説明

液晶状態の化粧料

【課題】 液晶状態の化粧料組成物において、液晶系の安定性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】 1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを、化粧料組成物に含有させて、液晶状態を形成させる。前記HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤としては、POE(1〜5)オレイン酸エステル及びPOE(1〜5)オレイルエーテルから選択される1種乃至は2種以上が好ましく、前記炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとしては、ラウリン酸アルギニン及び/又はイソステアリン酸アルギニンが好ましく、更に、1,2−ペンタンジオール等を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、液晶状態の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
少量の界面活性剤と水性の担体とが形成する液晶は、液晶構造に由来する光干渉作用により、多色の虹様の発色をするため、非常に美麗な外観を有するため、化粧料分野への応用がこれまで試みられてきている。前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤と液状の親油性界面活性剤の組み合わせ使用が通常行われており、該アニオン性界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルリン酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンが付加されていても良いアルキル硫酸塩乃至はアルキルリン酸塩が使用され、前記液状の親油性界面活性剤としては、HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤が使用されてきていた。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)しかしながら、この様な構成を取ることにより、優れた発色性を有する液晶組成物が得られるが、その安定性は1〜3ヶ月が限度であり、保存時間が長くなるとともに液晶はエマルションへと転相し、白濁した虹様の発色のない組成物に変異してしまうのが一般的な傾向であった。この様な変異の原因としては、一つには、準安定系から安定系への系移行があり、もう一つには、非イオン界面活性剤が酸化され液晶を形成しにくくなることがあるといわれている。通常この様な酸化を防ぐためには、ビタミンEの添加が有効と考えられているが、前記の液晶系へのビタミンEの添加は系をエマルション系へ移行させるものであり、実質的に不可能であった。この様な状況から、前記液晶系の安定性を向上させる手段の開発が望まれていたといえる。
【0003】
一方、化粧料の水性担体の性質を改質する目的で岩石性の鉱物を化粧料に添加する技術は既に知られており、前記岩石性の鉱物としては、麦飯石、蛇紋石、貴宝石、トルマリンなどが知られている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)が、岩石性の鉱物が発色性の液晶の安定性を向上することは全く知られていないし、液晶状態の化粧料組成物と岩石性の鉱物とを共存せしめることも全く知られていない。
【0004】
1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを含有する液晶状態の化粧料組成物は全く知られていないし、該化粧料組成物を麦飯石及び/又は蛇紋石とともに化粧料容器に充填してなる化粧料も全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−283705号公報
【特許文献2】特開2005−132797号公報
【特許文献3】特開2002−255785号公報
【特許文献4】特開2004−323815号公報
【特許文献5】特開2005−206613号公報
【特許文献6】特開2001−151632号公報
【特許文献7】特開平10−139671号公報
【特許文献8】特開2001−122736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこの様な状況下為されたものであり、液晶状態の化粧料組成物において、液晶系の安定性を向上させる手段を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、液晶状態の化粧料組成物において、液晶系の安定性を向上させる手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを含有する液晶状態の化粧料組成物が液晶状態の安定性に優れ、且つ、酸化安定性を麦飯石及び/又は蛇紋石の共存によって更に向上できることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを含有することを特徴とする、液晶状態の化粧料組成物。
(2)前記HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤が、POE(1〜5)オレイン酸エステル及びPOE(1〜5)オレイルエーテルから選択される1種乃至は2種以上である、(1)に記載の液晶状態の化粧料組成物。
(3)前記炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんが、ラウリン酸アルギニン及び/又はイソステアリン酸アルギニンであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の化粧料組成物。
(4)更に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の化粧料組成物。
(5)(1)〜(4)何れか1項に記載の液晶状態の化粧料組成物を麦飯石及び/又は蛇紋石とともに化粧料容器に充填してなる化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶状態の化粧料組成物において、液晶系の安定性を向上させる手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の化粧料組成物の必須成分である非イオン界面活性剤
本発明の化粧料組成物は、液晶状態であって、HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する、非イオン界面活性剤を必須成分として含有することを特徴とする。この様な非イオン界面活性剤としては、例えば、POE(1〜5)オレイン酸エステル、POE(1〜5)オレイルエーテル等が好ましく例示できる。具体的なものとしては、POE(2)オレイルエーテル、POE(1)オレイン酸エステルなどが特に好ましく例示できる。かかる非イオン界面活性剤は唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。液晶状態を形成するために必要なかかる非イオン界面活性剤の含有量は、0.5〜5質量%であり、より好ましくは1〜3質量%である。少なすぎると可溶化系になってしまう場合が存し、多すぎるとエマルション系になってしまう場合が存する。
【0010】
(2)本発明の化粧料組成物の必須成分である脂肪酸石けん
本発明の化粧料組成物は、液晶状態であって、炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんを必須成分として含有することを特徴とする。この様な石けんを構成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸などが好適に例示できる。特に好ましいものは、ラウリン酸アルギニン及び/又はイソステアリン酸アルギニンである。又、脂肪酸とアルギニンのモル比は10:9〜9:10が好ましい。かかる成分は前基非イオン界面活性剤とともに、エマルション状態に系移行しにくい、液晶状態を形成する作用を有する。この様な液晶状態を形成するためには、前記脂肪酸のアルギニン石けんは唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。かかる成分の本発明の化粧料組成物における好ましい含有量は、化粧料組成物全量に対して、総量で0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%である。
【0011】
(3)本発明の化粧料組成物
本発明の化粧料組成物は、前記必須成分を含有し、液晶状態であることを特徴とする。液晶状態であるか否かの判別は、化粧料組成物が干渉色による多色虹様発色を有するか否かによって為される。即ち、本発明の化粧料組成物の構成の内、1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを含有するという、2点を充足する組成物において、干渉色による多色虹様発色を有する組成物については、該光干渉が液晶構造に由来するものであると見なし、本発明の技術的範囲に属するものとする。
【0012】
本発明の化粧料組成物においては、防腐力を付与する意味で、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールから選択される1種乃至は2種以上を含有せしめることが好ましい。かかる成分は防腐力を付与しながら、液晶状態へ影響を与えない。又、かかる成分を含有させることにより、液晶状態をエマルション状態に移行させやすい成分である、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類を系に加えることなく、防腐力を維持できるのでこの様な形態をとることが好ましい。この様な形態においてはフェノキシエタノールを添加することにより、液晶状態に影響なく、防腐力を向上できるので好ましい。前記1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールから選択される1種乃至は2種以上の好ましい含有量は、化粧料組成物全量に対して、総量で、1〜5質量%であり、より好ましくは2〜4質量%である。フェノキシエタノールの好ましい含有量は、0.1〜1質量%であり、より好ましくは0.2〜0.5質量%である。
【0013】
本発明の化粧料組成物においては、通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を、本発明の効果、即ち、液晶状態の安定化作用を損ねない範囲において、含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;アルギニン石けんに分類されない、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類の内、必須成分に分類されないもの;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分の内、油性成分、界面活性剤成分は液晶状態に大きな影響を与えるため、含有量は極めて少量とすべきであり、好ましくは含有しないことが好ましい。又、香料成分も水溶性の、ローズウォーター、オレンジ水、ラベンダー水などの水溶性のものを用いることが好ましい。本発明の皮膚外用剤は、この様な成分を常法に従って処理することにより製造することができる。かくして得られた本発明の化粧料組成物は、液晶状態で安定に存在し、エマルション状態への移行が起こりにくい性質を有する。
【0014】
(4)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記本発明の化粧料組成物を、麦飯石及び/又は蛇紋石とともに化粧料容器に充填してなることを特徴とする。ここで、麦飯石とは、花崗斑岩に分類される鉱物であり、何億年も海底に眠り、海水を吸収した花崗岩の一種で、形状が麦飯状を呈するものである。又、蛇紋石とは、アンチゴライト、クリソタイル及びリザータイトの総称であり、単斜晶系乃至は斜方晶系の晶系を有しており、モース硬度は2.5〜4である。これらの成分は既に市販品が存し、かかる市販品を購入して使用することができる。これらの成分は直径0.3〜1cmの大きさの形に成形して、化粧料容器1個につき、1乃至は5個を容器の底に沈めておき、これに化粧料組成物を充填して化粧料と為すことが好ましい。この様な形態をとることにより、かかる鉱物成分によって化粧料組成物中の酸化因子を除去することができ、非イオン界面活性剤が酸化されて、液晶状態からエマルション状態に遷移するのを抑制することができる。これにより保存安定性が著しく向上する。
【0015】
本発明の化粧料としては、ローション化粧料に応用することが好ましく、その化粧料組成物の美麗な外観を楽しめる容器に充填されるのが好ましい。前記美麗な外観を楽しめる容器としては、無色透明のガラス容器が好適に例示できる。
【0016】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0017】
以下に示す表1の処方に従って、本発明の化粧料組成物である、化粧料組成物1を製造した。即ち、処方成分を80℃に加熱し、攪拌して一様に調整した後、攪拌冷却して化粧料組成物1を得た。
【0018】
【表1】

【0019】
<試験例1>
化粧料組成物1のPOE(2)オレイルエーテルをPOE(2)ステアリルエーテルに置換した比較例1、ラウリン酸とアルギニンをラウリル硫酸ナトリウムに置換した比較例2を作成し、作成直後の状態、5℃、20℃、40℃で1ヶ月保存後の状態を観察した。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料組成物は液晶状態に安定に存在することがわかる。
【0020】
【表2】

【実施例2】
【0021】
実施例1と同様に、表3の処方に従って、本発明の化粧料組成物である、化粧料組成物2を作成した。このものは直後の状態、40℃1ヶ月の保存後の状態、20℃1ヶ月の保存後の状態、5℃1ヶ月の保存後の状態いずれも液晶状態であり、ここにおいても本発明の効果が確かめられた。
【0022】
【表3】

【実施例3】
【0023】
実施例1と同様に、表4の処方に従って、本発明の化粧料組成物である、化粧料組成物3を作成した。このものは直後の状態、40℃1ヶ月の保存後の状態、20℃1ヶ月の保存後の状態、5℃1ヶ月の保存後の状態いずれも液晶状態であり、ここにおいても本発明の効果が確かめられた。
【0024】
【表4】

【実施例4】
【0025】
化粧料組成物1〜3を麦飯石乃至は蛇紋石の存在下、非存在下での液晶状態の安定性を40℃3ヶ月の保存条件で検討した。即ち、化粧料組成物1〜3に麦飯石2粒をいれてもの(本発明の化粧料に相当)、蛇紋石を2粒入れたもの(本発明の化粧料に相当)を用意し、40℃5ヶ月の保存を行い、状態を観察した。結果を表6に示す。これより、麦飯石、蛇紋石の投入により、液晶状態が更に向上することがわかる。
【0026】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、美麗な化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤と、2)炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんとを含有することを特徴とする、液晶状態の化粧料組成物。
【請求項2】
前記HLB4〜7のオレイン酸残基及び/又はオレイルアルコール残基を有する非イオン界面活性剤が、POE(1〜5)オレイン酸エステル及びPOE(1〜5)オレイルエーテルから選択される1種乃至は2種以上である、請求項1に記載の液晶状態の化粧料組成物。
【請求項3】
前記炭素数10〜25の直鎖又は分岐構造を有する飽和脂肪酸のアルギニン石けんが、ラウリン酸アルギニン及び/又はイソステアリン酸アルギニンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
更に、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の液晶状態の化粧料組成物を麦飯石及び/又は蛇紋石とともに化粧料容器に充填してなる化粧料。

【公開番号】特開2007−161692(P2007−161692A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364162(P2005−364162)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】