説明

液晶表示装置

【課題】より薄い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液晶パネル120と、液晶パネル120の背面に設けられた導光板121と、導光板121の左右側面1対のLED搭載基板123を配置する。LED搭載基板123のLED非搭載面に接続されたヒートシンク101の側面外側に凹部101fを設け、そこにLED駆動回路125を配する。LED駆動回路125は、直列接続された複数のLED124を含み、並列接続された複数のラインと、オンオフコントローラと、ラインに流れる電流値を測定する電流測定手段と、を有し、ラインは、LEDを流れる電流をオンオフするスイッチを直列接続して構成されて、定電圧源から一定の電圧を印加され、電流測定手段が測定するライン各々の電流値に基づき、オンオフコントローラはライン各々のスイッチのオンオフ期間を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特にバックライト光源をサイドに配する方式を用いた薄型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)やプラズマディスプレイパネル等の発光型の表示装置と、液晶表示装置等の非発光型の表示装置に大別できる。
【0003】
非発光型の表示装置としては、画像信号に応じて光の反射光量を調節する反射型の光変調素子を用いるものと、画像信号に応じて光の透過光量を調整する透過型の光変調素子を用いるものがある。特に、透過型の光変調素子として液晶表示パネルを用い、その背面に照明装置(バックライトとも呼ぶ)を備える液晶表示装置は薄型、軽量であることから、コンピュータのモニターやテレビ受像機(TV)等さまざまな表示装置として採用されている。
【0004】
液晶パネルの表示原理としては、主流のTN(ツイステッドネマチック)の他に、広視野角を特徴とするIPS(インプレーンスイッチング)、MVA(マルチドメインバーチカルアライメント)等が用いられるが、いずれも、表示エリア部の背面に設置されたバックライトより光を照射し、液晶パネルはバックライトから照射された光の透過率を制御することにより画像を形成するものである。
近年、これらの液晶表示装置について高輝度化、色再現範囲の拡大の要求が高まっている。又薄型TVの普及に伴い壁掛けを可能とするTVのニーズが高まっている。
液晶表示装置においては、薄型化を進めるため、バックライト光源を液晶パネル背面に位置するのではなく、サイドに配置するサイドライト方式が提案されている。
【0005】
特許文献1には、液晶パネル背面にLED(Light Emitting Diode)を配置し、LED駆動回路をLEDの背面に配置する例が記載されている(特許文献1、図8)。
液晶表示装置のバックライトに要求される特性としては、明るさや色が変化しないことが望まれる。しかしながら、LEDは温度によって発光効率が変化するという特性があるため、点灯中の自己発熱の影響でその明るさが変化してしまう。よって、温度変化に対して明るさや色が変化しないような補償技術が必要となる。
【0006】
特許文献2には、LEDの経時的明るさの変動(以下、明るさ変動と称する)を補償する技術として、光センサを設け個々のLEDの出射光量を検出することによって、LEDの駆動条件にフィードバックをかけ、LEDの明るさ変動を防止する技術が記載されている(特許文献2、図14)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−258972号公報
【特許文献2】特開2005−310997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年、32型を越える大画面の液晶TVなどが普及しており、これを実現するためには、広い面内に多数のLEDをほぼ均等に配置する必要が出てきており、前記特許文献2の技術では多数のLEDの明るさ変動を補償するのが困難となる。
【0009】
例えば、光センサを用いた補償技術においては、多数のLEDを用いる場合、LEDと光センサの位置関係は個々のLEDにより異なるため、光センサに受光される個々のLEDからの光量は異なってしまう。よって光センサとLEDの位置関係を補正する補正テーブルを設け演算を行うことにより、個々のLEDから出射された光量を見積もるといった複雑な処理が必要となり回路コストが増大してしまう。
【0010】
又、多数の光センサを使用することが必要となってしまい光センサ個数が増大しコストアップの要因となる。又、RGB(赤緑青)個別のLEDを用いるなど、多原色の光源を用いた場合、光センサにカラーフィルタを配置し、色毎の光を検出しなくてはならないためコストが増大するという問題がある。
【0011】
又、特許文献2に記載された従来技術では、LED駆動回路が複雑でその占める面積が大きくなり、液晶表示装置の背面側に配置せざるを得ず、電源回路、液晶表示パネルの表示制御用回路等全てを背面側に配置することになり、液晶表示装置が厚くなるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より薄い液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、第1の発明は、液晶パネルと、液晶パネルの背面に配置した導光板と、導光板の両側面に対向して配置した一対のLED搭載基板と、LED搭載基板の導光板側の面に実装した複数のLEDと、液晶パネルの側に配置した第1のフレームと、導光板の背面側に配置した背面カバーと、を備え、一対のLED搭載基板は液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
LED搭載基板の導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、ヒートシンクの更に左右外側であって、ヒートシンクと、第1のフレーム又は背面カバーの側面部と、の間に配置されたLEDを直列化して駆動するLED駆動回路と、を備えることを特徴とする。
【0014】
第1の発明によれば、LEDを直列化して駆動するLED駆動回路とするのでLED駆動回路がコンパクトになり液晶表示装置の側端側に配置することが可能となる。その結果、液晶表示装置の背面側に配置する回路を少なくできる。
【0015】
又、第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、LED駆動回路は、直列接続された複数の前記LEDを有するラインを複数並列接続させたものと、ラインの通電をオンオフ制御するオンオフ制御手段と、ラインに流れる電流値を測定する電流測定手段と、を有し、ラインは、LEDを流れる電流をオンオフ制御手段に制御されてオンオフするスイッチを直列接続して構成されて、定電圧源から所定の電圧を印加され、オンオフ制御手段は、電流測定手段が測定するライン各々の電流値に基づき、ライン各々のスイッチのオンオフ期間を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、LEDの温度変化に対してもLEDの発光量を制御して色むらや輝度むらを抑制できるコンパクトなLED駆動回路とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、より薄い液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成斜視図であり、図2は図1のX−X
矢視断面図である。図3は液晶表示装置のLED搭載基板とLED駆動回路基板との接続配置を説明する前面側から見た配置図である。
【0019】
《全体構成》
本実施形態では図1に示すように、説明上液晶パネル120の表示画面を基準として上下左右及び前背面を定義する。つまり、液晶表示装置1Aを観る使用者が液晶パネル120の表示画面に正対したときに、手前側である表示画面側を「前面」、奥側を「背面」とし、使用者に向かって右側を「右」、左側を「左」と定義する。
本実施形態の液晶表示装置1Aは、主要構成要素として液晶パネル120、導光板121、LED124、LED搭載基板123、ヒートシンク101により構成されている。又、他の構成要素として、第1のフレーム137、第1のゴムクッション131、第2のゴムクッション132、第2のフレーム138、緩衝体133、光学シート134、第1の反射シート135、第2の反射シート136、第3のフレーム139、背面カバー122、LED駆動回路125(図2参照)、回路基板140(図2参照)等を有している。
【0020】
次に、前面側から各構成要素の配置と機能を、図2を参照しながら説明する。
(第1のフレーム、液晶パネル及び第2のフレーム)
第1のフレーム137は、液晶パネル120の前面に配置され、液晶表示装置1Aの前面カバーとしての機能を有する。又、第1のフレーム137は液晶表示装置1Aの表示エリア部が開口された形状となっている。第1のフレーム137の前記開口の左右端側の縁部前面には、第2のフレーム138をヒートシンク101の躯体部101aの前面に設けられた図示しないねじ孔に固定ねじ201で共締めするための図示しない孔が設けられている。
【0021】
第1のフレーム137の背面側に液晶パネル120が配置される。液晶パネル120は2枚の基板間に液晶を挟持した構成をしており、液晶のオン/オフにより導光板121から出射した光の透過/遮断を制御する光シャッタとしての機能を有する。
液晶パネル120は、第1のフレーム137と四角枠状の第2のフレーム138との間に、四角枠状の第1のゴムクッション131及び第2のゴムクッション132を介在させて挟持した構成である。
【0022】
具体的には、第1のフレーム137の前記開口縁部の背面と、液晶パネル120の前面の縁部との間に、第1のゴムクッション131が介設され、同様に、液晶パネル120の背面の縁部と、第2のフレーム138の前面の縁部との間に、第2のゴムクッション132が介設され、液晶パネル120を前面側と背面側との両方から弾性的に押圧して、第1のフレーム137と第2のフレーム138で支持する。
第1及び第2のフレーム137、138は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)等の金属板からなる。第1及び第2のゴムクッション131、132は緩衝材としての機能も有する。
【0023】
(光学シート、緩衝体)
光学シート134(図1参照)は第2のフレーム138の背面側に、四角枠状の緩衝体133を挟んで配置され、導光板121から出射した光の更なる面内均一化、又は、前面側方向の輝度を向上させる指向性付与機能を有する。図1では、代表的に1枚の光学シート134で表示したが、図2では前面側から3枚の光学シート134A、134B、134Cの順で配置してある。ここでは、光学シート134Aは光の特定の振動面を有する光を反射し、他を透過させる反射偏向板であり、光学シート134Bは前面側方向の輝度を向上させるプリズムシートであり、光学シート134Cは、光の更なる面内均一化を図る拡散シートである。
【0024】
本実施形態では、光学シート134として前記した3枚の光学シート134A、134B、134Cを組み合わせて使用しているが、これに限定されず、1枚の光学シートが多層構造を有し、反射偏向板の機能とプリズム機能と拡散機能の少なくとも2つの機能を併せ持つ光学シートを用いて、光学シート134の枚数を少なくしたものでも良いし、逆に拡散シートを複数枚組み合わせても良い。
【0025】
緩衝体133は、弾性があって、光学シート134と摺動性(低摩擦性、易滑性)があり、光学シート134の表面に摺動による傷をつけないものが好ましい。例えば、内部の芯をウレタンスポンジとし、その外側に銀(Ag)コーティングしたナイロン繊維布で覆い、更にニッケル(Ni)メッキしたものとか、シリコーン(Si)ゴムスポンジの表面をフッ素樹脂コーティング又はフッ素樹脂テープで覆ったものが考えられる。
【0026】
(第1の反射シート)
第1の反射シート135は、樹脂製シートであり、光学シート134(134A、134B、134C)の背面側に配置される。
第1の反射シート135は液晶表示装置1Aの表示エリア部に対応する四角形の開口部を有する四角枠状のシートであり、前記開口部周囲の開口縁部135aは、左右端側が前面側に立ち上がり、その立ち上がり部135bのLED搭載基板123側の面が接着剤、又は、両面テープ等の接着部材173によりLED搭載基板123と接着されている。
第1の反射シート135はLED124から出た光のうち、導光板121の入射面121aに入射しない光を反射して入射面121aに入射させる機能、及びLED124近傍の導光板121の出射面121bから出た光を再び導光板121に戻すための機能を有する。
【0027】
LED124近傍ではRGBのLED124からの出射光が十分混ざっておらず不均一となっており、この部分を表示エリア部にすることはできない。そこで、LED124近傍の光を第1の反射シート135によって導光板121に戻すことにより、色の均一化を図ると共に光のロスを減らすことができる。
第1の反射シート135は、開口縁部135aの導光板121と重なる領域より左右外側に少なくとも伸縮吸収部135dを有している。図2の例では、伸縮吸収部135dは波状のフレキシブルな皺を第1の反射シート135に予め付けて伸縮吸収部135dとしたものである。伸縮吸収部135dは波状のフレキシブルな皺に限定されず、コの字状のビード皺を第1の反射シート135に予め付けたものでも良い。
導光板121が左右方向に伸縮して第1の反射シートが左右方向に引きずられても、伸縮吸収部135dで伸び縮みを吸収できる。その結果、縮んだときに接着部材173が剥がれず、LED124近傍の良好な反射状態が維持される。
【0028】
なお、伸縮吸収部135dは、開口縁部135aの左右方向側だけでなく上下方向側にも設けて、導光板121の前面側を囲む連続したものとしたほうが、導光板121の面状の伸縮に対しても対処しやすい。
【0029】
《導光板、LED、第2の反射シート、ヒートシンク等》
導光板121は液晶パネル120の背面に配置される。導光板121の左右両側面には、対向して1対のLED搭載基板123が配置される。
なお、左右両側面に配置されたそれぞれのLED搭載基板123は、1枚ものである必要は無く、分割されていても良い。
LED搭載基板123上にはRGBからなるLED124が長手方向(上下方向)に一列に複数個搭載される。ヒートシンク101はLED搭載基板123のLED非搭載面、つまり、導光板121の側と反対側に熱伝導接着部材171(図2参照)を用いて接着される。板状の第2の反射シート136は、導光板121の背面側に配置される。
以下にそれぞれの詳細な構成と機能を説明する。
【0030】
(導光板)
導光板121はアクリル等の透明な樹脂からなり、LED124から出た光を面光源に変換する機能を有する。導光板121の入射面121aに入射した光は、導光板121内を全反射して伝播し、導光板121の背面に印刷された図示しない反射ドットにより散乱され、導光板121の出射面121bから前面側に取り出される。導光板121の入射面121aと後記するLED124のレンズ142との間には、横方向の空間が設けてあり、導光板121がLED124に照射されて熱膨張した場合の伸び代となっている。
【0031】
(第2の反射シート)
第2の反射シート136はLED124から出た光のうち、直接に導光板121の入射面121aに入射しない光を反射して入射面121aに入射させることにより、光利用効率を高める機能とともに、前記反射ドットにより散乱され全反射条件から外れて導光板121の背面側に出た光を再び導光板121に戻す機能を有する。そのために、導光板121の背面側に隣接して配置され、その側端部136aの前面側がLED搭載基板123の背面側端面と対向して摺動し、更に、側端部136aがヒートシンク101の後記する溝101d内に挿入され、溝底面101eに当たらないように設定される。
【0032】
(LED)
LED124は表示のための光を発する機能を有する。
LED搭載基板123は、例えば、セラミック基板からなり、LED124を搭載するとともに、LED搭載基板123上に形成した配線パターンを介してLEDに電流/電圧を供給する。又、LED搭載基板123はLED124から出射した光を効率よく導光板121に導くための反射板としての機能も併せ持つ。又、低熱抵抗のセラミックを用いることにより、LED124で発生した熱を外部に伝導させやすくすることができる。
なお、LED搭載基板123はセラミックに限定されず、光の反射効率が良く、熱伝導性及び電気絶縁性が高いものであれば良く、樹脂板でも良い。
上下方向に1列に配列されたLED124は、透明の樹脂により略半円柱状にモールドされ、この成形された略半円柱状の透明樹脂がレンズ142を構成する。
【0033】
左右のLED搭載基板123上に配置されたRGBの各LED124への電力は、ヒートシンク101の左右側面の外方側に配置されたLED駆動回路基板(LED駆動回路)125からコネクタ143A、FPC(フレキシブルプリント配線板)144A、コネクタ143Bを介して供給される(図3参照)。ここで、FPC144A、後記するFPC144Bは両端にコネクタを有している。
LED駆動回路125は、電気回路をプリントした基板の上に各種構成部品を搭載したLED駆動回路用のプリント基板であり、接着剤を兼ねる断熱部材174を介してヒートシンク101の後記する凹部101fに固定されている。
LED駆動回路基板125は、図2に示す第3のフレーム139の背面側に配置された回路基板140のLED電源回路部140a(図3参照)から所定の直流電圧をコネクタ143C、FPC144B、コネクタ143Dを介して供給される。
LED駆動回路基板125とLED電源回路部140aの回路構成については図4を参照しながら詳細に後記する。
【0034】
(ヒートシンク)
ヒートシンク101は熱伝導性の優れた銅、アルミニウム等の材質からなり、例えば、熱伝導性テープ又は銀ペースト等の熱伝導接着部材171によりLED搭載基板123と密着させられ、LED124の発熱を効率よく受熱するための機能を有する。ヒートシンク101は、液晶表示装置1Aの左右の側端部に平行に配置されて液晶表示装置1Aの構造部材を兼ね、略直方体の躯体部101aと、背面側でL字型に左右内側に伸び、第3のフレーム139を保持するとともに、放熱用のフィン101cの基部ともなっている保持基部101bとから構成されている。
躯体部101aの前面側には、前記した固定ねじ201に対応した図示しないねじ孔を設けてあり、その前面側に第2のフレーム138、第1のフレーム137の順に重ねて固定ねじ201で共締めできるようになっている。
又、躯体部101aの背面側には、前記した固定ねじ201に対応した図示しないねじ孔を設けてあり、固定ねじ201で背面カバー122を固定できるようになっている。
【0035】
そして、ヒートシンク101の躯体部101aの左右内面側には第2の反射シート136の側端部136aを受け入れる溝101dが上下方向に設けられ、その溝底面101eと側端部136aの端面との間には伸び代の空間が設けられている。
又、躯体部101aの左右外面側にはLED駆動回路基板125を収容可能に凹部101fが設けられ、躯体部101aの前面側と左右外面側には上下方向に複数箇所、凹部101fにまで連なる前記FPC144Aを通すための連通溝101gが設けられている(図1参照)。
【0036】
(第3のフレーム)
第2の反射シート136の背面側には第3のフレーム139が配置される。第3のフレーム139は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)等の金属板からなる。第3のフレーム139は、保持基部101bの前面側で保持され、前面側に押圧され、第2の反射シート136を前面側に押圧し、更に、その前面側に配置された導光板121等を前面側に押圧し、導光板121の反り返りを防止する。
なお、第3のフレーム139は背面側への撓みを小さくして反射シート136、導光板121等を均一に押圧できるように、剛性を持たせるために上下端から前面側に延出されたリブを有している。
【0037】
(背面カバー)
背面カバー122はヒートシンク101の背面に配置される。図2に示すように、第3のフレーム139と背面カバー122の間には上下方向に連なった空間が設けられており、その空間にヒートシンク101の放熱部であるフィン101cが保持基部101bから多数伸びている。
背面カバー122は樹脂板からなり、液晶表示装置1Aの背面の保護カバー及び液晶表示装置1Aの構造部材の役目をしていると同時に、ヒートシンク101からの熱伝導を阻止する断熱材の機能を有している。第1のフレーム137及び背面カバー122の下側面には吸気のための、第1のフレーム137及び背面カバー122の上側面には排気のための通気口107を設けてある。
又、第3のフレーム139と背面カバー122との間の上下方向に連なった空間の左右中央部には回路基板140を配置し、背面カバー122に固定してある。
回路基板140は、LED124に供給する直流電源や液晶パネル120を制御する直流電源等の電源回路、LED124を制御する回路、液晶パネル制御回路等を含んでいる。
【0038】
《組み立て順》
次に本液晶表示装置1Aの組み立て順を図2及び図3を参照しながら説明する。
(1)回路基板140を背面カバー122の前面側に固定し、更に背面カバー122にLED搭載基板123を接着済みの左右のヒートシンク101を固定ねじ201で固定して、前面側を上にして水平状態にする。
このとき、回路基板140の一部であるLED電源回路部140a(図3参照)からLED駆動回路基板125に直流電圧を供給するFPC144Bの一方のコネクタもLED電源回路部140aに接続し、前記FPC144Bの他方のコネクタ側は躯体部101aの図示しない連通溝から左右側面側に引き出しておく。ヒートシンク101と背面カバー122をねじ固定後、LED電源回路部140a(図3参照)からのFPC144Bの他方のコネクタをLED駆動回路基板125のコネクタ143D(図3参照)に接続する。
(2)次いで、第3のフレーム139を保持基部101bの前面側に載せ、更にその上に反射面を上にして第2の反射シート136をその側端部136aを溝101dに挿入しながら、かつ、溝底面101eから左右とも等しい伸び代を確保するように載せる。
(3)その後、導光板121を左右の中央になるように配置する。そして、導光板121の上に第1の反射シート135を重ねる。このとき、立ち上がり部135bのLED搭載基板123と対向する領域には接着材が前以て塗布されており、LED搭載基板123側に押圧して接着する。
(4)その次に、FPC144Aの一方のコネクタをLED駆動回路基板125のコネクタ143Aに、他方のコネクタをLED搭載基板123のコネクタ143Bと接続し、FPC144Aを連通溝101gに挿入する。
【0039】
(5)次いで、3枚の光学シート134C、134B、134Aが、この順に第1の反射シート135の上に重ねられる。更に、緩衝体133、第2のフレーム138、第2のゴムクッション132、液晶パネル120、第1のゴムクッション131の順に重ねられる。
(6)最後に、第1のフレーム137が液晶表示装置1Aの前面縁部と左右側面、上下面を覆うように被せられ、躯体部101aの前面に設けられた図示しないねじ孔に前面から固定ねじ201を挿入して締め付ける。
【0040】
この結果、保持基部101bの前面側と第1のフレーム137の背面側との間に、第1のゴムクッション131、液晶パネル120、第2のゴムクッション132、第2のフレーム138、緩衝体133、光学シート134A、134B、134C、第1の反射シート135、導光板121、第2の反射シート136、第3のフレーム139が押圧保持されることになる。
なお、第1のフレーム137、第1のゴムクッション131、液晶パネル120、第2のゴムクッション132、第2のフレーム138は、接着剤で接着されて、あらかじめ組み立てられて、サブアセンブリとなっていることが多い。
又、回路基板140を背面カバー122の前面側に固定する代わりに、第3のフレーム139の背面側に固定するようにしても良い。
【0041】
《LED駆動回路》
次に図4を参照しながらLED駆動回路の構成について詳細に説明する。
図4はLED駆動回路に供給される定圧電源と、LED駆動回路の回路図である。
図4では導光板121(図3参照)の左右側面側にそれぞれ配置されたLED搭載基板123のうちの左側の方だけのLED駆動回路基板125と、それに所定の一定電圧を供給するLED電源回路部140aを示したものである。LED駆動回路基板125は導光板121の右側の方にも同様に配置する。図4中では、LED124を、赤(R)を発光するLED124R、緑(G)を発光するLED124G、青(B)を発光するLED124Bと区別して表示している。RGBを区別する必要がない場合は、単にLED124と称する。
本実施形態では、LED駆動回路基板125はブロック制御部20A、20Bを有し、ブロック制御部20A、20Bが、上下方向に1列にLED搭載基板123上に所定の周期でRGBに配置されたLED124を上下に、2つのブロックBL1、BL2に区切り、ブロックBL1、BL2ごとにそれに含まれるLED124の駆動電流を制御する。
【0042】
(LED駆動回路の定電圧源)
LED駆動回路基板125は、交流電源を整流して所定の電圧の直流電流を供給するLED電源回路部140aから、直流電流を供給される。LED電源回路部140aは、回路基板140の一部を構成しており、第3のフレーム139と背面カバー122との間の空間に配置されている。LED電源回路部140aはトランス11、整流回路12、平滑回路13、スイッチングレギュレータ14、降圧チョッパ15を有し、スイッチングレギュレータ14から所定の直流電圧VGBを、降圧チョッパ15を介して所定の直流電圧Vを出力する。
【0043】
LED電源回路部140aはAC電源入力をトランス11により増圧し、整流回路12及び平滑回路13で一定直流電圧を発生させている。その電圧をスイッチングレギュレータ14により調整し、G及びBの定電圧源(電圧VGB)として使用している。G、Bの電圧VGBを降圧チョッパで降圧し、これをRの定電圧源(電圧V)として使用している。このように、複数の原色の定電圧源VGB、Vを共通化することにより、LED電源回路部140aの低コスト化を図っている。
【0044】
図4においては、定電圧源VGB、Vに対して破線枠で示したコネクタ143を介してラインL1〜L12に所定の直流電圧を供給しているように簡略化して表示してある。具体的には図3に示すように定電圧源VGB、Vは、LED電源回路部140aから、ヒートシンク101の凹部101gに配置された1対のLED駆動回路基板125に、FPC144B(図3参照)により供給され、LED駆動回路基板125内の図示しない電源供給配線経由で前記したコネクタ143A、FPC144A、コネクタ143Bを介してLED搭載基板123の各ラインL1〜L12に供給される。
【0045】
(LEDのライン構成)
本実施形態では、2つの前記した各ブロックBL1、BL2に含まれるLED124がそれぞれの原色毎にLED124R、124G、124Bが直列接続され、この直列接続された各ラインL(図4中、L1〜L12と表示)は、直列に接続されたスイッチSW(図4中、SW1〜SW12と表示)を含んでいる。又、各原色のラインLは並列に接続されている。
【0046】
図4に示した例では、1つのブロックBL1、BL2中のLED124R、124G、124Bはそれぞれ2つのラインLに更に分けられている。ブロックBL1を例に取ると、LED124RはラインL1とラインL4に分けられている。
前記したブロック制御部20Aは、オンオフコントローラ(オンオフ制御手段)21、シフトレジスタ22、バイパススイッチ23、電流測定抵抗器25、アナログデジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)26、コネクタ143B(図3参照、図4では単にコネクタ143と表示)、前記スイッチSW(SW1〜SW6)を含んでいる。同様に、前記したブロック制御部20Bは、オンオフコントローラ21、シフトレジスタ22、バイパススイッチ23、温度センサ24、電流測定抵抗器25、A/D変換器26、コネクタ143B(図3参照、図4では単にコネクタ143と表示)、前記スイッチSW(SW7〜SW12)を含んでいる。
ここで電流測定抵抗器25とA/D変換器26が請求項に記載の電流測定手段を構成する。
以下に、ブロック制御部20Aを代表に、内部の電気的接続関係とそれぞれの機能を説明する。
【0047】
(オンオフコントローラ)
オンオフコントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリや、周辺回路を備えたマイクロコンピュータであり、ROMに格納されたプログラムを実行して、スイッチSW(SW1〜SW12)や、バイパススイッチ23のオンオフ制御をする。
オンオフコントローラ21は、ROMに格納されたデータの形で条件テーブル(条件情報)21aを有している。条件テーブル21aは、温度センサ24からの温度信号とA/D変換器26が測定した各ラインの電流値とから後記する各ラインLのLEDの発光デューティ(オンオフ期間)を決めるためのものである。詳細は後記する。
【0048】
オンオフコントローラ21は、温度センサ24からの温度信号とA/D変換機26からの電流値が入力される。そして、オンオフコントローラ21は、シフトレジスタ22を介してスイッチSW(SW1〜SW6)にゲート信号(Hi電圧、又はLow電圧)を、又直接バイパススイッチ23にゲート信号(Hi電圧、又はLow電圧)を出力する。
オンオフコントローラ21は、ゲート信号によりスイッチSW(SW1〜SW6)とバイパススイッチ23をオンオフ制御して、後記する電流測定期間T(図7参照)に各ラインの電流値を測定して、そのラインの発光効率を検出して条件テーブル21aを参照し、発光デューティを算出する。
次いで、後記するLED発光期間T(図7参照)において、算出した発光デューティに従って、バイパススイッチ23をオン状態とし、スイッチSW(SW1〜SW6)を制御してスイッチSW(SW1〜SW6)オン状態の期間を制御し、輝度を制御する。
【0049】
各ラインLの低電位側に直列接続されたスイッチSW(SW1〜SW6)の低電位側は、共通接続され、この電位点P1と回路の基準電位(GND)との間に電流測定抵抗器25が接続され、電流測定抵抗器25に並列にバイパススイッチ23が接続されている。
各ラインLのスイッチSW(SW1〜SW6)は、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチを用いることができる。ここでは、各ラインのスイッチSW(SW1〜SW6)にMOSFETを使用している。
【0050】
電流測定抵抗器25は、高精度な抵抗器でありその抵抗値は予め既知であるとする。電位点P1の電位はA/D変換器26でデジタル信号に変換され、オンオフコントローラ21に入力される。
オンオフコントローラ21から出力されるスイッチSW(SW1〜SW6)への制御信号は、一旦シフトレジスタ22に入力され、シフトレジスタ22から個々のスイッチSW(SW1〜SW6)のゲートに出力される。
バイパススイッチ23は、電流測定抵抗器25に並列に電位点P1と基準電位GNDとの間に設けられ、例えば、2個並列に接続されたMOSFETで構成されている。バイパススイッチ23のゲートにもオンオフコントローラ21からの制御信号Vbが出力される。
【0051】
バイパススイッチ23、電流測定抵抗器25をこのように並列に配置し、オンオフコントローラ21が、バイパススイッチ23をオフの状態に、スイッチSW1〜スイッチSW6のうちの1つだけをオンの状態に制御することによって、各ラインL(L1〜L6)の電流IR1、IG1、IB1、IR2、IG2、IB2を一つの電流測定手段(電流測定抵抗器25とA/D変換器26)で測定することが可能となる。
ちなみに、電流測定抵抗器25を電流Iが流れるときの電流測定抵抗器25での電圧降下をA/D変換器26で測定すれば、オームの法則により電流測定抵抗器25の予め既知の抵抗値から電流値Iを算出できる。
【0052】
なお、図4中各ラインL1〜L12の最下流のLED124及び温度センサ24は、破線枠で示したコネクタ143を介してそれぞれスイッチSW1〜SW12、又はオンオフコントローラ21と接続しているように簡略化して表示してあるが、具体的には図3に示すようにコネクタ143B、FPC144A、コネクタ143Aを介して、LED駆動回路基板125内のスイッチSW1〜SW12、又はオンオフコントローラ21と接続している。
【0053】
(LEDの発光量の制御の原理)
以下にLEDの発光量の制御の原理を説明する。
図5はLEDの順方向一定電圧に対する電流の特性のLEDジャンクション温度Tj依存の一例を示すグラフである。図6は一定電流が流れた場合のLEDの発光効率のLEDジャンクション温度Tj依存を示すグラフである。
図5において、ある一定の電圧を印加するとLEDジャンクション温度Tjの上昇と共に電流が増大していることが分かる。つまり、LED124にある一定の電圧を印加し、流れた電流を測定することによって、図5のグラフからLEDジャンクション温度Tjを知ることができる。LEDジャンクション温度Tjが分かれば、図6より発光効率を知ることができるので、LED124の動作時点における発光効率に対応した投入電力を与えることが可能になる。投入電力は一定電圧印加の下、その印加時間を調整することによって可変とすることができる。
【0054】
本実施形態は、以上のようにLED124の電気的特性を測定することによって、LEDジャンクション温度Tjを間接的に測定できることに着目してなされたものである。この方法を用いれば、特許文献2に記載の従来技術のようなLEDと光センサの空間的な位置の違いに左右されずLEDの発光効率を見積もることが可能になる。
【0055】
(LED駆動回路の動作説明)
以下に図7を用いて図4のLED駆動回路の動作を説明する。図7は本実施形態における図4に示したLED駆動回路の各ラインLのオンオフ制御のシーケンスを示す図である。
本実施形態においては、電流測定期間Tと、LED発光期間Tに区分している。電流測定期間Tは各ラインLの電流値を測定する期間であり、LED発光期間TはLED124を発光させてバックライトとして動作させる期間である。オンオフコントローラ21は、所定の時間Tの電流測定期間と、所定の時間TのLED発光期間とを組み合わせた一定周期で制御を繰り返す。例えば、60Hz以上(約16.6 ミリ秒周期以下)で繰り返す。これは、各ラインLのLED124が間欠点灯しているのが人間の目に分からなくするためである。この周波数が60Hzよりも低いと、LED124の点滅が人間の目にちらつきとなって検知されてしまう。
【0056】
又、電流測定期間Tは100マイクロ秒とする。電流測定期間Tでは、後記するように各ラインLに時分割で電流を流してその電流値を測定するが、この期間が長いと人間の目に1ラインだけ光っているのがわかってしまう。よって、これを人間の目にわからないようにするために極めて短い時間だけ電流を流して電流値を測定する。
【0057】
各ラインLの電流値を測定するために必要な時間は回路の時定数、つまり、電流が落ち着くまでの時間と、A/D変換器26がアナログ信号をデジタル信号に変換する時間程度でよく、数十マイクロ秒で十分である。本実施形態では各ラインLの電流を、例えば、20マイクロ秒で測定する。よって3ライン分の電流を測定する電流測定期間Tは60マイクロ秒である。
【0058】
ここで、図7中のSW1〜SW6は、各ラインL(L1〜L6)のスイッチSW(SW1〜SW6)のオン、オフ状態を示しており、Hi電圧となったときに、スイッチSW(SW1〜SW6)がオンし、Low電圧となったときにスイッチSW(SW1〜SW6)がオフする。又、IはA/D変換器26で測定された電流値であり、Iはバイパススイッチ23がオンのときに流れる電流を表している。
【0059】
最初の周期の電流測定期間TにラインL1〜L3のスイッチSW(SW1〜SW3)を1つのみオン状態にして他の2つのラインとラインL4〜L6のスイッチSW(SW4〜SW6)オフ状態にして各ラインL1〜L3の電流値IR1、IG1、IB1を測定する。そして、測定された電流値IR1、IG1、IB1に基づきLED発光期間TでのラインL1〜L3の発光デューティ(オンオフ期間比)を決定する。又、次の周期の電流測定期間TにラインL4〜L6のスイッチSWを1つのみ順次オンとして、各ラインL4〜L6の電流値を測定し、ラインL4〜L6の発光デューティを決定する。この場合、連続する2つの周期の間ではラインL1〜L6のうちのの半数(L1〜L3、又はL4〜L6)のラインLの発光デューティは変化しない。このように、電流測定期間Tに測定するラインの数は自由に選んでよく、例えば、1周期の電流測定期間TにラインL(L1〜L6)の中の1つのみの電流値の測定を行っても良い。
【0060】
図7のIはバイパススイッチを流れる電流値を示す。LED発光期間T中にはバイパススイッチ23に大電流が流れる。従って、バイパススイッチ23に電流が流れて発生する電圧降下が、ラインL(L1〜L6)に供給される直流電圧VGB、Vに比べて無視できる程度に低くする必要がある。このためバイパススイッチ23のオン抵抗は、非常に低いことが求められる。本実施形態ではバイパススイッチ23にMOSFETを用いたが、オン抵抗を低減するために2つのMOSFETを並列に接続した。こうすることにより、LED発光期間中の測定抵抗器25による発熱をより抑えると共に、バイパススイッチ23の電圧降下を低減している。
【0061】
オンオフコントローラ21は条件テーブル21aを有しており、各ラインLの電流値IR1、IG1、IB1、IR2、IG2、IB2から各ラインL(L1〜L6)に含まれるLED124の効率を換算し、LED発光期間T中の各ラインL(L1〜L6)の発光デューティを制御することによって明るさの変動を補償する。つまり、効率と供給電力の積が常に一定となるように時間平均電力を調整し、常に同一の明るさを得る。
【0062】
なお、ここでは発光デューティは、図7に示すLED発光期間T中のオン時間の比率であり、図8のように定義している。従って、発光デューティが100%でも1つの周期中の電流測定期間Tは、本来のバックライトの機能としての発光をしていない。この電流測定期間Tを短くすることによって、液晶表示装置1Aの使用者は、目の残像現象により点滅は感じなくて済む。
オンオフコントローラ21はLED発光期間Tには制御信号VbをHi電圧にすることによってバイパススイッチ23をオン状態とし、電流をバイパスさせる。これにより、LED発光期間T中の電流測定抵抗器25による発熱を防止することができる。
【0063】
本実施形態では、オンオフコントローラ21はシフトレジスタ22に各ラインL1〜L6のオンオフ情報をシリアル伝送し、シフトレジスタ22はオンオフ情報をパラレル変換することにより各ラインL(L1〜L6)のスイッチSW(SW1〜SW6)のオンオフを制御している。シフトレジスタ22を用いることにより、オンオフコントローラ21のピン数を削減することができる。これはライン数が非常に多い場合に有効である。1つのオンオフコントローラが制御するライン数が少ない場合には、シフトレジスタ22を省略して、オンオフコントローラ21で直接スイッチSW(SW1〜SW6)のゲート電圧を制御しても良い。
【0064】
(条件テーブル)
ここで、図9、図10、図11を用いて条件テーブル21aの設定方法について説明する。
図9は一定電圧を印加した場合の、電流とLEDジャンクション温度Tjの変化を示すグラフである。図10は一定電圧を印加したときの各電流値におけるLED124の出射光量を示すグラフである。
図9に示すようにLED124のジャンクション温度Tjは、液晶表示装置1Aのオンパワー後次第に上昇していき、ある温度で飽和し、電流値も飽和する。図9、図10からわかるように、LEDジャンクション温度Tjが飽和温度に達したとき、電流値が最大となっており、又、出射光量が最低となっている。図10の例では、LEDジャンクション温度Tjが上昇するにつれ、出射光量が規格化相対値で電流値Iのときの100%から電流値Iのときの70%に低下して、電流値もその間にIからIに増加している。
【0065】
条件テーブル21aは、図10に示した特性に基づいて作成する。つまり、LED124の輝度(明るさ)は、出射光量と発光デューティの積に比例するので、出射光量が最低となる測定電流値においては発光デューティを最大とし、出射光量が最大となる測定電流値においては発光デューティが最低となるように、各測定電流値における発光デューティを設定する。図11は縦軸を発光デューティとし、横軸を測定された電流値として、測定された電流値に対して、発光デューティを決める条件テーブルを説明するグラフである。図11の例では、測定電流値Iのとき発光デューティを70%とし、測定電流値Iのとき発光デューティを100%とすることにより、図10に破線で示すような出射光量70%に相当する輝度が、常に得られ明るさの変動を防止することができる。
【0066】
又、これとは逆に、LEDジャンクション温度Tjの上昇に伴い、効率は低下するものの、電流が増加するため出射光量は増加していくLEDもある。このようなLEDを用いる場合は、電流が大きいときは発光デューティを下げ、電流が小さいときは発光デューティを上げるといった制御を行う。
【0067】
LEDジャンクション温度Tjは、バックライトの点灯直後から次第に上昇していき、LED124自体の発熱量と、LED124が搭載されたLED搭載基板123の放熱性とのバランスがとれたところで温度が飽和するが、液晶表示装置1Aが置かれた環境温度にも影響される。
本実施形態では、LEDジャンクション温度Tjの飽和点でのLED124の効率を基準に各温度での発光デューティを設定する。そこでオンオフコントローラ21において環境温度を温度センサ24で計測することによって飽和温度が予測できるため、様々な環境温度に応じた最適な発光デューティを設定することが可能となる。
【0068】
温度センサ24の配置箇所は、推定誤差を小さくする観点から、LED搭載基板123の各ブロックBL1、BL2それぞれの導光板121側の上下方向の中央が好ましい。そして、LEDジャンクション温度Tjの飽和温度と温度センサ24の検出温度との相関を予め調べておくことにより、各ブロックBL1、BL2に含まれるLED124のLEDジャンクション温度Tjの飽和温度を予測することができる。
【0069】
(作用、効果)
このLED駆動回路基板125の中で各ブロックBL1、BL2に含まれる全ラインLの電流が集中する部分P1に電流測定抵抗器25とバイパススイッチ23を設けた。このような構成にすることによって、一つの電流測定手段、つまり、電流測定抵抗器25とA/D変換器26によって、全てのラインL(L1〜L6)の電流値を個別に測定することが可能になる。
図12に比較例における複数のLED124が直列に接続された1つのラインに対するLED駆動回路を示す。一定直流電圧の低電圧源からチョークコイルとツェナーダイオードを介して直列のLED124に供給され、その下流側に電流測定抵抗器25が接続されてGRNに接続される。又、コンデンサが直列のLED124と並列に接続される。MOSFETのスイッチSWが、チョークコイルとツェナーダイオードの接続点とGNDの間に接続される。スイッチSWのゲートはスイッチングコントローラ21Aにより制御される。スイッチングコントローラ21Aには電流測定抵抗器25の上流側の電位P2が入力される。スイッチングコントローラ21Aは、マイクロコンピュータであり、電位P2にもとづいて直列のLED124の電流値を算出し、電流値から発光デューティを算出して、スイッチSWのゲートをオンオフ制御することにより直列のLED124の明るさを制御する。従って、比較例では各ラインにスイッチングコントローラが必要となり、液晶表示装置全体のLED駆動回路としては、面積を要することとなる。
本実施形態によれば、図12に示す比較例のように1ライン毎にラインに流れている電流をモニタリングして発光デューティを制御するような複雑な回路を必要としない。
又、定電圧源であるLED電源回路部140aだけは共通部分ということで背面側の回路基板140に配置した。その結果、LED駆動回路基板125をコンパクトにすることができ、液晶表示装置1Aの側面に配置することが可能となる。
【0070】
第3のフレーム139の背面の回路基板140には、LED駆動回路基板125を含まないので、背面側が薄くでき、放熱用の空間が確保できる。そして、液晶表示装置1A全体の厚さを薄くできる。
【0071】
LED搭載基板123とLED駆動回路基板125との間の距離が近いので、高周波ノイズの発生源となるFPC144Aが短くできる、ノイズを抑制できる。
又、スイッチSWのスイッチングは前記したように短いもので20マイクロ秒と高速であり、高調波のノイズが発生しやすい。LED駆動回路基板125はヒートシンク101の凹部101fに収容し、第1のフレーム137で覆っているので、ノイズが回路基板140に対して遮蔽され、液晶パネル120の表示を制御する液晶駆動回路の画像信号にノイズが影響するのが抑制される。
【0072】
(実施形態の変形例)
本実施の形態では、オンオフコントローラ21は、電流測定期間Tにおいて、例えば、ラインL1〜ラインL6のうちの1つのラインLのスイッチSWだけをオン状態にして他のスイッチSWをオフ状態にして、1つのラインLのみの電流値を測定するものとしたが、それに限定されるものではない。図13に示すように電流測定期間Tにおいて、バイパススイッチ23をオフ状態にし、先ずスイッチSW(SW1〜SW6)を全てオン状態にして電流値Iallを測定し、その次にスイッチSW(SW1〜SW6)の内の1つのスイッチSWだけをオフ状態にして、他のSWをオン状態にして電流を測定する。例えば、スイッチSW1だけがオフでスイッチSW2〜SW6がオン状態の場合、電流値(IG1+IB1+IR2+IG2+IB2)が得られる。オンオフコントローラ21は、電流値Iallと電流値(IG1+IB1+IR2+IG2+IB2)の差分を取ることにより電流値IR1を算出することができる。このように、各ブロックBL1、BL2に含まれるラインLの全てが通電している場合の電流値Iallと各ブロックBL1、BL2に含まれるラインLの内の1つのラインLのみがオフ状態の電流値を測定してその差分を取ることにより、各ラインLの電流値を得ることができる。
【0073】
各ラインLの電流値が得られた後の各ラインLの発光デューティを算出する方法、発光デューティの制御は、実施形態と同じである。このように制御することにより、電流測定期間Tにおける発光していないラインLの数を少なくすることができ、1つのオンオフコントローラ21でオンオフ制御するスイッチSWの数が多い場合に、1周期の間におけるバックライトの輝度の変化を小さくできる。
なお、図13においては、1つの電流測定期間Tにおいて、ラインL1〜ラインL6それぞれの電流値を測定する場合の例で示したが、実施形態の場合の図7に示したように、ラインL1〜L6の電流値を測定するのを、2回の電流測定期間Tに分けて行なっても良い。
【0074】
更に、左右のLED駆動回路基板125においてこのように電流測定期間TとLED発光期間Tとを組み合わせて1周期とした輝度の制御を行なっているので、左右のLED駆動回路基板125における周期が同期しないように制御しても良い。そうすることにより、液晶表示装置1Aの輝度の変化が小さくなる。
【0075】
本実施形態では、液晶表示装置1Aの側面に配するLED124を2つのブロックに分けた例で説明したが、2ブロックに限定されるものではない、もっと細かくブロック化しても良いし、逆に、1ブロックでも良い。
【0076】
又、本実施形態においては、ヒートシンク101は、フィン101cを有する場合で示したが、それに限定されるものではない。
図14に示すように小型の液晶表示装置1Bにおいては、ヒートシンク101Aに第3のフレーム139Aを固定し、第3のフレーム139A自身から放熱させるようにしても良い。この図14の例では、液晶パネル120の表示制御用の回路などは表示エリア部の下方に配置されるとして、回路基板140は描いてない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X横断面図である。
【図3】液晶表示装置のLED搭載基板とLED駆動回路基板との接続配置を説明する図であり、前面側から見た配置図である。
【図4】図4はLED駆動回路に供給される定圧電源と、LED駆動回路の回路図である。
【図5】LEDの順方向一定電圧に対する電流の特性のLEDジャンクション温度Tj依存の一例を示すグラフである。
【図6】一定電流が流れた場合のLEDの発光効率のLEDジャンクション温度Tj依存を示すグラフである。
【図7】図7は本実施形態における図4に示したLED駆動回路の各ラインLのオンオフ制御のシーケンスを示す図である。
【図8】発光デューティを説明する図である。
【図9】一定電圧を印加した場合の、電流とLEDジャンクション温度Tjの変化を示すグラフである。
【図10】一定電圧を印加したときの各電流値におけるLED124の出射光量を示すグラフである。
【図11】発光デューティを決める条件テーブルを説明するグラフである。
【図12】比較例における比較例における複1つのラインに対するLED駆動回路図である。
【図13】本実施形態の変形例におけるLED駆動回路の各ラインLのオンオフ制御のシーケンスを示す図である。
【図14】本実施形態の変形例の液晶表示装置における図1のX−X横断面図に相当する図である。
【符号の説明】
【0078】
1 液晶表示装置
20A、20B ブロック制御部
21 オンオフコントローラ(オンオフ制御手段)
21a 条件テーブル(条件情報)
22 シフトレジスタ
23 バイパススイッチ
24 温度センサ
25 電流測定抵抗器(電流測定手段)
26 アナログデジタル変換器(電流測定手段)
101 ヒートシンク
101a 躯体部
101b 保持基部
101c フィン
101d 溝
101e 溝底面
101f 連通溝
101g 凹部
107 通気口
120 液晶パネル
121 導光板
121a 入射面
121b 出射面
122 背面カバー
123 LED搭載基板
124 LED
125 LED駆動回路基板
131 第1のゴムクッション
132 第2のゴムクッション
134、134A、134B、134C 光学シート
135 第1の反射シート
135a 開口縁部
135b 立ち上がり部
135d 伸縮吸収部
136 第2の反射シート
136a 側端部
137 第1のフレーム
138 第2のフレーム
139 第3のフレーム
140 回路基板
140a LED電源回路部
142 レンズ
143、143A、143B コネクタ
144A、144B フレキシブルプリント配線板
171 熱伝導接着部材
173 接着部材
174 断熱部材
201 固定ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に配置した導光板と、前記導光板の両側面に対向して配置した一対のLED搭載基板と、前記LED搭載基板の前記導光板側の面に実装した複数のLEDと、前記液晶パネルの前面側に配置した第1のフレームと、前記導光板の背面側に配置した背面カバーと、を備え、前記一対のLED搭載基板は前記液晶パネルの表示画面に対し左右方向に配置した液晶表示装置において、
前記LED搭載基板の前記導光板とは反対側の面に設けたヒートシンクと、
前記ヒートシンクの更に左右外側であって、前記ヒートシンクと、前記第1のフレーム又は前記背面カバーの側面部と、の間に配置された前記LEDを直列化して駆動するLED駆動回路と、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記LED駆動回路は、
直列接続された複数の前記LEDを有するラインを複数並列接続させたものと、
前記ラインの通電をオンオフ制御するオンオフ制御手段と、
前記ラインに流れる電流値を測定する電流測定手段と、を有し、
前記ラインは、前記LEDを流れる電流を前記オンオフ制御手段に制御されてオンオフするスイッチを直列接続して構成されて、定電圧源から所定の電圧を印加され、
前記オンオフ制御手段は、前記電流測定手段が測定する前記ライン各々の電流値に基づき、前記ライン各々のスイッチのオンオフ期間を制御することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記オンオフ制御手段は、前記ラインの電流値に基づき前記オンオフ期間比を決定する条件情報を有し、
前記条件情報に従いオンオフ期間を制御することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記電流測定手段は、電流測定抵抗器を有し、該電流測定抵抗器に電流が流れた時の電圧降下を測定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記LED駆動回路は、前記電流測定器と並列に接続された前記オンオフ制御手段に制御されるバイパススイッチを有し、
前記オンオフ制御手段は、前記バイパススイッチをオン状態とする前記LEDの発光期間と、前記バイパススイッチをオフ状態とする前記電流測定手段による電流測定期間とを区分して制御することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記電流測定期間において、前記複数のライン各々のスイッチを時分割にオンすることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記電流測定期間において、前記複数のラインのうちの1つのスイッチを時分割にオフしたときの電流値を前記電流測定手段で測定し、前記複数のラインの全てのスイッチがオンのときの全ライン分の電流値からの差分に基づいて前記スイッチをオフされた1つのラインの電流値を得ることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記複数のラインは、
赤色のLEDと前記スイッチとを直列接続して構成される赤色ラインと、
緑色のLEDと前記スイッチとを直列接続して構成される緑色ラインと、
青色のLEDと前記スイッチとを直列接続して構成される青色ラインと、
のうち2以上の原色のラインを含み、
前記2以上の原色のラインに対し、同一の前記定電圧源を用いることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記複数のラインは、
前記赤色ライン、前記緑色ライン、前記青色ラインを含み、
前記緑色ラインと前記青色ラインに対し同一の前記定電圧源を用いることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記複数のラインの全ては低電位点で共通接続され、
前記電流測定手段を前記共通接続された低電位点と回路の最低電位点との間に配置することを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−299182(P2008−299182A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146748(P2007−146748)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】