説明

液晶媒体

【課題】優れた液晶媒体を提供する。
【解決手段】本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含む液晶媒体、電気光学的目的のためのそれの使用、およびこの媒体を含有するディスプレイに関する。


(ただし、RおよびRは、請求項1中に記載される意味を有する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶媒体、電気光学的目的のためのそれの使用、およびこの媒体を含有するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主にディスプレイ装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学的装置は当業者に極めて既知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(超捩れネマチック:Supertwisted Nematic)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的なディスプレイ装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、捩れネマチック構造を有する。
【0003】
液晶材料は、良好な化学的および熱的安定性、および電場および電磁線放射に対して優れた安定性を有していなければならない。また、液晶材料は低粘度であり、セル中で、アドレス時間が短くコントラストが高くなければならない。
【0004】
更に、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温より上または下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば、前述のセル用のネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は、通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することも重要である。更に、導電性、誘電異方性および光学異方性などの特性が、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、捩れネマチック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および低い導電性を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
この型のマトリックス型液晶ディスプレイは既知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用できる非線形素子は、例えば、アクティブ素子(つまりトランジスター)である。そして使用される用語「アクティブマトリックス」は、2つの型に区別される。
【0007】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(金属酸化物半導体:Metal Oxide Semiconductor)または他のダイオード。
【0008】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(TFT:Thin−Film Transistor)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0010】
好適であり、より有望な第2の型の場合には、使用される電気光学的効果は、通常、TN効果である。区別される2つの技術がある。:例えば、CdSeなどの化合物半導体を含むTFT、または多結晶またはアモルファスシリコンに基づくTFTである。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に適用され、もう一方のガラス板は、その内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用でき、そこでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過に対して直交した偏光板を含有するTNセルとして作動し、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を含有する任意のマトリックスディスプレイを網羅し、即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のなどの受動型素子を備えたディスプレイもである。
【0014】
この型のMLCディスプレイは、テレビ用途(例えばポケットテレビ)またはコンピュータ用(ラップトップ)に、および自動車または航空機内に特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題もある[TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.、SHIMIZU,H.、Proc.Eurodisplay 84、1984年9月:「A 210−288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、141ff頁、パリ(非特許文献1);STROMER,M.、Proc.Eurodisplay 84、1984年9月:「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、145ff頁、パリ(非特許文献2)]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、残像消去の問題が生じる場合もある。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に渡って低下するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗が非常に重要である。特に、低電圧混合物の場合、非常に高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。更に、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の増加が可能な限り小さいことも重要である。また、低温特性、特に先行技術による混合物の所謂「低温特性」(LTS:low temperature stability)も特に良くない。低温であっても、結晶および/またはスメクチック相が生じないこと、および粘度の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術からのMLCディスプレイは、今日の必要条件を満たしていない。
【0015】
よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間を有しており、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0016】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で以下の利点を容易にする媒体が望まれる:
−広くなったネマチック相範囲(特に、低い温度まで)
−極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空工学)
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)。
【0017】
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0018】
超捩れ(STN)セルの場合、より大きなマルチプレクス可能性および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクチック−ネマチック転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【0019】
テレビおよびモニター用途には、速い応答時間および低い閾電圧を有する媒体が望ましく、更には、良好な低温安定性が要求される。また、スイッチ可能なLC層の厚みよっては、高い複屈折率が要求される場合もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.、SHIMIZU,H.、Proc.Eurodisplay 84、1984年9月:「A 210−288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、141ff頁、パリ
【非特許文献2】STROMER,M.、Proc.Eurodisplay 84、1984年9月:「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、145ff頁、パリ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
よって、本発明は、特に、この型のMLC、TNまたはSTNディスプレイ用で、上記の不具合を有していないか、有していても低減されており、好ましくは同時に、高い透明点および低い回転粘度を有しており、更に好ましくは、速いスイッチング時間、高い比抵抗、低い閾電圧、および改良されたLTSを示す媒体を提供する目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
ここで、この目的は、本発明による媒体をディスプレイ中で使用することで、達成できることが見出された。
【0023】
よって、本発明は、式Iの1種類以上の化合物を含む液晶媒体に関する。
【0024】
【化1】

式中、
およびRは、互いに独立に、2〜9個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルケニルオキシ基である。
【0025】
純粋な状態において、式Iの化合物は無色であり、電気光学的使用にとって特に好ましい温度範囲において液晶中間相を形成する。それらは、化学的、熱的および光に対して安定である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
式I中のRおよびRは、好ましくは、2〜9個、特に好ましくは、2個、3個、4個または5個のC原子を有する無置換で直鎖のアルケニルである。
【0027】
式Iの特に好ましい化合物は、以下の式より選択されるものである。
【0028】
【化2】

式中、
1aおよびR2aは、それぞれ互いに独立に、H、CH、Cまたはn−Cである。
【0029】
特に好ましくは、R1aおよびR2aがHまたはCHから選択され、特には、R1aおよびR2aがHである化合物で、最も好ましくは、R1a=R2a=Hである式I1のものである。
【0030】
式Iの化合物は、文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの標準的な著作)に記載される通り、それ自身は公知の方法により公知で該反応に適する正確な反応条件により調製される。それ自身は公知だがここでは非常に詳細には述べていない変法も、ここで利用できる。
【0031】
また、本発明は、この型の媒体を含有する電気光学的ディスプレイ(特に、枠と共にセルを構成する2枚の平行な外板と、外板上の各ピクセルをスイッチングするための集積非線形素子と、セル中に配置されて正の誘電異方性および高い比抵抗のネマチック液晶混合物とを含有するSTNまたはMLCディスプレイ)と、これらの媒体を電気光学的目的のために使用することにも関する。また、本発明による混合物は、IPS(in plane switching:面内スイッチング)用途、OCB(optically controlled birefringence:光学的制御複屈折)用途、FFS(Fringe Field Switching:フリンジ場スイッチング)用途、VA(vertical alignment:垂直配向)用途にも適している。
【0032】
本発明による液晶混合物によって、利用できるパラメーターの大きさを著しく広げることができる。特に、式Iの化合物を含む液晶混合物を使用することにより、高い透明点を維持する一方で、低い回転粘度、速いスイッチング時間を有する混合物を得ることが可能であることが見出された。
【0033】
透明点、回転粘度γ、低い光学異方性Δnおよび誘電異方性Δεの達成可能な組み合わせは、先行技術からの以前の材料より極めて優れている。
【0034】
高い透明点、低温におけるネマチック層および高い正のΔεに対する要求は、これまで不適切な程度に達成されてきたのみであった。例えば、高い正のΔεを有するMLC−6424のような従来技術の混合物があるが、それらは低い値の透明点および高い値の回転粘度γを有するのみである。他の混合物系は良好な流動粘度ν20およびΔεの値を有するが、60℃の領域の透明点を有するのみである。
【0035】
本発明による液晶混合物は、−20℃まで、好ましくは−30℃まで、特に好ましくは−40℃までネマチック相を保持する一方で、65℃を超える、好ましくは75℃を超える、特に好ましくは80℃を超える透明点、同時に、3.0以上、好ましくは4.5以上の誘電異方性値Δεおよび達成されるべき比抵抗に対する高い値を可能とし、優れたSTNおよびMLCディスプレイを得ることが可能となる。特に、混合物は低い動作電圧で特徴付けられる。TN閾電圧は2.5V未満、好ましくは2.1V未満、特に好ましくは2.0V未満である。
【0036】
言うまでもなく、本発明による混合物の成分を適切に選択することにより、他の有利な性質を保持しながら、より高い閾電圧においてより高い透明点(例えば110℃を超え)を達成できるか、またはより低い閾電圧においてより低い透明点を達成することも可能である。粘度の対応する上昇を僅かに留めながら、より大きいΔεひいてはより低い閾値を有する混合物を得ることも同様に可能である。本発明によるMLCディスプレイは、好ましくは、グーチおよびタリーの第1次透過極小で動作し(C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Electron.Lett.、10巻、2〜4頁、1974年;C.H.GoochおよびH.A.Tarry、Appl.Phys.、8巻、1575〜1584頁、1975年)、例えば、特性線の高い急峻性およびコントラストの低い角度依存性(独国特許第30 22 818号)などの特に好ましい電気光学的特性に加え、第2次極小で類似するディスプレイと同じ閾電圧において、より低い誘電異方性で十分な場合に使用される。これにより、第1次極小で本発明による混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合より、極めて高い比抵抗を達成することができる。個々の成分およびその重量比を適切に選択することにより、当業者は簡単な日常的方法を使用してMLCディスプレイの予め指定された層の厚さに必要な複屈折率を設定することができる。
【0037】
20℃における流動粘度ν20は、好ましくは60mm・s−1未満、特に好ましくは50mm・s−1未満である。20℃における本発明による混合物の回転粘度γは、好ましくは120mPa・s未満、特に好ましくは100mPa・s未満である。ネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも100°である。この範囲は、好ましくは、少なくとも−20°〜+80°に及んでいる。
【0038】
容量保持率(HR)の測定[S.Matsumotoら、Liquid Crystals 5巻、1320頁(1989年);K.Niwaら、Proc.SID Conference、サンフランシスコ、1984年6月、304頁(1984年);G.Weberら、Liquid Crystals 5巻、1381頁(1989年)]により、例えば、下式
【0039】
【化3】

のシアノフェニルシクロヘキサン類、または下式
【0040】
【化4】

のエステル類を本発明による式Iの化合物の代わりに含む類似混合物に比べて、式Iの化合物を含む本発明による混合物の方が、温度の上昇に伴うHRの低下が著しく小さい挙動をとることが示された。
【0041】
また、本発明による混合物のUV安定性も極めて優れており、即ち、これらは、UVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい挙動を示す。
【0042】
本発明による媒体は、好ましくは、シアノ基を含む化合物を低濃度(10重量%以下)でのみ含み、非常に好ましくは、そのような化合物を含まない。本発明による媒体の保持率の値は、20℃において好ましくは98%を超え、非常に好ましくは99%を超える。
【0043】
液晶ディスプレイ装置中においては短いスイッチング時間が特に好ましく、特に、ビデオおよびテレビ用途で使用される場合である。これらの用途のためには、25ms未満のスイッチング時間(ton+toff)が要求される。スイッチング時間の上限は、画像の繰返し速度で決定される。
【0044】
式Iの化合物に加え、本発明による媒体は、好ましくは、式IIの1種類以上のアルケニル化合物を含む。
【0045】
【化5】

式中、
Aは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
aは、0または1であり、
は、2〜9個の炭素原子を有するアルケニル基であり、および
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基で、該基は無置換、CNまたはCFで一置換またはハロゲンで少なくとも一置換されており、ただし、1個以上のCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【0046】
【化6】

−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。
【0047】
aが0およびAがシクロヘキシレンの場合、Rは、好ましくは、1〜8個のC原子のアルキルまたは2〜9個のC原子のアルケニルである。
【0048】
式IIの好ましい化合物は、以下の式より選択される。
【0049】
【化7】

式中、
3aおよびR4aは、それぞれ互いに独立に、H、CH、Cまたはn−Cであり、「alkyl」は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖のアルキル基である。
【0050】
特に、式中R3aがHまたはCHである式IIaおよびIIfの化合物、および特に、式中R3aおよびR4aがH、CHまたはCである式IIcの化合物が特に好ましい。
【0051】
本発明の更に好ましい実施形態を下に示す。
【0052】
−媒体は、一般式III〜VIIを含む群より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0053】
【化8】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
は、それぞれ9個までの炭素原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルであり、
は、F、Cl、1〜6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシであり、
は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCF−または−CFO−であり、
’は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCF−または−CFO−または単結合であり、
〜Yは、互いに独立に、HまたはFであり、
rは、0または1であり、
【0054】
【化9】

である。
【0055】
上式中のXは、好ましくは、F、Cl、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CFであり、最も好ましくは、F、ClまたはOCFである。
【0056】
【化10】

−式IIIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0057】
【化11】

式中、XおよびRは上で与えられる意味を有し、Xは、好ましくは、F、ClまたはOCFである。
【0058】
−式IVの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0059】
【化12】

式中、X、YおよびRは上で与えられる意味を有し、Xは、好ましくは、FまたはOCFである。式IVa、IVb、IVdおよびIVeの化合物が、特に好ましい。
【0060】
−式Vの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0061】
【化13】

【0062】
【化14】

式中、XおよびRは式III中で与えられる意味を有し、Xは、好ましくは、FまたはOCFである。式VbおよびVfの化合物が、特に好ましい。
【0063】
−式VIの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。
【0064】
【化15】

式中、XおよびRは上で与えられる意味を有し、Xは、好ましくは、FまたはOCFである。式VIa、VIbおよびVIcの化合物が、特に好ましい。
【0065】
−式VIIの化合物は、好ましくは、式VIIaおよびVIIbより選択される。
【0066】
【化16】

式中、XおよびRは上で与えられる意味を有し、Xは、好ましくは、FまたはOCFである。
【0067】
−LC媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0068】
【化17】

式中、XおよびRは上で与えられる意味を有し、LはH、FまたはClである。Xは、好ましくは、FまたはClである。式VIII、IXおよびXの化合物において、好ましくは、XはClまたはFであり、LはHまたはFである。式VIII、IXおよびXの化合物が、非常に好ましい。
【0069】
−媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0070】
【化18】

【0071】
【化19】

式中、R、XおよびY1〜4は、それぞれ互いに独立に、式III〜VII中で定義される通りである。Xは、好ましくは、F、Cl、CF、OCFまたはOCHFである。Rは、好ましくは、それぞれ6個までの炭素原子を有するアルキル、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルである。特に、Y1〜4がFである式XIV、XXIIIおよびXXIVの化合物、および、特に、Y1〜2がFでYがHである式XVIの化合物が特に好ましい。
【0072】
−媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0073】
【化20】

式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、式II中で定義される通りのRの意味の1つを有し、LはHまたはFである。LがFである式XXVの化合物が、特に好ましい。
【0074】
−媒体は、以下の式の1種類以上のアルケニル化合物を付加的に含む。
【0075】
【化21】

式中、
は、式II中で定義される通りであり、
Qは、CF、OCF、CFH、OCFHまたは単結合であり、
Yは、FまたはClであり、および
およびLは、それぞれ互いに独立に、HまたはFである。
【0076】
および/またはLがFでQ−YがFまたはOCFである式XXVIIの化合物が、特に好ましい。Rが、2〜7個、好ましくは2個、3個または4個の炭素原子を有するビニル、1E−アルケニルまたは3E−アルケニルである式XXVIIの化合物が更に好ましい。
【0077】
式XXVIIaの化合物が、非常に好ましい。
【0078】
【化22】

式中、R3aは、H、CH、Cまたはn−C、特に、HまたはCHである。
【0079】
−媒体は、以下の式の1種類以上のアルケニル化合物を付加的に含む。
【0080】
【化23】

式中、RおよびRは式II中で定義される通りであり、rは1または2である。LおよびLは、それぞれ独立に、HまたはFである。
【0081】
式XXVIIIの好ましい化合物は、以下である。
【0082】
【化24】

およびRが、2〜7個、好ましくは2個、3個または4個の炭素原子を有する1E−アルケニルまたは3E−アルケニルである式XXVIIIの化合物が特に好ましい。式XXVIIIaの化合物が、非常に好ましい。
【0083】
【化25】

式中、R3aおよび「alkyl」は式IIa中で定義される通りであり、R3aは、好ましくは、HまたはCHである。
【0084】
−媒体は、以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0085】
【化26】

式中、R5およびR6は、上で定義される通りである。
【0086】
−媒体は、式D1およびD2より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0087】
【化27】

式中、Y、Y、XおよびRは請求項3または請求項7中で定義される通りであり、YおよびYはHまたはFであり、好ましくは、Y=Y=F、およびXは、好ましくは、Fである。
【0088】
−媒体は、式Q1およびQ2より選択される1種類以上の化合物を付加的に含む。
【0089】
【化28】

式中、Y、X、YおよびRは請求項3または請求項7中で定義される通りである。YおよびYはHまたはFであり、好ましくは、Y=Y=F、およびXは、好ましくは、Fである。
【0090】
−媒体は、式II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X、XIV、XVI、XXIV、XXV、XXVIおよびXXVIIより選択される1種類以上の化合物を含む。
【0091】
−Rは、2〜7個の炭素原子を有する直鎖のアルキルまたはアルケニルである。
【0092】
−媒体は、式Iの、最も好ましくは式I1の、1〜4種類、好ましくは1種類または2種類の化合物を含む。
【0093】
−媒体は、式IIの、最も好ましくは式IIおよび/またはIIcの、1〜6種類、好ましくは1種類、2種類、3種類または4種類の化合物を含む。
【0094】
−媒体中における式Iの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、1〜15%、非常に好ましくは1〜8重量%である。
【0095】
−媒体中における式IIの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、20〜70%、非常に好ましくは30〜60重量%である。
【0096】
−媒体は、特には、R3aがHである式IIaの1種類以上の化合物を、混合物全体に基づいて、15〜50%、好ましくは20〜40重量%含む。
【0097】
−媒体中における式IIIの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、5〜40%、非常に好ましくは10〜25重量%である。
【0098】
−媒体中における式IVの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、5〜35%、非常に好ましくは10〜25重量%である。
【0099】
−媒体中における式Vの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、4〜35%、非常に好ましくは5〜25重量%である。
【0100】
−媒体中における式VIの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、5〜30%、非常に好ましくは5〜25重量%である。
【0101】
−媒体中における式IXの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、2〜20%、非常に好ましくは2〜10重量%である。
【0102】
−媒体中における式XIVの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、1〜10%、非常に好ましくは1〜8重量%である。
【0103】
−媒体中における式XXVの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、2〜20%、非常に好ましくは1〜15重量%である。
【0104】
−媒体中における式XXVIIの化合物の割合は、混合物全体に基づいて、2〜30%、非常に好ましくは5〜25重量%である。
【0105】
−媒体は、一般式I、IIおよびIII〜XXXIから成る群より選択される化合物より本質的になる。
【0106】
用語「アルキル」は、1〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基を網羅し、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基である。2〜5個の炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0107】
用語「アルケニル」は、2〜7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基を網羅し、特に直鎖基である。特に、アルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等である。5個までの炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0108】
用語「フルオロアルキル」は、好ましくは、末端フッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを網羅する。しかしながら、フッ素の他の位置を除外するものではない。
【0109】
用語「オキサアルキル」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖基を網羅し、ただし、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6である。nは好ましくは1で、mは好ましくは1〜6である。
【0110】
たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II、III、IV、V、VIおよび/またはVIIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として閾電圧が著しく低下し、複屈折率の値が低くなり、同時に広い範囲でのネマチック相で低いスメクチック−ネマチック転移温度が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。式I〜XVIIIの化合物は無色および安定で、互いにおよび他の液晶材料と容易に混和する。更に、本発明による混合物は高い透明点と同時に非常に低い値の回転粘度γによって区別される。
【0111】
およびXの意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性などを所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などにより、結果として、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善および弾性定数k33(ベンド)およびk11(スプレイ)のより高い比となる。4−アルケニル基、3−アルケニル基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に、より低い閾電圧およびより低い値のk33/k11を与える。
【0112】
−CHCH−基は、単共有結合と比較して、一般に、より高い値のk33/k11の結果となる。より高い値のk33/k11は、例えば、90°捩れ(グレーシェイドを達成するため)のTNセル中における透過特性線をより平坦にし、STN、SBEおよびOMIセル(より大きなマルチプレクス性)中における透過特性線をより急峻にすることを容易たらしめ、逆も同様である。
【0113】
式I〜XXXIの化合物の最適な混合比は、所望の特性、式I〜XXXIの成分の選択、および存在する場合もある任意の他の成分の選択に実質的に依存する。上で与えられる範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決定できる。
【0114】
本発明による混合物中の式I〜XXXIの化合物の総量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性を最適化する目的のために、1種類以上の更なる成分を含むことができる。しかしながら、式I〜XXXIの化合物の合計濃度が多くなるほど、アドレス時間および閾電圧において観測される効果は一般に大きくなる。
【0115】
特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、Xが、F、OCF、OCHF、OCH=CF、OCF=CFまたはOCF−CFHである式III〜VIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が得られる。特に、式Iと、式III〜VII、特に、IVおよびVIとの化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで区別される。
【0116】
式Iの化合物を含み、更に式II〜XVIIIの1種類以上の化合物を含む本発明による液晶媒体は、低い値の回転粘度、高い複屈折率、良好なLTSによって特徴付けられ、速い応答時間を示す。それらは、テレビ、ビデオおよびモニター用途に特に適する。
【0117】
本発明による媒体中において使用できる式I〜XXXIおよびそれらのサブ式の個々の化合物は既知であるか、または既知の化合物に類似して調製できる。
【0118】
偏光板、電極基板および表面処理された電極からの本発明によるMLCディスプレイの構成は、この型のディスプレイの従来構成に対応する。ここで、用語「従来構成」は広い意味で用いられ、MLCディスプレイの全ての誘導および変形を網羅し、特に、多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子が挙げられる。
【0119】
しかしながら、本発明によるディスプレイと従来の捩れネマチックセルに基づくディスプレイとの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0120】
本発明に従って使用できる液晶混合物は、それ自体従来の方法で調製される。一般に、より少ない量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で溶解し、加温が有効である。また、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノールの有機溶媒中で成分溶液を混合し、完全に混合後、例えば蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0121】
また、誘電体は、当業者に既知で文献に記載される更なる添加剤を含んでもよい。例えば、0〜15%の多色性色素、安定剤、抗酸化剤、ナノ粒子、微粒子またはキラルドーパントを加えることができる。適切なドーパントおよび安定剤は、下の表CおよびDに示されている。
【0122】
本出願および下に示す例において、液晶化合物の構造は頭文字を用いて示されており、化学式への変換は下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、nおよびm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基である。nおよびmは、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6または7である。表B中のコードは、それ自体で明らかである。表A中には、親構造にかかわる頭文字のみが示されている。個々の場合において、この親構造の頭文字の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R、R、LおよびLのためのコードが続く。
【0123】
【表1】

本発明による混合の考え方の好ましい混合物成分を、表AおよびB中に与える。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

【0128】
【表6】

【0129】
【表7】

【0130】
【表8】


表Cは、好ましくは0.1〜10重量%、非常に好ましくは0.1〜6重量%の割合で、本発明による化合物に添加される場合もある可能なドーパントを示す。
【0131】
【表9】

【0132】
【表10】

表Dは、最終混合物に基づいて、好ましくは0.001〜8重量%の量、特に好ましくは0.05〜5重量%の量で、本発明による混合物に添加する場合がある可能な安定剤を示す。
【0133】
【表11】

【0134】
【表12】

【0135】
【表13】

【0136】
【表14】

【0137】
【表15】

式Iの1種類以上の化合物に加え、表Bからの1種類、2種類、3種類、4種類または5種類以上の化合物を含む混合物が特に好ましい。
【0138】
本発明の範囲内に依然としてありながら、本発明の先述の実施形態に対する変形が可能であることが分かるであろう。この明細書中で開示されるそれぞれの構成成分は、他に明言しない限り、同一、同等または類似の目的を供与する代わりの構成成分で置き換えることができる。よって、他に明言しない限り、開示されるそれぞれの構成成分は、包括的な一連の同等または類似の構成成分の一例に過ぎない。
【0139】
本明細書中で開示される構成成分の全ては、そのような構成成分および/または工程の少なくとも幾つかが互いに排他的でない場合、任意の組合せで組合すことができる。特に、本発明の好ましい構成成分は本発明の全ての様態に適用でき、任意の組合せで使用できる。同様に、必須ではない組み合わせ中で記載される構成成分は、別途に(組合せではなく)使用できる。
【0140】
上記の、特に好ましい実施形態の構成成分の多くは、それら自身の特許権において発明性を備えており、ただ単に本発明の実施形態の一部ではないことが分かるであろう。任意の特許請求される本発明に加えるか代わりに、これらの構成成分に対する独立した特許による保護が求められる場合もある。
【実施例】
【0141】
ここで、以下の例を参照して本発明を更に詳細に記述するが、それらは本発明の範囲を制限することなく、ただ単に説明するものである。
【0142】
他に明言しない限り、パーセンテージは重量パーセントである。全ての温度は摂氏度で与えられる。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点である。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、およびIは等方相である。これらの記号間のデータは転移温度を表す。Δnは光学異方性を表わし、nは通常屈折率(589nm、20℃)を表す。流動粘度ν20(mm/秒)および回転粘度γ[mPa・s]は、それぞれ20℃において決定された。V10は、10%透過(板表面に垂直な視野角)の電圧を表す。tonは、V10の値の2倍に対応する動作電圧におけるスイッチ−オン時間を表し、toffはスイッチ−オフ時間を表す。Δεは誘電異方性(Δε=ε−ε、ここでεは分子の長軸に平行な誘電率、εはそれに垂直な誘電率を表す)を表す。電気光学的データは、他に明言しない限り、20℃における第1次極小(即ち、d・Δnの値が0.5μm)でTNセル中において測定した。光学的データは、他に明言しない限り、20℃で測定した。
【0143】
本出願を通して、他に明言しない限り、全ての濃度は質量%で与えられ、それぞれの完全な混合物に関し、全ての温度はセルシウス度(摂氏)で与えられ、温度の全ての相違はセルシウス度で与えられる。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月刊、ドイツ国メルク社にしたがって決定され、、他に明言しない限り、20℃の温度で与えられる。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾値電圧ならびに全ての他の電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で調製された試験セルで決定する。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル間隔を有している。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用にはレシチン、およびホモジニアス配向(ε)用には日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054である。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用する周波数応答分析装置Solatron1260で決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。用いる構成は、日本国大塚社より商業的に入手可能な装置である。特性電圧は、垂直観察下で決定する。閾値(V10)−中間灰色(V50)−および飽和(V90)電圧は、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定する。
【0144】
<比較例1>
【0145】
【表16】

<例1>
比較例1の混合物中の4環アルキル化合物CBC−nmを、本発明による式Iの4環アルケニル化合物CPPC−V−Vにより置き換える。透明温度を維持できる一方で、生じる混合物の回転粘度は比較例1の混合物より5%低い。
【0146】
【表17】

<例2>
比較例1の混合物中の4環アルキル化合物CBC−nmを、本発明による式Iの4環アルケニル化合物CPPC−V−Vにより置き換える。透明温度を維持できる一方で、生じる混合物の回転粘度は比較例1の混合物より5%低い。
【0147】
【表18】

<比較例2>
【0148】
【表19】

<例3>
比較例2の混合物中の4環アルキル化合物CBC−nmを、本発明による式Iの4環アルケニル化合物CPPC−V−Vにより置き換える。透明温度を殆ど維持できる一方で、生じる混合物の回転粘度は比較例2の混合物より4%低い。
【0149】
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの1種類以上の化合物を含む液晶媒体。
【化1】

(式中、
およびRは、互いに独立に、2〜9個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルケニルオキシ基である。)
【請求項2】
式IIの1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1に記載の媒体。
【化2】

(式中、
Aは、1,4−フェニレンまたはトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、
aは、0または1であり、
は、2〜9個の炭素原子を有するアルケニル基であり、および
は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基で、該基は無置換、CNまたはCFで一置換またはハロゲンで少なくとも一置換されており、ただし、1個以上のCH基は、それぞれの場合で互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−O−、−S−、
【化3】

−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−で置き換えられていてもよい。)
【請求項3】
一般式III、IV、V、VIおよびVIIからなる群より選択される1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の媒体。
【化4】

(式中、個々の基は以下の意味を有する:
は、それぞれ9個までの炭素原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニル、アルケニルオキシであり、
は、F、Cl、1〜6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシであり、
は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCF−または−CFO−であり、
’は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCF−、−CFO−または単結合であり、
〜Yは、互いに独立に、HまたはFであり、
rは、0または1であり、および
【化5】

である。)
【請求項4】
以下の式の1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の媒体。
【化6】

(式中、RおよびXは請求項3中で定義される通りであり、LはHまたはFである。)
【請求項5】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜4の一項以上に記載の媒体。
【化7】

(式中、R、XおよびY1〜3は、請求項3中で定義される通りである。)
【請求項6】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜5の一項以上に記載の媒体。
【化8】

(式中、
およびRは、請求項2中で定義される通りであり、
rは、1または2であり、
およびLは、それぞれ独立に、HまたはFである。)
【請求項7】
以下の式より選択される1種類以上の化合物を付加的に含むことを特徴とする請求項1〜6の一項以上に記載の媒体。
【化9】

(式中、RおよびRは、それぞれ互いに独立に、請求項2中で定義される通りのRの意味の1つを有する。)
【請求項8】
該媒体中の式Iの化合物の割合は、混合物全体を基礎として1〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜7の一項以上に記載の媒体。
【請求項9】
電気光学的目的のための請求項1〜8の一項以上に記載の液晶媒体の使用。
【請求項10】
請求項1〜8の一項以上に記載の液晶媒体を含有する電気光学的液晶ディスプレイ。

【公表番号】特表2009−543908(P2009−543908A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519846(P2009−519846)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006286
【国際公開番号】WO2008/009398
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】