端に設けられ、光信号開閉器104の駆動電力DP(本実施形態では、周波数fmの交流)を発生することができる。光信号開閉器104として、後述する液晶光スイッチ6(図7参照)を用いることができる。液晶光スイッチ6は、交流駆動されるので、電力DPがDC(強度変調がなされない場合、またはDCの強度変調がなされた場合)あるいは液晶を劣化させる程に低い周波数の電圧であるときは、図2(A)に示すように、光電変換器106の後段に、液晶駆動に対応した周波数fの電圧を発生させる光発振器OCを設けることができる。光発振器OCは、光電変換器106が生成する電力により駆動することができる。なお、図2(B)に、DC(fm=0)の強度変調レーザ光の一例を示す(縦軸:パワー、横軸:時間)。
【0017】
光信号開閉器104として、直流駆動される機械式スイッチ、電子式スイッチを用いる場合には、変調しない連続光をレーザ光源101より出力する。
【0018】
光信号開閉器制御回路107は、光電変換器106が発生する駆動電力DPの光信号開閉器104への供給を制御する。光信号開閉器制御回路107は、本実施形態では、油入変圧器Y(被監視設備)の油面センサに設けたスイッチとすることができる。
【0019】
光信号開閉器制御回路107は、光電変換器106から駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器104をOFF、駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器104をONとすることができる。また、光信号開閉器制御回路107は、光電変換器106から駆動電力DPを受けないときは光信号開閉器104をON、駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器104をOFFとすることができる。
【0020】
レーザ光検出回路108は、レーザ光源駆動回路102からの基準信号Refを参照して、受光器105が受光したレーザ光(強度変調光)をロックイン検出することで、検出精度を高めることができる。
【0021】
警告が必要な状態になったとき、光信号開閉器制御回路107によって光信号開閉器104が作動し、レーザ光検出回路108がレーザ光の有無を検出する。これによって警告装置109は、典型的にはディスプレイへの警告表示をし、あるいはスピーカから警告音声を出力する。
【0022】
本実施形態では、監視ホストXに、レーザ光源101、レーザ光源駆動回路102、受光器103、レーザ光検出回路108および警告装置109が備えられ、監視ホストXから遠隔地に、光分岐部103、光信号開閉器104、光電変換器106および光信号開閉器制御回路107が備えられている。
【0023】
光信号開閉器制御回路107は、油入変圧器Y(被監視設備)に設けられている。
光信号開閉器制御回路107は、油入変圧器Yが、警告必要状態にあるときは光信号開閉器104への駆動電力DPの供給を行わないようにし、警告装置109は前述したように警告を出力することができる。
【0024】
また、光信号開閉器制御回路107は、油入変圧器Yが、警告必要状態にあるときは光信号開閉器104への駆動電力DPの供給を行うようにし、警告装置109は前述したように警告を出力することができる。
なお、油入変圧器Yが警告必要状態にあるときとは、油入変圧器の絶縁油面が所定範囲内にないときあるいは油入変圧器の絶縁油温度が所定範囲内にないときである。
【0025】
光信号開閉器制御回路107が、油入変圧器Yの絶縁油の油面センサである場合には、当該油面センサはフロートスイッチとすることができる。この場合、絶縁油温度が所定の値を超えたときに油面センサがオンとなるように構成することもできるし、オフとなるように構成することもできる。
【0026】
光信号開閉器制御回路107が、油入変圧器Yの絶縁油の温度センサである場合には、当該スイッチをバイメタルスイッチとすることができる。この場合、絶縁油温度が所定の値を超えたときに温度センサがオンとなるように構成することもできるし、オフとなるように構成することもできる。
【0027】
《本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの第2発明の実施形態》
図3は第2発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
図3において、監視システム2は、レーザ光源201と、レーザ光源駆動回路202と、第1光分波器203と、光分岐部2041,2042と、光信号開閉器2051,2052と、光合波器206と、第2光分波器207と、受光器2081,2082と、光電変換器2091,2092と、光信号開閉器制御回路2101,2102と、レーザ光検出回路211と、警告装置212とを備えている。
【0028】
レーザ光源201は、波長λ1のレーザ光を発生する第1光源2011と、波長λ2のレーザ光を発生する第2光源2012とから構成されている。
レーザ光源駆動回路202は、第1駆動回路2021と、第2駆動回路2022とからなる。第1駆動回路2021は第1光源2011を駆動し波長λ1のレーザ光を発生させ、第2駆動回路2021は第2光源2012を駆動し波長λ2のレーザ光を発生させる。ここでは、強度変調レーザ光は、周波数fmで強度変調されている。
【0029】
第1光分波器203は、レーザ光源201を始端とする光伝送路B1上に設けられ、光伝送路B1を伝播する波長λ1,λ2のレーザ光を2つの光伝送路B2,B3に分波する。
【0030】
光分岐部2041,2042は、第1光分波器203から引き出された各光伝送路B2,B3をそれぞれ2経路に分岐する。
光信号開閉器2051,2052は、各光分岐部2041,2042により分岐された、各一方の光伝送路上にそれぞれ設けられている。光信号開閉器2051,2052として、後述する液晶光スイッチ6(図7参照)を用いることができ、その場合には、強度変調周波数fmは、たとえば、数10〜数10kHzの範囲で適宜選択することができる。
【0031】
光合波器206は、各一方の光伝送路を光信号開閉器2051,2052の後段で合波する。
第2光分波器207は、光合波器206からの光伝送路を伝播する波長λ1,λ2のレーザ光を2つの光伝送路に分波する。
【0032】
受光器2081,2082は、第2光分波器207から引き出された各光伝送路の終端にそれぞれ設けられている。
光電変換器2091,2092は、光分岐部2041,2042により分岐した他方の光伝送路の終端に設けられ、光信号開閉器2051,2052の駆動電力DPを発生することができる。
【0033】
光信号開閉器2051,2052として、液晶光スイッチ6(図7参照)を用いる場合、光電変換器2091,2092の出力電圧(交流)により当該液晶光スイッチ6を交流駆動することができる。
【0034】
光信号開閉器制御回路2101,2102は、光電変換器2091,2092が発生する駆動電力DPの光信号開閉器2051,2052への供給を制御する。
レーザ光検出回路211は、レーザ光源駆動回路202からの基準信号Ref1,Ref2を参照して、受光器2081,2082が受光したレーザ光(強度変調レーザ光)をロックイン検出する。なお、レーザ光検出回路211は、受光器2081,2082からの信号を受信する2つの検出回路(図示せず)により構成することができる。
【0035】
警告装置212は、警告必要状態になったとき、ディスプレイに警告表示を行い、あるいはスピーカから警告音声の出力ができる。
【0036】
本実施形態では、監視ホストXに、レーザ光源201、レーザ光源駆動回路202、光合波器206、第2光分波器207、受光器2081,2082、レーザ光検出回路211および警告装置212が備えられ、監視ホストXから遠隔地に、第1光分波器203、光分岐部2041,2042、光信号開閉器2051,2052、光電変換器2091,2092および光信号開閉器制御回路2101,2102が備えられている。
【0037】
光信号開閉器制御回路2101,2102は、2つの油入変圧器(被監視設備)Y1,Y2に1つずつ設けられ、警告必要状態にあるときは光信号開閉器2051,2052への駆動電力DPの供給を行わないようにし、警告装置212は前述したように警告を出力することができる。
【0038】
光信号開閉器制御回路2101,2102は、図示はしないが、1つの油入変圧器の絶縁油面の警告必要値を2レベルで検出することもできるし、また、光信号開閉器制御回路2101が油入変圧器の絶縁油面の警告必要値を検出し、光信号開閉器制御回路2102が油入変圧器の絶縁油温度の警告必要温度値を検出するようにしてもよい。
【0039】
《本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの第3発明の実施形態》
図4は第3発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
図4において、監視システム3は、レーザ光源301と、レーザ光源駆動回路302と、光分岐・結合部303と、光信号開閉器304と、反射ミラー305と、光電変換器306と、光信号開閉器制御回路307と、光分岐部308と、受光器309と、レーザ光検出回路310と、警告装置311とを備えている。
【0040】
本実施形態では、レーザ光源駆動回路302は、レーザ光源301を強度変調信号TSにより駆動する。第1発明の実施形態と同様、強度変調する場合は、周波数fm(kHz,MHzのオーダ)の強度変調レーザ光を出力する。
光分岐・結合部303は、レーザ光源を始端とする光伝送路C1上に設けられている。
【0041】
光信号開閉器304は、光分岐・結合部303により分岐された一方の光伝送路C2上に設けられている。
反射ミラー305は、一方の光伝送路C2の終端に設けられている。
光電変換器306は、光分岐・結合部303により分岐した他方の光伝送路C3の終端に設けられ、光信号開閉器304の駆動電力DPを発生することができる。光信号開閉器304として、後述する液晶光スイッチ6(図7参照)を用いることができる。液晶光スイッチ6は、交流駆動されるので、電力DPがDC(強度変調がなされない場合、またはDCの強度変調がなされた場合)あるいは液晶を劣化させる程に低い周波数の電圧であるときは、第1発明の実施形態と同様、光電変換器306の後段に、液晶駆動に対応した周波数の電圧を発生させる発振器を設けることができる。
【0042】
光信号開閉器104として、直流駆動される機械式スイッチ、電子式スイッチを用いる場合には、変調しない連続光をレーザ光源301より出力する。
光信号開閉器制御回路307は、光電変換器306から駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器304をOFF、駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器304をONとすることができる。また、光信号開閉器制御回路307は、光電変換器306から駆動電力DPを受けないときは光信号開閉器304をON、駆動電力DPを受けたときは光信号開閉器304をOFFとすることができる。
【0043】
光分岐部308は、光伝送路C1のレーザ光源301の直後に設けられ、反射ミラー305からの反射光を分岐した光伝送路C4に導く。
受光器309は、光分岐部308により分岐した光伝送路C4の終端に設けられる。
【0044】
レーザ光検出回路310は、レーザ光源駆動回路302からの基準信号Refを参照して、受光器309が受光したレーザ光(強度変調光)をロックイン検出することで、検出精度を高めることができる。
【0045】
警告が必要な状態になったとき、光信号開閉器制御回路307によって光信号開閉器304が作動し、レーザ光検出回路310がレーザ光の有無を検出する。これによって警告装置311は、典型的にはディスプレイへの警告表示をし、あるいはスピーカから警告音声を出力する。
【0046】
本実施形態では、監視ホストXに、レーザ光源301、レーザ光源駆動回路302、光分岐部308、受光器309、レーザ光検出回路310および警告装置311が備えられ、監視ホストXから遠隔地に、光分岐・結合部303、光信号開閉器304、光電変換器306、光信号開閉器制御回路307および反射ミラー305が備えられている。
【0047】
光信号開閉器制御回路307は、油入変圧器Yが、警告必要状態にあるときは光信号開閉器304への駆動電力DPの供給を行わないようにし、この場合警告装置311は前述したように警告を出力することができる。
【0048】
また、光信号開閉器制御回路307は、油入変圧器Yが、警告必要状態にあるときは光信号開閉器304への駆動電力DPの供給を行うようにし、警告装置311は前述したように警告を出力することができる。
なお、油入変圧器Yが警告必要状態にあるときとは、油入変圧器の絶縁油面が所定範囲内にないときあるいは油入変圧器の絶縁油温度が所定範囲内にないときである。
【0049】
光信号開閉器制御回路307が、油入変圧器Yの絶縁油の油面センサである場合には、第1発明の実施形態と同様、当該油面センサはフロートスイッチとすることができる。この場合、絶縁油温度が所定の値を超えたときに油面センサがオンとなるように構成することもできるし、オフとなるように構成することもできる。
【0050】
光信号開閉器制御回路307が、油入変圧器Yの絶縁油の温度センサである場合には、当該スイッチをバイメタルスイッチとすることができる。この場合、絶縁油温度が所定の値を超えたときに温度センサがオンとなるように構成することもできるし、オフとなるように構成することもできる。
【0051】
《本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの第4発明の実施形態》
図5は第4発明の監視システムの一実施形態を示す説明図である。
図5において、監視システム4は、レーザ光源401と、レーザ光源駆動回路402と、光分波・結合器403と、光分岐部4041,4042と、光信号開閉器4051,4052と、反射ミラー4061,4062と、光電変換器4071,4072と、光信号開閉器制御回路4081,4082と、光分岐部409と、光分波器410と、受光器4111,4112と,レーザ光検出回路412と、警告装置413とを備えている。
【0052】
レーザ光源駆動回路402は、レーザ光源401を駆動し、波長が異なる2つの強度変調レーザ光をレーザ光源401から発生させる。ここでは、レーザ光源401は波長λ1,λ2、周波数fmの強度変調レーザ光を発生させている。
光分波・結合器403は、レーザ光源401を始端とする光伝送路D1に設けられ、光伝送路D1を伝播する波長λ1,λ2のレーザ光を2つの光伝送路D2,D3に分波する。
【0053】
光分岐部4041,4042は、光分波・結合器403から引き出された光伝送路D2,D3を、それぞれ2経路に分岐する。
光信号開閉器4051,4052は、光分岐部4041,4042により分岐された、各一方の光伝送路上にそれぞれ設けられている。光信号開閉器4051,4052として、後述する液晶光スイッチ6(図7参照)を用いることができる。
【0054】
反射ミラー4061,4062は、各一方の光伝送路の各終端に設けられている。
光電変換器4071,4072は、光分岐部4041,4042により分岐した他方の光伝送路の終端に設けられ、光信号開閉器4051,4052の駆動電力DPを発生する。光信号開閉器4051,4052として、液晶光スイッチ6を用いる場合、光電変換器4071,4072の出力電圧(波長λ1の信号および波長λ2の信号の合成信号)により当該液晶光スイッチ6を交流駆動することができる。
【0055】
光信号開閉器制御回路4081,4082は、光電変換器4071,4072が発生する駆動電力DPの光信号開閉器4051,4052への供給を制御する。
光分岐部409は、光伝送路のレーザ光源401の直後に設けられ、反射ミラー4061,4062からの反射光を分岐した光伝送路D4に導く。
光分波器410は、光分岐部409により分岐した光伝送路D4を伝播する波長λ1,λ2のレーザ光を2つの光伝送路に分波する。
【0056】
受光器4111,4112は、光分波器410から引き出された光伝送路の終端に設けられている。
レーザ光検出回路412は、レーザ光源駆動回路402からの基準信号Ref1,Ref2を参照して、受光器4111,4112が受光したレーザ光(強度変調レーザ光)を検出する。なお、レーザ光検出回路412は、受光器4111,4112からの信号にを受信する2つの検出回路(図示せず)により構成することができる。
【0057】
警告装置413は警告必要状態になったとき、ディスプレイに警告表示を行い、あるいはスピーカから警告音声の出力ができる。
【0058】
本実施形態では、監視ホストXに、レーザ光源401、レーザ光源駆動回路402、光分岐・結合部403、光分波器4041,4042、受光器4111,4112、レーザ光検出回路412および警告装置413が備えられ、監視ホストXから遠隔地に、光分波・結合器403、光分岐部4041,4042、光信号開閉器4051,4052、光電変換器4071,4072、光信号開閉器制御回路4081,4082および反射ミラー4061,4062が備えられている。
【0059】
光信号開閉器制御回路4081,4082は、2つの油入変圧器(被監視設備)Y1,Y2に1つずつ設けられ、警告必要状態にあるときは光信号開閉器4051,4052への駆動電力DPの供給を行わないようにし、警告装置413は前述したように警告を出力することができる。
【0060】
光信号開閉器制御回路4081,4082は、図示はしないが、油入変圧器Y1,Y2が警告不要状態にあるときは光信号開閉器4051,4052への駆動電力DPの供給を行い、警告必要状態にあるときは光信号開閉器4051,4052への駆動電力DPの供給を行わないようにする(この場合には、警告装置413は前述したように警告を出力する)ことができる。
また、光信号開閉器制御回路4081,4082は、油入変圧器Y1,Y2が警告不要状態にあるときは、光信号開閉器4051,4052への駆動電力DPの供給を行わず、警告必要状態にあるときは光信号開閉器4051,4052への駆動電力DPの供給を行うようにする(この場合には、警告装置413は前述したように警告を出力する)こともできる。
【0061】
光信号開閉器制御回路4081,4082は、図示はしないが、1つの油入変圧器の絶縁油面の警告必要値を2レベルで検出することもできるし、また、光信号開閉器制御回路4081が油入変圧器の絶縁油面の警告必要値を検出し、光信号開閉器制御回路4082が油入変圧器の絶縁油温度の警告必要温度値を検出するようにしてもよい。
【0062】
《本発明の液晶光スイッチが使用できる監視システムの実施形態の設計変更例》
図6(A),(B)は監視システムの実施形態の第1,第2設計変更例を示す説明図である。
【0063】
第1設計変更例(図6(A))は、第1発明の実施形態において、光信号開閉器104および光信号開閉器駆動回路105が2つ設けられた場合を示している。図6(A)の監視システム5Aでは、光信号開閉器を符号1041,1042で、光信号開閉器駆動回路を符号1051,1052で示す。
【0064】
光信号開閉器1041,1042は、光電変換器106により駆動される。たとえば、光信号開閉器駆動回路1051を油面センサとし、光信号開閉器駆動回路1052を絶縁油温度センサとすることで、油入変圧器Yの状態(絶縁油の油面値および温度)を監視することができる。
【0065】
第2設計変更例(図6(B))は、第1発明の実施形態において、光信号開閉器駆動回路105が2つ設けられた場合を示している。図6(B)の監視システム5Bでは、光信号開閉器駆動回路を符号1051,1052で示す。
【0066】
光信号開閉器104は、光電変換器106により駆動される。たとえば、光信号開閉器駆動回路1051を油面センサとし、光信号開閉器駆動回路1052を絶縁油温度センサとすることで、油入変圧器Yの状態(絶縁油の油面値および温度)を監視することができる。
《光信号開閉器の実施形態》
【0067】
前述したように、第1発明から第4発明で使用される、光信号開閉器104、2051,2052、304、4051,4052、第1発明の実施形態の設計変更例における光信号開閉器1041,1042として、液晶式の光信号開閉器(本発明の液晶光スイッチ)を用いることができる。
【0068】
図7(A)は液晶光スイッチ6の構成図であり、図7(B)、(C)は光ファイバーコリメータレンズを省略して示した液晶光スイッチ6のON時およびOFF時の概念説明図である。図7(A),(B),(C)に示すように、液晶光スイッチ6は、透明電極601,602が両面に備えられた液晶セル60と、第1のモジュール61と第2のモジュール62とからなり、光ファイバーを伝播する光信号を透過または遮断することができる。液晶としてはツイストネマチック液晶を用いることができる。図7(A)では、透明電極601,602にはスイッチS()S(光信号開閉器駆動回路等)を介して、交流源AC(光電変換器等)が接続されている。
【0069】
第1のモジュール61は、液晶セル60に垂直な軸L上に、液晶セル60の一方側の、遠方から当該液晶セル60に向けて順次配置された、第1の光ファイバーコリメータレンズ611、第1のサバール板612、第1の1/2波長板613、および第1の偏光板614を有している。なお、サバール板の代わりに複屈折板、偏光プリズムを用いることもできる。
【0070】
第2のモジュール62は、軸L上に、液晶セル60の他方側の、遠方から液晶セル60に向けて順次配置された、第2の光ファイバーコリメータレンズ621、第1のサバール板622、第1の1/2波長板623、および第1の偏光板624を有している。
【0071】
第1の光ファイバーコリメータレンズ611は、光ファイバーOFBからの光を集光させるレンズである。
第1のサバール板612は、第1の光ファイバーコリメータレンズ611からの全方位光を複屈折により2光路光に分ける。
【0072】
第1の1/2波長板613は、第1のサバール板612からの2光路光の偏光を揃える。
第1の偏光板614は、第1の1/2波長板613の出力光の偏光向きと同一の偏光向きに配置されている。
【0073】
第2の偏光板624は、第1の偏光板614に対し液晶セル60の中心面に面対称に構成されており、第1の偏光板614の偏光方向と、第2の偏光板624の偏光方向とが平行となっている。
【0074】
第2の1/2波長板623は、第1の1/2波長板613に対し液晶セル60の中心面に面対称に構成されている。
第2のサバール板622は、第1のサバール板612に対し液晶セル60の中心面に面対称に構成されている。
【0075】
第2の光ファイバーコリメータレンズ621は、第1の光ファイバーコリメータレンズ611に対し液晶セル60の中心面に面対称に構成されており、出射光を光ファイバーOFBに導き入れる。
【0076】
以下に液晶光スイッチ6の動作を説明する。
第1の光ファイバーコリメータレンズ611は、光ファイバーOFBからの出射光を平行光にして第1のサバール板612に出射する。第1のサバール板612は入射した、全方位光を複屈折により2光路光に分け、第1の1/2波長板613に出射する。第1の1/2波長板613は、入射した光を2光路光の偏光を揃え、第1の偏光板614に出射する。
【0077】
液晶セル60の両面に形成された透明電極601,602間に電圧が印加されているとき、すなわち、液晶がONの状態のときは、図7(B)に示すように、第1の偏光板614を通過した光は液晶分子の配向に沿って進み液晶セル60を透過する。液晶セル60を透過した光は、第2の偏光板624(偏光方向は第1の偏光板614と同一である)を通過して第2の2分の1波長板623、第2のサバール板622を通り再び全方位光となってモジュールを通過する。
【0078】
一方、液晶セル60がOFFのときは、図7(C)に示すように、第2の偏光板614を通過した光は、液晶セル60内では分子の配向方向に沿って90°偏光方向がずれる。そのため、液晶セル60を透過した光は、偏光方向が90°異なる第2の偏光板624を通過できない。
この場合には、たとえば油入トランスの油面が所定位置よりも低下したときに油面センサがONとなる場合には、液晶光スイッチ6もONとなる。
【0079】
上記の実施形態では、第1の偏光板614と、第2の偏光板624とが、液晶セル60の中心面に面対称に構成され、第1の偏光板614の偏光方向と、第2の偏光板624の偏光方向とが平行である場合を示したが、第1の偏光板614の偏光方向と、第2の偏光板624の偏光方向とが90°の角度を持つように構成できる。この場合には、液晶セル60がONのとき(透明電極601,602に電圧が印加されているとき)には、液晶セル60を透過した光は、偏光方向が同じである第2の偏光板624を通過できるが、液晶セル60がOFFのとき(透明電極601,602に電圧が印加されていないとき)には、液晶セル60を透過した光は、偏光方向が90°異なる第2の偏光板624を通過できない。
この場合には、たとえば油入トランスの油面が所定位置よりも低下したときに油面センサがOFFとなる場合に、液晶光スイッチ6はONとなる。
【0080】
なお、図8に示すように、たとえば、液晶光スイッチ6の透明電極601,602(静電容量Cで示す)にインダクタンスLを並列接続することで、光電変換器(符号Dで示す)からの直流分をカットすることができる。したがって、光電変換器が、直流成分に交流成分が載った波形の電圧を出力する場合であっても、液晶セル60は交流駆動できる。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3,4,5:監視システム
60:液晶セル
101,201,301,401:レーザ光源
102,202,302,402:レーザ光源駆動回路
103,2041,2042,4041,4042:光分岐部
303 光分岐結合部
104,1041,1042,2051,2052,304、4051,4052:光信号開閉器
105,1051,1052,2081,2082,305,309,4111,4112:受光器
106,2091,2092,306,4071,2072:光電変換器
107,2101,2102,307,4081,4082:光信号開閉器制御回路
108,211,310:レーザ光検出回路
109,212,311:警告装置
203:第1光分波器
206:光合波器
207:第2光分波器
303,403 光分波・結合器
305,4061,4062:反射ミラー
308:光分岐部
409:光分岐器
410:光分波器
614,624:偏光板
612,622:サバール板
601,602:透明電極
613,623:1/2波長板
611,621:光ファイバコリメータレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を透過または遮断する液晶光スイッチであって、
透明電極が両面に備えられた液晶セルと、
前記液晶セルに垂直な軸上に、前記液晶セルの一方側の、遠方から当該液晶セルに向けて順次配置された、
第1の光ファイバーコリメータレンズ、
第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズム、
前記第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズムからの2光路光の偏光を揃える第1の1/2波長板、および、
前記第1の1/2波長板の出力光の偏光向きと同一の偏光向きに配置された第1の偏光板、
を有する第1のモジュールと、
前記液晶セルに垂直な軸上に、前記液晶セルの他方側の、遠方から当該液晶セルに向けて順次配置された、
前記第1の偏光板に対し前記液晶セルの中心面に面対称に配置され、偏光方向が第1の偏光板と平行または90°異なる第2の偏光板、
前記第1の1/2波長板に対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2の1/2波長板、
前記第1のサバール板、複屈折板または偏光プリズムに対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2のサバール板、複屈折板または偏光プリズム、および、
前記第1の光ファイバーコリメータレンズに対し前記液晶セルの中心面に面対称に構成された第2の光ファイバーコリメータレンズ、
を有する第2のモジュールと、
を備えたことを特徴とする液晶光スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−198025(P2010−198025A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75233(P2010−75233)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【分割の表示】特願2004−308734(P2004−308734)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】