説明

液晶表示素子およびその製造方法

【課題】蒸着機をいじることなく、斜方蒸着配向膜を均一な膜厚にできる液晶表示素子とその製造方法を提供する。
【解決手段】画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子であって、 前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から蒸着形成された第1斜方蒸着配向膜と、基板面に対して垂直方向から蒸着形成された垂直蒸着膜と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着配向膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から蒸着形成された第2斜方蒸着配向膜とが順に積層形成され、基板全面で蒸着膜の総厚が一定である液晶表示素子とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板等の被蒸着材表面に対して蒸着膜を形成する方法として斜方蒸着法が知られている。この斜方蒸着法は、蒸着物質を斜めの角度から被蒸着材に導き入れ、被蒸着材表面に対して所定方向に配向した蒸着物質の柱状構造物(以下、カラムとも言う)を形成することが可能な蒸着方法である。具体的には所定の蒸着装置を用いて行われ、真空下、蒸着源を加熱して蒸着物質の蒸気流を生じさせ、予め蒸着源と傾き角θ1(蒸着源と基板面重心位置とを結ぶ基準線と、基板面法線とのなす角)でセットされた被蒸着材に対し蒸着を行うものとされている。この場合、上記傾き角θ1に基づいて蒸着物質のカラム配向方向が決定される。
【0003】
一方、このような斜方蒸着法は、例えば液晶配向膜を形成する際に用いられる場合がある。この場合、基板上に液晶配向膜として形成した蒸着膜により、具体的にはカラムの配向方向に基づいて液晶分子を所定角度(プレティルト角とも言う)だけ傾斜させることが可能となる。例えば、蒸着物質としてSiOを用い、SiOの蒸気流を傾き角θ1に伴う蒸着角度で基板に導き入れることで、SiOの蒸着膜(液晶配向膜)を基板面に形成している。
【0004】
図9は蒸着装置の外観を模式的にに示す説明図で、図10は図9のX方向から見た図である。蒸着装置1は、蒸着物質の蒸気を生じさせる蒸着源2と、蒸気を遮蔽する遮蔽板3と、被蒸着材としての基板4と、蒸着室5のみ記載し、その他は省略してある。基板4をAに示すように蒸着源2からの蒸気(図中矢印で示す)に垂直に基板4の中心が蒸着源2中心と一致するように配置すると基板4の全面に蒸着物質が一様に(正確には中心部から離れるに従って薄くなるが)堆積する。基板4をBに示すように蒸着源2に対し斜めに(図ではAに示す基板4の法線からθ1=23°)配置して蒸着すると前述の斜方蒸着となる。
【0005】
しかしながら、上記のような斜方蒸着法においては、被蒸着材面上の場所によって蒸着の膜厚が異なってくる場合がある。これは、蒸着源が点源あるいは線源であり、蒸着源から放物線上に蒸着物が進行することと、被蒸着材が蒸着源と傾き角θ1でセットされているためで、被蒸着材面において蒸着源との距離が異なってくるためである。このように蒸着膜厚が被蒸着面の場所によって異なると、蒸着分子の配向方向も場所によって異なるものとなる場合がある。さらに蒸着膜を液晶配向膜として用いた場合には、蒸着膜厚が基板面上の場所によって異なると、液晶分子のプレティルト角θも基板面上の場所によって異なってくる場合がある。
【0006】
具体的には、基板面内で蒸着源に近い部分では膜厚が大きくなり、遠い部分では膜厚が小さくなるとともに、垂直配向液晶では膜厚が大きいとプレティルト角は基板面の法線に対し大きくなり、小さい場合にはプレティルト角が小さくなる場合がある。その結果、液晶層の電気光学的特性が場所によって変化し、これを表示画面等に用いた場合には、表示画面全体にわたって一様なコントラストが得られなくなる場合がある。
【0007】
図8は被蒸着材の模式図で(A)は正面図、(B)は蒸着後の側面図である。
基板4には11×11の液晶表示領域6が形成される。図9に示すBの状態で基板4を配置(C1、C3側を蒸着源に近く、C2、C4を蒸着源から遠く)して、蒸着すると、前述のように、蒸着源からの距離により膜厚が異なって蒸着される。即ち、C2−C4、C1−C3方向では膜厚は一様であり、C1−C2、C3−C4方向ではC1、C3側で膜厚が厚くなり、C2、C4側で薄くなる。例えば、基板の中心で300Åの膜厚を形成しても、C2、C4側では270Å、C1、C3側では330Åと異なる膜厚となる。この分布は基板4の傾きθ1や膜厚により変わることは言うまでもない。
【0008】
このような斜方蒸着法により液晶表示素子の配向膜を形成した場合の問題点を説明する。
図6は液晶表示素子の上面図(A)と図(A)のX−X断面図(B)である。液晶表示素子10は画素電極13の上面に配向膜14を形成した下基板11と、共通電極である透明電極(例えばITO)16の上面に配向膜15を形成した上基板12の配向膜を対向するようにシール材17を介して貼付し、基板間に液晶18を封入したものである。
【0009】
図5は膜に静電容量の影響を説明するための図で、図5(A)は前記液晶表示素子の下基板がシリコン基板、シリコン基板には一般的に画素電極としてアルミニウムの反射電極が形成され、その上に保護膜、更にその上に配向膜が形成され、上基板がガラス基板、ガラス基板の表面には透明電極(ITO)その上の配向膜が形成されている例である。液晶は垂直配向液晶とする。
【0010】
図5(B)は液晶表示素子駆動時の液晶と膜による静電容量の模式図である。静電容量は上基板の配向膜による容量、液晶による容量、下基板の保護膜と配向膜による容量が考えられ、上基板の配向膜による容量と下基板の保護膜と配向膜による容量のバランスが崩れると、配向膜にかかる実効電圧に差が生じ、実効電圧が大きい方の配向膜に液晶中のイオンが吸着しやすくなり、焼き付きが発生すると推定される。図中の抵抗は不純物、水分、あるいはリーク電流による高抵抗成分を示す。
【0011】
図3、図4は図8に示したような配向膜膜厚分布の基板を貼り合わせた場合の断面図であり、図4は膜厚分布が同じな面を対向して貼り合わせた図、図3は膜厚分布が反対な面を対向して貼り合わせた図である。
【0012】
図4の貼り合わせ構造をとると、対向する配向膜の厚さは同じにできるが、垂直配向液晶LCは斜方蒸着により形成されたカラム9に垂直に立つようになるので、基板間の垂直配向液晶LCはベンド配向になり、駆動電圧が高くなると同時に垂直配向液晶LCの電圧印加時の垂直配向液晶LCの倒れる方向が一定でなくなることにより、白色がでないなど、液晶表示素子として特性が出なくなる。
【0013】
図3の貼り合わせ構造をとると、図4で説明した欠点は解消できるが、対向する配向膜の膜厚が異なるので、実効電圧の高い方の配向膜にイオンが吸着され焼き付きが発生する。
【0014】
また、液晶配向角を決定する要因として、配向膜の最表面形状があり、配向膜形状を決定する要因として被蒸着材である基板の最表面形状が挙げられる。即ち、最表面に画素電極が形成されているシリコン基板と、最表面に透明電極(ITO)が形成されているガラス基板では最表面形状が異なるため、前記基板上に形成される配向膜も被蒸着材の最表面形状の影響を受け、蒸着後の配向膜最表面形状は異なってくる。
【0015】
これらの問題を解決するため、蒸着装置は、蒸着物質の蒸気を生じさせる蒸着源と、被蒸着材を前記蒸着源に対し所定の角度だけ傾斜させて配設させることが可能な被蒸着材配設部と、前記蒸着源と前記被蒸着材配設部との間に配設され前記蒸気が流通可能な蒸気流通部とを備え、前記蒸気流通部は開口部と、開口部に対して相対移動可能に形成され前記蒸気の流通を遮ることが可能な遮蔽部材とを含み、前記開口部に対する前記遮蔽部材の相対移動を制御する遮蔽部材移動制御手段を備える蒸着装置が提案されている。(特許文献1参照)
【0016】
図7は特許文献1で提案されている蒸着装置の膜厚調整部の模式図である。7は蒸気流通部の開口部であり、8は開口部7に対して相対移動可能に形成され前記蒸気の流通を遮ることが可能な遮蔽部材である。このような蒸着装置によると、遮蔽部材移動制御手段により遮蔽部材8の開口部7に対する相対移動を制御することが可能となるため、例えば蒸着量を多くしたい位置には遮蔽部材8が開口部7を遮らないように遮蔽部材8を移動させ、蒸着量を少なくしたい位置には遮蔽部材8が開口部7を遮るように遮蔽部材8を移動させることが可能となる。したがって、遮蔽部材8の移動制御により開口部7の位置毎に実際の開口時間を異ならせることが可能となり、ひいては被蒸着材4の被蒸着面において蒸着量を位置毎に異ならせることが可能となる。これにより、蒸着装置を用いて蒸着される蒸着膜の膜厚は被蒸着材表面において均一なものとなり得る。
【0017】
具体的に、前記遮蔽部材移動制御手段は、前記遮蔽部材8を前記開口部7の開口面と略平行な方向に相対移動させる制御を行うものとすることができる。これにより、遮蔽部材8が蒸着流を遮る量を開口部7の位置毎に制御し易くなり、被蒸着材4に対する蒸着量も制御し易くなる。さらに被蒸着材配設部に配設した被蒸着材4の傾斜方向の余弦方向と略同方向に遮蔽部材8を相対移動させることで、一層蒸着流の遮蔽量を開口部7の位置毎に制御し易くなる。このように、本発明の蒸着装置における遮蔽部材移動制御手段は、開口部7に対する遮蔽部材8の相対移動を制御することにより、開口部7の開口量を制御する開口量制御手段として機能している。この開口量制御手段により、開口部7における位置毎の蒸着流の遮蔽量を制御することが可能となり、被蒸着材4への蒸着量も制御可能となるため、被蒸着面の位置毎の蒸着膜厚を均一化することが可能となり得る。
【特許文献1】特開2003−129228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記遮蔽部材移動制御手段は、蒸着源と被蒸着材を1対1に対応させなければならないため、蒸着の効率が悪くなる。また、遮蔽部材を移動制御する手段が蒸着されるため、パーティクルが発生する。さらに、蒸着源と被蒸着材の傾きや蒸着レートにより遮蔽部材の移動速度を変えなければならない。蒸着機内部の複雑化とパーティクル発生を防止するためのメインテナンス負荷の増大、さらに条件出しの煩雑さがあり、量産には向いていない。
【0019】
斜方蒸着に起因する配向膜の膜厚変化による液晶表示素子への影響、特に、膜厚差による実効電圧をなくし、焼き付きの発生を防止しなければならない。本発明の目的は、蒸着機をいじることなく、斜方蒸着膜を均一な膜厚にできる液晶表示素子とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子であって、 前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から蒸着形成された第1斜方蒸着配向膜と、基板面に対して垂直方向から蒸着形成された垂直蒸着膜と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着配向膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から蒸着形成された第2斜方蒸着配向膜とが順に積層形成され、基板全面で蒸着膜の総厚が一定である液晶表示素子とする。
【0021】
前記画素電極基板にはパッシベーション膜(保護膜)が形成されており、画素電極基板に形成されたパッシベーション膜と前記蒸着膜の総厚と透明電極基板に形成された前記蒸着膜の総厚を同じにした液晶表示素子とする。
【0022】
前記蒸着膜は、酸化珪素による蒸着膜である液晶表示素子とする。
【0023】
画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子を製造する方法であって、 前記画素電極基板の製造工程と前記透明電極基板の製造工程とのそれぞれについて、前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から第1斜方蒸着配向膜を形成する工程と、基板面に対して垂直方向から垂直蒸着膜を形成する工程と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着配向膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から第2斜方蒸着配向膜を形成する工程とを含み、基板全面で蒸着膜の総厚を一定にする液晶表示素子の製造方法とする。
【0024】
前記画素電極基板の製造工程と前記透明電極基板の製造工程とのそれぞれについて、第1斜方蒸着配向膜を形成する工程、垂直蒸着膜を形成する工程、第2斜方蒸着配向膜を形成する工程を真空状態で連続して行う液晶表示素子の製造方法とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によると、配向膜を第1斜方蒸着配向膜、垂直蒸着膜、第2斜方蒸着配向膜の3層構造とし、第1斜方蒸着配向膜と第2斜方蒸着配向膜の蒸着方向を180度変えて、基板全面の蒸着膜厚を一定にしたので、対向する配向膜厚が同じにでき、配向膜による静電容量差がなくなり、実効電圧差によるイオンの吸着がなく焼き付きを無くすことができる。3層の中間層として垂直蒸着膜を形成したので、第1斜方蒸着配向膜によるカラムを打ち消して第2斜方蒸着配向膜によるカラムができるようになる。
【0026】
請求項2の発明によると、画素電極上に形成されたパッシベーション膜がある場合に、パッシベーション膜と配向膜の総厚と対向する配向膜の総厚を同じにしているので、前述の効果と同じ効果が得られる。パッシベーション膜と配向膜の材質が異なる場合は、静電容量が同じになるよう配向膜厚を調整すればより好ましい。
【0027】
請求項3の発明によると、一般にパッシベーション膜は二酸化珪素が使用されているので、蒸着膜を二酸化珪素にすると材料が同じにでき、総膜厚の管理だけでよくなり、製造と品質が安定する。
【0028】
請求項4の発明によると、基板全面の膜厚が均一な配向膜が形成できる。蒸着機に特別な細工(遮蔽部材移動制御手段)をする必要が無く、メインテナンスが容易となり、パーティクルの発生も防げる。
【0029】
請求項5の発明によると、3層の配向膜を連続して真空槽内で形成するので、各配向膜間に、自然酸化膜ができたり、水分や汚染物質が付着しないので、品質のよい配向膜が形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子であって、 前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から蒸着形成された第1斜方蒸着配向膜と、基板面に対して垂直方向から蒸着形成された垂直蒸着膜と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から蒸着形成された第2斜方蒸着配向膜とが順に積層形成され、基板全面で蒸着膜の総厚が一定である液晶表示素子とする。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明を説明するための蒸着装置の外観を模式的にに示す説明図である。蒸着装置1は、蒸着物質の蒸気を生じさせる蒸着源2と、蒸気を遮蔽する遮蔽板3と、被蒸着材としての基板4と、蒸着室5のみ記載し、その他は省略してあるのは図9と同じである。異なるのは基板4の位置である。図9では基板4は蒸着源の真上に配置しているが、本例では基板4が蒸着源2の中心の法線からX方向にL1、蒸着源2からL2の位置に複数枚(図では2枚)配置している。基板4は、蒸着源2と基板4の中心Oを結ぶ線に対しθ1傾けて配置している。基板4を支持する治具(不図示)は、基板2の中心Oを中心にして図中の矢印方向に回転できる。更に、図10では矩形状基板のC2、C4が上、C1、C3が下に配置されているが、C4が上、C1が下になるように回転して配向膜を形成するのは液晶表示装置の設計による。
【0032】
斜方蒸着では、蒸着源と基板の位置で蒸気の入射角が変わるため、蒸着源と基板の距離が遠いほど膜厚が一様にできる。そのため蒸着機も大型化し、例えばL1−100cm、L2=2500cm程もある。大型化にも限度があるが、図で示すθ2、θ3は1度以下であることが望ましい。このように複数の基板を同時に蒸着できると、上基板と下基板を同じ条件で蒸着できるので、対向する配向膜の膜厚を揃えることができる。
【0033】
図2は本発明を説明するための斜方蒸着配向膜分布を示すグラフで、(A)は従来技術によるもの、(B)は3層膜によるもの、(C)はパッシベーション膜(保護膜)のあるものである。縦軸は膜厚、横軸はC2(C4)からC1(C3)までの長さである。矢印は図8で示す基板の縦方向の中心点を示す。
【0034】
従来技術による斜方蒸着では、図2(A)で示す斜方蒸着配向膜Eのように、中心点で300Åの場合、C1で330Å、C2では270Åであった。
【0035】
図2(B)では第1斜方蒸着配向膜E1はC1=100Å、C2=50Å、中心点で75Å、垂直蒸着膜E2は全面同厚で150Å、第2斜方蒸着配向膜E3はC1=50Å、C2=100Å中心点で75Åとなるように蒸着する。図で示すようにC1からC2まで同じ厚さの配向膜を形成することができる。垂直蒸着膜E2は第1斜方蒸着配向膜E1のカラムを打ち消すため、100Å以上の膜厚であることが望ましい。
【0036】
図2(C)では、パッシベーション膜PVが50Åある場合で、その分垂直蒸着膜E2の膜厚を100Åに薄くしてある例である。第1斜方蒸着配向膜E1と第2斜方蒸着配向膜E3は図2(B)と同じである。第1斜方蒸着配向膜E1と第2斜方蒸着配向膜E3はカラム形状(方向)が異なるだけなので、どちらを先にするかは適宜決定すればよい。蒸着レートは5〜10Å/sec程度がよい。
【0037】
パッシベーション膜PVと第1斜方蒸着配向膜E1の材質を同じにしておくと膜の密着性がよく、熱膨張係数も同じなので熱衝撃にも強くなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明を説明するための蒸着装置の外観を模式的に示す説明図
【図2】本発明を説明するための斜方蒸着配向膜分布を示すグラフ
【図3】膜厚分布が反対な面を対向して貼り合わせた図
【図4】膜厚分布が同じな面を対向して貼り合わせた図
【図5】膜に静電容量の影響を説明するための図
【図6】液晶表示素子の上面図(A)と図(A)のX−X断面図(B)
【図7】蒸着装置の膜厚調整部の模式図
【図8】被蒸着材の模式図で(A)は正面図、(B)は蒸着後の側面図
【図9】蒸着装置の外観を模式的に示す説明図
【図10】蒸着装置の外観を模式的に示す説明図
【符号の説明】
【0039】
1 蒸着機
2 蒸着源
3 遮蔽板
4 基板(被蒸着材)
5 蒸着室
6 液晶表示領域
7 開口部
8 遮蔽部材
9 カラム
10 液晶表示素子
11 下基板
12 上基板
13 画素電極
14 配向膜
15 配向膜
16 透明電極
17 シール材
18 液晶
LC 垂直配向液晶
E1 第1斜方蒸着配向膜
E2 垂直蒸着膜
E3 第2斜方蒸着配向膜
PV パッシベーション膜(保護膜)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子であって、前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から蒸着形成された第1斜方蒸着配向膜と、基板面に対して垂直方向から蒸着形成された垂直蒸着膜と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着配向膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から蒸着形成された第2斜方蒸着配向膜とが順に積層形成され、基板全面で蒸着膜の総厚が一定であることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記画素電極基板にはパッシベーション膜が形成されており、画素電極基板に形成されたパッシベーション膜と前記蒸着膜の総厚と透明電極基板に形成された前記蒸着膜の総厚を同じにしたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記蒸着膜は、二酸化珪素による蒸着膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
画素電極基板と透明電極基板とが液晶を介して互いに対向配置された液晶表示素子を製造する方法であって、 前記画素電極基板の製造工程と前記透明電極基板の製造工程とのそれぞれについて、前記画素電極基板と前記透明電極基板とのそれぞれの前記液晶に接する面側に、基板面に対して斜め方向から第1斜方蒸着配向膜を形成する工程と、基板面に対して垂直方向から垂直蒸着膜を形成する工程と、前記垂直蒸着膜を介して、前記第1斜方蒸着配向膜形成時と基板の上下を180度回転し基板面の法線に対して前記斜め方向から対称な斜め方向から第2斜方蒸着配向膜を形成する工程とを含み、基板全面で蒸着膜の総厚を一定にすることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【請求項5】
前記画素電極基板の製造工程と前記透明電極基板の製造工程とのそれぞれについて、第1斜方蒸着配向膜を形成する工程、垂直蒸着膜を形成する工程、第2斜方蒸着配向膜を形成する工程を真空状態で連続して行うことを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素子の製造方法。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−93097(P2009−93097A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265996(P2007−265996)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】