液晶表示装置及びそれに用いられるバックライト装置、及びバックライトの光強度制御方法
【課題】 本発明は、LEDを光源として用いる液晶表示装置用のバックライトにおいて、突入電流を抑制しつつコスト、消費電力を低減するのに好適な技術を提供するものである。
【解決手段】
本発明は、光源としての発光ダイオード(LED)と、該LEDに駆動電流としてのPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライトにおいて、前記LEDドライバは、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とする。上記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、LEDの調光率に応じて制御可能であり、例えば、調光率が所定値以上のときは突入電流が生じ易くなるため立ち上がりを緩やかにし、調光率が所定値よりも小さいときは立ち上がりを急峻にする。
【解決手段】
本発明は、光源としての発光ダイオード(LED)と、該LEDに駆動電流としてのPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライトにおいて、前記LEDドライバは、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とする。上記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、LEDの調光率に応じて制御可能であり、例えば、調光率が所定値以上のときは突入電流が生じ易くなるため立ち上がりを緩やかにし、調光率が所定値よりも小さいときは立ち上がりを急峻にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に使用されるバックライトの光源を点灯或いは光源の光強度を制御する際の突入電流を抑制するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトの光源として、近年では、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)やEEFL(External Electrode Fluorescent Lamp)等の蛍光管に代えて、発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下「LED」と呼ぶ)が用いられつつある。
【0003】
LEDを例えば消灯状態から点灯状態にするときに、瞬間的にLEDに向けて大きな電流が流れる場合がある。この電流は突入電流と呼ばれ、瞬時的に動作した場合には、不要なノイズの発生やLED等の部品の最大定格を越え、最悪は素子の破損の要因となる場合もある。
【0004】
かかる突入電流を防止するための従来技術として、例えば特許文献1には、積分回路によってLEDへの通電電流を定電流までに徐々に増加させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDは、蛍光管に比べて応答性が高いので、バックライトの光強度(輝度)を例えば映像信号に応じて局所的(部分的)に動的に制御する、いわゆるエリア制御(ローカルディミングとも呼ばれる)に有利である。
【0007】
ところが、上記特許文献1のように積分回路等によってLEDの駆動電流を徐々に立ち上がるようにすると、LEDの応答性の高さが活かされず、エリア制御における映像に応じた光強度制御の追従性が低下してしまう。
【0008】
また、突入電流を抑制するために、上記特許文献1のようにLEDへの電流経路に積分回路等の回路(以下抑制回路と称する)を追加する場合は、当該抑制回路が突入電流のような大きな電流でも正常に動作する必要がある。すなわち、抑制回路がより大きな電流下での動作を確保するために、回路部品の定格、部品形状及び/または抑制回路の基板形状を大きくする必要が生じ、コストの増加や回路設置面積の増大に繋がる。また抑制回路は、バックライトが光を照射する通常動作時においては常に通電されており、定格が大きい回路部品(すなわち大きな電流容量を有する部品)を用いると、抑制回路における消費電力が大きくなる課題もある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて為されたものであって、その目的は、LEDを光源として用いる液晶表示装置用のバックライトにおいて、突入電流を抑制しつつコスト、消費電力を低減するのに好適な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光源としての発光ダイオード(LED)と、該LEDに駆動電流としてのPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライトにおいて、前記LEDドライバは、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
上記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、第1時点でのLEDの輝度とそれに連続する第1時点でのLEDの輝度との比率である調光率に応じて制御可能である。例えば、調光率が所定値以上のときは突入電流が生じ易くなるため立ち上がりを緩やかにし、調光率が所定値よりも小さいときは立ち上がりを急峻にするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、PWM信号を出力するLEDドライバにおいて、予めパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きを制御するようにしているので、突入電流を抑制しつつコスト、消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用されるバックライト装置の一例を示す図
【図2】本発明が適用される液晶表示装置の回路ブロックの一例を示す図
【図3】エリア制御回路23とLEDドライバICとの関係を示す図
【図4】本発明の第1実施例に係るLEDドライバICの回路構成を示す図
【図5】第1実施例による波形を示す図
【図6】第1実施例に用いられるシリアル通信データとの一例を示す図。
【図7】第1実施例における波形制御情報の一例を示す図。
【図8】第1実施例による傾きの切換の様子を示す図
【図9】本発明の第2実施例に係るLEDドライバICの回路構成を示す図
【図10】本発明の第2実施例の変形例を示す図
【図11】本発明の第3実施例を示す図
【図12】本発明の第3実施例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、全図において、共通な構成或いは機能、作用を有する要素には同一符号を付して示し、一度説明したものについては、説明の煩雑さを避けるため重複した説明を省略するものとする。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施形態が適用される液晶表示装置のバックライト装置の一構成例を示している。図1において、光源である発光ダイオード(LED)1は、複数個直列に接続されており、この複数のLED1に半導体回路で構成されたLEDドライバIC2が接続される。ここで、LED1は、白色光を放出するLEDであるものとする。LEDドライバIC2は、直列接続された複数のLED1に対して、LED1の駆動信号であるPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給する。すなわち、本実施例では複数のLED1を1つのLEDドライバIC2で駆動するように構成している。
【0016】
LED1は、LEDドライバIC2からのPWM信号のデューティ比に略比例した強度の光を放出する。LED1から放出された光は、透明な樹脂或いはガラスで構成された平板状の導光板3の側面から導光板3内部に入射される。導光板3に入射された光は導光板3内部で反射を繰り返しながら出射面(液晶表示器6側の面)から出射される。また導光板3の底面側には反射板4が配置されており、導光板3の底面を透過して外部に出射した光は、例えば白色の樹脂により構成された反射板4に反射されて再び導光板3に戻り、導光板3の出射面から出射される。
【0017】
導光板3の出射面から出射された光は、例えば透明な樹脂により構成された拡散板5により空間的な輝度が均一化されて液晶表示器6に供給される。液晶表示器6は、入力される映像信号に基づき画素単位で拡散板5からの光を空間的に変調し入力映像信号に対応した光学的な映像を形成する。
【0018】
この例では、拡散板5で空間的な輝度を均一化しているが、導光板3の出射面、底面及び/または反射板4の反射面(導光板3の底面と対向する面)に拡散加工または所定の光学パターンを形成して更なる空間的な輝度均一化をしてもよい。
【0019】
またこの例では1つの導光板3を図示しているが、この導光板3を液晶表示器6側から見て縦方向及び横方向に複数の領域に分割し、各分割領域(エリア)毎に個別に制御可能なLEDを設けることにより、エリア毎に光の強度を制御する、いわゆるエリア制御を行うようにしてもよい。このエリア制御は、例えば、各エリアに対応する液晶表示器6の領域(表示領域)における映像信号の平均輝度及び/または最大輝度情報を検出し、この検出した輝度情報に応じて当該エリアに対応するLEDの光強度を制御することにより行われる。
【0020】
続いて、実施形態が適用される液晶表示装置の回路構成の一例、及びエリア制御の一具体例について図2を参照して説明する。
【0021】
図2において、例えばテレビジョン放送信号のような入力映像信号は、輝度検出回路21において、上記導光板3のエリアに対応する表示領域毎に、入力映像信号の平均輝度レベル(APL)、最大輝度レベル、及び/または、複数の階調範囲毎に当該階調範囲に属する画素の個数(すなわち輝度分布)を示す輝度ヒストグラム等を検出する。ここでは、例として輝度ヒストグラムから最大輝度を検出するものとする。この最大輝度の検出は、例えば、所定個数の画素数を有する階調範囲のうち、最も高い階調範囲を当該表示領域の最大輝度とすることで行われる。
【0022】
輝度検出回路21で検出された各エリアの最大輝度は輝度制御回路22に入力され、ここで、ある表示領域において検出した最大輝度から当該表示領域に対応するエリアの調光値(当該エリアに対応するLED1の光強度を決めるデータ)と、当該表示領域に供給される映像信号に対する補正データを算出する。例えば、液晶表示器6が8ビットで最大255階調表現可能であるとすると、表示領域毎に、その表現可能な最大階調と検出した最大輝度との比率により調光値が算出される。例えばある表示領域の最大輝度が127であったとすると、その値は表現可能な最大階調(255)の1/2なので、当該表示領域に対応するエリアのLEDの光源の光強度を、そのLEDが出力できる最大の光強度の1/2とする。また表示領域の最大輝度が64の場合は光源の光強度を1/4とする。例えばLEDを最大輝度で光らせる場合に「255」のデータをLEDに出力する場合は、前者の例では、「127」を出力し、後者の例では「63」を出力する。このようにして調光値が求められる。また、上記調光値を以下では減光率と呼ぶこともある。
【0023】
光強度を減少させたままでは、映像信号が本来持っている映像の明るさを表現できないので、それを補償するように、映像信号に補正データとしての増幅度を乗算する。この増幅度は減光率の逆数を求めることで算出される。例えば減光率が1/2の場合は、増幅度は2(倍)、減光率が1/4の場合は、増幅度は4(倍)となる。
【0024】
輝度制御回路22で算出された調光値はエリア制御回路23に出力され、補正データは映像信号処理回路25へ出力される。
【0025】
エリア制御回路23では、輝度制御回路22からの調光値に基づいて、各エリアに対応するLED1の光強度を制御するための制御信号をエリア毎に生成する。エリア制御回路23は、図示しないフィルタ回路を有しており、エリア間の光学的影響を考慮するために、あるエリアとその周囲のエリアの調光値を参照して各エリアの制御信号を求める。例えば、あるエリアの光強度を100%で光らせる場合、その周囲エリアに対応する表示領域の映像が黒(調光値0)であっても、当該周囲エリアを例えば20%光らせる。またエリア制御は映像のフレーム毎に行われるが、フレーム毎の明るさの変化が急激にならないように、フィルタ回路は、現在表示しようとする映像フレームの前のフレームにおいて求められた当該エリアの調光値を参照し(例えば現フレームの調光値と前フレームの調光値との加重平均を求めて)当該エリアの制御信号を求める。
【0026】
このようにして求められた制御信号は光源回路24へ出力される。光源回路24は、例えば1つのエリア或いは複数のエリアに対応して設けられており、上述したLEDドライバIC2と直列接続された複数のLED1を含んでいる。LEDドライバIC2は、エリア制御回路23からの制御信号に応じたデューティを持つPWM信号を生成し、1つのエリアに対応して設けられたLED1を駆動する。これによって、エリアの光強度が映像信号に応じて個別に制御される。
【0027】
一方、映像信号処理回路25は、各エリアに対応する表示領域の映像信号を増幅するコントラスト制御回路251と、このコントラスト制御回路251で増幅された信号に対しガンマ補正を行うガンマ補正回路252を含んでいる。コントラスト制御回路251は、輝度制御回路22からの補正データに従って各エリアに対応する表示領域の映像信号を増幅し、当該エリアに対応するLEDの調光値(減光率)によって低下された光を補償する。ガンマ補正回路252は、この増幅された映像信号に対し、例えば液晶表示器6の入力電圧−透過率特性に基づくガンマ補正を行い、LCDパネルコントローラ26へ出力する。
【0028】
LCDパネルコントローラ26は、液晶表示器6の走査電極を選択するためのLCDドライバ(行)27、及び液晶表示器6に映像信号に対応するデータ信号を供給するためのLCDドライバ(列)28をそれぞれ制御して液晶表示器6を駆動し、液晶表示器6の各画素に対応する液晶素子の透過率を制御する。
【0029】
この結果、バックライト装置からの光は液晶表示器6によって画素毎に空間的に変調され、映像信号に応じた映像が形成される。
【0030】
上記の例における、エリア制御回路23とLEDドライバIC2との通信形態の一例について図3を参照して説明する。
【0031】
本実施例においては図3に示されるように、LEDドライバIC2は、IC−1、IC−2…IC−nのn個有しており、それぞれがエリア制御回路23とシリアル通信バス29を介して接続されている。これらLEDドライバIC−1〜nは、それぞれ固有のアドレス(アドレスa、アドレスb…アドレスn)が付されているものとする。
【0032】
エリア制御回路23はシリアルインターフェイス(I/F)231を含んでおり、該シリアルI/F231からシリアル通信バス29を介して、上記制御信号としてのシリアル通信データ(SD)、クロック信号(CLK)及び同期信号(Syc)が各LEDドライバIC−1〜nへ出力される。各LEDドライバIC−1〜nは、それぞれ、制御信号としてのシリアル通信データSDをパラレル信号に変換するシリアル−パラレル変換回路(S/P)210を有しており、かつ複数のLEDが直列接続されたLED直列回路101が接続されている。S/P210は、シリアル通信データSDをクロック信号CLK及びパケット通信用の垂直同期の同期信号SYCにより定まるタイミングで分離し、該分離された各データに基づきLED駆動用のPWM信号を生成して出力し、LED直列回路101を駆動、制御する。
【0033】
ここでは、1つのLEDドライバICに対し例えば最大8チャンネルのLED直列回路110が接続可能であるものとする。ここで、例えば、1つのチャンネルのLED直列回路110のLEDの個数を5個、つまりLEDドライバICの1個で40個のLEDを駆動し、LEDドライバICの数(nの数)を8個とした場合は、図3のシステム全体では、40個x8個=320個のLEDを駆動することになる。
【0034】
また導光板は各エリア毎に個別に設ける必要はなく、1つの導光板の側面に例えば8つのLED直列回路110を一列に配列し、これらLED直列回路110により光を供給するようにしてもよい。このようにすれば、1つの導光板を光学的に8つのエリアに分割し、それぞれのエリアの輝度を個別に制御することが可能となる。
【0035】
上記図3に示された構成における、本実施例の特徴的構成、すなわちPWM信号におけるパルス波形の立ち上がり及び立ち下がり部分の傾斜を制御する構成について図4〜9を参照して説明する。
【0036】
図4は、本実施例に係るLEDドライバIC2の一構成例を示している。図4において、LEDドライバIC2の負荷接続端子8と電源端子10との間には、Pチャンネル型MOSFET(以降「PMOS」と称する)31が接続され、またLEDドライバIC2のPWM信号の出力端子13とGND端子11との間には、Nチャンネル型MOSFET(以降「NMOS」と称する)32が接続されている。負荷接続端子8と出力端子13との間には、LED直列回路101が接続されている。上記PMOS31及びNMOS32のゲート端子は、出力タイミングを制御するためのタイミングコントローラ12が接続されている。
【0037】
タイミングコントローラ12は、出力するPWM信号に係る時定数、すなわちPWM信号におけるパルスの立ち上がりの傾き(立上げ時間tR)を切り換えるための第1時定数切換ブロック121と、立ち下がりの傾き(立下げ時間tF)を切り換えるための第2時定数切換ブロック122とを含んでいる。第1時定数切換ブロック121は、PWM信号のパルスの立上げ時間の切換えを行うためのスイッチSW1と、互いに抵抗値が異なる2つの抵抗Ra1及びRa2を有し、また第2時定数切換ブロック122は、立ち下げ時間の切換えを行うスイッチSW2と、2つの抵抗Ra2及びRb2を有している。ここで、Ra1>Rb1、Ra2>Rb2であるものとする。また、第1時定数切換ブロック121の抵抗Ra1とRb1との接続部、及び第2時定数切換ブロック122の抵抗Ra2とRb2との接続部には、S/P231の出力端子が接続されている。
【0038】
上述のようにLEDドライバIC2には最大8個のLED直列回路101が接続可能であるため、実際にはPMOS31、NMOS32、及びタイミングコントローラ12をそれぞれ8個ずつ設ける必要があるが、ここでは図示及び説明の簡略化のためにPMOS31、NMOS32、及びタイミングコントローラ12は1つのみ示している。また各時定数ブロックの抵抗は、ここでは2つのみとしたが、これより多くてもよいことは言うまでもない。
【0039】
上記図4の構成における立上げ時間tR及び立下げ時間tFの制御について、図5も併用して説明する。図5の(a)はLEDドライバIC2の内部で生成されるPWM信号の波形(概念)を示しており、図5(a)に示された波形のパルスAの前の期間は、装置の立ち上がり或いはあるエリアが消灯している期間であるものとする。この期間は輝度0であり、これからパルスAで当該エリアの輝度を100%にする場合、LED直列回路101に流れる電流は急激に変化するため、パルスAの立ち上がり/立ち下がりのタイミングに同期した大電流、すなわち突入電流が流れる。この突入電流が生じるとノイズやLED等の要素の破損が生じる可能性がある。
【0040】
そこで本実施例では、このように電流が大きく変化するタイミング、すなわち低輝度から高輝度に急激に変化させるためのパルスを出力する場合は、当該パルス(ここではパルスA)の立上げ時間(すなわちパルスのLレベルからHレベルに到達するまでの時間)、及び立下げ時間(パルスのHレベルからLレベルに到達するまでの時間)を長くする。そのために、パルスAを発生する場合は、第1時定数切換ブロック121のSW1は、抵抗値が大きい抵抗Ra1を選択し、PMOS31によってパルスAの立ち上がりを制御する。これと同時に第2時定数切換ブロック122のSW2は、抵抗値が大きい抵抗Ra2を選択し、NMOS32によってパルスAの立ち下りを制御する。これによってLED直列回路101を含む系の時定数が大きくなり、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFが長くなる。立上げ時間及び立下げ時間を長くした波形は図5(b)に示される。図5(b)はLEDドライバIC2の出力端子13(図4参照)からLED直列回路101に出力されるPWM信号の波形を示しており、これに示されるように、パルスAの立上げ時間tR及び立下げ時間tFは長くされており、これによってパルスAの立ち上がりの傾きと立ち下がりの傾きが緩やかに(すなわち鈍化)される。その結果、図5(c)に示されるように、緩やかに変化する波形をもつ電流がLED直列回路101に流れることとなる。このようにすることによって、上述の突入電流の発生が防止される。
【0041】
また図5(a)のパルスBも低輝度から高輝度に制御する際のパルスを示しており、この場合も図5(b)のように立上げ時間tR及び立下げ時間tFを長くし、立ち上がり及び立ち下がりの傾きを緩やかにする。パルスBを発生する場合の動作はパルスAを発生する動作と同じである。
【0042】
一方、図5(a)のパルスCのように、例えば0%輝度から10%輝度へ変化させる場合のように大きく輝度を変化させない場合は、上述した突入電流は発生しづらいため、制御の応答性を高めたほうが好ましい。この場合、すなわちパルスCを発生する場合、第1時定数切換ブロック121のSW1は抵抗値が小さい抵抗Rb1を選択し、PMOS31によってパルスAの立ち上がりを制御する。これと同時に第2時定数切換ブロック122のSW2は抵抗値が小さい抵抗Rb2を選択し、NMOS32によってパルスCの立ち下りを制御する。これによってLED直列回路101を含む系の時定数が小さくなり、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFが図5(b)に示されるようにパルスA及びBのときに比べ短くなる。その結果、パルスの立ち上がり及び立ち下がりの傾きが急峻になり、図5(c)に示されるように急に変化する波形をもつ電流がLED直列回路101に流れることとなる、しかしながら、図示されるようにその電流レベルは低く、突入電流は発生しない。
【0043】
本実施例において、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFの切換、すなわち抵抗Ra1とRb1、Ra2とRb2の切換は、本実施例では調光率に応じて制御される。ここで調光率とは、あるエリアの前フレームでの輝度(調光値)とそれに連続する現フレームでの輝度(調光値)との差分であり、最大値が100、最小値は0であるものとする。この調光率が所定値よりも大きい場合、例えば50よりも大きい場合は立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFを長くするために抵抗Ra1及びRa2を選択し、一方50以下の場合は立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFを短くするためにRb1とRb2を選択する。
【0044】
上記抵抗の切換制御は、図3にて説明したエリア制御回路23からの制御信号であるシリアル通信データSDに基づいて行われる。このシリアル通信データに基づく制御について図6〜図8を参照しつつ、図3、4を併用しながら説明する。
【0045】
図6(a)はシリアル通信データのパケット構成を示す図であり、図示されるように、シリアル通信データは、制御対象となるLEDドライバIC及びそれに接続されるLED直列回路の一つを指定するためのアドレス情報(ビット0〜4)、PWM信号のパルスの立上げ時間tR及び立下げ時間tFを指定するための波形制御情報(ビット5〜7)、PWM信号のパルス列の、立上げ時間tR及び立下げ時間tFを制御するためのパルスの範囲を指定するための波形位置情報(ビット8〜9)、及びPWM信号による調光値のデータを示す調光値情報(ビット10〜N)から構成されている。
【0046】
このようなパケット構成のシリアル通信データSDは、エリア制御回路23のシリアルI/F231からシリアル通信バス29を介して各LEDドライバIC−1〜nのS/P210に入力される。S/P210では、図6(b)に示されるタイミング、すなわち同期信号Sycのパルスの立ち下がりのタイミングで、シリアル通信データSDのアドレス情報に記述されているアドレス(例えば図3のアドレスa、b…n)に対応するLEDドライバICのS/P210に取り込まれる。更にS/P210は、ビット10〜Nに記述された調光値情報をデコードしてその内部のレジスタ(図示せず)に格納する。そして、LEDドライバICに接続されている複数のLED直列回路101のうち、アドレス情報に記述されたアドレスに対応するLED直列回路101を判別し、該判別されたLED直列回路101に対し、上記レジスタに格納された調光値情報に基づくPWM信号をタイミングコントローラ12(図4参照)を介して供給する。
【0047】
またS/P210は、入力されたシリアル通信データSDから、波形制御のコマンドであるビット5〜7に記述された波形制御情報と、ビット8〜9に記述された波形位置情報とを分離・抽出し、これをデコードしてその内部のラッチ回路(図示せず)に保持し、タイミングコントローラ12内の第1時定数切換ブロック121及び第2時定数切換ブロック122(スイッチSW1、SW2)の制御信号として出力する。
【0048】
波形制御情報の一例について図7を参照して説明する。図7は、ビット5〜7のビット値に対応する波形制御の内容を示す表であり、例えばビット5〜7が“0,0,0”はパルスの立上げ時間を制御しないコマンドである。この場合は、タイミングコントローラ12は、第1時定数切換ブロック121のSW1が抵抗Rb1を選択するように制御する。このときのパルスの立ち上がり波形は、図8の波形Wf1のように傾きが急峻となっている。また“0,0,1”はパルスの立上げ時間tRを+100ns長くするコマンドであり、この場合、タイミングコントローラ12は、第1時定数切換ブロック121のSW1が抵抗値の大きい抵抗Ra1を選択するように制御する。このときのパルスの立ち上がり波形は、図8の波形Wf2に示されるように、波形Wf1に比べて傾きが緩やかになっている。
【0049】
また、“1,0,0”はパルスの立下げ時間を制御しないコマンドである。この場合は、タイミングコントローラ12は、第2時定数切換ブロック122のSW2が抵抗Rb2を選択するように制御する。このときのパルスの立ち下がり波形は、図8の波形Wr1のように傾きが急峻となっている。“1,0,1”はパルスの立下げ時間tRを+100ns長くするコマンドであり、この場合、タイミングコントローラ12は、第2時定数切換ブロック122のSW2が抵抗値の大きい抵抗Ra2を選択するように制御する。このときのパルスの立ち下がり波形は、図8の波形Wr2に示されるように、波形Wr1に比べて傾きが緩やかになっている。
【0050】
尚、この例では2つの抵抗を切り替えて時定数を制御しているため、図中ビット5〜7のビット値が“0,1,0”“0,1,1”“1,1,0”“1,1,1”は使用されない。しかしながら、各時定数切換ブロックにおいて、3つ又は4つの抵抗を切り替えて時定数を制御する場合はこれらの値を使用してもよい。
【0051】
上述した例において、ビット5〜7のビット値は、各エリアの上述した調光率に応じてエリア制御回路23において書き換えられる。例えば、調光率が50よりも大きい場合はビット5〜7の値を“0,0,1”または“1,0,1”とし、50以下の場合は“0,0,0”または“1,0,0”とする。
【0052】
波形位置情報(ビット8〜9)は、PWM信号におけるパルス列のうち、上記波形制御情報による立ち上がり/立ち下り波形の制御を開始するパルス、または波形の制御を行うパルスの範囲を指定するものである。このビット値は任意に設定することができるし、また上述した調光率に応じて設定するようにしてもよい。また、この波形位置情報を使用しなくてもよい。
【0053】
上記図7の例では、一つのビット値でPWM信号におけるパルスの立ち上がり及び立ち下りのいずれか一方の傾きを制御するようにしたが、一つのビット値で両方を制御するようにしてもよい。
【0054】
このように、本実施例に係る液晶表示装は、LED直列回路と、このLEDを駆動するLEDドライバICとを有しており、LEDドライバICは、LED直列回路駆動用のPMOS及びNMOSと、PMOS及びNMOSのゲート端子に接続され、LED駆動用のPWM信号を供給するタイミングコントローラを内蔵し、LEDドライバICに入力されるコマンド(調光値情報)によって、タイミングコントローラによりLED駆動用のPWM信号におけるパルスの立ち上がり、立ち下り波形を制御するように構成されている。
【0055】
すなわち、本実施例は、半導体集積回路であるLEDドライバICの内部にPWM信号におけるパルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きを制御するための回路を組み込んでおり、これによって、LEDドライバICの出力信号であるPWM信号におけるパルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きを制御している。また、パルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きがエリア制御回路からのシリアル通信データに含まれるコマンドにより制御可能に構成されている。このコマンドが、調光率に応じて設定可能にされている。
【0056】
このため、エリア制御の応答性のよさを維持しつつ、突入電流防止のための抑制回路などの新たな回路要素を追加することなく、簡単な構成で突入電流を抑制することができる。また、LEDドライバICの周辺部品点数を少なくし、あるいは大きな定格の部品の追加や変更などを行うことが無いため、小型化、信頼性の向上、低コスト化が可能となる効果がある。
【実施例2】
【0057】
本発明の第2実施例について図9〜図10を参照しつつ説明する。図9の構成において、図4に示した第1実施例の構成と異なる点は、第1時定数切換ブロック121の抵抗Ra1及びRb1と列に、グランド端子91を介して第1コンデンサC1を接続し、第2時定数切換ブロック122の抵抗Ra2とRb2と並列に、グランド端子92を介して第2コンデンサC2を接続したことにある。
【0058】
上記のようにコンデンサC1、C2を付加することによって、パルスの立ち上がり及び/または立ち下りの傾きを大きく制御することが可能となる。また、図10の第2実施例の変形例に示すように、第1コンデンサC1と抵抗Ra1及びRb1との間に第1接続切換スイッチSW3を、更に第2コンデンサC2と抵抗Ra2とRb2との間に第2接続切換スイッチSW4を設け、これらを上記タイミングコントローラ12からの波形制御情報に基づく制御信号により切り替えて各時定数切換ブロック内の抵抗と接続すれば、パルスの立ち上がり及び立ち下りを、それぞれ4種類の傾きのいずれかに制御することができる。
【0059】
このように構成すれば、よりきめ細かくパルスの立ち上がり及び立ち下りの傾きを制御することができる。
【実施例3】
【0060】
上記の実施例では傾きは直線状とされてるが、図11のように多段階に制御すしてもよい。この例では、傾きは2段階に制御される。これを実現するための、シリアル通信データに含まれるコマンド(波形制御情報)の一例を図12に示す。このように波形制御情報を設定することにより、調光率に応じた傾きをより適切に制御することが可能となる。また、2段階に限らず、3段階以上に制御するようにしてもよい。
【0061】
上記のように本実施形態によれば、液晶表示装置のバックライトの調光率が決定されたときに、その調光率によってパルスの立ち上げ及び/または立ち下がりの傾き(時定数)を選択して制御できるので、例えば調光率が大きいときは傾きを大きく、低いときは傾きを小さくすることによって、エリア制御における応答性のよさを維持しつつ突入電流発生の防止を行うことができる。また、突入電流に対応したより大きな定格の部品の追加や変更などを行う必要が無く、LEDドライバ等の周辺部品の小型化、信頼性の向上、回路部品のコスト低減などが図れる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、LEDを光源として使用したバックライトを備えた液晶表示装置に利用可能であり、特に、LEDを点灯時などにおける突入電流の抑制に用いて好適である。
【符号の説明】
【0063】
1…LED(発光ダイオード)、2…LEDドライバIC、3…導光板、4…反射板、5…拡散板、6…液晶表示器、8…負荷接続端子、10…電源端子、12…タイミングコントローラ、13…出力端子、21…輝度検出回路、22…輝度制御回路、23…エリア制御回路、231…シリアルI/F回路、24…光源回路、25…映像信号処理回路、251…コントラスト制御回路、252…ガンマ補正回路、26…LCDパネルコントローラ、27…LCDドライバ(行)、28…LCDドライバ(列)、31…PMOSFET、32…NMOSFET、121…第1時定数切換ブロック、122…第1時定数切換ブロック、210…シリアル/パラレル変換回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に使用されるバックライトの光源を点灯或いは光源の光強度を制御する際の突入電流を抑制するのに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトの光源として、近年では、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)やEEFL(External Electrode Fluorescent Lamp)等の蛍光管に代えて、発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下「LED」と呼ぶ)が用いられつつある。
【0003】
LEDを例えば消灯状態から点灯状態にするときに、瞬間的にLEDに向けて大きな電流が流れる場合がある。この電流は突入電流と呼ばれ、瞬時的に動作した場合には、不要なノイズの発生やLED等の部品の最大定格を越え、最悪は素子の破損の要因となる場合もある。
【0004】
かかる突入電流を防止するための従来技術として、例えば特許文献1には、積分回路によってLEDへの通電電流を定電流までに徐々に増加させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LEDは、蛍光管に比べて応答性が高いので、バックライトの光強度(輝度)を例えば映像信号に応じて局所的(部分的)に動的に制御する、いわゆるエリア制御(ローカルディミングとも呼ばれる)に有利である。
【0007】
ところが、上記特許文献1のように積分回路等によってLEDの駆動電流を徐々に立ち上がるようにすると、LEDの応答性の高さが活かされず、エリア制御における映像に応じた光強度制御の追従性が低下してしまう。
【0008】
また、突入電流を抑制するために、上記特許文献1のようにLEDへの電流経路に積分回路等の回路(以下抑制回路と称する)を追加する場合は、当該抑制回路が突入電流のような大きな電流でも正常に動作する必要がある。すなわち、抑制回路がより大きな電流下での動作を確保するために、回路部品の定格、部品形状及び/または抑制回路の基板形状を大きくする必要が生じ、コストの増加や回路設置面積の増大に繋がる。また抑制回路は、バックライトが光を照射する通常動作時においては常に通電されており、定格が大きい回路部品(すなわち大きな電流容量を有する部品)を用いると、抑制回路における消費電力が大きくなる課題もある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて為されたものであって、その目的は、LEDを光源として用いる液晶表示装置用のバックライトにおいて、突入電流を抑制しつつコスト、消費電力を低減するのに好適な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光源としての発光ダイオード(LED)と、該LEDに駆動電流としてのPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライトにおいて、前記LEDドライバは、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
上記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、第1時点でのLEDの輝度とそれに連続する第1時点でのLEDの輝度との比率である調光率に応じて制御可能である。例えば、調光率が所定値以上のときは突入電流が生じ易くなるため立ち上がりを緩やかにし、調光率が所定値よりも小さいときは立ち上がりを急峻にするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、PWM信号を出力するLEDドライバにおいて、予めパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きを制御するようにしているので、突入電流を抑制しつつコスト、消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用されるバックライト装置の一例を示す図
【図2】本発明が適用される液晶表示装置の回路ブロックの一例を示す図
【図3】エリア制御回路23とLEDドライバICとの関係を示す図
【図4】本発明の第1実施例に係るLEDドライバICの回路構成を示す図
【図5】第1実施例による波形を示す図
【図6】第1実施例に用いられるシリアル通信データとの一例を示す図。
【図7】第1実施例における波形制御情報の一例を示す図。
【図8】第1実施例による傾きの切換の様子を示す図
【図9】本発明の第2実施例に係るLEDドライバICの回路構成を示す図
【図10】本発明の第2実施例の変形例を示す図
【図11】本発明の第3実施例を示す図
【図12】本発明の第3実施例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。尚、全図において、共通な構成或いは機能、作用を有する要素には同一符号を付して示し、一度説明したものについては、説明の煩雑さを避けるため重複した説明を省略するものとする。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施形態が適用される液晶表示装置のバックライト装置の一構成例を示している。図1において、光源である発光ダイオード(LED)1は、複数個直列に接続されており、この複数のLED1に半導体回路で構成されたLEDドライバIC2が接続される。ここで、LED1は、白色光を放出するLEDであるものとする。LEDドライバIC2は、直列接続された複数のLED1に対して、LED1の駆動信号であるPWM(Pulse Width Modulation)信号を供給する。すなわち、本実施例では複数のLED1を1つのLEDドライバIC2で駆動するように構成している。
【0016】
LED1は、LEDドライバIC2からのPWM信号のデューティ比に略比例した強度の光を放出する。LED1から放出された光は、透明な樹脂或いはガラスで構成された平板状の導光板3の側面から導光板3内部に入射される。導光板3に入射された光は導光板3内部で反射を繰り返しながら出射面(液晶表示器6側の面)から出射される。また導光板3の底面側には反射板4が配置されており、導光板3の底面を透過して外部に出射した光は、例えば白色の樹脂により構成された反射板4に反射されて再び導光板3に戻り、導光板3の出射面から出射される。
【0017】
導光板3の出射面から出射された光は、例えば透明な樹脂により構成された拡散板5により空間的な輝度が均一化されて液晶表示器6に供給される。液晶表示器6は、入力される映像信号に基づき画素単位で拡散板5からの光を空間的に変調し入力映像信号に対応した光学的な映像を形成する。
【0018】
この例では、拡散板5で空間的な輝度を均一化しているが、導光板3の出射面、底面及び/または反射板4の反射面(導光板3の底面と対向する面)に拡散加工または所定の光学パターンを形成して更なる空間的な輝度均一化をしてもよい。
【0019】
またこの例では1つの導光板3を図示しているが、この導光板3を液晶表示器6側から見て縦方向及び横方向に複数の領域に分割し、各分割領域(エリア)毎に個別に制御可能なLEDを設けることにより、エリア毎に光の強度を制御する、いわゆるエリア制御を行うようにしてもよい。このエリア制御は、例えば、各エリアに対応する液晶表示器6の領域(表示領域)における映像信号の平均輝度及び/または最大輝度情報を検出し、この検出した輝度情報に応じて当該エリアに対応するLEDの光強度を制御することにより行われる。
【0020】
続いて、実施形態が適用される液晶表示装置の回路構成の一例、及びエリア制御の一具体例について図2を参照して説明する。
【0021】
図2において、例えばテレビジョン放送信号のような入力映像信号は、輝度検出回路21において、上記導光板3のエリアに対応する表示領域毎に、入力映像信号の平均輝度レベル(APL)、最大輝度レベル、及び/または、複数の階調範囲毎に当該階調範囲に属する画素の個数(すなわち輝度分布)を示す輝度ヒストグラム等を検出する。ここでは、例として輝度ヒストグラムから最大輝度を検出するものとする。この最大輝度の検出は、例えば、所定個数の画素数を有する階調範囲のうち、最も高い階調範囲を当該表示領域の最大輝度とすることで行われる。
【0022】
輝度検出回路21で検出された各エリアの最大輝度は輝度制御回路22に入力され、ここで、ある表示領域において検出した最大輝度から当該表示領域に対応するエリアの調光値(当該エリアに対応するLED1の光強度を決めるデータ)と、当該表示領域に供給される映像信号に対する補正データを算出する。例えば、液晶表示器6が8ビットで最大255階調表現可能であるとすると、表示領域毎に、その表現可能な最大階調と検出した最大輝度との比率により調光値が算出される。例えばある表示領域の最大輝度が127であったとすると、その値は表現可能な最大階調(255)の1/2なので、当該表示領域に対応するエリアのLEDの光源の光強度を、そのLEDが出力できる最大の光強度の1/2とする。また表示領域の最大輝度が64の場合は光源の光強度を1/4とする。例えばLEDを最大輝度で光らせる場合に「255」のデータをLEDに出力する場合は、前者の例では、「127」を出力し、後者の例では「63」を出力する。このようにして調光値が求められる。また、上記調光値を以下では減光率と呼ぶこともある。
【0023】
光強度を減少させたままでは、映像信号が本来持っている映像の明るさを表現できないので、それを補償するように、映像信号に補正データとしての増幅度を乗算する。この増幅度は減光率の逆数を求めることで算出される。例えば減光率が1/2の場合は、増幅度は2(倍)、減光率が1/4の場合は、増幅度は4(倍)となる。
【0024】
輝度制御回路22で算出された調光値はエリア制御回路23に出力され、補正データは映像信号処理回路25へ出力される。
【0025】
エリア制御回路23では、輝度制御回路22からの調光値に基づいて、各エリアに対応するLED1の光強度を制御するための制御信号をエリア毎に生成する。エリア制御回路23は、図示しないフィルタ回路を有しており、エリア間の光学的影響を考慮するために、あるエリアとその周囲のエリアの調光値を参照して各エリアの制御信号を求める。例えば、あるエリアの光強度を100%で光らせる場合、その周囲エリアに対応する表示領域の映像が黒(調光値0)であっても、当該周囲エリアを例えば20%光らせる。またエリア制御は映像のフレーム毎に行われるが、フレーム毎の明るさの変化が急激にならないように、フィルタ回路は、現在表示しようとする映像フレームの前のフレームにおいて求められた当該エリアの調光値を参照し(例えば現フレームの調光値と前フレームの調光値との加重平均を求めて)当該エリアの制御信号を求める。
【0026】
このようにして求められた制御信号は光源回路24へ出力される。光源回路24は、例えば1つのエリア或いは複数のエリアに対応して設けられており、上述したLEDドライバIC2と直列接続された複数のLED1を含んでいる。LEDドライバIC2は、エリア制御回路23からの制御信号に応じたデューティを持つPWM信号を生成し、1つのエリアに対応して設けられたLED1を駆動する。これによって、エリアの光強度が映像信号に応じて個別に制御される。
【0027】
一方、映像信号処理回路25は、各エリアに対応する表示領域の映像信号を増幅するコントラスト制御回路251と、このコントラスト制御回路251で増幅された信号に対しガンマ補正を行うガンマ補正回路252を含んでいる。コントラスト制御回路251は、輝度制御回路22からの補正データに従って各エリアに対応する表示領域の映像信号を増幅し、当該エリアに対応するLEDの調光値(減光率)によって低下された光を補償する。ガンマ補正回路252は、この増幅された映像信号に対し、例えば液晶表示器6の入力電圧−透過率特性に基づくガンマ補正を行い、LCDパネルコントローラ26へ出力する。
【0028】
LCDパネルコントローラ26は、液晶表示器6の走査電極を選択するためのLCDドライバ(行)27、及び液晶表示器6に映像信号に対応するデータ信号を供給するためのLCDドライバ(列)28をそれぞれ制御して液晶表示器6を駆動し、液晶表示器6の各画素に対応する液晶素子の透過率を制御する。
【0029】
この結果、バックライト装置からの光は液晶表示器6によって画素毎に空間的に変調され、映像信号に応じた映像が形成される。
【0030】
上記の例における、エリア制御回路23とLEDドライバIC2との通信形態の一例について図3を参照して説明する。
【0031】
本実施例においては図3に示されるように、LEDドライバIC2は、IC−1、IC−2…IC−nのn個有しており、それぞれがエリア制御回路23とシリアル通信バス29を介して接続されている。これらLEDドライバIC−1〜nは、それぞれ固有のアドレス(アドレスa、アドレスb…アドレスn)が付されているものとする。
【0032】
エリア制御回路23はシリアルインターフェイス(I/F)231を含んでおり、該シリアルI/F231からシリアル通信バス29を介して、上記制御信号としてのシリアル通信データ(SD)、クロック信号(CLK)及び同期信号(Syc)が各LEDドライバIC−1〜nへ出力される。各LEDドライバIC−1〜nは、それぞれ、制御信号としてのシリアル通信データSDをパラレル信号に変換するシリアル−パラレル変換回路(S/P)210を有しており、かつ複数のLEDが直列接続されたLED直列回路101が接続されている。S/P210は、シリアル通信データSDをクロック信号CLK及びパケット通信用の垂直同期の同期信号SYCにより定まるタイミングで分離し、該分離された各データに基づきLED駆動用のPWM信号を生成して出力し、LED直列回路101を駆動、制御する。
【0033】
ここでは、1つのLEDドライバICに対し例えば最大8チャンネルのLED直列回路110が接続可能であるものとする。ここで、例えば、1つのチャンネルのLED直列回路110のLEDの個数を5個、つまりLEDドライバICの1個で40個のLEDを駆動し、LEDドライバICの数(nの数)を8個とした場合は、図3のシステム全体では、40個x8個=320個のLEDを駆動することになる。
【0034】
また導光板は各エリア毎に個別に設ける必要はなく、1つの導光板の側面に例えば8つのLED直列回路110を一列に配列し、これらLED直列回路110により光を供給するようにしてもよい。このようにすれば、1つの導光板を光学的に8つのエリアに分割し、それぞれのエリアの輝度を個別に制御することが可能となる。
【0035】
上記図3に示された構成における、本実施例の特徴的構成、すなわちPWM信号におけるパルス波形の立ち上がり及び立ち下がり部分の傾斜を制御する構成について図4〜9を参照して説明する。
【0036】
図4は、本実施例に係るLEDドライバIC2の一構成例を示している。図4において、LEDドライバIC2の負荷接続端子8と電源端子10との間には、Pチャンネル型MOSFET(以降「PMOS」と称する)31が接続され、またLEDドライバIC2のPWM信号の出力端子13とGND端子11との間には、Nチャンネル型MOSFET(以降「NMOS」と称する)32が接続されている。負荷接続端子8と出力端子13との間には、LED直列回路101が接続されている。上記PMOS31及びNMOS32のゲート端子は、出力タイミングを制御するためのタイミングコントローラ12が接続されている。
【0037】
タイミングコントローラ12は、出力するPWM信号に係る時定数、すなわちPWM信号におけるパルスの立ち上がりの傾き(立上げ時間tR)を切り換えるための第1時定数切換ブロック121と、立ち下がりの傾き(立下げ時間tF)を切り換えるための第2時定数切換ブロック122とを含んでいる。第1時定数切換ブロック121は、PWM信号のパルスの立上げ時間の切換えを行うためのスイッチSW1と、互いに抵抗値が異なる2つの抵抗Ra1及びRa2を有し、また第2時定数切換ブロック122は、立ち下げ時間の切換えを行うスイッチSW2と、2つの抵抗Ra2及びRb2を有している。ここで、Ra1>Rb1、Ra2>Rb2であるものとする。また、第1時定数切換ブロック121の抵抗Ra1とRb1との接続部、及び第2時定数切換ブロック122の抵抗Ra2とRb2との接続部には、S/P231の出力端子が接続されている。
【0038】
上述のようにLEDドライバIC2には最大8個のLED直列回路101が接続可能であるため、実際にはPMOS31、NMOS32、及びタイミングコントローラ12をそれぞれ8個ずつ設ける必要があるが、ここでは図示及び説明の簡略化のためにPMOS31、NMOS32、及びタイミングコントローラ12は1つのみ示している。また各時定数ブロックの抵抗は、ここでは2つのみとしたが、これより多くてもよいことは言うまでもない。
【0039】
上記図4の構成における立上げ時間tR及び立下げ時間tFの制御について、図5も併用して説明する。図5の(a)はLEDドライバIC2の内部で生成されるPWM信号の波形(概念)を示しており、図5(a)に示された波形のパルスAの前の期間は、装置の立ち上がり或いはあるエリアが消灯している期間であるものとする。この期間は輝度0であり、これからパルスAで当該エリアの輝度を100%にする場合、LED直列回路101に流れる電流は急激に変化するため、パルスAの立ち上がり/立ち下がりのタイミングに同期した大電流、すなわち突入電流が流れる。この突入電流が生じるとノイズやLED等の要素の破損が生じる可能性がある。
【0040】
そこで本実施例では、このように電流が大きく変化するタイミング、すなわち低輝度から高輝度に急激に変化させるためのパルスを出力する場合は、当該パルス(ここではパルスA)の立上げ時間(すなわちパルスのLレベルからHレベルに到達するまでの時間)、及び立下げ時間(パルスのHレベルからLレベルに到達するまでの時間)を長くする。そのために、パルスAを発生する場合は、第1時定数切換ブロック121のSW1は、抵抗値が大きい抵抗Ra1を選択し、PMOS31によってパルスAの立ち上がりを制御する。これと同時に第2時定数切換ブロック122のSW2は、抵抗値が大きい抵抗Ra2を選択し、NMOS32によってパルスAの立ち下りを制御する。これによってLED直列回路101を含む系の時定数が大きくなり、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFが長くなる。立上げ時間及び立下げ時間を長くした波形は図5(b)に示される。図5(b)はLEDドライバIC2の出力端子13(図4参照)からLED直列回路101に出力されるPWM信号の波形を示しており、これに示されるように、パルスAの立上げ時間tR及び立下げ時間tFは長くされており、これによってパルスAの立ち上がりの傾きと立ち下がりの傾きが緩やかに(すなわち鈍化)される。その結果、図5(c)に示されるように、緩やかに変化する波形をもつ電流がLED直列回路101に流れることとなる。このようにすることによって、上述の突入電流の発生が防止される。
【0041】
また図5(a)のパルスBも低輝度から高輝度に制御する際のパルスを示しており、この場合も図5(b)のように立上げ時間tR及び立下げ時間tFを長くし、立ち上がり及び立ち下がりの傾きを緩やかにする。パルスBを発生する場合の動作はパルスAを発生する動作と同じである。
【0042】
一方、図5(a)のパルスCのように、例えば0%輝度から10%輝度へ変化させる場合のように大きく輝度を変化させない場合は、上述した突入電流は発生しづらいため、制御の応答性を高めたほうが好ましい。この場合、すなわちパルスCを発生する場合、第1時定数切換ブロック121のSW1は抵抗値が小さい抵抗Rb1を選択し、PMOS31によってパルスAの立ち上がりを制御する。これと同時に第2時定数切換ブロック122のSW2は抵抗値が小さい抵抗Rb2を選択し、NMOS32によってパルスCの立ち下りを制御する。これによってLED直列回路101を含む系の時定数が小さくなり、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFが図5(b)に示されるようにパルスA及びBのときに比べ短くなる。その結果、パルスの立ち上がり及び立ち下がりの傾きが急峻になり、図5(c)に示されるように急に変化する波形をもつ電流がLED直列回路101に流れることとなる、しかしながら、図示されるようにその電流レベルは低く、突入電流は発生しない。
【0043】
本実施例において、立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFの切換、すなわち抵抗Ra1とRb1、Ra2とRb2の切換は、本実施例では調光率に応じて制御される。ここで調光率とは、あるエリアの前フレームでの輝度(調光値)とそれに連続する現フレームでの輝度(調光値)との差分であり、最大値が100、最小値は0であるものとする。この調光率が所定値よりも大きい場合、例えば50よりも大きい場合は立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFを長くするために抵抗Ra1及びRa2を選択し、一方50以下の場合は立上げ時間tR及び立ち下げ時間tFを短くするためにRb1とRb2を選択する。
【0044】
上記抵抗の切換制御は、図3にて説明したエリア制御回路23からの制御信号であるシリアル通信データSDに基づいて行われる。このシリアル通信データに基づく制御について図6〜図8を参照しつつ、図3、4を併用しながら説明する。
【0045】
図6(a)はシリアル通信データのパケット構成を示す図であり、図示されるように、シリアル通信データは、制御対象となるLEDドライバIC及びそれに接続されるLED直列回路の一つを指定するためのアドレス情報(ビット0〜4)、PWM信号のパルスの立上げ時間tR及び立下げ時間tFを指定するための波形制御情報(ビット5〜7)、PWM信号のパルス列の、立上げ時間tR及び立下げ時間tFを制御するためのパルスの範囲を指定するための波形位置情報(ビット8〜9)、及びPWM信号による調光値のデータを示す調光値情報(ビット10〜N)から構成されている。
【0046】
このようなパケット構成のシリアル通信データSDは、エリア制御回路23のシリアルI/F231からシリアル通信バス29を介して各LEDドライバIC−1〜nのS/P210に入力される。S/P210では、図6(b)に示されるタイミング、すなわち同期信号Sycのパルスの立ち下がりのタイミングで、シリアル通信データSDのアドレス情報に記述されているアドレス(例えば図3のアドレスa、b…n)に対応するLEDドライバICのS/P210に取り込まれる。更にS/P210は、ビット10〜Nに記述された調光値情報をデコードしてその内部のレジスタ(図示せず)に格納する。そして、LEDドライバICに接続されている複数のLED直列回路101のうち、アドレス情報に記述されたアドレスに対応するLED直列回路101を判別し、該判別されたLED直列回路101に対し、上記レジスタに格納された調光値情報に基づくPWM信号をタイミングコントローラ12(図4参照)を介して供給する。
【0047】
またS/P210は、入力されたシリアル通信データSDから、波形制御のコマンドであるビット5〜7に記述された波形制御情報と、ビット8〜9に記述された波形位置情報とを分離・抽出し、これをデコードしてその内部のラッチ回路(図示せず)に保持し、タイミングコントローラ12内の第1時定数切換ブロック121及び第2時定数切換ブロック122(スイッチSW1、SW2)の制御信号として出力する。
【0048】
波形制御情報の一例について図7を参照して説明する。図7は、ビット5〜7のビット値に対応する波形制御の内容を示す表であり、例えばビット5〜7が“0,0,0”はパルスの立上げ時間を制御しないコマンドである。この場合は、タイミングコントローラ12は、第1時定数切換ブロック121のSW1が抵抗Rb1を選択するように制御する。このときのパルスの立ち上がり波形は、図8の波形Wf1のように傾きが急峻となっている。また“0,0,1”はパルスの立上げ時間tRを+100ns長くするコマンドであり、この場合、タイミングコントローラ12は、第1時定数切換ブロック121のSW1が抵抗値の大きい抵抗Ra1を選択するように制御する。このときのパルスの立ち上がり波形は、図8の波形Wf2に示されるように、波形Wf1に比べて傾きが緩やかになっている。
【0049】
また、“1,0,0”はパルスの立下げ時間を制御しないコマンドである。この場合は、タイミングコントローラ12は、第2時定数切換ブロック122のSW2が抵抗Rb2を選択するように制御する。このときのパルスの立ち下がり波形は、図8の波形Wr1のように傾きが急峻となっている。“1,0,1”はパルスの立下げ時間tRを+100ns長くするコマンドであり、この場合、タイミングコントローラ12は、第2時定数切換ブロック122のSW2が抵抗値の大きい抵抗Ra2を選択するように制御する。このときのパルスの立ち下がり波形は、図8の波形Wr2に示されるように、波形Wr1に比べて傾きが緩やかになっている。
【0050】
尚、この例では2つの抵抗を切り替えて時定数を制御しているため、図中ビット5〜7のビット値が“0,1,0”“0,1,1”“1,1,0”“1,1,1”は使用されない。しかしながら、各時定数切換ブロックにおいて、3つ又は4つの抵抗を切り替えて時定数を制御する場合はこれらの値を使用してもよい。
【0051】
上述した例において、ビット5〜7のビット値は、各エリアの上述した調光率に応じてエリア制御回路23において書き換えられる。例えば、調光率が50よりも大きい場合はビット5〜7の値を“0,0,1”または“1,0,1”とし、50以下の場合は“0,0,0”または“1,0,0”とする。
【0052】
波形位置情報(ビット8〜9)は、PWM信号におけるパルス列のうち、上記波形制御情報による立ち上がり/立ち下り波形の制御を開始するパルス、または波形の制御を行うパルスの範囲を指定するものである。このビット値は任意に設定することができるし、また上述した調光率に応じて設定するようにしてもよい。また、この波形位置情報を使用しなくてもよい。
【0053】
上記図7の例では、一つのビット値でPWM信号におけるパルスの立ち上がり及び立ち下りのいずれか一方の傾きを制御するようにしたが、一つのビット値で両方を制御するようにしてもよい。
【0054】
このように、本実施例に係る液晶表示装は、LED直列回路と、このLEDを駆動するLEDドライバICとを有しており、LEDドライバICは、LED直列回路駆動用のPMOS及びNMOSと、PMOS及びNMOSのゲート端子に接続され、LED駆動用のPWM信号を供給するタイミングコントローラを内蔵し、LEDドライバICに入力されるコマンド(調光値情報)によって、タイミングコントローラによりLED駆動用のPWM信号におけるパルスの立ち上がり、立ち下り波形を制御するように構成されている。
【0055】
すなわち、本実施例は、半導体集積回路であるLEDドライバICの内部にPWM信号におけるパルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きを制御するための回路を組み込んでおり、これによって、LEDドライバICの出力信号であるPWM信号におけるパルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きを制御している。また、パルスの立ち上がり/立ち下がりの傾きがエリア制御回路からのシリアル通信データに含まれるコマンドにより制御可能に構成されている。このコマンドが、調光率に応じて設定可能にされている。
【0056】
このため、エリア制御の応答性のよさを維持しつつ、突入電流防止のための抑制回路などの新たな回路要素を追加することなく、簡単な構成で突入電流を抑制することができる。また、LEDドライバICの周辺部品点数を少なくし、あるいは大きな定格の部品の追加や変更などを行うことが無いため、小型化、信頼性の向上、低コスト化が可能となる効果がある。
【実施例2】
【0057】
本発明の第2実施例について図9〜図10を参照しつつ説明する。図9の構成において、図4に示した第1実施例の構成と異なる点は、第1時定数切換ブロック121の抵抗Ra1及びRb1と列に、グランド端子91を介して第1コンデンサC1を接続し、第2時定数切換ブロック122の抵抗Ra2とRb2と並列に、グランド端子92を介して第2コンデンサC2を接続したことにある。
【0058】
上記のようにコンデンサC1、C2を付加することによって、パルスの立ち上がり及び/または立ち下りの傾きを大きく制御することが可能となる。また、図10の第2実施例の変形例に示すように、第1コンデンサC1と抵抗Ra1及びRb1との間に第1接続切換スイッチSW3を、更に第2コンデンサC2と抵抗Ra2とRb2との間に第2接続切換スイッチSW4を設け、これらを上記タイミングコントローラ12からの波形制御情報に基づく制御信号により切り替えて各時定数切換ブロック内の抵抗と接続すれば、パルスの立ち上がり及び立ち下りを、それぞれ4種類の傾きのいずれかに制御することができる。
【0059】
このように構成すれば、よりきめ細かくパルスの立ち上がり及び立ち下りの傾きを制御することができる。
【実施例3】
【0060】
上記の実施例では傾きは直線状とされてるが、図11のように多段階に制御すしてもよい。この例では、傾きは2段階に制御される。これを実現するための、シリアル通信データに含まれるコマンド(波形制御情報)の一例を図12に示す。このように波形制御情報を設定することにより、調光率に応じた傾きをより適切に制御することが可能となる。また、2段階に限らず、3段階以上に制御するようにしてもよい。
【0061】
上記のように本実施形態によれば、液晶表示装置のバックライトの調光率が決定されたときに、その調光率によってパルスの立ち上げ及び/または立ち下がりの傾き(時定数)を選択して制御できるので、例えば調光率が大きいときは傾きを大きく、低いときは傾きを小さくすることによって、エリア制御における応答性のよさを維持しつつ突入電流発生の防止を行うことができる。また、突入電流に対応したより大きな定格の部品の追加や変更などを行う必要が無く、LEDドライバ等の周辺部品の小型化、信頼性の向上、回路部品のコスト低減などが図れる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、LEDを光源として使用したバックライトを備えた液晶表示装置に利用可能であり、特に、LEDを点灯時などにおける突入電流の抑制に用いて好適である。
【符号の説明】
【0063】
1…LED(発光ダイオード)、2…LEDドライバIC、3…導光板、4…反射板、5…拡散板、6…液晶表示器、8…負荷接続端子、10…電源端子、12…タイミングコントローラ、13…出力端子、21…輝度検出回路、22…輝度制御回路、23…エリア制御回路、231…シリアルI/F回路、24…光源回路、25…映像信号処理回路、251…コントラスト制御回路、252…ガンマ補正回路、26…LCDパネルコントローラ、27…LCDドライバ(行)、28…LCDドライバ(列)、31…PMOSFET、32…NMOSFET、121…第1時定数切換ブロック、122…第1時定数切換ブロック、210…シリアル/パラレル変換回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての発光ダイオードと、該発光ダイオードに駆動電流としてのPWM信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライト装置において、
前記LEDドライバは、前記PWM信号におけるパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバックライト装置において、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、第1時点での前記発光ダイオードの輝度とそれに連続する第2時点での前記発光ダイオードの輝度との比率である調光率に応じて制御可能であることを特徴とするバックライト装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバックライト装置において、前記調光率が所定値よりも大きいときは、所定値以下のときに比べて前記パルスの立ち上がりの傾きを緩やかにすることを特徴とするバックライト装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のバックライト装置を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
光源としての発光ダイオードと、該発光ダイオードに駆動電流としてのPWM信号を供給するLEDドライバとを備えた液晶表示装置用のバックライト装置において、
前記LEDドライバは、前記PWM信号におけるパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きが制御可能に構成されていることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバックライト装置において、前記PWM信号のパルスの立ち上がり及び/または立下りの傾きは、第1時点での前記発光ダイオードの輝度とそれに連続する第2時点での前記発光ダイオードの輝度との比率である調光率に応じて制御可能であることを特徴とするバックライト装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバックライト装置において、前記調光率が所定値よりも大きいときは、所定値以下のときに比べて前記パルスの立ち上がりの傾きを緩やかにすることを特徴とするバックライト装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のバックライト装置を有することを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−113900(P2012−113900A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260761(P2010−260761)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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