説明

液晶表示装置の駆動回路及び液晶表示装置のフリッカ調整システム

【課題】表示装置の温度を正確に感知するセンサを備えた液晶表示装置の駆動回路及び液晶表示装置のフリッカ調整システムを提供する。
【解決手段】液晶表示装置の駆動回路は、第1電圧Vrefを生成するDVR750と、前記DVRに接続されており、第2電圧Vcを生成する温度センサ部50と、前記温度センサ部に接続されており、前記第2電圧と前記液晶表示板アセンブリからの第3電圧Vcomfとに基づいて共通電圧Vcomを生成する共通電圧生成部700とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置の駆動回路及び液晶表示装置のフリッカ調整システムに関し、特に温度センサを用いた液晶表示装置の駆動回路及び液晶表示装置のフリッカ調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には、自ら発光する陰極線管(cathode ray tube)、有機発光表示装置(OLED、organic light emitting display)及びプラズマ表示装置(PDP、plasmadisplay)などと、自ら発光できず、別途光源を必要とする液晶表示装置(liquid crystal display)などがある。
【0003】
液晶表示装置は、一般に、二つの表示板と、その間に挟持されている誘電率異方性(dielectricanisotropy)を有する液晶層とを含む。液晶層に電界を印加し、この電界の強さを調節して液晶層を通過する光の透過率を調節することによって、所望の画像を得ることができる。液晶層を通過する光は、別に具備された人工的な光源であるようにしてもよく、また、自然光であるようにしてもよい。
【0004】
液晶層における液晶は温度によってその光学的特性が変わるので、液晶表示装置の温度変化を考慮しなければならない。例えば、液晶の光学的特性である屈折率、誘電率、弾性定数、粘性などは、液晶分子の熱運動エネルギーと反比例関係にあるので、液晶の温度が上昇すれば、それらの値が減少する傾向があることが知られている。
【0005】
また、液晶表示装置を駆動するために実装され又は装着される回路素子などの動作特性も温度に影響を受ける。これらの回路素子は温度によって動作特性が変化し、特に共通電圧を中心としてデータ電圧の非対称が生じ、反転駆動の際にフリッカが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が目的とする技術的課題は、表示装置の温度を正確に感知するセンサを提供することにある。
【0007】
また、本発明が目的とする他の技術的課題は、温度変化によって安定した表示動作を行うことができる表示装置を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明が目的とする他の技術的課題は、温度センサを用いてフリッカを防止することができる駆動回路及び液晶表示装置のフリッカ調整システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による表示装置用温度センサは、表示装置用基板と、前記基板上に形成されている温度感知線とを含み、前記温度感知線は導電体である。
【0010】
前記温度感知線は蛇行形状を有することが好ましい。
【0011】
前記温度感知線は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金からなる下部膜と、モリブデン(Mo)またはモリブデン合金からなる上部膜とを含むことができる。
【0012】
また、前記温度感知線は、アルミニウム、銅(Cu)、白金(Pt)、クロム(Cr)及びモリブデンのうちの一つからなるようにしてもよい。
【0013】
前記温度感知線上に形成されている絶縁膜をさらに含み、前記絶縁膜は前記温度感知線の両端部を露出する第1及び第2コンタクトホールを有することが好ましい。
【0014】
前記第1及び第2コンタクトホールを通じて前記温度感知線の端部に接続されるコンタクト補助部材をさらに含むことが好ましい。
【0015】
前記コンタクト補助部材はITOまたはIZOからなるようにしてもよい。
【0016】
前記温度感知線の比抵抗は温度変化によって線形的に変化することが好ましい。
【0017】
前記表示装置は、前記基板上に形成されているゲート線、前記ゲート線上に形成されている第1絶縁膜、前記第1絶縁膜上に形成されているデータ線、及び前記データ線上に形成されている第2絶縁膜を含むようにしてもよい。
【0018】
前記温度感知線は、前記ゲート線と同一層に形成されるか、または前記データ線と同一層に形成されるようにしてもよい。
【0019】
前記データ線は、モリブデンまたはモリブデン合金からなる下部膜、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる中間膜、及びモリブデンまたはモリブデン合金からなる上部膜を含むようにしてもよい。
【0020】
前記第1または第2絶縁膜は、前記温度感知線の両端部を各々露出する第1及び第2コンタクトホールを有することが好ましい。
【0021】
前記表示装置は、前記第1及び第2コンタクトホールを通して前記温度感知線の端部に接続されるコンタクト補助部材をさらに含むことが好ましく、前記コンタクト補助部材はITOまたはIZOからなるようにしてもよい。
【0022】
前記表示装置は液晶表示装置であってもよい。
【0023】
本発明の他の特徴による薄膜トランジスタ表示板は、基板と、前記基板上に形成されており、ゲート電極とソース及びドレイン電極を備えた薄膜トランジスタと、前記基板上に形成されている温度感知線とを含み、前記温度感知線は前記ゲート電極または前記ソース及びドレイン電極と同一層に形成されている。
【0024】
前記温度感知線は蛇行形状を有することが好ましい。
【0025】
前記温度感知線は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金からなる下部膜と、モリブデン(Mo)またはモリブデン合金からなる上部膜とを含むようにしてもよい。
【0026】
また、前記温度感知線は、アルミニウム、銅(Cu)、白金(Pt)、クロム(Cr)及びモリブデンのうちの一つからなるようにしてもよい。
【0027】
前記温度感知線は、モリブデンまたはモリブデン合金からなる下部膜、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる中間膜、及びモリブデンまたはモリブデン合金からなる上部膜を含むようにしてもよい。
【0028】
前記温度感知線の比抵抗は、温度変化によって線形的に変化することが好ましい。
【0029】
前記薄膜トランジスタに接続されている画素電極をさらに含むことが好ましく、前記画素電極はITOまたはIZOからなるようにしてもよい。
【0030】
前記特徴による薄膜トランジスタ表示板は、前記温度感知線上に形成されている絶縁膜をさらに含むようにしてもよい。
【0031】
前記絶縁膜は、前記ゲート電極上に形成されている第1層と、前記ソース及びドレイン電極上に形成されている第2層とを含むようにしてもよい。
【0032】
前記第2層は前記ドレイン電極の一部を露出する第1コンタクトホールを有することが好ましい。
【0033】
前記第1または第2層は、前記温度感知線の両端部を各々露出する第2及び第3コンタクトホールを有することが好ましい。
【0034】
前記特徴による薄膜トランジスタ表示板は、前記第2及び第3コンタクトホールを通して前記温度感知線の両端部に各々接続されるコンタクト補助部材をさらに含むようにしてもよい。
【0035】
前記コンタクト補助部材は、前記画素電極と同一層に形成されるようにしてもよい。
【0036】
本発明の他の特徴による表示装置は、複数の画素と、前記画素に接続されている第1信号線と、前記画素に接続されており、前記第1信号線と交差する第2信号線と、前記第1及び第2信号線と離隔している温度感知線とを含み、前記温度感知線は前記第1または第2信号線と同一層に形成されている。
【0037】
前記特徴による表示装置は、前記温度感知線からの信号に基づいて前記画素の表示を制御する信号制御部をさらに含むようにしてもよい。
【0038】
また、前記表示装置は、前記信号制御部からの補正映像信号をデータ信号に変換して前記第1信号線に印加するデータ駆動部と、前記画素の動作を制御するゲート信号を前記第2信号線に印加するゲート駆動部とをさらに含むようにしてもよい。
【0039】
前記信号制御部は外部から映像信号を受信し、直前の映像信号に基づいて前記映像信号を補正した前記補正映像信号を出力し、前記映像信号の補正は前記温度感知線からの信号によって変化することが好ましい。
【0040】
一方、本発明の一実施形態によって液晶表示板アセンブリを含む液晶表示装置の駆動回路は、第1電圧を生成するDVR(digitalvariable resistor)と、前記DVRに接続されており、第2電圧を生成する温度センサ部と、前記温度センサ部に接続されており、前記第2電圧と前記液晶表示板アセンブリからの第3電圧に基づいて共通電圧を生成する共通電圧生成部とを含む。
【0041】
このとき、前記温度センサ部は、駆動電圧と接地電圧との間に接続されている第1及び第2抵抗と、前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点と前記第1電圧との間に接続されている第3抵抗とを含み、前記第1抵抗は前記液晶表示装置の温度によって変化する温度センサであってもよい。
【0042】
また、前記温度センサの抵抗値は前記液晶表示装置の温度に比例するようにしてもよく、前記共通電圧生成部は、反転端子が第4抵抗及び第5抵抗を通して各々前記第3電圧と出力端とに接続されており、非反転端子が前記接続点に接続されている演算増幅器を含むようにしてもよい。
【0043】
本発明の一つの特徴によるフリッカ調整システムは、液晶表示板アセンブリを備えた液晶表示装置と、前記液晶表示装置を撮像する撮像装置と、前記液晶表示装置及び前記撮像装置に接続されている電子装置とを含み、前記液晶表示装置は、第1電圧を生成するDVR、前記DVRに接続されており、第2電圧を生成する温度センサ部と、前記温度センサ部に接続されており、前記第2電圧と前記液晶表示板アセンブリからの第3電圧とに基づいて共通電圧を生成する共通電圧生成部とを含む。
【0044】
このとき、前記温度センサ部は、駆動電圧と接地電圧との間に接続されている第1及び第2抵抗と、前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点と前記第1電圧との間に接続されている第3抵抗とを含み、前記第1抵抗は前記表示装置の温度によって変化する温度センサであってもよい。
【0045】
また、前記温度センサの抵抗値は前記表示装置の温度に比例するようにしてもよい。
【0046】
また、前記共通電圧生成部は、反転端子が第4抵抗及び第5抵抗を通して各々前記第3電圧と出力端とに接続されており、非反転端子が前記接続点に接続されている演算増幅器を含んでいてもよく、前記DVRと前記電子装置とはI2Cインターフェースに接続されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、液晶層周辺の温度に近似した感知温度に基づいて画素に印加される映像信号を補正するので、温度によって変化する液晶の特性に合った映像信号の補正により、液晶の応答速度を効率的に向上させ、これによって表示装置の画質も改善される。また、温度センサを直接に液晶表示板アセンブリ内に内蔵するので、プリント回路基板などに別途温度センサを装着しなければならないという空間的な制限がなくなり、温度センサを別に購入する費用を低減することができる。
【0048】
また、光に敏感に反応しない金属のみを用いて温度センサを構成するので、外部から入射する光による誤動作がなくなり、また、入射する光を遮蔽するための別の構造が不要となるので、温度センサの製造工程や構造が簡単になる。
【0049】
また、表面の安定性が優れた金属配線と共に温度センサが形成されるので、外部の衝撃により温度センサの表面などが損傷することにより発生する誤動作や破損が低減する。
【0050】
さらに、温度センサから出力される信号を増幅せずにそのまま用いることができるので、増幅回路などのような別の付加回路が必要ない。
【0051】
その上、温度センサを用いて共通電圧を設定することによって、温度変化によるフリッカの発生の抑制をより正確に最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態による液晶表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による液晶表示装置の一つの画素についての等価回路図である。
【図3】図1に示した液晶表示装置の概略的な配置図である。
【図4】本発明の一実施形態による薄膜トランジスタ表示板のレイアウト配置図の一例である。
【図5】図4に示した薄膜トランジスタ表示板のV−V線VII−VII線による断面図である。
【図6】図4に示した薄膜トランジスタ表示板のVI−VI線による断面図である。
【図7】図4に示した薄膜トランジスタ表示板のVII−VII線による断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による温度センサの等価回路図である。
【図9】本発明の一実施形態による温度センサから出力される温度変化による電圧の特性を示したグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態による信号制御部のブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態による液晶表示装置のブロック図である。
【図12】本発明の他の実施形態による液晶表示装置のフリッカ調整システムを概略的に示した図面である。
【図13】本発明の他の実施形態による液晶表示装置のフリッカ調整システムを示したブロック図である。
【図14】図13に示した温度センサ部と共通電圧生成部の回路図の一例である。
【図15】本発明の他の実施形態による温度センサの温度による抵抗特性を示したグラフである。
【図16A】本発明の他の実施形態によって温度補償を適用した共通電圧と、温度補償を適用する前の共通電圧とを各々示したグラフである。
【図16B】本発明の他の実施形態によって温度補償を適用した共通電圧と、温度補償を適用する前の共通電圧とを各々示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
添付した図面を参照して、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。添付した図面を参照して本発明の実施形態について以下詳細に説明することによって、本発明が明らかになる。
【0054】
図面において、いろいろな層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体に亘って類似な部分については同一の図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるとする場合は、これは他の部分の“すぐ上”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の“すぐ上”にあるとする場合は、中間に他の部分がない場合を意味する。
【0055】
以下、本発明の実施形態による表示装置用温度センサ、これを備えた薄膜トランジスタ表示板及び液晶表示装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
図1は本発明の一実施形態による液晶表示装置のブロック図である。図2は本発明の一実施形態による液晶表示装置の一つの画素に対する等価回路図である。図3は図1に示した液晶表示装置の概略的な配置図である。
【0057】
図1に示したように、本発明の一実施形態による液晶表示装置は、液晶表示板アセンブリ(liquidcrystal panel assembly)300と、これに接続されたゲート駆動部400と、データ駆動部500と、データ駆動部500に接続された階調電圧生成部800と、温度センサ部50と、これらを制御する信号制御部600とを含む。
【0058】
液晶表示板アセンブリ300は、等価回路で示せば、複数の信号線G1〜Gn、D1〜Dmと、これに接続されており、ほぼ行列状に配列された複数の画素PXとを含む。一方、図2に示した構造で示せば、液晶表示板アセンブリ300は、互いに対向する下部及び上部表示板100、200と、その間に挟持されている液晶層3とを含む。
【0059】
信号線G1〜Gn、D1〜Dmは、ゲート信号(「走査信号」とも言う。)を伝達する複数のゲート線G1〜Gnと、データ信号を伝達する複数のデータ線D1〜Dmとを含む。ゲート線G1〜Gnは概略行方向に延びて互いに概略平行しており、データ線D1〜Dmは概略列方向に延びて互いに概略平行している。
【0060】
各画素PX、例えば、i番目(i=1、2、...、n)ゲート線Giと、j番目(j=1、2、...、m)データ線Djに接続された画素PXは、信号線Gi、Djに接続されたスイッチング素子Qと、これに接続された液晶キャパシタ(liquidcrystal capacitor)Clc、及びストレージキャパシタ(storagecapacitor)Cstを含む。ストレージキャパシタCstは必要に応じて省略できる。
【0061】
スイッチング素子Qは、下部表示板100に備えられている薄膜トランジスタなどの三端子素子であって、その制御端子はゲート線Giと接続され、入力端子はデータ線Djと接続されており、出力端子は液晶キャパシタClc及びストレージキャパシタCstと接続されている。
【0062】
液晶キャパシタClcは、下部表示板100の画素電極191と上部表示板200の共通電極270とを二つの端子とし、二つの電極191、270の間の液晶層3は誘電体として機能する。画素電極191はスイッチング素子Qと接続されている。共通電極270は上部表示板200の全面に形成されており、共通電圧Vcomの印加を受ける。図2とは異なって、共通電極270が下部表示板100に備えられる場合もあり、このときには二つの電極191、270のうちの少なくとも一つが線状または棒状で形成されるようにしてもよい。
【0063】
液晶キャパシタClcの補助的な役割を果たすストレージキャパシタCstは、下部表示板100に具備された別に設けられた信号線(図示せず)と画素電極191とが絶縁体を間に置いて重畳してなる。この別に設けられた信号線には共通電圧Vcomなどの所定の電圧が印加される。また、画素電極191が絶縁体を媒介として直上の前段ゲート線と重畳することによってストレージキャパシタCstを形成することもできる。
【0064】
一方、カラー表示を実現するためには、各画素PXが基本色(primary color)のうちの一つを固有に表示したり(空間分割)、各画素PXが時間によって交互に基本色を表示したり(時間分割)するようにして、これら基本色の空間的、時間的合計によって所望の色相が認識されるようにする。基本色の例としては、赤色、緑色、青色など三原色がある。上部表示板200には光リークを遮断するためのブラックマトリックスのような遮光部材220(図2における斜線を引いた部分)が形成されている。遮光部材220は画素電極191またはカラーフィルタ230に対応する領域に開口部を有している。図2は空間分割の一例として、各画素PXが画素電極191に対応する上部表示板200の領域に基本色のうちの一つを示すカラーフィルタ230を備えることを示している。図2とは異なって、カラーフィルタ230は下部表示板100の画素電極191上のまたは下に形成するようにしてもよい。
【0065】
液晶表示板アセンブリ300の外側面には、光を偏光させる少なくとも一つの偏光子(図示せず)が設けられている。
【0066】
再び図1を参照する。階調電圧生成部800は、画素PXの透過率と関連する二組の階調電圧集合(または基準階調電圧集合)を生成する。二組のうちの一組は共通電圧Vcomに対して正の値を有し、他の一組は負の値を有する。
【0067】
ゲート駆動部400は、液晶表示板アセンブリ300のゲート線G1〜Gnと接続され、ゲートオン電圧Vonとゲートオフ電圧Voffとの組み合わせからなるゲート信号をゲート線G1〜Gnに印加する。
【0068】
データ駆動部500は液晶表示板アセンブリ300のデータ線D1〜Dmに接続されており、階調電圧生成部800からの階調電圧を選択し、これをデータ信号としてデータ線D1〜Dmに印加する。なお、階調電圧生成部800が全ての階調に対する電圧を全て供給するわけではなく、所定の数の基準階調電圧のみを供給する場合に、データ駆動部500は基準階調電圧を分圧して全体階調に対する階調電圧を生成し、この中でデータ信号を選択する。
【0069】
温度センサ部50は液晶表示板アセンブリ300に形成され、温度センサ51を含む。温度センサ51は感知した温度に対応する温度感知信号Vsを生成して信号制御部600に出力する。
【0070】
一方、図3に示したように、液晶表示板アセンブリ300は、液晶層3が主に形成されている表示領域DAと、表示領域DAを除いた周辺領域PAとに分けられる。周辺領域PAは主に液晶表示板アセンブリ300の周縁にあり、遮光部材220で覆われている。温度センサ部50の温度センサ51はこれら領域のうちの周辺領域PAに位置している。
【0071】
図3に示す形態においては、図1とは異なり、温度センサ51を液晶表示板アセンブリ300の上下に各々2つずつ合計で4つ形成しているが、これら温度センサ51の形成位置及び数はこれに限定されるわけではなく、液晶表示板アセンブリ300の左右などのように液晶表示板アセンブリ300の温度を感知することができる位置と数であればどこに幾つ形成してもよい。
【0072】
信号制御部600は温度センサ50からの温度感知信号(Vs)に基づいて、ゲート駆動部400及びデータ駆動部500などを制御する。
【0073】
このような駆動装置400、500、600、800各々は、少なくとも一つの集積回路チップの形態で液晶表示板アセンブリ300上に直接装着されたり、フレキシブルプリント回路フィルム(flexibleprinted circuit film)(図示せず)上に装着されてTCP(tapecarrier package)の形態で液晶表示板アセンブリ300に取り付けられたり、別のプリント回路基板(printedcircuit board)(図示せず)上に装着されたりするようにしてもよい。これとは異なる形態で、これら駆動装置400、500、600、800が、信号線G1〜Gn、D1〜Dm及び薄膜トランジスタスイッチング素子Qなどと共に液晶表示板アセンブリ300に集積されるようにしてもよい。また、駆動装置400、500、600、800を単一チップで集積するようにしてもよい。この場合、駆動装置400、500、600、800のうちの少なくとも一つ、またはこれらをなす少なくとも一つの回路素子を単一チップの外側に形成するようにしてもよい。
【0074】
前述したように、液晶表示板アセンブリ300は、二つの表示板100、200を含み、薄膜トランジスタが具備された下部表示板100を「薄膜トランジスタ表示板」と言う。温度センサ部50の温度センサ51などがこの薄膜トランジスタ表示板100に備えられているので、薄膜トランジスタ表示板100の構造について、図4乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0075】
図4は本発明の一実施形態による薄膜トランジスタ表示板のレイアウト配置図である。図5乃至図7は各々図4に示した薄膜トランジスタ表示板のV−V線、VI−VI線及びVII−VII線による断面図である。
【0076】
透明なガラスまたはプラスチックなどからなる絶縁基板110上に、複数のゲート線(gateline)121、温度感知線125、及び複数の蓄積電極線(storage electrodeline)131が形成されている。
【0077】
ゲート線121はゲート信号を伝達し、主に横方向に延びている。各ゲート線121は、複数のゲート電極(gateelectrode)124と、他の層または外部駆動回路との接続のための面積が広い端部129とを含む。ゲート信号を生成するゲート駆動回路(図示せず)は、基板110上に取り付けられるフレキシブルプリント回路フィルム(図示せず)上に装着されたり、基板110上に直接装着されたり、基板110に集積されたりするようにしてもよい。ゲート駆動回路が基板110上に集積されている場合、ゲート線121が延長され、これと直接接続され得る。
【0078】
温度感知線125は蛇行形状を有しており、蛇行しながら横方向に延びている。このように、温度感知線125を蛇行形状とし、温度感知線125の長さを延ばして抵抗を大きくすることにより、温度に対する感度が大きくなる。
【0079】
温度感知線125の両端は、外部駆動信号を入出力及び外部駆動回路との接続のための面積が広い端部126、127を含む。なお、端部126は信号の印加を受けた入力端であり、他の端部127は信号を出力する出力端として作用するが、互いに入れ変わるようにしてもよい。
【0080】
蓄積電極線131は、所定電圧の印加を受け、ゲート線121と概略並んで延びた幹線と、これから分かれた複数対の蓄積電極133a、133bとを含む。蓄積電極線131各々は隣接した二つのゲート線121の間に位置し、幹線は二つのゲート線121のうちの下側に近い。蓄積電極133a、133b各々は、幹線と接続された固定端と、その反対方向の自由端とを有している。一方の蓄積電極133bの固定端は面積が広く、その自由端は直線部分と曲がった部分の二股に分かれている。しかし、蓄積電極線131の形状及び配置は多様に変更できる。
【0081】
ゲート線121、温度感知線125及び蓄積電極線131は、物理的性質が異なる二つの導電膜、つまり、下部膜とその上の上部膜とを含む。下部膜は信号遅延や電圧降下を減らすことができるように比抵抗が低い金属、例えば、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などアルミニウム系金属、銀(Ag)や銀合金などは系金属、銅(Cu)や銅合金など銅系金属などで形成される。一方、上部膜は、他の物質、特にITO(indiumtin oxide)またはIZO(indium zinc oxide)との物理的、化学的、電気的コンタクト特性に優れた物質、金属、例えば、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などモリブデン系金属及びその窒化物、クロム(Cr)、タンタル(Ta)並びにチタニウム(Ti)などで形成される。このような組み合わせの良い例としては、アルミニウム(合金)下部膜とモリブデン(合金)上部膜との組み合わせがある。
【0082】
しかし、下部膜がコンタクト特性に優れた物質で形成され、上部膜が低抵抗物質で形成され得るが、この場合、ゲート線121端部129の上部膜129qの一部と、温度感知線125端部126、127の上部膜126q、127qの一部が除去され、下部膜129p、126p、127pが露出され得る。また、ゲート線121、温度感知線125及び蓄積電極線131は、上述した種々の物質を含む単一膜構造を有することができ、その他にも多様な金属または導電体で形成することができる。
【0083】
図5において、ゲート電極124、温度感知線125及び蓄積電極線131に対し、下部膜は英文字pを、上部膜は英文字qを図面符号に付け加えて表記した。
【0084】
ゲート線121、温度感知線125及び蓄積電極線131の側面は、基板110面に対し約30゜乃至約80゜の傾斜角で傾斜していることが好ましい。ゲート線121、温度感知線125及び蓄積電極線131はスパッタリングなどによって形成するようにしてもよい。
【0085】
ゲート線121、温度感知線125及び蓄積電極線131上には、窒化シリコン(SiNx)または酸化シリコン(SiOx)などで形成されたゲート絶縁膜(gateinsulating layer)140が形成されている。
【0086】
ゲート絶縁膜140上には、水素化非晶質シリコン(hydrogenated amorphous silicon)(非晶質シリコンを略して「a−Si」と記す。)または多結晶シリコン(polysilicon)などで形成された複数の線状半導体151が形成されている。線状半導体151は主に縦方向に延びており、ゲート電極124に向かって延び出た複数の突出部(projection)154を含む。線状半導体151はゲート線121及び蓄積電極線131付近で幅が広くなって、これらを幅広く覆っている。
【0087】
半導体151上には複数の線状及び島型オーミックコンタクト部材(ohmic contact)161、165が順に形成されている。オーミックコンタクト部材161、165は、リンなどのn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質またはシリサイド(silicide)によって形成されるようにしてもよい。線状オーミックコンタクト部材161は複数の突出部163を有しており、この突出部163と島型オーミックコンタクト部材165とは対をなし、半導体151の突出部154上に配置されている。
【0088】
半導体151及びオーミックコンタクト部材161、165の側面も基板110面に対して傾斜しており、傾斜角は30゜乃至80゜程度である。
【0089】
オーミックコンタクト部材161、165及びゲート絶縁膜140上には、複数のデータ線(dataline)171と複数のドレイン電極(drain electrode)175がスパッタリングなどによって形成されている。
【0090】
データ線171はデータ信号を伝達し、主に縦方向に延びてゲート線121と交差する。各データ線171は、また、蓄積電極線131と交差し、隣接した蓄積電極133a、133b集合の間を延びている。各データ線171は、ゲート電極124に向かって延びた複数のソース電極(sourceelectrode)173と、他の層または外部駆動回路との接続のために面積が広い端部179とを含む。データ信号を生成するデータ駆動回路(図示せず)は、基板110上に取り付けられるフレキシブルプリント回路フィルム(図示せず)上に装着されたり、基板110上に直接装着されたり、基板110に集積されたりするようにしてもよい。データ駆動回路が基板110上に集積されている場合、データ線171が延長されてこれと直接接続され得る。ドレイン電極175はデータ線171と分離されており、ゲート電極124を中心にソース電極173と対向している。
【0091】
各ドレイン電極175は、面積が広い一端部と、棒状の他端部とを有しており、棒状の端部は曲がったソース電極173によって一部取り囲まれている。
【0092】
一つのゲート電極124、一つのソース電極173及び一つのドレイン電極175は、半導体151の突出部154と共に一つの薄膜トランジスタ(thinfilm transistor、TFT)をなし、薄膜トランジスタのチャネルはソース電極173とドレイン電極175との間の突出部154に形成される。
【0093】
データ線171及びドレイン電極175は、モリブデン、クロム、タンタル及びチタニウムなど高融点金属(refractorymetal)またはこれらの合金で形成されることが好ましく、高融点金属膜(図示せず)と低抵抗導電膜(図示せず)とを含む多重膜構造を有するようにしてもよい。多重膜構造の例としては、クロムまたはモリブデン(合金)下部膜とアルミニウム(合金)上部膜との二重膜、モリブデン(合金)下部膜とアルミニウム(合金)中間膜とモリブデン(合金)上部膜との三重膜がある。しかし、データ線171及びドレイン電極175は、その他にも多様な金属または導電体で形成され得る。
【0094】
データ線171及びドレイン電極175も、その側面が基板110面に対して30゜乃至80゜程度の傾斜角で傾斜していることが好ましい。
【0095】
データ線171及びドレイン電極175はスパッタリングなどによって形成されるようにしてもよい。
【0096】
オーミックコンタクト部材161、165は、その下の半導体151とその上のデータ線171及びドレイン電極175との間にだけ存在し、これらの間のコンタクト抵抗を低くする。半導体151は、ソース電極173とドレイン電極175との間をはじめとして、データ線171及びドレイン電極175によって覆われずに露出した部分を有している。大部分の所では線状半導体151の幅がデータ線171の幅より小さいが、前述したように、ゲート線121と合う部分で幅が広くなって表面のプロファイルを滑らかにすることにより、データ線171が断線することを防止する。
【0097】
データ線171、ドレイン電極175及び露出した半導体151部分上には保護膜(passivationlayer)180が形成されている。保護膜180は無機絶縁物または有機絶縁物などで形成され、表面が平坦であるようにしてもよい。無機絶縁物の例としては、窒化シリコン、酸化シリコン等がある。有機絶縁物としては感光性(photosensitivity)を有するものを用いてもよく、その誘電率(dielectricconstant)は約4.0以下であることが好ましい。しかし、保護膜180は、有機膜の優れた絶縁特性を生かしながらも露出した半導体151部分に損傷を与えないように、下部無機膜と上部有機膜との二重膜構造を有するようにしてもよい。
【0098】
保護膜180には、データ線171の端部179とドレイン電極175とを各々露出する複数のコンタクトホール(contacthole)182、185が形成されている。保護膜180及びゲート絶縁膜140には、ゲート線121の端部129の上部膜129qを露出する複数のコンタクトホール181、温度感知線125の端部126、127の上部膜126q、127qを各々露出するコンタクトホール186、187、蓄積電極133bの固定端付近の蓄積電極線131の一部を露出する複数のコンタクトホール183a、及び蓄積電極133aの自由端の直線部分を露出する複数のコンタクトホール183bも形成されている。
【0099】
保護膜180上には、複数の画素電極(pixel electrode)191、複数の連結橋(overpass)83、及び複数のコンタクト補助部材(contact assistant)81、82、86、87が形成されている。これらはITOまたはIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロムまたはその合金などの反射性金属で形成されるようにすればよい。
【0100】
画素電極191は、コンタクトホール185を通してドレイン電極175と物理的・電気的に接続されており、ドレイン電極175からデータ電圧の印加を受ける。データ電圧が印加された画素電極191は、共通電圧(commonvoltage)の印加を受ける他方の表示板(図示せず)の共通電極(common electrode)(図示せず)と共に電場を生成することによって、二つの電極の間の液晶層(図示せず)の液晶分子の配列を決定する。このように決定された液晶分子の配列によって液晶層を通過する光の偏光が変化する。画素電極191と共通電極とは液晶キャパシタを形成し、薄膜トランジスタがターンオフされた後にも印加された電圧を維持する。
【0101】
画素電極191は、蓄積電極133a、133bをはじめとする蓄積電極線131と重畳し、液晶キャパシタの電圧蓄積能力を強化するストレージキャパシタを形成する。
【0102】
画素電極191は、また、隣接するゲート線121と重畳して開口率(aperture ratio)を高めているが、重畳しないようにしてもよい。
【0103】
コンタクト補助部材81、82、86、87は、各々コンタクトホール181、182、186、187を通してゲート線121の端部129、温度感知線125の端部126、127及びデータ線171の端部179と接続される。コンタクト補助部材81、82、86、87は、ゲート線121の端部129、温度感知線125の端部126、127及びデータ線171の端部179と外部装置との接着性を補完し、これらを保護する。
【0104】
連結橋83はゲート線121を横切り、ゲート線121を間に置いて反対側に位置するコンタクトホール183a、183bを通して蓄積電極線131の露出した部分と蓄積電極133bの自由端の露出した端部とに接続されている。蓄積電極133a、133bをはじめとする蓄積電極線131は、連結橋83と共にゲート線121やデータ線171または薄膜トランジスタの欠陥の修復に用いることができる。
【0105】
このように、ゲート線121と共に形成された温度感知線125は抵抗として作用し、温度によって抵抗値が変化するので、温度センサ51として機能する。
【0106】
温度感知線125が占める面積は、横幅aと縦幅bとがほぼ2mm×2mm以下であるようにしてもよい。
【0107】
温度センサ51は、スパッタリングによって形成される表面安定性が優れたゲート線121のような金属配線と共に形成されるので、外部の衝撃によって温度センサ51の表面などが損傷されることによって発生する誤動作や破損が低減する。
【0108】
次に、図4乃至図7に示した温度センサを等価回路で示せば図8の通りであり、これについて詳細に説明する。
【0109】
図8は本発明の一実施形態による温度センサの等価回路図である。
【0110】
図8に示したように、温度センサ51は、駆動電圧Vddに接続されている抵抗Rsで示すことができる。温度センサ51と接地との間は抵抗Rcを含んでいる。抵抗Rcは一定の抵抗値を有する抵抗である。
【0111】
温度センサ51は温度感知線125の端部126から電圧Vddの印加を受け、抵抗Rcに接続された他端部127に出力信号Voutを温度感知信号Vsとして出力する。
【0112】
出力信号Voutは、次の数式1によって得られる。
【0113】
【数1】

ここで、Rsは、
【数2】

であり、ρは、
【数3】

である。
【0114】
ここで、ρは温度感知線125の比抵抗(resistivity)であり、Wは温度感知線125の幅であり、Lは温度感知線125の長さであり、Dは温度感知線125の厚さである。また、ρoは特定温度、例えば、約20℃での比抵抗であり、αは温度係数(temperaturecoefficient of resistance、TCR)、つまり、温度変化に対する抵抗値の変化を示す係数であり、Tは温度である。
【0115】
ここで、各物質による特定温度における比抵抗ρoと温度係数αとは、それぞれの物質固有の定数である。温度感知線125の幅W、長さL及び厚さDは、設計の際に決定される。
【0116】
ここで、温度センサ51である抵抗Rsは、温度Tによってその値が変化するため、出力電圧Voutは温度Tによって変化する値となる。
【0117】
既に説明したように、温度感知線125の幅、長さ及び厚さは温度センサ51の設計の際に決定されるので、温度センサ51の特性がこれらの値によって決定されることになる。
【0118】
温度感知線125の形成に用いられる材料のうちの一部であるアルミニウム(Al)、銅(Cu)、白金(Pt)、クロム(Cr)及びモリブデン(M0)の比抵抗ρoと温度係数αとを表1に例示する。
【表1】

【0119】
ここで、温度センサ51の感度を良くし、安定した感知動作を実現するためには、温度係数αが大きいほど良く、測定するたびに同一の値を有することが好ましく、また、温度センサ51は温度Tの変化による比抵抗ρの値が線形的に変化する金属からなるのが良い。
【0120】
次に、図4乃至図7に示した温度感知線125によって温度センサ51を製作する場合、温度変化による温度センサ51の出力電圧Voutの変化について図9を参照して説明する。
【0121】
図9は本発明の一実施形態による温度センサから出力される温度変化による電圧特性を示したグラフである。
【0122】
図9において、実験した温度感知線125は、アルミニウム(Al)下部膜とモリブデン(Mo)上部膜とからなる二重膜構造であり、駆動電圧Vddは約2Vであり、抵抗Rcは約1.7kΩであった。
【0123】
図9からわかるように、約−10乃至80℃の範囲で、温度変化による出力電圧Voutが線形的に変化した。このとき、形成された温度センサ51の感度は約1.83(mV/℃)であって、別の増幅回路などを用いた信号変換を要せずに、センサから出力される信号をそのまま用いることができる程度であった。
【0124】
温度感知線125は、データ線171や画素電極191と同一層で形成することもできる。この場合、温度感知線125はモリブデン(合金)下部膜、アルミニウム(合金)中間膜及びモリブデン(合金)上部膜の三重膜を有するようにしてもよい。しかし、温度感知線12に用いられる金属は、温度係数αが大きいほど良く、測定するたびに同一の値を有し、温度Tの変化による比抵抗ρの値が線形的に変化するものであれば、いずれの材料も使用可能である。
【0125】
以下、このような液晶表示装置の動作について詳細に説明する。
【0126】
信号制御部600は、外部のグラフィック制御機(図示せず)から入力映像信号R、G、B及びその表示を制御する入力制御信号を受信する。入力制御信号の例としては、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、メインクロックMCLK、データイネーブル信号DEなどがある。また、信号制御部600は温度センサ部50からの温度感知信号Vsを受信する。
【0127】
信号制御部600は、入力映像信号R、G、B及び入力制御信号に基づいて入力映像信号R、G、Bを液晶表示板アセンブリ300の動作条件に合うように適切に処理し、ゲート制御信号CONT1及びデータ制御信号CONT2などを生成した後、ゲート制御信号CONT1をゲート駆動部400に出力し、データ制御信号CONT2と処理した映像信号DATとをデータ駆動部500に出力する。この時、信号制御部600は温度感知信号Vsに基づいてゲート駆動部400やデータ駆動部500の動作を制御する。このような信号制御部600の動作については以下詳細に説明する。
【0128】
ゲート制御信号CONT1は、走査開始を指示する走査開始信号STVと、ゲートオン電圧Vonの出力周期を制御する少なくとも一つのクロック信号とを含む。ゲート制御信号CONT1は、また、ゲートオン電圧Vonの持続時間を定義する出力イネーブル信号OEをさらに含むようにしてもよい。
【0129】
データ制御信号CONT2は、一つの行の画素PXに対する映像信号の伝送開始を知らせる水平同期開始信号STH、データ線D1〜Dmにデータ信号の印加を指示するロード信号LOAD、及びデータクロック信号HCLKを含む。データ制御信号CONT2は、また、共通電圧Vcomに対するデータ信号の電圧極性(以下、「共通電圧に対するデータ信号の電圧極性」を略して「データ信号の極性」と言う。)を反転させる反転信号RVSをさらに含むようにしてもよい。
【0130】
信号制御部600からのデータ制御信号CONT2によって、データ駆動部500は一つの行の画素PXに対するデジタル映像信号DATを受信し、各デジタル映像信号DATに対応する階調電圧を選択することによって、デジタル映像信号DATをアナログデータ信号に変換した後に、これを該当データ線D1〜Dmに印加する。
【0131】
ゲート駆動部400は、信号制御部600からのゲート制御信号CONT1によってゲートオン電圧Vonをゲート線G1〜Gnに印加し、このゲート線G1〜Gnに接続されたスイッチング素子Qを導通させる。そうすると、データ線D1〜Dmに印加されたデータ信号が導通したスイッチング素子Qを通して該当画素PXに印加される。
【0132】
画素PXに印加されたデータ信号の電圧と共通電圧Vcomとの差は、液晶キャパシタClcの充電電圧、つまり、画素電圧として現れる。液晶分子は画素電圧の大きさによってその配列を異にし、そのため液晶層3を通過する光の偏光が変化する。このような偏光の変化は表示板アセンブリ300に設けられた偏光子によって光の透過率の変化として現れる。
【0133】
1水平周期(“1H”とも記し、水平同期信号Hsync及びデータイネーブル信号DEの1周期と同一である)を単位としてこのような過程を繰り返すことにより、全てのゲート線G1〜Gnに対し順にゲートオン電圧Vonを印加して全ての画素PXにデータ信号を印加し、1フレーム(frame)の映像を表示する。
【0134】
1フレームが終了すれば、次のフレームが始まり、各画素PXに印加されるデータ信号の極性が前フレームでの極性と反対になるように、データ駆動部500に印加される反転信号RVSの状態が制御される(フレーム反転)。この時、1フレーム内でも反転信号RVSの特性によって一つのデータ線を通して流れるデータ信号の極性が変わったり(例:行反転、点反転)、一つの画素行に印加されるデータ信号の極性も互いに異なったりすることがある(例:列反転、点反転)。
【0135】
既に説明したように、液晶表示装置の温度によって液晶や回路要素などの動作特性が変わるので、温度を考慮した補償動作が必要であり、このような補正動作中にはDCC(dynamiccapacitance compensation)やゲートオン電圧Vonの大きさを調整する動作などがある。
【0136】
これをさらに詳細に説明すれば、温度によって液晶の特性が変わり、これによって液晶の応答時間も異なるようになるので、液晶の応答時間を向上させるためのDCCの制御時、信号制御部600は温度感知信号Vsによって判定された温度を考慮してDCCを実施する。
【0137】
また、薄膜トランジスタであるスイッチング素子Qは、温度によってしきい電圧(thresholdvoltage)が変化する。従って、信号制御部600は温度によってゲートオン電圧Vonを生成するための基準電圧の大きさを変更し、ゲートオン電圧Vonの大きさを調整することによって、温度によって変わるスイッチング素子Qの導通タイミングを補償することができる。
【0138】
このような温度補償動作中に、図10を参照して信号制御部600によるDCCを説明する。
【0139】
図10は本発明の他の実施形態による信号制御部のブロック図である。
【0140】
図10に示したように、信号制御部600は、任意の画素に対する1フレームの映像信号(以下、「現在映像信号(currentimage signal)」と言う。)Gnが印加されるフレームメモリ611、ルックアップテーブル部612、フレームメモリ611、及びルックアップテーブル部612に接続されており、温度感知信号Vsと現在映像信号Gnとが印加される信号出力部613を含む。これら全てまたはその一部は、信号制御部600の外部に装着され得る。
【0141】
フレームメモリ611は、任意の画素に対する直前フレームの映像信号(以下、「直前映像信号(previousimage signal)」と言う。)Gn−1をルックアップテーブル部612と信号出力部613とに供給し、外部からの現在映像信号Gnを記憶する。
【0142】
ルックアップテーブル部612は複数のルックアップテーブル(LU1〜LUp)を含んでいる。各ルックアップテーブルLU1〜LUpには、温度センサ部50からの温度感知信号Vsに基づいて各々値が決められた複数の補正映像信号が直前映像信号Gn−1と現在映像信号Gnの関数と記憶されている。この時、補正映像信号は、液晶表示板アセンブリの温度及び現在映像信号と直前映像信号との差などを考慮した実験結果によって決められる。既に説明したように、補正映像信号と直前映像信号との差は、補正前の現在映像信号と直前転映像信号との差よりかなり大きい。
【0143】
このような信号制御部600の動作について説明する。
【0144】
まず、信号出力部613は温度センサ部50からの温度感知信号Vsに基づいて感知された温度を判定し、判定された温度によって複数のルックアップテーブルLU1〜LUpのうちから一つのルックアップテーブルを選択する。例えば、信号出力部613は判定された温度範囲が第1範囲に属する場合、第1ルックアップテーブルLU1を選択し、また、第p範囲に属する場合、第pルックアップテーブルLUpを選択することができる。
【0145】
次に、信号出力部613は、選択されたルックアップテーブルより、外部からの現在映像信号Gnと、フレームメモリ611からの直前映像信号Gn−1とに基づいた該当補正映像信号を選択した後、映像信号DATとしてデータ駆動部500に印加する。
【0146】
これによって、データ駆動部500から各画素に印加するデータ信号の電圧は、目標データ電圧より高いかまたは低い電圧になり、所望の画素電圧への到達時間が減少する。
【0147】
本実施形態のように、各直前映像信号Gn−1と各現在映像信号Gnに対する補正映像信号を全てルックアップテーブルに記憶する代わりに、所定間隔を有する所定個数の直前映像信号(以下、「基準直前映像信号」と言う。)と、これに対応する所定個数の現在映像信号(以下、「基準現在映像信号」と言う。)に対する補正映像信号(以下、「基準補正映像信号」と言う。)のみをルックアップテーブルに記憶するようにしてもよい。この場合、基準直前映像信号と基準現在映像信号との間隔は一定の間隔を維持するようにしてもよいが、基準直前映像信号と基準現在映像信号との間隔は一定の間隔を維持しない場合もあり得る。残りの補正映像信号については基準直前映像信号と基準現在映像信号とを用いて補間法(interpolation)によって算出する。この場合、ルックアップテーブルの大きさを小さくすることができる。
【0148】
また、本実施形態による温度センサは、液晶層の温度を感知する液晶表示装置だけでなく、温度によって動作特性が変化するプラズマ表示装置(plasmadisplay panel、PDP)や有機発光表示装置(organic light emitting display、OLED)などのような他の表示装置にも適用可能である。
【0149】
このように、本実施形態においては、光反応性が高い半導体などを用いずに、金属のみを用いて温度センサ51を形成するので、外部から印加される光の影響を受けず、そのため安定した温度感知を行うことができる。また、入射する光を遮断するための別の遮蔽膜を形成する必要がないので、製造工程及び構造が簡単である。
【0150】
また、温度センサが、ゲート線及びデータ線などと共に形成され液晶表示板アセンブリに直接内蔵されるので、感知した温度は液晶層の温度と概略一致している。
【0151】
以下、このような温度センサを用いてフリッカを調整するシステムである本発明の他の実施形態について、図11乃至図16bを参照して詳細に説明する。
【0152】
図11は本発明の他の実施形態による液晶表示装置のブロック図である。図12は本発明の他の実施形態による液晶表示装置のフリッカ調整システムを概略的に示す図である。図13は本発明の他の実施形態による液晶表示装置のフリッカ調整システムを示すブロック図である。図14は図13に示した温度センサ部及び共通電圧生成部の回路図の一例である。
【0153】
図11に示した液晶表示装置は図1に示した液晶表示装置と実質的に同一であるので、これに対する詳細な説明は省略する。但し、温度センサ部50の前後に接続されており、共通電圧Vcomを生成して液晶表示板アセンブリ300に供給する共通電圧生成部700とDVR(digitalvariable resistor)750とを含む。ここで、温度センサ部50は図3に示した温度センサ部50のうちの一部であるようにしてもよい。つまり、一部は信号制御部600に感知信号Vsを供給し、残りの一部はDVR750と共通電圧生成部700との間に接続されるようにしてもよい。
【0154】
DVR750は、内部のメモリ(図示せず)に記憶された値に基づいて基準電圧Vrefを生成して温度センサ部50に出力する。DVR750は、通常、集積回路ICからなる。
【0155】
共通電圧生成部700は、温度センサ部50からの補償電圧Vcと、液晶表示板アセンブリ300からフィードバックされる共通電圧Vcomfとに基づいて、共通電圧Vcomを生成する。
【0156】
この時、DVR750から提供される基準電圧Vrefは、液晶表示装置の製造後に作業者が液晶表示装置11の画面を見ながらフリッカを最適化する値に設定され、DVR750のメモリに記憶される。
【0157】
図12乃至図14を参照すれば、本発明の一実施形態によるフリッカ調整システムは、液晶表示装置11、撮像装置21及びコンピュータ31を含む。
【0158】
液晶表示装置11は、完成品としてフリッカなどを検査する最終検査(final test)を受けるためのものであり、コンピュータ31に接続されている。
【0159】
撮像装置21もコンピュータ31に接続されており、液晶表示装置11の画面の一部または画面全体の領域を撮像する。撮像装置21は画面の輝度を測定し、これを電気的な信号、例えば、電圧に変換してこれをコンピュータ31に出力する。
【0160】
コンピュータ31は、液晶表示装置11のDVR750に接続されている。コンピュータ31からの制御信号CONT3によってDVR750は基準電圧Vrefを出力する。コンピュータ31とDVR750とは、例えばI2Cインターフェース(interface)に接続されている。
【0161】
温度センサ部50は、図8に示した温度センサRsと、定抵抗Rc以外にまた一つの定抵抗R1とをさらに含み、抵抗R1を通して基準電圧Vrefの入力を受ける。ここで、図14に示した温度センサ部50は、図8に示したこととは異なり、駆動電圧Vddと接地電圧GNDとの間の温度センサRsと定抵抗Rcとの位置が互いに反対であることに留意しなければならない。このように位置が変われば、図9の出力電圧Voutは反対に増加する。
【0162】
共通電圧生成部700は差動増幅器である演算増幅器OPからなり、演算増幅器OPの非反転端子(+)はノードNに接続されており、反転端子(−)は抵抗R2を通してフィードバックされる共通電圧Vcomfに接続されており、抵抗R3を通して出力端に接続されている。
【0163】
ここで、演算増幅器OPの非反転端子(+)に入力される電圧Vc、つまり、ノードNの電圧は、周知の通り、重畳の原理(superpositionprinciple)によって決定される。つまり、
【数4】

を満たす。ここで、Rth1は電圧Vrefを0とした場合の二つの抵抗R1、Rcの合成抵抗であり、Rth2は電圧Vddを0とした場合の二つの抵抗Rs、Rcの合成抵抗である。
【0164】
このように、共通電圧生成部700はDVR750から直接に基準電圧Vrefの入力受けることではなく、温度補償が行われた補償電圧Vcに基づいて共通電圧Vcomを生成する。
【0165】
従って、液晶表示装置11が温度によって変化しても、温度によるフリッカを最適化することができるようになる。
【0166】
図15は本発明の他の実施形態による温度センサの温度による抵抗特性を示すグラフである。図16A及び図16Bは本発明の他の実施形態によって温度補償を適用した共通電圧と、温度補償を適用する前の共通電圧とを各々示すグラフである。
【0167】
図15に示されているとおり、温度による温度センサ51の抵抗値は、温度に線形的に比例する特性を有する。
【0168】
従って、温度センサ51は、最終検査を実行する時の液晶表示装置11の温度Ttでは抵抗値(Rt)を有し、需要者によって使用される時の温度Tnでは抵抗値Rnを有するので、温度が増加すれば補償電圧Vcを増加させ、結局、共通電圧Vcomを図16Aに示したように線形的に増加させる。
【0169】
データ駆動部500で生成されるデータ電圧も温度に比例して大きくなり、図16Bに示したように、従来の共通電圧Vcomは温度による電圧が一定であるため、温度が増加すればフリッカを誘発し得る
【0170】
しかし、本発明の実施形態によれば、液晶表示装置11の温度が増加する場合、共通電圧Vcomもこれに比例して増加するので、共通電圧Vcomは増加したデータ電圧の中央に位置し、フリッカを防止することができる。
【0171】
このように、液晶表示装置の温度を感知する温度センサを液晶表示装置に直接内蔵するので、製造原価を大きく増加させることなく、外部と隣接している液晶層の温度に近い温度を感知することができる。
【0172】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるわけではなく、添付した請求範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0173】
3 液晶層
50 温度センサ部
100 下部表示板
191 画素電極
200 上部表示板
220 遮光部材
230 カラーフィルタ
270 共通電極
300 液晶表示板アセンブリ
400 ゲート駆動部
500 データ駆動部
600 信号制御部
700 共通電圧生成部
750 DVR
800 階調電圧生成部
R、G、B 入力映像データ
DE データイネーブル信号
MCLK メインクロック
Hsync 水平同期信号
Vsync 垂直同期信号
CONT1 ゲート制御信号
CONT2 データ制御信号
DAT デジタル映像信号
Clc 液晶キャパシタ
Cst ストレージキャパシタ
Q スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示板アセンブリを含む液晶表示装置の駆動回路であって、
第1電圧を生成するDVR(digital variable resistor)と、
前記DVRに接続されており、第2電圧を生成する温度センサ部と、
前記温度センサ部に接続されており、前記第2電圧と前記液晶表示板アセンブリからの第3電圧とに基づいて共通電圧を生成する共通電圧生成部と
を含む液晶表示装置の駆動回路。
【請求項2】
前記温度センサ部は、
駆動電圧と接地電圧との間に接続されている第1及び第2抵抗と、
前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点と前記第1電圧との間に接続されている第3抵抗と
を含み、
前記第1抵抗は前記液晶表示装置の温度によって変化する温度センサである、請求項1に記載の液晶表示装置の駆動回路。
【請求項3】
前記温度センサの抵抗値は前記液晶表示装置の温度に比例する、請求項2に記載の液晶表示装置の駆動回路。
【請求項4】
前記共通電圧生成部は、反転端子が第4抵抗及び第5抵抗を通じて各々前記第3電圧と出力端に接続されており、非反転端子が前記接続点に接続されている演算増幅器を含む、請求項3に記載の液晶表示装置の駆動回路。
【請求項5】
液晶表示板アセンブリを備えた液晶表示装置と、
前記液晶表示装置を撮像する撮像装置と、
前記液晶表示装置及び前記撮像装置に接続されている電子装置と
を含み、
前記液晶表示装置は、
第1電圧を生成するDVRと、
前記DVRに接続されており、第2電圧を生成する温度センサ部と、
前記温度センサ部に接続されており、前記第2電圧と前記液晶表示板アセンブリからの第3電圧とに基づいて共通電圧を生成する共通電圧生成部と
を含む
フリッカ調整システム。
【請求項6】
前記温度センサ部は、
駆動電圧と接地電圧との間に接続されている第1及び第2抵抗と、
前記第1抵抗と前記第2抵抗との間の接続点と前記第1電圧との間に接続されている第3抵抗と
を含み、
前記第1抵抗は前記表示装置の温度によって変化する温度センサである、請求項5に記載のフリッカ調整システム。
【請求項7】
前記温度センサの抵抗値は前記表示装置の温度に比例する、請求項6に記載のフリッカ調整システム。
【請求項8】
前記共通電圧生成部は、反転端子が第4抵抗及び第5抵抗を通じて各々前記第3電圧と出力端に接続されており、非反転端子が前記接続点に接続されている演算増幅器を含む、請求項7に記載のフリッカ調整システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【公開番号】特開2012−113314(P2012−113314A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14527(P2012−14527)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2006−193989(P2006−193989)の分割
【原出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】