説明

液晶表示装置の製造方法及び脱泡装置

【課題】速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性を向上させる。
【解決手段】液晶表示パネル40の少なくとも一方の表面に接着層を介して偏光板41を貼り付ける貼付工程と、液晶表示パネル40を処理室10の内部で加熱した状態で、ローラー11を偏光板41の表面で転動させることにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間を加圧して脱泡する脱泡工程とを含むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造方法及び脱泡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話、オーディオプレイヤー及びテレビ等のディスプレイとして使用される液晶表示装置が広く知られている。液晶表示装置は、一対の基板の間で枠状のシール部材により封止された液晶層を有する液晶表示パネルを備え、一般的に、液晶表示パネルの両面には偏光板が接着層を介してそれぞれ貼り付けられている。
【0003】
これら偏光板は、貼付ローラーによって液晶表示パネルの表面に押圧されて貼り付けられている。具体的には、まず、貼付ローラーによって偏光板をワークテーブルに保持された液晶表示パネルに押圧する。続いて、偏光板が液晶表示パネルに押圧された状態でワークテーブルを移動させ、偏光板の表面で貼付ローラーを転動させる。そうして、液晶表示パネルに偏光板を全面に亘って順次押圧することにより、液晶表示パネルの一方の表面に偏光板を貼り付ける。尚、ワークテーブルを固定して加圧ローラーを移動させることによっても、偏光板を液晶表示パネルに貼り付けることが可能である。その後、液晶表示パネルの他方の表面にも同様にして偏光板を貼り付ける。
【0004】
この貼り付け方法では、偏光板を液晶表示パネルの表面に貼り付ける際に、液晶表示パネルと偏光板との間に空気が侵入して接着層中の気泡となるため、外観上の不良となりやすい。また、貼付時の加圧ローラーによる偏光板の押圧のみでは、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性が比較的低いおそれがある。このことから、液晶表示パネルが搬入された処理室の内部を加温しながら加圧して高温高圧状態にすることにより、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡すると共に、これら液晶表示パネルと偏光板との密着性を向上させるオートクレーブが知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、同一の処理室において、液晶表示パネルに対して偏光板を貼り付けた後、その処理室を高温高圧状態にしてオートクレーブを行い、気泡を脱泡すると共に偏光板の密着性を向上させることにより、工程を簡素化して生産性を向上させることが開示されている。
【特許文献1】特開平5−5878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、処理室を高温高圧状態にした後に一定時間放置する必要がある。それに加えて、処理室の内部を高温高圧状態にするための加温及び加圧に比較的長い時間を必要とする。
【0007】
さらに、処理室の内部を高圧状態に維持するためには処理室を密閉する必要があるが、液晶表示パネルを処理室へ搬入又は搬出する度に処理室が開放されるため、液晶表示パネルを搬入する度に処理室の内部を再び加圧する必要がある。そのことにより、気泡の脱泡及び偏光板の密着性向上には長時間を必要とする結果、生産性が比較的低くなっている。
【0008】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、液晶表示パネルを加熱した状態で、ローラーを液晶表示パネルに貼り付けられた偏光板の表面で転動させるようにした。
【0010】
具体的には、本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、液晶表示パネルの少なくとも一方の表面に接着層を介して偏光板を貼り付ける貼付工程と、上記液晶表示パネルを処理室の内部で加熱した状態で、ローラーを上記偏光板の表面で転動させることにより、上記液晶表示パネルと上記偏光板との間を加圧して脱泡する脱泡工程とを含む。
【0011】
上記脱泡工程では、複数の上記ローラーを上記偏光板の表面で転動させることが好ましい。
【0012】
上記脱泡工程では、上記処理室の内部で上記液晶表示パネルを搬送しながら、上記偏光板の表面で上記ローラーを転動させることが好ましい。
【0013】
上記脱泡工程では、軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラーにより、上記液晶表示パネルを搬送してもよい。
【0014】
上記脱泡工程では、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において、上記液晶表示パネルを介して上記搬送ローラーに対向する上記偏光板の表面で上記ローラーを転動させることが好ましい。
【0015】
上記脱泡工程では、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において上記ローラーに対向する上記搬送ローラーを、該搬送ローラーにおける上記ローラーとは反対側に配置された支持ローラーによって支持させることが好ましい。
【0016】
上記脱泡工程では、上記処理室の内部に温風を発生させることにより、上記液晶表示パネルを加熱することが好ましい。
【0017】
上記偏光板が貼り付けられた上記液晶表示パネルを上記処理室に搬入する搬入工程を含み、上記搬入工程では、上記液晶表示パネルを上記処理室に搬入するときに該処理室の搬入口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬入した後に上記搬入口を閉じることが好ましい。
【0018】
上記搬入工程では、少なくとも上記搬入口の外側で上記液晶表示パネルを検出し、該液晶表示パネルの検出に基づいて上記搬入口を開閉してもよい。
【0019】
脱泡された上記液晶表示パネルを上記処理室から搬出する搬出工程を含み、上記搬出工程では、上記液晶表示パネルを上記処理室から搬出するときに該処理室の搬出口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬出した後に上記搬出口を閉じることが好ましい。
【0020】
上記搬出工程では、少なくとも上記搬出口の内側で上記液晶表示パネルを検出し、該液晶表示パネルの検出に基づいて上記搬出口を開閉してもよい。
【0021】
また、本発明に係る脱泡装置は、液晶表示パネルと、該液晶表示パネルに接着層を介して貼り付けられた偏光板との間に介在する気泡を脱泡する脱泡装置であって、上記液晶表示パネルが搬入される処理室と、上記処理室の内部に搬入された上記液晶表示パネルを加熱する加熱機構と、上記処理室の内部に設けられ、上記加熱機構によって上記液晶表示パネルが加熱された状態で、上記偏光板の表面を転動することにより、上記液晶表示パネルと上記偏光板との間を加圧して脱泡するローラーとを備えている。
【0022】
複数の上記ローラーを有していることが好ましい。
【0023】
上記処理室の内部で上記液晶表示パネルを搬送するパネル搬送機構を有し、上記ローラーは、上記パネル搬送機構によって搬送される上記液晶表示パネルに貼り付けられた上記偏光板の表面で転動することが好ましい。
【0024】
上記パネル搬送機構は、軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラーであってもよい。
【0025】
上記ローラーは、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向に該搬送ローラーに対向して配置されていることが好ましい。
【0026】
上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において上記ローラーに対向する上記搬送ローラーを、該搬送ローラーにおける上記ローラーとは反対側で支持する支持ローラーを有していることが好ましい。
【0027】
上記加熱機構は、上記処理室の内部に温風を発生させる温風発生部を有していることが好ましい。
【0028】
上記処理室は、上記液晶表示パネルを搬入するときに上記処理室の搬入口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬入した後に上記搬入口を閉じる搬入口開閉機構を有することが好ましい。
【0029】
上記搬入口開閉機構は、上記搬入口の外側で上記液晶表示パネルを検出するセンサーを有していてもよい。
【0030】
上記処理室は、上記液晶表示パネルを搬出するときに上記処理室の搬出口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬出した後に上記搬出口を閉じる搬出口開閉機構を有することが好ましい。
【0031】
上記搬出口開閉機構は、上記搬出口の内側で上記液晶表示パネルを検出するセンサーを有していてもよい。
【0032】
−作用−
次に、本発明の作用について説明する。
【0033】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、貼付工程と脱泡工程を含む。貼付工程では、液晶表示装置の少なくとも一方の表面に接着層を介して偏光板を貼り付ける。次に搬入工程を行う。搬入工程では、液晶表示パネルを処理室に搬入する。その後、脱泡工程を行うことにより、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性を向上させる。
【0034】
脱泡工程では、液晶表示パネルを処理室の内部で加熱した状態で、ローラーを偏光板の表面で転動させることにより、液晶表示パネルと偏光板との間を加圧して脱泡する。したがって、接着層が軟化した状態において、液晶表示パネルと偏光板との間がローラーの転動に伴って転動方向の上手側から下手側へ順次加圧される。そのことにより、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡がローラーの転動によって軟化した接着層から転動方向下手側に押し出されて脱泡される。
【0035】
さらに、ローラーの転動によって偏光板が液晶表示パネルに押圧されるため、液晶表示パネルと偏光板との密着性が向上する。その結果、速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡が脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性が向上する。
【0036】
この脱泡工程において、処理室の内部に温風を発生させることによって液晶表示パネルを加熱する場合には、液晶表示パネルが直接温風にさらされることによって効率よく加熱される。
【0037】
また、複数のローラーを偏光板の表面で転動させる場合には、それら複数のローラーの転動に伴って、液晶表示パネルと偏光板との間が転動方向の上手側から下手側へ複数回に亘って順次加圧されるため、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡がより確実に脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性がより向上する。
【0038】
また、処理室の内部で液晶表示パネルを搬送しながら、偏光板の表面でローラーを転動させる場合には、脱泡工程を行いながら、脱泡工程の次の工程へ液晶表示パネルを搬送することが可能となる。そのことにより、液晶表示パネルが滞留することなく、速やかに脱泡工程が行われる。この液晶表示パネルの搬送は、例えば、軸方向が互いに平行な複数の搬送ローラーによって行うことが可能である。
【0039】
特に、搬送ローラーが液晶表示パネルを支持する方向に、その搬送ローラーに液晶表示パネルを介して対向する偏光板の表面でローラーを転動させる場合には、両面に偏光板が貼り付けられた液晶表示パネルにおいて、速やかに、液晶表示パネルと両面の偏光板との間の気泡が同時に脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する両面の偏光板の密着性が同時に向上する。その結果、工程数が増加することが防止される。
【0040】
すなわち、一方の偏光板の表面でローラーが転動することによって、その偏光板を介して液晶表示パネルが搬送ローラー側へ押圧される。そのことにより、他方の偏光板が搬送ローラーによって液晶表示パネルに押圧された状態で、液晶表示パネルが搬送される。したがって、他方の偏光板の表面を搬送ローラーが転動することにより、液晶表示パネルと他方の偏光板との間が搬送ローラーの転動に伴って転動方向の上手側から下手側へ順次加圧される。その結果、液晶表示パネルと他方の偏光板との間に介在する気泡が搬送ローラーの転動によって軟化した接着層から転動方向下手側に押し出されて脱泡され、液晶表示パネルと他方の偏光板との密着性が向上する。
【0041】
また、搬送ローラーが液晶表示パネルを支持する方向においてローラーに対向する搬送ローラーを、その搬送ローラーにおけるローラーとは反対側に配置された支持ローラーによって支持させる場合には、ローラーによって液晶表示パネルを介して搬送ローラーが押圧されたときに、その搬送ローラーが液晶表示パネルの表面に垂直な方向に移動することが抑制される。そのことにより、液晶表示パネルと偏光板との間がより大きく加圧される結果、液晶表示パネルと両面の偏光板との間の気泡がさらに確実に脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する両面の偏光板の密着性がさらに向上する。
【0042】
その後に搬出工程を行う、搬出工程では、液晶表示パネルを処理室から搬出する。この搬出工程において、液晶表示パネルを処理室から搬出するときにその処理室の搬出口を開けると共に、液晶表示パネルを処理室から搬出した後に搬出口を閉じる場合には、処理室に外部の空気が入ることによって処理室の内部の温度が低下することが抑制される。この搬出工程では、例えば、少なくとも搬出口の内側で液晶表示パネルを検出し、その液晶表示パネルの検出に基づいて搬出口を開閉することが可能である。
【0043】
また、上記搬入工程において、液晶表示パネルを処理室に搬入するときにその処理室の搬入口を開けると共に、液晶表示パネルを搬入した後に搬入口を閉じる場合にも、上記搬出工程と同様に、処理室の内部の温度が低下することが抑制される。この搬入工程では、少なくとも搬入口の外側で液晶表示パネルを検出し、その液晶表示パネルの検出に基づいて搬入口を開閉することが可能である。そうして、液晶表示パネルに接着層を介して偏光板が貼り付けられた液晶表示装置を製造する。
【0044】
上記脱泡工程を行う本発明に係る脱泡装置は、液晶表示パネルと、その液晶表示パネルに接着層を介して貼り付けられた偏光板との間に介在する気泡を脱泡する装置であって、液晶表示パネルが搬入される処理室を備えている。
【0045】
そして、さらに処理室の内部に搬入された液晶表示パネルを加熱する加熱機構と、処理室の内部に設けられ、加熱機構によって液晶表示パネルが加熱された状態で、偏光板の表面を転動することにより、液晶表示パネルと偏光板との間を加圧して脱泡するローラーとを備えている。この構成によると、速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡が脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性が向上することとなる。
【0046】
上記ローラーを複数有している場合には、より確実に、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡が脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性が向上することとなる。
【0047】
また、処理室の内部で液晶表示パネルを搬送するパネル搬送機構を有し、ローラーがパネル搬送機構によって搬送される液晶表示パネルに貼り付けられた偏光板の表面で転動する場合には、脱泡工程を行いながら、脱泡工程の次の工程へ液晶表示パネルを搬送することが可能となる結果、液晶表示パネルが滞留することなく、速やかに脱泡工程が行われることとなる。
【0048】
パネル搬送機構は軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラーであってもよく、特に、搬送ローラーが液晶表示パネルを支持する方向にその搬送ローラーに対向してローラーが配置されている場合には、両面に偏光板が貼り付けられた液晶表示パネルにおいて、速やかに、液晶表示パネルと両面の偏光板との間の気泡が同時に脱泡されると共に、液晶表示パネルに対する両面の偏光板の密着性が同時に向上する結果、工程数の増加が防止されることとなる。
【0049】
加熱機構が処理室の内部に温風を発生させる温風発生部を有している場合には、液晶表示パネルが直接温風にさらされることによって効率よく加熱されることとなる。
【0050】
また、処理室が液晶表示パネルを搬入するときに処理室の搬入口を開けると共に、液晶表示パネルを搬入した後に搬入口を閉じる搬入口開閉機構を有する場合には、処理室の内部の温度が低下することが抑制されることとなる。この搬入口開閉機構が、搬入口の外側で液晶表示パネルを検出するセンサを有している場合には、本発明の具体的な作用が奏されることとなる。
【0051】
処理室が液晶表示パネルを搬出するときに処理室の搬出口を開けると共に、液晶表示パネルを搬出した後に搬出口を閉じる搬出口開閉機構を有する場合にも、処理室の内部の温度が低下することが抑制されることとなる。この搬出口開閉機構が、搬出口の内側で液晶表示パネルを検出するセンサを有している場合には、本発明の具体的な作用が奏されることとなる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、接着層が軟化した状態で、液晶表示パネルと偏光板との間をローラーの転動に伴って転動方向の上手側から下手側へ順次加圧できる。そのことにより、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡をローラーの転動によって軟化した接着層から転動方向下手側に押し出して脱泡でき、さらに偏光板の全面を液晶表示パネルに押圧して液晶表示パネルと偏光板との密着性を向上させることができる。その結果、速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡できると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0054】
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1を示している。図1は、脱泡装置S及び貼付工程を説明するための断面図である。図2は、貼付工程を説明するための側面図である。
【0055】
脱泡装置Sは、図1に示すように、液晶表示パネル40が搬入される処理室10と、処理室10の内部に搬入された液晶表示パネル40を加熱する加熱機構と、処理室10の内部に設けられ、加熱機構によって液晶表示パネル40が加熱された状態で、液晶表示パネル40の表面に貼り付けられた偏光板41の表面を転動することにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間の気泡を脱泡するローラー11とを備えている。
【0056】
上記処理室10は、図示は省略するが、一方の側壁(図1の左側)に液晶表示パネル40を処理室10の内部に搬入するための搬入口を有し、その搬入口に対向する側壁(図1の右側)に液晶表示パネル40を処理室10から外部に搬出するための搬出口を有している。
【0057】
さらに、処理室10は、液晶表示パネル40を搬入するときに処理室10の搬入口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬入した後に搬入口を閉じる搬入口開閉機構を有している。この搬入口開閉機構は、搬入口の外側で液晶表示パネル40を検出するセンサー13を有している。
【0058】
すなわち、搬入口には、搬入口を開閉するシャッターが設けられている。搬入口における液晶表示パネル40の搬入方向(図1の12)上手側の手前にはセンサー13が配置されている。そして、搬入口開閉機構は、センサー13によって液晶表示パネル40を搬入口手前で検出したときに搬入口のシャッターを開け、センサー13によって液晶表示パネル40全体が処理室10に搬入されたことを検出して搬入口のシャッターを閉じるように構成されている。
【0059】
また、処理室10は、液晶表示パネル40を搬出するときに処理室10の搬出口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬出した後に搬出口を閉じる搬出口開閉機構を有する。この搬出口開閉機構は、搬出口の内側で液晶表示パネル40を検出するセンサー15を有している。
【0060】
すなわち、搬出口には搬出口を開閉するシャッターが設けられており、搬出口における液晶表示パネル40の搬出方向(図1の28)上手側の手前にはセンサー15が配置されている。そして、搬出口開閉機構は、センサー15によって液晶表示パネル40を搬出口手前で検出したときに搬出口のシャッターを開け、センサー15によって液晶表示パネル40全体が処理室10から搬出されたことを検出して搬出口のシャッターを閉じるように構成されている。
【0061】
上記加熱機構は、処理室10の内部に温風を発生させる温風発生部17を有している。この温風発生部17は、例えば処理室10の床下に設けられている。温風発生部17は、処理室内10の空気を吸入する吸入管18と、吸入管18に接続されて吸入管18から供給された空気を加熱する加熱部19と、加熱部19に接続されて加熱された空気を処理室10内に吐出する吐出管20とを備えている。
【0062】
すなわち、吸入管18は、一端が処理室10における液晶表示パネル40の搬送方向(以下、パネル搬送方向ともいう)上手側(図1の右側)の床部21に接続される一方、他端が加熱部19に接続されている。つまり、処理室10の床部21には処理室10内の空気を吸入する吸入口22が形成されている。
【0063】
また、吐出管20は、一端が加熱部19に接続される一方、他端が処理室10におけるパネル搬送方向下手側の床部21に接続されている。つまり、処理室10の床部21には処理室10内に空気を吐出する吐出口23が形成されている。図1の24は、吸入管18の内部における空気の流れる方向を示している。また、図1の25は、吐出管20の内部における空気の流れる方向を示している。
【0064】
そうして、加熱機構は、吸入管18から吸入された空気を加熱部19で加熱した後、加熱された空気を吐出管20から吐出することによって、処理室10の内部の空気を循環させながら処理室10内に温風を発生させるように構成され、処理室10の内部を効率よく加温するように構成されている。
【0065】
さらに、脱泡装置Sは、処理室10の内部で液晶表示パネル40を搬送するパネル搬送機構を有している。そして、パネル搬送機構によって搬送される液晶表示パネル40に貼り付けられた偏光板41の表面でローラー11が転動する。
【0066】
上記パネル搬送機構は、軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラー26である。複数の搬送ローラー26は、搬入口と搬出口とが対向する方向に軸方向が直交するように並び、搬入口から搬入された液晶表示パネル40を搬出口へ搬送可能なように配置されている。
【0067】
また、脱泡装置Sは、複数(例えば3つ等)の上記ローラー11を有している。複数のローラー11は、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向にその搬送ローラー26に対向してそれぞれ配置されていると共に、各ローラー11を搬送ローラー26側に加圧して押し出すエアーシリンダ等の加圧部27にそれぞれ接続されている。そうして、複数のローラー11は、処理室10内における吸入口22と吐出口23との間に配置され、加圧部27によって偏光板41の表面に加える圧力をそれぞれ調整可能になっている。これら複数のローラー11には、駆動ローラー及び従動ローラーの双方をそれぞれ適用することが可能である。
【0068】
また、複数のローラー11のパネル搬送方向上手側には、搬送ローラー26によって搬送される液晶表示パネル40を複数のローラー11の手前で検出するセンサ28が配置されている。そうして、センサ28による液晶表示パネル40の検出に基づいて、加圧部27が複数のローラー11を加圧して押し出す駆動タイミングを制御し、ローラー11下に液晶表示パネル40が搬送されてきたときに、ローラー11を偏光板41の表面に当接させるようになっている。
【0069】
また、脱泡装置Sは、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向においてローラー11に対向する搬送ローラー26を、その搬送ローラー26におけるローラー11とは反対側で支持する支持ローラー30を有している。この支持ローラー30は、複数のローラー30に対応して設けられ、処理室10の内部に複数配置されている。こうして、脱泡装置Sは、液晶表示パネル40と、その液晶表示パネル40に接着層で貼り付けられた偏光板41との間に介在する気泡を脱泡するように構成されている。
【0070】
−製造方法−
液晶表示装置の製造方法には、貼付工程と、脱泡工程とが含まれる。
【0071】
上記貼付工程では、液晶表示パネル40の少なくとも一方の表面に接着層を介して偏光板41を貼り付ける。本実施形態1の貼付工程では、液晶表示パネル40の両面に偏光板41をそれぞれ貼り付ける。尚、液晶表示パネル40は、予め公知の方法によって形成することが可能である。
【0072】
すなわち、貼付工程では、図2に示すように、まず、液晶表示パネル40をワークテーブル50に配置して保持させる。次に、プレート51に偏光板41を一端がプレート51からはみ出すように保持させた後、液晶表示パネル40上にプレート51を配置して偏光板41を液晶表示パネル40に対向させる。液晶表示パネル40及び偏光板41は、ワークテーブル50又はプレート51に例えば吸着させて保持させる。
【0073】
次に、貼付ローラー52をプレート51からはみ出た偏光板41の一端を介して液晶表示パネル40の端部に配置し、その貼付ローラー52を、ワークテーブル50を固定した状態で移動させて、偏光板41の一端表面から他端側へ転動させることにより、偏光板41を全面に亘って液晶表示パネル40の一方の表面に押圧する。図2の53は、貼付ローラー52の転動方向を示している。このとき、貼付ローラー52に同期してプレート51も偏光板41を残しつつ移動させる。そうして、液晶表示パネル40の一方の表面に偏光板41を貼り付ける。その後、液晶表示パネル40を反転させてワークテーブル50に保持させ、液晶表示パネル40の一方の表面に偏光板41を貼り付けた方法と同様にして、他方の表面に偏光板41と貼り付ける。
【0074】
尚、この貼付工程では、貼付ローラー52をプレート51からはみ出た偏光板41の一端を介して液晶表示パネル40の端部に配置させた後、貼付ローラー52を固定した状態で、ワークテーブル50を図2の53とは反対方向に移動させることによって液晶表示パネル40に偏光板41を貼り付けてもよく、公知の方法によって液晶表示パネル40に偏光板41を貼り付けることが可能である。
【0075】
その後に搬入工程を行う。搬入工程では、両面に偏光板41が貼り付けられた液晶表示パネル40を搬送して、脱泡工程を行う処理室10に液晶表示パネル40を搬入する。図1の12は、液晶表示パネル40の搬入方向を示している。この搬入工程では、液晶表示パネル40を搬入するときにその処理室10の搬入口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬入した後に搬入口を閉じる。例えば、搬入口の外側で液晶表示パネル40を検出し、その液晶表示パネル40の検出に基づいて搬入口を開閉する。
【0076】
すなわち、搬入工程では、搬入口の手前に搬送されてきた液晶表示パネル40をセンサ13により検出したときに、処理室10の搬入口に備え付けられたシャッターを開ける。続いて、液晶表示パネル40を処理室10の内部に搬入し、液晶表示パネル40全体を処理室10の内部に搬入したことをセンサ13によって検出して搬入口のシャッターを閉める。
【0077】
次に脱泡工程を行う。脱泡工程では、図1に示すように、液晶表示パネル40を処理室10の内部で加熱した状態で、ローラー11を偏光板41の表面で転動させることにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間を加圧して脱泡する。この脱泡工程では、複数のローラー11を偏光板41の表面で転動させる。この脱泡工程では、処理室10の内部で液晶表示パネル40を搬送しながら、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向において、液晶表示パネル40を介して搬送ローラー26に対向する偏光板41の表面で複数のローラー11を転動させる。図1の29は、液晶表示パネル40を搬送する方向を示している。
【0078】
すなわち、処理室10の内部に温風を発生させることにより、処理室10を加温して液晶表示パネル40を加熱する。そうして処理室10を加温しながら、処理室10の内部に搬入された液晶表示パネル40を、例えば軸方向互いに平行に配置された複数の搬送ローラー26によって搬送する。図1の35は、搬送ローラー26の回転方向を示している。そして、搬送されている液晶表示パネル40を、複数のローラー11におけるパネル搬送方向上手側の手前に配置されたセンサ28によって検出する。
【0079】
その後、センサ28による液晶表示パネル40の検出に基づいて、各ローラー11下に液晶表示パネル40が搬送されてきたときに、偏光板41の表面に各ローラー11が当接するように、複数のローラー11を加圧部27によって搬送ローラー26側へそれぞれ押し出して移動させ、偏光板41の表面で転動させる。図1の36は、ローラー11を移動させる方向を示している。また、図1の37は、ローラー11の回転方向を示している。
【0080】
このとき、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向においてローラー11に対向する搬送ローラー26を、その搬送ローラー26におけるローラー11とは反対側に配置された支持ローラー30によって支持させる。そうして、偏光板41の表面で複数のローラー11を転動させることにより、液晶表示パネル40と両側の偏光板41との間に介在する気泡をそれぞれ脱泡する共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性を向上させる。
【0081】
その後、搬出工程を行う。搬出工程では、脱泡された液晶表示パネル40を処理室10から搬出する。図1の38は、液晶表示パネル40の搬出方向を示している。この搬出工程では、液晶表示パネル40を処理室10から搬出するときにその処理室10の搬出口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬出した後に搬出口を閉じる。例えば、搬出口の内側で液晶表示パネル40を検出し、その液晶表示パネル40の検出に基づいて搬出口を開閉する。
【0082】
すなわち、搬出工程では、搬出口の手前に搬送されてきた液晶表示パネル40をセンサ15により検出したときに、処理室10の搬出口に備え付けられたシャッターを開ける。続いて、液晶表示パネル40を処理室10から外部に搬出し、液晶表示パネル40全体が処理室10の外部に搬出されたことをセンサ15によって検出して搬出口のシャッターを閉める。その後、搬出した液晶表示パネル40に次の工程を行う。このようにして、液晶表示パネル40の両面に偏光板41がそれぞれ貼り付けられて液晶表示装置が製造される。
【0083】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、脱泡工程において、液晶表示パネル40を処理室10の内部で加熱した状態で、ローラー11を偏光板41の表面で転動させることにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間を加圧して脱泡するため、接着層が軟化した状態において、ローラー11の転動に伴って液晶表示パネル40と偏光板41との間を転動方向の上手側から下手側へ順次加圧することができる。そのことにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間に介在する気泡をローラー11の転動によって軟化した接着層から転動方向下手側に押し出して脱泡できる。
【0084】
そのことに加えて、ローラー11の転動によって偏光板41が全面に亘って液晶表示パネル40に押圧されるため、液晶表示パネル40と偏光板41との密着性を向上させることができる。その結果、速やかに、液晶表示パネル40と偏光板41との間に介在する気泡を脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性を向上させることができる。
【0085】
さらに、複数のローラー11を偏光板41の表面で転動させるため、それら複数のローラー11の転動に伴って、液晶表示パネル40と偏光板41との間を転動方向の上手側から下手側へ複数回に亘って順次加圧できる。そのことにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間の気泡をより確実に脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性をより向上させることができる。
【0086】
また、処理室10の内部で液晶表示パネル40を搬送しながら、偏光板41の表面でローラー11を転動させるため、脱泡工程を行いながら、脱泡工程の次の工程へ液晶表示パネル40を搬送することができる。そのことにより、液晶表示パネル40を滞留させることなく、速やかに脱泡工程を行うことができる。
【0087】
さらに、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向において、液晶表示パネル40を介して搬送ローラー26に対向する偏光板41の表面でローラー11を転動させるため、速やかに、液晶表示パネル40と液晶表示パネル40の両面に貼り付けた偏光板41との間の気泡を同時に脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する両面の偏光板41の密着性を同時に向上させることができる。その結果、工程数が増加することを防止できる。
【0088】
すなわち、一方の偏光板41の表面でローラー11が転動することによって、その偏光板41を介して液晶表示パネル40が搬送ローラー26側へ押圧される。そのことにより、他方の偏光板41が搬送ローラー26によって押圧された状態で、液晶表示パネル40が搬送される。したがって、他方の偏光板41の表面を搬送ローラー26が転動することにより、液晶表示パネル40と他方の偏光板41との間に介在する気泡をローラー11の転動に伴って転動方向の上手側から下手側へ順次押圧できる。その結果、液晶表示パネル40と他方の偏光板41との間に介在する気泡を、搬送ローラー26の転動によって軟化した接着層から転動方向下手側に押し出されて脱泡でき、液晶表示パネル40と他方の偏光板41の密着性を向上させることができる。
【0089】
また、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向にローラー11に対向する搬送ローラー26を、その搬送ローラー26におけるローラー11とは反対側に配置された支持ローラー30によって支持させるため、ローラー11によって液晶表示パネル40を介して搬送ローラー26が押圧されたときに、その搬送ローラー26が液晶表示パネル40の表面に垂直な方向に移動することを抑制できる。そのことにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間をより大きい圧力で加圧できる結果、液晶表示パネル40と両面の偏光板41との間の気泡をさらに確実に脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する両面の偏光板41の密着性をさらに向上させることができる。
【0090】
また、処理室10の内部に温風を発生させることによって液晶表示パネル40を加熱するため、液晶表示パネル40を直接温風にさらすことによって効率的に加熱することができる。
【0091】
搬入工程において、液晶表示パネル40を処理室10に搬入するときにその処理室10の搬入口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬入した後に搬入口を閉じるため、処理室10内に外部の空気が入ることによって処理室10の内部の温度が低下することを抑制できる。
【0092】
さらに、搬出工程において、液晶表示パネル40を処理室10から搬出するときにその処理室10の搬出口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬出した後に搬出口を閉じるため、処理室10の内部の温度が低下することをより抑制できる。
【0093】
また、脱泡装置Sは、液晶表示パネル40が搬入される処理室10と、処理室10の内部に搬入された液晶表示パネル40を加熱する加熱機構と、処理室10の内部に設けられ、液晶表示パネル40が加熱された状態で、偏光板41の表面を転動することにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間を加圧して脱泡するローラー11とを備えているため、速やかに、液晶表示パネル40と偏光板41との間に介在する気泡が脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性が向上させることができる。
【0094】
さらに、脱泡装置Sが複数のローラー11を有しているため、液晶表示パネル40と偏光板41との間に介在する気泡をより確実に脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性をより向上させることができる。
【0095】
また、処理室10の内部で液晶表示パネル40を搬送するパネル搬送機構を有し、ローラー11がパネル搬送機構によって搬送されている液晶表示パネル40に貼り付けられた偏光板41の表面で転動するため、脱泡工程を行いながら、脱泡工程の次工程へ液晶表示パネル40を搬送できる結果、液晶表示パネル40を滞留させることなく、速やかに脱泡工程を行うことができる。
【0096】
さらに、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向にその搬送ローラー26に対向してローラー11が配置されているため、速やかに、液晶表示パネル40と両面の偏光板41との間の気泡を同時に脱泡できると共に、液晶表示パネル40に対する両面の偏光板41の密着性を同時に向上させることができる。
【0097】
また、加熱機構が処理室10の内部に温風を発生させる温風発生部を有しているため、液晶表示パネル40を効率的に加熱することができる。
【0098】
処理室10が、液晶表示パネル40を搬入するときに処理室10の搬入口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬入した後に搬入口を閉じる搬入口開閉機構を有しているため、処理室10の内部の温度が低下することを抑制できる。
【0099】
さらに、処理室10が、液晶表示パネル40を搬出するときに処理室10の搬出口を開けると共に、液晶表示パネル40を搬出した後に搬出口を閉じる搬出口開閉機構を有するため、処理室10の内部の温度が低下することをより抑制できる。
【0100】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、搬入工程において、搬入口の外側で液晶表示パネル40を検出し、その液晶表示パネル40の検出に基づいて搬入口を開閉するとしたが、本発明はこれに限られず、搬入口の外側及び内側で液晶表示パネル40を検出し、それら液晶表示パネル40の検出に基づいて搬入口を開閉してもよい。
【0101】
すなわち、搬入工程では、液晶表示パネル40を処理室10の内部に搬入し、液晶表示パネル40全体を処理室10の内部に搬入したことを搬入口の内側に配置されたセンサによって検出して搬入口のシャッターを閉めるようにしてもよい。つまり、搬入口開閉機構は、搬入口の外側で液晶表示パネル40を検出するセンサ13に加えて、処理室10の内側で液晶表示パネル40を検出するセンサーを有していてもよい。
【0102】
また、上記実施形態1では、搬出工程において、搬出口の内側で液晶表示パネル40を検出し、その液晶表示パネル40の検出に基づいて搬出口を開閉するとしたが、本発明はこれに限られず、搬出口の内側及び外側で液晶表示パネル40を検出し、それら液晶表示パネル40の検出に基づいて搬出口を開閉してもよい。
【0103】
すなわち、搬出工程では、液晶表示パネル40を処理室10の外部へ搬出し、液晶表示パネル40全体を処理室10の外部へ搬出したことを搬出口の外側に配置されたセンサによって検出して搬出口のシャッターを閉めるようにしてもよい。つまり、搬出口開閉機構は、搬出口の内側で液晶表示パネル40を検出するセンサ15に加えて、処理室10の外側で液晶表示パネル40を検出するセンサーを有していてもよい。
【0104】
また、脱装装置Sは、搬入口開閉機構及び搬出口開閉機構を双方とも有していなくてもよい。この場合には、搬入口及び搬出口は常に開放された状態となるため、開放された状態となる搬入口及び搬出口を液晶表示パネル40を搬入及び搬出可能な液晶表示パネル40の厚み程度に小さく形成することが好ましい。そのことにより、搬入口及び搬出口から外部の空気が入ることによって処理室10内の温度が低下することを抑制することが可能となる。また、脱泡装置Sは、搬入口開閉機構及び搬出口開閉機構の一方を有していてもよい。その場合にも、処理室10の内部の温度低下を抑制する観点から、開放された状態となる搬入口又は搬出口を液晶表示パネル40の厚み程度に小さく形成することが好ましい。
【0105】
また、その他に、液晶表示パネル40を搬送する速度や搬送する距離(つまり、処理室10の長さ)によっても、液晶表示パネル40を十分加熱することができるように調整することが可能である。
【0106】
上記実施形態1では、脱泡工程において複数のローラー11を偏光板41の表面で転動させるとしたが、本発明はこれに限られず、1つのローラー11を偏光板41の表面で転動させてもよい。この場合にも、速やかに、液晶表示パネル40と偏光板41との間に介在する気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性を向上させることが可能である。
【0107】
また、上記実施形態1では、処理室10の内部で液晶表示パネル40を搬送しながら、偏光板41の表面でローラー11を転動させるとしたが、本発明はこれに限られず、処理室10の内部に液晶表示パネル40を配置させた状態で、ローラー11を偏光板41に当接させると共に移動させることによって、偏光板41の表面でローラー11を転動させてもよい。この場合にも、気泡の脱泡及び偏光板41の密着性向上を速やかに行うことが可能である。
【0108】
上記実施形態1では、脱泡工程において複数の搬送ローラー26によって液晶表示パネル40を搬送するとしたが、本発明はこれに限られず、脱泡工程では、搬送ベルト等により液晶表示パネル40を搬送してもよい。
【0109】
上記実施形態1では、脱泡工程において、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向において、液晶表示パネル40を介して搬送ローラー26に対向する偏光板41の表面でローラー11を転動させるとしたが、本発明はこれに限られず、脱泡工程では、搬送ローラー26が液晶表示パネル40を支持する方向において、搬送ローラー26の位置に対してずれた位置における偏光板41の表面でローラー11を転動させてもよい。
【0110】
上記実施形態1では、貼付工程において液晶表示パネル40の両面に偏光板41を貼り付けた後に脱泡工程を行うとしたが、本発明はこれに限られず、貼付工程において、液晶表示パネル40の一方の表面に偏光板41を貼り付けた後に脱泡工程を行い、続いて、液晶表示パネル40の他方の表面に偏光板41に貼り付けた後に再び脱泡工程を行ってもよい。すなわち、貼付工程では、少なくとも一方の表面に偏光板41を貼り付けていればよい。
【0111】
上記実施形態1は、温風発生部17が処理室10の床下に設けられているとしたが、本発明はこれに限られず、温風発生部17は処理室10上に設けられていてもよく、処理室10の内部に温風を発生させて液晶表示パネル40を加熱することが可能に配置されていればよい。
【0112】
《実施例》
本実施例では、上記実施形態1と同様の方法により、液晶表示パネル40と、液晶表示パネル40の両面に貼り付けられた偏光板41との間を加圧して脱泡し、両面に偏光板41が貼付された液晶表示パネル40である実施例1及び実施例2を形成した。そして、これら実施例1及び実施例2における偏光板41の剥離強度をそれぞれ測定した。ここで、剥離強度とは、液晶表示パネル40に貼り付けられた偏光板41を剥離するために必要とする力をいう。
【0113】
実施例1及び実施例2は、処理室10の内部で液晶表示パネル40を加熱して表面温度を70℃にした状態で、複数のローラー11によって3.0kgf/cmの圧力で偏光板41を液晶表示パネル40に加圧しながら偏光板41の表面で複数のローラー11を転動させて形成した。
【0114】
偏光板41の剥離強度の測定では、図3に示すように、偏光板41の一方の端部から他方の端部に向かって偏光板41を引っ張って剥離するときに必要な力を測定する。図3の60は、偏光板41を引っ張る方向を示している。偏光板41は、長さが74.4mmであり、且つ幅が52.4mmである。
【0115】
この偏光板41の剥離強度の測定は、図4に示すように、一方に貼り付けた偏光板41を幅方向(図4における上下方向)に半分に分割した領域でそれぞれ測定した。以下、図4の上半分の領域を第1領域A1といい、下半分の領域を第2領域A2という。これら第1領域A1及び第2領域A2は、幅がそれぞれ約26mmである。
【0116】
さらに、この剥離強度の測定は、液晶表示パネル40の両面に貼り付けた偏光板41のそれぞれについて行った。すなわち、実施例1及び実施例2について、液晶表示パネル40の表面に貼り付けた偏光板41の第1領域A1及び第2領域A2と、裏面に貼り付けた偏光板41の第1領域A1及び第2領域A2とにおいての剥離強度をそれぞれ測定した。
【0117】
また、実施例1及び実施例2の比較例として、従来の方法(処理室10の内部において液晶表示パネル40を加熱及び加圧するオートクレーブ)によって液晶表示パネル40と、液晶表示パネル40の両面に貼り付けられた偏光板41との間の気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性を向上させた比較例1〜比較例3の液晶表示パネル40を形成し、これら比較例1〜比較例3についても、実施例1及び実施例2と同様に偏光板41の剥離強度を測定した。比較例1〜比較例3は、処理室の内部温度を60℃にすると共に内部圧力を5.0kgf/cmにした状態で、20分間放置することによって形成した。
【0118】
また、その他に、液晶表示パネル40の両面に偏光板41を貼り付けただけ(貼付のみ)の比較例4〜比較例6の液晶表示パネル40を形成し、これら比較例4〜比較例6についても、実施例1及び実施例2と同様に偏光板41の剥離強度を測定した。すなわち、液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性向上をさせていない比較例4〜比較例6についても剥離強度をそれぞれ測定した。比較例4〜比較例6は、液晶表示パネル40に3.0kgf/cmの圧力で偏光板41を押圧して貼り付けることによって形成した。
【0119】
これら実施例1及び実施例2と、比較例1〜比較例6について剥離強度を測定した結果を図5及び図6に示す。図5は、実施例1及び実施例2と、比較例1〜比較例6とについての剥離強度、実施例1及び実施例2の剥離強度の平均値、比較例1〜比較例3の剥離強度の平均値、及び比較例4〜比較例6の平均値を示す図である。図6は、図5の剥離強度をグラフ化した図である。
【0120】
これら図5及び図6に示すように、液晶表示パネル40に偏光板41を貼り付けただけの比較例4〜比較例6については、表面及び裏面に貼り付けた偏光板41のいずれの領域(第1領域A1及び第2領域A2)A1,A2においても、剥離強度が600g以下であった。これに対して、実施例1及び実施例2と、比較例1〜比較例3とについては、表面及び裏面に貼り付けた偏光板41のいずれの領域A1,A2においても、剥離強度が800g以上であり、比較的高い剥離強度が測定された。さらに、実施例1及び実施例2の剥離強度は、比較例1〜比較例3の剥離強度よりも平均値が高い結果が得られた。
【0121】
以上のことから、液晶表示パネル40を処理室10の内部で加熱した状態で、ローラー11を偏光板41の表面で転動させることにより、液晶表示パネル40と偏光板41との間を加圧して脱泡する脱泡工程によっても、従来の方法(オートクレーブ)と同等又はそれ以上に液晶表示パネル40に対する偏光板41の密着性を向上させることができることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したように、本発明は、液晶表示装置の製造方法及び脱泡装置について有用であり、特に、速やかに、液晶表示パネルと偏光板との間に介在する気泡を脱泡すると共に、液晶表示パネルに対する偏光板の密着性を向上させる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】実施形態1の脱泡装置を概略的に示す断面図である。
【図2】実施形態1の貼付工程において、偏光板を液晶表示パネルに貼り付ける方法を示す図である。
【図3】実施例1において偏光板を剥離する方法を示す図である。
【図4】実施例1における偏光板の第1領域及び第2領域を示す図である。
【図5】実施例1において測定した剥離強度を示す図である。
【図6】実施例1において測定した剥離強度をグラフ化して示す図である。
【符号の説明】
【0124】
S 脱泡装置
11 ローラー
17 温風発生部
26 搬送ローラー
30 支持ローラー
40 液晶表示パネル
41 偏光板
13,15,28 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルの少なくとも一方の表面に接着層を介して偏光板を貼り付ける貼付工程と、
上記液晶表示パネルを処理室の内部で加熱した状態で、ローラーを上記偏光板の表面で転動させることにより、上記液晶表示パネルと上記偏光板との間を加圧して脱泡する脱泡工程とを含む
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
上記脱泡工程では、複数の上記ローラーを上記偏光板の表面で転動させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
上記脱泡工程では、上記処理室の内部で上記液晶表示パネルを搬送しながら、上記偏光板の表面で上記ローラーを転動させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
上記脱泡工程では、軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラーにより、上記液晶表示パネルを搬送する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
上記脱泡工程では、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において、上記液晶表示パネルを介して上記搬送ローラーに対向する上記偏光板の表面で上記ローラーを転動させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
上記脱泡工程では、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において上記ローラーに対向する上記搬送ローラーを、該搬送ローラーにおける上記ローラーとは反対側に配置された支持ローラーによって支持させる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1において、
上記脱泡工程では、上記処理室の内部に温風を発生させることにより、上記液晶表示パネルを加熱する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1において、
上記偏光板が貼り付けられた上記液晶表示パネルを上記処理室に搬入する搬入工程を含み、
上記搬入工程では、上記液晶表示パネルを上記処理室に搬入するときに該処理室の搬入口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬入した後に上記搬入口を閉じる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
上記搬入工程では、少なくとも上記搬入口の外側で上記液晶表示パネルを検出し、該液晶表示パネルの検出に基づいて上記搬入口を開閉する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1において、
脱泡された上記液晶表示パネルを上記処理室から搬出する搬出工程を含み、
上記搬出工程では、上記液晶表示パネルを上記処理室から搬出するときに該処理室の搬出口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬出した後に上記搬出口を閉じる
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
上記搬出工程では、少なくとも上記搬出口の内側で上記液晶表示パネルを検出し、該液晶表示パネルの検出に基づいて上記搬出口を開閉する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
液晶表示パネルと、該液晶表示パネルに接着層を介して貼り付けられた偏光板との間に介在する気泡を脱泡する脱泡装置であって、
上記液晶表示パネルが搬入される処理室と、
上記処理室の内部に搬入された上記液晶表示パネルを加熱する加熱機構と、
上記処理室の内部に設けられ、上記加熱機構によって上記液晶表示パネルが加熱された状態で、上記偏光板の表面を転動することにより、上記液晶表示パネルと上記偏光板との間を加圧して脱泡するローラーとを備えている
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項13】
請求項12において、
複数の上記ローラーを有している
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項14】
請求項12において、
上記処理室の内部で上記液晶表示パネルを搬送するパネル搬送機構を有し、
上記ローラーは、上記パネル搬送機構によって搬送される上記液晶表示パネルに貼り付けられた上記偏光板の表面で転動する
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項15】
請求項14において、
上記パネル搬送機構は、軸方向が互いに平行に配置された複数の搬送ローラーである
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項16】
請求項15において、
上記ローラーは、上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向に該搬送ローラーに対向して配置されている
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項17】
請求項16において、
上記搬送ローラーが上記液晶表示パネルを支持する方向において上記ローラーに対向する上記搬送ローラーを、該搬送ローラーにおける上記ローラーとは反対側で支持する支持ローラーを有している
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項18】
請求項12において、
上記加熱機構は、上記処理室の内部に温風を発生させる温風発生部を有している
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項19】
請求項12において、
上記処理室は、上記液晶表示パネルを搬入するときに上記処理室の搬入口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬入した後に上記搬入口を閉じる搬入口開閉機構を有する
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項20】
請求項19において、
上記搬入口開閉機構は、上記搬入口の外側で上記液晶表示パネルを検出するセンサーを有している
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項21】
請求項12において、
上記処理室は、上記液晶表示パネルを搬出するときに上記処理室の搬出口を開けると共に、上記液晶表示パネルを搬出した後に上記搬出口を閉じる搬出口開閉機構を有する
ことを特徴とする脱泡装置。
【請求項22】
請求項21において、
上記搬出口開閉機構は、上記搬出口の内側で上記液晶表示パネルを検出するセンサーを有している
ことを特徴とする脱泡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−20253(P2009−20253A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181962(P2007−181962)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】