説明

液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法

【課題】本発明は、非感光性樹脂からなる第1の層と感光性樹脂からなる複数のパターン化層からなる液晶表示装置用カラーフィルタ基板を低コスト、かつ高品質に得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】複数色の着色層がパターン形成された基板上に非感光性樹脂からなる第1の層を形成し、さらにその上に感光性樹脂を含有する第2の層を積層してパターン加工を行う液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法であって、少なくとも下記の工程をこの順に行うことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
(1)該基板上に非感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第1の層を形成する工程
(2)該第1の層上に感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第2の層を形成する工 程
(3)ハーフトーンフォトマスクを介して該第2の層を露光する工程
(4)第2の層を現像液によりパターン加工して、高さの異なる2種以上の突起を形成する工程
(5)該第1の層および該第2の層を加熱、硬化させる工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非感光性樹脂からなる第1の層と、感光性樹脂からなる第2のパターン化層からなる液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラ、大型液晶テレビなど様々な用途で使用されている。携帯端末では場所を選ばない視認性が重要視され、1つの画素内に透過表示、反射表示それぞれでの表示を可能とする半透過型液晶表示装置が開発されている。また、液晶テレビ用途では、高速応答、広視野角化、高コントラスト化などの特性向上が図られている。
【0003】
液晶表示装置の性能向上に伴い、従来の遮光層、着色層、平坦化層からなる単純な構成のカラーフィルタに、固定スペーサ、液晶配向制御用の樹脂突起物、セルギャップ調整用の樹脂層などの付加構造物を形成したカラーフィルタが開発されている。
例えば、特許文献1に開示されているように、従来のビーズスペーサを散布した液晶表示装置では、ビーズスペーサ周辺で液晶の配向が乱れ、コントラストが低下していたのに対し、カラーフィルタに固定スペーサを形成した液晶表示装置では、固定スペーサを非表示領域に形成することで、コントラストの向上を図ることができる。
【0004】
また、非特許文献1に開示されているように、ネガ型の液晶を使用した垂直配向モードの液晶表示装置において、液晶の配向を複数の領域に分割するよう、液晶配向制御用の樹脂突起物を形成することで、視野角の拡大を図ることが可能となっている。
さらに、非特許文献2には、半透過型液晶表示装置において、反射表示領域に透明樹脂層を形成し、反射表示領域のセルギャップを狭くすることで、透過表示領域との光路長をおよそ同じにし、反射表示領域、透過表示領域ともに明るい半透過型液晶表示装置とする構成が開示されている。
これらの付加構造体は、パターン加工されており、通常フォトリソ工程を経て、形成される。従って、高性能液晶表示装置に用いられる付加構造物を具備したカラーフィルタでは、単純な構成のカラーフィルタに比べ、フォトリソ工程が多く、コスト増になるという課題があった。
【0005】
これらの課題を解消する方法としては、カラーフィルタの平坦化層と固定スペーサを一括形成することが可能な紫外線透過率制御機能を有する半透過膜と遮光膜より形成された露光マスクが特許文献2に開示されている。この方法によれば、ITO膜からなる紫外線に対する半透過膜とクロム膜等からなる遮光膜の紫外線透過率の差を利用して、ネガ型レジストの光硬化の差を膜べりに反映させ、カラーフィルタの平坦化層と固定スペーサを一括形成している。しかしながら、この方法では膜べり量の大きい半透過露光部、すなわち平坦化層の膜厚の均一性を保つことが困難であった。
【0006】
工程を削減して固定スペーサーと液晶配向制御用の樹脂突起物を形成する方法として、フォトマスクを所定の方向に平行移動しながら複数回露光する方法が特許文献3に記載されている。しかしながらこの方法では、複数回の露光が必要であり、露光時間が長くあるために生産性が低下する問題や、所定の位置をずらしながら複数回露光することで、露光パターンの位置ずれが発生し、パターン精度が悪化する問題があった。
【0007】
固定スペーサと液晶配向制御用の樹脂突起物をハーフトーンマスクを用いて同時に形成する方法が特許文献4に記載されている。この方法では、一回の露光で固定スペーサと液晶配向制御用の樹脂突起物を形成することが可能であり、工程削減が可能である。
しかしながら特許文献4には現像工程の記載はないが、ネガ型レジストの場合では、ハーフトーン露光部分は光硬化が不十分のため、ハーフ露光されたネガレジストが現像液に部分的に溶解して現像工程でパターンの一部または全部が剥がれる問題があった。ポジ型レジストの場合でも、ハーフトーン露光部分のパターン幅が15μmより小さくなると現像工程でパターンの一部または全部が剥がれる問題があった。
【特許文献1】特開2001−324716号公報
【特許文献2】特開2006−184399号公報
【特許文献3】特開2002−236371号公報
【特許文献4】特開2007−183589号公報
【非特許文献1】Electronic Journal 1997年10月号、33頁
【非特許文献2】日経マクロデバイス別冊「フラットパネルディスプレイ2003実務編」108頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、非感光性樹脂からなる第1の層と感光性樹脂からなる第2のパターン化層からなる液晶表示装置用カラーフィルタ基板を低コスト、かつ高品質に得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明は下記の構成からなる。
1.複数色の着色層がパターン形成された基板上に非感光性樹脂を含有する第1の層を形成し、その上に感光性樹脂を含有する第2の層を積層してパターン加工を行う液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法であって、
少なくとも下記の工程をこの順に行うことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
(1)該基板上に非感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第1の層を形成する工程
(2)該第1の層上に感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第2の層を形成する工程
(3)ハーフトーンフォトマスクを介して該第2の層を露光する工程
(4)第2の層を現像液によりパターン加工して、高さの異なる2種以上の突起を形成する工程
(5)該第1の層および該第2の層を加熱、硬化させる工程
2.前記感光性樹脂組成物が、少なくともポリマ、光重合性モノマおよび光重合開始剤を含有する樹脂組成物であることを特徴とする1項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
3.前記感光性樹脂組成物が、ナフトキノンジアジド化合物を含有する樹脂組成物であることを特徴とする1項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
4.前記第1の層が、現像液に対して不溶性もしくは難溶性である1項〜3項のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
5.前記突起が、(1)垂直配向液晶表示装置の配向制御用の突起物、(2)液晶表示装置の液晶層厚みを調整するギャップ調整層、または(3)液晶表示装置を構成する一対の基板の間隙を規制する固定スペーサのうちのいずれか1種以上である1項〜4項のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
6.前記2種以上の突起の高低差が、0.1μm以上である1項〜5項のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法によって、液晶表示装置用カラーフィルタの平坦化層と複数のパターン化層を膜厚精度よく、一括加工することが出来、液晶表示装置の高性能化、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明者らは液晶表示装置用カラーフィルタの第1の層と第2のパターン化層を膜厚精度よく、一括加工する方法について鋭意検討した結果、以下の方法によって可能であることを見出した。
【0012】
すなわち、複数の着色層を有するカラーフィルタ基板上に、非感光性、かつ現像液に対して、難溶、もしくは不溶の第1の層用組成物を塗布、セミキュア後に、第2の層を形成するのに用いる感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアする。続いて、ハーフトーンフォトマスクを介し、露光した後、現像液により、第2の層のみをエッチングすることで、第1の層と複数のパターン化層を一括加工することが可能となる。
第1の層上に形成されるパターン化層としては、(1)垂直配向性液晶の液晶制御用の突起物、(2)液晶表示装置の液晶層厚みを調整するギャップ調整層、(3)液晶表示装置を構成する一対の基板の間隙を規制する固定スペーサがある。ここで、(2)「液晶表示装置の液晶層厚みを調整するギャップ調整層」としては、カラーフィルタの着色画素ごとに最適な液晶セルギャップになるように形成する液晶厚みを調整する液晶セルギャップ調整層と半透過型液晶表示における反射領域の液晶層厚みを調整するギャップ調整層がある。パターン化層は機能によって、目的とする膜厚や大きさが変る。 固定スペーサは液晶表示装置を構成する一対の基板の間隙を規制するが、単一の膜厚の固定スペーサでは、液晶セルが指やペンなどで押された場合に、1対の基板間隙の液晶セルギャップが変形して表示ムラになることがある。液晶セルギャップが押されたときにも変形量を低減するために、1対の基板間隙の液晶セルギャップを規制する固定スペーサよりも低いサブ固定スペーサを形成して変形量を軽減することができるので、サブ固定スペーサを形成することが好ましい。
【0013】
固定スペーサは1対の基板間隙の液晶セルギャップが設計通りになるように形成されるので、固定スペーサの高さは5μm以下に形成される。サブ固定スペーサは固定スペーサより低くなるように形成され、0.1μm低い高さから固定スペーサの80%の高さの範囲にすることが液晶セルの変形量を低減するために好ましい。
垂直配向性液晶の配向性制御用の突起物は単一の膜厚でも用いられるが、画素の中央と画素端のブラックマトリックスとの重なった位置では膜厚が部分的に厚くなる段差構造があるので、突起物の膜厚を形成する場所によって調整することが好ましい。相対的に膜厚が厚い部分では配向性制御用の突起物の高さを低くすることが好ましい。
液晶セルは通常は、赤画素、緑画素、青画素から形成されるが、各画素を透過する光は波長が異なるので、液晶セル中での屈折率も透過率も異なる。各画素を透過する光の屈折率を補正するために、各画素に液晶層厚みを調整するギャップ調整層を設けることが好ましく、液晶セルのコントラストを上げることが可能である。透過する光の波長が短くなるほど液晶層厚みを小さくすることが好ましいので、液晶セルギャップは青画素が最も狭く、緑画素、赤画素になることが好ましい。このため液晶層厚みを調整する補正層は青画素が最も厚く、緑画素、赤画素になることが好ましく、少なくとも2種類の高さの液晶層厚みを調整するギャップ調整層を形成する必要がある。
半透過型液晶表示装置においては、反射表示領域に透明樹脂層を形成し、反射表示領域の液晶層の厚みを狭くすることで、透過表示領域との光路長をおよそ同じにし、反射表示領域、透過表示領域ともに明るい半透過型液晶表示装置とすることが好ましい。
一対の基板間隙を調整する固定用スペーサ、垂直配向性液晶の配向性突起制御物、半透過型液晶表示装置の反射表示領域に形成する液晶層厚み調整層は必要な膜厚が異なるので、それぞれ個別の工程で加工されていたが、これらを同時に加工することができれば工程短縮となり好ましい。
【0014】
以上のような複数の構造を同時に加工する方法として、ハーフトーンマスクを介して、感光性樹脂を露光する方法がある。ハーフトーンマスクは光を0.1%以下に遮光する黒色遮光膜領域と、遮光膜がなく光を透過する領域と、光を10%から90%の間で透過する半透過遮光膜領域を持つマスクである。ハーフトーンマスクを介して露光することで、露光される領域、低露光量で露光される領域、露光されない領域をつくることができる。マスクに形成する半透過光遮光膜領域は透過率が1種類でもよいが、複数の異なる透過率を持つ半透過遮光膜領域を形成することもできる。
【0015】
ハーフトーンマスクを介して感光性樹脂を露光することで、露光量の差が現像液に対する溶解度の差となって、複数の膜厚構造を加工することができる。ネガ材料の場合では、ハーフトーンで低露光される領域は露光された部分よりも薄くなり、露光されなかった部分にはパターンが形成されない。しかし、ハーフトーンで露光量が小さい場合には十分に光硬化が進まず、現像工程でパターンが欠落する問題があった。
これまでハーフトーンマスクで低露光量で形成した感光性樹脂パターンは高さが低く、下層との密着力も弱くなり、パターンが欠落しやすい。この傾向は、膜厚が厚いほど、パターン幅が狭く、小さくなるほど顕著であり。パターン幅が15μm以下になると特に欠落しやすい問題があった
本発明者らはパターン欠落を防止しつつ、複数の構造を同時に形成することを検討した結果、パターンの欠落は、現像工程で、下層との界面に現像液が浸透して起こることを確認した。基板上に第1の層である非感光性樹脂を塗布、セミキュアする工程の次に、第2の層である感光性樹脂を塗布、セミキュアする工程とすることで、第1の層の非感光性樹脂層が完全に熱硬化しない状態で第2の感光性樹脂層を形成してセミキュアをするので第1の層の非感光性樹脂との密着力が向上し、第2の層の感光性樹脂層が現像工程で欠落することを改善できることを発見した。この工程の後にハーフトーンフォトマスクを介して感光性樹脂を露光することで、幅の狭い小さなパターンの複数の複雑な構造を欠落なしに形成することが可能となった。
第2の層がポジ材料の場合では、ハーフトーンで低露光される領域は、露光されなかった部分よりも薄くなり、露光された領域はパターンが形成されない。ポジ材料の場合では、ネガ材料に比べてハーフトーン露光される部分のパターン欠落は少ないが、幅の狭い小さなパターンの複数の複雑な構造を欠落なしに形成するには、基板上に第1の層である非感光性樹脂を塗布、セミキュアする工程の次に、第2の層である感光性樹脂を塗布、セミキュアする工程が好ましい。
【0016】
非感光性樹脂組成物からなる第1の層は、基板上に形成された画素の段差を小さくする機能を持つ平坦化層であることが好ましい。カラーフィルター上に形成されたブラックマトリックスが樹脂組成物である場合は、着色画素材料と重なった部分に段差ができる。この段差が大きいと液晶表示装置では液晶の配向ムラとなって表示品位を低下させることがあるので、第1の層を形成することによって、表面の段差が小さくなると表示品位を低下させることがなくなる。
パターンの膜厚の測定方法としては、触針式表面粗さ計、原子間力顕微鏡、レーザー顕微鏡、断面を透過型電子顕微鏡で観察するなどで測定することができる。パターンの膜厚差は測定したパターン表面の段差形状から測定することも可能であるが、パターン下層に凹凸がある場合には表面段差から膜厚を測定することができない場合もある。この場合は、形成されているパターンを物理的に削ったり、科学的にエッチングしたりして、実質的にパターンが形成されていない状態の基板表面からの高さを測定することで、パターンの高低差を測定することが可能である。基板表面が柔らかい場合には、断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果からパターンの高低差を測定することが有効である。
【0017】
カラーフィルタをフォトリソ加工で得る方法としては、非感光ポリイミド法と感光アクリル法があるが、非感光ポリイミド法の製造装置に適用することがより好ましい。非感光ポリイミド法においては、非感光性のポリイミドペーストを塗布、セミキュア後、ポジレジストを塗布、セミキュア、露光後に、現像液で非感光性ポリイミドとポジレジストを一括でパターン加工する。その後、ポジレジストを適当な剥離溶剤で剥離し、加熱硬化させる。このように、非感光ポリイミド法の製造装置においては、1工程内に2つの塗布、セミキュア工程が含まれており、本発明の製造方法を適用しやすい。
【0018】
本発明におけるセミキュアとは、主に溶剤成分の揮発を目的とした比較的低温での熱処理を指し、具体的には180゜C以下での熱処理のことをいう。セミキュアの温度については、上記範囲であれば特に限定はないが、溶剤の揮発が不十分である場合、第2の層を塗布した際に、溶剤置換が起こり、下地の第1の層が膨潤する恐れがあるため100゜C以上が好ましい。より好ましくは、130゜C以上である。セミキュアをおこなう方法については、下地の第1の層に影響がなければ特に制限はなく、ホットプレート、熱風オーブン、IRヒーター等公知の方法を用いることができる。また、同様にセミキュア時間についても特に制限はなく、1分〜90分程度の時間で行うことができる。
本発明における第1の層である非感光性の層については、その樹脂成分について特に限定はなく、エポキシ樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサンポリマ、ポリイミド、ケイ素含有ポリイミド、ポリイミドシロキサン等を用いることができる。
【0019】
第2の層である感光性樹脂についても、特に制限なく使用することが出来、ポリマ、光重合性モノマ、光重合開始剤等を含有する、いわゆるネガ型の感光性樹脂組成物であってもよく、ナフトキノンジアジド化合物等の光酸発生剤を含有するポジ型の感光性樹脂組成物であってもよい。
第2の層である感光性樹脂組成物に用いられる溶剤としては、樹脂成分を溶解し、下地となるセミキュア後の非感光性樹脂層を膨潤、溶解させないものであれば、特に制限なく使用することができる。
【0020】
例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類を用いることができる。これら樹脂成分を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体とシクロヘキサノンなどのケトン類との混合溶媒などがあげられる。
【0021】
第1の層、ならびに第2の層を塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。基板上に第1の層を塗布した後、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥などにより、溶媒を除去し、第2の層の塗膜を形成する。オーブンあるいはホットプレートでセミキュアを行う前に、減圧乾燥工程を設けることにより、対流によって生じる塗布欠点が解消されより好ましい。続いて、フォトリソグラフ加工の露光工程を行う。該第2の層の塗膜上にマスクを設置し、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯、レーザー光等を用いて、紫外線により選択的に露光する。
【0022】
露光装置は特に限定されるわけではないが、フォトマスクを基板上の500μm以内に設置して露光するプロキシミティ露光機や、ミラープロジェクション露光機、ステッパー露光機などを使用することができる。
【0023】
露光量は特に限定されるわけではないが、365nmにおける放射照度の時間積分値で表した場合、フォトマスクの遮光膜が形成されていない領域を透過する光量は30〜500mJ/cmが好ましい。
光源がレーザー光の場合は、レーザー光の中心波長を用いて露光量を計算することができる。
ハーフトーンマスクに形成される光半透過領域は光を半透過する膜を形成する方法や、2μm以下のラインやスペースなどを形成して、平均的に光半透過領域を形成する方法があり、どちらも用いることができる。
ハーフトーンマスクの半透過遮光膜領域では、光を10%から90%透過する領域が形成されるので、遮光膜が形成されていない領域を透過する光量が300mJ/cm2のときには、半透過領域では30から270mJ/cm2の光量となる。半透過領域の透過率は、感光性材料の感度や、形成する膜厚によって適宜選択されるが、感光性材料がネガ型材料の場合には、半透過領域の透過率は10から60%の範囲が好ましく用いられ、感光性材料がポジ型材料の場合には、半透過領域の透過率は40から90%の範囲が好ましく用いられる。
【0024】
アルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。
これら現像液のアルカリ性物質の濃度は特に限定されるわけではないが、通常0.01〜50質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。また、現像液には界面活性剤も好ましく用いられ、非イオン系界面活性剤などを0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%添加することでパターン形状を向上させることもできる。
【0025】
本発明では、非感光性樹脂組成物からなる第1の層に、感光性樹脂組成物からなる第2の層を塗布して、感光性樹脂組成物のみを現像液によってパターン加工するので、第1の層は現像液によって、不溶または難溶でなければならない。感光性樹脂組成物を現像液に3分以上浸漬して、浸漬前後で膜厚が変動しなければ、現像液に対して不溶である。現像液に対して難溶であるということは、感光性樹脂組成物からなる第2の層がパターン加工可能で、パターンが欠落しない状態であればよい。第1の層が溶解すると、第2の層のパターンは欠落してしまうので、第2の層のパターンが欠落しなければ実質的に第1の層は難溶である。
アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能であり、これらを組み合わせても良い。現像後はアルカリ現像液を除去するために適宜純水などによる洗浄工程を加えても良い。
【0026】
現像工程を経て得られた第1の層と第2の層より得られたパターン化層の積層樹脂層を、その後、加熱処理する。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、180〜300℃、好ましくは180〜260℃の温度のもとで、0.25〜5時間、連続的または段階的に行われる。
第2の層をパターン加工して得られるパターン化層については、その機能、形状等に特に制限はなく、固定スペーサ、透明樹脂層、液晶配向制御用突起等、さまざまな機能、形状等を持つものであって良い。
【0027】
図1に本発明の第1の層上に第2の層を塗布してハーフトーンマスクで露光するカラーフィルタ基板の製造方法を示す。
工程P1では樹脂ブラックマトリックス層および着色層からなる基板1上に第1の層2を塗布してセミキュアをした状態を示す。
工程P2では第2の層3を塗布してセミキュアした状態を示す。
工程P3ではフォトマスク4を介して露光した状態を示す。フォトマスク4には光透過領域5と半透過領域6と遮光領域7が形成されている。露光での光8はフォトマスクの光透過領域5と半透過領域6を通って第2の層に照射される。
工程P4では第2の層を現像した状態を示す。フォトマスクの透過領域に対応する第2の層のパターン9は、フォトマスクの半透過領域に対応する第2の層のパターン10よりも膜厚の厚いパターンが形成される。
【実施例】
【0028】
実施例1
A.ブラックペーストの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0029】
下記の組成を有するカーボンブラックミルベースをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
カーボンブラックミルベースの組成
カーボンブラック(MA100 、三菱化成(株)製):4.6部
ポリイミド前駆体溶液:24.0部
N−メチルピロリドン:61.4部
ガラスビーズ:90.0部。
B.ポリマー分散剤の合成
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
C.カラーペーストの作製
ピグメントレッドPR254、3.87g(86wt%)、ピグメントレッドPR122、0.63g(14wt%)とポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにして赤色分散液5%溶液(GD)を得た。
分散液(GD) 50.0gにポリアミック酸溶液(PAA) 8.0gをγ−ブチロラクトン 42.0gで希釈した溶液を添加混合し、赤色カラーペースト(R−1)を得た。同様にして、表1に示す割合で緑ペースト(G−1)、青ペースト(B−1)を得た。
【0030】
【表1】

【0031】
D.樹脂ブラックマトリックスの作製
ガラス基板(コーニング製、イーグルXG材)に上記ブラックペーストをスリットコーターで塗布し、130℃のホットプレートで、10分間加熱することによりセミキュア処理した黒色の樹脂塗膜を形成した。ポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース電子材料社製、“LC−100A”)をスリットコーターでプリベーク後の膜厚が1.0μmになるように塗布し、100℃のホットプレートで、5分間乾燥し、セミキュアをした。
キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクを介して100mJ/cm2 (365nmの紫外線強度)で露光して、48μmピッチでブラックマトリックスの幅が8μmになるようにマスク露光した。次に2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成し、メチルセロソルブアセテートでレジストを剥離した。次に300℃のホットプレートで、15分間熱処理することでイミド化させ、ブラックマトリクス層を形成した。形成したブラックマトリックスはブラックマトリックスの膜厚1.6μmであった。
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上にC光源を通したときの色度(x、y)が(0.464、0.282)となるように非感光性樹脂を含む赤ペースト(R−1)をスピンナーでガラス基板上に塗布した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥しセミキュア処理した。この上にポジ型フォトレジスト(“LC−100A”)を乾燥後に1μmになるように塗布し、90℃のオーブンで10分間乾燥し、セミキュア処理した。キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクを介して100mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる23℃の現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の着色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジストをメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらにポリアミック酸の着色塗膜を240℃のオーブンで30分熱処理し、イミド化させ赤画素を形成した。
次に、C光源を通したときの仕上がりの色度(x、y)が(0.152、0.190)になるように、非感光性樹脂を含む青ペースト(B−1)を塗布し120℃のオーブンで20分乾燥しセミキュア処理した。この上にポジ型フォトレジスト(“LC−100A”)を乾燥後に1μmになるように塗布し、90℃のオーブンで10分間乾燥し、セミキュア処理した。キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクを介して100mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる23℃の現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の着色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジストをメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらにポリアミック酸の着色塗膜を240℃のオーブンで30分熱処理し、イミド化させ青画素を形成した。
次にC光源を通したときの仕上がりの色度(x、y)が(0.284、0.443)になるように非感光性樹脂を含む緑ペースト(G−1)を塗布し120℃のオーブンで20分乾燥しセミキュア処理した。この上にポジ型フォトレジスト(“LC−100A”)を乾燥後に1μmになるように塗布し、90℃のオーブンで10分間乾燥し、セミキュア処理した。キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクを介して100mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる23℃の現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の着色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジストをメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらにポリアミック酸の着色塗膜を240℃のオーブンで30分熱処理し、イミド化させ緑画素を形成した。
以上の工程でカラーフィルター画素を基板上に形成した。
【0032】
[非感光性樹脂組成物(第1の層用)の調製]
トリメリット酸 65.05gをγ−ブチロラクトン 280gに溶解した後に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 74.95gを添加し、120℃で2時間加熱した。得られた溶液 20gに、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル 7g、ジエチレングリコールジメチルエーテル 15gを加えて、室温(約23℃)で、2時間攪拌して、第1の層用非感光性樹脂溶液組成物を得た。
【0033】
[第1の層の塗布、セミキュア]
得られたカラーフィルタ用非感光性樹脂溶液組成物をカラーフィルター画素を形成した基板に本キュア後の厚さが1.5μmとなるようにスピンコートし、130℃のオーブンで10分加熱することにより、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物の塗膜を得た。
[感光性樹脂組成物(第2の層用、固定スペーサ用)の調製]
アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250、43質量%溶液)70.0g、多官能モノマとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30.0g、光重合開始剤として2−メリル−1−「4−(メチルチオ)フェニル」−2−モルフォリノプロパン−1−オンを10.0g、溶剤としてシクロペンタノン217.5gを加え、アクリル樹脂濃度(アクリル共重合体とモノマの合計濃度)20質量%の第2の層用感光性透明樹脂組成物(A)を得た。
【0034】
[第2の層の塗布、セミキュア]
非感光性樹脂溶液組成物を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、第2の層(A)を本キュア後の膜厚が厚さ3.0μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱することにより、セミキュア処理した。非感光性樹脂組成物からなる第1の層と感光性樹脂組成物(A)からなる第2の層の積層塗膜を得た。
【0035】
[第1の層と膜厚が異なる固定スペーサの一括形成]
キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクに固定スペーサ形成用の光透過領域とサブ固定スペーサ形成用の透過率が50%の光半透過領域を持つハーフトーンフォトマスクパターンを介して120mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に90秒浸漬して現像した。熱風オーブンで230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に第2の層からなる高さが異なる固定スペーサを形成した。膜厚3.0μm、直径15μmの固定スペーサと、膜厚2.8μm、直径12μmのサブ固定スペーサの2種類を一括で形成することができた。
実施例2
[第1の層と膜厚が異なる液晶配向制御用突起の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、ポジ型感光性レジスト(“LC−100A”)を本キュア後の膜厚が厚さ1.5μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで10分間乾燥し、セミキュア処理した。非感光性樹脂組成物からなる第1の層とポジレジストからなる第2の層の積層塗膜を得た。
【0036】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクに配向性制御突起形成用の遮光膜と、画素単部に形成する配向性制御突起形成用の透過率が50%の光半透過領域を持つハーフトーンフォトマスクパターンを介して150mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.2%の水溶液からなる現像液に浸漬し、現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に第2の層からなる液晶配向制御用突起を形成した。液晶配向制御用突起は膜厚1.5μm、幅12μmのストライプ形状と、膜厚1.2μm、幅10μmのストライプ形状の2種類を一括で形成することができた。
【0037】
実施例3
[感光性樹脂組成物(第2の層用、液晶セルギャップ調整層用)の調製]
アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製サイクロマーP、ACA−250、43質量%溶液)70.0g、多官能モノマとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30.0g、光重合開始剤として2−メリル−1−「4−(メチルチオ)フェニル」−2−モルフォリノプロパン−1−オンを10.0g、紫外線吸収剤に2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)フェノールを3g、溶剤としてシクロペンタノン217.5gを加え、アクリル樹脂濃度(アクリル共重合体とモノマの合計濃度)20質量%の感光性透明樹脂組成物(B)を得た。
【0038】
[第1の層と膜厚が異なる液晶セルギャップ調整層の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、第2の層として感光性透明樹脂組成物(B)を本キュア後の膜厚が厚さ0.4μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱することにより、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物からなる第1の層と第2の層(B)からなる樹脂層の積層塗膜を得た。
【0039】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、赤画素上には遮光膜、緑画素上には透過率10%の遮光膜、青画素上には光透過領域が形成されたハーフトーンフォトマスクパターンを介して100mJ/cm(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し、現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に、第2の層からなる液晶セルギャップ調整層を形成した。液晶セルギャップ調整層は青画素上には膜厚0.4μm、緑画素上には膜厚0.2μmを形成し、赤画素上には液晶セルギャップ調整層は形成されなかった。膜厚が異なる液晶セルギャップ調整層を一括で形成することができた。
実施例4
[第1の層と固定スペーサと液晶配向制御用突起の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、ポジ型感光性レジスト(“LC−100A”)を 本キュア後の膜厚が厚さ2.0μmとなるように塗布し、90℃のオーブンで10分間乾燥し、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物からなる第1の層とポジレジストからなる第2の層の積層塗膜を得た。
【0040】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクに固定スペーサ形成用の遮光膜と、配向性制御突起形成用の透過率が90%の光半透過領域を持つハーフトーンフォトマスクパターンを介してフォトマスク透過領域の露光量が100mJ/cm(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.2%の水溶液からなる現像液に浸漬し現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に第2の層からなる固定スペーサと液晶配向制御用突起を形成した。固定スペーサは膜厚2.0μm、直径12μmの形状であり、液晶配向制御用突起は膜厚1.2μm、幅10μmのストライプ形状であり、固定スペーサと液晶配向制御用突起の2種類を一括で形成することができた。
実施例5
[第1の層と固定スペーサと半透過用液晶セルギャップ調整層の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、第2の層の感光性透明樹脂組成物(A)を本キュア後の膜厚が厚さ3.0μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱することにより、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物からなる第1の層と第2の層の積層塗膜を得た。
【0041】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、固定スペーサ形成用の光透過領域と、液晶セルギャップ調整層形成用の透過率20%の半透過領域をもつハーフトーンフォトマスクパターンを介して300mJ/cm2(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に、第2の層からなる固定スペーサと液晶セルギャップ調整層を形成した。固定スペーサは膜厚3.0μm、直径15μmであり、半透過用液晶セルギャップ調整層は膜厚1.5μm、幅30μmでストライプ状であり、固定スペーサと半透過用液晶セルギャップ調整層の2種類を一括で形成することができた。
実施例6
[第1の層と半透過用液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、第2の層として感光性透明樹脂組成物(B)を本キュア後の膜厚が厚さ1.5μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱することにより、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物からなる第1の層と第2の層の積層塗膜を得た。
【0042】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、液晶セルギャップ調整層形用の光透過領域と、液晶配向制御用突起形成用の透過率60%の半透過膜を形成したハーフトーンフォトマスクパターンを介して150mJ/cm(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に、第2の層からなる液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起を形成した。液晶セルギャップ調整層は膜厚1.5μm、幅30μmでストライプ状に形成し、液晶配向制御用突起は膜厚1.2μmで、幅12μmと液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起の2種類を一括で形成することができた。
実施例7
[第1の層と固定スペーサと半透過用液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起の一括形成]
実施例1と同様にして作製した第1の層を塗布、セミキュアして得られたカラーフィルタ基板に、第2の層として感光性透明樹脂組成物(A)を本キュア後の膜厚が厚さ3.0μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱することにより、セミキュア処理した非感光性樹脂組成物からなる第1の層と第2の層の積層塗膜を得た。
【0043】
続いて、キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、固定スペーサ形成用には光透過領域を、半透過用液晶セルギャップ調整層形成用には透過率20%の半透過膜を、液晶配向制御用突起形成用には透過率10%の半透過膜を形成したハーフトーンフォトマスクパターンを介して400mJ/cm(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に浸漬し現像した。230℃で30分熱処理し、膜厚1.5μmの第1の層上に、第2の層からなる固定スペーサと液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起を一括で形成した。固定スペーサは膜厚3.0μm、直径15μmで形成し、液晶セルギャップ調整層は膜厚1.5μm、幅30μmでストライプ状に形成し、液晶配向制御用突起は膜厚1.2μmで、幅12μmでストライプ状に形成した。固定スペーサと半透過用液晶セルギャップ調整層と液晶配向制御用突起の3種類を一括で形成することができた。
【0044】
比較例1
[第1の層と固定スペーサの一括形成]
実施例1と同様に非感光性樹脂溶液組成物を本キュア後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコートし、130℃のオーブンで5分加熱した後に、230℃のオーブンで30分間加熱して、平坦化層を形成したカラーフィルタ基板を得た。得られたカラーフィルタ基板を紫外線照射、アルカリ洗浄液に浸漬後に、純水リンス、エアナイフ乾燥して洗浄した。
洗浄したカラーフィルタ基板に、感光性透明樹脂組成物(A)を本キュア後の膜厚が厚さ3.0μmとなるようにスピンコートし、90℃のオーブンで5分加熱した。
【0045】
キャノン株式会社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、フォトマスクに固定スペーサ形成用の光透過領域とサブ固定スペーサ形成用の透過率が50%の光半透過領域を持つハーフトーンフォトマスクパターンを介して120mJ/cm(365nmの紫外線強度)露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.5%の水溶液からなる現像液に90秒浸漬して現像した。230℃のオーブンで30分熱処理し、固定スペーサを形成した。膜厚3.0μm、直径18μmの固定スペーサを形成することができたが、固定スペーサより膜厚の薄く、直径の小さいサブ固定スペーサは現像工程で剥がれて形成することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のカラーフィルタ基板の製造方法の工程を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1:基板
2:第1の層
3:第2の層
4:フォトマスク
5:光透過領域
6:半透過領域
7:遮光領域
8:露光での光
9:フォトマスクの透過領域に対応する第2の層のパターン
10:フォトマスクの半透過領域に対応する第2の層のパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の着色層がパターン形成された基板上に非感光性樹脂を含有する第1の層を形成し、その上に感光性樹脂を含有する第2の層を積層してパターン加工を行う液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法であって、
少なくとも下記の工程をこの順に行うことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
(1)該基板上に非感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第1の層を形成する工程
(2)該第1の層上に感光性樹脂組成物を塗布、セミキュアして第2の層を形成する工程
(3)ハーフトーンフォトマスクを介して該第2の層を露光する工程
(4)第2の層を現像液によりパターン加工して、高さの異なる2種以上の突起を形成する工程
(5)該第1の層および該第2の層を加熱、硬化させる工程
【請求項2】
前記感光性樹脂組成物が、少なくともポリマ、光重合性モノマおよび光重合開始剤を含有する樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物が、ナフトキノンジアジド化合物を含有する樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1の層が、現像液に対して不溶性もしくは難溶性である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
前記突起が、(1)垂直配向液晶表示装置の配向制御用の突起物、(2)液晶表示装置の液晶層厚みを調整するギャップ調整層、または(3)液晶表示装置を構成する一対の基板の間隙を規制する固定スペーサのうちのいずれか1種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記2種以上の突起の高低差が、0.1μm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−145800(P2009−145800A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325583(P2007−325583)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】