説明

液晶表示装置

【課題】屋外での直射日光などの強力な外光下での視認性を極力悪化させずに、液晶の液化を抑制することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル5と、液晶パネル5に光を照射する照明装置(バックライト6)と、液晶パネル5を冷却するための冷却機3と、液晶パネル5の表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定する推定部と、液晶表示装置の設置場所の温度が前記冷却機の動作保証温度の最低温度よりも低い場合において、前記推定部によって液晶パネル5の表示面に所定の照度以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定されると、前記照明装置の輝度レベルを通常設定より減少させる輝度制御部とを備える液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に屋外に設置可能な液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外に設置可能な表示装置が種々提案されている。特に、薄型化や高解像度化が容易な液晶表示装置は、屋外に設置可能な表示装置として有望視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−53522号公報
【特許文献2】特開2000−231094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶は固体と液体との中間の性質を有している。液晶表示装置は、液晶に印加する電圧に応じて液晶の配向性を制御することにより、表示の制御を行っている。ところが、液晶の温度が上昇すると、液晶が液体に変化(液化)して配向性を失うため、正常な表示を行うことができなくなる。
【0005】
液晶表示装置を屋外に設置可能とする場合、屋外の設置環境を考慮した構成とする必要がある。例えば、防水構造や防塵構造を備える構成とする。このような構成を採用すると、気密性が高くなり、液晶表示装置内部で発生する熱は発散し難くなり、筐体内部の温度上昇を招く。これにより、液晶の温度が上昇し易くなる。
【0006】
また、透過型の液晶表示装置において、屋外での直射日光などの強力な外光下でも視認性を良くするには、強力な外光に対抗するために液晶表示装置の表示部分を通常より明るくする必要がある。液晶表示装置の表示部分を通常よりも明るくするためには、液晶表示装置内部の照明装置(バックライト等)から出力される光の強さを通常より上げなければならず、必然的に照明装置から発生する熱量も通常より上がる。これにより、液晶の温度が上昇し易くなる。
【0007】
さらに、液晶表示装置を屋外に設置した場合、液晶表示装置が直射日光にさらされることがある。液晶表示装置の表示面に直射日光等の強い外光が照射されると、液晶表示装置の液晶の温度が上昇する。
【0008】
したがって、屋外に設置可能な液晶表示装置では、液晶表示装置の液晶の温度が上昇して、正常な表示を行うことができないという不具合が生じ易くなっている。
【0009】
なお、特許文献1で提案されている液晶表示装置は、LCDモジュールの周囲温度が高いときにバックライトの輝度を下げて液晶の液化を抑制しているため、LCDモジュールの周囲温度が高いときは、屋外での直射日光などの強力な外光下での視認性が常に悪化してしまっていた。
【0010】
本発明は、上記の状況に鑑み、屋外での直射日光などの強力な外光下での視認性を極力悪化させずに、液晶の液化を抑制することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射する照明装置と、前記液晶パネルを冷却するための冷却機と、前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定する推定部と、液晶表示装置の設置場所の温度が前記冷却機の動作保証温度の最低温度よりも低い場合において、前記推定部によって前記液晶パネルの表示面に所定の照度以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定されると、前記照明装置の輝度レベルを通常設定より減少させる輝度制御部とを備える構成である。
【0012】
また、前記液晶パネルの周囲温度を検出するための第1の温度センサと、前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための第2の温度センサとを備え、前記推定部が、前記第1の温度センサの出力に基づいて、前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定するようにしてもよい。
【0013】
また、前記液晶パネルの表示面の周辺に配置され、前記液晶パネルの表示面と略平行な面における照度を検出する照度センサと、前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための温度センサとを備え、前記推定部が、前記照度センサの出力に基づいて、前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定するようにしてもよい。
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶表示装置は、上記の構成の代わりに、液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射するための照明装置と、前記液晶パネルを冷却するための冷却機と、を備えた液晶表示装置であって、前記液晶パネルの周囲温度を検出するための第1の温度センサと、前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための第2の温度センサと、前記第1の温度センサの出力が所定値以上のとき、前記第1、第2の温度センサの出力に応じて該液晶表示装置の温度制御を行う温度制御部とを備え、前記温度制御部は、前記第2の温度センサの出力が所定値より大きいとき、前記冷却機を動作させ、前記第2の温度センサの出力が所定値より小さいとき、前記冷却機を動作させずに前記照明装置の輝度レベルを通常設定よりも低下させる構成とすることもできる。
【0015】
また、前記冷却機の一例としては、コンプレッサを有する冷却機が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液晶表示装置によると、液晶表示装置の設置場所の温度が冷却機の動作保証温度の最低温度よりも低く、且つ、液晶パネルの表示面に所定の照度以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定される場合以外は、強力な外光下での視認性を確保することができる。また、本発明に係る液晶表示装置によると、液晶パネルの液晶が液化するおそれがある場合は常時、液晶の液化を抑制することができる。したがって、本発明に係る液晶表示装置は、屋外での直射日光などの強力な外光下での視認性を極力悪化させずに、液晶の液化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】は、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】は、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】は、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図5】は、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】は、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。まず、本発明の第一実施形態について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す縦断面図である。
【0019】
本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置は、液晶表示装置の前面側に配置される前面ガラス1と、筐体2と、冷却機3と備えている。
【0020】
前面ガラス1と筐体2と冷却機3とにより囲まれている内部空間4に、液晶パネル5と、バックライト6と、内部空間4内の空気を循環させるための送風ファン7及び8と、液晶パネル5の周囲温度を検出するための第1の温度センサ9A〜9Dとが配置されている。液晶パネル5は、その表示画面が液晶表示装置の前面側に位置するように配置され、ユーザが前面ガラス1を介して液晶パネル5の表示画面を視認できるようになっている。バックライト6は、液晶パネル5の背後に配置され、液晶パネル5に光を照射する。送風ファン7は内部空間4の上部に配置され、送風ファン8は内部空間4の下部に配置される。第1の温度センサ9A〜9Dは、筐体2の前面側内周面の四隅に配置されている。
【0021】
また、液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための第2の温度センサ10は、筐体2の背面側外周面に配置されている。
【0022】
冷却機3は、気化器11と、コンプレッサ12と、放熱器13と、冷媒経路とを備えている。気化器11で気化した冷媒は、冷媒経路を介してコンプレッサ12に送られ、コンプレッサ12によって圧縮されて高温の気体となる。コンプレッサ12で高温の気体となった冷媒は、冷媒経路を介して放熱器13に送られ、放熱器13での放熱により高圧状態で液化する。この放熱の際に、放熱器13は液晶表示装置の外部に熱を放出する。放熱器13で高圧状態の液体となった冷媒は、冷媒経路を介して気化器11に送られ、気化器11での降圧により気化する。この気化の際に、気化器11は内部空間4の熱を気化熱として吸収する。
【0023】
続いて、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図を図2に示す。なお、図2において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0024】
本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置は、映像信号入力部14と、映像表示部15と、第1の温度センサ9A〜9Dと、第2の温度センサ10と、マイクロコンピュータ16(以下、マイコン16という)と、輝度制御部17と、バックライト6と、液晶パネル5とを備えている。
【0025】
映像信号入力部14は、例えば、LAN接続されており、LAN経由で映像信号が入力され、DVI(Digital Visual Interface)形式の映像信号を出力する。映像表示部15は、映像信号入力部14から入力された映像信号を液晶表示パネル5に適した映像信号に変換して液晶表示パネル5に出力し、液晶表示パネル5において映像が表示される。
【0026】
バックライト6は、液晶表示パネル5で映像を表示するため液晶表示パネル5の後方から光を照射するものであり、例えば、冷陰極管で構成される。マイコン16は、バックライト6の輝度を指示するバックライト制御信号を輝度制御部17に出力する。輝度制御部17は、マイコン16からのバックライト制御信号に応じたPWM(Pulse Width Modulation)駆動信号をバックライト6に出力する。バックライト6は、輝度制御部17からのPWM駆動信号に応じた輝度で発光する。
【0027】
第1の温度センサ9A〜9D及び第2の温度センサ10がマイコン16に接続されており、マイコン16は、第1の温度センサ9A〜9Dからの温度検出信号及び第2の温度センサ10からの温度検出信号を内部でA/D変換している。また、マイコン16は、送風ファン7及び8(図2において不図示)のON/OFF並びに冷却機3(図2において不図示)のON/OFFも制御する。
【0028】
ところで、通常、冷却機には動作保証温度が定められており、冷却機の周囲温度(冷却機が放熱する空間側の冷却機の周囲温度)が動作保証温度の最低温度を下回る場合や動作保証温度の最高温度を上回る場合には冷却機の動作が保証されていない。
【0029】
例えば、冷却機3に関しては、低温(例えば10℃未満)では冷却機内部に使用している潤滑油の粘性が高くなりすぎて、潤滑油が潤滑油としての機能を果たさなくなることから、動作保証温度の最低温度が定められている。
【0030】
したがって、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置では、第2の温度センサ10が液晶表示装置の設置場所の温度(=冷却機3が放熱する空間側の冷却機3の周囲温度)を検出し、その検出温度が冷却機3の動作保証温度の最低温度又は冷却機3の動作保証温度の最低温度より若干高めに設定した所定温度を下回ると、冷却機3の動作を強制的に停止させることが望ましい。
【0031】
液晶表示装置の設置場所の温度が冷却機3の動作保証温度の最低温度又は冷却機3の動作保証温度の最低温度より若干高めに設定した所定温度を下回る場合、通常は相対的に内部空間4の温度も低くなるため、冷却機3の動作が停止していても内部空間4の温度は液晶パネル5の液晶が液化するほど上昇しない。
【0032】
しかしながら、上述した通り、屋外に設置する液晶表示装置は、直射日光にさらされることがあり、液晶パネル5の表示面に直射日光が当たると、液晶パネル5の液晶の温度が上昇する。特に、液晶表示装置が防水構造や防塵構造を備える構成である場合には、内部空間4の気密性が高いため、液晶パネル5の表示面に直射日光が当たっているときは、温室効果により、液晶表示装置の設置場所の温度が低くても内部空間4の温度が非常に高くなり、液晶パネル5の液晶の温度が液化温度(70℃近傍)まで上昇するおそれがある。
【0033】
特に緯度の高い地域や冬場においては、外気温が低く、太陽の高度が低いので、液晶表示装置が南向きに設置されると、液晶パネル5の表示面が長時間垂直に近い角度で直射日光を浴び続けることになり、液晶表示装置の設置場所の温度が冷却機3の動作保証温度の最低温度又は冷却機3の動作保証温度の最低温度より若干高めに設定した所定温度を下回る場合でも液晶パネル5の液晶の温度が液化温度(70℃近傍)まで上昇する可能性が高くなる。
【0034】
そこで、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置が図3に示すフローチャートの動作を行うようにする。
【0035】
図3に示すフローチャート動作が開始されると、まずマイコン16は、第1の温度センサ9A〜9Dからの温度検出信号に基づき、内部空間4の四点の温度情報を取得し(ステップS10)、内部空間4の四点の温度の少なくとも一つが第1の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS20)。
【0036】
内部空間4の四点の温度全てが第1の閾値未満であれば(ステップS20のNO)、冷却機3をOFF状態し、バックライト6の出力レベルを通常設定にしても、液晶パネル5の液晶が液化することはないと判断して、冷却機3の長寿命化及び低消費電力化の観点から、現時点で冷却機3がOFF状態であればマイコン16は冷却機3のOFF状態を維持し、現時点で冷却機3がON状態であればマイコン16は冷却機3の状態をON状態からOFF状態に変更させ、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定であればマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定のままで維持し、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定でなければマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定にし(ステップS30)、ステップS10に戻る。
【0037】
一方、内部空間4の四点の温度の少なくとも一つが第1の閾値以上であれば(ステップS20のYES)、マイコン16は、液晶パネル5の表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定し、第2の温度センサ10からの温度検出信号に基づき、液晶表示装置の設置場所の温度情報を取得し(ステップS40)、液晶表示装置の設置場所の温度が第2の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS50)。なお、上記の推定は必ずしも正しいとは限らず、液晶パネル5の表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けていないが、冷却機3がOFF状態で液晶表示装置の設置場所の温度が高くなったことにより、内部空間4の四点の温度の少なくとも一つが第1の閾値以上になることもある。また、第2の閾値は、冷却機3の動作保証温度の最低温度又は冷却機3の動作保証温度の最低温度より若干高めに設定した所定温度とする。
【0038】
液晶表示装置の設置場所の温度が第2の閾値未満でなければ(ステップS50のNO)、冷却機3をOFF状態にする必要がないと判断して、液晶の液化抑制及び強力な外光下での視認性確保の観点から、現時点で冷却機3がON状態であればマイコン16は冷却機3のON状態を維持し、現時点で冷却機3がOFF状態であればマイコン16は冷却機3の状態をOFF状態からON状態に変更させ、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定であればマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定で維持し、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定より減少していればマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定より減少した状態から通常設定に変更し(ステップS60)、フロー動作を終了する。
【0039】
一方、液晶表示装置の設置場所の温度が第2の閾値未満であれば(ステップS50のYES)、冷却機3をOFF状態にする必要があると判断し、さらに、冷却機3をOFF状態にした場合にバックライト6の出力レベルが通常設定のままでは液晶パネル5の液晶が液化すると判断して、液晶の液化抑制の観点から、現時点で冷却機3がOFF状態であればマイコン16は冷却機3のOFF状態を維持し、現時点で冷却機3がON状態であればマイコン16は冷却機3の状態をON状態からOFF状態に変更させ、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定であればマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定より減少させし、現時点でバックライト6の出力レベルが通常設定より減少していればマイコン16はバックライト6の出力レベルを通常設定より減少した状態で維持し(ステップS70)、フロー動作を終了する。
【0040】
図3に示すフローチャートの動作が終了すると、再び図3に示すフローチャートの動作が開始される。ただし、図3に示すフローチャートの動作において、冷却機3がOFF状態からON状態に、又は、ON状態からOFF状態に移行した場合は、冷却機3を保護する観点から、所定の待ち時間が経過した後に、次回の図3に示すフローチャートの動作を開始することが望ましい。
【0041】
上記のような動作により、内部空間4の四点の温度の少なくとも一つが第1の閾値以上であり且つ液晶表示装置の設置場所の温度が第2の閾値未満である場合以外は、強力な外光下での視認性を確保することができる。また、上記のような動作により、液晶パネル5の液晶が液化するおそれがある場合は常時、液晶の液化を抑制することができる。したがって、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置は、強力な外光下での視認性を極力悪化させずに、液晶の液化を抑制することができる。
【0042】
なお、ステップS10において、取得する内部空間4の四点の温度情報は、取得時点での瞬間温度に関する情報であってもよく、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報であってもよい。取得する内部空間4の四点の温度情報を、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報にした場合、瞬間的なノイズや瞬間的な環境変化などからの影響を抑制することができる。取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報を得る方法としては、例えば、マイコン16が、第1の温度センサ9A〜9Dからの温度検出信号を1秒おきに常時サンプリングし、直近の100秒間における平均値を算出し、当該平均値を温度検出信号のサンプリング毎に更新するようにし、ステップS10における取得時点での当該平均値を、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報とすればよい。
【0043】
同様に、ステップS40において、取得する液晶表示装置の設置場所の温度情報は、取得時点での瞬間温度に関する情報であってもよく、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報であってもよい。取得する液晶表示装置の設置場所の温度情報を、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報にした場合、瞬間的なノイズや瞬間的な環境変化などからの影響を抑制することができる。取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報を得る方法としては、例えば、マイコン16が、第2の温度センサ10からの温度検出信号を1秒おきに常時サンプリングし、直近の100秒間における平均値を算出し、当該平均値を温度検出信号のサンプリング毎に更新するようにし、ステップS40における取得時点での当該平均値を、取得時点直近の所定期間における平均温度に関する情報とすればよい。
【0044】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。液晶パネル5の液晶の温度が上昇する原因は、液晶表示装置自身から発生する熱(主にバックライト6から発生する熱)と、液晶パネル5の表示面への直射日光等の強い外光の照射による熱とが考えられる。上述したように、液晶表示装置の設置場所の温度が冷却機3の動作保証温度の最低温度又は冷却機3の動作保証温度の最低温度より若干高めに設定した所定温度を下回る場合、通常は相対的に内部空間4の温度も低くなるため、冷却機3の動作が停止していても内部空間4の温度は液晶パネル5の液晶が液化するほど上昇しない。このため、液晶表示装置自身から発生する熱と、液晶パネル5の表示面への直射日光等の強い外光の照射による熱とのの両方が合わさることにより、液晶パネル5の液晶が液化するほどの温度上昇が起こると考えられる。したがって、本発明の第二実施形態においては、バックライト6の出力レベルが通常設定のままで、液晶パネル5の表示面に強い外光が所定の期間当たり続ければ、液晶パネル5の液晶が液化するおそれがあると判断するようにしている。
【0045】
図4は、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す縦断面図である。また、図5は、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。なお、図4において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略し、図5において図2及び図4と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0046】
本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置は、本発明の第一実施形態に係る液晶表示装置から第1の温度センサ9A〜9Dを取り除き、その代わりに照度センサ18A〜18Dを筐体2の前面側外周面の四隅に配置した構成である。
【0047】
続いて、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートを図6に示す。なお、図6において図3と同一のステップには同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0048】
図6に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートからステップS10の処理及びステップS20の処理を取り除き、その代わりにステップS15の処理及びステップS25の処理を設けたものである。
【0049】
ステップS15において、マイコン16は、照度センサ18A〜18Dからの照度検出信号に基づき、筐体2の前面側外周面(液晶パネル5の表示面の周辺に位置し、液晶パネル5の表示面と略平行な面)の四隅の照度情報を取得する。ステップS15に続くステップS25において、マイコン16は、筐体2の前面側外周面の四隅の照度の少なくとも一つが所定の期間継続して第3の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0050】
筐体2の前面側外周面の四隅の照度全てが所定の期間継続して第3の閾値以上になることがなければ(ステップS25のNO)、冷却機3をOFF状態し、バックライト6の出力レベルを通常設定にしても、液晶パネル5の液晶が液化することはないと判断して、ステップS30に移行する。一方、筐体2の前面側外周面の四隅の照度の少なくとも一つが所定の期間継続して第3の閾値以上であれば(ステップS25のYES)、マイコン16は、液晶パネル5の表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定し、ステップS40に移行する。
【0051】
図6に示すフローチャートの動作が終了すると、再び図6に示すフローチャートの動作が開始される。ただし、図6に示すフローチャートの動作において、冷却機3がOFF状態からON状態に、又は、ON状態からOFF状態に移行した場合は、冷却機3を保護する観点から、所定の待ち時間が経過した後に、次回の図6に示すフローチャートの動作を開始することが望ましい。
【0052】
上記のような動作により、筐体2の前面側外周面の四隅の照度の少なくとも一つが第3の閾値以上であり且つ液晶表示装置の設置場所の温度が第2の閾値未満である場合以外は、強力な外光下での視認性を確保することができる。また、上記のような動作により、液晶パネル5の液晶が液化するおそれがある場合は常時、液晶の液化を抑制することができる。したがって、本発明の第二実施形態に係る液晶表示装置は、強力な外光下での視認性を極力悪化させずに、液晶の液化を抑制することができる。
【0053】
なお、ステップS15において、取得する筐体2の前面側外周面の四隅の照度情報は、取得時点での瞬間照度に関する情報であってもよく、取得時点直近の所定期間における平均照度に関する情報であってもよい。取得する筐体2の前面側外周面の四隅の照度情報を、取得時点直近の所定期間における平均照度に関する情報にした場合、瞬間的なノイズや瞬間的な環境変化などからの影響を抑制することができる。取得時点直近の所定期間における平均照度に関する情報を得る方法としては、例えば、マイコン16が、照度センサ18A〜18Dからの照度検出信号を1秒おきに常時サンプリングし、直近の100秒間における平均値を算出し、当該平均値を照度検出信号のサンプリング毎に更新するようにし、ステップS15における取得時点での当該平均値を、取得時点直近の所定期間における平均照度に関する情報とし、ステップS25では当該平均値が所定の期間継続して第3の閾値以上であるかを判定するようにする。
【0054】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 前面ガラス
2 筐体
3 冷却機
4 内部空間
5 液晶パネル
6 バックライト(照明装置の一例)
7、8 送風ファン
9A〜9D 第1の温度センサ
10 第2の温度センサ
11 気化器
12 コンプレッサ
13 放熱器
14 映像信号入力部
15 映像表示部
16 マイクロコンピュータ(推定部の一例)
17 輝度制御部
18A〜18D 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
前記液晶パネルに光を照射する照明装置と、
前記液晶パネルを冷却するための冷却機と、
前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定する推定部と、
液晶表示装置の設置場所の温度が前記冷却機の動作保証温度の最低温度よりも低い場合において、前記推定部によって前記液晶パネルの表示面に所定の照度以上の外光が所定の期間当たり続けていると推定されると、前記照明装置の輝度レベルを通常設定より減少させる輝度制御部とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶パネルの周囲温度を検出するための第1の温度センサと、
前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための第2の温度センサとを備え、
前記推定部が、前記第1の温度センサの出力に基づいて、前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルの表示面の周辺に配置され、前記液晶パネルの表示面と略平行な面における照度を検出する照度センサと、
前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための温度センサとを備え、
前記推定部が、前記照度センサの出力に基づいて、前記液晶パネルの表示面に所定レベル以上の外光が所定の期間当たり続けているか否かを推定する請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射するための照明装置と、前記液晶パネルを冷却するための冷却機と、を備えた液晶表示装置であって、
前記液晶パネルの周囲温度を検出するための第1の温度センサと、
前記液晶表示装置の設置場所の温度を検出するための第2の温度センサと、
前記第1の温度センサの出力が所定値以上のとき、前記第1、第2の温度センサの出力に応じて該液晶表示装置の温度制御を行う温度制御部とを備え、
前記温度制御部は、
前記第2の温度センサの出力が所定値より大きいとき、前記冷却機を動作させ、
前記第2の温度センサの出力が所定値より小さいとき、前記冷却機を動作させずに前記照明装置の輝度レベルを通常設定よりも低下させる、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記冷却機がコンプレッサを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−181486(P2010−181486A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22918(P2009−22918)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】