説明

液晶化合物、その製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子

【課題】粘性が低く、透明点が高く、化学的に安定な新規な液晶化合物、その製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子の提供。
【解決手段】R1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCF=CF-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(1)で表される液晶化合物。R、R:水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の一価の非環式脂肪族炭化水素基。A1〜A:トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基などの環基。Z〜Z:単結合、−O−、−S−、−COO−または炭素数1〜4の二価の非環式脂肪族炭化水素基。m、n、o、p、q、r:相互に独立して0または1(ただし、m+n+o+p+q+r≦3)。上記各基中の水素原子はハロゲン原子で置換されてもよい。一または二価の非環式脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。環基中の=CH−基は窒素原子で、−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素液晶化合物、該化合物を含有する液晶組成物、該液晶組成物を含有する液晶電気光学素子、および該化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子は携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどの用途に使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。
このような液晶素子には液晶相を示す材料が使用されているが、現在のところ、これら全ての特性を単独の化合物で満たすわけではなく、一つまたは二つ以上の特性の優れた複数の液晶化合物や非液晶性化合物を混合して液晶組成物として要求性能を満たしている。
液晶素子の分野において、液晶組成物に使用される化合物に要求される種々の特性の中でも、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ低電圧駆動できる性質を有する化合物を提供することは重要な課題である。
【0003】
このような課題の解決策として、例えば、−CF=CF−連結基を有するスチルベン化合物などが報告されている(特許文献1)。この化合物は粘性が低く液晶表示素子に用いた場合は応答速度が速いという特長が有るが、光に対して不安定であり紫外線カットフィルターなどを併用しなければならないという問題が有る。
また、−CH=CHCHCH−連結基を有する化合物なども報告されている(特許文献2、特許文献3)。この化合物も粘性が低いなどの特長を有するとされているが、−CH=CH−部位を有するため、cis−transの異性化が生じやすいと考えられる。
【0004】
このように、液晶組成物に用いられる化合物は、特定の性能を向上させると他の性能が犠牲になることが多いため、特定の性能を向上させつつ他の性能が大幅に低下しない化合物の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−294386号公報
【特許文献2】特開平4−330019号公報
【特許文献3】特開平10−7598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、液晶材料として有用な、新規な含フッ素液晶化合物を提供することを目的とする。また、該化合物を含有する液晶組成物および該液晶組成物を含有する液晶電気光学素子を提供することも目的とする。さらに、該化合物の製造方法、特に工業的に利用可能な製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。また、本明細書において、特に断りのない限り、式(1)におけるR1に近いほうを常に1位とする。
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、化合物(1)を提供する。
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCF=CF-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R (1)
上記式(1)中の記号は以下の意味を示す。
、R:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水素基。ただし、該脂肪族炭化水素基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
1、A、A、A、A、A、A、A:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。該基中の1以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
、Z、Z、Z、Z、Z:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、−COO−または炭素数1〜4の二価の脂肪族炭化水素基。ただし、該脂肪族炭化水素基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
m、n、o、p、q、r:相互に独立して0または1。ただし、m+n+o+p+q+rは3以下である。
なお、化合物全体中で上記−O−または−S−が連続することはない。
【0009】
上記化合物(1)は、好ましくは下記式(1−1)で示される。
11-(A11-Z11)-(A21-Z21)-(A31-Z31)-A41-CFCFCF=CF-A51-(Z41-A61)-(Z51-A71)-(Z61-A81)-R21 (1−1)
上記式(1−1)中の記号は以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数2〜10のアルキニル基。ただし、基中の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71、A81:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基。ただし該1,4−フェニレン基中に存在する水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51、Z61:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4のアルキレン基。ただし、該基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中の炭素−炭素原子間または該基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
m、n、o、p、qおよびrは前記と同じ意味を示す。
【0010】
また、本発明は化合物(1)の製造方法を提供する。
第1の態様は、下記式で示される化合物(2)と、化合物(3)とを反応させることによる、上記化合物(1)の製造方法である。
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCFCF(2)
M-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(3)
上記各式中、R、R、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、o、p、qおよびrは、前記と同じ意味を示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または水素原子であり、Mは金属原子またはハロゲン化金属である。
【0011】
本発明の好ましい製造方法として、下式(4)で表わされるハロゲン化合物のメタル化により上記式(3)で表される化合物を得る工程をさらに含む態様も提供される。
-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(4)
上記式中、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、p、qおよびrは、前記式(3)と同じであり、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0012】
また、本発明は、化合物(1)を含有する液晶組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、化合物(1)を含有する液晶組成物を、電極付き基板間に挟持した液晶電気光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化合物(1)は、粘性が低く、透明点が高く、化学的に安定という特長を有することから、高速応答性、広い動作温度範囲などの条件を満たした液晶組成物を調製できる。また、該液晶組成物を液晶電気光学素子に用いた場合にも、広い温度範囲で高速応答性に優れる。
また、本発明の製造方法に従えば、本発明の化合物(1)を工業的にも容易かつ簡便に合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る化合物を示す式(1)において、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の一価の非環式脂肪族炭化水素基である。ただし、該脂肪族炭化水素基は1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。なお、ハロゲン原子による置換と、−O−または−S−の挿入は、同一の脂肪族炭化水素基に同時に行われていてもよい。
【0016】
上記炭素数1〜10の一価の非環式脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの基中の1以上の水素原子がハロゲン原子に置換した基としては、フルオロアルキル基、クロロアルキル基が挙げられる。
これらの基中の炭素−炭素原子間に−O−または−S−が挿入された基としては、アルコキシアルキル基またはアルキルチオアルキル基が挙げられ、基の結合末端に−O−または−S−が挿入された基としては、アルコキシ基またはアルキルチオ基が挙げられる。
ハロゲン原子による置換と−O−の挿入が同一の脂肪族炭化水素基に行われた基としてはフルオロアルコキシ基が挙げられる。
これらの基は、直鎖状と分岐状のどちらでもかまわないが直鎖状が好ましい。
【0017】
上記のうちでも、RおよびRとしては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく挙げられる。該アルキル基、アルケニル基またはアルケニル基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0018】
特に好ましいRおよびRは、フッ素原子、直鎖状で炭素数1〜10、特に炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基である。この炭素数1〜5のアルキル基のうちでも、特にエチル基、プロピル基、またはペンチル基が好ましい。炭素数1〜5のアルコキシ基のうちでも、特にメトキシ基またはエトキシ基が好ましい。炭素数1〜5のフルオロアルキル基のうちでも、特にトリフルオロメチル基が好ましい。炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基のうちでも、特にトリフルオロメトキシ基が好ましい。
【0019】
式(1)において、A、A、A、A、A、A、AおよびAは、相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基である。ただし、該基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの−CH=が窒素原子に置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの−CH−が−O−または−S−に置換されていてもよい。上記置換のためのハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
【0020】
、A、A、A、A、A、AおよびAは、化合物が直線的な構造となり、液晶用として用いやすいことから、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基が好ましい。また、液晶用として用いた場合の相溶性や誘電率異方性の観点からは、1,4−フェニレン基の少なくとも1つは、1以上のフッ素原子で置換されていることも好ましい。1以上のフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基としては、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基が好ましい。
【0021】
、Z、Z、Z、ZおよびZは、相互に独立して、単結合、−O−、−S−、−COO−または炭素数1〜4の二価の非環式脂肪族炭化水素基である。ただし、該脂肪族炭化水素基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。なお、ハロゲン原子による置換と、−O−または−S−の挿入は、同一の脂肪族炭化水素基に同時に行われていてもよい。
【0022】
が単結合である場合にはZの両側の環基は直接結合することを意味する。例えば、mが1であり、Zが単結合でありnおよびoが0の場合はAとAとは直接結合する。また、Zが単結合でありnが1の場合はAとAとは直接結合する。Z、Z、Z、ZおよびZにおいても同様である。
【0023】
炭素数1〜4の二価の非環式脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基、または炭素数2〜4のアルキニレン基が挙げられる。これら基の置換のためのハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が挙げられ、これらの基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換された基としては、フルオロアルキレン基、クロロアルキレン基、またはフルオロアルケニレン基が挙げられる。更に、これらの基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に、−O−または−S−が挿入された基としては、オキシアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、チオアルキレン基、オキシフルオロアルキレン基、またはチオフルオロアルキレン基が挙げられる。
【0024】
炭素数1〜4のアルキレン基としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、および−CHCHCHCH−などが挙げられ、特に−CH−または−CHCH−が好ましい。
【0025】
炭素数2〜4のアルケニレン基としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−、および−CH−CH=CH−CH−などが挙げられ、これらの基は逆向きでも構わない。特に−CH=CH−が好ましい。
【0026】
炭素数2〜4のアルキニレン基としては、−C≡C−、−C≡C−CH−、−C≡C−CH−CH−、−C≡C−C≡C−、およびCH−C≡C−CH−などが挙げられ、さらには、−CH=CH−C≡C−のように、二重結合と三重結合が混在した基も挙げられる。これらの基は逆向きでも構わない。特に−C≡C−が好ましい。
【0027】
炭素数1〜4のフルオロアルキレン基、クロロアルキレン基およびフルオロアルケニレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCFCF−、−CHCF−、−CF=CF−、−CClCH−および−CF=CF−C≡C−などが挙げられ、特に−CFCF−または−CF=CF−が好ましい。
【0028】
炭素数1〜4のオキシアルキレン基、チオアルキレン基、アルキルオキシアルキレン基、オキシフルオロアルキレン基およびチオフルオロアルキレン基としては、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CHCHOCH−、−OCF−、−SCF−、−CFO−および−CFS−などが挙げられ、−OCF−または−CFO−が好ましい。
【0029】
、Z、Z、Z、ZおよびZは、化合物の安定性と合成の容易さから、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基中の1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、該基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。特に、単結合または炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0030】
化合物(1)において、m、n、o、p、qおよびrは、相互に独立して0または1である。ただし、m+n+o+p+q+rは3以下である。粘性があまり高くならないことから、m+n+o+p+q+rは2以下であることが好ましい。
【0031】
一般に、−CH=CH−や−CF=CF−などの二重結合を有する基を連結基とする化合物において、該連結基にフェニル基が結合した場合は、紫外光や可視光によりシス−トランスの異性化が生じ易いという問題が有る。その典型はスチルベン構造を有する化合物である。これに対し、−CFCFCF=CF−を連結基とする本発明の化合物は、連結基の両端にフェニル基が結合していても、スチルベン化合物のように、二重結合の両端にフェニル基が存在するのではないため、共役系が短くなり異性化が生じ難いと考えられる。
また、−CH=CHCHCH−連結基と比べても、−CH=CH−部分の水素原子がフッ素原子で置換されているため、異性化が生じ難いと考えられる。これらのことから、本発明の化合物は、既存の二重結合を有する基を連結基とする化合物に比べて、安定性に優れると考えられる。
【0032】
本発明の化合物(1)のうちでも、下記化合物(1−1)が好ましい。
11-(A11-Z11)-(A21-Z21)-(A31-Z31)-A41-CFCFCF=CF-A51-(Z41-A61)-(Z51-A71)-(Z61-A81)-R21 (1−1)
上記式(1−1)中の記号は以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数2〜10のアルキニル基。ただし、基中の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71、A81:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基。ただし該1,4−フェニレン基中に存在する水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51、Z61:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4のアルキレン基。ただし、該基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中の炭素−炭素原子間または該基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
m、n、o、p、qおよびrは前記と同じ意味を示し、各基の具体的説明も前記のとおりである。
【0033】
より好ましい本発明の化合物(1)は、下記化合物(1−2)である。
12-(A11-Z12)-(A21-Z22)-(A31-Z32)-A41-CFCFCF=CF-A51-(Z42-A61)-(Z52-A71)-(Z62-A81)-R22 (1−2)
上記式(1−2)中の記号は以下の意味を示す。
12、R22:相互に独立して、フッ素原子、直鎖状の炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基。
12、Z22、Z32、Z42、Z52、Z62:相互に独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレン基。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71、A81、m、n、o、p、qおよびrは前記と同じ意味を示し、各基の具体的説明も前記のとおりである。
【0034】
特に好ましい本発明の化合物(1)は、下記化合物(1−3)である。
13-(A11)-A41-CFCFCF=CF-A51-(A81)-R23 (1−3)
上記式(1−3)中の記号は以下の意味を示す。
13、R23:相互に独立して、フッ素原子、直鎖状の炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基またはフルオロアルコキシ基。A11、A41、A51、A81は前記と同じ意味を示し、m、rは、相互に独立して0または1であり、各基の具体的説明も前記のとおりである。
【0035】
上記のような本発明の化合物(1)は、下記の化合物(2)と、化合物(3)とを反応させることにより製造することができる。
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCFCF(2)
M-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(3)
上記各式中、R、R、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、o、p、qおよびrは、式(1)における規定と同じである。
式(2)中のXは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または水素原子である。
【0036】
上記化合物(2)は、公知の方法で得ることができ、例えば下記方法で得ることができる。
【化1】

上記各式中、XおよびXは、相互に独立してヨウ素原子または臭素原子であり、他の基は前記と同じ意味を示す。
【0037】
なお、化合物(2)において、Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基である場合は、上記反応の出発原料化合物において、Aを1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキセニレン基とし、Aが1,4−シクロヘキセニレン基である化合物(2)を得た後、水添反応を行うことにより、Aをトランス−1,4−シクロヘキシレン基としてもよい。
また、化合物(2)におけるXが水素原子である場合は、一旦、Xがハロゲン原子である化合物(2)を合成した後、還元によりXを水素原子としてもよい。
【0038】
上記メタル化合物を示す式(3)中のMは、金属原子またはハロゲン化金属であり、化合物(2)と所望の反応をする限り特に制限はないが、中でもMgI、MgBr、MgClおよびLiが好ましい。
上記化合物(3)は、たとえば、対応する化合物(4)をリチオ化する方法、あるいは金属マグネシウムとの反応によりグリニャール試薬とする方法により製造することができる。
-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(4)
式(4)中、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、p、qおよびrは、前記式(3)と同じであり、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0039】
上記化合物(4)は、東京化成工業社やアルドリッチ社から市販品として得られるほか、新実験化学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にて容易に得ることができる。
【0040】
金属リチウムを用いて化合物(4)をリチオ化する場合、金属リチウムの使用量は化合物(4)に対して1倍モルから8倍モル、好ましくは2倍モルから3倍モルである。金属マグネシウムとの反応によりグリニャール試薬を調整する場合、金属マグネシウムの使用量は1倍モルから5倍モル、好ましくは1倍モルから1.5倍モルである。
【0041】
このリチオ化反応には、電子移動剤を共存させてもよい。電子移動剤としては芳香環が2個以上または縮合環となっている化合物が使用される。具体的にはナフタレン、ビフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルナフタレン、2,7−ジ−tert−ブチルナフタレン、4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニル、アントラセン等が挙げられるが、好ましくはナフタレン、ビフェニル、4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニルである。電子移動剤の使用量は、化合物(4)に対して0.01倍モルから4倍モル、好ましくは0.1倍モルから2.5倍モルである。
【0042】
化合物(4)のリチオ化を、ハロゲン−メタル交換反応で行う場合には、リチウム化剤として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を用いることができる。好ましくはn−ブチルリチウムである。ブチルリチウムを用いてリチオ化する場合、その使用量は化合物(4)に対して1倍モルから2倍モル、好ましくは1.0倍モルから1.2倍モルである。
【0043】
化合物(4)のメタル化反応は、通常、溶媒中で実施される。反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、石油エーテル類あるいは上記溶媒の適当な混合溶媒などを用いることができるが、特にエーテル系溶媒またはエーテル系溶媒と脂肪族炭化水素系溶媒の混合溶媒が好ましい。合成の規模により大きく異なり、適宜変更することが可能である。
【0044】
メタル化反応の反応温度は−100℃から100℃が好ましく、特に−80℃から70℃が好ましく、グリニャール試薬を調製する場合には、0℃から70℃が好ましい。
【0045】
メタル化反応の反応時間は0.5時間から48時間が好ましく、特に0.5時間から8時間が好ましい。
【0046】
上記のような化合物(4)のメタル化工程で生成する化合物(3)は、単離した後化合物(2)との反応工程に供してもよく、単離することなく連続的に化合物(2)との反応工程を実施してもよい。化合物(4)は比較的入手容易な出発原料であることから、後者は、本発明の化合物(1)を工業的に生産するのに有用である。後者において、化合物(3)の反応液に化合物(2)を加えてもよいし、化合物(2)に化合物(3)の反応液を加えてもよい。
【0047】
化合物(2)と化合物(3)との反応系における両者のモル比は、通常、化合物(2):化合物(3)が1:1〜6である。
【0048】
化合物(2)はあらかじめ溶媒で希釈して反応に供してもよい。希釈溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、石油エーテル類あるいは上記溶媒の適当な混合溶媒などを用いることができるが、特にエーテル系溶媒またはエーテル系溶媒と脂肪族炭化水素系溶媒の混合溶媒が好ましい。希釈溶媒量は、合成の規模により大きく異なり、適宜変更することが可能である。
【0049】
化合物(2)と化合物(3)との反応温度は、−100℃から100℃が好ましく、化合物(3)がリチオ化物である場合には、特に−80℃〜25℃が好ましく、化合物(3)がグリニャール試薬である場合には、特に0℃〜70℃が好ましい。
【0050】
反応時間は0.5時間から48時間が好ましく、特に0.5時間から24時間が好ましい。
【0051】
反応後、通常の後処理作業、精製作業を実施することにより化合物(1)で表わされる新規な含フッ素化合物を得ることができる。
【0052】
本発明の化合物(1)はその少なくとも1種を、他の液晶化合物および/または非液晶化合物と混合することにより、優れた性能を有する液晶組成物を得ることができる。例えば、従来の液晶組成物に化合物(1)を添加した場合、粘性の低下や弾性定数の適正化などの効果が期待できる。
【0053】
液晶組成物中の化合物(1)の量は、液晶組成物100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、1〜10重量部が特に好ましい。
【0054】
液晶組成物中の化合物(1)以外の化合物としては、液晶組成物の用途、要求性能などにより異なるが、通常は液晶化合物および該液晶化合物に類似の構造を有する化合物を主成分とし、これに必要に応じた他の化合物を添加するのが好ましい。
【0055】
他の化合物の具体例としては、誘電異方性を増加させる成分、高温で液晶性を示す成分、低粘性成分、屈折率異方性値を調整する成分、コレステリック性を付与する成分、2色性を示す成分、導電性を付与する成分等が挙げられる。
【0056】
液晶組成物中に含ませ得る他の化合物の例としては、以下の具体例が挙げられる。なお、下式におけるR、Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、またはシアノ基等の基を表し、−Ph−は1,4−フェニレン基を表し、−Cy−はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す。
【0057】
−Cy−Cy−R
−Cy−Ph−R
−Ph−Ph−R
−Ph−C≡C−Ph−R
−Cy−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−R
−Cy−CH=CH−Ph−R
−Cy−CHCH−Ph−R
−Ph−CHCH−Ph−R
−Cy−Cy−Ph−R
−Cy−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−C≡C−Ph−R
−Ph−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−Ph−Cy−R
−Ph−Ph−C≡C−Ph−R
−Cy−COO−Ph−Ph−R
−Cy−Ph−COO−Ph−R
−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R
−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R
【0058】
液晶組成物中に含ませ得る他の化合物は、上記化合物に限定されない。例えば、上記化合物の環構造または末端基の水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、またはメチル基等へ置換されていてもよく、また、上記化合物の環構造または末端基の水素原子は、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ピリミジン環、またはジオキサン環等の他の六員環または五員環等へ置換されていてもよい。また、環と環との間に存在する結合基を他の結合基に変更してもよい。これらの置換または変更は、目的とする性能に合わせて適宜選択すればよい。
【0059】
本発明の化合物(1)を含む液晶組成物は、液晶セルに注入するなどして、電極付の基板間に挟持され、液晶電気光学素子を構成する。代表的な液晶セルとしては、TN型液晶電気光学素子がある。なお、ここで液晶電気光学素子と表現しているのは、表示用途以外、たとえば、調光窓、光シャッタ、偏光交換素子等にも使用できることを明らかにしているためである。
【0060】
上記液晶電気光学素子は、TN方式、STN方式、ECBモード、VAモード、ゲスト・ホスト(GH)方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式など種々のモードで使用できる。駆動モードとしては、パッシブ駆動、アクティブ駆動で使用できる。
【0061】
以下に、液晶電気光学素子の構成および製法の具体例を示す。プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO、Al等のアンダーコート層やカラーフィルタ層を形成し、In−SnO(ITO)、SnO等の電極を設け、パターニングした後、必要に応じてポリイミド、ポリアミド、SiO、Al等のオーバーコート層を形成し、配向処理し、これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
【0062】
この空セルに、本発明の化合物を含む組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに必要に応じて偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルタ、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルタ等を積層する、文字、図形等を印刷する、ノングレア加工するなどして液晶電気光学素子とする。
【0063】
なお、上記の説明は、液晶素子の基本的な構成および製法を説明したものであり、他の構成も採用出来る。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが使用できる。特に本発明の組成物は、TFT、MIM等のアクティブマトリクス素子にも好適である。
【0064】
さらに、前記したTN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のスーパーツイストネマチック(STN)型液晶素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させるインプレーンスイッチング(IPS)型液晶素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶素子、強誘電性液晶素子等、種々の方式で使用することが出来る。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、以下に示す実施例は本発明の例示を目的とするものであり、本発明はこれに限定されない。
【0066】
(合成例1)化合物(2A)の合成
【化2】

公知の方法で得た4−プロピルヨードベンゼン24.92g、パーフルオロ−1,4−ジヨードブタン(ヒドラス化学社製)92.20g、銅粉末25.80gにジメチルスルホキシド50mLを加え、130℃で5時間撹拌した。さらに、パーフルオロ−1,4−ジヨードブタン(ヒドラス化学社製)92.20g、銅粉末25.80gを追加し、2時間撹拌した。冷却後、水100mLとトルエン100mLを加え、ろ過、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄し、濃縮した。得られた粗油を、シリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製を行い化合物(2A)35.12gを得た。
【0067】
(実施例1)化合物(3A)および化合物(1A)の合成
【化3】

【0068】
窒素気流下、削状マグネシウム2.44gにTHF5mLとヨウ素およびエチレンブロミドを少量ずつ加え50℃で撹拌したところに、化合物(4A)(東京化成工業社製)16.82gとTHF20mLを滴下後、1時間撹拌し、グリニャール試薬(3A)を調製した。
【0069】
【化4】

合成例1で得られた化合物(2A)18.38gとTHF40mLとを氷冷したところに、上記で得られたグリニャール試薬(3A)を滴下した後、60℃に昇温させ3時間撹拌した。室温で一晩撹拌し、10%塩酸を用いてクエンチを行い、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄したのち、濃縮を行った。得られた混合物をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)および再結晶を行い化合物(1A)1.73gを得た。
【0070】
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−117.79(m,2F)、−117.27(m,2F)−147.76(m,1F),−165.27(m,1F)
H−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:SiMe)δ(ppm):7.48(m,4H),7.18(m,4H),2.55(m,4H),1.60(m,4H),0.87(m,6H)
<相系列>
C69.0I(C:結晶、I:等方相)
【0071】
(合成例2)化合物(2B)の合成
【化5】

窒素気流下、合成例1と同じ方法で合成した化合物(2A)91.27gとメタノール460mLとを氷冷し、水素化ホウ素ナトリウム8.02gを30分かけて加えた。その後、塩化銅第一19.20gと水素化ホウ素ナトリウム15.7gを30分かけてさらに加え、3時間撹拌した。トルエン600mLで稀釈後、水200mLでクエンチを行った。ろ過で残渣を取り除き、10%塩化アンモニウム水溶液および水で処理し、濃縮を行った。得られた粗油をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製を行い、化合物(2B)42.09gを得た。
【0072】
(実施例2)化合物(3B)および化合物(1B)の合成
【化6】

【0073】
アルゴン雰囲気下、粒状リチウム4.67g、4,4’−ジ-tert-ブチルビフェニル87.66g およびTHF650mLとを、室温で90分撹拌した。−60℃まで冷却後、公知の方法で得た化合物(4B)36.67gとTHF30mLを滴下し、3時間撹拌を行い、化合物(3B)の生成反応を行った。
その後、−75℃に冷却後、合成例2で得られた化合物(2B)18.90 gとTHF10mLを滴下し、2時間撹拌を行った。水100mLでクエンチした後、トルエン300mLと10%塩酸200mLを加え、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄したのち、濃縮を行った。シリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製後、エタノールとヘキサンの混合溶媒から再結晶を行うことで化合物(1B)5.64gを得た。
【0074】
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−113.34(m,2F)、−118.26(m,2F)、−149.64(m,1F),171.19(d,1F)
H−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:SiMe)δ(ppm):7.47(m,2H),7.26(m,2H),2.63(t,2H),1.85−0.86(m,22H)
<相系列>
C 52.3 I(C:結晶、I:等方相)
【0075】
上記化合物(1B)10質量%と、メルク社製液晶組成物「ZLI−1565」90質量%とを混合して得られた組成物を用いて、25℃における屈折率異方性(Δn)を外挿により求めたところ、0.066であった。
【0076】
(合成例3)化合物(2C)の合成
【化7】

窒素気流下、THF500mLとジイソプロピルアミン 28.42gを−70℃まで冷却し、n−ブチルリチウム1.6mol/Lヘキサン溶液145mLを滴下し、90分撹拌を行った。その後、低温を維持したまま、4−プロピルシクロヘキサノン(東京化成工業社製)30.40gとTHF30mLを滴下し、90分撹拌した。さらに、クロロリン酸ジエチル41.26gとTHF20mLを滴下し、30分低温を保った後、徐々に室温まで昇温させた。10%塩化アンモニウム水溶液100mLでクエンチを行った後、トルエン300mLを加え、10%塩化アンモニウム水溶液および水で洗浄、硫酸マグネシウムで処理し、濃縮をすることで化合物(5)53.02gを得た。
【0077】
【化8】

窒素気流下、前記と同じ方法で合成した化合物(5)61.15gと塩化メチレン440mLとを氷浴にて冷却し、ヨードトリメチルシリルシラン150gを滴下後、40℃ にて3時間撹拌を行った。飽和重炭酸ナトリウム溶液100mLを用いてクエンチし、水で洗浄、濃縮を行った。得られた粗油をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製を行い化合物(6)43.04gを得た。
【0078】
【化9】

窒素気流下、化合物(6)21.68g、パーフルオロ−1,4−ジヨードブタン110.51g、ジメチルスルホキシド220mLを100℃で6時間撹拌した。得られた反応粗油をトルエンで稀釈し、水でクエンチを行った後、得られた有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液、水の順で洗浄し、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー (展開溶媒:ヘキサン)で精製を行い、化合物(2C”)34.74gを得た。
【0079】
【化10】

窒素気流下、化合物(2C”)20.20gとエタノール100mLとを撹拌し、水素化ホウ素ナトリウム2.60gとエタノール100mLを混合し少量ずつ加え、3時間撹拌した。トルエン200mLで稀釈し、水100mLでクエンチを行い、有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄したのち、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで化合物(2C’)13.40gを得た。
【0080】
【化11】

耐圧容器中、化合物(2C’)13.4g、5%パラジウムカーボン2.68gおよび酢酸エチル13mLを、水素圧0.75MPa、室温で撹拌を1日行った。反応終了後、残渣をろ過し、ヘキサンで洗浄し、濃縮を行った。得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製を行い化合物(2C)12.53gを得た。
【0081】
(実施例3)化合物(3C)および化合物(1C)の合成
【化12】

【0082】
窒素気流下、4−プロピルブロモベンゼン19.08gとTHF180mLとを−75℃に冷却した後、n−ブチルリチウム1.6mol/Lヘキサン溶液65mLを滴下し、1時間撹拌を行い、化合物(3C)の生成反応を行った。
その後、合成例3で合成した化合物(2C)10.16gとTHF20mLとを滴下した後、室温まで徐々に昇温させ、4時間撹拌した。水100mLでクエンチ後、トルエン200mLを加え、有機層を10%塩化アンモニウム水溶液および水で洗浄した。得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製し、エタノールとヘキサンの混合溶媒から再結晶を行うことで化合物(1C)3.24gを得た。
【0083】
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−115.78(m,2F)、−119.38(m,2F),−147.78(m,1F),−165.23(m,1F)
H−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:SiMe)δ(ppm):7.60(m,2H),7.15(m,2H),2.66−0.68(m,24H)
<相系列>
C50.7N50.7I (C:結晶、N:ネマチック相、I:等方相)
【0084】
上記化合物(1C)10質量%と、メルク社製液晶組成物「ZLI−1565」90質量%とを混合して得られた組成物を用いて、25℃における屈折率異方性(Δn)を外挿により求めたところ、0.098であった。
【0085】
(実施例4)化合物(3B)および化合物(1D)の合成
【化13】

【0086】
アルゴン雰囲気下、粒状リチウム7.59g、4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニル135.41g、THF975mLとを室温で2時間撹拌した後、−60℃まで冷却を行った。化合物(4B)35.99gを滴下し、1時間半撹拌して化合物(3B)の生成反応を行った。
その後、−85℃まで冷却し、合成例3と同じ方法で合成した化合物(2C)22.00gとTHF10mLを滴下した。1時間半撹拌を行った後、水200mLでクエンチを行い有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄したのち、濃縮を行い得られた粗生成物をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製を行い、エタノールとヘキサンから再結晶を行い化合物(1D)4.76gを得た。
【0087】
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:CFCl)δ(ppm):−116.34(m,2F)、−119.70(m,2F),−150.58(m,1F),−171.25(m,1F)
1H−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl、基準:SiMe)δ(ppm):2.67−0.86(m,34H)
<相系列>
C67.0(SmA55.7)N77.6I (C:結晶、SmA:スメクチックA相、N:ネマチック相、I:等方相)
【0088】
上記化合物(1D)10質量%と、メルク社製液晶組成物「ZLI−1565」90質量%とを混合して得られた組成物を用いて、25℃における屈折率異方性(Δn)を外挿により求めたところ、0.071であった。
【0089】
また、メルク社製液晶組成物ZLI−1565を母液晶として用い、下記物性を測定した。なお、化合物C1および化合物C2は、特開平10−7598号公報(特許文献3)記載の方法を参考に合成した。
【0090】
[バルク粘度]
母液晶90質量%、化合物(1C)10質量%からなる液晶組成物を調整し、ずり粘度計を用いて25℃および0℃にて測定後、外挿によって算出した。母液晶90質量%、比較化合物(C1)10質量%からなる液晶組成物を調製し、同様に測定と算出を行なった。結果を表1に示す。
【表1】

【0091】
[透明点]
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−82HT型ホットステージ)に、試料(目的化合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部が液晶相から等方性液体に変化したときの温度を透明点(Tc)として、外挿により求めた。試料として母液晶90質量%、化合物(1D)10質量%からなる液晶組成物と、母液晶90質量%、化合物(C2)10質量%からなる液晶組成物をそれぞれ調整し、透明点を求めた。結果を表2に示す。
【表2】

【0092】
実施例および合成例に基づいて、化合物(1)として下記の化合物を製造することができる。下記に示す式中、−Ph−および−Cy−は上記と同様であり、他の記号は以下の意味を示す。
−Ph(3F)−:3−フルオロ−1,4−フェニレン基。
−Ph(3F,5F)−:3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基。
−Ph(2F,3F)−:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基。
【0093】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
11−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−OCH
【0094】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
11−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−OCH
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−CF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−OCF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph(3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph(3F,5F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph(2F,3F)−F
【0095】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
11−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−OCH
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−CF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−OCF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph(3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph(3F,5F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph(2F,3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph(3F,5F)−Ph(3F,5F)−F
【0096】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
11−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−OCH
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−CF
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−OCF
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph−F
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph(3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph(3F,5F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Ph(2F,3F)−F
【0097】
CH−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−C11
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−OCH
【0098】
CH−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−OCH
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−CF
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−OCF
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph(3F)−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph(3F,5F)−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph(2F,3F)−F
【0099】
CH−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C11
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C11
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−C11
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−OCH
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−CF
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Cy−Cy−OCF
【0100】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
11−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−OCH
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−CF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−OCF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(3F,5F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(2F,3F)−F
【0101】
CH−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
11−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−OCH
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−CF
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−OCF
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(3F)−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(3F,5F)−F
−Cy−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph(2F,3F)−F
【0102】
CH−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
11−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−C
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−OCH
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−CF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−OCF
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph(3F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph(3F,5F)−F
−Cy−CFCFCF=CF−Ph−Ph−Ph−Ph(2F,3F)−F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表される含フッ素液晶化合物。
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCF=CF-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R (1)
上記式(1)中の記号は以下の意味を示す。
、R:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の一価の非環式脂肪族炭化水素基。ただし、該脂肪族炭化水素基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
1、A、A、A、A、A、A、A:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。該基中の1以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
、Z、Z、Z、Z、Z:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、−COO−または炭素数1〜4の二価の非環式脂肪族炭化水素基。ただし、該脂肪族炭化水素基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素原子間または該脂肪族炭化水素基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
m、n、o、p、q、r:相互に独立して0または1。ただし、m+n+o+p+q+rは3以下である。
【請求項2】
前記化合物が下記式(1−1)で表される、請求項1に記載の含フッ素液晶化合物。
11-(A11-Z11)-(A21-Z21)-(A31-Z31)-A41-CFCFCF=CF-A51-(Z41-A61)-(Z51-A71)-(Z61-A81)-R21 (1−1)
上記式(1−1)中の記号は以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数2〜10のアルキニル基。ただし、基中の1以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、基中の炭素−炭素原子間または基の結合末端に−O−または−S−が挿入されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71、A81:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基。ただし該1,4−フェニレン基中に存在する水素原子の1つ以上がフッ素原子に置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51、Z61:相互に独立して、単結合、−O−、−S−、または炭素数1〜4のアルキレン基。ただし、該基中の1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中の炭素−炭素原子間または該基の結合末端に、−O−または−S−が挿入されていてもよい。
m、n、o、p、qおよびrは前記と同じ意味を示す。
【請求項3】
式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物とを反応させることによる、式(1)で表される含フッ素液晶化合物の製造方法。
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCFCF(2)
M-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(3)
1-(A1-Z1)-(A-Z)-(A-Z)-A-CFCFCF=CF-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(1)
上記各式中、R、R、A、A、A、A、A、A、A、A、Z、Z、Z、Z、Z、Z、m、n、o、p、qおよびrは、請求項1における規定と同じであり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または水素原子であり、Mは金属原子またはハロゲン化金属である。
【請求項4】
下式(4)で表わされる化合物のメタル化により上記式(3)で表される化合物を得る工程をさらに含む請求項3に記載の方法。
-A-(Z-A)-(Z-A)-(Z-A)-R(4)
上記式中、R、A、A、A、A、Z、Z、Z、p、qおよびrは、前記式(3)と同じであり、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【請求項5】
請求項1または2に記載の含フッ素液晶化合物を含有する液晶組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶組成物を電極付き基板間に挟持した液晶電気光学素子。

【公開番号】特開2012−106966(P2012−106966A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258562(P2010−258562)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000108030)AGCセイミケミカル株式会社 (130)
【Fターム(参考)】