液晶表示装置
【課題】滴下方式で液晶を封入する液晶表示装置において、液晶が過剰となる、あるいは過少となる現象を防止し、基板の変形、気泡の発生を防止し、シール部の信頼性を向上させる。
【解決手段】表示領域におけるTFT基板100と対向基板200の間隔は、柱状スペーサ205によって規定され、シール部においてもTFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって規定される。表示領域内においては、柱状スペーサの下には、カラーフィルタが1層形成されており、シール部においては、島状のカラーフィルタが2層形成されている(201G、201B)。これによって、表示領域とシール部とで、TFT基板100と対向基板200の間隔を同等に保つことが出来る。また、柱状スペーサ205の形成のプロセスが変動しても、表示領域とシール部におけるTFT基板と対向基板との間隔の差が変動することを無くすことが出来る。
【解決手段】表示領域におけるTFT基板100と対向基板200の間隔は、柱状スペーサ205によって規定され、シール部においてもTFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって規定される。表示領域内においては、柱状スペーサの下には、カラーフィルタが1層形成されており、シール部においては、島状のカラーフィルタが2層形成されている(201G、201B)。これによって、表示領域とシール部とで、TFT基板100と対向基板200の間隔を同等に保つことが出来る。また、柱状スペーサ205の形成のプロセスが変動しても、表示領域とシール部におけるTFT基板と対向基板との間隔の差が変動することを無くすことが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、滴下方式によってTFT基板と対向基板との間に液晶を充填する構成において、気泡の発生や、液晶のリークを生じない、信頼性を向上した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極や薄膜トランジスタ(TFT)を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、カラーフィルタ等が形成された対向基板との間に液晶を充填し、この液晶の分子を電界によって制御することによって画像を形成する。TFT基板と対向基板の間の間隔は数ミクロンと非常に小さい。従来の液晶の充填方法はTFT基板と対向基板との間をシールして内部を真空とし、大気圧によって液晶を注入していた。
【0003】
しかし、TFT基板と対向基板との間隔が小さく、かつ、液晶表示装置の表示面積が大きくなると注入に多大の時間がかかり、製造のスループットを長くし、ひいては製造コストの上昇を招く。これを対策するために、例えば、対向基板上に液晶を必要量滴下し、その後TFT基板を重ね合わせてシールし、液晶を封止する技術が開発されている。
【0004】
このような滴下方式は、従来は比較的大型の液晶表示装置において採用されてきたが、小型の液晶表示装置においても採用され始めている。小型の液晶表示装置においては、マザー基板に多数の液晶セルを形成し、各液晶セルに液晶を封入する必要があるが、個々の液晶セルに液晶を封入するのは工数がかかる。滴下方式によれば、マザー基板において、1度に多数の液晶セルに液晶を注入することが出来る。
【0005】
なお、本明細書では、液晶セルと言う場合は、TFT基板と対向基板がシール材によってシールされ、内部に液晶が封入された状態のものを言い、液晶表示装置と言う場合は、液晶セルに液晶を駆動する駆動ICが搭載されてものをいうが、特に区別しないで使用することもある。
【0006】
液晶表示装置においては、TFT基板と対向基板の間隔を制御することは重要であるが、従来は、表示領域においては、対向基板に形成した柱状スペーサによって間隔を制御し、シール部においては、グラスファイバによって間隔を制御してきた。
【0007】
これに対して、「特許文献1」には、液晶表示装置において、表示領域に柱状スペーサを使用し、かつ、シール部においても柱状スペーサを使用する構成が開示されている。「特許文献1」には、表示領域においても、シール部においても、柱状スペーサをBM上に形成することによって表示領域における基板間隔とシール部における基板間隔を同じにする構成が記載されている。
【0008】
一方、シール部におけるシール材とTFT基板および対向基板との接着は信頼性にとって重要である。「特許文献2」には、シール部において、液晶がシール材とTFT基板あるいは対向基板との下面に差し込むことを防止するために、液晶に対するストッパーとなる堰を形成する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−174827号公報
【特許文献2】特開2007−212667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図14は小型液晶表示装置を製作するマザー基板1000の状態を示す平面図である。図14において、マザー基板1000はマザーTFT基板とマザー対向基板が重ねあわされて形成されている。マザー基板1000には、7×5=35個の液晶セル1が作りこまれている。図14には、各液晶セル1を分離するスクライブライン2が記載されており、各液晶セル1にはシール材20が形成されている。このシール材20より内側の領域に液晶が滴下され、シール材20によってシールされている。
【0011】
小型の液晶表示装置では、ガラス基板を薄くすることが要求されている。マザーTFT基板あるいはマザー対向基板となるガラス基板は規格化されており、0.5mm程度と厚いので、マザー基板1000を形成したあと、マザー基板1000の外側を研磨することによって薄くする。このとき、研磨液がマザー基板1000の内部に入り込まないようにするために、マザー基板シール材2000がマザーTFT基板とマザー対向基板の周辺に形成されている。その後、マザー基板1000からスクライブライン2に沿って各液晶セル1を分離する。
【0012】
液晶滴下封入方式では、滴下する液晶の量が非常に重要である。液晶をマザー対向基板に滴下する際は、個々の液晶セル1に形成されたシール材20で囲まれた領域に、量を正確に制御した液晶を滴下する。その後、マザーTFT基板によって覆い、マザーTFT基板とマザー対向基板をシール材20およびマザー基板シール材2000によって接着する。この時、滴下する液晶の量が少なすぎると液晶セル1内に気泡が生じ、滴下する液晶の量が多すぎると液晶がシール材20とTFT基板の間、あるいはシール材20と対向基板との間に差し込んで、シール不良を生ずる。
【0013】
液晶セル1の内部の容量は、表示領域に形成される柱状スペーサ205の高さによって決まる。柱状スペーサ205の高さが大きいと内部の容量が大きくなり、柱状スペーサ205の高さが小さいと内部の容量が小さくなる。したがって、適正な液晶の滴下量は柱状スペーサ205の高さによって異なる。しかし、柱状スペーサ205の高さはプロセスによって変動する。
【0014】
この問題を対策するために、従来は、対向基板200に形成された柱状スペーサ205の高さを対向基板200毎に測定し、対向基板200を柱状スペーサ205の高さによってグループ分けし、各グレープ毎に対向基板200に滴下する液晶の滴下量を決めていた。
【0015】
表示領域においては、TFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって決められるが、シール部においては、従来は、グラスファイバ250によってTFT基板100と対向基板200の間隔が決められていた。図15はこの様子を示す模式断面図である。図15において、対向基板200側にはブラックマトリクス202、オーバーコート膜203が形成され、TFT基板100側には無機パッシベーション膜107と有機パッシベーション膜108が形成されている。図15は模式図であるから他の層は省略されている。
【0016】
図15のDAで示す表示領域においては、対向基板200とTFT基板100の間隔は柱状スペーサ205によって決められ、シール部においては、シール材に混入されたグラスファイバ250の径によって決められている。図15において、シール材より内側に、液晶300が封入されている。
【0017】
柱状スペーサ205の高さHSはプロセスによってばらつくが、グラスファイバ250の径GHは比較的精度良くコントロールされる。対向基板200を柱状スペーサ205の高さによってグループ分けすると、柱状スペーサ205の高さHSとグラスファイバ250の径GHが同程度であるグループと、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の径GHよりも低いグループ、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の高さHGよりも高いグループに分けられる。
【0018】
図16は柱状スペーサ205の高さHSとグラスファイバ250の径GHが同程度であるグループの液晶セル1の状態を示す断面図である。図16の例は、液晶300の量が適正にコントロールされ、シール部の信頼性も高く保つことが出来る。図17は、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の径GHよりも低いグループにおける液晶セル1の断面図である。液晶の滴下量は、柱状スペーサ205の高さによって決められるので、このグループでは、図17に示す周辺における領域Aのように、気泡400が発生する。
【0019】
図18は柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の高さHGよりも高いグループにおける液晶セル1の断面図である。液晶300の滴下量は、柱状スペーサ205の高さによって決められるので、このグループでは、図18に示す周辺において、領域Bで示すように、シール部に傾斜が発生し、基板が外側に歪む。図18は、対向基板200のみが歪むように記載されているが、図18は模式図であり、実際はTFT基板100側も歪む。
【0020】
図19はシール部において、基板の傾斜が生ずる理由を示す模式図である。液晶の滴下は減圧下でおこなわれる。液晶を各液晶セル1に滴下して、TFT基板100と対向基板200を重ね合わせ、シール材を硬化させた後、大気中に戻す。液晶セル1と液晶セル1の間、すなわちシール材とシール材の間は減圧領域450となっているので、基板は白矢印で示す大気圧によって内側に変形する。一方、シール材よりも内側の領域、すなわち、液晶セル1側は液晶300が過剰に滴下されて封入されているので、基板が外側に変形する。したがって、シール部において、基板の傾斜が発生することになる。
【0021】
このような状態となっているマザー基板1000をスクライブライン2にそって分離すると液晶セル1は図18に示すような断面形状となる。TFT基板100あるいは対向基板200が研磨によって薄くなった状態においては、図18に示すような基板の変形が生じ易い。このように、液晶300が過剰に封入されていると、シール部の信頼性に悪影響を与えるとともに、表示領域周辺におけるTFT基板100と対向基板200の間隔変動によるコントラストの低下きたす。
【0022】
このように、従来方式においては、柱状スペーサ205の高さを測定して、柱状スペーサ205の高さ毎に対向基板200をグループ分けし、各グループ毎に滴下する液晶の量をコントロールしても、ある割合で、液晶過少による気泡400の発生、液晶過剰による基板の変形が生じていた。本発明の課題は、以上のような問題点を解決し、信頼性の高い液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、以上のような課題を解決するものであり、具体的な構成は次のとおりである。
【0024】
(1)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0025】
(2)前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第2のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0026】
(3)前記第1のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0027】
(4)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上には第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記第2のカラーフィルタの上には第3のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0028】
(5)前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第3のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする(4)に記載の液晶表示装置。
【0029】
(6)前記第1のカラーフィルタは赤カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第3のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする(4)に記載の液晶表示装置。
【0030】
(7)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記シール部においては、前記対向基板に形成された堰が前記表示領域を囲むように形成されており、前記堰の下には、カラーフィルタが存在していないことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、表示領域におけるTFT基板と対向基板の間隔と、シール部におけるTFT基板と対向基板との間隔との差をゼロにできるか、あるいは、常に一定の値に保つことが出来る。したがって、滴下方式によって液晶を注入する方式の液晶表示装置において、シール部の信頼性を向上させることが出来る。また、表示領域における気泡の発生を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】液晶表示装置の平面図である。
【図2】液晶表示装置の表示領域の断面図である。
【図3】実施例1の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図4】実施例1の柱状スペーサ付近の構造を示す断面図である。
【図5】液晶表示装置の対向基板の表示領域を示す平面図である。
【図6】実施例1のシール部の平面図の例である。
【図7】実施例1のシール部の平面図の他の例である。
【図8】実施例1のシール部の平面図のさらに他の例である。
【図9】実施例2の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図10】実施例2の柱状スペーサ付近の構造を示す断面図である。
【図11】実施例2のシール部の平面図の例である。
【図12】実施例3のシール部の平面図の例である。
【図13】実施例3の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図14】マザー基板の平面図である。
【図15】従来例における表示領域とシール部における基板の間隔を規定する構成の例である。
【図16】液晶の量が適正な場合の液晶表示装置の断面図である。
【図17】液晶の量が過少の場合の液晶表示装置の断面図である。
【図18】液晶の量が過剰の場合の液晶表示装置の断面図である。
【図19】液晶の量が過剰の場合におけるマザー基板の状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明が適用される製品の例である、携帯電話等に使用される小型の液晶表示装置の平面図である。図1において、TFT基板上に対向基板が設置されている。TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。TFT基板と対向基板とは額縁部に形成されたシール材によって接着している。図1においては、液晶は滴下方式によって封入されるので、封入孔は形成されていない。
【0035】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が対向基板200よりも大きくなっている部分には、液晶セル1に電源、映像信号、走査信号等を供給するための端子部150が形成されている。
【0036】
また、端子部150には、走査線、映像信号線等を駆動するためのICドライバ50が設置されている。ICドライバ50は3つの領域に分かれており、中央には映像信号駆動回路52が設置され、両脇には走査信号駆動回路51が設置されている。
【0037】
図1の表示領域10において、横方向には走査線が延在し、縦方向に配列している。また、縦方向には映像信号線が延在し、横方向に配列している。走査線は走査線引出し線31によって、ICドライバ50の走査信号駆動回路51と接続している。図1において、表示領域10を液晶表示装置の中央に配置するために、走査線引出し線31は表示領域10両側に配置され、このために、ICドライバ50には、走査信号駆動回路51が両脇に設置されている。一方映像信号線とICドライバ50を接続する映像信号線引出し線41は画面下側に集められている。映像信号線引出し線41はICドライバ50の中央部に配置されている映像信号駆動回路52と接続する。
【0038】
図2は図1に示す液晶表示装置の表示領域の断面図である。図2は一般的なTN方式の液晶表示装置の表示領域の断面図である。但し、本発明は、TN方式の液晶表示装置のみならず、例えば、IPS(In Plane Switching)等の他の方式の液晶表示装置についても適用することが出来る。
【0039】
図2において、TFT基板100上には、ゲート電極101が形成されている。ゲート電極101はスパッタリングによって形成され、その後、フォトリソグラフィによってパターニングされる。ゲート電極101はAlによって形成され、膜厚は300nm程度である。
【0040】
ゲート電極101と同層で、図示しない走査線等が同時に形成される。対向基板200の対向電極204にコモン電圧を供給するためにTFT基板100に形成されるコモン配線も同層で、同時に形成される。ゲート電極101を覆って、ゲート絶縁膜102が形成される。ゲート絶縁膜102は、例えば、SiN膜をスパッタリングすることによって形成される。ゲート絶縁膜102は例えば、400nm程度である。
【0041】
ゲート電極101の上には、ゲート絶縁膜102を介して半導体層103が形成される。半導体層103はa−Siで形成され、膜厚は150nm程度である。a−Si層にTFTのチャンネル領域が形成される。a−Si層にソース電極105およびドレイン電極106を設置する前に、n+Si層104を形成する。a−Si層とソース電極105あるいはドレイン電極106との間にオーミックコンタクトを形成するためである。
【0042】
n+Si層104の上にソース電極105あるいはドレイン電極106が形成される。ソース電極105あるいはドレイン電極106と同層で、映像信号線、保護ダイオード等と接続するアース線等が形成される。ソース電極105あるいはドレイン電極106は、Moあるいは、Al等によって形成される。なお、Alが使用される場合は、その上下をMo等によって覆う。Alがコンタクトホール113部において、ITO等と接触すると、接触抵抗が不安定になる場合があるからである。
【0043】
ソース電極105あるいはドレイン電極106を形成したあと、ソース電極105およびドレイン電極106をマスクとしてチャンネルエッチングを行う。チャンネル層からn+Si層104を完全に除去するために、a−Si層の上部までエッチングを行い、チャンネルエッチング領域109が形成される。その後、TFT全体を覆って無機パッシベーション膜107を形成する。無機パッシベーション膜107はSiNによって形成する。無機パッシベーション膜107は例えば、400nm程度である。
【0044】
無機パッシベーション膜107を覆って有機パッシベーション膜108が形成される。有機パッシベーション膜108は平坦化膜としての役割を有するので、厚く形成され、2μm〜3μm程度の厚さに形成される。有機パッシベーション膜108には例えば、アクリル樹脂が使用される。有機パッシベーション膜108は感光性のアクリル樹脂が使用され、レジストを使用せずにパターニングを行なうことが出来る。
【0045】
その後、有機パッシベーション膜108および無機パッシベーション膜107にコンタクトホール113を形成する。ITOで形成される画素電極110とTFTのソース電極105との導通をとるためである。表示領域10において、有機パッシベーション膜108の上には、画素電極110となるITOが形成される。
【0046】
図2において、画素電極110の上には液晶分子を配向させるための配向膜111が形成されている。TFT基板100と対向基板200との間に液晶層300が挟持されている。液晶層300の液晶分子は、TFT基板100に形成された配向膜111と対向基板200に形成された配向膜111とによって初期配向が規定されている。
【0047】
図2において、対向基板200の内側には、TFTの位置に対応して遮光膜であるブラックマトリクス202が形成されている。ブラックマトリクスはTFTに対する遮光膜としての役割と同時に、画像のコントラストを向上させる役割を有している。ブラックマトリクス202が形成されていない部分、すなわち、画素を形成する部分にはカラーフィルタ201が形成されている。
【0048】
図2の画素構造は、後で説明するように、縦方向には、同一色のカラーフィルタ201がストライプ状に形成されている。そして、ブラックマトリクスはTFT基板100に形成された走査線30に対応して横方向にストライプ状に形成されている。カラーフィルタ201はブラックマトリクス202を覆って、縦方向に連続してストライプ状に形成されている。
【0049】
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203は表面の凹凸を緩和するとともに、カラーフィルタを液晶から保護する役割を有する。但し、オーバーコート膜は必須ではなく、使用されないこともある。
【0050】
オーバーコート膜203の上には、透明導電膜であるITOによって対向電極204が形成されている。TFT基板100の画素に形成された画素電極110と、対向基板200に形成された対向電極204との間に電圧を印加することによって液晶分子を回転等させて透過光あるいは反射光を制御することによって画像を形成する。
【0051】
対向電極204の上には、対向基板200とTFT基板100の間隔を規定するための柱状スペーサ205が形成されている。柱状スペーサ205は、バックライト等の光が透過しない、ブラックマトリクス202が形成された部分に形成される。柱状スペーサ205のある部分は液晶の配向が乱れ、バックライト等から光漏れが生じ、コントラストが低下する原因となるからである。
【0052】
柱状スペーサ205の高さは、液晶層300の層厚と同じで、例えば、3μm〜4μmである。柱状スペーサ205は例えば、感光性のアクリル樹脂によって形成される。アクリル樹脂は対向基板200全面に塗布され、マスクを使用して露光すると、光の当たった部分のみ、現像液に不溶となって、露光した部分のみが柱状スペーサ205として残る。感光性の樹脂を使用することによって、レジスト工程が不要となり、工程が短縮される。
【0053】
柱状スペーサ205および対向電極204を覆って配向膜111が形成される。TFT基板100に形成された配向膜111と対向基板200に形成された配向膜111によって液晶層300の初期配向が決定され、この配向状態をTFT基板100に形成された画素電極110と対向基板200との間に印加される電圧によって液晶分子を回転等させて液晶層300を透過する光を制御して画像が形成される。
【0054】
図3は図1に示す液晶表示装置のシール材が形成された領域Sの部分の断面図であり、本発明の特徴を示す図である。図3において、TFT基板100上には、走査線引出し線31が形成され、これをゲート絶縁膜102が覆っている。ゲート絶縁膜102の上に別層で形成された走査線引出し線31が形成されている。走査線引き出し線31は、図2のSの部分では、縦方向に延在しているが、液晶表示装置の表示領域の外側(額縁領域)の面積を小さくするために、走査線引出し線31を2層で形成している。上側の走査線引出し線31は映像信号線40と同層で形成され、図示しない部分において、走査線30とスルーホールを介して接続している。
【0055】
第2層の走査線引出し線31を覆って無機パッシベーション膜107が形成されている。無機パッシベーション膜107を覆って、有機パッシベーション膜108が形成されている。シール部においては、有機パッシベーション膜108の上には、画素電極110および配向膜111は形成されていない。
【0056】
図3の対向基板200には、ブラックマトリクス202が形成されており、ブラックマトリクス202の上には、島状に緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bが積層して形成されている。緑カラーフィルタ201Gのほうが、青カラーフィルタ201Bよりも大きく形成されている。緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bを覆ってオーバーコート膜203が形成されている。シール部においては、オーバーコート膜203の上には対向電極204および配向膜111は形成されていない。
【0057】
図3において、オーバーコート膜203の上には柱状スペーサ205が形成されている。そして、柱状スペーサ205の周囲はシール材20によって充填されている。柱状スペーサ205の先端は、TFT基板100に形成された有機パッシベーション膜108に接触している。本発明では、シール部においても、TFT基板100と対向基板200の間隔は、柱状スペーサ205によって規定される。
【0058】
図3における柱状スペーサ205は、図2で説明した表示領域における柱状スペーサ205と同じプロセスで同時に形成される。したがって、プロセス変動によって柱状スペーサ205の高さHSが変動しても、表示領域とシール部において、同時に変動するので、TFT基板100と対向基板200の間隔の差が表示領域とシール部において、プロセス毎に変動するということは無い。
【0059】
本発明の特徴は、柱状スペーサ205の下側に、島状の2層のカラーフィルタ201を配置している点である。図2で説明したように、表示領域においては、柱状スペーサ205の下側には1層のカラーフィルタ201が形成されている。本発明では、シール部の信頼性を確保するために、カラーフィルタ201をシール部全面ではなく、島状に形成している。島状に形成したカラーフィルタ201を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。
【0060】
カラーフィルタは表示領域のようにストライプ状に広く形成する場合と、シール部のように、島状に形成する場合とでは、同じプロセス条件で製作しても膜厚は島状に形成した部分において薄くなる。また、カラーフィルタの上のオーバーコート膜203は、島状のカラーフィルタの上では、レベリング効果によって薄くなる。そうすると、柱状スペーサ205の高さHSを表示領域とシール部とで同じに制御しても、シール部において、島状に形成されたカラーフィルタの厚さ、および、オーバーコート膜203の厚さが小さくなるので、シール部において、TFT基板100と対向基板200の間隔が小さくなるという現象を生ずる。
【0061】
本発明では、シール部において、柱状スペーサ205の下に、島状のカラーフィルタ201G、201Bを2層形成することによって表示領域とシール部において、TFT基板100と対向基板200との間隔を均一になるように制御している。なお、図3に示すように、シール部においては、画素電極110、対向電極204、配向膜111等は形成されていないが、これらの膜の厚さは小さく、カラーフィルタ201の膜厚、あるいはオーバーコート膜203の膜厚の変動に比較して誤差範囲である。
【0062】
図4は、シール部における対向基板200側の各膜の形状を示す断面図である。図4において、対向基板200には、ブラックマトリクス202がベタで形成されている。ブラックマトリクス202の上に、径φ4の島状緑カラーフィルタ201Gが形成されている。φ4は、例えば、60μm〜80μm程度である。島状の緑カラーフィルタ201Gの上に径φ3の島状の青カラーフィルタ201Bが形成されている。φ3は、例えば、40μm程度である。
【0063】
ブラックマトリクス202、島状の緑カラーフィルタ201G、島状の青カラーフィルタ201Bを覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203の上に柱状スペーサ205が形成されている。柱状スペーサ205の高さHSは表示領域と同じで、例えば、3μm〜4μmである。柱状スペーサ205は根元の径φ2が15μm程度であり、先端の径φ1が10μm程度である。
【0064】
図5は対向基板200の表示領域の一部を示す平面図である。図5において、対向基板200の上にブラックマトリクス202が横方向に延在し、縦方向に配列して形成されている。また、赤カラーフィルタ201R、緑カラーフィルタ201G、青カラーフィルタ201Bがブラックマトリクス202を覆い、縦方向に延在し、特定ピッチで横方向に配列している。各カラーフィルタ201の幅Xはサブピクセルの横径に対応し、例えば、40μmである。また、ブラックマトリクス202のピッチYは、サブピクセルの縦径に対応し、例えば、120μmである。
【0065】
図5において、柱状スペーサ205は、ブラックマトリクス202が形成された部分に対応して、青カラーフィルタ201Bの上に形成されている。図5においては、青画素に対応するサブピクセル全てに柱状スペーサ205が形成されている例である。図5においては、例えば、柱状スペーサ205の縦ピッチは120μm、横ピッチも120μmである。柱状スペーサ205が形成される密度は、これよりも小さくとも良い。表示領域における柱状スペーサ205の密度は、液晶表示装置がタッチパネルとして使用されるか等の使用条件によって決められる。
【0066】
図6は、本発明における対向基板200のシール部を示す平面図である。シール部には柱状スペーサ205が特定ピッチで配置され、柱状スペーサ205の周囲にはシール材が形成されている。柱状スペーサ205は島状に形成された緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bの上に形成されている。図4において、オーバーコート膜203は図示されていない。
【0067】
柱状スペーサ205の横ピッチd2は、例えば200μm、縦ピッチd3は、例えば500μmである。また、柱状スペーサ205とシール材の端部とん距離d1は、例えば100μmである。したがって、柱状スペーサ205の台座であるカラーフィルタ201がシール材よりも外側に出ることは無い。
【0068】
図7は、本発明における対向基板200のシール部の他の例を示す平面図である。図7において、柱状スペーサ205の縦方向のピッチd4は、図6の場合の半分になっている。したがって、図7は図6の場合に比較して柱状スペーサ205の密度が倍になっている。
【0069】
図8は、本発明における対向基板200のシール部のさらに他の例を示す平面図である。図8において、柱状スペーサ205の横方向のピッチd5は図6あるいは図7の横方向のピッチd2の半分になっている。また、図8の縦方向のピッチd6は図7の縦方向のピッチの半分になっている。したがって、図8においては、柱状スペーサ205の密度は図7の場合よりもさらに大きくなっている。
【0070】
図7および図8はシール部における柱状スペーサ205の配置、および密度の例であり、このほかにも、色々な配置をとることが出来る。また、シール部における柱状スペーサ205の密度は表示領域における柱状スペーサ205の密度とは同じである必要は無い。液晶表示装置の使用目的によって柱状スペーサ205の密度を表示領域、シール部各々で最適になるように決めることが出来る。
【実施例2】
【0071】
図9は本発明の第2の実施例を示すシール部の断面図である。本実施例における表示領域の構成は実施例1の場合と同様である。図9において、シール部におけるTFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって決められていることは実施例1と同様である。
【0072】
本実施例では、シール部において、柱状スペーサ205の下側に島状の赤カラーフィルタ201R、緑カラーフィルタ201G、青カラーフィルタ201Bが積層して形成されている。各カラーフィルタ201R、201G、201Bは、島状に形成されており、表示領域にストライプ状に形成されたカラーフィルタ201の厚さよりも小さくなる傾向がある。また、カラーフィルタの上に形成されるオーバーコート膜203も島状のカラーフィルタの上に形成される場合は、レベリング効果によって薄くなる。
【0073】
本実施例では、以上のように、柱状スペーサ205の下に形成される台座の高さが小さくなって、表示領域とシール部とにおける基板間隔が異なってくることを防止している。実施例1の構成では、柱状スペーサ205の下には、緑カラーフィルタ201Gと青カラーフィルタ201Bが形成されて、基板間隔の調整を行っているが、本実施例では、3層のカラーフィルタ201R、201G、201Bを形成することによって基板間隔の調整を行っている。
【0074】
一方、液晶セル内部の圧力は正圧であるよりも負圧であるほうが、シール部の信頼性にとっては有利である。この場合は、シール部における基板間の間隔が表示領域における基板間の間隔よりも若干大きくなる。このような場合、本実施例の構成を使用すれば、安定して基板間隔の設定を行うことが出来る。
【0075】
図10は、シール部における対向基板200側の各膜の形状を示す断面図である。図10の構成は、柱状スペーサ205の台座として、島状の赤カラーフィルタ201Rが追加して配置されている他は、図4と同様である。また、柱状スペーサ205の先端の径φ1、根元の径φ2、島状の青カラーフィルタ201Bの径φ3、島状の緑カラーフィルタ201Gの径φ4も図4と同様である。図10における島状の赤カラーフィルタ201Rの径は例えば、100μmから120μmである。
【0076】
図11は、本実施例におけるシール部の平面図である。図11では、柱状スペーサ205が所定のピッチで配置されており、柱状スペーサ205の周囲はシール材が形成されている。図11において、柱状スペーサ205が形成されている部分には、島状の青カラーフィルタ201B、島状の緑カラーフィルタ201Gに加えて、島状の赤カラーフィルタ201Rが形成されていることを除いて実施例1の図4と同様である。
【0077】
また、本実施例における柱状スペーサ205の配置は、図11に示す配置のみでなく、実施例1で説明した図7、図8の配置およびその他の配置をとることが出来る。
【実施例3】
【0078】
図12は本発明の第3の実施例を示すシール部の平面図である。図12が実施例1あるいは実施例2と異なるところは、シール部のほぼ中心部に配向膜111を止めるための堰500が設けられていることである。この堰500は、シール材20の全周にわたって形成されている。
【0079】
配向膜111がシール材と基板の間に存在すると、シール材と基板との間の接着性に悪影響を与える。配向膜111は、表示領域にインクジェット法等によって液体の状態で塗布され、その後焼成されて固化する。配向膜111が液体の状態で塗布されたときに、配向膜111がシール部に流れ込むと、シール部の信頼性を劣化させる。
【0080】
本実施例においては、仮に液体の状態の配向膜111がシール部に流れ込んだとしても、シール部全体に入りこまないように、シール部の中心部付近に配向膜111を止める堰500を形成している。こうすることによって、たとえ、配向膜111がシール部に流れ込んでも、シール材の半分の領域においては、シール材と基板との接着を十分に確保することが出来るので、シール部の信頼性を確保することが出来る。
【0081】
図12において、堰500は、柱状スペーサ205と同じ材料によって、同じプロセスで形成することが出来る。但し、堰500の下には、カラーフィルタ201は配置されていないので、その分、堰500の先端は、柱状スペーサ205の先端よりも低い。したがって、シール部におけるTFT基板100と対向基板200との間隔は柱状スペーサ205によって規定される。
【0082】
図12において、柱状スペーサ205は堰500を避けるように配置されている。図12における柱状スペーサ205のピッチ、配置等は、実施例1における図6と同様である。この他、シール部における柱状スペーサ205の配置は、堰500をさけるようにすれば、実施例1で示したような種々の配置を取ることが出来る。
【0083】
図13は、図12のD−D断面に対応する液晶表示装置のシール部の断面図である。すなわち、図13は対向基板200に形成された堰500を挟んだ断面図となっている。図13において、対向基板200側には、堰500を挟んで柱状スペーサ205が配置されている。各々の柱状スペーサ205の構成は実施例1の図3で説明したのと同様である。図13において、オーバーコート膜203の上に堰500が形成されている。この堰500は円柱状ではなく、紙面垂直方向に線状に延在し、表示領域全周を囲んでいる。
【0084】
堰500は柱状スペーサ205と同じ材料で同じプロセスで形成される。したがって、柱状スペーサ205の高さHSと堰500の高さHSは同じである。しかし、堰500の下には緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bによる台座が形成されていないので、堰500の先端は柱状スペーサ205の先端よりも低い。したがって、シール部におけるTFT基板100と対向基板200との間隔は、柱状スペーサ205によって決められる。
【0085】
図13において、堰500の高さHSは柱状スペーサ205の高さHSと同等である。配向膜111を止める作用からは、堰500の高さは、柱状スペーサ205の高さHSよりも低くとも良い。堰500の高さを柱状スペーサ205の高さよりも小さくする場合は、堰500の幅を柱状スペーサ205の径よりも小さくすれば良い。同じプロセスにおいても、フォトリソグラフィの性質から、幅が小さければ高さを小さくすることが出来るからである。
【0086】
図13において左側が表示領域であり、配向膜111が形成される。図13は、表示領域に配向膜111が塗布されたときに、液体状の配向膜111がシール部に流れてきており、この配向膜111が堰500によって止められて、いることを示している。配向膜は堰500よりも外側には流れないので、堰500よりも外側においては、シール材と基板との間には配向膜111は存在しない。したがって、少なくとも堰500よりも外側においては、シール部は高い信頼性を確保することが出来る。
【0087】
図13における対向基板200に形成されている柱状スペーサ205の構成は実施例1で説明したのと同様である。対向基板200のその他の構成も図1で説明したのと同様である。また、図13におけるTFT基板100の構成は実施例1の図3において説明したのと同様である。本実施例における表示領域の構成は、実施例1の図2において説明した構成と同様である。
【0088】
以上のように、本発明によれば、シール部内に、配向膜のシール部内への広がりを防止する堰500が形成されているので、配向膜がシール部に流れ込むような場合があっても、シール材の最低限の接着強度を確保することが出来る。なお、堰500は、柱状スペーサ205と同じプロセスで形成することが出来るので、堰500を形成するために、プロセスが増加することは無い。
【符号の説明】
【0089】
1…液晶セル、2…スクライブライン、10…表示領域、20…シール材、 30…走査線、 31…走査線引出し線、 40…映像信号線、 41…映像信号線引き出し線、 50…ICドライバ、 51…走査信号駆動回路、 52…映像信号駆動回路、 100…TFT基板、 101…ゲート電極、 102…ゲート絶縁膜、 103…半導体層、 104…n+Si層、 105…ソース電極、 106…ドレイン電極、 107…無機パッシベーション膜、 108…有機パッシベーション膜、 109…チャンネルエッチング領域、 110…画素電極、 111…配向膜、 113…コンタクトホール、 150…端子部、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 201R…赤カラーフィルタ、 201G…緑カラーフィルタ、 201B…青カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 204…対向電極、 205…柱状スペーサ、 250…グラスファイバ、 300…液晶層、 400…気泡、 450…減圧領域、 500…堰、 1000…マザー基板、 2000…マザー基板シール材。
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、滴下方式によってTFT基板と対向基板との間に液晶を充填する構成において、気泡の発生や、液晶のリークを生じない、信頼性を向上した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極や薄膜トランジスタ(TFT)を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、カラーフィルタ等が形成された対向基板との間に液晶を充填し、この液晶の分子を電界によって制御することによって画像を形成する。TFT基板と対向基板の間の間隔は数ミクロンと非常に小さい。従来の液晶の充填方法はTFT基板と対向基板との間をシールして内部を真空とし、大気圧によって液晶を注入していた。
【0003】
しかし、TFT基板と対向基板との間隔が小さく、かつ、液晶表示装置の表示面積が大きくなると注入に多大の時間がかかり、製造のスループットを長くし、ひいては製造コストの上昇を招く。これを対策するために、例えば、対向基板上に液晶を必要量滴下し、その後TFT基板を重ね合わせてシールし、液晶を封止する技術が開発されている。
【0004】
このような滴下方式は、従来は比較的大型の液晶表示装置において採用されてきたが、小型の液晶表示装置においても採用され始めている。小型の液晶表示装置においては、マザー基板に多数の液晶セルを形成し、各液晶セルに液晶を封入する必要があるが、個々の液晶セルに液晶を封入するのは工数がかかる。滴下方式によれば、マザー基板において、1度に多数の液晶セルに液晶を注入することが出来る。
【0005】
なお、本明細書では、液晶セルと言う場合は、TFT基板と対向基板がシール材によってシールされ、内部に液晶が封入された状態のものを言い、液晶表示装置と言う場合は、液晶セルに液晶を駆動する駆動ICが搭載されてものをいうが、特に区別しないで使用することもある。
【0006】
液晶表示装置においては、TFT基板と対向基板の間隔を制御することは重要であるが、従来は、表示領域においては、対向基板に形成した柱状スペーサによって間隔を制御し、シール部においては、グラスファイバによって間隔を制御してきた。
【0007】
これに対して、「特許文献1」には、液晶表示装置において、表示領域に柱状スペーサを使用し、かつ、シール部においても柱状スペーサを使用する構成が開示されている。「特許文献1」には、表示領域においても、シール部においても、柱状スペーサをBM上に形成することによって表示領域における基板間隔とシール部における基板間隔を同じにする構成が記載されている。
【0008】
一方、シール部におけるシール材とTFT基板および対向基板との接着は信頼性にとって重要である。「特許文献2」には、シール部において、液晶がシール材とTFT基板あるいは対向基板との下面に差し込むことを防止するために、液晶に対するストッパーとなる堰を形成する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−174827号公報
【特許文献2】特開2007−212667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図14は小型液晶表示装置を製作するマザー基板1000の状態を示す平面図である。図14において、マザー基板1000はマザーTFT基板とマザー対向基板が重ねあわされて形成されている。マザー基板1000には、7×5=35個の液晶セル1が作りこまれている。図14には、各液晶セル1を分離するスクライブライン2が記載されており、各液晶セル1にはシール材20が形成されている。このシール材20より内側の領域に液晶が滴下され、シール材20によってシールされている。
【0011】
小型の液晶表示装置では、ガラス基板を薄くすることが要求されている。マザーTFT基板あるいはマザー対向基板となるガラス基板は規格化されており、0.5mm程度と厚いので、マザー基板1000を形成したあと、マザー基板1000の外側を研磨することによって薄くする。このとき、研磨液がマザー基板1000の内部に入り込まないようにするために、マザー基板シール材2000がマザーTFT基板とマザー対向基板の周辺に形成されている。その後、マザー基板1000からスクライブライン2に沿って各液晶セル1を分離する。
【0012】
液晶滴下封入方式では、滴下する液晶の量が非常に重要である。液晶をマザー対向基板に滴下する際は、個々の液晶セル1に形成されたシール材20で囲まれた領域に、量を正確に制御した液晶を滴下する。その後、マザーTFT基板によって覆い、マザーTFT基板とマザー対向基板をシール材20およびマザー基板シール材2000によって接着する。この時、滴下する液晶の量が少なすぎると液晶セル1内に気泡が生じ、滴下する液晶の量が多すぎると液晶がシール材20とTFT基板の間、あるいはシール材20と対向基板との間に差し込んで、シール不良を生ずる。
【0013】
液晶セル1の内部の容量は、表示領域に形成される柱状スペーサ205の高さによって決まる。柱状スペーサ205の高さが大きいと内部の容量が大きくなり、柱状スペーサ205の高さが小さいと内部の容量が小さくなる。したがって、適正な液晶の滴下量は柱状スペーサ205の高さによって異なる。しかし、柱状スペーサ205の高さはプロセスによって変動する。
【0014】
この問題を対策するために、従来は、対向基板200に形成された柱状スペーサ205の高さを対向基板200毎に測定し、対向基板200を柱状スペーサ205の高さによってグループ分けし、各グレープ毎に対向基板200に滴下する液晶の滴下量を決めていた。
【0015】
表示領域においては、TFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって決められるが、シール部においては、従来は、グラスファイバ250によってTFT基板100と対向基板200の間隔が決められていた。図15はこの様子を示す模式断面図である。図15において、対向基板200側にはブラックマトリクス202、オーバーコート膜203が形成され、TFT基板100側には無機パッシベーション膜107と有機パッシベーション膜108が形成されている。図15は模式図であるから他の層は省略されている。
【0016】
図15のDAで示す表示領域においては、対向基板200とTFT基板100の間隔は柱状スペーサ205によって決められ、シール部においては、シール材に混入されたグラスファイバ250の径によって決められている。図15において、シール材より内側に、液晶300が封入されている。
【0017】
柱状スペーサ205の高さHSはプロセスによってばらつくが、グラスファイバ250の径GHは比較的精度良くコントロールされる。対向基板200を柱状スペーサ205の高さによってグループ分けすると、柱状スペーサ205の高さHSとグラスファイバ250の径GHが同程度であるグループと、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の径GHよりも低いグループ、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の高さHGよりも高いグループに分けられる。
【0018】
図16は柱状スペーサ205の高さHSとグラスファイバ250の径GHが同程度であるグループの液晶セル1の状態を示す断面図である。図16の例は、液晶300の量が適正にコントロールされ、シール部の信頼性も高く保つことが出来る。図17は、柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の径GHよりも低いグループにおける液晶セル1の断面図である。液晶の滴下量は、柱状スペーサ205の高さによって決められるので、このグループでは、図17に示す周辺における領域Aのように、気泡400が発生する。
【0019】
図18は柱状スペーサ205の高さHSがグラスファイバ250の高さHGよりも高いグループにおける液晶セル1の断面図である。液晶300の滴下量は、柱状スペーサ205の高さによって決められるので、このグループでは、図18に示す周辺において、領域Bで示すように、シール部に傾斜が発生し、基板が外側に歪む。図18は、対向基板200のみが歪むように記載されているが、図18は模式図であり、実際はTFT基板100側も歪む。
【0020】
図19はシール部において、基板の傾斜が生ずる理由を示す模式図である。液晶の滴下は減圧下でおこなわれる。液晶を各液晶セル1に滴下して、TFT基板100と対向基板200を重ね合わせ、シール材を硬化させた後、大気中に戻す。液晶セル1と液晶セル1の間、すなわちシール材とシール材の間は減圧領域450となっているので、基板は白矢印で示す大気圧によって内側に変形する。一方、シール材よりも内側の領域、すなわち、液晶セル1側は液晶300が過剰に滴下されて封入されているので、基板が外側に変形する。したがって、シール部において、基板の傾斜が発生することになる。
【0021】
このような状態となっているマザー基板1000をスクライブライン2にそって分離すると液晶セル1は図18に示すような断面形状となる。TFT基板100あるいは対向基板200が研磨によって薄くなった状態においては、図18に示すような基板の変形が生じ易い。このように、液晶300が過剰に封入されていると、シール部の信頼性に悪影響を与えるとともに、表示領域周辺におけるTFT基板100と対向基板200の間隔変動によるコントラストの低下きたす。
【0022】
このように、従来方式においては、柱状スペーサ205の高さを測定して、柱状スペーサ205の高さ毎に対向基板200をグループ分けし、各グループ毎に滴下する液晶の量をコントロールしても、ある割合で、液晶過少による気泡400の発生、液晶過剰による基板の変形が生じていた。本発明の課題は、以上のような問題点を解決し、信頼性の高い液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、以上のような課題を解決するものであり、具体的な構成は次のとおりである。
【0024】
(1)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0025】
(2)前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第2のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0026】
(3)前記第1のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0027】
(4)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上には第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記第2のカラーフィルタの上には第3のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0028】
(5)前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第3のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする(4)に記載の液晶表示装置。
【0029】
(6)前記第1のカラーフィルタは赤カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第3のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする(4)に記載の液晶表示装置。
【0030】
(7)TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記シール部においては、前記対向基板に形成された堰が前記表示領域を囲むように形成されており、前記堰の下には、カラーフィルタが存在していないことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、表示領域におけるTFT基板と対向基板の間隔と、シール部におけるTFT基板と対向基板との間隔との差をゼロにできるか、あるいは、常に一定の値に保つことが出来る。したがって、滴下方式によって液晶を注入する方式の液晶表示装置において、シール部の信頼性を向上させることが出来る。また、表示領域における気泡の発生を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】液晶表示装置の平面図である。
【図2】液晶表示装置の表示領域の断面図である。
【図3】実施例1の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図4】実施例1の柱状スペーサ付近の構造を示す断面図である。
【図5】液晶表示装置の対向基板の表示領域を示す平面図である。
【図6】実施例1のシール部の平面図の例である。
【図7】実施例1のシール部の平面図の他の例である。
【図8】実施例1のシール部の平面図のさらに他の例である。
【図9】実施例2の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図10】実施例2の柱状スペーサ付近の構造を示す断面図である。
【図11】実施例2のシール部の平面図の例である。
【図12】実施例3のシール部の平面図の例である。
【図13】実施例3の液晶表示装置のシール部の断面図である。
【図14】マザー基板の平面図である。
【図15】従来例における表示領域とシール部における基板の間隔を規定する構成の例である。
【図16】液晶の量が適正な場合の液晶表示装置の断面図である。
【図17】液晶の量が過少の場合の液晶表示装置の断面図である。
【図18】液晶の量が過剰の場合の液晶表示装置の断面図である。
【図19】液晶の量が過剰の場合におけるマザー基板の状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明が適用される製品の例である、携帯電話等に使用される小型の液晶表示装置の平面図である。図1において、TFT基板上に対向基板が設置されている。TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。TFT基板と対向基板とは額縁部に形成されたシール材によって接着している。図1においては、液晶は滴下方式によって封入されるので、封入孔は形成されていない。
【0035】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が対向基板200よりも大きくなっている部分には、液晶セル1に電源、映像信号、走査信号等を供給するための端子部150が形成されている。
【0036】
また、端子部150には、走査線、映像信号線等を駆動するためのICドライバ50が設置されている。ICドライバ50は3つの領域に分かれており、中央には映像信号駆動回路52が設置され、両脇には走査信号駆動回路51が設置されている。
【0037】
図1の表示領域10において、横方向には走査線が延在し、縦方向に配列している。また、縦方向には映像信号線が延在し、横方向に配列している。走査線は走査線引出し線31によって、ICドライバ50の走査信号駆動回路51と接続している。図1において、表示領域10を液晶表示装置の中央に配置するために、走査線引出し線31は表示領域10両側に配置され、このために、ICドライバ50には、走査信号駆動回路51が両脇に設置されている。一方映像信号線とICドライバ50を接続する映像信号線引出し線41は画面下側に集められている。映像信号線引出し線41はICドライバ50の中央部に配置されている映像信号駆動回路52と接続する。
【0038】
図2は図1に示す液晶表示装置の表示領域の断面図である。図2は一般的なTN方式の液晶表示装置の表示領域の断面図である。但し、本発明は、TN方式の液晶表示装置のみならず、例えば、IPS(In Plane Switching)等の他の方式の液晶表示装置についても適用することが出来る。
【0039】
図2において、TFT基板100上には、ゲート電極101が形成されている。ゲート電極101はスパッタリングによって形成され、その後、フォトリソグラフィによってパターニングされる。ゲート電極101はAlによって形成され、膜厚は300nm程度である。
【0040】
ゲート電極101と同層で、図示しない走査線等が同時に形成される。対向基板200の対向電極204にコモン電圧を供給するためにTFT基板100に形成されるコモン配線も同層で、同時に形成される。ゲート電極101を覆って、ゲート絶縁膜102が形成される。ゲート絶縁膜102は、例えば、SiN膜をスパッタリングすることによって形成される。ゲート絶縁膜102は例えば、400nm程度である。
【0041】
ゲート電極101の上には、ゲート絶縁膜102を介して半導体層103が形成される。半導体層103はa−Siで形成され、膜厚は150nm程度である。a−Si層にTFTのチャンネル領域が形成される。a−Si層にソース電極105およびドレイン電極106を設置する前に、n+Si層104を形成する。a−Si層とソース電極105あるいはドレイン電極106との間にオーミックコンタクトを形成するためである。
【0042】
n+Si層104の上にソース電極105あるいはドレイン電極106が形成される。ソース電極105あるいはドレイン電極106と同層で、映像信号線、保護ダイオード等と接続するアース線等が形成される。ソース電極105あるいはドレイン電極106は、Moあるいは、Al等によって形成される。なお、Alが使用される場合は、その上下をMo等によって覆う。Alがコンタクトホール113部において、ITO等と接触すると、接触抵抗が不安定になる場合があるからである。
【0043】
ソース電極105あるいはドレイン電極106を形成したあと、ソース電極105およびドレイン電極106をマスクとしてチャンネルエッチングを行う。チャンネル層からn+Si層104を完全に除去するために、a−Si層の上部までエッチングを行い、チャンネルエッチング領域109が形成される。その後、TFT全体を覆って無機パッシベーション膜107を形成する。無機パッシベーション膜107はSiNによって形成する。無機パッシベーション膜107は例えば、400nm程度である。
【0044】
無機パッシベーション膜107を覆って有機パッシベーション膜108が形成される。有機パッシベーション膜108は平坦化膜としての役割を有するので、厚く形成され、2μm〜3μm程度の厚さに形成される。有機パッシベーション膜108には例えば、アクリル樹脂が使用される。有機パッシベーション膜108は感光性のアクリル樹脂が使用され、レジストを使用せずにパターニングを行なうことが出来る。
【0045】
その後、有機パッシベーション膜108および無機パッシベーション膜107にコンタクトホール113を形成する。ITOで形成される画素電極110とTFTのソース電極105との導通をとるためである。表示領域10において、有機パッシベーション膜108の上には、画素電極110となるITOが形成される。
【0046】
図2において、画素電極110の上には液晶分子を配向させるための配向膜111が形成されている。TFT基板100と対向基板200との間に液晶層300が挟持されている。液晶層300の液晶分子は、TFT基板100に形成された配向膜111と対向基板200に形成された配向膜111とによって初期配向が規定されている。
【0047】
図2において、対向基板200の内側には、TFTの位置に対応して遮光膜であるブラックマトリクス202が形成されている。ブラックマトリクスはTFTに対する遮光膜としての役割と同時に、画像のコントラストを向上させる役割を有している。ブラックマトリクス202が形成されていない部分、すなわち、画素を形成する部分にはカラーフィルタ201が形成されている。
【0048】
図2の画素構造は、後で説明するように、縦方向には、同一色のカラーフィルタ201がストライプ状に形成されている。そして、ブラックマトリクスはTFT基板100に形成された走査線30に対応して横方向にストライプ状に形成されている。カラーフィルタ201はブラックマトリクス202を覆って、縦方向に連続してストライプ状に形成されている。
【0049】
カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203は表面の凹凸を緩和するとともに、カラーフィルタを液晶から保護する役割を有する。但し、オーバーコート膜は必須ではなく、使用されないこともある。
【0050】
オーバーコート膜203の上には、透明導電膜であるITOによって対向電極204が形成されている。TFT基板100の画素に形成された画素電極110と、対向基板200に形成された対向電極204との間に電圧を印加することによって液晶分子を回転等させて透過光あるいは反射光を制御することによって画像を形成する。
【0051】
対向電極204の上には、対向基板200とTFT基板100の間隔を規定するための柱状スペーサ205が形成されている。柱状スペーサ205は、バックライト等の光が透過しない、ブラックマトリクス202が形成された部分に形成される。柱状スペーサ205のある部分は液晶の配向が乱れ、バックライト等から光漏れが生じ、コントラストが低下する原因となるからである。
【0052】
柱状スペーサ205の高さは、液晶層300の層厚と同じで、例えば、3μm〜4μmである。柱状スペーサ205は例えば、感光性のアクリル樹脂によって形成される。アクリル樹脂は対向基板200全面に塗布され、マスクを使用して露光すると、光の当たった部分のみ、現像液に不溶となって、露光した部分のみが柱状スペーサ205として残る。感光性の樹脂を使用することによって、レジスト工程が不要となり、工程が短縮される。
【0053】
柱状スペーサ205および対向電極204を覆って配向膜111が形成される。TFT基板100に形成された配向膜111と対向基板200に形成された配向膜111によって液晶層300の初期配向が決定され、この配向状態をTFT基板100に形成された画素電極110と対向基板200との間に印加される電圧によって液晶分子を回転等させて液晶層300を透過する光を制御して画像が形成される。
【0054】
図3は図1に示す液晶表示装置のシール材が形成された領域Sの部分の断面図であり、本発明の特徴を示す図である。図3において、TFT基板100上には、走査線引出し線31が形成され、これをゲート絶縁膜102が覆っている。ゲート絶縁膜102の上に別層で形成された走査線引出し線31が形成されている。走査線引き出し線31は、図2のSの部分では、縦方向に延在しているが、液晶表示装置の表示領域の外側(額縁領域)の面積を小さくするために、走査線引出し線31を2層で形成している。上側の走査線引出し線31は映像信号線40と同層で形成され、図示しない部分において、走査線30とスルーホールを介して接続している。
【0055】
第2層の走査線引出し線31を覆って無機パッシベーション膜107が形成されている。無機パッシベーション膜107を覆って、有機パッシベーション膜108が形成されている。シール部においては、有機パッシベーション膜108の上には、画素電極110および配向膜111は形成されていない。
【0056】
図3の対向基板200には、ブラックマトリクス202が形成されており、ブラックマトリクス202の上には、島状に緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bが積層して形成されている。緑カラーフィルタ201Gのほうが、青カラーフィルタ201Bよりも大きく形成されている。緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bを覆ってオーバーコート膜203が形成されている。シール部においては、オーバーコート膜203の上には対向電極204および配向膜111は形成されていない。
【0057】
図3において、オーバーコート膜203の上には柱状スペーサ205が形成されている。そして、柱状スペーサ205の周囲はシール材20によって充填されている。柱状スペーサ205の先端は、TFT基板100に形成された有機パッシベーション膜108に接触している。本発明では、シール部においても、TFT基板100と対向基板200の間隔は、柱状スペーサ205によって規定される。
【0058】
図3における柱状スペーサ205は、図2で説明した表示領域における柱状スペーサ205と同じプロセスで同時に形成される。したがって、プロセス変動によって柱状スペーサ205の高さHSが変動しても、表示領域とシール部において、同時に変動するので、TFT基板100と対向基板200の間隔の差が表示領域とシール部において、プロセス毎に変動するということは無い。
【0059】
本発明の特徴は、柱状スペーサ205の下側に、島状の2層のカラーフィルタ201を配置している点である。図2で説明したように、表示領域においては、柱状スペーサ205の下側には1層のカラーフィルタ201が形成されている。本発明では、シール部の信頼性を確保するために、カラーフィルタ201をシール部全面ではなく、島状に形成している。島状に形成したカラーフィルタ201を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。
【0060】
カラーフィルタは表示領域のようにストライプ状に広く形成する場合と、シール部のように、島状に形成する場合とでは、同じプロセス条件で製作しても膜厚は島状に形成した部分において薄くなる。また、カラーフィルタの上のオーバーコート膜203は、島状のカラーフィルタの上では、レベリング効果によって薄くなる。そうすると、柱状スペーサ205の高さHSを表示領域とシール部とで同じに制御しても、シール部において、島状に形成されたカラーフィルタの厚さ、および、オーバーコート膜203の厚さが小さくなるので、シール部において、TFT基板100と対向基板200の間隔が小さくなるという現象を生ずる。
【0061】
本発明では、シール部において、柱状スペーサ205の下に、島状のカラーフィルタ201G、201Bを2層形成することによって表示領域とシール部において、TFT基板100と対向基板200との間隔を均一になるように制御している。なお、図3に示すように、シール部においては、画素電極110、対向電極204、配向膜111等は形成されていないが、これらの膜の厚さは小さく、カラーフィルタ201の膜厚、あるいはオーバーコート膜203の膜厚の変動に比較して誤差範囲である。
【0062】
図4は、シール部における対向基板200側の各膜の形状を示す断面図である。図4において、対向基板200には、ブラックマトリクス202がベタで形成されている。ブラックマトリクス202の上に、径φ4の島状緑カラーフィルタ201Gが形成されている。φ4は、例えば、60μm〜80μm程度である。島状の緑カラーフィルタ201Gの上に径φ3の島状の青カラーフィルタ201Bが形成されている。φ3は、例えば、40μm程度である。
【0063】
ブラックマトリクス202、島状の緑カラーフィルタ201G、島状の青カラーフィルタ201Bを覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203の上に柱状スペーサ205が形成されている。柱状スペーサ205の高さHSは表示領域と同じで、例えば、3μm〜4μmである。柱状スペーサ205は根元の径φ2が15μm程度であり、先端の径φ1が10μm程度である。
【0064】
図5は対向基板200の表示領域の一部を示す平面図である。図5において、対向基板200の上にブラックマトリクス202が横方向に延在し、縦方向に配列して形成されている。また、赤カラーフィルタ201R、緑カラーフィルタ201G、青カラーフィルタ201Bがブラックマトリクス202を覆い、縦方向に延在し、特定ピッチで横方向に配列している。各カラーフィルタ201の幅Xはサブピクセルの横径に対応し、例えば、40μmである。また、ブラックマトリクス202のピッチYは、サブピクセルの縦径に対応し、例えば、120μmである。
【0065】
図5において、柱状スペーサ205は、ブラックマトリクス202が形成された部分に対応して、青カラーフィルタ201Bの上に形成されている。図5においては、青画素に対応するサブピクセル全てに柱状スペーサ205が形成されている例である。図5においては、例えば、柱状スペーサ205の縦ピッチは120μm、横ピッチも120μmである。柱状スペーサ205が形成される密度は、これよりも小さくとも良い。表示領域における柱状スペーサ205の密度は、液晶表示装置がタッチパネルとして使用されるか等の使用条件によって決められる。
【0066】
図6は、本発明における対向基板200のシール部を示す平面図である。シール部には柱状スペーサ205が特定ピッチで配置され、柱状スペーサ205の周囲にはシール材が形成されている。柱状スペーサ205は島状に形成された緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bの上に形成されている。図4において、オーバーコート膜203は図示されていない。
【0067】
柱状スペーサ205の横ピッチd2は、例えば200μm、縦ピッチd3は、例えば500μmである。また、柱状スペーサ205とシール材の端部とん距離d1は、例えば100μmである。したがって、柱状スペーサ205の台座であるカラーフィルタ201がシール材よりも外側に出ることは無い。
【0068】
図7は、本発明における対向基板200のシール部の他の例を示す平面図である。図7において、柱状スペーサ205の縦方向のピッチd4は、図6の場合の半分になっている。したがって、図7は図6の場合に比較して柱状スペーサ205の密度が倍になっている。
【0069】
図8は、本発明における対向基板200のシール部のさらに他の例を示す平面図である。図8において、柱状スペーサ205の横方向のピッチd5は図6あるいは図7の横方向のピッチd2の半分になっている。また、図8の縦方向のピッチd6は図7の縦方向のピッチの半分になっている。したがって、図8においては、柱状スペーサ205の密度は図7の場合よりもさらに大きくなっている。
【0070】
図7および図8はシール部における柱状スペーサ205の配置、および密度の例であり、このほかにも、色々な配置をとることが出来る。また、シール部における柱状スペーサ205の密度は表示領域における柱状スペーサ205の密度とは同じである必要は無い。液晶表示装置の使用目的によって柱状スペーサ205の密度を表示領域、シール部各々で最適になるように決めることが出来る。
【実施例2】
【0071】
図9は本発明の第2の実施例を示すシール部の断面図である。本実施例における表示領域の構成は実施例1の場合と同様である。図9において、シール部におけるTFT基板100と対向基板200の間隔は柱状スペーサ205によって決められていることは実施例1と同様である。
【0072】
本実施例では、シール部において、柱状スペーサ205の下側に島状の赤カラーフィルタ201R、緑カラーフィルタ201G、青カラーフィルタ201Bが積層して形成されている。各カラーフィルタ201R、201G、201Bは、島状に形成されており、表示領域にストライプ状に形成されたカラーフィルタ201の厚さよりも小さくなる傾向がある。また、カラーフィルタの上に形成されるオーバーコート膜203も島状のカラーフィルタの上に形成される場合は、レベリング効果によって薄くなる。
【0073】
本実施例では、以上のように、柱状スペーサ205の下に形成される台座の高さが小さくなって、表示領域とシール部とにおける基板間隔が異なってくることを防止している。実施例1の構成では、柱状スペーサ205の下には、緑カラーフィルタ201Gと青カラーフィルタ201Bが形成されて、基板間隔の調整を行っているが、本実施例では、3層のカラーフィルタ201R、201G、201Bを形成することによって基板間隔の調整を行っている。
【0074】
一方、液晶セル内部の圧力は正圧であるよりも負圧であるほうが、シール部の信頼性にとっては有利である。この場合は、シール部における基板間の間隔が表示領域における基板間の間隔よりも若干大きくなる。このような場合、本実施例の構成を使用すれば、安定して基板間隔の設定を行うことが出来る。
【0075】
図10は、シール部における対向基板200側の各膜の形状を示す断面図である。図10の構成は、柱状スペーサ205の台座として、島状の赤カラーフィルタ201Rが追加して配置されている他は、図4と同様である。また、柱状スペーサ205の先端の径φ1、根元の径φ2、島状の青カラーフィルタ201Bの径φ3、島状の緑カラーフィルタ201Gの径φ4も図4と同様である。図10における島状の赤カラーフィルタ201Rの径は例えば、100μmから120μmである。
【0076】
図11は、本実施例におけるシール部の平面図である。図11では、柱状スペーサ205が所定のピッチで配置されており、柱状スペーサ205の周囲はシール材が形成されている。図11において、柱状スペーサ205が形成されている部分には、島状の青カラーフィルタ201B、島状の緑カラーフィルタ201Gに加えて、島状の赤カラーフィルタ201Rが形成されていることを除いて実施例1の図4と同様である。
【0077】
また、本実施例における柱状スペーサ205の配置は、図11に示す配置のみでなく、実施例1で説明した図7、図8の配置およびその他の配置をとることが出来る。
【実施例3】
【0078】
図12は本発明の第3の実施例を示すシール部の平面図である。図12が実施例1あるいは実施例2と異なるところは、シール部のほぼ中心部に配向膜111を止めるための堰500が設けられていることである。この堰500は、シール材20の全周にわたって形成されている。
【0079】
配向膜111がシール材と基板の間に存在すると、シール材と基板との間の接着性に悪影響を与える。配向膜111は、表示領域にインクジェット法等によって液体の状態で塗布され、その後焼成されて固化する。配向膜111が液体の状態で塗布されたときに、配向膜111がシール部に流れ込むと、シール部の信頼性を劣化させる。
【0080】
本実施例においては、仮に液体の状態の配向膜111がシール部に流れ込んだとしても、シール部全体に入りこまないように、シール部の中心部付近に配向膜111を止める堰500を形成している。こうすることによって、たとえ、配向膜111がシール部に流れ込んでも、シール材の半分の領域においては、シール材と基板との接着を十分に確保することが出来るので、シール部の信頼性を確保することが出来る。
【0081】
図12において、堰500は、柱状スペーサ205と同じ材料によって、同じプロセスで形成することが出来る。但し、堰500の下には、カラーフィルタ201は配置されていないので、その分、堰500の先端は、柱状スペーサ205の先端よりも低い。したがって、シール部におけるTFT基板100と対向基板200との間隔は柱状スペーサ205によって規定される。
【0082】
図12において、柱状スペーサ205は堰500を避けるように配置されている。図12における柱状スペーサ205のピッチ、配置等は、実施例1における図6と同様である。この他、シール部における柱状スペーサ205の配置は、堰500をさけるようにすれば、実施例1で示したような種々の配置を取ることが出来る。
【0083】
図13は、図12のD−D断面に対応する液晶表示装置のシール部の断面図である。すなわち、図13は対向基板200に形成された堰500を挟んだ断面図となっている。図13において、対向基板200側には、堰500を挟んで柱状スペーサ205が配置されている。各々の柱状スペーサ205の構成は実施例1の図3で説明したのと同様である。図13において、オーバーコート膜203の上に堰500が形成されている。この堰500は円柱状ではなく、紙面垂直方向に線状に延在し、表示領域全周を囲んでいる。
【0084】
堰500は柱状スペーサ205と同じ材料で同じプロセスで形成される。したがって、柱状スペーサ205の高さHSと堰500の高さHSは同じである。しかし、堰500の下には緑カラーフィルタ201Gおよび青カラーフィルタ201Bによる台座が形成されていないので、堰500の先端は柱状スペーサ205の先端よりも低い。したがって、シール部におけるTFT基板100と対向基板200との間隔は、柱状スペーサ205によって決められる。
【0085】
図13において、堰500の高さHSは柱状スペーサ205の高さHSと同等である。配向膜111を止める作用からは、堰500の高さは、柱状スペーサ205の高さHSよりも低くとも良い。堰500の高さを柱状スペーサ205の高さよりも小さくする場合は、堰500の幅を柱状スペーサ205の径よりも小さくすれば良い。同じプロセスにおいても、フォトリソグラフィの性質から、幅が小さければ高さを小さくすることが出来るからである。
【0086】
図13において左側が表示領域であり、配向膜111が形成される。図13は、表示領域に配向膜111が塗布されたときに、液体状の配向膜111がシール部に流れてきており、この配向膜111が堰500によって止められて、いることを示している。配向膜は堰500よりも外側には流れないので、堰500よりも外側においては、シール材と基板との間には配向膜111は存在しない。したがって、少なくとも堰500よりも外側においては、シール部は高い信頼性を確保することが出来る。
【0087】
図13における対向基板200に形成されている柱状スペーサ205の構成は実施例1で説明したのと同様である。対向基板200のその他の構成も図1で説明したのと同様である。また、図13におけるTFT基板100の構成は実施例1の図3において説明したのと同様である。本実施例における表示領域の構成は、実施例1の図2において説明した構成と同様である。
【0088】
以上のように、本発明によれば、シール部内に、配向膜のシール部内への広がりを防止する堰500が形成されているので、配向膜がシール部に流れ込むような場合があっても、シール材の最低限の接着強度を確保することが出来る。なお、堰500は、柱状スペーサ205と同じプロセスで形成することが出来るので、堰500を形成するために、プロセスが増加することは無い。
【符号の説明】
【0089】
1…液晶セル、2…スクライブライン、10…表示領域、20…シール材、 30…走査線、 31…走査線引出し線、 40…映像信号線、 41…映像信号線引き出し線、 50…ICドライバ、 51…走査信号駆動回路、 52…映像信号駆動回路、 100…TFT基板、 101…ゲート電極、 102…ゲート絶縁膜、 103…半導体層、 104…n+Si層、 105…ソース電極、 106…ドレイン電極、 107…無機パッシベーション膜、 108…有機パッシベーション膜、 109…チャンネルエッチング領域、 110…画素電極、 111…配向膜、 113…コンタクトホール、 150…端子部、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 201R…赤カラーフィルタ、 201G…緑カラーフィルタ、 201B…青カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 204…対向電極、 205…柱状スペーサ、 250…グラスファイバ、 300…液晶層、 400…気泡、 450…減圧領域、 500…堰、 1000…マザー基板、 2000…マザー基板シール材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第2のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上には第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記第2のカラーフィルタの上には第3のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第3のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1のカラーフィルタは赤カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第3のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された堰が前記表示領域を囲むように形成されており、前記堰の下には、カラーフィルタが存在していないことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第2のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上には第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、前記第2のカラーフィルタの上には第3のカラーフィルタが積層されて島状に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記表示領域における前記第1の柱状スペーサと前記カラーフィルタの間にはオーバーコート膜が存在し、前記シール部における前記第2の柱状スペーサと前記第3のカラーフィルタの間には、オーバーコート膜が存在していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1のカラーフィルタは赤カラーフィルタであり、前記第2のカラーフィルタは緑カラーフィルタであり、前記第3のカラーフィルタは青カラーフィルタであることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
TFTおよび画素電極を有する画素がマトリクス状に形成された表示領域を有するTFT基板と、3色のカラーフィルタがマトリクス状に形成された表示領域を有する対向基板とを有し、前記TFT基板と前記対向基板が周辺のシール部においてシール材によって接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が封入された液晶表示装置であって、
前記表示領域においては、前記対向基板に形成された第1の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第1の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちのひとつのカラーフィルタが存在し、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された第2の柱状スペーサによって前記対向基板と前記TFT基板の間隔が規定され、前記第2の柱状スペーサの下には前記3色のカラーフィルタのうちの第1のカラーフィルタが島状に形成され、前記第1のカラーフィルタの上に第2のカラーフィルタが積層されて島状に形成され、
前記シール部においては、前記対向基板に形成された堰が前記表示領域を囲むように形成されており、前記堰の下には、カラーフィルタが存在していないことを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−17831(P2011−17831A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161610(P2009−161610)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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