説明

液晶表示素子および投射型液晶表示装置、並びに電子機器

【課題】レーザ光源を用いた場合であっても熱的網膜障害のみならず、光化学的網膜障害に対する基準を満たすことが可能で、安全性の高い液晶表示素子および投射型液晶表示装置、並びに電子機器を提供する。
【解決手段】レーザ光ビームを出射する少なくとも一つのレーザを有する光源部1と、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成する液晶表示パネル4と、光源部1から出射されたレーザ光ビームを導波して液晶表示パネルに照射する光学系2、3と、液晶表示パネル4による画像光を投射する投射レンズ5と、を有し、マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロレンズアレイを有する液晶表示素子(液晶表示パネル)、およびこの液晶表示素子をライトバルブとして用い、コヒーレント光を出射する光源を有する投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)、並びに携帯電話端末、デジタルカメラ、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、玩具などの投射型液晶表示装置を搭載した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタは、一般に、住居内などに設置して使用するものとして考えられ、特許文献1(特開昭63−118125号公報)や特許文献2(特開平4−60538号公報)などに示されているように、光源として、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプなどのランプが用いられている。
【0003】
しかし、ランプを光源とすると、(a)光源部の口径が大きくなり、プロジェクタ全体が大型化する、(b)光源部の発熱量が大きく、ファンなどの冷却装置を必要とし、プロジェクタ全体がいっそう大型化する、(c)ファンなどによるノイズが大きく、消費電力も大きくなる、(d)紫外線など、不要かつ有害な波長領域の光が照射され、有機物を使用した液晶表示パネルの信頼性を損ねるおそれがある、(e)光源を高速でオン・オフすることができず、光量の調整も難しい、(f)ランプの断線や寿命によって、頻繁にランプ交換が必要となる、などの問題がある。
【0004】
そのため、プロジェクタの光源としてランプ以外の発光素子(発光体)を用いることが考えられている。
【0005】
具体的に、特許文献3(特開2005−116799号公報)や非特許文献1(下に記載)には、光源としてLED(発光ダイオード)を用いることが示されている。
【0006】
さらに、特許文献4(特表2005−526288号公報)には、光源としてレーザを用い、レーザの励起を、ラスタパターン中のピクセルごとに制御するとともに、レーザから放出されたレーザ光を、2つの走査ミラーからなるスキャナによってラスタパターン上に走査させて、ラスタパターン上に2次元画像を表示することが示されている。
【0007】
レーザについては、半導体レーザ、いわゆるLDや、半導体レーザによって励起される固体レーザ(DPSSL:Diode Pumped Solid State Laser)などの固体レーザが実現されており、その大きさも、半導体レーザでは、一辺の長さを数100μm程度にすることができ、固体レーザの非線形光学結晶では、100mW出力クラスで数mm程度にすることができる。
【0008】
また、半導体レーザまたは固体レーザは、メタルハライドランプなどと比較すると、長寿命で、ほとんど交換が不要であり、発光効率も高く、発熱も少なく、冷却しやすい。
【0009】
また、半導体レーザまたは固体レーザは、結晶の種類や組成によって、赤、緑および青の各波長領域内の、表示に最適な波長の光を出射させることが可能であり、色純度が向上し、赤外光や紫外光などの表示に不要な光も出射されない。
【0010】
さらに、半導体レーザまたは固体レーザは、オン・オフのスイッチングも瞬時に行うことができ、出射光量の制御も容易である。
【0011】
上に挙げた先行技術文献は、以下の通りである。
【特許文献1】特開昭63−118125号公報
【特許文献2】特開平4−60538号公報
【特許文献3】特開2005−116799号公報
【特許文献4】特表2005−526288号公報
【非特許文献1】G.Harbers,M.Keuper,S.Paolini;“Performance of High Power LED Illuminators in Color Sequential Projection Displays“,IDW‘03 p1585〜p1588
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献3や非特許文献1に示されているように、液晶プロジェクタの光源としてLEDを用いると、光源としてランプを用いる場合に比べて、光源部を小型化することができ、プロジェクタ全体を小型化することができるが、それでも、プロジェクタ全体としては、「手のひら」に載る程度のサイズが限度であり、プロジェクタを携帯電話端末などの小型の機器に内蔵させることは難しい。
【0013】
しかも、特許文献3でも指摘されているように、LEDは、出射される光の発散角が大きく、これをプロジェクタの光源として用いた場合、エテンデュ(Etendue)が液晶表示パネルの表示領域に比べて大きくなり過ぎ、結果として光利用効率が低下する。
【0014】
これに対して、半導体レーザまたは固体レーザは、それ自体として小型化することができるだけでなく、LEDと比較すると、出射される光の発散角を圧倒的に小さくすることができ、光利用効率を大きく向上させることができる。
【0015】
これは、レーザ光源は、LEDと比較すると、より点光源に近づくため、エテンデュの最適化が簡単になり、光利用効率が上昇して、結果として、プロジェクタにおいて同程度の光量を達成するのに、光源としてLEDを用いた場合と比較すると、光源の出射光量が少なくて済むからである。
【0016】
その結果、光源としてレーザを用いた場合には、冷却装置を簡略化し、または不要とすることができる。
【0017】
ところで、レーザ光源を用いた場合、特にフロントプロジェクタ用途の場合、レーザ光の安全性に注意する必要がある。
レーザ安全基準は、各国において定められており、我国においては、JIS規格が存在する。熱的障害および、光化学障害に関する最大許容露光量(MPE)が決められており、各クラス分類において、最大被曝放出限界(AEL)が決められている(JIS C 6802 参照)。
【0018】
小型で低出力なレーザ光源を有するプロジェクタは、携帯電話あるいは、種々の電子機器に付帯させ様々な用途に簡便に利用できる可能性を秘めており、開発が盛んである。 たとえば、最近の例としては、上述した特許文献4などに見られるようなビームスキャン方式によるプロジェクタがある。
【0019】
しかしながら、これらの例では、レーザ安全基準については、いわゆるクラス2(Class2)としているが、民生用の機器への応用としては不十分と思われる。
それは、これらの小型携帯電子機器用レーザ光源を有するディスプレイは、子供から老人まで広い世代で利用され、いろいろな使用方法で使用されることが予想され、それらの使用態様を予想し、それらの全ての場合に対し、インタロック(interlock)を対応させることは非常に難しいことであるからである。
【0020】
また、ビームスキャン方式では、レーザスキャンが万が一止まってしまった場合は、レーザビーム(Laser Beam)が直接出射され、それらのレーザビームが直接裸眼に入る可能性を、払拭できない。
その万が一の対策のためには、厳重なインタロック等安全対策が必要で、その分余計な機能を要し、高コストになってしまう可能性もありうる。
現状のスキャン方式の小型プロジェクタの明るさはおおよそ10lm程度の出力であるのは、特に眼の安全性を考えての上であると考えられる。したがって、更に高出力化を図ったりすることには限界があると思われる。
【0021】
一方で、マイクロディスプレイ(液晶、DLP(TI社による名称))デバイスを用いたレーザプロジェクタも考えられる。
この場合においては、光出力から導かれる熱的網膜障害に対しては、ほとんど問題ないが、光化学的網膜障害に対する基準でクラス1(Class1)を達成することが、難しい。
【0022】
本発明は、レーザ光源を用いた場合であっても熱的網膜障害のみならず、光化学的網膜障害に対する基準を満たすことが可能で、安全性の高い液晶表示素子および投射型液晶表示装置、並びに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の観点は、パネルに複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成し、所定の焦点距離を有する投射レンズに出射する液晶表示素子であって、上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【0024】
本発明の第2の観点の投射型液晶表装置は、レーザ光ビームを出射する少なくとも一つのレーザを有する光源部と、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成する液晶表示パネルと、上記光源部から出射されたレーザ光ビームを導波して上記液晶表示パネルに照射する光学系と、上記液晶表示パネルによる画像光を投射する投射レンズと、を有し、上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【0025】
本発明の第3の観点の投射型液晶表装置は、赤、緑および青のレーザ光ビームを出射する第1、第2および第3のレーザを有する光源部と、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、赤、緑および青のレーザ光ビームが個別に照射され、画像信号に応じた画像光を生成する第1、第2および第3の液晶表示パネルと、上記光源部から出射された赤、緑および青のレーザ光ビームを導波してそれぞれ対応する第1、第2および第3の液晶表示パネルに照射する光学系と、上記第1の液晶表示パネルによる第1の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第2の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第3の画像光とを合成する合成光学手段と、上記合成光学手段による画像光を投射する投射レンズと、を有し、上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【0026】
本発明の第4の観点は、投射型液晶表示装置を搭載した電子機器であって、上記投射型液晶表示装置は、レーザ光ビームを出射する少なくとも一つのレーザを有する光源部と、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成する液晶表示パネルと、上記光源部から出射されたレーザ光ビームを導波して上記液晶表示パネルに照射する光学系と、上記液晶表示パネルによる画像光を投射する投射レンズと、を有し、上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【0027】
本発明の第5の観点は、投射型液晶表示装置を搭載した電子機器であって、上記投射型液晶表示装置は、赤、緑および青のレーザ光ビームを出射する第1、第2および第3のレーザを有する光源部と、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、赤、緑および青のレーザ光ビームが個別に照射され、画像信号に応じた画像光を生成する第1、第2および第3の液晶表示パネルと、上記光源部から出射された赤、緑および青のレーザ光ビームを導波してそれぞれ対応する第1、第2および第3の液晶表示パネルに照射する光学系と、上記第1の液晶表示パネルによる第1の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第2の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第3の画像光とを合成する合成光学手段と、上記合成光学手段による画像光を投射する投射レンズと、を有し、上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、レーザ光源を用いた場合であっても熱的網膜障害のみならず、光化学的網膜障害に対する基準を満たすことができ、高い安全性を確保することが可能となる。
また、プロジェクタ全体を携帯電話端末などの小型の機器に内蔵できる程度に小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子を採用した投射型液晶表示装置の一例を示す概略構成図である。
【0031】
本第1の実施形態においては、光源としてコヒーレント光を出射する、たとえばレーザ光源を用い、赤(R)、緑(G)および青(B)の3色につき一枚の液晶表示パネル(液晶ライトバルブ)を用いる単板式の場合を示す。
実施形態として一番好適な例は、フィールドシーケンシャル(FSでない)マイクロレンズ(ML)を使用した単板式プロジェクタである。
その理由は、
(1)レーザ光源はエテンデュ(Etendue)が小さく、単板方式でも3板方式と同じ程度の光出力の効率を達成でき、
(2)ML単板式の場合、斜入射光の角度が発生するため、入射光の発散角を絞る必要がある。そのため結果的に3板式に比較し、輝度を落とすことになる。しかし、レーザ光を光源にした場合は、もともと光発散角が小さいため輝度を落とすことなくしかも、斜入射光角度もランプ系光源に比較して小さくできる。
からである。
【0032】
そして、本実施形態においては、レーザ光源を用いた場合であっても熱的網膜障害のみならず、光化学的網膜障害に対する基準を満たすことができ、高い安全性を確保することができるように、液晶表示パネルに形成されるマイクロレンズアレイのマイクロレンズの集光全画角θ(u)、有効対角パネルサイズc、投射レンズの焦点距離fとしてとき、これらがJIS C6802で規定される所定の式が所定の条件を満足するように構成されている。
この条件等に関しては後で詳述する。
【0033】
本投射型表示装置(液晶プロジェクタ)PRJは、図1に示すように、光源部1、光学系2、フィールドレンズ(FL)3、液晶表示素子としての液晶表示パネル(LCD)4、および投射レンズ(投射光学系)5を主構成要素として構成されている。
【0034】
方向を明確にするために、図示するように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。Y方向は、図1では紙面に垂直な方向である。
【0035】
<光源部1>
この例では、光源部1は、赤色レーザ11R、緑色レーザ11Gおよび青色レーザ11Bが、X方向に並列に配列されている。
【0036】
赤色レーザ11Rおよび青色レーザ11Bとしては、それぞれ半導体レーザを用いる。たとえば、赤色レーザ11Rとしては、InAlGaP系などのものを用い、青色レーザ11Bとしては、GaN系やInGaN系のものを用いる。
【0037】
一方、緑のレーザ光を出射する半導体レーザは、現在のところ実現されていないため、緑色レーザ11Gとしては、半導体レーザによって励起される固体レーザ、いわゆるDPSS(Diode Pumped Solid State)レーザ、たとえば、YVO+KTP(KTiOPO)、結晶PPLN(Periodically Poled LiNbO)、またはPP(Periodically Poled)MgO・LN(LiNbO)などを用いる。
【0038】
赤色レーザ11R、緑色レーザ11Gおよび青色レーザ11Bの発振モードは、マルチモードでもよい。温度変化などに対するモード安定性や偏光安定性を図るために、半導体レーザでは狭ストライプ幅を実現し、固体レーザでは周期的分極反転(periodically poled)を図ることがある。
本発明では、光学系2に配置される後述の色分離およびフィールドレンズ3、液晶表示パネル4への入射角度を制御する色分離および入射角度制御素子(回折光学素子または屈折型光学素子)の入射光ビームの形状に対する鈍感性によって、赤色レーザ11R、緑色レーザ11Gおよび青色レーザ11Bとして、横モード(トランスバースモード:transverse mode)がマルチモードの半導体レーザまたは固体レーザを用いることができる。
【0039】
もちろん、シングルモードの半導体レーザまたは固体レーザを用いてもよい。一般に半導体レーザの場合は、モード制御をするよりは、多モード発振まで利用できるようにすることによって、使用できる半導体レーザの歩留まりが向上し、製造コストが低下する。
【0040】
たとえば、赤色レーザ11Rとしては、発振波長635nm〜640nmのInAlGaP系の半導体レーザを用い、青色レーザ11Bとしては、発振波長445nmのGaN系の半導体レーザを用いる。それぞれ、出力は100mW、垂直方向の光発散角は30度(FWHM)、水平方向の光発散角は10度、横モードはシングルモード、縦モードはマルチモードである。
【0041】
緑色レーザ11Gとしては、808nm半導体レーザ励起、発振波長532nmの、YVO+KTP二次高調波利用の固体レーザを用いる。出力は100mW、横モードはシングルモード、シングルモードはマルチモードである。
【0042】
レーザ光ビーム1R,1G,1B間の平行度は、色分離および入射角度制御素子としての回折光学素子によって拡散成形されたレーザ光ビーム2R,2Gおよび2Bのフィールドレンズ3への入射角を制御する上で重要であるが、その平行度がX方向およびY方向で1度以内に収まるようにする。具体的には、いわゆるアクティブアライメント方式によって、レーザ光を発振しつつ、そのような平行度になるように制御する。
【0043】
図2は、本実施形態に係る光源部の構成の一例を示す図である。
【0044】
光源部1については、各レーザ11R,11Gおよび11Bを図1ように単に一方向に配列し、各レーザ11R,11Gおよび11Bから出射されたレーザ光ビーム1R,1Gおよび1Bを、光学系2に入射させると、レーザのパッケージなどのために、隣接するレーザ光ビーム間の距離を十分に小さくできないことがある。
【0045】
そこで、光源部1は、一例として、図2に示すように構成する。
具体的に、この例では、DPSSレーザからなる中央の緑色レーザ11Gを、赤色レーザ11Rおよび青色レーザ11Bに対して後退した位置に配置し、偏波モードの光ファイバ13Gの一端を、緑色レーザ11Gに接続し、光ファイバ13Gの他端を、赤色レーザ11Rのカンパッケージ11rと青色レーザ11Bのカンパッケージ11bとの間に導いて、光ファイバ13Gの他端から緑のレーザ光ビーム1Gが出射されるように構成する。
【0046】
これによれば、レーザ光ビーム1R,1G間、およびレーザ光ビーム1B,1G間の距離を短縮することができる。
【0047】
また、緑色レーザ11Gのみを光ファイバ13Gに接続することによって、緑色レーザ11Gを赤色レーザ11Rおよび青色レーザ11Bから離間して設置することもできるので、特に小型の電子機器内では、光源の配置に自由度を持たせることができる。
一般的にDPSSレーザからなる緑色レーザ11Gは半導体レーザからなる赤色レーザ11Rおよび青色レーザ11Bより大きくなるので、このように構成すると便利である。
【0048】
<光学系2>
光学系2は、所望のビーム径(たとえば直径φ1mm)を得るためのビームイクスパンダ(beam expander)21R,21G,21B、λ/2板(1/2波長板)22R,22G,22B、ダイクロイックミラー23R,23G,23b、並びに色分離および入射角度制御素子としての回折光学素子24を有する。
【0049】
本実施形態においては、半導体レーザである赤色レーザ11R、青色レーザ11B、および励起固体レーザである緑色レーザ11Gから出射されたレーザ光ビーム1R,1G,1Bをビームイクスパンダ21R,21G,21Bに入射させることにより、一定のビーム径(約φ1mm程度)を得る。
あるいは、半導体レーザの場合は、コリメーションレンズ系で一定のビーム径(約φ1mm程度)とすることも可能である。
【0050】
一定のビーム径(約φ1mm程度)を得たレーザ光ビーム1R,1G,1Bはλ/2板(1/2波長板)22R,22G,22Bに入射される。
【0051】
半導体レーザまたは固体レーザから出射されたレーザ光は、レーザ内部電界の変動のために、偏光方向が必ずしもデバイスごとに一定ではなく、デバイスの組立て精度によっても、偏光方向がばらつくが、このようにλ/2板22R,22Gおよび22Bを挿入し、かつその回転位置を調整することによって、後述の液晶表示パネル4に入射する各色のレーザ光ビーム3R,3Gおよび3Bの偏光方向を液晶表示パネル4の偏光軸に合致させることができる。
【0052】
λ/2板の代わりに、適切な位相差フィルムまたは位相差板を用いて偏光方向を補正するようにしてもよい。たとえば、一般的に使用されているAl;GaAs系半導体レーザ励起YVO+KTP二次高調波利用の固体レーザは、デバイスごとに偏光方向が変わり、偏光比10程度のものが多い。このような場合、適切な位相差フィルムを用いてリターデーション値を補償し最適化することによって、偏光比を大きくすることができる。
【0053】
このようにλ/2板や位相差フィルムなどにより偏光軸を調整することによって、液晶表示パネル4の光の損失を少なくし、光利用効率をより向上させることができる。
【0054】
λ/2板22R,22Gおよび22Bを透過した光ビームは、ダイクロイックミラー23R,23G,23Bに入射される。
各色分離光学系であるダイクロイックミラー23R,23G,23Bは、赤、緑、青の各波長帯の光を選択的に反射し他は透過する特性を有する。
赤のダイクロイックミラー23Rは約600nm以上の波長、青のダイクロイックミラー23Bは500nm未満の短波長の可視光を反射する。緑のダイクロイックミラー23Gはおよそ570−500nmの範囲を反射する。
【0055】
ダイクロイックミラーの配置により、赤の波長域のレーザ光ビーム1Rは赤のダイクロイックミラー23Rに反射されて回折光学素子24に入射し、緑の波長域のレーザ光ビーム1Gは赤のダイクロイックミラー23Rを透過後に回折光学素子24に入射し、青の波長域のレーザ光ビーム1Bは緑および赤のダイクロイックミラー23G、23Rを透過後に回折光学素子24に入射する。
【0056】
本実施形態においては、光源から出た光は、半導体レーザの場合(赤色レーザ11R、青色レーザ11B)は、シリンドリカルレンズを2枚使用し、ビーム断面形状を円形に近づけ、かつビーム径を0.8mm〜1.0mm程度にしている。また、非点収差を軽減している。
DPSS緑色レーザ11Gの場合は、ビーム径を広げるためにコリメーションレンズを使用し、ビーム径を回折光学素子の位置で0.6mm〜0.8mm程度にしている。レーザ光ビーム径はおおむね回折型または屈折型の光学素子(DOEおよびED)の場合も共に、0.5mm〜1.0mm程度が好ましい。
また、レーザ光源11R,11G,11Bから発振された光は、ある一定間隔L、この場合、図においては、緑光を中央光としているが、R-G間距離をL1,B-G間距離をL2として、L1とL2を必ずしも等しくする必要はない。本例においては、1.5mm程度である。この距離は、実質的にパネル入射角度を規定する。
【0057】
<回折光学素子24>
回折光学素子24は、色分離およびフィールドレンズ3、液晶表示パネル4への入射角度を制御する色分離および入射角度制御素子(あるいは光ビーム拡散成形光学素子)として機能する。
本実施形態においては、回折型または屈折型の光学素子によって、プロジェクタの光源としての半導体レーザまたは固体レーザから出射されたレーザ光ビームを、液晶ライトバルブとしての液晶表示パネルの表示領域の全域にわたるように色分離および入射角度を制御する。図1の例は、色分離および入射角度制御素子として回折光学素子を用いる場合である。
【0058】
回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)それ自体は、“Diffuser”または“Beam Shaper”などとして知られている。
【0059】
たとえば、参考文献1(Adam Fedor;Digital Optics Corp.“Binary Optic Diffuser Design”)には、“Diffuser”または“Beam Shaper”によって光ビームを拡散成形することが示されており、参考文献2(池田欣史「回折型レンズ」;OPTRONICS 2005年 No3 pp175〜178)には、「回折型レンズ」の製造方法などが示されている。
【0060】
“Diffuser”は、入射した光ビームのある1点の光を出力プレーン(Output Plane)上の多数の点に回折するように(1:Nのマッピング)、入射した光ビームの各点の光を出力プレーン上の各点に回折するものであり、“Beam Shaper”は、入射した光ビームのある1点の光を出力プレーン上のある1点に回折するように(1:1のマッピング)、入射した光ビームの各点の光を出力プレーン上の各点に回折するものである。
【0061】
回折光学素子24としては、たとえばそれぞれ透過型の赤用回折光学素子24R、緑用回折光学素子24Gおよび青用回折光学素子24Bが、赤色レーザ11R、緑色レーザ11Gおよび青色レーザ11Bの配列方向に配列されている。
【0062】
赤用回折光学素子24Rは、赤色レーザ11Rから出射された赤のレーザ光ビーム1Rを、液晶表示パネル4の表示領域の全域にわたり、かつ後述のように液晶表示パネル4の液晶層を通して赤の画素に入射するよう入射角度を制御する。
【0063】
同様に、緑用回折光学素子24Gは、緑色レーザ11Gから出射された緑のレーザ光ビーム1Gを、液晶表示パネル4の表示領域の全域にわたり、かつ液晶層を通して緑の画素に入射するように入射角度を制御する。
青用回折光学素子24Bは、青色レーザ11Bから出射された青のレーザ光ビーム1Bを、液晶表示パネル4の表示領域の全域にわたり、かつ液晶層を通して青の画素に入射するように入射角度を制御する。
【0064】
レーザから出射されたレーザ光ビームは、一般にガウシアン(Gaussian)形状をしており、そのままでは、液晶表示パネル4上に均一に照射させることは難しいが、このように回折光学素子24のうち“Diffuser”または“Beam Shaper”を利用し、レーザ光ビームを液晶表示パネル4上に照射させることによって、液晶表示パネル4上に均一な輝度分布を得ることができる。
【0065】
各色用の回折光学素子24R,24Gおよび24Bは、一枚の透明基板に集積して形成することが望ましい。これによって、回折光学素子24R,24Gおよび24Bを個々に形成した後、位置合わせをして配置する場合に比べて、回折光学素子24R,24Gおよび24Bの位置合わせを容易かつ正確に行うことができるとともに、回折光学素子24全体を小型化することができる。
【0066】
以上のような回折光学素子24は、各色のレーザ光ビーム1R,1Gおよび1Bのビーム径やビーム形状、得ようとするスクリーン上の輝度分布などをもとに、コンピュータシミュレーションを行った上で、作成することができる。
【0067】
図1に示すように、回折光学素子24の光出射側には、赤用回折光学素子24Rにて拡散成形された赤のレーザ光ビーム2R、緑用回折光学素子24Gによって拡散成形された緑のレーザ光ビーム2G、および青用回折光学素子24Bによって拡散成形された青のレーザ光ビーム2Bを、それぞれほぼ平行光のレーザ光ビーム3R,3Gおよび3Bに変換して液晶表示パネル4に入射させるフィールドレンズ3が配置されている。
【0068】
<液晶表示パネルおよび投射レンズ>
図3は、本第1の実施形態に係る液晶表示パネルの基本的な構成例を示す図である。
液晶表示パネル4は、図3に示すよう、透明なTFTアレイ基板41と透明なマイクロレンズアレイ基板(以下、ML基板という)42との間に液晶層43が挟持されている(封入されている)。
この例では、液晶表示パネル4は、液晶としてツイスティッドネマチック(Twisted Nemamtic)液晶を用いた透過型TFTLCDパネルとして形成されている。
【0069】
ML板42においては、液晶層43側のカバーガラス(透明基板)421と光入射側のベースガラス(透明基板)422に挟持されるようにマイクロレンズアレイ423が形成されている。また、カバーガラス421には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料からなる対向共通電極424が形成される。
図3の例では、ML基板42内において、マイクロレンズ(ML)がTFT3−画素PXLに1つの割合で形成されている。
これらのマイクロレンズ(ML)は、グレイマスク法によるリソグラフィー、あるいは、多重マスクを使用したリソグラフィーおよびドライエッチング(DRY ET)法で非球面形状を先ず形成し、次に高屈折率(n=1.62〜1.67)樹脂を埋め込み、カバーガラス421を形成して形成される。
【0070】
TFT基板41は、たとえば石英などからなる透明基板の一面側に、アクティブマトリクス方式による液晶駆動回路411として、ポリシリコンなどからなる走査線、アルミニウムなどからなる信号線、ITOなどの透明導電材料からなる画素電極、および画素スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が形成されている。
【0071】
図1および図3に示すように、液晶表示パネル4に入射するレーザ光ビーム3R,3Gおよび3Bは、それぞれフィールドレンズ3によって、ほぼ平行光のビームとされるので、それぞれのマイクロレンズ423aは、球面収差を抑制するために非球面とすることが望ましい。
【0072】
ここで、マイクロレンズの集光全角(発散角)について述べる。
図4は、マイクロレンズの集光全角について説明するための図である。
一つのマイクロレンズ(ML)423の集光全角θは、空気中で、ML対角ピッチをp、焦点距離をfとすれば、次式で与えられる。
【0073】
[数1]
tan(1/2・θ)=(1/2・p)/f ・・・(1)
【0074】
現実には、樹脂屈折率1.6〜1.7程度、石英ガラスの屈折率が1.46程度であり、非球面構造で、θとして最大36度程度まで形成可能である。
【0075】
液晶表示パネル4は、赤色画素Prの部分に赤の画像信号が電極を通して印加されて、赤色画素Prの部分の液晶層43の透過率が変調制御され、緑色画素Pgの部分に電極を通して緑の画像信号が印加されて、緑色画素Pgの部分の透過率が変調制御され、青色画素Pbの部分に電極を通して青の画像信号が印加されて、青色画素Pbの部分の透過率が変調制御される。
【0076】
光学系2の回折光学素子24から出射された光は、光が、各要素から拡散していき、パネル面に各方向から入射した光が重なるようにして、均一に照明されることになる。
この場合、光の発散角度αは、レーザ光を使用した場合ははるかに狭くでき、通常のランプ光源を用いた場合に比較して、非常に光量が増す。すなわち光利用効率が高くすることができる。
単板方式においても、20〜30%程度の効率が得られる。このことは、レーザ出力を低減させ、熱発生についても抑制効果がある。
さらに、レーザ光は、液晶表示パネル4の偏光軸に一致させることができ、偏光板使用は基本的に不必要になる。このことは、現実の偏光板には、ゴミがはさまれ易く、特にレーザ光学系においては、光の発散性が小さいためゴミの影が投影されやすい欠点をなくすことになる。
【0077】
本実施形態の場合、図3に示した記号で表すと、
・RGB sub画素ピッチP=10μm、
・ML焦点距離f=120μm(空気中で 主点換算)、
(他の場合は、画素ピッチに応じて変化させる)
・各RGBのレーザ光ビームの回折または屈折型光学素子での入射径は0.8mm、
・集光全角θは15度(deg)程度、光軸との発散光の屈折角度βは5.5度、発散角α<1度、色レーザビーム間平行度<1度である。
【0078】
また、投射レンズ5のF値は2.0程度であり、プロジェクタの外形サイズは、数10ccの程度である。
パネルサイズは、対角0.3インチ、アスペクト比3:4画角、総画素(pixel)数は13万ドット(Δ配列)ほどの液晶表示パネル(LCDパネル)を使用し、明るさは20〜25lmを達成している。
本実施形態においては、DPSSレーザの励起用レーザは、ペルチエ素子で冷却している他は、一切冷却用ファンは使用していない。
また、光学系2の回折または屈折型光学素子24の入射側前には、ポリカーボネート拡散板(拡散5度以内)を回転させ、スペックル対策としている。
【0079】
さて、この例で安全性を確認してみる。
クラス1の被爆放出限界は、JIS C6802:2005 に準拠して考察する。
このような20〜30lm相当のプロジェクタであれば、熱的網膜障害は、クラス1(Class 1)の基準を簡単にクリアしている。
したがって、以下の検討においては、化学的網膜障害について考察する。
【0080】
化学的網膜障害に関するクラス1(Class 1)の安全基準は、JIS C 6802:205 によれば、今回のようなフロントプロジェクタの場合は、被爆露光時間〜100秒(SEC)基準値として、次のように与えられる。
【0081】
[数2]
3.9×10^(−3)×C3 Joule ・・・(2)
ここで C3=10^( 0.02×(λ−450) ) であり、 λ<450nmのとき、C3=1である。
【0082】
100秒の被爆露光とすれば、上記数2の値は、最大、3.9×10^( 0.02×(λ−450) )/100 mW 程度となる。
【0083】
ここで、化学的網膜障害基準について説明する。
ここでは、投射レンズ5を覗き込んだ場合を考えているので、発散角αは、図5に示すように、実際に投影レンズで作成される液晶表示パネル(LCD)4の画像面から100mm離れたところで、人間の眼が受ける光エネルギーを判断することになる。
投影レンズで結ばれるLCDの画像、そこに、1.1mmの開口を入れ、7mmφ(直径)の瞳を持つ人間の裸眼に入る光エネルギーを上述したような基準値と比較する。
【0084】
図6(A),(B)は、基準値について説明するための図である。
図6(A)に示すように、レーザ光の露光時間および照射波長帯により基準が異なり、T2=10〜100秒になると図6(B)に示す条件との比較になる。
今回は、図6(A)中、一定値となっている領域を基準値としている。
【0085】
図7は、眼球1.1mm開口入力B光線パワーのシミュレーションを行った系を示す図である。
各マイクロレンズの光束は投射レンズ5で直径fθとなる。
すべてのマイクロレンズの主光線(光束の中心の光線)は第2焦点f‘を通過する。
また、LCD画素は、無限遠方に結像し、各マイクロレンズの光束は平行光となる。
以上により、全てのマイクロレンズの光束は光源像位置に集結する。
【0086】
1.1mm開口通過パワーは次式で与えられる。
【0087】
【数3】

【0088】
また、眼球入力B光線は次のようになる。
【0089】
【数4】

【0090】
したがって、眼球入力B光線パワーは次のようになる。
【0091】
【数5】

【0092】
このシミュレーションの条件は、青色出力および波長を25mW、445nm、LCD対角c=7.5mm、投影レンズの焦点距離f=9.65mm、マイクロレンズ(ml)の発散角α(θ)=16度とした。
【0093】
そして、本実施形態においては、最低限青色のレーザ発光素子を光源として用いた液晶プロジェクタであって、青色の液晶パネルには、マイクロレンズが携載され、図8に示すように、その集光全角θ(u)が、有効対角パネルサイズc および、プロジェクタの投射レンズ5の焦点距離fとしたとき、θおよびcが、以下の関係式を満足し(ML全角発散角と有効画角の関係を満足し)、レーザ安全基準クラス1を満足する。
【0094】
【数6】

【0095】
マイクロレンズの集光全角θ、有効対角パネルサイズc、および投射レンズ5の焦点距離fにより規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い。
【0096】
ここで、(6)式をグラフで表すと図9に示すようになる。
図9において、横軸がマイクロレンズ発散角を、縦軸が最小LCD対角をそれぞれ示し、クラス1を達成する領域は矢印で表示している。
【0097】
このような結果、出力100lmを達成しつつクラス1を満足する場合は、0.5inchLCDパネルで、#F1.7の投影レンズを使用し、ML集光全角が30度程度、0.7inchLCD パネルで、#F2.0の投影レンズを使用しML集光全角が20度程度等であることが好適な例としてあげることができる。
【0098】
また、0.3inch等の最小LCDパネルにおいては、ML集光全角が30度程度で、#F1.7の投影レンズにより最大出力40lm程度まで出力しうることがわかる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態に係る液晶プロジェクタは、レーザ素子を光源として利用し、かつ式(6)を満足する安全性の向上および、スペックル改善を目的としたマイクロレンズを含む液晶表示パネル(液晶表示素子)を有している。
以下に本発明の特徴についてまとめると以下のようになる。
【0100】
一般的に、マイクロレンズ(ML)の設計思想は、光発散角αおよびMLの屈折角度βの和α+βが、ほぼ投影レンズの#F=1/(2・NA)=1/(2・sin(u))で定義されるu(θ)とほぼ同等になるようにしている。
すなわち、通常αは明るくするためできるだけ大きく、ほぼ10度程度にする。また、屈折角度βとしては数度〜10度程度であり、この場合、#F〜1.7および焦点をTFT基板内に結ぶことが予想される。
この場合、投影レンズは一般的に小さい#F値であれば、設計上難しくなりかつ高価になる傾向にあり、
そのため、できるだけ投影レンズの#F値を大きくする考慮がされていることになる。
しかしながら、レーザ光源を使用する場合は、異なったML構造の思想が必要になる。
【0101】
すなわち、レーザ光源を使用する場合は光発散角αが本質的に激減する。すなわちパネル入射光発散角αを1度以下の程度にすることができ、発散角を小さくすることが可能になる。
したがって、その分屈折角度βを大きくすることが、できるようになる。すなわち、MLの短焦点化をすることができるようになる。
レーザ光を使用した場合には、できうる限り短焦点化するほうが性能的に好ましい。その理由としては、光集光効率の点から、マイクロレンズ(ML)によってTFT基板面上あるいは、その近傍に集光させる場合、回折限界のビーム径は、D〜2.44・λ/D ・fであり、短焦点化できれば、ビーム径が小さくでき、その分TFT画素開口部に集光しやすくなる。
あるいは、画素開口面積を小さくすることもでき、LCDサイズの縮小化可能で、プロジェクタの小型・高輝度化、低コスト化に有効である。
また、スペックル低減の観点から、短焦点化は、スペックル低減に有効である。一般にスペックル低減には、空間的、時間的に、位相が異なったいろんな値をとる光の平均操作を利用することが重要である。
マイクロレンズ(ML)を短焦点化すると、MLを通じて集光された光の位相が異なる程度が空間的に大きくなることになる。あるいは、コヒーレンス長を短くすることができるようになる。
したがって、スペックル低減に有効である。
【0102】
さらに、上記光集光効率を考慮すれば、焦点距離を一定の範囲内で、ランダムに一のML内で二次元的にランダムに分布させるような応用も可能である。このほうがさらにスペックル低減には効果がある。
【0103】
安全性の向上は、レーザ光源を使用したフロントプロジェクタの場合は、特に重要な課題である。リアプロジェクタの場合は通常拡散機能を備えたスクリーンを用いるため、直接的にレーザ光を眼で見ることが無いため、問題視されにくい。
フロントプロジェクタにおいて想定する危険は、出射側から投影レンズを覗き込むような場合である。マイクロレンズ(ML)を短焦点化すると、LCDから出射される光の出射瞳における画素像が大きくなり、その分、眼に入射する光量・エネルギーが低減し、安全性が確保されるのである。特に目に対する化学的障害の防止には特に、有効である。
また、この場合、プロジェクタとして必要なRGB総合的な輝度を達成ために、LCDの有効画角を考慮する必要がある。小さい画角のLCDに輝度向上を図るためにレーザ光パワーを増加させると、いかにマイクロレンズで対応しても、化学的障害の危険度が増す。
すなわち、レーザ光の安全性クラス1以内の確保のためには、マイクロレンズ(ML)の焦点距離および液晶表示パネルの有効領域サイズの両方を考慮することが重要である。
これらを総合すると、ランプ光学系の場合にみられるように、投影レンズの#F値を考慮して、TFT画素面以降に焦点距離を位置させるようにするよりは、#F値を考慮しつつも、できるだけ短焦点化し、TFT基板面ないしはそれより手前側に焦点を結んだ構造とするほうが、レーザ光源を用いた場合には、安全性およびスペックル低減の面から効果があることになる。
そこで、本実施形態においては、このマイクロレンズ(ML)の焦点距離、カバーガラス厚みおよび、画角等を場合に応じて最適化し、安全性の確保およびスペックル低減した液晶プロジェクタを実現している。
本実施形態においては、レーザ光を使用したプロジェクタを点灯状態で、投影レンズを直に裸眼で覗いた場合に、クラス1を達成するマイクロレンズおよびLCDの形成条件が設定されている。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
1)安全を達成しうるレーザ光源を用いたプロジェクタを実現できる。
2)スペックル対応も行うことができる。
3)レーザ光源はエテンデュ(Etendue)が小さく、単板方式でも3板方式と同じ程度の光出力の効率を達成でき、ML単板式の場合、斜入射光の角度が発生するため、入射光の発散角を絞る必要がある。そのため結果的に3板式に比較し、輝度を落とすことになる。しかし、レーザ光を光源にした場合は、もともと光発散角が小さいため輝度を落とすことなくしかも、斜入射光角度もランプ系光源に比較して小さくできる。
4)小型で高効率化を図ることができる(約30%)。
これにより、レーザ光のパワーが少なくて済み、熱対策、および安全仕様対策上非常に有利である。その結果小型化に寄与する。
高効率化が達成可能なのは、レーザ光使用のための光発散角が抑えられることに由来する。
特に、単板ML方式の場合、通常の光源では、アパーチャー等を利用しないと混色が発生し、色純度が上昇しない。この点、レーザ光発散角αは1度程度で非常に小さく、それ故高透過率化可能である。
DOEの最大回折角または拡散角は、輝度均一性とトレードオフ(trade off)であるが、30度程度まで可能であり。さらに小型化に寄与する。
本実施形態の光学系は、幅1cm×1cm×長さ3.5cm程度まで小型化可能で、大きさ的にはDSC、カムコーダー、等の色々な機器に装着可能な大きさになった。
【0105】
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示素子を採用した投射型液晶表示装置の他例を示す概略構成図である。
【0106】
本第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、光学系の回折光学素子の代わりに屈折型光学素子(たとえば屈折率型拡散板)24Aを用いたことにある。
【0107】
この場合、光学系2Aにおいて、赤色光用のダイクロイックミラー23Rおよび青色光用のダイクロイックミラー24Bは、緑色光用のダイクロイックミラー23Gの配置位置を中央として、各+1.5度、−1.5傾斜させている。
換言すれば、両側のレーザ光ビーム1Rおよび1Bが、フィールドレンズ31の主点に向かうように、中央のレーザ光ビーム1Gに対して、それぞれ所定角度で傾斜するように、各レーザ11R,11Gおよび11Bを配置する。
【0108】
これは、屈折型光学素子の場合には、上述した回折光学素子の場合と異なり、中心光は斜めに入射させて出射光の中心線を一致させた方が、光学系の設計が簡単であるからである。もちろん、図1の例と同様に、各色のレーザ光ビーム1R,1Gおよび1Bを平行にしてもよい。
【0109】
屈折型光学素子それ自体は、知られており、インターネット上(たとえば、URL;http://www.rpcphotonics.com/engineer_diffuser.htm)などで参照することができる。
【0110】
屈折型光学素子は、多様な形状および曲率をもったマイクロレンズを2次元的に集合させたもので、光の屈折によって光ビームを拡散成形することができる。各マイクロレンズは、辺の長さが50μm程度の、異なった曲率、半径のもので、各マイクロレンズに入射した光は、マイクロレンズで屈折され、重なり合って、最終的に所定の形状に成形され、輝度分布も均一にすることができる。
【0111】
回折光学素子の場合は、表面に形成された微小な回折パターンが回折像を形成し、それら回折光を重ね合わせるのに対して、屈折型光学素子の場合は、各マイクロレンズが、入射光を屈折させ、集光拡散させ、重畳することによって、所定の形状に成形され、輝度分布の均一性も得られる。
回折光学素子は高次回折光も生成するため、プロジェクタに採用する場合、屈折型光学素子の方が、光利用効率が高く、好適である。
【0112】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0113】
<第3の実施形態>
第3の実施形態として、赤、緑および青の3色につき別個の液晶表示パネル(液晶ライトバルブ)を用いる3板式の場合を示す。
【0114】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る3板式の液晶プロジェクタの一例を示す図である。
【0115】
この例では、赤色レーザ11R、緑色レーザ11Gおよび青色レーザ11Bは、別の箇所に配置され、赤色用回折または屈折型光学素子24Rによって、赤色レーザ11Rから出射された赤のレーザ光ビーム1Rが、液晶表示パネル4Rの表示領域の全域にわたり、かつその各画素に入射するように拡散成形され、緑色用回折または屈折型光学素子24Gによって、緑色レーザ11Gから出射された緑のレーザ光ビーム1Gは、液晶表示パネル4Gの表示領域の全域にわたり、かつその各画素に入射するように拡散成形され、反射型の青色用回折または屈折型光学素子24Bによって、青色レーザ11Bから出射された青のレーザ光ビーム1Bは、反射させるとともに、後述の液晶表示パネル4Bの表示領域の全域にわたり、かつその各画素に入射するように拡散成形される。
【0116】
赤色用光学素子24Rによって拡散成形されたレーザ光ビーム2Rは、ミラー6Rで反射され、フィールドレンズ31Rによって平行光ビームのレーザ光ビーム3Rに変換されて、液晶表示パネル4Rに入射される。
緑色用光学素子24Gによって拡散成形されたレーザ光ビーム2Gは、フィールドレンズ31Gによって平行光ビームのレーザ光ビーム3Gに変換されて、液晶表示パネル4Gに入射される。
青色用光学素子24Bによって反射し拡散成形されたレーザ光ビーム2Bは、ミラー6Bで反射され、フィールドレンズ31Bによって平行光ビームのレーザ光ビーム3Bに変換されて、液晶表示パネル4Bに入射される。
【0117】
液晶表示パネル4Rは赤用の、液晶表示パネル4Gは緑用の、液晶表示パネル4Bは青用の、それぞれ単色表示用の液晶表示装置である。
【0118】
したがって、液晶表示パネル4Rを透過したレーザ光として、赤の画像光が得られ、液晶表示パネル4Gを透過したレーザ光として、緑の画像光が得られ、液晶表示パネル4Bを透過したレーザ光として、青の画像光が得られる。
【0119】
図11の例では、その緑の画像光は、合成光学手段としてのクロスダイクロイックプリズム7を透過して、投射レンズ5に入射され、赤の画像光は、クロスダイクロイックプリズム7の反射膜7rで反射されて、投射レンズ5に入射され、青の画像光は、クロスダイクロイックプリズム7の反射膜7bで反射されて、投射レンズ5に入射される。
【0120】
したがって、単板式の場合と同様に、プロジェクタ外部のスクリーン上に多色画像光を投射することができる。
【0121】
なお、この3板式液晶プロジェクタにおいて、たとえば#F1.7の投射レンズ5を使用し、図12に示すように、マイクロレンズの曲率を変え、集光全角をランダム変化させることも可能である。すなわち、マイクロレンズの曲率を選択的に異なるように形成して構成することも可能である。この場合、たとえば、対角0.6インチにおいては、集光全角20度〜30度とすることができる。このような場合、スペックル低減に効果がある。
また、図13に示すように、マイクロレンズの曲率は変えず、厚さを変えるようにすることも可能である。すなわち、マイクロレンズの厚さを選択的に異なるように形成して構成することも可能である。
【0122】
なお、透過型の赤用光学素子24Rの代わりに、ミラー6Rの位置に反射型の赤用回折光学素子を配置し、反射型の青用光学素子24Bの代わりに、青用光学素子24Bの位置にミラーを配置し、その手前の位置に透過型の青用光学素子を配置してもよい。
【0123】
また、以上の説明では、透過型LCDを例に説明したが、本発明は反射型にも応用可能である。
【0124】
<第4の実施形態>
図14は、本発明の第4の実施形態に係る電子機器としての携帯電話端末の一例を示す図である。
【0125】
この例は、携帯電話端末100に、この発明の液晶プロジェクタとして、図1の例のような単板式の液晶プロジェクタ110を内蔵したものである。
【0126】
具体的に、携帯電話端末100は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイおよび受話用スピーカが設けられた開閉部101を、各種キーおよび送話用マイクロホンが設けられた基底部102に対して開閉できる折り畳み型のもので、たとえば、その基底部102の、アンテナ103が設けられた側とは反対側の側部に、液晶プロジェクタ110を内蔵する。
【0127】
これによれば、携帯電話通信網によって取得され、または携帯電話端末100に内蔵されたカメラで被写体を撮影することにより得られて、携帯電話端末100に内蔵された半導体メモリやハードディスク、または携帯電話端末100に装着されたメモリカードなどの記録媒体に記録されている画像データを、携帯電話端末100の内部の画像処理部で処理し、赤、緑および青の画像信号に変換して、液晶プロジェクタ110の液晶表示パネル40に印加することによって、携帯電話端末100の外部のスクリーン200上に多色画像光IMを投射することができる。
【0128】
スクリーン200としては、部屋の壁、机の天板、机上に置かれた用紙などを利用することができる。
【0129】
この発明の液晶プロジェクタは、携帯電話端末に限らず、デジタルカメラ(デジタルスチルカメラ)、ビデオカメラ、モバイルコンピュータ、ゲーム機など、内蔵または装着された記録媒体(記憶装置)に記録されている画像データを処理して、画像を再生する装置に内蔵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子を採用した投射型液晶表示装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】光源部の一例を示す図である。
【図3】本第1の実施形態に係る液晶表示パネルの基本的な構成例を示す図である。
【図4】マイクロレンズの集光全角について説明するための図である。
【図5】化学的網膜障害基準について説明するための図である。
【図6】基準値について説明するための図である。
【図7】眼球1.1mm開口入力B光線パワーのシミュレーションを行った系を示す図である。
【図8】本実施形態において安全基準クラス1を満たす条件を要約して示す図である。
【図9】マイクロレンズ発散角と最小LCD対角との関係と、クラス1を達成する領域を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子を採用した投射型液晶表示装置の他例を示す概略構成図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る3板式の液晶プロジェクタの一例を示す図である。
【図12】マイクロレンズの曲率を変えた変形例を示す図である。
【図13】マイクロレンズの暑さを変えた変形例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る電子機器としての携帯電話端末の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0131】
PRJ・・・投射型表示装置、1・・・光源部、2・・・光学系、3・・・フィールドレンズ、4・・・液晶表示パネル(LCD、液晶表示素子)、5・・・投射レンズ、7・・・クロスダイクロイックプリズム、41・・・TFT基板、42・・・マイクロレンズ対向基板、43・・・液晶層、423・・・マイクロレンズアレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成し、所定の焦点距離を有する投射レンズに出射する液晶表示素子であって、
上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い
液晶表示素子。
【請求項2】
上記マイクロレンズの集光全角θ、有効対角パネルサイズc、および上記投射レンズの焦点距離fとした場合に、上記投射パワーと上記所定波長のレーザ光に基づく基準値とが以下の関係を満足する
請求項1記載の液晶表示素子。
【数1】

【請求項3】
上記所定波長は、青色のレーザ光の波長帯を含む
請求項2記載の液晶表示素子。
【請求項4】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの曲率が選択的に異なるように形成されている
請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項5】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの厚さが選択的に異なるように形成されている
請求項1記載の液晶表示素子。
【請求項6】
レーザ光ビームを出射する少なくとも一つのレーザを有する光源部と、
複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成する液晶表示パネルと、
上記光源部から出射されたレーザ光ビームを導波して上記液晶表示パネルに照射する光学系と、
上記液晶表示パネルによる画像光を投射する投射レンズと、を有し、
上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い
投射型液晶表示装置。
【請求項7】
上記マイクロレンズの集光全角θ、有効対角パネルサイズc、および上記投射レンズの焦点距離fとした場合に、上記投射パワーと上記所定波長のレーザ光に基づく基準値とが以下の関係を満足する
請求項6記載の投射型液晶表示装置。
【数2】

【請求項8】
上記所定波長は、青色のレーザ光の波長帯を含む
請求項7記載の投射型液晶表示装置。
【請求項9】
上記光源部は、
赤、緑および青のレーザ光ビームを出射する第1、第2および第3のレーザを有する
請求項7記載の投射型液晶表示装置。
【請求項10】
上記光学系は、
光の回折または屈折によって、前記光源部から出射された各色のレーザ光ビームを、 色分離し上記液晶表示パネルへの入射角度を制御する光学素子を含む
請求項9記載の投射型液晶表示装置。
【請求項11】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの曲率が選択的に異なるように形成されている
請求項6記載の投射型液晶表示装置。
【請求項12】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの厚さが選択的に異なるように形成されている
請求項6記載の投射型液晶表示装置。
【請求項13】
赤、緑および青のレーザ光ビームを出射する第1、第2および第3のレーザを有する光源部と、
複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、赤、緑および青のレーザ光ビームが個別に照射され、画像信号に応じた画像光を生成する第1、第2および第3の液晶表示パネルと、
上記光源部から出射された赤、緑および青のレーザ光ビームを導波してそれぞれ対応する第1、第2および第3の液晶表示パネルに照射する光学系と、
上記第1の液晶表示パネルによる第1の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第2の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第3の画像光とを合成する合成光学手段と、
上記合成光学手段による画像光を投射する投射レンズと、を有し、
上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い
投射型液晶表示装置。
【請求項14】
上記マイクロレンズの集光全角θ、有効対角パネルサイズc、および上記投射レンズの焦点距離fとした場合に、上記投射パワーと上記所定波長のレーザ光に基づく基準値とが以下の関係を満足する
請求項13記載の投射型液晶表示装置。
【数3】

【請求項15】
上記所定波長は、青色のレーザ光の波長帯を含む
請求項14記載の投射型液晶表示装置。
【請求項16】
上記光学系は、
光の回折または屈折によって、前記光源部から出射された各色のレーザ光ビームを、 色分離し上記各液晶表示パネルへの入射角度を制御する光学素子を含む
請求項13記載の投射型液晶表示装置。
【請求項17】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの曲率が選択的に異なるように形成されている
請求項13記載の投射型液晶表示装置。
【請求項18】
上記マイクロレンズアレイにおいて、
上記マイクロレンズアレイの厚さが選択的に異なるように形成されている
請求項13記載の投射型液晶表示装置。
【請求項19】
投射型液晶表示装置を搭載した電子機器であって、
上記投射型液晶表示装置は、
レーザ光ビームを出射する少なくとも一つのレーザを有する光源部と、
複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、画像信号に応じた画像光を生成する液晶表示パネルと、
上記光源部から出射されたレーザ光ビームを導波して上記液晶表示パネルに照射する光学系と、
上記液晶表示パネルによる画像光を投射する投射レンズと、を有し、
上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い
電子機器。
【請求項20】
投射型液晶表示装置を搭載した電子機器であって、
上記投射型液晶表示装置は、
赤、緑および青のレーザ光ビームを出射する第1、第2および第3のレーザを有する光源部と、
複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイが形成され、赤、緑および青のレーザ光ビームが個別に照射され、画像信号に応じた画像光を生成する第1、第2および第3の液晶表示パネルと、
上記光源部から出射された赤、緑および青のレーザ光ビームを導波してそれぞれ対応する第1、第2および第3の液晶表示パネルに照射する光学系と、
上記第1の液晶表示パネルによる第1の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第2の画像光と、上記第2の液晶表示パネルによる第3の画像光とを合成する合成光学手段と、
上記合成光学手段による画像光を投射する投射レンズと、を有し、
上記マイクロレンズの集光全角、有効対角パネルサイズ、および上記投射レンズの焦点距離により規定される投射パワーが、所定波長のレーザ光に基づく基準値より低い
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−116163(P2009−116163A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290686(P2007−290686)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】