説明

液晶表示装置

【課題】マルチプレックス駆動によって動作する垂直配向型液晶表示装置において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、一面側に第1電極11を有する第1基板1と、一面側に第2電極12を有し、第1基板と対向配置された第2基板2と、第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層3と、を含む。第1電極11は、一方向に延びた形状であって周期的に配置された複数の開口部15を有する。液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有する。複数の開口部15は、各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が0°以上90°未満となるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチプレックス駆動される垂直配向型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、例えば民生用や車載用の各種電子機器における情報表示部として広く利用されている。一般的な液晶表示装置は、数μm程度の間隙を設けて対向配置させた2枚の基板間に液晶材料からなる液晶層を配置して構成されている。このような液晶表示装置の1つとして垂直配向型の液晶表示装置が知られている。垂直配向型の液晶表示装置は、2枚の基板間に配置される液晶層の内部における液晶分子を各基板の表面に対してほぼ垂直に配向させたVAモードの液晶セルと、この液晶セルの外側にそれぞれ設けられる偏光板と、を主たる構成として備える。各偏光板はクロスニコル配置とされることが多い。このようにすると、液晶表示装置の電圧無印加時における透過率が非常に低くなるので、高いコントラストを比較的簡単に実現することが可能となる。
【0003】
VAモードの液晶セルを実現するためには、基板表面へ所定の配向処理を施すことにより液晶層の液晶分子の配向を制御することが重要である。配向処理としては、例えば、SiOxなどの金属酸化物を基板法線より傾いた方向から蒸着することにより、鋸形状の表面を有する薄膜を基板表面に形成する処理(いわゆる斜方蒸着法)や、ポリイミド等の有機配向膜材料を基板表面に成膜した後に、これに紫外線を特定方位から照射する処理(いわゆる光配向処理法)、あるいは特定の表面自由エネルギーを有する垂直配向膜を基板表面に形成し、これにラビング処理を施す配向処理等が主に知られている。これらの配向処理によれば、電圧無印加時における液晶層内の液晶分子が1つの方位に揃った配向(いわゆるモノドメイン配向)が得られる。
【0004】
上述したようなモノドメイン配向の垂直配向型液晶表示装置においては、液晶層内におけるプレティルト角の設定が表示特性に大きな影響を与える。具体的には、電気光学特性における急峻性について考えると、電圧無印加時において液晶分子が基板法線方向に配向する場合、すなわちプレティルト角が90°の場合が最も良好となる。特に、液晶表示装置をマルチプレックス駆動法によって駆動する場合において、表示容量を増加させる(すなわちデューティを大きくする)ためには、プレティルト角を大きく設定することは有効な手段である。しかし、プレティルト角を90°に設定すると電圧印加時における液晶分子の配向の均一性が得られないため、実用上は上記した配向処理を施す必要が生じる。
【0005】
特開2005−234254号公報(特許文献1)には、垂直配向型液晶表示装置において、プレティルト角を89.5°より大きくした場合(特に89.7°より大きくした場合)に、プレティルト角の大きさに追随して最大透過率が低下する傾向が見られる旨の指摘がなされている。また、これについて特開2008−281752号公報(特許文献2)には、フレーム周波数が比較的に低い駆動条件において表示部の一部に暗領域が現れ、表示に不均一が発生することが原因の1つであると指摘されている。このような表示不均一性を改善する方法として、上記の特許文献2には、種々のマルチプレックス駆動波形を用いた場合のそれぞれについて、垂直配向型液晶表示装置のプレティルト角の設定とそれに応じたフレーム周波数の設定方法が開示されている。具体的には、特許文献2においては、プレティルト角が90°に近づくほどにフレーム周波数を高くするか、あるいは高周波成分を多く含む1/2ライン反転駆動波形を用いることにより、表示の均一性を実現可能であることが示されている。
【0006】
ところで、走査線の本数が比較的多い(すなわちデューティが大きい)垂直配向型液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において上記した特許文献2に開示された技術を適用すると、液晶表示装置の内部インピーダンスが低下することから駆動電流の増加を招く。必要となる駆動電流が液晶表示装置を駆動するドライバー(駆動装置)の電流駆動能力を超えた場合には、走査線等となる透明電極の途上で電圧降下が生じることにより各画素への印加電圧が不均一となり、表示ムラが顕著に現れる。例えば、短冊状の透明電極を交差させ、それらの間に液晶層が設けられたドットマトリクス型の液晶表示装置においては、一方の透明電極の延在方向に沿った筋状の表示ムラが生じたり、他方の透明電極の延在方向に沿って明るさやコントラストのばらつきが生じたりする。このような表示ムラを解消するには、ドライバーの電流駆動能力を高めること、フレーム周波数を低下させること、又は高周波成分を多く含まない駆動波形(フレーム反転波形)を用いることが有効である。しかし、ドライバーの電流駆動能力を高めることはコスト上昇を招くために好ましい解決法とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−234254号公報
【特許文献2】特開2008−281752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に係る具体的態様は、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能な技術を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するにあたって本願発明者は、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において発生する表示不均一性について鋭意検討した。図9に、プレティルト角を89.6°とした垂直配向型の液晶表示装置をデューティ比1/8、バイアス比1/5、フレーム周波数を80Hzの条件でマルチプレックス駆動した場合における外観観察写真を示す。図示のようにセグメント型の表示部を有する液晶表示装置を用い、全セグメントをオン表示(明表示)とした。この液晶表示装置におけるラビング方向は12時方向および6時方向(アンチパラレル)であり、液晶層の中央における液晶分子の配向方向は12時方向(図中左側に矢印で示す方向)となっている。図示のように、各セグメントにおいて部分的に暗領域が現れ、表示均一性が損なわれている。これを詳細に観察すると、暗領域が現れる部分には特徴がある。すなわち、各セグメントにおいて暗領域の発生が多いのはラビング方向に対して略直交方向に長辺部を有する3つのセグメントのエッジ付近である。これらの暗領域はフレーム周波数をより高くすることで消失することができるが、フレーム周波数を低くしたいという要望とは相反する。以上の観察より、表示均一性を低下させる暗領域の発生には、電極のエッジ付近における斜め電界の発生状態と、ラビング方向、すなわち液晶層の中央における液晶分子の配向方向とが関連していると考察される。そこで、上記のような観察結果に基づいて本願発明者は以下の発明に至った。
【0010】
本発明に係る一態様の液晶表示装置は、マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、(c)第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、(d)第1電極は、一方向に延びた形状であって周期的に配置された複数の開口部を有し、(e)液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、(f)複数の開口部の各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、液晶表示装置である。
【0011】
上記構成によれば、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となる。
【0012】
上記の液晶表示装置において、複数の開口部の各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が0°に近いほど好ましく、例えば略45°や略0°とすることが好ましい。
【0013】
それにより、フレーム周波数を低下させる効果をより高めることが可能となる。また、角度を0°又は45°とすることにより、第1基板及び第2基板の各々の外側に偏光板を設けられたときの吸収軸との位置関係の点でも都合がよい。
【0014】
また、上記の液晶表示装置において、複数の開口部は、短手方向において隣り合う2つの開口部の相互間距離Pが0.04mm以上0.2mm未満であることも好ましい。さらに、上記の液晶表示装置において、複数の開口部は、各々の短手方向における幅が0.005mm以上0.03mm以下であり、かつ、長手方向において隣り合う2つの開口部の相互間距離が0mm以上であり上記した第2方向における幅の2倍以下であることも好ましい。
【0015】
それによっても、フレーム周波数を低下させる効果を高めることが可能となる。
【0016】
本発明に係る他の態様の液晶表示装置は、マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、(a)一面側に第1電極を有する第1基板と、(b)一面側に第2電極を有し、第1基板と対向配置された第2基板と、(c)第1基板の第1電極と第2基板の第2電極との間に配置された液晶層と、を含み、(d)第1電極は、第1方向に延びた第1部位と第2方向に延びた第2部位とを交差させてなる十字形状を有し、周期的に配置された複数の開口部を有し、(e)液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、(f)複数の開口部の第1部位と第2部位の各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、液晶表示装置である。
【0017】
上記構成によっても、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となる。
【0018】
上記の液晶表示装置において、複数の開口部の各々は、第1方向と第2方向とのなす角度が略90°であり、当該第1方向及び第2方向の各々と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が略45°であることも好ましい。
【0019】
それにより、フレーム周波数を低下させる効果をより高めることが可能となる。第1基板及び第2基板の各々の外側に偏光板を設けられたときの吸収軸との位置関係の点でも都合がよい。
【0020】
上記の液晶表示装置において、複数の開口部は、各々の第1部位と第2部位とが重なり合った中心点の相互間距離Pを0.1mm以上0.3mm以下として配列されることが好ましい。
【0021】
それによっても、フレーム周波数を低下させる効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態の液晶表示装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】第1電極に設けられた各開口部の構造について説明するための模式平面図である。
【図3】実施例1に係る液晶表示装置の画素部の顕微鏡観察像を示す図である。
【図4】外観観察により表示均一性が得られるフレーム周波数のプレティルト角依存性およびマルチプレックス駆動条件におけるバイアス比依存性を観察した結果を示す図である。
【図5】各開口部の配置ピッチPを変化させたサンプルを用いて外観上、表示均一性が得られるフレーム周波数を観測した結果を示す図である。
【図6】外観観察により表示均一性が得られるフレーム周波数のプレティルト角依存性およびマルチプレックス駆動条件におけるバイアス比依存性を観察した結果を示す図である。
【図7】各開口部の配置ピッチPを変化させたサンプルを用いて外観上、表示均一性が得られるフレーム周波数を観測した結果を示す図である。
【図8】開口部がクロススリット)である場合における効果について説明する模式断面図である。
【図9】プレティルト角を89.6°とした垂直配向型の液晶表示装置をデューティ比1/8、バイアス比1/5、フレーム周波数を80Hzの条件でマルチプレックス駆動した場合における外観観察写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、一実施形態の液晶表示装置(液晶パネル)の構造を示す模式的な断面図である。図1に示す本実施形態の液晶表示装置は、対向配置された第1基板1と第2基板2と、両基板の間に配置された液晶層3と、を主に備える。第1基板1の外側には第1偏光板4が配置され、第2基板2の外側には第2偏光板5が配置されている。第1基板1と第1偏光板4の間には第1視角補償板6が配置され、第2基板2と第2偏光板5の間には第2視角補償板7が配置されている。液晶層3の周囲はシール材8によって封止されている。以下、さらに詳細に液晶表示装置の構造を説明する。
【0025】
第1基板1および第2基板2は、それぞれ、例えばガラス基板、プラスチック基板等の透明基板である。第1基板1と第2基板2との相互間には、スペーサー(粒状体)10が分散して配置されている。これらのスペーサー10により、第1基板1と第2基板2との間隙が所定距離(本実施形態では3.6〜3.8μm程度)に保たれる。
【0026】
液晶層3は、第1基板1の第1電極11と第2基板2の第2電極12との相互間に設けられている。本実施形態においては、誘電率異方性Δεが負(Δε<0)の液晶材料(ネマティック液晶材料)を用いて液晶層3が構成されている。液晶層3に図示された太線は、電圧無印加時における液晶分子の配向方向を模式的に示したものである。図示のように、本実施形態の液晶表示装置においては、液晶層3の液晶分子の配向状態がモノドメイン配向に規制されている。本実施形態における液晶層3のプレティルト角は概ね89.7°〜89.9°に設定されている。また、液晶層3のリタデーションは略800〜870nmである。
【0027】
第1電極11は、第1基板1の一面上に設けられている。本実施形態においては、複数の第1電極11がそれぞれ第2電極12と対向して配置されている。各第1電極11の形状は、例えば矩形状(ドットマトリクス型の場合)であり、または任意の表示パターンに対応した形状(セグメント表示型の場合)である。各第1電極11は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。また、各第1電極11には複数の開口部(スリット)15が設けられている。各開口部15の詳細については後述する。
【0028】
第2電極12は、第2基板2の一面上に設けられている。第2電極12は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電膜を適宜パターニングすることによって構成されている。本実施形態の液晶表示装置は、第1電極11と第2電極12とが平面視において重なる箇所のそれぞれが表示部となる。
【0029】
配向膜13は、第1基板1の一面側に、第1電極11を覆うようにして設けられている。同様に、配向膜14は、第2基板2の一面側に、第2電極12を覆うようにして設けられている。本実施形態においては、配向膜13および配向膜14としては、液晶層3の初期状態(電圧無印加時)における配向状態を垂直配向状態に規制するもの(垂直配向膜)が用いられている。より詳細には、各配向膜13、14としては、液晶層3の液晶分子に対して90°に極めて近い角度(89.7°〜89.9°程度)のプレティルト角を付与し得るものが用いられる。
【0030】
図2は、第1電極に設けられた各開口部の構造について説明するための模式平面図である。図2(a)〜図2(c)に示す各開口部15は、一方向に延びた形(略矩形)を有する。また、図2(d)に示す各開口部15は、略矩形の2つの開口部を交差させた形状(十字状)を有する。各図において、Wは隣接する各開口部15の短手方向の相互間距離(長辺エッジ間距離)を示し、Lは各開口部15の長手方向の長さを示し、Lsは隣接する各開口部15の長手方向の相互間距離(短辺エッジ間距離)を示し、Sは各開口部15の短手方向の長さ(幅)を示している。また、図2(a)〜図2(c)において、Pは開口部15の短手方向の相互間距離(配置ピッチ)を示している。図2(d)においては、Pは、十字状の開口部15における中心点の相互間距離を示している。
【0031】
図2(a)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向(長辺方向)が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向16(図中に左上に矢印で示す)とほぼ平行になるように配置されている。すなわち、各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が略0°となるように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「縦スリット」と称する場合もある。上述した各パラメータについては、例えば、P=0.1mm、S=0.01mm、W=0.09mm、Ls=0.01mm、L=0.09mmとすることができる。
【0032】
図2(b)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向16(図中に左上に矢印で示す)とほぼ直交するように配置されている。すなわち、各開口部15は、各々の長手方向と、液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度が略90°となるように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「横スリット」と称する場合もある。上述した各パラメータについては、例えば、P=0.1mm、S=0.01mm、W=0.09mm、Ls=0.01mm、L=0.09mmとすることができる。
【0033】
図2(c)に示す各開口部15は、それぞれの長手方向が液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向16(図中に左上に矢印で示す)に対して0°以上90°未満の所定角度をもって交差するように配置されている。本例では、各開口部15の長手方向と液晶分子の配向方向とが45°の角度をもつ場合が示されている。このように配置された各開口部15を以後「斜めスリット」と称する場合もある。上述した各パラメータについては、例えば、P=0.1mm、S=0.01mm、W=0.09mm、Ls=0.01mm、L=0.09mmとすることができる。
【0034】
図2(d)に示す各開口部15は、2つの矩形状の部位(第1部位および第2部位)を交差させてなる十字状の形状を有している。そして、各開口部15は、一方の矩形の長手方向(第1方向)と他方の矩形の長手方向(第2方向)とのなす角度が略90°に設定されている。また、各開口部15は、第1方向と第2方向のいずれもが液晶層3の中央部における液晶分子の配向方向(図中に左上に矢印で示す)に対してある角度(本例ではそれぞれ45°)をもって交差するように配置されている。このように配置された各開口部15を以後「クロススリット」と称する場合もある。上述した各パラメータについては、例えば、S=0.01mm、Ls=0.0114mm、L=0.0628mmとすることができる。
【0035】
なお、図2(a)〜図2(d)に示すいずれの開口部15においても4つの角付近は丸まっている。これは第1電極11をパターニングする際の形成条件(エッチング条件)に依存するものであり、エッチング液や液温を変更する等によってエッチングレートを遅くすることにより、4つの角をよりシャープに形成することも可能である。本願発明者によれば、各開口部15の4つの角の形状の違いによる影響は見られないことが確認されている。
【0036】
次に、液晶表示装置の製造方法の一例について詳細に説明する。
【0037】
まず、一面上に透明電極を有する基板を用意する。基板としては、例えば片面が研磨され、その表面にSiOがコートされ、その上にITO(インジウム錫酸化物)からなる透明導電膜が形成されたガラス基板を用いることができる。この基板に対して既知のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を実行することにより、第1電極11を有する第1基板1、第2電極12を有する第2基板2がそれぞれ形成される。なお、必要に応じて第1電極11または第2電極12の一部表面上にさらにSiOなどによる絶縁層を形成してもよい。
【0038】
次いで、第1基板1の一面上に配向膜13が形成され、第2基板2の一面上に配向膜14が形成される。具体的には、各基板をアルカリ溶液等で洗浄した後、垂直配向膜の材料液をフレキソ印刷等の方法によって第1基板1の一面上および第2基板2の一面上にそれぞれ塗布し、これらをクリーンオーブン内にて焼成する(例えば、180℃、30分間)。その後、各配向膜13、14に対してラビング処理を行う。
【0039】
本工程におけるラビング処理の条件を適宜に設定することにより、液晶層3のプレティルト角を制御することができる。ここでいうプレティルト角とは、基板表面と液晶分子の平均的配向方向(ダイレクタ)とのなす角度をいう。また、第1基板1に対してラビング処理を行う際のラビング方向(ラビング布を回転させながら進行させた方向)を適宜設定することにより、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向と各開口部15の長手方向との位置関係(上記した図2参照)を規定することができる。
【0040】
次いで、一方の基板上(例えば、第1基板1の一面上)にシール材8を形成する。シール材8は、例えば4μm程度の粒径のロッド状ガラススペーサーが混入されたものをスクリーン印刷等の方法によって塗布することによって形成される。また、他方の基板上(例えば、第2基板2の一面上)には、例えば4μm程度の粒径のスペーサー10が散布される。スペーサー10の散布は、例えば乾式散布法によって行われる。
【0041】
次いで、第1基板1と第2基板2を、これらの一面同士が対向し、各配向膜13、14に対するラビング方向がアンチパラレルとなるようにして貼り合わせ、一定の加圧状態にて焼成する。それによりシール材8が硬化し、第1基板1と第2基板2が固定される(空セルが完成する)。
【0042】
次いで、真空注入法等の方法によって、第1基板1と第2基板2の間隙に液晶材料(誘電率異方性Δε<0のもの)を注入し、当該注入に用いた注入口を封止した後に、焼成する(例えば120℃、60分間)。これにより液晶層3が形成される。
【0043】
その後、第1基板1の外側に第1偏光板4および視角補償板6を貼り合わせ、かつ第2基板2の外側に第2偏光板5および視角補償板7を貼り合わせる。第1偏光板4と第2偏光板2のそれぞれは、例えば、液晶層3の中央における液晶分子の配向方向に対して略45°の角度を有し、かつお互いがクロスニコルとなるように配置される。また、各視角補償板6、7は必要に応じて設けられるものであり、省略されてもよい。最後に、リードフレーム等を適宜に取り付けることにより、図1に示した液晶表示装置が完成する。
【0044】
次に、各開口部15を設けることによる作用についていくつかの実施例に基づいて説明する。
【0045】
(実施例1)
上記した図1、図2に示した構造を有する液晶表示装置において、各第1電極11を略0.42mm角の画素電極、相互間隔(画素間隔)を0.03mmとしたドットマトリクス型の液晶表示装置を作製した。各第1電極11には、図2に示した4パターンの何れかで開口部15を設けた。すなわち、各配向膜13、14に対してラビング処理を行い、そのラビング方向がアンチパラレルとなるように第1基板1と第2基板2とを貼り合わせた。液晶層3の中央における液晶分子の配向方向については、図2に示したように紙面上における上方向(12時方向)とした。各開口部15は、各第1電極11に対して複数設けられた。また、比較のために、複数の開口部15を設けた第1電極11に隣接して、開口部15を設けていない電極も形成した。液晶層3のプレティルト角は89.9°とした。このようにして作製された液晶表示装置に対して、1/64デューティ、1/9バイアス、フレーム周波数130Hzの条件のマルチプレックス駆動により、第1電極11と第2電極12の間に電圧を印加した。マルチプレックス波形はフレーム反転波形とした。
【0046】
上記の実施例1に係る液晶表示装置の画素部の顕微鏡観察像を図3に示す。図3(a)〜図3(d)の何れにおいても、開口部15を有しない電極によって構成された画素(それぞれ図中上側に示す)では、暗領域が画素中心部でもランダムに観察される。このようなランダムな暗領域は外観観察上における表示均一性を低下させる。これに対して、図3(a)に示すように開口部15が「縦スリット」である場合と、図3(d)に示すように開口部15が「クロススリット」である場合には、暗領域は、ランダムに発生することなく、各開口部15の配置に対応して規則的に発生していることが観察される。このため、外観観察においても表示均一性が非常に良好であった。
【0047】
また、図3(c)に示すように開口部15が「斜めスリット」である場合には、暗領域は、各開口部15の配置に相関してある程度の規則性をもって発生していることが観察される。また、開口部15を設けていない場合に比べれば暗領域の面積も小さくなっている。したがって、表示均一性の観点では、「縦スリット」および「クロススリット」の場合には及ばないが一定の効果は得られるといえる。一方、図3(b)に示すように開口部15が「横スリット」である場合には、暗領域は、規則性が不十分でありランダムに近い状態で発生している。このため、外観観察においても表示均一性が不十分であった。
【0048】
次に、開口部15が「縦スリット」、「横スリット」、「斜めスリット」、「クロススリット」のそれぞれの場合において、外観観察により表示均一性が得られるフレーム周波数のプレティルト角依存性およびマルチプレックス駆動条件におけるバイアス比依存性を観察した結果を図4に基づいて説明する。液晶表示装置のプレティルト角は89.7°および89.9°の何れかとした。駆動条件として、駆動波形はフレーム反転波形、デューティ比は1/64とした。駆動電圧については、何れの条件においても最大コントラストが得られる条件とした。測定温度は約40℃である。
【0049】
図4において、横軸はスリットのパターンを示しており、「Xスリット」とは「クロススリット」を意味する。また、縦軸は外観上で表示均一性が得られるフレーム周波数を示している。プレティルト角θpが2種類、マルチプレックス駆動条件におけるバイアス比を最適バイアスである1/9バイアスとそれより小さい1/7バイアスとしたので、全体としては4条件となる。全体的に、フレーム周波数が高くなるθp=89.9°の条件でバイアス比を1/9とした場合には、「縦スリット」とした場合が最も低いフレーム周波数を示し、「クロススリット」、「斜めスリット」、「横スリット」の順でフレーム周波数が高くなる傾向が見られる。なお、「横スリット」については、開口部15が設けられていない場合とほとんど差異がないことが確認された。すなわち、フレーム周波数を低下させる効果が得られないことが分かった。また、プレティルト角θpが小さくなると何れのスリットの場合にもフレーム周波数を低下させることが可能であり、特に「横スリット」以外の場合にその効果が顕著であることが分かった。また、バイアス比を1/7とした場合にも全体的にフレーム周波数を低下させることが可能であるが、「横スリット」ではその効果が低いことが分かった。以上のことから、「横スリット」以外のスリットについては、低いフレーム周波数で表示均一性を実現することが可能であり、特に「縦スリット」が効果的であることが分かった。
【0050】
(実施例2)
次に、開口部15を上記の「縦スリット」とした液晶表示装置において、各開口部15の配置ピッチPを変化させたサンプルを用いて外観上、表示均一性が得られるフレーム周波数を観測した結果を図5に基づいて説明する。各サンプルのプレティルト角は89.9°とした。また、駆動条件は、デューティ比を1/64、バイアス比を1/7または1/9としたマルチプレックス駆動とし、駆動波形としてはフレーム反転波形を用いた。
【0051】
図5に示すように、バイアス比に関わらず配置ピッチPが0.2mm以上で急激にフレーム周波数が上昇する傾向があり、開口部15を設けることによる効果が低下していることが分かる。したがって、配置ピッチPは0.2mm未満が好ましいといえる。また、配置ピッチを狭めていくと0.15mm〜0.1mmで最もフレーム周波数を低くできる領域が現れ、配置ピッチを0.05mmにすると再び上昇に転じる傾向が見られた。したがって、配置ピッチPは、0.1mm以上0.2mm未満とすることがより好ましいといえる。
【0052】
なお、図示を省略するが開口部15を上記の「クロススリット」とした場合についても検討したところ、「縦スリット」の場合に比べて配置ピッチPを2倍に設定すると同等の効果が得られることが分かった。すなわち、配置ピッチPの設定は、0.2mm以上0.4mm未満が好適であり、0.2mm〜0.3mmとすると更に好適である。
【0053】
(実施例3)
上記した図1、図2に示した構造を有する液晶表示装置において、各第1電極11をセグメント型の画素電極とした液晶表示装置を作製した。各第1電極11は、上記した図9に示したような7セグメントの画素電極である。各第1電極11には図2に示した4パターンの何れかで複数の開口部15を設けた。なお、セグメント型の液晶表示装置においてコモン電極に相当する第2電極12に開口部15を設けてもよい。配向処理については上記した実施例1、2と同様であり、液晶層3のプレティルト角は89.7°または89.9°とした。このようにして作製された液晶表示装置に対して、デューティ比を1/64、バイアス比を1/7または1/9とし、フレーム周波数を適宜変更して設定したマルチプレックス駆動により、第1電極11と第2電極12の間に電圧を印加した。マルチプレックス波形はフレーム反転波形とした。駆動電圧は何れの条件においても最大コントラストが得られる条件とした。測定温度は約40℃である。
【0054】
測定結果を図6に示す。図6において、横軸はスリットのパターンを示しており、「Xスリット」とは「クロススリット」を意味する。また、縦軸は外観上で表示均一性が得られるフレーム周波数を示している。プレティルト角θpが2種類、マルチプレックス駆動条件におけるバイアス比を最適バイアスである1/9バイアスとそれより小さい1/7バイアスとしたので、全体としては4条件となる。図6に示すように、「縦スリット」の場合が最もフレーム周波数を低く設定可能であり、次いで「クロススリット」、「斜めスリット」、「横スリット」の順でフレーム周波数を低く設定できる傾向が見られる。本実施例においても、「横スリット」については、開口部15が設けられていない場合とほとんど差異がないことが確認された。また、プレティルト角依存性はバイアス比依存性に関しても、上述した実施例1、2(ドットマトリクス型)の場合と同様であるが、表示均一性を得られるフレーム周波数が全体的に高いことがわかった。
【0055】
(実施例4)
次に、上記した実施例2と同様に、セグメント型の第1電極11に対して上記の「縦スリット」の開口部15を設けた液晶表示装置において、各開口部15の配置ピッチPを変化させたサンプルを用いて外観上、表示均一性が得られるフレーム周波数を観測した結果を説明する。各サンプルのプレティルト角は89.7°または89.9°とした。また、駆動条件は、デューティ比を1/64、バイアス比を1/7または1/9としたマルチプレックス駆動とし、駆動波形としてはフレーム反転波形を用いた。
【0056】
図7に示すように、何れのプレティルト角、バイアス比においても配置ピッチPが小さくなるとフレーム周波数が低下する傾向が見られた。また、バイアス比を低くした方が配置ピッチPの変化によるフレーム周波数の変化が顕著に現れることがわかった。この結果から、セグメント型の第1電極11において「縦スリット」の開口部15を設ける場合には、配置ピッチPは0.2mm未満が好ましいといえる。また、外観観察の結果、開口率の低下による透過率低下の観点からは、配置ピッチPは40μmよりも大きいことが好ましい。
【0057】
なお、図示を省略するが開口部15を上記の「クロススリット」とした場合についても検討したところ、「縦スリット」の場合と同様に配置ピッチPが小さくなるに従って表示均一性を得られるフレーム周波数が低下することが確認された。すなわち、配置ピッチPの設定は、0.1mmより大きく0.3mmより小さいことが好適である。
【0058】
(実施例5)
液晶表示装置においては、ドットマトリクス型表示部とセグメント型表示部とが混在したものも存在する。この場合、ドットマトリクス型表示部とセグメント型表示部とを別々の駆動回路によって駆動することも可能であるが、コスト低減という点では共通の駆動回路によって駆動するほうが有利である。上述した実施例1〜4において説明したように、セグメント型表示部とした場合よりもドットマトリクス型表示部とした場合のほうがより低いフレーム周波数で表示均一性を得ることが分かっている。したがって、ドットマトリクス型表示部とセグメント型表示部とが混在した液晶表示装置において上記の開口部15を導入する場合には、セグメント型表示部における表示均一性が得られるフレーム周波数を設定することが必要となる。
【0059】
一方、ドットマトリクス型表示部は、画素間に隙間を設けているため実効開口率が元々低く、セグメント型表示部に比べて透過率が低くなる。上記した実施例1、2に示した条件、すなわち1画素を略0.42mm角とし、画素間隔を0.03mmとした条件における開口率は略85%である。
【0060】
また、ドットマトリクス型表示部とセグメント型表示部とが混在した液晶表示装置においては、セグメント表示部にのみ開口部15を設けるという構成も採用し得る。あるいは、セグメント型表示部における開口部15の配置ピッチをドットマトリクス型表示部における開口部15の配置ピッチよりも相対的に小さく設定することにより、両表示部における表示均一性が得られるフレーム周波数を一致させるという構成も採用し得る。
【0061】
(開口部の形状の相違による効果について)
上記した実施形態および各実施例によれば、プレティルト角を90°に近い条件とした垂直配向型液晶表示装置をマルチプレックス駆動する場合において、各開口部15の長手方向と液晶層3の中央における液晶分子の配向方向とを直交(90°)よりも小さい角度で交差させることにより、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させることが可能となることが示された。次に、開口部15の形状の相違により、表示均一性を保ちつつフレーム周波数を低下させる効果に差が生じるかを理論的な面から説明する。
【0062】
上述した図9に示したように、電極中に、液晶層の中央における液晶分子の配向方向(ラビング方向に対応)と直交する方向の辺(エッジ)が長い場合に、その辺の近くで暗領域が現れ、表示均一性(表示品位)が低下している。このエッジ付近では、基板表面におけるラビング方向と、液晶層に電圧を印加したときに発生する斜め電界によって液晶分子が配向制御される方向とが180°異なっていることから、エッジ周辺で液晶分子のダイレクターが180°回転する。このときの回転の方向が規則的になっていない等の要因により液晶分子の配向が不均一となり、それにより暗領域が生じ、表示均一性を低下させるものと考えられる。また、電極の形状によってはより広い面積で暗領域が発生すると考えられる。
【0063】
したがって、このようなエッジが出来るだけ短くなるように電極の構造を工夫することが有効であると考えられる。この考え方に従うと、上記した図2(a)に示した開口部15(縦スリット)または図2(c)に示した開口部15(斜めスリット)を電極に設けることが有効と考えられる。すなわち、ラビング方向に対して直交よりも小さい角度で配置されたエッジが多く存在するように、各電極に対して複数の開口部15を規則的に設けることが有効である。
【0064】
一方、上述した図2(d)に示した開口部15(クロススリット)の場合には、電界無印加領域で囲い込まれた局所的な領域が電極内に多く形成されるようになるので、例え液晶分子の配向乱れが生じたとしてもそれを隣接する領域の液晶分子から隔離する効果が得られると考えられる。これについて図8に基づいて詳しく説明する。
【0065】
図8(a)は、開口部15を設けていない場合の電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示している。ここでは、上下の各電極111、112にそれぞれは垂直配向膜が形成され、これらをラビング処理することで、紙面左右方向においてアンチパラレルに配向処理がなされているとする。電極111、112の間に電圧を印加したときには、図氏のように液晶層3の中央付近を中心に液晶分子が均一に水平に再配向すると考えられる。しかし、電極のエッジ付近などで基板面に対して面内方向に不均一な配向が生じたとすると、水平配向に再配向されている領域にはその不均一な配向が伝播し、広い範囲で表示不良が発生する。
【0066】
図8(b)は、開口部を設けた場合の電極と液晶層内の液晶分子とを模式的に示している。ここでは、第1電極11、第2電極12にそれぞれは垂直配向膜が形成され、これらをラビング処理することで、紙面左右方向においてアンチパラレルに配向処理がなされているとする。また、第1電極11にのみ複数の開口部15が規則的に設けられているとする。図示の構成を用いた場合には、開口部15の配置に対応して液晶層3の液晶分子の配向が部分的に垂直配向状態を保持することが可能である。このような垂直配向状態を保持した領域によって液晶層3を局所的に囲むことで、例え不均一な配向が生じたとしても、その領域を周囲から遮断して外部には伝播させないようにすることができる。それにより、液晶層3の配向均一性を高め、表示均一性を確保することができると考えられる。ただし、クロススリットとした場合の開口部15は、その長手方向がラビング方向に対して直交していないほうが配向均一性をより高められる。したがって、例えば図2(d)に示したように、開口部15の長手方向がラビング方向に対して45°の角度をもつように配置することが有効であると考えられる。
【0067】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上述した実施形態並びに実施例においては、各開口部15の短手方向の長さSの好適な数値例を0.01mmとしていたが、Sの数値はこれに限定されない。長さSの設定範囲としては、0.005mm以上0.03mm以下が好ましい。また、各開口部15の長手方向の長さLについては特に制限がないが、長さLを長さSの2倍以上とすることが好ましい。さらに、隣接する各開口部15の長手方向の相互間距離(短辺エッジ間距離)Lsについて、上記では長さSと等しく設定していたが、Lsの値はこれに限定されない。相互間距離Lsは0mmでもよい。すなわち、複数の開口部が長手方向に連なって1つの開口部となっていてもよい。また、相互間距離Lsは長さSの2倍以下とすることも好ましい。また、各開口部をクロススリットとした場合の一例として、第1部位および第2部位を略90°に交差させてなる十字状のものを示していたが、第1部位と第2部位とのなす角度は90°にのみ限定されない。
【符号の説明】
【0068】
1…第1基板、2…第2基板、3…液晶層、4…第1偏光板、5…第2偏光板、6…第1視角補償板、7…第2視角補償板、8…シール材、10…スペーサー、11…第1電極、12…第2電極、13、14…配向膜、15…開口部、16…液晶層の中央における液晶分子の配向方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチプレックス駆動によって動作する液晶表示装置であって、
一面側に第1電極を有する第1基板と、
一面側に第2電極を有し、前記第1基板と対向配置された第2基板と、
前記第1基板の前記第1電極と前記第2基板の前記第2電極との間に配置された液晶層と、
を含み、
前記第1電極は、第1方向に延びた形状であって周期的に配置された複数の開口部を有し、
前記液晶層は、89.7°以上90°未満に設定されたプレティルト角を有し、
前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を0°以上90°未満とした、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を略0°とした、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の開口部の各々の長手方向と、前記液晶層の中央における液晶分子の配向方向とのなす角度を略45°とした、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の開口部は、前記第2方向において隣り合う2つの開口部の相互間距離Pが0.04mm以上0.2mm未満である、
請求項1〜3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の開口部は、各々の前記第2方向における幅が0.005mm以上0.03mm以下であり、かつ、前記第1方向において隣り合う2つの開口部の相互間距離が0mm以上であり前記第2方向における幅の2倍以下である、
請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118247(P2011−118247A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277003(P2009−277003)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】