説明

液晶表示装置の駆動装置

【課題】表示領域全体の中で定めた領域において情報を表示し、他の領域を背景色とする表示態様を、少ない消費電力で実現することができる液晶表示装置の駆動装置を提供する。
【解決手段】各フレームにおいて、ゲートドライバは、所定のオン電位に設定するか所定のオフ電位に設定するかを定める対象となるゲートラインを順次選択する。選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、画像を表示する特定領域に該当する画素がなければ、そのゲートラインを所定のオフ電位に設定する。また、選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、特定領域に該当する画素があれば、そのゲートラインを所定のオン電位に設定する。制御部は、特定領域を定めた領域規定情報に基づいて、ゲートドライバを上記のように動作するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の駆動装置に関し、特に、表示領域内の定められた領域で表示を行う液晶表示装置の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリクス状に配置された画素を有する液晶表示装置において、表示領域内の定められた領域でのみ情報を表示して、その他の領域では背景色を表示し続ける場合がある。このような液晶表示装置の例として、例えば、車両のインスツルメントパネルで用いられるインスツルメントパネル用液晶表示装置がある。インスツルメントパネル用液晶表示装置では、表示する項目が、例えば「燃料残量」、「シフト状況(シフトレバーの設定状況)」、「オドメータの値」等の数種類であり、各項目を表示する箇所は、予め決められている。そして、それらの種々の項目を表示しない領域は、背景色を表示し続ける。
【0003】
このようなインスツルメントパネル用液晶表示装置として、TFT(Thin Film Transistor)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置が用いられることが多くなった。一般的に、TFTを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置で、予め定められた領域内に情報を表示し、その他の領域を背景色とする場合、駆動装置には、定められた領域内に表示する画像と、その他の領域における背景色とを規定した画像データが入力される。そして、駆動装置は、各行を線順次選択するとともに、液晶表示装置の各ソースラインに対して、選択行の各画素の画像データに応じた電位を設定する。従って、駆動装置は、選択行内で背景部分となる画素に対応するソースラインには、画像データで定められた背景色に応じた電位を設定する。そして、駆動装置は、情報表示領域に該当する画素が選択行内にあれば、その画素に対応するソースラインに、画像データで定められた画素値に応じた電位を設定する。
【0004】
また、駆動装置は、選択した行のゲートラインを、所定のオン電位(以下、単にオン電位と記す。)に設定し、他の行のゲートラインを所定のオフ電位(以下、単にオフ電位と記す。)に設定する。オン電位は、ゲートラインに接続された各TFTのソース、ドレイン間を導通させる電位である。オフ電位は、ゲートラインに接続された各TFTのソース、ドレイン間を非導通状態にさせる電位である。個々の行に配置されたTFTにおいて、TFTのゲートがゲートラインに接続される。TFTのソースには、そのTFTが配置された列のソースラインが接続され、TFTのドレインには、TFTと同じ画素に配置される画素電極が接続される。従って、選択行のゲートラインがオン電位に設定されることで、その行の各TFTにおいて、ソース、ドレイン間が導通状態となり、その結果、その行の個々の画素電極は、それぞれソースラインと等電位になる。
【0005】
また、表示領域内の特定の領域(表示エリア)に画像を表示する表示方法が特許文献1に記載されている。特許文献1には、非表示エリアと設定された場合に所与の非表示レベル電圧を信号ラインに駆動することが記載されている。また、0フレームを基準として、3以上の所定の奇数フレーム周期で、全ての走査ライン(ゲートライン)を線順次駆動し、その他のフレームでは、表示エリアに対応する走査ラインに関しては線順次駆動し、非表示エリアに対応する走査ラインに関しては駆動を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−3923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
各行を順次選択し、背景部分に対応するソースラインを含む各ソースラインに対して画像データに応じた電位を設定する場合には、消費電力が多くなってしまう。
【0008】
また、特許文献1に記載された表示方法では、0フレームを基準として、3以上の所定の奇数フレーム周期で、全ての走査ラインを線順次駆動する。すなわち、基準となるフレームを0フレームとすると、(2・k+1)番目のフレームでは全ての走査ラインを線順次駆動する。そのため、消費電力を低くするには十分ではない。
【0009】
そこで、本発明は、表示領域全体の中で定めた領域において情報を表示し、他の領域を背景色とする表示態様を、少ない消費電力で実現することができる液晶表示装置の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による液晶表示装置の駆動装置は、マトリクス状に配置される複数の画素を有し、画素の列に沿って配置されるソースラインと、画素の行に沿って配置されるゲートラインとを備える液晶表示装置を駆動する液晶表示装置の駆動装置であって、液晶表示装置の表示領域内で画像を表示する所定領域を規定する領域規定情報を記憶する領域規定情報記憶手段と、所定のオン電位に設定するか所定のオフ電位に設定するかを定める対象となるゲートラインを順次選択するゲートドライバと、ソースラインに接続される接続端を有し、ゲートラインが選択される毎に、各ソースラインの状態を制御するソースドライバと、ゲートドライバおよびソースドライバを制御する制御手段とを備え、制御手段が、各フレーム内で、ゲートドライバが選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、所定領域に該当する画素がない場合、ゲートドライバに、選択するゲートラインの電位を所定のオフ電位に設定させ、ソースドライバに、各ソースラインが接続される接続端をハイインピーダンス状態に設定させ、ゲートドライバが選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、所定領域に該当する画素がある場合、ゲートドライバに、選択するゲートラインの電位を所定のオン電位に設定させ、ソースドライバに、その行の各画素のうち、所定領域に該当する画素に対応する該当ソースラインの電位を、画像データに指定された画素値に応じた電位に設定させ、その該当ソースライン以外の各ソースラインが接続される接続端をハイインピーダンス状態に設定させることを特徴とする。
【0011】
ゲートドライバは、選択するゲートライン以外のゲートラインの電位を所定のオフ電位に設定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示領域全体の中で定めた領域において情報を表示し、他の領域を背景色とする表示態様を、少ない消費電力で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による液晶表示装置の駆動装置によって駆動される液晶表示装置の例を示す説明図。
【図2】各画素に配置される画素電極およびTFTを示す説明図。
【図3】特定領域における画像の表示例を示す説明図。
【図4】本発明の駆動装置の例を示すブロック図。
【図5】ソースドライバ4を模式的に示す説明図。
【図6】図1に示す特定領域12,12に該当するゲートラインおよびソースラインの本数を模式的に示す説明図。
【図7】領域規定情報の例を示す模式図。
【図8】ラッチパルスの波形の例を示す説明図。
【図9】第1行から第3行までの選択の状況を示すタイミングチャート。
【図10】第31行から第33行までの選択の状況を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明による液晶表示装置の駆動装置によって駆動される液晶表示装置の例を示す説明図である。本発明による液晶表示装置の駆動装置1と、液晶表示装置10は、例えば、基板30上に配置される。また、図1では、駆動装置1が1チップのIC(Integrated Circuit)で実現される場合を例示している。駆動装置1は、配線群31を介して外部システム(図示略)と接続され、外部システムから画像データ等を受信する。
【0015】
液晶表示装置10は、例えば、車両のインスツルメントパネル等に配置される液晶表示装置である。マトリクス状に配置される画素(図示略)によって形成される表示領域11内で、情報を表示する領域は予め定められ、その領域に情報が表示される。以下、情報を表示する領域として定められた領域を、特定領域と記す。図1では、2つの特定領域12,12が定められている場合を例示している。なお、特定領域は、後述する領域規定情報によって定められる。
【0016】
図2は、液晶表示装置10の各画素に配置される画素電極およびTFTを示す説明図である。画素電極21およびTFT22の組は、各画素に配置される。従って、画素電極21およびTFT22の組も、マトリクス状に配置されることになる。なお、図2では、画素電極21およびTFT22の組を1組だけ示している。
【0017】
マトリクス状に配置される画素電極21と対向するようにコモン電極30が設けられ、各画素電極21とコモン電極30との間に液晶(図示略)が挟持される。図2に示すように、TFT22と組になる画素電極21が、コモン電極30と対向するようにして配置された箇所が、それぞれ画素となる。その複数の画素が、表示領域11(図1参照)を形成する。そして、各画素における画素電極21とコモン電極30との間の電位差(すなわち、各画素の液晶に対する印加電圧)によって、各画素における光の透過状態が定まり、その結果、画像が表示される。なお、本例では、液晶表示装置10が、液晶に電圧が印加されない画素が黒色となるノーマリブラックである場合である場合を例にして説明する。
【0018】
液晶表示装置10は、マトリクス状に配置される画素の列に沿って配置される複数のソースラインと、その画素の行に沿って配置される複数のゲートラインとを備える。ここでは、ソースラインが画素電極の列毎に配置され、ゲートラインが画素電極の行毎に配置される場合を例にして説明する。すなわち、各ソースラインと各列が一対一に対応し、各ゲートラインと各行が一対一に対応している場合を例にして説明する。図2では、視認側から見て左からk番目のソースラインSと、i行目のゲートラインGとを例示している。
【0019】
TFT22は、端子としてゲート22と、ドレイン22と、ソース22とを有する。個々のTFT21のゲート22は、そのTFTが配置された行に対応するゲートラインに接続される。また、個々のTFT21のドレイン22は、そのTFTに対応する画素電極21に接続される。また、個々のTFT21のソース22は、そのTFTが配置された列に対応するソースラインに接続される。
【0020】
コモン電極30は、コモン電極用の所定の電位(以下、VCOMと記す。)に設定される。また、ゲートラインGの電位が所定のオン電位(以下、単にオン電位と記す。)に設定され、TFTのゲート22がオン電位になると、ソース22c、ドレイン22b間が導通状態になり、画素電極21は、ソースラインSと等電位になる。この結果、画素電極21とコモン電極30と電位差が定まり、その画素における表示状態が決まる。また、ゲートラインGの電位が所定のオフ電位(以下、単にオフ電位と記す。)に設定されると、ソース22c、ドレイン22b間が非導通状態となり、その直前における画素電極21とコモン電極30との電位差が維持される。
【0021】
ここで、オン電位は、ゲートラインに接続された各TFTのソース、ドレイン間を導通させる電位である。オフ電位は、ゲートラインに接続された各TFTのソース、ドレイン間を非導通状態にさせる電位である。オン電位は、オフ電位よりも高電位である。
【0022】
ここでは、図2に示す第i行第k列の画素電極を例にして、画素電極に対する電位設定態様を説明したが、他の画素電極における電位設定態様も同様である。
【0023】
液晶表示装置10はノーマリブラックであるので、液晶に電圧が印加されていないとき(例えば、電源がオフであるとき)、表示領域11は黒色となる。説明を簡単にするため、図1および後述の図3、図6では、特定領域12,12の外縁を図示しているが、電圧非印加時に、特定領域12,12の外縁は視認されない。また、液晶表示装置10を駆動する際にも、特定領域12,12の外縁が表示されるように駆動しなくてよい。
【0024】
図3は、特定領域12,12における画像の表示例を示す説明図である。図1に示す要素と同一の要素に関しては図1と同一の符号を付す。駆動装置1は、図3に例示するように、特定領域12,12に所望の情報(画像データに応じた情報)を表示し、特定領域12,12以外の領域を、電圧が印加されないときの色(すなわち、黒色)とするように、液晶表示装置10を駆動する。この駆動の動作の詳細については、後述する。
【0025】
図4は、本発明の駆動装置の例を示すブロック図である。本発明の駆動装置1は、制御部2と、ゲートドライバ3と、ソースドライバ4とを備える。また、制御部2は、内部にレジスタ7を備える。なお、駆動装置1は、コモン電極30の電位をVCOMに設定するコモン電極電位設定回路(図示略)も備える。
【0026】
なお、図4では、説明を簡単にするために、液晶表示装置10の上側にソースドライバ4を図示し、液晶表示装置10の横側にゲートドライバ3を図示しているが、図1に示すように駆動装置1を1チップのICで実現する場合、ソースドライバ4およびゲートドライバ3を並べて配置すればよい。そして、各ソースラインSを画素の列に沿うように引き廻し、各ゲートラインを画素の行に沿うように引き廻せばよい。
【0027】
ゲートドライバ3は、オン電位にするか、あるいは、オフ電位にするかを定める対象となるゲートラインを線順次に選択する。すなわち、各ゲートラインは、第1行から1本ずつ順に選択され、選択されたゲートラインの電位は、オン電位とオフ電位のどちらかに定められる。ゲートドライバ3が選択するゲートラインをオン電位にするかオフ電位にするかは、制御部2が判定し、ゲートドライバ3は、制御部2に従って、選択したゲートドライバの電位をオン電位またはオフ電位に設定する。具体的には、選択するゲートラインに対応する行の画素に、特定領域に該当する画素がある場合、ゲートドライバ3は、選択するゲートラインの電位をオン電位に設定する。また、選択するゲートラインに対応する行の画素に、特定領域に該当する画素がない場合、ゲートドライバ3は、選択するゲートラインの電位をオフ電位に設定する。
【0028】
また、ゲートドライバ3は、選択するゲートライン以外のゲートラインに関しては、全てオフ電位に設定する。
【0029】
図5は、ソースドライバ4を模式的に示す説明図である。ソースドライバ5は、ソースラインSに接続される接続端5を複数有する。1つの接続端5には、1本のソースラインSが接続される。接続端5の数が、ソースラインSの数よりも多く、ソースラインSが接続されずに余る接続端5が存在していてもよい。ただし、液晶表示装置10の各ソースラインSは、ソースラインの列の並び順にそれぞれ接続端5に接続される。そして、ソースドライバ5は、ゲートドライバ3によってゲートラインが選択される毎に、接続端5に接続されている各ソースラインの状態を決定する。
【0030】
また、ソースドライバ4は、一本のゲートラインがゲートドライバ3によって選択されている期間中に、次に選択されるゲートラインに対応する行の各画素の画像データが入力される。そして、ソースドライバ4は、その1行分の画像データを保持する。ソースドライバ4は、ゲートラインが次の行のゲートラインを選択するときに、制御部2に従って、各ソースラインの状態を制御する。
【0031】
具体的には、その1行分の画素の中に、特定領域に該当する画素が存在しない場合、ソースドライバ4は、ソースラインSが接続された各接続端5をハイインピーダンス状態に設定する。この結果、各ソースラインSは、ソースドライバ4によって電位が設定されない状態(フローティング)になる。
【0032】
また、その1行分の画素の中に、特定領域に該当する画素が存在する場合、ソースドライバ4は、特定領域に該当する各画素に対応する各ソースライン(すなわち、特定領域に該当する各画素の列に配置された各ソースライン)の電位を、1行分の画像データのうち、特定領域に該当する各画素の画像データに応じた電位に設定する。また、ソースドライバ4は、特定領域に該当する各画素に対応する各ソースライン以外のソースラインが接続されている各接続端をハイインピーダンス状態に設定する。従って、特定領域に該当する各画素に対応する各ソースラインは、それぞれ画像データに応じた電位に設定された状態になり、他のソースラインは、それぞれソースドライバ4によって電位が設定されない状態(フローティング状態)になる。
【0033】
なお、画像データは、特定領域12,12だけでなく表示領域11に含まれる個々の画素の画素値を表している。すなわち、特定領域12,12以外の領域(背景となる領域)の画素の画素値の情報も含んでいる。
【0034】
制御部2が有するレジスタ7は、液晶表示装置10の表示領域11内で画像を表示する特定領域を規定する情報(以下、領域規定情報と記す。)を記憶する。以下、図6および図7を参照して、領域規定情報の例を示す。
【0035】
図6は、図1に示す特定領域12,12に該当するゲートラインおよびソースラインの本数を模式的に示す説明図である。表示領域11には、272本のゲートラインと、480本のソースラインが存在するものとする。
【0036】
特定領域12に該当するゲートラインの本数は200本(=75+60+65)である。具体的には、視認側から見て上から31本目から230本目までが特定領域12に該当するゲートラインである。また、特定領域12に該当するソースラインの本数は200本であり、具体的には、視認側から見て左から41本目から240本目までが特定領域12に該当するソースラインである。
【0037】
特定領域12に該当するゲートラインの本数は60本である。具体的には、視認側から見て上から106本目から165本目までが特定領域12に該当するゲートラインである。また、特定領域12に該当するソースラインの本数は60本であり、具体的には、視認側から見て左から271本目から330本目までが特定領域12に該当するソースラインである。
【0038】
図7は、レジスタ7が記憶する領域規定情報の例を示す模式図である。図7では、図6に例示する特定領域12,12を示す領域規定情報を例示している。図7に示す領域規定情報では、ゲートラインの行を、各特定領域12,12の開始行およびその前の行で区切るとともに、各特定領域12,12の終了行およびその次の行で区切る。例えば、特定領域12の開始行は31行目なので、30行と31行との間で区切り、特定領域12の終了行は230行目なので、230行と231行との間で区切る。特定領域12に関しても同様である。また、視認側から見て1番左の列を基準として、ソースラインの行を、各特定領域12,12の開始列およびその前の列で区切るとともに、各特定領域12,12の終了列およびその次の列で区切る。例えば、特定領域12の開始列は41列目なので、左から40列目と41列目との間で区切り、特定領域12の終了列は左か240列目なので、左から240列目と241列目との間で区切る。特定領域12に関しても同様である。
【0039】
上記のようにゲートラインの位置を区切って得られた各範囲と、ソースラインの位置を区切って得られた各範囲との組合せによって定まる領域は、特定領域かそれ以外の領域かに分類することができる。例えば、ゲートラインの範囲が1〜30行の範囲で、ソースラインの範囲が1〜40列の範囲は、特定領域に該当しない。また、例えば、ゲートラインの範囲が31〜105行の範囲で、ソースラインの範囲が41〜240列の範囲は、特定領域に該当する。このようにゲートラインの位置を区切った各範囲と、ソースラインの位置を区切った各範囲との組合せ毎に、特定領域に該当するかそれ以外の領域に該当するかを記述すればよい。図7では、特定領域に該当することを“1”で表し、特定領域の範囲外の領域であることを“0”で表している。このようにして定めた領域規定情報により、例えば、ゲートラインの31〜230行目の範囲と、ソースラインの41〜240列目の範囲に該当する領域が特定領域であることがわかる。
【0040】
ただし、図7は領域規定情報の表現態様の一例を模式的に示したものであり、領域規定情報の表現態様は特に限定されない。例えば、画素毎に、特定領域かそれ以外の領域かを定める表現態様であってもよい。
【0041】
また、レジスタ7に記憶された領域規定情報は変更可能である。例えば、レジスタ7は、SPI(Serial Peripheral Interface )等によって記憶内容を変更可能な構成であってもよい。領域規定情報を変更することで、特定領域を所望の位置に設定したり、特定領域の位置を変更したりすることができる。
【0042】
制御部2は、ゲートドライバ3およびソースドライバ4を制御する。
【0043】
制御部2は、ゲートドライバ3に対して、フレームの開始時にフレーム開始を通知する信号を入力し、その後、選択するゲートラインの切り替えを指示する信号(以下、切替信号と記す。)を入力していく。また、制御部2は、ゲートドライバ3に対して、選択するゲートラインをオン電位に設定するのかオフ電位に設定するのかを指示する電位指示信号も入力する。ゲートドライバ3は、フレーム開始を通知する信号が入力された後、最初に切替信号が入力されると、1行目のゲートラインを選択し、そのゲートラインに対して電位指示信号で指示された電位(オン電位またはオフ電位)を設定する。以降、切替信号が入力される毎に、2行目以降のゲートラインを順次、選択し、選択したゲートラインに対して電位指示信号で指示された電位(オン電位またはオフ電位)を設定していく。
【0044】
ここで、電位指示信号は、例えば、ハイレベルまたはローレベルに切り替えられる制御信号である。本例では、電位指示信号がハイレベルである場合、選択したゲートラインをオン電位に設定する指示を意味し、電位指示信号がローレベルである場合、選択したゲートラインをオフ電位に設定する指示を意味するものとする。
【0045】
制御部2は、領域規定情報を参照し、ゲートドライバ3が選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、特定領域に該当する画素がない場合、電位指示信号をローレベルにする。すなわち、ゲートドライバ3に、選択するゲートラインの電位をオフ電位に設定させる。また、制御部2は、領域規定情報を参照し、ゲートドライバ3が選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、特定領域に該当する画素がある場合には、電位指示信号をハイレベルにする。すなわち、ゲートドライバ3に、選択するゲートラインの電位をオン電位に設定させる。
【0046】
例えば、ゲートドライバ3に1行目のゲートラインを選択させる場合、1行目の画素には、特定領域に該当する画素が存在しない(図7参照)。よって、このとき、制御部2は、電位指示信号をローレベルにする。
【0047】
また、例えば、ゲートドライバ3に31行目のゲートラインを選択させる場合、31行目の画素には、特定領域に該当する画素が存在する。具体的には、図7に示す領域規定情報から、左から41〜240番目の画素が特定領域に該当することが分かる。よって、このとき、制御部2は、電位指示信号をハイレベルにする。制御部2は、領域規定情報に基づいて、選択する行に応じて電位指示信号のレベルを切り替える。
【0048】
また、制御部2は、ソースドライバ4に対して、フレームの開始時にフレーム開始を通知する信号を入力し、その後、ラッチパルスを入力していく。図8は、ラッチパルスの波形の例を示す説明図である。ソースドライバ4には、一本のゲートラインが選択されている期間中に、次に選択されるゲートラインに対応する行の各画素の画像データが入力され、ソースドライバ4は、その1行分の画像データを保持する。そして、制御部2は、ゲートドライバ3に切替信号を入力した後に、ラッチパルスをハイレベルにし、さらにローレベルに戻す。ソースドライバ4は、このラッチパルスの立ち下がりエッジを検出すると、制御部2の指示に従って、各ソースラインの状態を決定する。
【0049】
制御部2は、ゲートドライバ3が選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、特定領域に該当する画素がない場合、ソースドライバ4に対して、各ソースラインが接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態に設定させる。また、制御部2は、ゲートドライバ3が選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、特定領域に該当する画素がある場合、ソースドライバ4に対して、その行の各画素のうち、特定領域に該当する画素に対応する該当ソースラインの電位を、画像データで指定されたその画素の画素値に応じた電位に設定することを指示する。また、制御部2は、ソースドライバ4に、その該当ソースライン以外の各ソースラインが接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態に設定させる。
【0050】
例えば、ゲートドライバ3に1行目のゲートラインを選択させる場合、1行目の画素には、特定領域に該当する画素が存在しない(図7参照)。よって、このとき、制御部2は、ソースドライバ4に、各ソースラインが接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態にさせる。
【0051】
また、例えば、ゲートドライバ3に31行目のゲートラインを選択させる場合、31行目の画素には、特定領域に該当する画素が存在する。具体的には、図7に示す領域規定情報から、左から41〜240番目の画素が特定領域に該当することが分かる。よって、このとき、制御部2は、ソースドライバに対して、41列目から240列目までの各ソースラインの電位を、それぞれ、31行目における41番目から240番目の各画素の画素値に応じた電位に設定させる。また、制御部2は、ソースドライバ4に対して、他の各ソースライン(左から1番目から40番目までのソースライン、および左から241番目から480番目までのソースライン)が接続されている接続端をハイインピーダンス状態に設定させる。
【0052】
次に、タイミングチャートを参照して、本発明の動作について説明する。なお、レジスタ7には、図7に示す領域規定情報が記憶されているものとする。
【0053】
駆動装置の電源がオフとなっているとき、液晶表示装置の液晶には電圧が印加されておらず、表示領域11全体が黒色となっている。図9および図10は、この状態から電源がオンにされ、駆動を開始したときの最初のフレームにおけるタイミングチャートの例である。図9は、第1行から第3行までの選択の状況を示す。図10は、第31行から第33行までの選択の状況を示す。
【0054】
なお、電源がオンにされると、コモン電極電位設定回路(図示略)は、コモン電極の電位をVCOMに設定する。
【0055】
第1行から第30行までの画素には、特定領域に該当する画素は存在しない(図7参照)。そのため、制御部2は、ゲートドライバ3に対して切替信号を用いて第1行から第30行までの選択を指示する間、電位指示信号をローレベルにする(図9参照)。
【0056】
ゲートドライバ3は、フレーム開始後、最初に切替信号が入力されると、第1行のゲートラインを選択する。このとき、制御部2からゲートドライバ3に入力される電位指示信号はローレベルであるので、ゲートドライバ3は、第1行のゲートラインの電位をオフ電位とする。また、ゲートドライバ3は、選択していない行の電位を全てオフ電位とする。この結果、全行のゲートラインの電位がオフ電位になる。従って、全ての行において、各画素のTFTでは、ソースとドレインは非導通状態となり、画素電極とソースラインも非導通状態となる。
【0057】
また、第1行から第30行までの画素には特定領域に該当する画素は存在しないため(図7参照)、制御部2は、ソースドライバ4に対して、各ソースラインが接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態にさせる。
【0058】
この結果、各ソースラインおよび各画素電極の電位は、それぞれ、フローティング状態となる。電源がオフのときにこれらの画素電極とコモン電極間の電位差は0Vであったので、その電位差が維持され、この時点では、全画素は黒色のままとなる。従って、特定領域に該当する画素が存在しない第1行では、その行の画像データとは独立に、画素電極とコモン電極間の電位差が0Vのまま維持される。
【0059】
1本のゲートラインの選択期間をTとすると、制御部2は、T周期で切替信号(いわゆるゲートクロック、図示略)をゲートドライバ3に入力して、ゲートドライバ3に選択する行を切り替えさせる。
【0060】
ゲートドライバ3が、制御部2の制御により、第2行のゲートライン、第3行のゲートライン、・・・を順次選択する際の動作も同様である。
【0061】
そして、制御部2がゲートドライバ3に第31行のゲートラインを選択させるとき、第31行の画素には特定領域に該当する画素が存在するので(図7参照)、制御部2は電位指示信号をハイレベルに切り替える(図10参照)。そして、制御部2が、第31行の選択を指示する切替信号をゲートドライバ3に入力すると、ゲートドライバ3は、第31行のゲートラインを選択する。このとき、制御部2からゲートドライバ3に入力される電位指示信号はハイレベルであるので、ゲートドライバ3は、第31行のゲートラインの電位をオン電位とする。また、ゲートドライバ3は、選択していない行の電位を全てオフ電位とする。
【0062】
従って、第31行のTFTでは、ソースとドレイン間が導通状態になり、他の行のTFTでは、ソースとドレイン間が非導通状態のまま維持される。
【0063】
また、第31行では、左から41番目から240番目までの各画素が特定領域に該当する(図7参照)。従って、制御部2は、ソースドライバ4に対して、左から41列目から240列目までの各ソースラインの電位を、第31行における左から41番目から240番目までの各画素の画素値に応じた電位に設定するように指示し、ソースドライバ4は、その指示に従って、左から41列目から240列目までの各ソースラインの電位をそれぞれ画素値に応じた電位に設定する。なお、ここではソースライン反転駆動を提示している。
【0064】
また、このとき、制御部2は、ソースドライバ4に対して、他のソースライン(1番左から40列目までのソースライン、および241列目から480列目までのソースライン)が接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態にさせる。
【0065】
この結果、左から41列目から240列目までの各ソースラインの電位は、画素値に応じた電位に設定され、第31行における左から41番目から240番目までの各画素電極も、画素値に応じた電位に設定される。従って、第31行における左から41番目から240番目までの各画素では、画素電極とコモン電極間の電位差が、それぞれ、画像データが示す画素値に応じた電位になり、画像データが指定する表示状態になる。
【0066】
また、第31行における他の画素では、画素電極とソースラインとが導通状態になるが、ソースラインが接続されている接続端はハイインピーダンス状態であるので、画素電極の電位はフローティング状態となる。よって、それらの画素電極とコモン電極の電位差は、それまでの状態と変わらず0Vである。よって、それらの画素(41番目から240番目までの画素以外の画素)は、画像データとは独立に黒色のままとなる。
【0067】
ゲートドライバ3が、制御部2の制御により、第32行のゲートライン、第33行のゲートライン、・・・を順次選択する際の動作も同様である。
【0068】
なお、選択行が第31行から第32行に切り替わると、第31行のゲートラインはオフ電位になり、第31行の各画素電極とソースラインとは非導通状態になる。この結果、第31行の画素は、次に、第31行のゲートラインが選択されるまで、第31行の選択時に定められた表示状態を維持する。この点は、他の各行に関しても同様である。
【0069】
また、ゲートドライバ3が第106行から第165行をそれぞれ選択する場合には、画像データに応じた電位に設定するソースラインの数が増えるが、その他の点に関しては第31行選択時の動作と同様である。
【0070】
ゲートドライバ3が第166行から第230行を順次選択するときの動作も、第31行選択時の動作と同様である。
【0071】
また、第231行から最終行(第272行)を順次選択するときの動作は、第1行選択時の動作と同様である。
【0072】
この結果、例えば、表示領域11内の表示状態は、図3に例示する表示状態となる。
【0073】
次フレーム以降の動作も同様である。ただし、前フレームにおいて、特定領域に該当する画素の画素電極には、一旦電位が設定されている。従って、フレーム開始時に、それらの画素電極は、前フレームの画像データに応じた電位になっている。
【0074】
本発明によれば、各フレームにおいて、特定領域に該当する画素が存在しない行のゲートラインを選択するときに、そのゲートラインの電位をオフ電位に設定する。また、選択された行のうち、特定領域に該当する画素以外の画素が存在する列のソースラインの接続端をハイインピーダンス状態にする。従って、消費電力を抑えつつ、特定領域に画像を表示することができる。
【0075】
特に、「特定領域に該当する画素が存在しない行のゲートラインを選択するときに、そのゲートラインの電位をオフ電位に設定する」という動作を各フレームでそれぞれ行うので、特許文献1に記載された方法よりも、消費電力低減の効果を高めることができる。
【0076】
また、本発明によれば、第1行から最終行までを選択するので、特定領域の設定を変えても、制御部2やゲートドライバ3の動作を変える必要がなく、高い汎用性を実現することができる。
【0077】
また、レジスタ7として、記憶した情報を変更可能なレジスタを用いることで、領域規定情報を変更することができ、その結果、特定領域を所望の位置に設定したり、特定領域の位置を変更したりすることができる。
【0078】
次に、上記の実施形態の変形例について説明する。上記の例では、選択行の画素の中に、特定領域に該当する画素がある場合、制御部2は、ソースドライバ4に対して、その行の各画素のうち、特定領域に該当する画素に対応するソースラインの電位を、画像データで指定されたその画素の画素値に応じた電位に設定することを指示する。そして、制御部2は、ソースドライバ4に、そのソースライン以外の各ソースラインが接続されている各接続端5をハイインピーダンス状態に設定させる。
【0079】
このとき、制御部2は、ソースドライバ4に対して、画像データで指定された画素値に応じた電位を設定するソースライン以外のソースラインに対して、特定領域に入る1本目と特定領域から出る1本目に対してだけVCOMを設定するように指示してもよい。例えば、上述の例において、ゲートドライバ3が第31行を選択するときに(図10参照)、制御部2は、ソースドライバ4に、左から41列目から240列目までの各ソースラインの電位を、第31行における左から41番目から240番目までの各画素の画素値に応じた電位に設定するように指示する。この点は、上記の実施形態と同様である。このとき、制御部2は、ソースドライバ4に、他のソースライン(1番左から40列目までのソースライン、および241列目から480列目までのソースライン)の電位をVCOMに設定するように指示し、ソースドライバ4は、その指示に従って、1番左から40列目までのソースライン、および241列目から480列目までのソースラインの電位をVCOMに設定してもよい。この場合、第31行において、1番左から40番目までの画素、および241番目から480番目までの画素では、画素電極がVCOMになり、コモン電極との電位差は0Vになる。よって、特定領域外のそれらの画素は黒色表示となり、上記の実施形態と同様の表示を実現できる。そして、第32行目においては、1番左から40列目までのソースライン、および241列目から480列目までのソースラインはハイインピーダンス状態となるようにする。また、特定領域から外れる最初の1本目、例えばゲートラインの第231行における左から41番目から240番目までの画素に対する各ソースラインの電位をVCOMに設定する。そして、第232行の各ソースラインをハイインピーダンス状態とする。このようにすることで第232行における各ソースラインの電位をより安定させることができる。
【0080】
ただし、本変形例では、特定領域外のソースラインの電位をVCOMに設定するための電力を消費することになる。しかし、特定領域に入る1行目の選択時と特定領域から出た1行目の選択時にだけ、ソースラインの電位をVCOMにとするため、電力の消費は、特定領域の全ての行の選択時にソースラインの電位をVCOMにする場合に比べて大幅に改善される。なお、消費電力を抑えるという効果を高める観点からは、特定領域外のソースラインが接続される接続端をハイインピーダンス状態にすることが好ましい。
【0081】
また、上記の実施形態では、駆動装置1が1チップのICで実現される場合を例示したが、制御部2、ゲートドライバ3、ソースドライバ4がそれぞれ独立した回路として実現されていてもよい。さらに、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、表示領域内の特定領域に画像を表示する液晶表示装置の駆動装置に好適に適用される。例えば、車両のインスツルメントパネル用の液晶表示装置や産業用の液晶表示装置等を駆動する駆動装置に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 駆動装置
2 制御部
3 ゲートドライバ
4 ソースドライバ
7 レジスタ
10 液晶表示装置
11 表示領域
12,12 特定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置される複数の画素を有し、画素の列に沿って配置されるソースラインと、画素の行に沿って配置されるゲートラインとを備える液晶表示装置を駆動する液晶表示装置の駆動装置であって、
前記液晶表示装置の表示領域内で画像を表示する所定領域を規定する領域規定情報を記憶する領域規定情報記憶手段と、
所定のオン電位に設定するか所定のオフ電位に設定するかを定める対象となるゲートラインを順次選択するゲートドライバと、
ソースラインに接続される接続端を有し、ゲートラインが選択される毎に、各ソースラインの状態を制御するソースドライバと、
ゲートドライバおよびソースドライバを制御する制御手段とを備え、
制御手段は、各フレーム内で、
ゲートドライバが選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、所定領域に該当する画素がない場合、ゲートドライバに、選択するゲートラインの電位を所定のオフ電位に設定させ、ソースドライバに、各ソースラインが接続される接続端をハイインピーダンス状態に設定させ、
ゲートドライバが選択するゲートラインに対応する行の画素の中に、所定領域に該当する画素がある場合、ゲートドライバに、選択するゲートラインの電位を所定のオン電位に設定させ、ソースドライバに、前記行の各画素のうち、前記所定領域に該当する画素に対応する該当ソースラインの電位を、画像データに指定された画素値に応じた電位に設定させ、前記該当ソースライン以外の各ソースラインが接続される接続端をハイインピーダンス状態に設定させる
ことを特徴とする液晶表示装置の駆動装置。
【請求項2】
ゲートドライバは、選択するゲートライン以外のゲートラインの電位を所定のオフ電位に設定する
請求項1に記載の液晶表示装置の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−173499(P2012−173499A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35105(P2011−35105)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000103747)京セラディスプレイ株式会社 (843)
【Fターム(参考)】