液晶表示装置
【課題】バックライト又はフロントライトの発熱に起因して生じる表示ムラが軽減された、輝度の均一性に優れた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル(10)と、バックライト又はフロントライト(12)とを少なくとも有する液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトからの熱によって形成される前記液晶パネル内の複屈折分布を少なくとも軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置である。
【解決手段】液晶パネル(10)と、バックライト又はフロントライト(12)とを少なくとも有する液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトからの熱によって形成される前記液晶パネル内の複屈折分布を少なくとも軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒表示時の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、自然光や照明を利用する反射方式と、光源から光を利用する透過方式とがある。透過方式の液晶表示装置は、光源として、液晶パネルの背面にバックライトを備えている。また、反射方式の液晶表示装置であっても、外光照明のない暗い状態での視認が可能になる様に、補助的な光源として、表面上にフロントライトを備えたものもある。
ところで、バックライト等は、通常、光源となる冷陰極蛍光管を備え、その位置によってサイドライト型と直下型に分類される。冷陰極蛍光管は発熱し、その熱は均一に液晶パネルに伝導されるのではなく、冷陰極蛍光管に近い位置ほど温度は高くなり、液晶パネル内に温度分布が形成される。液晶パネルは、液晶材料が封入された液晶セルを備えるが、温度の変化によって、その光学特性が変化する(例えば、特許文献1)。従って、バックライト等からの発熱によって形成された液晶パネル内の温度分布は、液晶パネルの光学特性のバラツキとなって、輝度の不均一化、いわゆる表示ムラ、を生じさせる。
【0003】
この問題を解決するため、例えば、特許文献2では、冷陰極管バックライトを具備する液晶表示装置において、透明な面ヒーターをバックライトと液晶パネルとの間に設けることが提案されている。
【特許文献1】特開平05−173153号公報
【特許文献2】特開平05−313139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、面ヒーターを別途設けることは、煩雑で且つ高コストな工程が必要である等、生産安定性の改善及び生産コストの軽減といった、市場の要請に合致せず、他の解決手段が求められている。
本発明は、バックライト又はフロントライトの発熱に起因して生じる表示ムラが軽減された、輝度の均一性に優れた液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも液晶セルを含む液晶パネルと、バックライト又はフロントライトとを備えた液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトの発熱によって形成される前記液晶セル内の複屈折分布を軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記位相差フィルムが、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1(但し、L1は正の有理数)以下であるA領域と、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1を超えるB領域とからなり、該A領域及びB領域の平均面内レターデーションReをそれぞれRe[A]及びRe[B]、該A領域及びB領域の平均厚み方向のレターデーションRthをそれぞれRth[A]及びRth[B]としたとき、Re[A]とRe[B]及び/又はRth[A]とRth[B]とが等しくないことを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] VAモードの液晶表示装置であって、前記位相差フィルムが、下記式(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする[2]の液晶表示装置:
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B] 。
[4] 前記位相差フィルムが、さらに下記式(3)を満足することを特徴とする[3]の液晶表示装置:
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm 。
[5] 前記位相差フィルムが、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする[3]又は[4]の液晶表示装置:
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm 。
[6] 前記面内距離L1が、前記液晶パネルの画面寸法基準5〜15%であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記領域Aの面積が、前記液晶パネルの画面面積の10〜30%であることを特徴とする[2]〜[6]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記領域Aにおいて、Re及び/又はRthが傾斜していることを特徴とする[2]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
[9] 前記位相差フィルムが、前記領域Aに対応する少なくとも一枚のフィルムと、前記領域Bに対応する少なくとも一枚のフィルムとを、一部を積層させて又は非積層で組み合せてなることを特徴とする[2]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バックライト又はフロントライトの発熱に起因して生じる表示ムラが軽減された、輝度の均一性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
図1に、本発明の液晶表示装置の一実施態様の断面模式図を示す。図1に示す液晶表示装置は、液晶パネル10とサイドライト型バックライト12とを備える。バックライト12は、冷陰極蛍光管12aがサイドに配置され、12aからの光を散乱・反射によって、表面全体から均一に光を放射するアクリル板等からなる導光体12bを有する。図中には省略したが、バックライト12は、その他、蛍光管カバー、反射シート、拡散シート、及びプリズムシート等を備えていてもよい。
【0008】
図2に、液晶パネル10(但し、フレーム14は省略)の断面模式図を示す。液晶パネル10は、一対の偏光板10c及び10dと、その間に配置された、液晶材料が封入された液晶セル10aとを有する。さらに、液晶パネル10は、バックライト側偏光板10cと液晶セル10aとの間に、バックライト12の発熱によって形成される液晶セル10a内の複屈折分布を軽減するための位相差フィルム10bを備えている。位相差フィルム10bは、その目的のためだけに用いられていてもよいが、例えば、液晶セル10aの斜め方向に生じる複屈折性を光学的に補償する光学補償フィルムとしても利用されていてもよい。
【0009】
図3に、図1の液晶表示装置を矢印方向から観察した外観を示す。図3に示す通り、バックライト12の2つの冷陰極蛍光管12aは、観察者から見て液晶パネル10の表示面の縦方向上下に配置される。
図4に、液晶パネル10が備える位相差フィルム10bと、冷陰極蛍光管12aとの位置関係を示す。本実施形態では、位相差フィルム10bは、上下両端部の2つの領域Aと、中央部の領域Bとからなる。領域Aは、領域Bと比較して、光源であって、発熱源でもある冷陰極蛍光管12aにより近い位置に配置された領域である。領域A及び領域Bは、平均面内レターデーション及び平均厚み方向のレターデーションの少なくとも一方が異なっている。本実施形態では、レターデーションが互いに異なる領域A及びBとからなる位相差フィルム10bを、図4に示す位置関係で配置することにより、冷陰極蛍光管12aによって形成される液晶セル10a内の複屈折分布を軽減している。
【0010】
より具体的に、VAモードを例に挙げて、以下に説明する。
図5に、バックライト12の発熱によって、液晶パネル10(但し、位相差フィルム10bを含まない)の面内に形成される温度分布の一例を示す。図5のグラフ中、縦軸は、液晶パネル10の表示面の縦方向の位置を示していて、その位置を、縦方向の全長Laを基準として、下端からの長さの割合(%)として示したものであり、同様に、横軸は、液晶パネル10の表示面の横方向の位置を示していて、その位置を、横方向の全長Lbを基準として、図面向かって左端からの長さの割合(%)として示したものである。グラフ中の色分けは、その位置の温度を示していて、色が濃くなっているのは、温度40℃以上45℃未満の領域であり、色が薄くなっているのは、温度45℃以上50℃未満の領域である。図5のグラフに示す通り、液晶パネル10内には、バックライト12の発熱によって温度分布が生じていて、上下に配置された冷陰極蛍光管12aに近い上下端部の領域が、中心部より温度が高くなっている。
【0011】
図6に、横軸に液晶パネル縦方向の位置、及び縦軸にその温度をプロットし、図5に示した温度分布をさらに詳細にしたグラフを示す。
図6のグラフに示した通り、液晶パネル10内の温度は、冷陰極蛍光管12aに最も近い上下端部で最も高くなっていて、その上下端部から表示面縦方向中心部に向かって低下し、冷陰極蛍光管12aからの距離が所定の距離を越えると、一様になる。液晶パネル10内には、バックライト12の発熱によって、この様な温度分布が形成されている。
【0012】
次に、図7に、液晶パネル10が有する液晶セル10aの複屈折(Δnd)の温度依存性についてのグラフを示す。なお、液晶セル10aはVAモードの液晶セルであり、複屈折は、液晶セルの黒表示時の厚み方向のレターデーションRthに相当する。
図7は、横軸に温度、縦軸に液晶セル10aの複屈折をプロットしたグラフである。図7に示す通り、液晶セル10aの複屈折は、温度が高くなるにつれて低下するという温度依存性を示す。
【0013】
図6に示した液晶パネル内に形成される温度分布のデータと、図7に示した液晶セル10aの複屈折の温度依存性のデータとを組み合せることで、バックライト12の発熱によって、液晶セル10a内に形成される複屈折の分布を予測することができる。
図8に、上記データに基づいて算出された、バックライト12によって形成される液晶セル10a内の複屈折の分布を示す。図8のグラフは、横軸に液晶パネル縦方向の位置を、及び縦軸に上記データに基づいて算出された液晶セルの複屈折(Δnd)をプロットしたグラフである。図8のグラフに示す通り、VAモードの液晶セル10a内には、バックライト12の熱によって、複屈折の分布が生じていることが予測され、より具体的には、液晶セル10a内の複屈折は、冷陰極蛍光管12aに最も近い上下端部で最も小さくなっていて、及びその上下端部から表示面縦方向中心部に向かって増加し、冷陰極蛍光管12aからの距離が所定の距離を超えると一定になる。液晶セル10a内には、バックライト12の発熱によって、この様な複屈折の分布が形成されていると考えられる。この算出された液晶セル10a内の複屈折の分布に基づいて、これを軽減するのに適する光学特性を算出し、その光学特性を示す様に、位相差フィルム10bの領域A及びBそれぞれの、面内レターデーションRe及び/又は厚み方向レターデーションRthを調整すればよい。
【0014】
図8に示す、液晶セル10a内の複屈折の分布を相殺するのに最適なRe及びRthを、図9(a)及び(b)にそれぞれ示す。
位相差フィルム10bの領域Aに、図9(a)及び(b)に示す上下端部の領域と同様に、Re及びRthについて傾斜を持たせ、及び領域Bについては、図9(a)及び(b)に示す中央部の領域と同様に、Re及びRthを一定とすれば、液晶セル10a内の複屈折の分布を理想的に相殺することができる。
【0015】
また、位相差フィルム10bの領域A及び領域Bの光学特性が、図9(a)及び(b)に示す光学特性と完全に一致せず、領域AのRe及びRthも一様である等であっても、領域A及び領域Bが、下記式(1)及び/又は(2)(好ましくは式(1)及び(2))を満足していれば、図8に示す液晶セル10a内の複屈折の分布を軽減することができる。
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B]
式中、Re[A]及びRe[B]はそれぞれ、領域A及びBの平均面内レターデーションであり、Rth[A]及びRth[B]はそれぞれ、領域A及びBの平均厚み方向レターデーションである。
【0016】
VAモードの液晶セル10aの全体的な光学補償を損なうことなく、バックライト12の発熱によって生じる液晶セル10aの複屈折の分布を軽減するためには、下記式(3)又は(4)を満足しているのが好ましく、さらに下記式(3)及び(4)の双方を満足しているのがより好ましい。
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm
【0017】
また、位相差フィルム10b中の領域A及び領域Bの境界線の位置については、バックライト12からの熱による温度分布に応じて決定され、その配置や冷陰極蛍光管のパワーなどによって、境界線の好ましい位置も異なるが、液晶パネルの全長を基準にした割合とすることで、その好ましい範囲を一般化することができる。領域Aは、バックライトからの面内距離が、液晶パネル10の画面寸法基準(本実施形態では、縦方向の全長La)の5〜15%以下の位置までとするのが好ましく、5〜15%を超えた位置からは領域Bとなっているのが好ましい。また、前記領域Aの寸法についても、同様に、種々の要因によって好ましい範囲が変動するとも考えられるが、但し、本実施形態では、冷陰極蛍光管12aからの熱は、横方向には温度分布を生じさせないと仮定できるので、領域Aは、横方向の長さは、液晶パネル10の横方向Lbの長さと同一で、縦方向の長さのみが、液晶パネル内に温度分布が生じた長さと対応していればよい。かかる観点からは、位相差フィルム10bの領域Aの面積(上下2つの領域Aの面積の合計)は、液晶パネル10の画面面積(本実施形態では、La×Lb)の5〜15%であるのが好ましい。
【0018】
上記では、サイドライト型バックライトを有する液晶表示装置の実施態様を説明したが、直下型バックライトを有する態様、さらにはフロントライトを有する態様についても、勿論同様に効果を奏する。光源からの熱に起因する液晶パネル内の温度分布と、液晶セルの複屈折の温度依存性とが得られれば、それらのデータに基づいて、光源の熱によって形成される液晶セル内の複屈折の分布を予測することができる。その予測された液晶セル内の複屈折の分布を相殺する最適なRe及びRthの分布を求め、それに基づいて、位相差フィルムを設計又は選択すればよい。
【0019】
また、本発明の液晶表示装置の液晶パネルの構成は、図2に示した構成に制限されるものではない。例えば、図2では、位相差フィルム10bとバックライト側偏光板10cとを独立の部材として示したが、本発明では、位相差フィルムは、偏光板の一部材であってもよく、例えば、偏光膜を保護する保護フィルムであってもよい。また、図2では、バックライト側偏光板12cと液晶セル10aとの間に、位相差フィル10bが配置された態様を示したが、表示面側偏光板と液晶セルとの間に位相差フィルムが配置された態様、及び双方に位相差フィルムが配置された態様であっても勿論よい。さらに、位相差フィルム10bとは別に、液晶セル10aの視野角に依存した複屈折を光学的に補償するための位相差フィルムが別途配置されていても勿論よい。
【0020】
また、上記実施形態では、VAモード液晶表示装置について本発明の作用を説明したが、本発明は、VAモードに限らず、種々のモード、TNモード等のねじれ配向モードや、IPS等の水平配向モードの液晶表示装置のいずれについても同様に効果を奏する。
【0021】
次に、本発明の液晶表示装置に、バックライト等に起因する表示ムラを軽減するために用いられる、位相差フィルムについて説明する。
本発明に使用される位相差フィルムは、Re及び/又はRthが互いに異なる領域が少なくとも二つ存在する。これらの領域はパネル内において、一体化されたフィルムとして存在していてもよいし、また連結されていない個々のフィルム片として存在していてもよい。前記位相差フィルムの作製に用いられる材料については特に制限されず、その例には、一般的なポリマーフィルムの材料である、セルロースアシレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート等が含まれる。また、従来、光学補償フィルムの作製に利用されている、硬化性液晶組成物を用いて作製してもよい。また、硬化性液晶組成物からなる膜が、自己支持性がない場合は、ポリマーフィルムを支持体とし、その表面に、硬化性液晶組成物からなる層を形成してもよい。
【0022】
前記位相差フィルムの製造方法については、制限はない。種々の方法を利用することができる。図4に示す位相差フィルム10bを例に挙げれば、例えば、図10(a)に示す通り、領域Aに相当する大きさであり、且つ領域Aとして所望のRe、Rthを有するフィルムを2枚と、領域Bに相当する大きさであり、領域Bとして所望のRe、Rthを有するフィルムを1枚それぞれ用意し、液晶パネル内(例えば、液晶セル基板の外側表面)にそれぞれ貼り付けてもよい。また、図10(b)に示す通り、フィルムの一部を積層した状態で貼り合せて、例えば、積層された部分が領域Aとして所望のRe、Rthを満足し、非積層部分が領域Bとして所望のRe、Rthを満足する様に設計してもよい。領域Aを一枚のフィルム片からではなく、複数のRe及び/又はRthが異なるフィルム片を用い、且つRe及び/又はRthが傾斜する(段階的に減少又は増加する)順番で、各フィルム片を液晶セル内に貼り付ける等により、図9(a)及び(b)に示した理想的な光学特性により類似した光学特性を示す位相差フィルムを製造できる。
【0023】
また、前記位相差フィルムは、複数種のドープを用いた溶液流延法を利用して製造することもできる。再び図4に示す位相差フィルム10bを例に挙げれば、例えば、図11に示す通り、異なる処方A及びBのドープをそれぞれ調製し、複数の流延口からそれぞれのドープを支持体表面に流延し、流延膜とした後、支持体上で加熱して溶媒を蒸発させて乾燥し、フィルムを得る。作製されるフィルムには、処方Aのドープからなる領域Aが側面端部のそれぞれに、及び処方Bのドープからなる領域Bが中央部に存在する。領域A及び領域Bとして所望のRe、Rthを発現する様に、あらかじめ処方A及びBをそれぞれ決定しておけばよい。その後、必要であれば、延伸処理などを施して、Re、Rthを調整することもできる。この方法によれば、連続的に所望の位相差フィルムが作製できる。また、流延口をさらに細分化し、ドープの種類を増加すれば、領域AのRe及び/又はRthが傾斜している(段階的もしくは連続的に減少又は増加している)、即ち、図9(a)及び(b)に示した理想的な光学特性により類似した光学特性を示す位相差フィルムを製造できる。
【0024】
また、フィルムの面内レターデーションReを調整する方法の一例として、所定の二色性重合開始剤を含有する硬化性コレステリック液晶材料を用い、且つ偏光照射の照射量等を制御する方法が挙げられる。所定の二色性重合開始剤を含有するコレステリック相に偏光紫外線を照射すると、コレステリック相の螺旋構造が歪みつつ、その硬化が進行し、形成された硬化膜には、コレステリック相の歪みによって面内レターデーションReが発現される。発現されるRe値は、偏光紫外線照射時の紫外線強度、照射量、消光比等に依存するので、それらの条件のうち一つもしくは二以上を調整することで、所望のRe値を発現できる。所定のパターンのフォトマスク等を介して、所定の条件で偏光照射することにより、Reが所望の範囲である領域、所望の位置のみに形成できる。また、その大きさは、フォトマスクの形状により、所望の大きさに調整できる。
なお、コレステリックフィルムのReを偏光照射によって調整する方法については、SID06 DIGEST 1539−1542等に記載され、また、この方法に利用可能な液晶材料については、Proc. IDRC, Vol.24, pp. 773-775 (2004)等に記載があり、前記透明フィルムの作製に利用できる。
【0025】
また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthを調整する方法の一例として、フィルムに、エンボス加工を施す方法がある。エンボス加工とは、フィルムの表面に、細かい凹凸の連続した模様を作る処理をいう。フィルムのRthは、その厚みdに比例するので、例えば、一様な厚みのフィルムを作製した後、エンボス加工を施して、所定の位置に凹部を形成すると、凹部のRthは、凸部よりも小さくなる。エンボス加工によって凹部及び凸部を形成することにより、Rthが互いに異なる領域A及び領域Bを形成できる。エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上で、模様が刻まれたエンボスリングをフィルムに押し当てることにより行なう。Rthの値は、エンボスリング等に刻まれた模様の深さや、押し当てる際の圧力、加工時の温度等により調整することができる。また、ドメインの大きさは、エンボス加工に用いるエンボスリング等に刻まれた模様の形状により所望の大きさに調整できる。
なお、エンボス加工については、特開2005−22766号公報の[0160]〜[0166]に詳細な記載があり、前記位相差フィルムの製造に利用することができる。
【0026】
上記方法を組み合せることで、Re及びRthの双方が互いに異なる領域を複数有する位相差フィルムを作製することもできる。
【0027】
(Re、Rthの測定)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び面外レターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、あるチルト角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、そのチルト角度より大きいチルト角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
【0028】
【数1】
注記:
上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
【0029】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
【0030】
なお、本明細書では、特に断らない限り(即ち、単にRe及びRthと記載されている場合は)、波長550nmのRe(550)及びRth(550)をいうものとする。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0032】
バックライトの熱によって、図6のグラフに示す温度分布が形成される液晶パネル内に、図4に示す構成の位相差フィルムを組み込み、表示ムラを観察した結果を下記表に示す。
なお、液晶パネル内の液晶セルの複屈折の温度依存性は、図7のグラフに示す通りである。また、領域A及びBとしては、下記表に示すRe及びRthをそれぞれ示す既存のポリマーフィルムを準備し、所定の大きさに切断し、液晶パネルの所定の位置に貼り付けた。上下領域Aは、画面上端、下端からそれぞれ画面寸法の10%の領域である。領域Bは、残りの80%の中心部の領域である。
【0033】
領域A及びBからなる位相差フィルムは、図2に示したとおり、バックライト側偏光板と液晶セルとの間に配置した。作製した液晶表示装置について、黒表示時の表示ムラを観察した。法線方向及び斜め方向(極角60度、方位角45度)のいずれの方向からも観察し、輝度分布の均一度を総合的に評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示した結果から、実施例の液晶表示装置は、Re及びRthが一様な位相差フィルムを用いた比較例の液晶表示装置と比較して、液晶パネルの輝度の均一度が改善されている、即ち、表示ムラが軽減されていることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施態様の断面模式図である。
【図2】本発明の液晶表示装置が有する液晶パネルの一例の断面模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の一実施形態の外観図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の一実施形態における位相差フィルムと、冷陰極蛍光管との位置関係を示す模式図である。
【図5】液晶パネルの面内にバックライトの熱によって形成される温度分布の一例である。
【図6】図5に示した温度分布の一例について、横軸に液晶パネル縦方向の位置、及び縦軸にその温度をプロットしたグラフである。
【図7】液晶セルの複屈折の温度依存性の一例を示すグラフである。
【図8】図6及び図7のデータから算出された、バックライトによって形成される液晶セル内の複屈折の分布の一例を示すグラフである。
【図9】図8に示す液晶セル内に形成される複屈折の分布を相殺するのに最適なRe及びRthをそれぞれ示すグラフである。
【図10】本発明に利用可能な位相差フィルムの製造法の例を説明するために用いた概念図である。
【図11】本発明に利用可能な位相差フィルムの製造法の例を説明するために用いた概念図である。
【符号の説明】
【0037】
10 液晶パネル
10a 液晶セル
10b 位相差フィルム
10c バックライト側偏光板
10d 表示面側偏光板
12 バックライト
12a 冷陰極蛍光管
12b 導光板
14 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒表示時の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置には、自然光や照明を利用する反射方式と、光源から光を利用する透過方式とがある。透過方式の液晶表示装置は、光源として、液晶パネルの背面にバックライトを備えている。また、反射方式の液晶表示装置であっても、外光照明のない暗い状態での視認が可能になる様に、補助的な光源として、表面上にフロントライトを備えたものもある。
ところで、バックライト等は、通常、光源となる冷陰極蛍光管を備え、その位置によってサイドライト型と直下型に分類される。冷陰極蛍光管は発熱し、その熱は均一に液晶パネルに伝導されるのではなく、冷陰極蛍光管に近い位置ほど温度は高くなり、液晶パネル内に温度分布が形成される。液晶パネルは、液晶材料が封入された液晶セルを備えるが、温度の変化によって、その光学特性が変化する(例えば、特許文献1)。従って、バックライト等からの発熱によって形成された液晶パネル内の温度分布は、液晶パネルの光学特性のバラツキとなって、輝度の不均一化、いわゆる表示ムラ、を生じさせる。
【0003】
この問題を解決するため、例えば、特許文献2では、冷陰極管バックライトを具備する液晶表示装置において、透明な面ヒーターをバックライトと液晶パネルとの間に設けることが提案されている。
【特許文献1】特開平05−173153号公報
【特許文献2】特開平05−313139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、面ヒーターを別途設けることは、煩雑で且つ高コストな工程が必要である等、生産安定性の改善及び生産コストの軽減といった、市場の要請に合致せず、他の解決手段が求められている。
本発明は、バックライト又はフロントライトの発熱に起因して生じる表示ムラが軽減された、輝度の均一性に優れた液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも液晶セルを含む液晶パネルと、バックライト又はフロントライトとを備えた液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトの発熱によって形成される前記液晶セル内の複屈折分布を軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記位相差フィルムが、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1(但し、L1は正の有理数)以下であるA領域と、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1を超えるB領域とからなり、該A領域及びB領域の平均面内レターデーションReをそれぞれRe[A]及びRe[B]、該A領域及びB領域の平均厚み方向のレターデーションRthをそれぞれRth[A]及びRth[B]としたとき、Re[A]とRe[B]及び/又はRth[A]とRth[B]とが等しくないことを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] VAモードの液晶表示装置であって、前記位相差フィルムが、下記式(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする[2]の液晶表示装置:
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B] 。
[4] 前記位相差フィルムが、さらに下記式(3)を満足することを特徴とする[3]の液晶表示装置:
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm 。
[5] 前記位相差フィルムが、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする[3]又は[4]の液晶表示装置:
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm 。
[6] 前記面内距離L1が、前記液晶パネルの画面寸法基準5〜15%であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記領域Aの面積が、前記液晶パネルの画面面積の10〜30%であることを特徴とする[2]〜[6]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記領域Aにおいて、Re及び/又はRthが傾斜していることを特徴とする[2]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
[9] 前記位相差フィルムが、前記領域Aに対応する少なくとも一枚のフィルムと、前記領域Bに対応する少なくとも一枚のフィルムとを、一部を積層させて又は非積層で組み合せてなることを特徴とする[2]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バックライト又はフロントライトの発熱に起因して生じる表示ムラが軽減された、輝度の均一性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
図1に、本発明の液晶表示装置の一実施態様の断面模式図を示す。図1に示す液晶表示装置は、液晶パネル10とサイドライト型バックライト12とを備える。バックライト12は、冷陰極蛍光管12aがサイドに配置され、12aからの光を散乱・反射によって、表面全体から均一に光を放射するアクリル板等からなる導光体12bを有する。図中には省略したが、バックライト12は、その他、蛍光管カバー、反射シート、拡散シート、及びプリズムシート等を備えていてもよい。
【0008】
図2に、液晶パネル10(但し、フレーム14は省略)の断面模式図を示す。液晶パネル10は、一対の偏光板10c及び10dと、その間に配置された、液晶材料が封入された液晶セル10aとを有する。さらに、液晶パネル10は、バックライト側偏光板10cと液晶セル10aとの間に、バックライト12の発熱によって形成される液晶セル10a内の複屈折分布を軽減するための位相差フィルム10bを備えている。位相差フィルム10bは、その目的のためだけに用いられていてもよいが、例えば、液晶セル10aの斜め方向に生じる複屈折性を光学的に補償する光学補償フィルムとしても利用されていてもよい。
【0009】
図3に、図1の液晶表示装置を矢印方向から観察した外観を示す。図3に示す通り、バックライト12の2つの冷陰極蛍光管12aは、観察者から見て液晶パネル10の表示面の縦方向上下に配置される。
図4に、液晶パネル10が備える位相差フィルム10bと、冷陰極蛍光管12aとの位置関係を示す。本実施形態では、位相差フィルム10bは、上下両端部の2つの領域Aと、中央部の領域Bとからなる。領域Aは、領域Bと比較して、光源であって、発熱源でもある冷陰極蛍光管12aにより近い位置に配置された領域である。領域A及び領域Bは、平均面内レターデーション及び平均厚み方向のレターデーションの少なくとも一方が異なっている。本実施形態では、レターデーションが互いに異なる領域A及びBとからなる位相差フィルム10bを、図4に示す位置関係で配置することにより、冷陰極蛍光管12aによって形成される液晶セル10a内の複屈折分布を軽減している。
【0010】
より具体的に、VAモードを例に挙げて、以下に説明する。
図5に、バックライト12の発熱によって、液晶パネル10(但し、位相差フィルム10bを含まない)の面内に形成される温度分布の一例を示す。図5のグラフ中、縦軸は、液晶パネル10の表示面の縦方向の位置を示していて、その位置を、縦方向の全長Laを基準として、下端からの長さの割合(%)として示したものであり、同様に、横軸は、液晶パネル10の表示面の横方向の位置を示していて、その位置を、横方向の全長Lbを基準として、図面向かって左端からの長さの割合(%)として示したものである。グラフ中の色分けは、その位置の温度を示していて、色が濃くなっているのは、温度40℃以上45℃未満の領域であり、色が薄くなっているのは、温度45℃以上50℃未満の領域である。図5のグラフに示す通り、液晶パネル10内には、バックライト12の発熱によって温度分布が生じていて、上下に配置された冷陰極蛍光管12aに近い上下端部の領域が、中心部より温度が高くなっている。
【0011】
図6に、横軸に液晶パネル縦方向の位置、及び縦軸にその温度をプロットし、図5に示した温度分布をさらに詳細にしたグラフを示す。
図6のグラフに示した通り、液晶パネル10内の温度は、冷陰極蛍光管12aに最も近い上下端部で最も高くなっていて、その上下端部から表示面縦方向中心部に向かって低下し、冷陰極蛍光管12aからの距離が所定の距離を越えると、一様になる。液晶パネル10内には、バックライト12の発熱によって、この様な温度分布が形成されている。
【0012】
次に、図7に、液晶パネル10が有する液晶セル10aの複屈折(Δnd)の温度依存性についてのグラフを示す。なお、液晶セル10aはVAモードの液晶セルであり、複屈折は、液晶セルの黒表示時の厚み方向のレターデーションRthに相当する。
図7は、横軸に温度、縦軸に液晶セル10aの複屈折をプロットしたグラフである。図7に示す通り、液晶セル10aの複屈折は、温度が高くなるにつれて低下するという温度依存性を示す。
【0013】
図6に示した液晶パネル内に形成される温度分布のデータと、図7に示した液晶セル10aの複屈折の温度依存性のデータとを組み合せることで、バックライト12の発熱によって、液晶セル10a内に形成される複屈折の分布を予測することができる。
図8に、上記データに基づいて算出された、バックライト12によって形成される液晶セル10a内の複屈折の分布を示す。図8のグラフは、横軸に液晶パネル縦方向の位置を、及び縦軸に上記データに基づいて算出された液晶セルの複屈折(Δnd)をプロットしたグラフである。図8のグラフに示す通り、VAモードの液晶セル10a内には、バックライト12の熱によって、複屈折の分布が生じていることが予測され、より具体的には、液晶セル10a内の複屈折は、冷陰極蛍光管12aに最も近い上下端部で最も小さくなっていて、及びその上下端部から表示面縦方向中心部に向かって増加し、冷陰極蛍光管12aからの距離が所定の距離を超えると一定になる。液晶セル10a内には、バックライト12の発熱によって、この様な複屈折の分布が形成されていると考えられる。この算出された液晶セル10a内の複屈折の分布に基づいて、これを軽減するのに適する光学特性を算出し、その光学特性を示す様に、位相差フィルム10bの領域A及びBそれぞれの、面内レターデーションRe及び/又は厚み方向レターデーションRthを調整すればよい。
【0014】
図8に示す、液晶セル10a内の複屈折の分布を相殺するのに最適なRe及びRthを、図9(a)及び(b)にそれぞれ示す。
位相差フィルム10bの領域Aに、図9(a)及び(b)に示す上下端部の領域と同様に、Re及びRthについて傾斜を持たせ、及び領域Bについては、図9(a)及び(b)に示す中央部の領域と同様に、Re及びRthを一定とすれば、液晶セル10a内の複屈折の分布を理想的に相殺することができる。
【0015】
また、位相差フィルム10bの領域A及び領域Bの光学特性が、図9(a)及び(b)に示す光学特性と完全に一致せず、領域AのRe及びRthも一様である等であっても、領域A及び領域Bが、下記式(1)及び/又は(2)(好ましくは式(1)及び(2))を満足していれば、図8に示す液晶セル10a内の複屈折の分布を軽減することができる。
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B]
式中、Re[A]及びRe[B]はそれぞれ、領域A及びBの平均面内レターデーションであり、Rth[A]及びRth[B]はそれぞれ、領域A及びBの平均厚み方向レターデーションである。
【0016】
VAモードの液晶セル10aの全体的な光学補償を損なうことなく、バックライト12の発熱によって生じる液晶セル10aの複屈折の分布を軽減するためには、下記式(3)又は(4)を満足しているのが好ましく、さらに下記式(3)及び(4)の双方を満足しているのがより好ましい。
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm
【0017】
また、位相差フィルム10b中の領域A及び領域Bの境界線の位置については、バックライト12からの熱による温度分布に応じて決定され、その配置や冷陰極蛍光管のパワーなどによって、境界線の好ましい位置も異なるが、液晶パネルの全長を基準にした割合とすることで、その好ましい範囲を一般化することができる。領域Aは、バックライトからの面内距離が、液晶パネル10の画面寸法基準(本実施形態では、縦方向の全長La)の5〜15%以下の位置までとするのが好ましく、5〜15%を超えた位置からは領域Bとなっているのが好ましい。また、前記領域Aの寸法についても、同様に、種々の要因によって好ましい範囲が変動するとも考えられるが、但し、本実施形態では、冷陰極蛍光管12aからの熱は、横方向には温度分布を生じさせないと仮定できるので、領域Aは、横方向の長さは、液晶パネル10の横方向Lbの長さと同一で、縦方向の長さのみが、液晶パネル内に温度分布が生じた長さと対応していればよい。かかる観点からは、位相差フィルム10bの領域Aの面積(上下2つの領域Aの面積の合計)は、液晶パネル10の画面面積(本実施形態では、La×Lb)の5〜15%であるのが好ましい。
【0018】
上記では、サイドライト型バックライトを有する液晶表示装置の実施態様を説明したが、直下型バックライトを有する態様、さらにはフロントライトを有する態様についても、勿論同様に効果を奏する。光源からの熱に起因する液晶パネル内の温度分布と、液晶セルの複屈折の温度依存性とが得られれば、それらのデータに基づいて、光源の熱によって形成される液晶セル内の複屈折の分布を予測することができる。その予測された液晶セル内の複屈折の分布を相殺する最適なRe及びRthの分布を求め、それに基づいて、位相差フィルムを設計又は選択すればよい。
【0019】
また、本発明の液晶表示装置の液晶パネルの構成は、図2に示した構成に制限されるものではない。例えば、図2では、位相差フィルム10bとバックライト側偏光板10cとを独立の部材として示したが、本発明では、位相差フィルムは、偏光板の一部材であってもよく、例えば、偏光膜を保護する保護フィルムであってもよい。また、図2では、バックライト側偏光板12cと液晶セル10aとの間に、位相差フィル10bが配置された態様を示したが、表示面側偏光板と液晶セルとの間に位相差フィルムが配置された態様、及び双方に位相差フィルムが配置された態様であっても勿論よい。さらに、位相差フィルム10bとは別に、液晶セル10aの視野角に依存した複屈折を光学的に補償するための位相差フィルムが別途配置されていても勿論よい。
【0020】
また、上記実施形態では、VAモード液晶表示装置について本発明の作用を説明したが、本発明は、VAモードに限らず、種々のモード、TNモード等のねじれ配向モードや、IPS等の水平配向モードの液晶表示装置のいずれについても同様に効果を奏する。
【0021】
次に、本発明の液晶表示装置に、バックライト等に起因する表示ムラを軽減するために用いられる、位相差フィルムについて説明する。
本発明に使用される位相差フィルムは、Re及び/又はRthが互いに異なる領域が少なくとも二つ存在する。これらの領域はパネル内において、一体化されたフィルムとして存在していてもよいし、また連結されていない個々のフィルム片として存在していてもよい。前記位相差フィルムの作製に用いられる材料については特に制限されず、その例には、一般的なポリマーフィルムの材料である、セルロースアシレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート等が含まれる。また、従来、光学補償フィルムの作製に利用されている、硬化性液晶組成物を用いて作製してもよい。また、硬化性液晶組成物からなる膜が、自己支持性がない場合は、ポリマーフィルムを支持体とし、その表面に、硬化性液晶組成物からなる層を形成してもよい。
【0022】
前記位相差フィルムの製造方法については、制限はない。種々の方法を利用することができる。図4に示す位相差フィルム10bを例に挙げれば、例えば、図10(a)に示す通り、領域Aに相当する大きさであり、且つ領域Aとして所望のRe、Rthを有するフィルムを2枚と、領域Bに相当する大きさであり、領域Bとして所望のRe、Rthを有するフィルムを1枚それぞれ用意し、液晶パネル内(例えば、液晶セル基板の外側表面)にそれぞれ貼り付けてもよい。また、図10(b)に示す通り、フィルムの一部を積層した状態で貼り合せて、例えば、積層された部分が領域Aとして所望のRe、Rthを満足し、非積層部分が領域Bとして所望のRe、Rthを満足する様に設計してもよい。領域Aを一枚のフィルム片からではなく、複数のRe及び/又はRthが異なるフィルム片を用い、且つRe及び/又はRthが傾斜する(段階的に減少又は増加する)順番で、各フィルム片を液晶セル内に貼り付ける等により、図9(a)及び(b)に示した理想的な光学特性により類似した光学特性を示す位相差フィルムを製造できる。
【0023】
また、前記位相差フィルムは、複数種のドープを用いた溶液流延法を利用して製造することもできる。再び図4に示す位相差フィルム10bを例に挙げれば、例えば、図11に示す通り、異なる処方A及びBのドープをそれぞれ調製し、複数の流延口からそれぞれのドープを支持体表面に流延し、流延膜とした後、支持体上で加熱して溶媒を蒸発させて乾燥し、フィルムを得る。作製されるフィルムには、処方Aのドープからなる領域Aが側面端部のそれぞれに、及び処方Bのドープからなる領域Bが中央部に存在する。領域A及び領域Bとして所望のRe、Rthを発現する様に、あらかじめ処方A及びBをそれぞれ決定しておけばよい。その後、必要であれば、延伸処理などを施して、Re、Rthを調整することもできる。この方法によれば、連続的に所望の位相差フィルムが作製できる。また、流延口をさらに細分化し、ドープの種類を増加すれば、領域AのRe及び/又はRthが傾斜している(段階的もしくは連続的に減少又は増加している)、即ち、図9(a)及び(b)に示した理想的な光学特性により類似した光学特性を示す位相差フィルムを製造できる。
【0024】
また、フィルムの面内レターデーションReを調整する方法の一例として、所定の二色性重合開始剤を含有する硬化性コレステリック液晶材料を用い、且つ偏光照射の照射量等を制御する方法が挙げられる。所定の二色性重合開始剤を含有するコレステリック相に偏光紫外線を照射すると、コレステリック相の螺旋構造が歪みつつ、その硬化が進行し、形成された硬化膜には、コレステリック相の歪みによって面内レターデーションReが発現される。発現されるRe値は、偏光紫外線照射時の紫外線強度、照射量、消光比等に依存するので、それらの条件のうち一つもしくは二以上を調整することで、所望のRe値を発現できる。所定のパターンのフォトマスク等を介して、所定の条件で偏光照射することにより、Reが所望の範囲である領域、所望の位置のみに形成できる。また、その大きさは、フォトマスクの形状により、所望の大きさに調整できる。
なお、コレステリックフィルムのReを偏光照射によって調整する方法については、SID06 DIGEST 1539−1542等に記載され、また、この方法に利用可能な液晶材料については、Proc. IDRC, Vol.24, pp. 773-775 (2004)等に記載があり、前記透明フィルムの作製に利用できる。
【0025】
また、フィルムの厚み方向のレターデーションRthを調整する方法の一例として、フィルムに、エンボス加工を施す方法がある。エンボス加工とは、フィルムの表面に、細かい凹凸の連続した模様を作る処理をいう。フィルムのRthは、その厚みdに比例するので、例えば、一様な厚みのフィルムを作製した後、エンボス加工を施して、所定の位置に凹部を形成すると、凹部のRthは、凸部よりも小さくなる。エンボス加工によって凹部及び凸部を形成することにより、Rthが互いに異なる領域A及び領域Bを形成できる。エンボス加工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上で、模様が刻まれたエンボスリングをフィルムに押し当てることにより行なう。Rthの値は、エンボスリング等に刻まれた模様の深さや、押し当てる際の圧力、加工時の温度等により調整することができる。また、ドメインの大きさは、エンボス加工に用いるエンボスリング等に刻まれた模様の形状により所望の大きさに調整できる。
なお、エンボス加工については、特開2005−22766号公報の[0160]〜[0166]に詳細な記載があり、前記位相差フィルムの製造に利用することができる。
【0026】
上記方法を組み合せることで、Re及びRthの双方が互いに異なる領域を複数有する位相差フィルムを作製することもできる。
【0027】
(Re、Rthの測定)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び面外レターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、あるチルト角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、そのチルト角度より大きいチルト角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
【0028】
【数1】
注記:
上記式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
【0029】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
【0030】
なお、本明細書では、特に断らない限り(即ち、単にRe及びRthと記載されている場合は)、波長550nmのRe(550)及びRth(550)をいうものとする。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0032】
バックライトの熱によって、図6のグラフに示す温度分布が形成される液晶パネル内に、図4に示す構成の位相差フィルムを組み込み、表示ムラを観察した結果を下記表に示す。
なお、液晶パネル内の液晶セルの複屈折の温度依存性は、図7のグラフに示す通りである。また、領域A及びBとしては、下記表に示すRe及びRthをそれぞれ示す既存のポリマーフィルムを準備し、所定の大きさに切断し、液晶パネルの所定の位置に貼り付けた。上下領域Aは、画面上端、下端からそれぞれ画面寸法の10%の領域である。領域Bは、残りの80%の中心部の領域である。
【0033】
領域A及びBからなる位相差フィルムは、図2に示したとおり、バックライト側偏光板と液晶セルとの間に配置した。作製した液晶表示装置について、黒表示時の表示ムラを観察した。法線方向及び斜め方向(極角60度、方位角45度)のいずれの方向からも観察し、輝度分布の均一度を総合的に評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示した結果から、実施例の液晶表示装置は、Re及びRthが一様な位相差フィルムを用いた比較例の液晶表示装置と比較して、液晶パネルの輝度の均一度が改善されている、即ち、表示ムラが軽減されていることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施態様の断面模式図である。
【図2】本発明の液晶表示装置が有する液晶パネルの一例の断面模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の一実施形態の外観図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の一実施形態における位相差フィルムと、冷陰極蛍光管との位置関係を示す模式図である。
【図5】液晶パネルの面内にバックライトの熱によって形成される温度分布の一例である。
【図6】図5に示した温度分布の一例について、横軸に液晶パネル縦方向の位置、及び縦軸にその温度をプロットしたグラフである。
【図7】液晶セルの複屈折の温度依存性の一例を示すグラフである。
【図8】図6及び図7のデータから算出された、バックライトによって形成される液晶セル内の複屈折の分布の一例を示すグラフである。
【図9】図8に示す液晶セル内に形成される複屈折の分布を相殺するのに最適なRe及びRthをそれぞれ示すグラフである。
【図10】本発明に利用可能な位相差フィルムの製造法の例を説明するために用いた概念図である。
【図11】本発明に利用可能な位相差フィルムの製造法の例を説明するために用いた概念図である。
【符号の説明】
【0037】
10 液晶パネル
10a 液晶セル
10b 位相差フィルム
10c バックライト側偏光板
10d 表示面側偏光板
12 バックライト
12a 冷陰極蛍光管
12b 導光板
14 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも液晶セルを含む液晶パネルと、バックライト又はフロントライトとを備えた液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトの発熱によって形成される前記液晶セル内の複屈折分布を軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記位相差フィルムが、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1(但し、L1は正の有理数)以下であるA領域と、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1を超えるB領域とからなり、該A領域及びB領域の平均面内レターデーションReをそれぞれRe[A]及びRe[B]、該A領域及びB領域の平均厚み方向のレターデーションRthをそれぞれRth[A]及びRth[B]としたとき、Re[A]とRe[B]及び/又はRth[A]とRth[B]とが等しくないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
VAモードの液晶表示装置であって、前記位相差フィルムが、下記式(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置:
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B] 。
【請求項4】
前記位相差フィルムが、さらに下記式(3)を満足することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置:
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm 。
【請求項5】
前記位相差フィルムが、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶表示装置:
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm 。
【請求項6】
前記面内距離L1が、前記液晶パネルの画面寸法基準5〜15%であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記領域Aの面積が、前記液晶パネルの画面面積の10〜30%であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記領域Aにおいて、Re及び/又はRthが傾斜していることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記位相差フィルムが、前記領域Aに対応する少なくとも一枚のフィルムと、前記領域Bに対応する少なくとも一枚のフィルムとを、一部を積層させて又は非積層で組み合せてなることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
少なくとも液晶セルを含む液晶パネルと、バックライト又はフロントライトとを備えた液晶表示装置であって、前記バックライト又はフロントライトの発熱によって形成される前記液晶セル内の複屈折分布を軽減する位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記位相差フィルムが、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1(但し、L1は正の有理数)以下であるA領域と、前記バックライト又はフロントライトの光源からの面内距離がL1を超えるB領域とからなり、該A領域及びB領域の平均面内レターデーションReをそれぞれRe[A]及びRe[B]、該A領域及びB領域の平均厚み方向のレターデーションRthをそれぞれRth[A]及びRth[B]としたとき、Re[A]とRe[B]及び/又はRth[A]とRth[B]とが等しくないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
VAモードの液晶表示装置であって、前記位相差フィルムが、下記式(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置:
(1): Re[A]>Re[B]
(2): Rth[A]<Rth[B] 。
【請求項4】
前記位相差フィルムが、さらに下記式(3)を満足することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置:
(3): 3nm≦ Re[A]−Re[B]≦ 8nm 。
【請求項5】
前記位相差フィルムが、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする請求項3又は4に記載の液晶表示装置:
(4): 5nm≦ Rth[B]−Rth[A]≦ 30nm 。
【請求項6】
前記面内距離L1が、前記液晶パネルの画面寸法基準5〜15%であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記領域Aの面積が、前記液晶パネルの画面面積の10〜30%であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記領域Aにおいて、Re及び/又はRthが傾斜していることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記位相差フィルムが、前記領域Aに対応する少なくとも一枚のフィルムと、前記領域Bに対応する少なくとも一枚のフィルムとを、一部を積層させて又は非積層で組み合せてなることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−242171(P2008−242171A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83887(P2007−83887)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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