説明

液晶表示装置および電子機器

【課題】入射光強度を調整することで白輝度を高め、コントラスト比を向上させた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】一対の基板に挟持された第1液晶層30Aを有し、複数の有効表示領域AR1を含む画像表示部100と、一対の基板の外側に配置され、複数の電極対に挟持された第2液晶層30Bを有し、電極対と第2液晶層30Bに含まれる液晶分子LCとが有効表示領域AR1と平面的に重なる集光素子50を形成する液晶集光部200と、を備え、液晶集光部200の画像表示部100とは反対側から該液晶集光部200に入射された入射光Lを用いて表示を行う液晶表示装置1であって、入射光Lを遮光する遮光構成物が遮光領域に設けられており、集光素子50は、端部の少なくとも一部が遮光領域に平面的に重なり、電極対に電圧が印加されることによって対向基板14Lにおける有効表示領域AR1と平面的に重なる領域に入射光Lを集光することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、様々な電気光学装置の光変調装置として用いられている。使用用途が多岐に渡ることから、液晶表示装置を用いた表示画像の画質に対しては数々の改良要求があり、活発に研究が行われている。
【0003】
このような改良要求の高い品質としては、画像の黒表示と白表示との輝度差(コントラスト)、または輝度の比(コントラスト比)がある。コントラスト比が高い液晶表示装置では、いわゆるメリハリの利いた鮮やかな画像表示が可能となる。
【0004】
しかしながら、透過表示方式の液晶表示装置においては、組み立て公差や液晶表示装置の液晶層の位相差等に起因して、装置後方で点灯する光源からの光を液晶層で完全に遮蔽することが難しく、黒表示時に光漏れを生じる。その結果、コントラスト比を高めることが困難となっている。そのため、装置後方の光源と液晶層との間に、光源からの光量を調節可能な別部材を設け、液晶層に入射する前に光量の調整を行う構成が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−142819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記方法では、光量を調節可能な部材が液晶表示装置の裏面全面に設けられているため、光量の調節は装置全体を対象に行うよりほか無い。そのため、上記方法を用いた場合には、例えば白表示と黒表示を一画面で同時に行う表示画像で光量の調整が出来ず、表示画像のコントラスト比改良ができない。
【0006】
また、画像表示に用いる液晶表示装置とは別に、光量調節のための液晶装置を光源と液晶表示装置との間に配置すると、該液晶装置が有する偏光板により光源からの光を遮ってしまうため、全体として輝度が低下することとなる。そのため、コントラスト比の改良ができない。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、入射光強度を調整することで白輝度を高め、コントラスト比を向上させた液晶表示装置を提供することを目的とする。また、このような液晶表示装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、一対の基板に挟持された第1液晶層を有し、複数の有効表示領域を含む画像表示部と、前記一対の基板の外側に配置され、複数の電極対に挟持された第2液晶層を有し、前記電極対と前記第2液晶層に含まれる液晶分子とが、前記有効表示領域と平面的に重なる集光素子を形成する液晶集光部と、を備え、前記液晶集光部の前記画像表示部とは反対側から該液晶集光部に入射された入射光を用いて表示を行う液晶表示装置であって、前記集光素子は、前記電極対に印加される電界の方向に配列する前記液晶材料の配向分布に基づき、前記液晶集光部の法線方向に対して垂直な方向に屈折率分布を形成する液晶レンズであり、前記入射光を遮光する遮光構成物が、複数の前記有効表示領域の間の領域と平面的に重なる領域に設けられており、前記集光素子は、端部の少なくとも一部が、前記有効表示領域の間の領域に平面的に重なるとともに、前記集光素子は、前記電極対に電圧が印加されることによって、前記一対の基板のうち前記液晶集光部とは反対側の対向基板における前記有効表示領域と平面的に重なる領域に前記入射光を集光することを特徴とする。
この構成によれば、有効表示領域と対応して液晶レンズが設けられており、液晶レンズの集光機能により、光を透過しない遮光構成物に当たるはずの直進光を、有効表示領域へ向けて集光させることができる。そのため、直進光のみを利用する場合よりも、多くの入射光が有効表示領域を透過し、白輝度を高めることができる。また、液晶集光部を画像表示部による表示と同期して駆動させることで、黒表示の時には集光させず、黒表示以外の時には集光させることができる。したがって、コントラスト比を向上させた液晶表示装置とすることができる。
【0009】
本発明においては、前記集光素子は、端部が全て前記有効表示領域の間の領域に平面的に重なっていることが望ましい。
この構成によれば、効率的に有効表示領域の周辺領域から集光することができ、よりコントラスト比を高めた液晶表示装置とすることができる。
【0010】
本発明においては、前記対向基板は、前記有効表示領域と平面的に重なって前記入射光を散乱させる散乱層を有し、前記集光素子は、前記入射光を前記散乱層に集光することが望ましい。
この構成によれば、集光した光を拡散させることで、コントラスト比を高めると共に視野角が広い液晶表示装置とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記対向基板は、前記有効表示領域と平面的に重なって前記入射光を散乱させる機能を有するカラーフィルタ層を備え、前記集光素子は、前記入射光を前記カラーフィルタ層に集光することが望ましい。
この構成によれば、集光した光を拡散させることで、コントラスト比を高めると共に視野角を広くすることができる。また、カラーフィルタ層が散乱機能を備えているため、別体で散乱層を設けるよりも装置構成を簡略化することができ、薄型化した液晶表示装置とすることができる。
【0012】
本発明においては、前記液晶分子は、誘電率異方性が正の液晶分子であることが望ましい。
この構成によれば、第2液晶層の初期配向状態を水平配向とし、簡単な構成で液晶集光部を形成することができる。
【0013】
本発明においては、前記画像表示部へ入力される画像信号を検知する検知部と、前記検知部で検知された前記画像信号に基づいて前記電極対への印加を制御する制御部と、を有する制御装置を備えることが望ましい。
人間の目は光に対する感度が光の波長によって異なるため、同じ強度の光であっても波長が異なるとより明るく感じたりより暗く感じたりすることが起こる。そのため、例えば2つの有効表示領域が表示する色がそれぞれ青色と緑色である場合には、人間の目がより感じにくい青色を表示する有効表示領域へ入射する光量を多くする必要がある。本発明の構成によれば、表示する画像信号を検知して液晶集光部を制御することができる。そのため、前述の例では青色を表示する有効表示領域に対応する集光素子を駆動させ、緑色を表示する有効表示領域に対応する集光素子を駆動させないことで、光量差を設けることができる。したがって、上述の効果に加えて、より鮮明で階調表示にすぐれた表示が可能な液晶表示装置とすることができる。
【0014】
本発明の電子機器は、上述の液晶表示装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、コントラスト比が高く鮮明な表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0016】
図1は本実施形態の液晶表示装置1を示す断面図である。図に示すように、液晶表示装置1は、画像表示を行う画像表示部100と、装置後方に配置されたバックライト80と、画像表示部100とバックライト80との間に配置され、バックライト80からの光を集光する液晶集光部200とを備えている。以下の説明では、バックライト80を配置している方向を下、画像表示部100が配置されている方向を上として、各構成部材の上下関係を示す。
【0017】
画像表示部100は、駆動素子や配線等が形成された素子基板12Lと、素子基板12Lと対になり対向配置された対向基板14Lと、素子基板12Lと対向基板14Lとに挟持される第1液晶層30Aとを備えている。対向基板14Lの第1液晶層30A側には、フルカラー表示を可能とする光変調用の着色層を有するカラーフィルタ層40が配置されており、反対側には偏光板70が配置されている。液晶表示装置1では、バックライト80から射出される光を用いて、有効表示領域AR1にて画像表示が行われる。
【0018】
素子基板12Lが備える基板本体12は、例えばガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)、またはこれらの複合材料など光透過性を備えた材料で形成されている。
【0019】
基板本体12の上には、駆動素子、配線、及びこれらを電気的に絶縁する無機物または有機物の絶縁膜などを備えた素子層13が形成されている。各種配線や駆動素子はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
【0020】
素子基板12Lの上には、不透明の樹脂材料で形成されたブラックマトリクス(遮光構成物)20が配置されている。ブラックマトリクス20は、素子基板12Lに形成された配線等を観察者から隠し、隣接する有効表示領域AR1の間の遮光領域AR2を形成している。即ち、ブラックマトリクス20に覆われていない領域が有効表示領域AR1となっている。ブラックマトリクス20の形成材料には、例えば黒色顔料を混ぜたアクリル樹脂を用いることができる。
【0021】
対向基板14Lが備える基板本体14は、基板本体12と同様に、例えばガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)、またはこれらの複合材料など光透過性を備えた材料で形成されている。
【0022】
基板本体14の第1液晶層30A側の表面にはカラーフィルタ層40を備えている。カラーフィルタ層40は、バックライト80からの入射光を赤色、緑色、青色に変調する着色層を備えている。これらの着色層を透過した各色の光を混色することでフルカラー表示が可能となる。また、着色層には光を散乱するビーズ状の透明微粒子が含有されており、着色層に入射される光を散乱する機能を兼ね備えている。このため、装置前方へ広い視野角を備えた液晶表示装置1となっている。
【0023】
本発明の技術思想によれば、第1液晶層30Aに含まれる液晶分子の駆動方式はいかなるものでも良く、通常知られたTN、IPS、VA、OCB等様々な液晶駆動方式を採用することができる。画像表示部100には、それぞれ採用する駆動方式に応じた形状の画素電極、共通電極、配向膜等の必要構成を備えている。
【0024】
液晶集光部200は、表面に共通配線64を備えた基板22Lと、素子基板12Lの表面に形成された信号配線62と、素子基板12Lと基板22Lとの間に挟持された第2液晶層30Bとを備えている。信号配線62と共通配線64との重なった部分は電極対をなし、該電極対の間に電圧が印加されると、第2液晶層30Bに含まれる液晶分子LCが液晶レンズ(集光素子)50を形成する構成となっている。
【0025】
基板22Lが備える基板本体22は、基板本体12,14と同様に、例えばガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)、またはこれらの複合材料など光透過性を備えた形成材料を用いて形成されている。
【0026】
基板本体22の第2液晶層30Bと対向しない面には、対向基板14Lに設けられた偏光板と対を成す偏光板70が設けられている。液晶表示装置1では、偏光板70は一対のみ設けられているため、偏光板70による入射光の損失は、通常の構成の液晶表示装置と変わらない。
【0027】
信号配線62および共通配線64は、透光性の導電性材料で形成されており、本実施形態では、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の光透過性を備えた導電性の金属酸化物にて形成されている。信号配線62は、ブラックマトリクス20と平面的に重なって形成されている。
【0028】
また、信号配線62および共通配線64の表面には、不図示の配向膜が形成されており、第2液晶層30Bに含まれる液晶分子LCの初期配向状態が水平配向となるような配向規制力が働いている。液晶分子LCには、誘電率異方性が正の液晶分子を用いる。
【0029】
図中破線で矩形に囲む部分に形成される液晶レンズ50は、装置に入射する平行光の光軸に垂直な方向に屈折率分布を有する屈折率分布レンズである。ここでは、液晶レンズ50の平面視中央部付近の屈折率が高く、端部方向に屈折率が低くなるように屈折率が変化するいわゆるラジアル型の屈折率分布レンズとなっている。屈折率分布レンズは、レンズ内部の屈折率勾配を利用して入射光を歪曲し、集光する機能を備えている。本実施形態の液晶レンズ50は、液晶材料LCが備える屈折率の異方性を利用し、屈折率分布を形成している。液晶レンズ50は、端部がブラックマトリクス20と平面的に重なって形成されており、バックライト80からの光をカラーフィルタ層40に集光する機能を備えている。液晶レンズ50の詳細な構造については、後に詳述する。
【0030】
図2は、液晶表示装置1の構成を示す概略図であり、(a)は液晶表示装置1を画像表示部100から観察した表示画面の平面図であり、(b)は液晶集光部200の配線構造を示す平面図である。図2(b)は(a)に対応する図であり、図1は図2(b)の線分A−Aの矢視断面図となっている。また、図2(c)は液晶集光部200を駆動させた状態を示す概略斜視図である。
【0031】
図2(a)に示すように、液晶表示装置1の画像表示部100における表示画面は、マトリクス状に配置された有効表示領域AR1と、有効表示領域AR1の間に配置された遮光領域AR2により構成されている。
【0032】
図2(b)に示すように、液晶集光部200は、複数の信号配線62と複数の共通配線64とが直交して配置されており、配線間に印加することにより交差部に発生する電界で第2液晶層30Bを駆動させるパッシブ方式の駆動方式が採用されている。信号配線62には平面視で略円形の開口部63が設けられており、開口部63と平面的に重なって有効表示領域AR1が配置されている。
【0033】
信号配線62と共通配線64との間に印加し液晶集光部200を駆動させると、図2(c)に示すように、信号配線62の開口部63を除いて電界が発生し、開口部63と平面的に重なる領域には液晶分子LCの新たな配向分布が形成される。その結果、前述のように液晶分子LCの屈折率異方性に起因して液晶レンズ50が形成される。
【0034】
次いで、図3を用いて課題を解決するための液晶レンズ50の形態について説明する。図3は、液晶レンズ50の構造を説明する概略図である。
【0035】
図3(a)に示すように、符号rは液晶レンズ50の中心から外周までの幅(信号配線62の開口部の半径)、fは液晶レンズ50の焦点距離、wは液晶レンズ50の端部からブラックマトリクス20の端部までの平面視での距離を表している。また、d1は第2液晶層30Bの厚み、d2は素子基板12Lの厚み、d3は第1液晶層30Aの厚み、d4は対向基板14Lの厚みを示している。ここでは、長さの単位は全てμmであるとする。
【0036】
液晶レンズ50焦点距離fは、液晶分子LCの常光屈折率nおよび異常光屈折率nを用いると次の式(1)で与えられる。
【0037】
【数1】

【0038】
液晶レンズ50は、バックライトからの入射光を、対向基板14Lにおける有効表示領域AR1と平面的に重なる領域に集光することから、液晶レンズ50は、焦点距離fが次の式(2)で示される関係を満たすように設計される。ここでは対向基板14Lが備えるカラーフィルタ層40の液晶層側の表面に集光することとして示している。
【0039】
【数2】

【0040】
ここでは対向基板14Lが備えるカラーフィルタ層40の液晶層側の表面に集光することとして示している。したがって、f=d1+d2+d3となっている。
【0041】
図3(b)に示すように、装置外部から液晶レンズ50の端部への入射光Lが直線光で焦点Pに収束すると近似した場合、入射光Lの屈折角をθとする。液晶レンズ50の端部への入射光Lをブラックマトリクス20が遮らないためには、液晶レンズ50の端部における基板22Lの法線S1と、液晶レンズ50の端部とブラックマトリクス20の端部とを結ぶ線S2と、が成す角をφとすると、図の幾何学的な関係よりθ>φという関係を満たすこととすればよい。
【0042】
上記の関係から、図に示す液晶レンズ50で歪曲された入射光Lがブラックマトリクス20に遮られないためには、tanθ>tanφを満たせばよく、したがってそれぞれの数値が以下の式(3)より式(4)を満たすこととすればよい。
【0043】
【数3】

【0044】
【数4】

【0045】
式(2)の条件内で集光位置を変更する場合には、焦点距離fに応じて距離wを変更させることとすればよい。
【0046】
液晶表示装置1では、上記のような液晶レンズ50を形成する液晶集光部200が画像表示部100の表示と対応して駆動する。図4は液晶表示装置1の動作の様子を説明する断面図であり、図1に対応する図である。図4(a)は、画像表示部100が黒表示を行う様子を示し、(b)は画像表示部100が入射光Lを透過させ画像表示を行う様子を示している。
【0047】
図4(a)に示すように、画像表示部100が黒表示を行う場合には、液晶集光部200には液晶レンズ50を形成せず、バックライト80から入射する入射光Lは、ブラックマトリクス20、および対向基板14Lに設けられた不図示の偏光板に遮られる。
【0048】
対して図4(b)に示すように、画像表示部100が画像表示を行う場合には、液晶集光部200を駆動させ液晶レンズ50を形成する。そして、ブラックマトリクス20に当たるはずの入射光Lを、有効表示領域AR1へ向けて集光させ画像表示に用いる。そのため、液晶レンズ50を用いると、多くの入射光Lが有効表示領域AR1を透過するため、液晶表示装置1の白輝度を高めることができる。以上のようにして、液晶表示装置1は画像表示部100で表示を行う場合に、液晶レンズ50を用いて多くの入射光Lを用いて表示を行うため、コントラスト比を高めることができる。
【0049】
以上のような構成の液晶表示装置1によれば、有効表示領域AR1と対応して液晶レンズ50が設けられており、液晶レンズ50の集光機能により、光を透過しないブラックマトリクス20に当たるはずの直進光の入射光Lを、有効表示領域AR1へ向けて集光させることができる。そのため、直進光のみを利用する場合よりも、多くの入射光Lが有効表示領域AR1を透過し、白輝度を高めることができる。また、液晶集光部200を画像表示部100による表示と同期して駆動させることで、黒表示の時には集光させず、黒表示以外の時には集光させることができる。したがって、コントラスト比を向上させた液晶表示装置1とすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、対向基板14Lは、有効表示領域AR1と平面的に重なって入射光Lを散乱させる機能を備えたカラーフィルタ層40を備え、液晶レンズ50は、入射光Lをカラーフィルタ層40に集光することとしている。そのため、散乱機能を有するカラーフィルタ層40が、集光した光を拡散させることで、コントラスト比を高めると共に視野角を広くすることができる。また、別体で散乱層を設けるよりも装置構成を簡略化することができ、薄型化した液晶表示装置1とすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、液晶分子LCは、誘電率異方性が正の液晶分子であることとしている。そのため、第2第2液晶層30Bの初期配向状態を水平配向とし、簡単な構成で液晶集光部200を形成することができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、遮光領域AR2には不透明樹脂で形成されたブラックマトリクス20を備えることとしたが、本発明の技術思想によれば、遮光領域AR2にはブラックマトリクス20は必須ではない。例えば、光透過性を備えない金属配線や駆動素子など、バックライト80からの入射光Lを遮る遮光性の構成物であれば、本発明の遮光領域AR2とすることができる。液晶レンズ50の機能により、これらの遮光性構成物に入射するはずの入射光をカラーフィルタ40上に集光することで、輝度を高めることが可能となり、コントラスト比を高めることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態においては、カラーフィルタ層40は光散乱機能を兼ね備えることとしたが、対向基板14Lに散乱機能のみ備える散乱層を設けることとしても構わない。その場合は、液晶レンズ50の集光位置を該散乱層上とすると、良好に視野角の確保ができた液晶表示装置1とすることができ好ましい。
【0054】
また、本実施形態においては、第2液晶層30Bに含まれる液晶分子LCに誘電率異方性が正の液晶分子を用いることとしたが、誘電率異方性が負の液晶分子を用いることもできる。その場合には、信号配線62および共通配線64の表面には、初期配向状態を垂直配向とする配向膜を付し、電極にスリットを入れるまたは電極表面に凹凸形状を設けるなど通常知られた方法により液晶分子の傾斜方向を規定し、電圧印加時に液晶レンズを形成するように制御することが望ましい。
【0055】
また、本実施形態においては、黒表示では液晶集光部200を駆動させず、画像表示を行う場合には液晶集光部200を駆動させることとしたが、更に詳細に表示画像と対応させて液晶集光部200を駆動させることとしても構わない。その場合は、画像表示部100へ入力される画像信号を検知する検知部と、該検知部で検知された画像信号に基づいて信号配線62および共通配線64への印加を制御する制御部と、を有する制御装置を備えることであることが望ましい。
【0056】
人間の目は光に対する感度が光の波長によって異なるため、同じ強度の光であっても波長が異なるとより明るく感じたりより暗く感じたりすることが起こる。そのため、例えば2つの有効表示領域が表示する色がそれぞれ青色と緑色である場合には、人間の目がより感じにくい青色を表示する有効表示領域AR1へ入射する光量を多くする必要がある。
【0057】
その場合、表示する画像信号を検知部で検知し、画像信号に基づいて制御部で制御することで、表示する画像の画像信号に基づいて、液晶集光部200をより細かく制御することができる。そのため、前述の例では青色を表示する有効表示領域AR1に対応する液晶レンズ50を駆動させ、緑色を表示する有効表示領域AR1に対応する液晶レンズ50を駆動させないことで、光量差を設けることができる。したがって、上述の効果に加えて、より鮮明で階調表示にすぐれた表示が可能な液晶表示装置1とすることができる。
【0058】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置2の説明図であり、第1実施形態の図2に対応する概略図である。本実施形態の液晶表示装置2は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。異なるのは、液晶集光部200が備える信号配線62が2本1組の細線で形成されており、ブラックマトリクス20に平面的に重なる領域に配置されていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0059】
図5(a)に示すように、液晶表示装置2の画像表示部100における表示画面は、マトリクス状に配置された有効表示領域AR1と、有効表示領域AR1の間に配置された遮光領域AR2により構成されている。
【0060】
図5(b)に示すように、液晶集光部200が有する信号配線62は、有効表示領域AR1の間に配置された遮光領域AR2に平面的に重なり、共通配線64と直交し延在して形成されている。隣接する有効表示領域AR1の間にはそれぞれ2本の信号配線62が形成されており、2本1組で有効表示領域AR1を挟み込んで配置されている。また、共通配線64は有効表示領域AR1と平面的に重なって形成されている。そのため、共通配線64が平面的に重なる領域であって、有効表示領域AR1を挟み込んで形成される一対の信号配線62を両端とする領域は、有効表示領域AR1と完全に重なって配置されている。
【0061】
信号配線62と共通配線64との間に印加し液晶集光部200を駆動させると、図5(c)に示すように、有効表示領域AR1を挟み込む一対の信号配線62と共通配線64との間に電界が発生し、液晶分子LCの新たな配向分布が形成される。その結果、共通配線64が平面的に重なる領域であって、有効表示領域AR1を挟み込んで形成される一対の信号配線62を両端とする領域には図に示すようなかまぼこ状の配向分布が形成され、液晶分子LCの屈折率異方性に起因して液晶レンズ50が形成される。
【0062】
以上のような構成の液晶表示装置2によれば、液晶レンズ50が形成される領域は有効表示領域AR1と完全に重なっているため、遮光領域AR2に差し込む入射光Lを漏れなく効率的に有効表示領域AR1に集光することができ、よりコントラスト比を高めた液晶表示装置2とすることができる。
【0063】
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。図6は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図6に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の液晶表示装置により構成されたコントラスト比が高く、表示品質に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
【0064】
上記各実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、コントラスト比が高く、鮮明な表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の液晶表示装置を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の液晶表示装置の構成を示す概略図である。
【図3】第1実施形態の液晶レンズの構造を説明する概略図である。
【図4】第1実施形態の液晶表示装置の動作の様子を説明する断面図である。
【図5】第2実施形態の液晶表示装置の構成を示す概略図である。
【図6】本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1,2…液晶表示装置、12…素子基板(基板)、14…対向基板、20…ブラックマトリクス(遮光構成物)、30A…第1液晶層、30B…第2液晶層、40…カラーフィルタ層、50…液晶レンズ(集光素子)、100…画像表示部、200…液晶集光部、1300…携帯電話(電子機器)、AR1…有効表示領域、AR2…遮光領域(有効表示領域の間の領域)、L…入射光、LC…液晶分子、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板に挟持された第1液晶層を有し、複数の有効表示領域を含む画像表示部と、
前記一対の基板の外側に配置され、複数の電極対に挟持された第2液晶層を有し、前記電極対と前記第2液晶層に含まれる液晶分子とが、前記有効表示領域と平面的に重なる集光素子を形成する液晶集光部と、を備え、
前記液晶集光部の前記画像表示部とは反対側から該液晶集光部に入射された入射光を用いて表示を行う液晶表示装置であって、
前記集光素子は、前記電極対に印加される電界の方向に配列する前記液晶材料の配向分布に基づき、前記液晶集光部の法線方向に対して垂直な方向に屈折率分布を形成する液晶レンズであり、
前記入射光を遮光する遮光構成物が、複数の前記有効表示領域の間の領域と平面的に重なる領域に設けられており、
前記集光素子は、端部の少なくとも一部が、前記有効表示領域の間の領域に平面的に重なるとともに、前記集光素子は、前記電極対に電圧が印加されることによって、前記一対の基板のうち前記液晶集光部とは反対側の対向基板における前記有効表示領域と平面的に重なる領域に前記入射光を集光することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記集光素子は、端部が全て前記有効表示領域の間の領域に平面的に重なっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記対向基板は、前記有効表示領域と平面的に重なって前記入射光を散乱させる散乱層を有し、
前記集光素子は、前記入射光を前記散乱層に集光することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記対向基板は、前記有効表示領域と平面的に重なって前記入射光を散乱させる機能を有するカラーフィルタ層を備え、
前記集光素子は、前記入射光を前記カラーフィルタ層に集光することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶分子は、誘電率異方性が正の液晶分子であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記画像表示部へ入力される画像信号を検知する検知部と、前記検知部で検知された前記画像信号に基づいて前記電極対への印加を制御する制御部と、を有する制御装置を備えることを特徴とする請求項1から5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204938(P2009−204938A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47754(P2008−47754)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】