説明

液晶表示装置

【課題】視野角に応じた色変化が目立ちやすい肌色について、視野角に応じた色変化を抑えて映像品位を向上させるとともに、省電力化を図る。
【解決手段】表示装置は、液晶パネルを照明する光源の発光輝度と、映像信号のゲインとを連動して設定する。表示装置では、液晶パネルに表示する映像の視野角変化度を映像信号の輝度に応じて予め検出して記憶しておく。肌色検出部18は、映像信号から肌色を検出し、映像信号の画面ごとに輝度に応じた肌色の分布を生成し、その肌色の分布に対して、輝度に応じた視野角変化度を掛け合わせることで、肌色の分布の視野角による変化量を生成する。ディストーションモジュール5は、肌色の分布の視野角による変化量の総量に基づいて光源の発光輝度とゲインとを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、より詳細には、斜め方向から画面を観察した場合の表示品質を向上させた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを用いた表示装置は、液晶の分子配向を電圧印加によって変更することで、入射光に複屈折変化を与えて明暗やカラー表示を得るという原理に基づいている。この原理により、液晶パネルの光透過率は、本質的に視野角に依存して変化するため、画面の表示品質もまた、視野角に依存して変化することが避けられない。
例えば、液晶表示装置の画面を正面から観察した際には特に問題がなくても、斜め方向から画面を観察した場合には、画面が不鮮明に見える現象や、黒が茶色に見える黒つぶれ現象や、あるいは白が過剰に見えるいわゆる白浮き現象など、ユーザの視認性を損ねるさまざまな問題が発生していた。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、液晶パネルの画面を斜めから観察した場合には、液晶パネルを正面から観察した場合よりも黒浮きが発生し、コントラストが低下することが知られている。特許文献1では、入力映像信号を高い階調に対応する第1フィールドと、低い階調に対応する第2フィールドとに変換し、オーバードライブ部によって、入力映像信号の同じ空間位置において階調時間変化が生じた場合には、第1フィールドまたは第2フィールドのいずれか一方又は両方の信号に対して液晶の応答に応じたレベルを修正するようにしている。
【0004】
また、特許文献2では、液晶パネルの1画素を複数に分割して1つの階調を複数の階調により表示し、視野角を改善するようにしている。ここでは、視野角が悪い階調の映像信号を他の階調に振り分けることにより視野角を改善するようにしている。
【0005】
一方、表示装置の映像品位を高めることを目的として、入力映像信号の輝度レベルに応じて入力映像信号のゲインを上げる技術が種々提案されている。
例えば特許文献3には、 デジタル画像データをデジタルガンマ補正回路にて補正した際のガンマ補正特性に起因して生ずるダイナミックレンジの問題を解消することを目的とした液晶表示装置が開示されている。ここでは、デジタル画像データをデジタルガンマ補正回路にて補正して、液晶表示部の印加電圧−透過率特性に適したデジタル画像データとする。そしてそのデジタル画像データをDA変換し、ゲインを与えて表示している。このときガンマ補正回路への入力デジタル画像データの階調値が最大であり、かつ、ガンマ補正回路からの出力デジタル画像データの階調値が最大値よりも小さいときに、増幅器での増幅率を変更して、表示画像のダイナミックレンジを拡げている。
【0006】
また、最近では、液晶表示装置において入力映像信号のゲインを行うだけではなく、入力映像信号のゲインと連動してバックライト光源の輝度を変調させることにより、消費電力を低減させるとともによりコントラスト感を高める技術が提案されている。
例えば、特許文献4,5には、映像信号のヒストグラムが表示可能帯域の所定比率以下である場合(輝度分布が暗い場合)に、バックライトの輝度を落とすとともに入力映像信号のゲインを上げて、映像表示輝度を保ちながらコントラスト感の向上を図る技術が示されている。特に特許文献3では、入力映像信号のゲインを上げたことによる白つぶれを生じさせないようにするために、高階調領域に対して非線形の補正を行うことが示されている。
【特許文献1】特開2006−349952号公報
【特許文献2】特開2004−62146号公報
【特許文献3】特開平10−319922号公報
【特許文献4】特開2006−276677号公報
【特許文献5】米国特許出願公開2006/0274026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液晶パネルを用いた表示装置においては、上記のように視野角により映像コントラストや色味が変化する。特に、表示画面に肌色がある場合には、その視野角による変化が視聴者に分かりやすく、特に画面上で肌色の占める割合が大きい場合には、視聴者にとってその映像品位の変化が大変気になる。このような視野角に依存して画面が変化する現象は、映像信号の輝度(階調)が中間レベルにあるとき最も顕著に現れる。
例えば、特許文献2のような技術では、視野角改善が不十分であり、特に肌色が視野角を変えたときに色度変化が目立つ。
【0008】
また、入力映像信号のゲインと連動してバックライト光源の輝度を変調させることにより、消費電力を低減させるとともによりコントラスト感を高めるようにした技術においては、ゲインを制御するため、入力映像信号をそのまま表示するよりも視野角が改善されるシーンもあるが、逆に視野角が劣化してしまうシーンもある。つまり、ゲインと連動してバックライト光源の輝度を変調させる従来の制御は、視野角を意図したものではないため、肌色を主とする視野角改善に確実に寄与するものではなかった。
【0009】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、視野角に応じた色変化が目立ちやすい肌色について、視野角に応じた色変化を抑えて映像品位を向上させるとともに、省電力化を図ることができるようにした表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力映像信号による映像を表示する液晶パネルと、液晶パネルを照射する光源とを有し、光源の発光輝度と、映像信号のゲインとを連動して設定する表示装置において、液晶パネルに表示する映像の視野角変化度を映像信号の輝度に応じて予め検出して表示装置が備える記憶手段に記憶しておき、表示装置は、映像信号から予め定められた条件に基づく肌色を検出し、映像信号の画面ごとに輝度に応じた肌色の分布を生成する肌色検出部を有し、肌色検出部で検出された輝度に応じた肌色の分布に対して、輝度に応じた視野角変化度を掛け合わせることで、肌色の分布の視野角による変化量を生成し、変化量の総量に基づいて光源の発光輝度と、ゲインとを制御することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、入力映像信号の輝度値のヒストグラムを検出するヒストグラム検出部と、予め設定された液晶パネルの目標コントラストを使用し、入力映像信号のヒストグラムにおいて、目標コントラストのときに液晶パネルで表示可能な入力映像信号の映像輝度範囲のうち、光源の特定の発光輝度レベルにおいて表現できない映像輝度範囲の画像の頻度に所定の重み係数を乗算して評価値を得る処理を、選択可能な光源の発光輝度レベルについて実行する評価値算出部とを有し、肌色の分布の視野角による変化量の総量と、評価値算出部で算出した評価値とに基づいて、映像信号のゲインを制御することを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、光源に設定可能な発光輝度レベルと、輝度レベル設定部で設定した参照用の発光輝度レベルとを用いて、映像信号に設定可能なゲインを計算するゲイン計算部と、肌色の分布の視野角による変化量の総量と、映像信号に設定可能なゲインとの関係を計算する肌色変化量/ゲイン計算部と、評価値と該評価値に算出に用いた発光輝度レベルによって計算されるゲインとの関係を計算する評価値/ゲイン算出部と、ゲインに応じた肌色の分布の視野角による変化の総量と、ゲインに応じた前記評価値とにそれぞれ係数を掛けて、ゲインごとに足し合わせることで前記映像信号に設定するゲインを選択するための劣化特性を生成し、劣化特性が最も小さいゲインを選択し、選択したゲインにより映像信号を伸張するとともに、選択したゲインに相当する発光輝度レベルを用いて光源の発光輝度を制御することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、視野角に応じた色変化が目立ちやすい肌色について、視野角に応じた色変化を抑えて映像品位を向上させるとともに、省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の表示装置に係る好適な実施の形態について説明する。以下に説明する本発明に係る実施形態は、光源としてのバックライトを備えた映像表示装置において、入力映像信号の映像特徴量に応じて入力映像信号の増幅の度合い(ゲイン)を調整するもので、このときに、目標コントラスト(ターゲットCR)を設定し、バックライト光源の発光輝度の制御とゲインの制御によりそのターゲットCRに近づけるように映像表現を行う。このような映像信号とバックライトの輝度変調処理を本明細書ではアドバンスト輝度変調処理とする。
【0015】
また、本発明に係る実施形態の特徴として、ターゲットCRに近づける映像表現を行う際に、視野角の変化により映像品位の低下が目立つ肌色の分布を画面内から検出する。そして、検出した肌色の分布に対して、液晶パネル特有の肌色の視野角特性を使用して重みを付ける。そして、この重み付けした肌色分布をゲイン毎に積算して、ゲインを変えたときの肌色重みの変化を演算し、この肌色の重みの変化を考慮した評価を行ってゲインとバックライトの発光輝度とを設定させるようにする。これにより、肌色の視野角特性を損なうことなく映像品位を向上させるとともに、省電力化を図るようにしている。この処理の詳細は以下に述べることとする。
【0016】
〈本発明に係る輝度変調処理の概要〉
表示装置から発せられる光量は、表示する映像信号のレベルを忠実に再現するのが理想である。つまり、黒画面を表示する場合、画面から発せられる光量は理想的には0でなければならない。しかし、現実の液晶表示装置では、若干の光漏れがあり、黒画面を表示する場合にも黒ではなくグレー表示となる。
【0017】
表示装置の重要な性能の一つとしてコントラスト比(以下CRともいう)がある。表示装置において、CRは表示パネル上の最大輝度と最小輝度の比である。液晶表示装置の場合、最大輝度は光源の最大発光輝度で決まり、最小輝度は黒表示時の光漏れ量によって決まる。よって、光源の発光輝度が一定の場合、同一の液晶パネルにおいてコントラスト比は一定となる。
【0018】
図1は、CRが3000と6000の液晶パネルについて、入力階調(映像信号レベル)と液晶パネル上での輝度値との関係を示すグラフである。最大輝度は共に同じ450cdであるが、入力階調(画素値)0での液晶パネル上の表示輝度(最小輝度)はCR3000の場合に0.15cd、CR6000の場合に0.075cdとなり、2倍の差がある。
【0019】
ここで、CR3000の液晶パネル使用時に光源の発光輝度を50%まで下げるとともにゲイン設定で入力映像信号を所定量増幅させると、入力映像信号の画素値と液晶パネルの表示輝度値との関係は、図1において点線で示すような関係となり、画素値0〜128においてはCR6000の液晶パネルに近い輝度表現をさせることが可能になる。しかしながら、画素値128より大きい映像は階調表現できず、いわゆる白つぶれを起こすことになる。従って、入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度の調節と、ゲイン設定を行う必要がある。
【0020】
例えば、入力映像信号の輝度のヒストグラムが画素値128以下の輝度分布を示す場合に、上述の図1で示すようにバックライトの輝度を50%まで下げるとともにゲイン設定で所定入力映像信号を所定量増幅させるような制御を行うようにすればよい。このように入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度の制御及びゲイン設定を行うことにより、コントラスト感を高めることができると同時にバックライトの発光輝度を下げることによる省電力化を図ることが可能になる。
【0021】
上記では入力映像信号の輝度のヒストグラムが画素値128以下の輝度分布を示す場合を例に挙げ説明したが、上記の例以外でも、例えば、映像中の白部分が極めて少ない場合には、白部分の重視度を下げ、黒表現の向上を同様にして図ることができる。このとき、重視しない部分の白つぶれは無視してもよいし、ターゲットCRを実現させるゲイン設定によっても白つぶれが緩和できるように、白側領域でのゲインを決めるようにしてもよい。また、特に本発明に係る実施形態では、ターゲットCRを実現させるための映像特徴量の評価に際して、映像の肌色を検出してその肌色の重みを評価に加味することによって、肌色の視野角特性を考慮したゲイン設定を行うようにしている。
【0022】
また、本発明に係る輝度変調処理では、省電力化を図るために、後述するように映像信号から得た映像のAPL等の特徴量に応じて動的に光源の発光輝度を抑える処理も併せて実行する。
つまり、ゲイン設定及びバックライト光源の発光輝度レベルを設定するための参照用の発光輝度レベルをまず映像特徴量(APL,ピーク(最大輝度値),ヒストグラム情報等)に応じて設定し、省電力化を図ると共に、参照用の発光輝度レベルに対して、さらに上述のごときコントラスト感を出すための処理(すなわち発光輝度レベルを参照用の発光輝度レベル以下の適切な値に設定する)を実行して、CR向上及び更なる省電力化を図り、その処理と連動させて映像信号のゲインを設定して、視覚上の輝度を保つようにする。
【0023】
〈本発明に係る輝度変調処理を行う液晶表示装置のシステム構成例〉
図2は、本発明に係る表示装置のシステム構成例を示すブロック図である。図2で例示する液晶表示装置は、スケーリング部1、Yヒストグラム検出部2、APL検出部3、BL(バックライト)輝度レベル設定部8、CPU(Central Processing Unit)/CPLD(Complex Programmable Logic Device)11、BL調光部12、画質補正部14、RGBγ/WB(White Balance)調整部15、及びFRC(Frame Rate Control)部16を備える。
【0024】
図2で例示する表示装置は、さらに本発明に係る輝度変調処理の主な部分を実行するアドバンスト輝度変調部20を備える。アドバンスト輝度変調部20は、ヒストグラムストレッチング部4、ディストーションモジュール5、シーンチェンジ検出部6、第1のテンポラリフィルタ7、第2のテンポラリフィルタ9、可変ディレイ10、コンフィグレーションデザイン部13、及び肌色検出部18を有する。
【0025】
なお、上述したように、本発明に係る輝度変調処理は、APL等の特徴量に応じた動的な光源の発光輝度制御を行うだけでなく、その映像特徴量の所定の条件により決定される光源の参照用の発光輝度レベルBLrefに対しさらにコントラスト感を出すような発光輝度レベルBLreducedを選択し、且つ、肌色検出結果を考慮して映像信号のゲインも設定するという進化した輝度変調処理である。そのため、この処理を実行する部位を「アドバンスト」輝度変調部20と呼んでいる。
【0026】
まず、図2の表示装置における各ブロックの概要について説明する。映像出力部17は、映像信号による映像を表示する液晶パネルと、映像信号を液晶パネル駆動のための信号に変換し液晶パネルに出力する液晶制御回路とを有する。その詳細は後述するが、映像信号は、アドバンスト輝度変調部20で設定されたゲインを用いて変換された後、この映像出力部17に入力される。つまり、本発明に係る輝度変調処理においては、この映像出力部17で表示すべき映像を示す映像信号が処理対象となる。ゲイン及びその設定については後述する。
【0027】
BL調整部12は、蛍光管で構成されるランプと、そのランプを駆動するランプ駆動回路とを有し、液晶パネルを背面や側面から照射する光源(バックライト光源、或いは単にバックライトともいう)を構成する。本発明に係る輝度変調処理においては、このランプが発光輝度制御の対象となる。
【0028】
BL調整部12は、CPU/CPLD11で制御される。CPU/CPLD11は、アドバンスト輝度変調部20から出力された発光輝度レベルBLreducedを示す信号(例えばデューティ信号)に従って、BL調整部12のランプ駆動回路(例えばインバータ回路)で実際に調光するための信号(例えばパルス幅変調等の駆動に適した信号)に変換して、BL調整部12へ出力する。バックライト調光値を実際のバックライト調光のための信号に変換するものである。また、ランプとしては、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成されるものや、LEDと蛍光管の組み合わせで構成されるものを採用してもよく、同時にそれに対応したランプ駆動回路を設けておけばよい。
【0029】
映像出力部17へ出力する映像信号の処理、並びにCPU/CPLD11を介してBL調整部12の制御を行う部位が、スケーリング部1、Yヒストグラム検出部2、APL検出部3、BL輝度レベル設定部8、画質補正部14、RGBγ/WB調整部15、FRC部16、及びアドバンスト輝度変調部20である。
【0030】
まず、スケーリング部1は、液晶パネルの解像度等に応じて、入力された映像信号(入力映像信号)が示す映像フレームの画素数、或いはその映像フレームのアスペクト比を、演算により変更する。
【0031】
ここで、入力映像信号としては、例えば放送波として受信した映像信号を復調した信号、通信ネットワーク経由で受信した映像信号、内部記憶装置に記憶された映像信号を読み出した信号、各種レコーダや各種プレーヤやチューナ機器といった外部機器から受信した映像信号などが該当し、或いはそれら映像信号に対して各種映像処理を施した後の映像信号が該当する。図示しないが、図2の表示装置は、このような映像信号のいずれかを取得可能なように構成しておけばよい。
【0032】
画質補正部14は、スケーリング部1から出力された映像信号に対し、ユーザ設定等により、映像のコントラストや色味等を変更する。
RGBγ/WB調整部15は、画質補正部14から出力された映像信号に対し、映像のγ、WB(ホワイトバランス)/CT(色温度)等の調整を行う。さらに、RGBγ/WB調整部15は、アドバンスト輝度変調部20(実際にはコンフィグレーションデザイン部13)からのゲイン設定信号によって信号のゲインを変更する。
【0033】
RGBγ/WB調整部15ではそのゲインに基づき映像信号の変換が施され、後述するようなアドバンスト輝度変調部20で発光輝度レベルを低下させる制御に対して輝度低下分をゲインによって補償する。またこのゲインは、入力映像信号の肌色分布が考慮されているため、肌色の視野角変化を抑制するゲイン設定が行われる。
【0034】
アドバンスト輝度変調部20からのゲイン設定信号は、上述の液晶パネルへ出力すべき映像信号の画素値(映像信号レベル)を変換するための変換係数を示す信号である。このゲイン設定信号は、以下の例で示すように各映像信号レベル(この例では0〜255の値)に乗算するための共通の1つの変換係数とし、後述するようにゲインすることで頭打ちとなる映像信号レベルの範囲などに基づいて得た或る映像信号レベルの範囲に対しては、ゲインをRGBγ/WB調整部15で補正してもよい。
【0035】
FRC部16は、フレームレートコンバータであり、RGBγ/WB調整部15から出力された調整後の映像信号に対し、映像の動きベクトルを検出し補完映像を生成することによって、通常60Hzの表示周波数から120Hzの表示周波数に変換するものである。勿論、FRC部16での処理対象の表示周波数や処理後の表示周波数はこれに限ったものではない。図2の例では、映像出力部17の液晶駆動回路は、FRC部16から出力された映像信号を液晶パネル駆動のための信号に変換し、液晶パネルに出力することになる。
【0036】
Yヒストグラム検出部2は、映像フレームを画素単位等に分割し、各画素の輝度値の発生頻度を表したヒストグラムを生成する。Yヒストグラム検出部2で生成されたヒストグラムは、例えば輝度値(Y)0〜255のそれぞれに対して頻度の値を持つ。APL検出部3は、映像信号の平均輝度レベルを、映像フレーム毎に算出する。APL検出部3で算出される値としては、全画面で黒の場合には0%を示す値となり、全画面で白の場合には100%を示す値となる。
【0037】
ヒストグラムストレッチング部4は、Yヒストグラム検出部2で生成されたヒストグラムから、アドバンスト輝度変調部20で使用する範囲を設定する。例えば、ディストーションモジュール5が最小値0〜最大値255で演算を実行するモジュールであり、且つ入力映像信号が元々最小値10〜最大値235の値をとるような信号であった場合を想定する。このような場合には、ヒストグラムストレッチング部4は、ディストーションモジュール5での演算に合わせるために、最小値10〜最大値235のそれぞれに対する頻度値を、最小値0〜最大値255のそれぞれに対する頻度値に当てはめるように引き伸ばすものである。
【0038】
ディストーションモジュール5は、ヒストグラムストレッチング部4から入力されたヒストグラムと、後述するBL輝度レベル設定部8で設定された参照用の発光輝度レベル(バックライト目標値ともいう)BLrefと、肌色検出部18で検出された肌色の分布とから、実際に設定する発光輝度レベル(バックライト値ともいう)BLreduced、すなわちバックライトの制御に使用する発光輝度レベルを選択(決定)する。選択は、予め定められた複数の発光輝度レベルの中からBL輝度レベル設定部8で設定された参照用発光輝度レベルBLrefを超えない範囲で行う。また、ここでは、ターゲットCRをもつ液晶パネルにより近い表示映像を実現できるバックライト値BLreducedを選択する。ターゲットCR等のディストーションパラメータは図示しないメインCPUから設定すればよい。
【0039】
シーンチェンジ検出部6では、1フレーム前のヒストグラムと現ヒストグラムの変化の程度からシーンチェンジの有無を検出する。例えば、各輝度値の頻度変化の累計値を算出し、特定の値よりも大きかった場合には場面が変わったと判定する。
【0040】
第1のテンポラリフィルタ7は、ディストーションモジュール5で選択された上述の実際に設定する発光輝度レベルBLreducedが急激に変化した場合に生じる、視覚上の違和感を防止するために設けられたものであり、発光輝度レベルBLreducedの変化量を時間的に緩慢なものにした後、実際に設定する発光輝度レベルBLreducedとして後段に出力する。また、シーンチェンジ時には、緩慢な発光輝度レベルBLreducedの変化を施すと返って違和感を持つため、シーンチェンジ検出部6によるシーンチェンジ検出信号により、第1のテンポラリフィルタ7の値を変え、比較的早い変化ができるようにする。
【0041】
BL輝度レベル設定部8は、APL検出部3から出力されたAPL値もしくはYヒストグラム検出部2から出力されたヒストグラム情報などの映像特徴量、および図示しないメインCPUから出力されたOPC(Optical Picture Control;明るさセンサともいう)の値やユーザ設定値などを参照して、バックライトの発光輝度レベルの最大値を決定する。例えば、APLが高い場合にはバックライトの発光輝度レベルの最大値を低い値とすることで、眩しさを感じない映像とすることができる。このバックライトの発光輝度レベルの最大値が、アドバンスト輝度変調部20で実行されるアドバンスト輝度変調の参照用の発光輝度レベル(バックライト目標値)BLrefとなる。
【0042】
参照用の発光輝度レベルBLrefを決定するための映像特徴量としては、上述のようにAPLやヒストグラム情報を用いることができ、実施形態に応じて使用する特徴量が選択される。ヒストグラム情報には、映像のピーク値(最大輝度値)や、最大輝度より小さい所定輝度の間に含まれる映像信号の割合などが使用される。
【0043】
なお、ディストーションモジュール5での選択が、BL輝度レベル設定部8で設定された参照用発光輝度レベルBLrefを超えない範囲で行われることから、BL輝度レベル設定部8では、参照用発光輝度レベルBLrefとしてバックライトの発光輝度レベルの最大値が設定されると説明している。また、図2の例では、第2のテンポラリフィルタ9を経由した参照用発光輝度レベルをBLrefとしている。
【0044】
第2のテンポラリフィルタ9は、第1のテンポラリフィルタ7と同等の機能を持つフィルタである。概略を説明すると、APLが急激に変化し、且つその変化がディストーションモジュール5での選択に影響を与えないような場合に、第1のテンポラリフィルタ7から出力される発光輝度レベルBLreducedはその時間的変化が緩和されている。しかし、ゲイン設定はBL輝度レベル設定部8から出力された参照用発光輝度レベルを元に計算するため、ゲインが変化してしまい、液晶パネル上の表示輝度が急激に変化してしまう。このような表示輝度の急激な変化を無くす或いは緩和するために、第2のテンポラリフィルタ9を設けている。
【0045】
可変ディレイ10は、映像出力部17での映像出力とBL調光部12でのバックライト調光とのタイミングを取るための遅延部である。バックライト調光は、調光値が決定すれば比較的少ない処理後、バックライト輝度制御が行われる。それに対して、映像信号はアドバンスト輝度変調で映像のゲインが決定し、映像信号の輝度レベルを変更した後もFRC部16でのフレームレート制御や、液晶制御回路でのパネル制御信号への変換など、多くの処理が行われるため、時間的な遅延が発生する。そうすると、本来同時におこなわれるべきバックライト調光制御と映像のゲイン制御のタイミングがずれてしまい、バックライトと映像のバランスが崩れてしまうことになる。そこで、可変ディレイ10によってバックライト調光をあえて遅らせ、バックライト調光制御と映像のゲイン制御のタイミングを合わせるものである。
【0046】
コンフィグレーションデザイン部13は、BL輝度レベル設定部8で決定された参照用発光輝度レベルBLrefとディストーションモジュール5によって選択された発光輝度レベルBLreducedとに基づき、映像信号のゲインを計算する。
【0047】
〈本発明に係る輝度変調処理を実行する主要ブロックの説明〉
図2の表示装置における主要ブロックとして、BL輝度レベル設定部8、コンフィグレーションデザイン部13、肌色検出部18をこの順序で説明する。
【0048】
《BL輝度レベル設定部8》
BL輝度レベル設定部8には、APL検出部3で検出された映像信号のAPLが入力されるとともに、周囲の明るさ(周囲の照度)を測定する図示しない明るさセンサの検出情報に基づく制御信号、及び液晶パネルの明るさを設定するユーザ設定に基づく制御信号が入力される。また、映像特徴量として、映像信号を仮に伸張したときに表現できない頻度、あるいは映像信号の最小輝度及び最大輝度などの情報を使用する場合には、ヒストグラム検出部2から、映像信号の画面単位(フレーム単位)で必要とするこれら情報(ヒストグラム情報とする)が入力される。また、APLとヒストグラム情報の両方を使用する場合には、それぞれの情報がBL輝度レベル設定部8に入力される。
【0049】
そして、BL輝度レベル設定部8ではこれらの制御信号とAPLとに基づいて、参照用発光輝度レベルBLrefを出力する。より具体的には、画面単位(フレーム単位)で変化する入力映像信号のAPLに応じて、バックライト輝度を動的に調整する方式を適用し、これにより得られた発光輝度レベルを参照用発光輝度レベルBLrefとして出力する。
【0050】
参照用発光輝度レベルBLrefの生成には、BL輝度レベル設定部8に保持されている輝度制御テーブル(ルックアップテーブル)が用いられる。輝度制御テーブルは、入力映像信号の映像特徴量(ここではAPL)に応じたバックライトの発光輝度レベルの関係、すなわち輝度制御特性を定めるものである。そして予め選択可能な複数の輝度制御テーブルを用意し、BL輝度レベル設定部8が備えるROM(Read Only Memory)等のテーブル格納メモリに保持させておく。
【0051】
液晶表示装置周囲の明るさを測定する明るさセンサには、例えばフォトダイオードが適用される。明るさセンサは、検出した周囲光に応じた直流電圧信号を生成し、図示しないメインCPUに出力する。メインCPUは、周囲光に応じた直流電圧信号に応じて輝度制御テーブルを選択する制御信号をBL輝度レベル設定部8に出力する。
【0052】
さらに、メインCPUは、液晶パネルの明るさを設定するユーザ設定に基づく制御信号として、輝度制御テーブルの輝度制御値を調整するための輝度調整係数を出力する。輝度調整係数は、ユーザ操作に応じて画面全体の明るさ設定を行うために使用される。例えば、表示装置が保持するメニュー画面には、画面の明るさ調整項目が設定されている。ユーザは、その設定項目を操作することによって、任意の画面明るさを設定することができる。メインCPUは、その明るさ設定を認識し、設定された明るさに従ってBL輝度レベル設定部8に輝度調整係数を出力する。
【0053】
BL輝度レベル設定部8では、明るさセンサの検出情報に従ってメインCPUから出力された制御信号により、テーブルNoを指定して輝度制御テーブルを選択する。若しくは選択する輝度制御テーブルを演算によって生成するようにしてもよい。そして、選択した輝度制御テーブルの輝度変換値に対して、ユーザ設定に基づく制御信号として得た輝度調整係数を乗算し、輝度制御テーブルの輝度制御特性の傾きを変化させ、最終的に、参照用発光輝度レベルBLrefの生成に使用する輝度制御テーブルを決定する。そして、BL輝度レベル設定部8は、決定した輝度制御テーブルの輝度制御特性を使用し、APL検出部3から出力されたAPLに応じて参照用発光輝度レベルBLrefを生成して出力する。
【0054】
輝度制御テーブルは、上述したように、入力映像信号の特徴量であるAPLとバックライトの発光輝度レベルとの関係を定めるものであって、例えば、APLが大きいときにはバックライトの発光輝度レベルが小さくなるように設定することで、高輝度の映像のときに眩しさを感じないようにバックライトの発光輝度を抑えるようにしている。輝度制御テーブルの輝度制御特性に従って、映像信号のAPLの変化に応じて発光輝度レベルBLrefが動的に変化する。本発明においては、輝度制御テーブルにおける輝度制御特性については特に限定されるものではなく、入力映像信号の特徴量に応じてバックライトの発光輝度レベルを動的に変化させる特性を規定するものを適宜適用することができる。
【0055】
このようにしてBL輝度レベル設定部8から出力された参照用発光輝度レベルBLrefは、第1のテンポラリフィルタ7の作用で遅延された後、コンフィグレーションデザイン部13に入力し、映像ゲインの演算に使用されるとともに、ディストーションモジュール5に入力して、ヒストグラムに応じた発光輝度レベルBLreducedの決定に使用される。
【0056】
図3は、図2の表示装置におけるディストーションモジュールで実行される評価値の演算処理例を説明するための図である。図3において、h1は映像信号のYヒストグラムを示している。ここで横軸は映像信号の入力階調(映像信号としてとりうる画素値、又は映像信号レベルともいう)を示し、縦軸は各映像信号レベルの頻度を示している。
【0057】
このような映像のヒストグラムh1に対して、使用する液晶パネルにおいてバックライトの発光輝度レベルが100%の時に表示可能な映像輝度範囲をAとする。また、ターゲットCRの液晶パネルで表示可能な映像輝度範囲をBとする。また、ディストーションモジュール5で選択可能な発光輝度レベルのうち、ある特定の発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲をCとする。そして、ヒストグラムh1において、映像輝度範囲Cの両側で映像輝度範囲Bと重なる部分が、ディストーションとして数値化を行う部分であり、評価値算出部分である。この評価値算出部分のうち、低輝度部分をD1、高輝度部分をD2とする。
【0058】
評価値(ディストーション;Distortion)は、選択可能な発光輝度レベルに対して、頻度と重み付けによって下式(1)によって算出する。
Distortion=Σ{(映像輝度範囲D1+D2の頻度)×(距離重み)}・・・(1)
【0059】
重みとしては、評価値算出対象となる発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲Cから遠ざかる程大きくする距離重みを用いる。ここでは、低輝度部分D1の距離重みをE1、高輝度部分D2の距離重みをE2とする。従って、同じ頻度値であっても、表現できる範囲から遠いほうが、評価値は大きくなる。これは表現できる範囲から遠いほうが、映像として表現できない影響が大きいためである。頻度と重み付けによって算出した値はF1(低輝度部分)、F2(高輝度部分)である。評価値はF1とF2の面積(累計)を合計した値となる。
【0060】
ディストーションモジュール5では、各発光輝度レベルに対して評価値を算出し、後述する手法によって評価値とゲインとの関係を算出する。また肌色検出部18で検出された肌色の分布から液晶パネルの視野角特性に応じた肌色劣化度を算出し、肌色劣化度の合計とゲインとの関係、及び評価値とゲインとの関係から、バックライトに設定すべき発光輝度レベルBLreducedを選択する。発光輝度レベルBLreducedは、この後、コンフィグレーションデザイン部13に出力され、映像信号に適用するゲインが決定される。
上記の発光輝度レベルBLreducedとして選択する際、ディストーションモジュール5では、BL輝度レベル設定部8で設定され、第2のテンポラリフィルタ9によって緩和された発光輝度レベルBLrefを越えない範囲で、発光輝度レベルBLreducedを選択する。
【0061】
このような評価値の算出は、ディストーションモジュール5で、選択可能な発光輝度レベルの全てについて行うことが理想である。しかし、処理時間等の制限があるため、選択可能な発光輝度レベルの輝度制御範囲を均等に分け、例えば10%程度毎の発光輝度レベルについて算出すればよい。
【0062】
つまり、上式(1)の特定の発光輝度レベルで表示可能な映像輝度範囲をCとして、選択可能な発光輝度レベルを順次適用し、発光輝度レベルごとに評価値を算出する。そして算出した評価値とゲインとの関係を算出する。
評価値は、発光輝度レベルに応じて定まるものである。また、特定の発光輝度レベルを設定したときのゲインの値は、バックライトに設定する発光輝度レベルをBLreducedとするとき、
G=CVreduced/CVref=(BLref/BLreduced1/γ・・・(4)
によって計算される。
【0063】
上記の参照用の発光輝度レベルBLrefと、バックライトに設定する発光輝度レベルBLreducedとによるゲイン計算について説明する。ゲインをかけた画素値をCVreduced とするとき、発光輝度レベルを低下させたときの画面の明るさ(液晶パネルでの表示輝度)は、BLreduced(CVreduced/255)γである。一方で、参照用発光輝度レベルBLrefでバックライトを制御したときの画面の明るさは、BLref(CVref/255)γとなる。これらの値を等しくさせ、発光輝度レベルBLreducedによって生じるバックライトの発光輝度の低下分を補償するように、画素値を決定すればよい。つまり、下式(3)を満たすようなゲインを演算する。
Y=BLreduced(CVreduced/255)γ=BLref(CVref/255)γ・・・(3)
【0064】
従って、このときのゲイン(Gとする)は、下式(4)のようになる。例えば、参照用発光輝度レベルBLrefが100%のときには、下式(5)のようになる。なお、BLrefとBLreducedとの関係をルックアップテーブルとしてのROMなどに格納しておき、下式(4)の演算処理を高速に実行させることが好ましい。
【0065】
G=CVreduced/CVref=(BLref/BLreduced1/γ・・・(4)
G=(1/BLreduced1/γ ・・・(5)
【0066】
ディストーションモジュール5では、バックライトで選択可能な発光輝度レベルごとに評価値を算出し、その発光輝度レベルと、BL輝度レベル設定部8で選択された発光輝度レベルBLrefとから、上記選択可能な発光輝度レベルごとにゲインを計算し、発光輝度レベルとゲインとの関係を得る。
【0067】
さらにディストーションモジュール5では、肌色検出部18で検出された肌色の分布に対して、液晶パネル特有の肌色の視野角による変化量を使用して重みを付けを行う。そして、この重み付けした肌色の分布をゲイン毎に積算して、ゲインを変えたときの肌色重みの変化を演算し、この肌色の重みの変化を考慮した評価を行ってBLreducedを選択する。
【0068】
ディストーションモジュール5での評価値算出処理を、図4〜図7を参照し具体的な数値で説明する。図4は、本発明に係る表示装置における輝度変調処理の具体例を説明するための図で、映像ヒストグラムにおけるパネルCRとターゲットCRとの関係の一例を示す図である。ここでは、使用する液晶パネルのCR(パネルCR)が2000、ターゲットCRが3500、バックライトの輝度制御範囲が20〜100%で、バックライト輝度100%のときの液晶パネルの最大輝度は450cdとする。また、図4における各アルファベット記号は図3に準拠する。
【0069】
この例において、使用する液晶パネルで表示可能な映像輝度範囲Aは、450cd〜0.225cdである。また、目標とする液晶パネルの表示可能な映像輝度範囲Bは、450cd〜0.128cdである。そして、各映像信号レベル0〜255に対する頻度を映像輝度範囲Bに合わせるように割り付ける。この場合、映像輝度範囲Aと映像輝度範囲Bとの差は5デジット程度である。
【0070】
ヒストグラムh1において、映像輝度範囲Bと映像輝度範囲Aとの差の部分に映像があれば、バックライトの発光輝度レベルを下げることで、よりターゲットCRに近い輝度表現が可能になる。しかし、高輝度側にも映像が分布していると、バックライトの発光輝度レベルを下げることで表現できない部分が発生する。そこで、上述したように、評価値を算出する。
【0071】
図5は、選択対象の一つである発光輝度レベル100%のときの映像輝度範囲Cを示す図、図6は、選択対象の一つである発光輝度レベル70%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図、図7は、選択対象の一つである発光輝度レベル50%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。図5〜図7における各アルファベット記号は図3に準拠する。
【0072】
図5で示したように、発光輝度レベルが100%を示すものである場合、低輝度部分の評価値F1には或る程度の値があり、高輝度部分の評価値F2には値がない。また、図6で示したように、発光輝度レベルを70%程度に下げた場合、低輝度部分の評価値F1及び高輝度部分の評価値F2ともに、低い値を持つ。また、図7で示したように、発光輝度レベルを50%程度に下げた場合、低輝度部分の評価値F1には値がなく、高輝度部分の評価値F2には大きな値を持つ。図5〜図7で例示した各発光輝度レベルでの評価値算出結果の面積(累積)を比較してみると、発光輝度レベルが70%のときが最も低い。このような処理によって、バックライトの発光輝度レベルに応じた評価値を算出することができる。
【0073】
《コンフィグレーションデザイン部13》
コンフィグレーションデザイン部13は、ディストーションモジュール5で選択された発光輝度レベルBLreducedによってバックライトの発光輝度が低下したときに、画面上の輝度を上げるように、映像ゲインを調整する。
参照用の発光輝度レベルBLrefと、バックライトに設定する発光輝度レベルBLreducedとによるゲイン計算については、上述の式(4)により実行することができる。また、ディストーションモジュール5で計算されたゲインを使用して、ゲイン設定を行うようにしてもよい。
【0074】
《肌色検出部18》
図8は、液晶パネルにおける映像信号の入力階調と表示パネルの相対輝度との関係の一例を示す図である。ここでは、液晶パネルの視野角0°と60°とにおいて、入力階調に応じた相対輝度がどの程度変化するかが示されている。入力階調は8ビット(256階調)で表現されている場合を示す。
【0075】
図8に示すように、液晶パネルに対する視野角が大きくなると、同じ入力階調であっても相対輝度が増大する方向に変化する傾向があるが、特にその変化の傾向は中間階調(128付近)で最も大きくなる。視野角による変化が大きいほど、映像品の低下が顕著になるといえる。従って、入力階調を中間階調付近から遠ざけるようにすれば、視野角による品位の低下を抑制することができる。
【0076】
図9〜図10は、肌色を表示したときの視野角変化の一例を示す図である。この例では、肌色の一例として(R,G,B)=(160,110,100)の映像についてその輝度変化を示している。図9に示すように上記のRGB値をもつ映像の視野角による輝度差d1〜d3は、RGB値が中間階調付近に分布しているため、大きなものとなっている。従って、このRGB値の肌色は、視野角による輝度変化が大きく、品位の低下が目立つ。
【0077】
ここで図10に示すように、映像信号の輝度を上げることにより視野角の影響を軽減させることができる。ここでは、図9に示すRGB値をもつ肌色に対して特定のゲイン(約1.59)を付与し、RGB値をそれぞれ(255,175,159)としたときの例を示している。このように、RGB値を中間階調域から外すことにより、輝度差d1〜d3が小さくなり、視野角による変化が軽減される。
【0078】
一方、肌色のRGB値によっては、ゲインをかけることによって逆に視野角変化が増大して映像品位の低下を招く場合もある。図11〜図12は、肌色を表示したときの視野角変化の他の例を示す図である。この例では、肌色の一例として(R,G,B)=(110,80,50)の映像についてその輝度変化を示している。図11に示すように上記のRGB値をもつ映像の視野角による輝度差d1〜d3は、RGB値が低階調付近に分布しているため、それほど大きくない。
【0079】
図12は、RGB値に対して特定のゲイン(約1.27)を付与し、RGB値をそれぞれ(140,102,64)としたときの例を示している。この例では、RGB値が中間階調域に上がってしまい、輝度差d1〜d3が大きくなって、視野角による変化が増大してしまう。
【0080】
上記のような肌色の視野角変化を抑えて、最適な映像品位による映像表示を行うために、本実施形態の表示装置では、肌色検出部18によって映像の肌色を検出し、その結果に基づいて視野角の劣化度を算出する。そしてその視野角の劣化度と、ディストーションモジュール5で得られるディストーションの値とを用いて、肌色の視野角変化を考慮した最も適切なゲイン、及びバックライトの発光輝度BLreducedを選択できるようにする。
【0081】
肌色検出部18における処理をさらに具体的に説明する。肌色検出部18は、入力映像信号から予め定められた条件に基づく肌色を検出し、映像信号の輝度に応じた肌色分布を生成する。また、肌色検出部18では、液晶パネルの特性として予め測定された視野角変化度を用いて、その画面毎の肌色の分布の変化量の総量を生成し、ディストーションモジュール5に出力する。
【0082】
例えば、文献「Journal of Electronic Imaging 15(4), 041203, Oct-Dec 2006」に記載されたDu-Shik Park, Youngshin kwak, Hyunwook Ok, Chang Yeong kimによる「Preferred Advanced Institute of Technology」には、肌色の信号の領域が示されている。図13は、上記文献に示された肌色領域を示す図で、肌色S1は、信号CbCrの一定領域内に存在している。肌色検出部18では、例えばこのような色差Cb,Crにより定義された領域に加えて、輝度Yを加味した肌色検出を行う。
【0083】
図14は、Y,Cb、Crにおける肌色領域を示す図である。上記図13に示したようなCb,Crの空間における肌色の領域を、輝度Yを加味したY,Cb,Cr空間で表すと、図14に示すような楕円柱形状の領域S2(点線で示す領域)となる。Y,Cb,Crにおける中心座標部分は白である。そして肌色領域S2の楕円柱の中心軸cは、肌色度(Sとする)が最も高く、この肌色度が最も高いCb,Crの値をそれぞれCbskin,Crskinとする。
【0084】
図15は、縦軸に肌色度Sをとり、横軸に肌色領域S2のCb,Cr面内における肌色中心cからの距離をとったときの図を示すものである。ここでは、Cbskin,Crskinの値をもつ肌色中心の肌色度を1とし、肌色ではない色(非肌色)の肌色度を0とするとき、図14の肌色領域S2における肌色中心cから肌色領域S2の外縁(非肌色領域との境界)までの肌色度Sは、図15に示すような分布をとるものとする。つまり、肌色に重みを付けて、肌色中心の重みを1とし、肌色以外の領域では重みを0にする。
【0085】
肌色検出部18で肌色を検出するための構成としては、色々な肌色(例えば明るい肌色、暗い肌色など)の肌色サンプルの値を使用してD−LUT(Dimensional Look Up Table)を構成し、このD−LUTを使用して入力映像信号から、Y,Cb,Cr空間の所定領域内の肌色を検出してもよい。
【0086】
図16は、肌色検出部における肌色の検出例を説明するための図である。肌色検出部18では、入力映像信号の輝度毎の肌色度を検出し、その肌色度を合計する。つまり、入力映像信号の輝度に応じた肌色の分布を生成する。
ここでは、肌色検出部18は、入力映像信号の画面ごとに画素単位で肌色度を検出し、輝度毎にその肌色度を合計して図16に示すような関係を得る。ここでは、ある輝度における肌色度の合計Syは、Sy=ΣS×nで表すことができる。Sは、図15に示した肌色度であり、nは同じ肌色度Sを持つ画素の数である。画面内の輝度毎の画素に対応する肌色度を全て積算することで、図16のように輝度に応じた肌色度Syの分布が得られる。この分布は、画面ごと(例えばフレームごと)にその都度生成されるものである。
【0087】
ここで、予め表示パネルの特性に応じて決まる肌色の視野角変化度Wyを決定しておく。図17は、表示パネルの特性に応じて決定される肌色の視野角変化度の分布例を示す図である。上述したように、液晶パネルでは、視野角による相対輝度の変化により、映像品位が低下する。ここで肌色について、表示パネルの視野角特性(視野角変化度Wyとする)を測定して、図17に示すような視野角変化度Wyの分布曲線を予め得ておき、ROMなどの記憶手段に記憶させておく。
【0088】
例えば、肌色中心となるRGBの比率をR0:G0:B0とするとき、この関係を持ついろいろな輝度の肌色データを作ることができる。このようないろいろな輝度の肌色を実際に液晶パネルに表示させて、正面(0度)から液晶パネルを見たときの肌色の色度(u0,v0)と、斜め60度から液晶パネルを見たときの肌色の色度(u60,v60)とを測定する。
【0089】
そして測定した色度の差Δu´v´を以下の式(6)、
Δu´v´=((u−u60)+(v0−v60)0.5 ・・・(6)
により求める。つまり、Δu´v´は、視野角0度と60度のときの色度の距離を表している。この色度の差Δu´v´が最も大きい輝度の肌色値を1となるように正規化することで、図17に示すような輝度に応じた視野角変化度Wyを得ることができる。これは、液晶パネルによって異なるものとなる。ここでは、中間階調のときの視野角変化(色の変化)が大きく、低階調と高階調との領域では、視野角変化が小さいことがわかる。
【0090】
図18は、表示パネルごとの視野角変化度を考慮した画面毎の肌色度の一例を示す図である。肌色検出部18では、図16に示したようなある画面のときの肌色度の合計Syに対して、図17に示すような液晶パネルごとに定められる視野角変化度Wyを掛け合わせることで、図18に示すような肌色変化度Wを計算する。これは、肌色の分布の視野角による変化量を示すものである。
そして、計算した肌色変化度Wをディストーションモジュール5に出力する。ディストーションモジュール5では、肌色検出部18から出力された画面毎の肌色変化度Wと、ディストーションモジュールで演算したディストーションとから、肌色の視野角変化を考慮した発光輝度レベルBLreducedを決定する。
【0091】
《ディストーションモジュールによる発光輝度レベルの選択処理の詳細》
ディストーションモジュール5では、肌色検出部18から出力された肌色変化度Wを用いて、肌色変化度の合計ΣWを計算する。ここでは、肌色検出部18から出力された肌色変化度Wの分布曲線によって囲まれた領域の面積を肌色変化度の合計ΣWとする。肌色変化度の合計ΣWは、図18において、0〜255の輝度毎の肌色変化度Wを足し合わせた面積として計算する。肌色変化度の合計ΣWは、肌色の分布の視野角による変化量の総量である。この変化量の総量を用いて、ゲイン及びバックライトの発光輝度レベルBLreducedが選択される。
【0092】
図19は、肌色変化度の合計ΣWとゲインとの関係を示す図である。ここでは、選択可能なバックライトの発光輝度レベルに応じてゲインが変化する。ゲインは、上述の(4)式のように、BL輝度レベル設定部8から出力されるBLrefと、選択可能なバックライトの発光輝度レベルの値から計算される。
ゲインが変化すると、図16の肌色度の合計Syの分布曲線は輝度方向に変化する。従って表示パネルごとに一定の視野角変化度Wyと掛け合わせることによって、得られる肌色劣化度Wの面積ΣWも変化することになる。
【0093】
すなわち、肌色度の合計Syの分布が中間階調付近に集中する図16の例のような場合には、同様に中間階調付近で劣化が大きい視野角変化度Wyと掛け合わせることで、得られる肌色変化度Wの面積ΣWも大きくなる。つまりゲイン後に中間階調付近に肌色がある場合には、最も視野角変化度Wyが大きく、肌色変化度Wの面積ΣWも大きくなる。これは、肌色の視野角変化という観点からは、中間階調付近に肌色が位置するようなゲインを選択すべきではないことを意味する。
【0094】
一方、ゲイン後に中間階調から外れた輝度領域に肌色度の合計Syが分布している場合には、その輝度領域では視野角変化度Wyが小さいため、肌色変化度Wの面積ΣWも小さくなる。従ってこの領域のゲインの場合には、肌色の視野角変化が小さいことになる。
【0095】
図20は、ディストーションとゲインとの関係の一例を示す図である。ディストーションモジュール5では、バックライトで選択可能な発光輝度レベルに対してそれぞれディストーション(評価値)を算出する。ここでは選択可能な発光輝度レベルに応じてゲインが変化する。つまり、ある画面のYヒストグラムにおいて、発光輝度レベルを変化させると、それに応じてディストーションが変化する。発光輝度レベルに応じてゲインも変化するため、その画面におけるディストーションとゲインとの関係を演算することができる。図20は、ある画面におけるディストーションとゲインとの関係を示すもので、この関係は画面(例えばフレーム)ごとに異なってくるものである。
【0096】
上述のように図19の肌色変化度の面積ΣWで示される値は、ΣWが大きいほど視野角の劣化量が大きくなるもので、また、図20に示すディストーションの値も大きくなるほど画面のコントラスト感が損なわれる値である。
そこで、これらΣWとディストーションとを係数A,Bを付加して足し合わせることによりトータルの劣化量xを算出する。つまり、
x=A×ΣW+B×ディストーション(A,Bは係数) ・・・(7)
により劣化量xを得る。
【0097】
図21は、肌色劣化度とディストーションとを加味したトータルの劣化量xの分布例を示す図である。図19に示すΣWと、図20に示すディストーションとを上記式(7)により係数を用いて足し合わせることで、図21に示すような劣化量xの分布を得ることができる。この劣化量xのゲインに応じた分布特性を、ゲインを選択するための劣化特性とする。この例では、係数A、Bをそれぞれ1とし、両者の重み付けを均等にしているが、係数A,Bについては任意に設定することができる。
【0098】
この場合に、ディストーションモジュール5では、劣化特性に示される劣化量xが最も小さくなるゲインを抽出して、そのゲインに相当するバックライトの発光輝度レベルBLreducedを選択する。この選択した発光輝度レベルBLreducedをバックライトの制御に使用する値として、テンポラリフィルタ7に出力する。コンフィグレーションデザイン部13では、テンポラリフィルタ7を介して入力した発光輝度レベルBLreducedに基づいて、映像信号のゲインを設定する。また、あるいは、ディストーションモジュール5から、選択したゲインそのものを出力し、コンフィグレーションデザイン部13におけるゲイン設定に使用するようにしてもよい。
【0099】
上述のようにディストーションモジュール5は、入力映像信号のヒストグラムにおいて、バックライトの選択可能な発光輝度レベルに対して評価値を得る処理を実行する本発明の評価値算出部として機能するとともに、光源に設定可能な発光輝度レベルと輝度レベル設定部で設定した参照用の発光輝度レベルBLrefとを用いて、映像信号に設定可能なゲインを計算するゲイン計算部として機能する。そしてさらにディストーションモジュール5は、肌色の分布の視野角による変化量の総量と、映像信号に設定可能なゲインとの関係を計算する本発明の肌色変化量/ゲイン計算部と、評価値とその評価値に算出に用いた発光輝度レベルによって計算されるゲインとの関係を計算する本発明の評価値/ゲイン算出部とを実現するものである。
【0100】
そしてディストーションモジュール5は、ゲインに応じた肌色の分布の視野角による変化の総量と、ゲインに応じた評価値とにそれぞれ係数を掛けて、ゲインごとに足し合わせることで映像信号に設定するゲインを選択するための劣化特性を生成し、劣化特性が最も小さいゲインを選択し、選択したゲインに相当する発光輝度レベルをBLreducedとして出力するものである。
【0101】
以上に説明したように、本実施形態の表示装置では、ディストーションに加えて肌色の劣化度を考慮した最適なゲイン、及びバックライトの発光輝度レベルを選択することで、特に肌色の視野角改善と低消費電力化を両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】CRが3000と6000の液晶パネルについて、入力階調レベル(映像信号レベル)と液晶パネル上での輝度値との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の一実施形態に係る表示装置のシステム構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の表示装置におけるディストーションモジュールで実行される発光輝度レベル選択処理の一例を説明するための図である。
【図4】図2の表示装置におけるアドバンスト輝度変調処理の具体例を説明するための図である。
【図5】選択対象の一つである発光輝度レベル100%のときの映像輝度範囲Cを示す図である。
【図6】選択対象の一つである発光輝度レベル70%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。
【図7】選択対象の一つである発光輝度レベル50%程度のときの映像輝度範囲Cを示す図である。
【図8】液晶パネルにおける映像信号の入力階調と表示パネルの相対輝度との関係の一例を示す図である。
【図9】肌色を表示したときの視野角変化の一例を示す図である。
【図10】肌色を表示したときの視野角変化の他の例を示す図である。
【図11】肌色を表示したときの視野角変化の更に他の例を示す図である。
【図12】肌色を表示したときの視野角変化の更に他の例を示す図である。
【図13】先行技術文献に示された肌色領域を示す図である。
【図14】Y,Cb、Crにおける肌色領域を示す図である。
【図15】縦軸に肌色度Sをとり、横軸に肌色領域S2のCb,Cr面内における肌色中心cからの距離をとったときの図である。
【図16】肌色検出部における肌色の検出例を説明するための図である。
【図17】表示パネルの特性に応じて決定される肌色の視野角変化度の分布例を示す図である。
【図18】表示パネルごとの視野角変化度を考慮した画面毎の肌色度の一例を示す図である。
【図19】肌色変化度の合計ΣWとゲインとの関係を示す図である。
【図20】ディストーションとゲインとの関係の一例を示す図である。
【図21】肌色劣化度とディストーションとを加味したトータルの劣化量の分布例を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1…スケーリング部、2…Yヒストグラム検出部、3…APL検出部、4…ヒストグラムストレッチング部、5…ディストーションモジュール、6…シーンチェンジ検出部、7…第1のテンポラリフィルタ、8…BL輝度レベル設定部、9…第2のテンポラリフィルタ、9a…第3のテンポラリフィルタ、10…可変ディレイ、11…CPU/CPLD、12…BL調光部、13…コンフィグレーションデザイン部、14…画質補正部、15…RGBγ/WB調整部、16…FRC部、17…映像出力部、18…肌色検出部、20…アドバンスト輝度変調部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号による映像を表示する液晶パネルと、該液晶パネルを照射する光源とを有し、前記光源の発光輝度と、映像信号のゲインとを連動して設定する表示装置において、
前記液晶パネルに表示する映像の視野角変化度を映像信号の輝度に応じて予め検出して前記表示装置が備える記憶手段に記憶しておき、
該表示装置は、映像信号から予め定められた条件に基づく肌色を検出し、映像信号の画面ごとに輝度に応じた肌色の分布を生成する肌色検出部を有し、
該肌色検出部で検出された輝度に応じた肌色の分布に対して、前記輝度に応じた視野角変化度を掛け合わせることで、前記肌色の分布の視野角による変化量を生成し、該変化量の総量に基づいて前記光源の発光輝度と、前記ゲインとを制御することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、入力映像信号の輝度値のヒストグラムを検出するヒストグラム検出部と、
予め設定された前記液晶パネルの目標コントラストを使用し、前記入力映像信号のヒストグラムにおいて、前記目標コントラストのときに前記液晶パネルで表示可能な入力映像信号の映像輝度範囲のうち、前記光源の特定の発光輝度レベルにおいて表現できない映像輝度範囲の画像の頻度に所定の重み係数を乗算して評価値を得る処理を、選択可能な前記光源の発光輝度レベルについて実行する評価値算出部とを有し、
前記肌色の分布の視野角による変化量の総量と、前記評価値算出部で算出した評価値とに基づいて、前記映像信号のゲインを制御することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置において、前記光源に設定可能な発光輝度レベルと、前記輝度レベル設定部で設定した前記参照用の発光輝度レベルとを用いて、映像信号に設定可能なゲインを計算するゲイン計算部と、
前記肌色の分布の視野角による変化量の総量と、前記映像信号に設定可能なゲインとの関係を計算する肌色変化量/ゲイン計算部と、
前記評価値と該評価値に算出に用いた発光輝度レベルによって計算されるゲインとの関係を計算する評価値/ゲイン算出部と、
前記ゲインに応じた肌色の分布の視野角による変化の総量と、前記ゲインに応じた前記評価値とにそれぞれ係数を掛けて、ゲインごとに足し合わせることで前記映像信号に設定するゲインを選択するための劣化特性を生成し、前記劣化特性が最も小さいゲインを選択し、選択したゲインにより映像信号を伸張するとともに、該選択したゲインに相当する発光輝度レベルを用いて前記光源の発光輝度を制御することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−85524(P2010−85524A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252231(P2008−252231)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】