説明

液晶表示装置

【課題】部分発光動作を行う光源部を用いて映像表示を行う際に、表示画質を向上させることが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】部分駆動化処理部42は、映像信号D1に基づいて、映像の重心位置(重心位置データDg)を部分発光領域36単位で算出する。そして、この映像の重心位置を用いて、発光パターン信号BL1および部分駆動用映像信号D4を生成する。動画像表示の際に、隣接する部分発光部36間での発光輝度の時間変動が目立たなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部分発光部を有する光源部を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型テレビ、携帯端末装置のディスプレイとして、画素毎にTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)を設けたアクティブマトリクス型の液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)が多く用いられている。このような液晶表示装置では、一般に、画面上部から下部に向かって、各画素の補助容量素子および液晶素子に映像信号が線順次に書き込まれることにより各画素が駆動される。
【0003】
液晶表示装置に用いられるバックライトとしては、光源に冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)を用いたものが主流であるが、近年では発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)を用いたものも登場してきている。
【0004】
このようなLED等をバックライトとして用いた液晶表示装置では、従来より、光源部を複数の部分発光部に分割して構成し、この部分発光部単位で独立して発光動作を行う(部分発光動作を行う)ようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような部分発光動作の際には、入力映像信号に基づいて、バックライトにおける部分発光部単位での発光パターンを示す発光パターン信号と、部分駆動用映像信号とがそれぞれ生成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−142409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような部分発光動作を用いた映像表示を行う際には、入力映像信号において部分発光部単位で特徴量(例えば、最大画素値など)を検出し、この部分発光部単位での特徴量に基づいて発光パターン信号を生成するのが一般的である。すなわち、各部分発光部内に位置する入力映像信号の特徴量を用いて、各部分発光部の発光輝度を決定している。
【0007】
ところが、この手法では、入力映像信号の内容(入力映像のパターン)によっては、隣接する部分発光部間での発光輝度の時間変動が目立ってしまい、表示画質が低下してしまう問題があった。すなわち、この手法では、例えば低輝度の背景内において高輝度の小物体が移動していくような動画像等を表示する際に、隣接する部分発光部同士での発光輝度が、時間軸に沿って急激に(2値で)変化する(発光輝度の時間変化が急峻である)。
【0008】
具体的には、例えば上記した高輝度の小物体が、隣接する部分発光部間の境界を横切って移動する際に、その横切る前後で、部分発光部同士の点灯状態と消灯状態とが瞬時に切り替わることになる。したがって、このような動画像等を特に暗い環境下で観察した場合には、そのような隣接する部分発光部間の点灯状態と消灯状態との急激な切り替えが目立ってしまい、表示画質が低下してしまう。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、部分発光動作を行う光源部を用いて映像表示を行う際に、表示画質を向上させることが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液晶表示装置は、互いに独立して制御可能であるように構成された複数の部分発光部を有する光源部と、この光源部から部分発光部単位で射出された光を入力映像信号に基づいて変調することにより映像表示を行う液晶表示パネルと、入力映像信号に基づいて、光源部における部分発光部単位での発光パターンを示す発光パターン信号と、部分駆動用映像信号とをそれぞれ生成する部分駆動化処理部を有し、発光パターン信号を用いて光源部の各部分発光部に対する発光駆動を行うと共に、部分駆動用映像信号を用いて液晶表示パネルに対する表示駆動を行う表示制御部とを備えたものである。上記部分駆動化処理部は、入力映像信号に基づいて、映像の重心位置を部分発光部単位で算出すると共に、この映像の重心位置を用いて上記発光パターン信号および上記部分駆動用映像信号を生成する。
【0011】
本発明の液晶表示装置では、入力映像信号に基づいて、光源部における部分発光部単位での発光パターンを示す発光パターン信号と、部分駆動用映像信号とがそれぞれ生成される。そして、発光パターン信号を用いて光源部の各部分発光部に対する発光駆動が行われると共に、部分駆動用映像信号を用いて液晶表示パネルに対する表示駆動が行われる。この際、入力映像信号に基づいて、映像の重心位置が部分発光部単位で算出される。そして、この映像の重心位置を用いて上記発光パターン信号および上記部分駆動用映像信号が生成される。これにより、例えば、低輝度の背景内において高輝度の小物体が移動していくような動画像等を表示する際に、隣接する部分発光部同士での発光輝度が、時間軸に沿って滑らかに(ソフトに)変化するようになる(発光輝度の時間変化が滑らかになる)。その結果、動画像表示の際に、隣接する部分発光部間での発光輝度の時間変動が目立たなくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液晶表示装置によれば、入力映像信号に基づいて映像の重心位置を部分発光部単位で算出すると共に、この映像の重心位置を用いて上記発光パターン信号および上記部分駆動用映像信号を生成するようにしたので、動画像表示の際に、隣接する部分発光部間での発光輝度の時間変動を目立たなくすることができる。よって、部分発光動作を行う光源部を用いて映像表示を行う際に、表示画質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した画素の詳細構成例を表す回路図である。
【図3】図1に示した液晶表示装置における部分発光領域および部分照射領域の一例を模式的に表す分解斜視図である。
【図4】図1に示した部分駆動化処理部の詳細構成を表すブロック図である。
【図5】図1に示した液晶表示装置におけるバックライトの部分発光動作の概要を表す模式図である。
【図6】図1に示した液晶表示装置におけるバックライトの部分発光動作の概要を説明するための模式波形図である。
【図7】比較例に係る液晶表示装置における部分駆動化処理部の構成を表すブロック図である。
【図8】入力映像の一例を表す模式図である。
【図9】図8に示した入力映像を表示する際の比較例に係る部分発光動作について説明するための波形図である。
【図10】図8に示した入力映像を表示する際の比較例に係る部分発光動作について説明するための他の波形図である。
【図11】映像の重心の算出方法について説明するための模式図である。
【図12】実施の形態に係るゲイン特性線の一例を表す特性図である。
【図13】図8に示した入力映像を表示する際の実施の形態に係る部分発光動作について説明するための波形図である。
【図14】図13に示した部分発光動作を詳細に表す波形図である。
【図15】本発明の変形例に係る部分駆動化処理部の構成を表すブロック図である。
【図16】変形例に係るゲイン特性線の一例を表す特性図である。
【図17】位置分散値とゲイン特性線の傾きとの関係の一例を表す特性図である。
【図18】本発明の他の変形例に係るバックライトにおける部分発光動作を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(各部分発光領域における映像の重心位置を用いて、発光パターン信号を生成する例)
2.変形例(映像の分散位置に基づいてゲイン特性を変化させる例)
3.その他の変形例(エッジライト型のバックライトの例等)
【0015】
<実施の形態>
[液晶表示装置1の全体構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置(液晶表示装置1)の全体のブロック構成を表すものである。
【0016】
液晶表示装置1は、外部から入力される入力映像信号Dinに基づいて映像表示を行うものである。この液晶表示装置1は、液晶表示パネル2、バックライト3(光源部)、映像信号処理部41、部分駆動化処理部42、タイミング制御部43、バックライト駆動部50、データドライバ51およびゲートドライバ52を有している。これらのうち、映像信号処理部41、部分駆動化処理部42、タイミング制御部43、バックライト駆動部50、データドライバ51およびゲートドライバ52が、本発明における「表示制御部」の一具体例に対応している。
【0017】
液晶表示パネル2は、後述するバックライト3から射出された光を入力映像信号Dinに基づいて変調することにより、この入力映像信号Dinに基づく映像表示を行うものである。この液晶表示パネル2は、全体としてマトリクス状に配列された複数の画素20を含んでいる。
【0018】
図2は、各画素20内の画素回路の回路構成例を表したものである。画素20は、液晶素子22、TFT素子21および補助容量素子23を有している。この画素20には、駆動対象の画素を線順次で選択するためのゲート線Gと、駆動対象の画素に対して映像電圧(後述するデータドライバ51から供給される映像電圧)を供給するためのデータ線Dと、補助容量線Csとが接続されている。
【0019】
液晶素子22は、データ線DからTFT素子21を介して一端に供給される映像電圧に応じて、表示動作を行うものである。この液晶素子22は、例えばVA(Vertical Alignment)モードやTN(Twisted Nematic)モードの液晶よりなる液晶層(図示せず)を、一対の電極(図示せず)で挟み込んだものである。液晶素子22における一対の電極のうちの一方(一端)は、TFT素子21のドレインおよび補助容量素子23の一端に接続され、他方(他端)は接地されている。補助容量素子23は、液晶素子22の蓄積電荷を安定化させるための容量素子である。この補助容量素子23の一端は、液晶素子22の一端およびTFT素子21のドレインに接続され、他端は補助容量線Csに接続されている。TFT素子21は、液晶素子22および補助容量素子23の一端同士に対し、映像信号D1に基づく映像電圧を供給するためのスイッチング素子であり、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)により構成されている。このTFT素子21のゲートはゲート線G、ソースはデータ線Dにそれぞれ接続されると共に、ドレインは液晶素子22および補助容量素子23の一端同士に接続されている。
【0020】
バックライト3は、液晶表示パネル2に対して光を照射する光源部であり、例えば発光素子として、CCFLやLEDなどを用いて構成されている。バックライト3は、後述するように、入力映像信号Dinの内容(映像パターン)に応じた発光駆動がなされるようになっている。
【0021】
このバックライト3はまた、例えば図3に示したように、互いに独立して制御可能であるように構成された複数の部分発光領域36(部分発光部)を有している。すなわち、このバックライト3は、部分駆動方式のバックライトにより構成されている。具体的には、バックライト3は、複数の光源が2次元的に配列されることにより複数の部分発光領域36を有している。これにより、バックライト3は、面内方向に発光領域が縦n×横m=K個(n,m=2以上の整数)に分割されている。なお、この分割数は、上記した液晶表示パネル2における画素20よりも低解像度のものとなっている。また、図3に示したように、液晶表示パネル2には、各部分発光領域36に対応する複数の部分照射領域26が形成されるようになっている。
【0022】
バックライト3は、入力映像信号Dinの内容(映像パターン)に応じて、部分発光領域36ごとに独立した発光制御が可能とされている。また、バックライト3における光源は、ここでは、赤色光を発する赤色LED3Rと、緑色光を発する緑色LED3Gと、青色光を発する青色LED3Bとの各色のLEDを組み合わせて構成されている。ただし、光源として用いられるLEDの種類としてはこれには限られず、例えば白色光を発する白色LEDを用いるようにしてもよい。なお、各部分発光領域36には、このような光源が少なくとも1つずつ配置されている。
【0023】
映像信号処理部41は、各画素20の画素信号からなる入力映像信号Dinに対して、例えば高画質化のための所定の画像処理(例えば、シャープネス処理やガンマ補処理など)を行うことにより、映像信号D1を生成するものである。
【0024】
部分駆動化処理部42は、映像信号処理部41から供給される映像信号D1に対して所定の部分駆動化処理を行うものである。これにより、バックライト3における部分発光領域36単位での発光パターンを示す発光パターン信号BL1と、部分駆動用映像信号D4とをそれぞれ生成するようになっている。具体的には、部分駆動化処理部42は、映像信号D1に基づいて、映像の重心位置(後述する重心位置データDg)を部分発光領域36単位で算出し、この映像の重心位置を用いて発光パターン信号BL1および部分駆動用映像信号D4を生成している。なお、この部分駆動化処理部42の詳細構成については後述する(図4)。
【0025】
タイミング制御部43は、バックライト駆動部50、ゲートドライバ52およびデータドライバ51の駆動タイミングを制御すると共に、部分駆動化処理部42から供給される部分駆動用映像信号D4をデータドライバ51へ供給するものである。
【0026】
ゲートドライバ52は、タイミング制御部43によるタイミング制御に従って、液晶表示パネル2内の各画素20を、前述したゲート線Gに沿って線順次駆動するものである。一方、データドライバ51は、液晶表示パネル2の各画素20へそれぞれ、タイミング制御部43から供給される、部分駆動用映像信号D4に基づく映像電圧を供給するものである。具体的には、部分駆動用映像信号D4に対してD/A(デジタル/アナログ)変換を施すことにより、アナログ信号である映像信号(上記映像電圧)を生成し、各画素20へ出力する。このようにして、部分駆動用映像信号D4に基づく表示駆動が、液晶表示パネル2内の各画素20に対してなされるようになっている。
【0027】
バックライト駆動部50は、タイミング制御部43によるタイミング制御に従って、部分駆動化処理部42から出力される発光パターン信号BL1に基づく、バックライト3内の各部分発光領域36に対する発光駆動(点灯駆動)を行うものである。
【0028】
[部分駆動化処理部42の詳細構成]
次に、図4を参照して、部分駆動化処理部42の詳細構成について説明する。図4は、部分駆動化処理部42のブロック構成を表したものである。この部分駆動化処理部42は、低解像度化処理部421、重心算出部422A、ゲイン補正部422B、BLレベル算出部423、拡散部424およびLCDレベル算出部425を有している。
【0029】
低解像度化処理部421は、映像信号D1に対して所定の低解像度化処理を行うことにより、前述した発光パターン信号BL1の基となる映像信号D2(低解像度化信号)を生成するものである。具体的には、画素20単位の輝度レベル信号(画素信号)により構成される映像信号D1を、画素20と比べて低解像度である部分発光領域36単位での輝度レベル信号に再構成することにより、映像信号D2を生成する。この際、低解像度化処理部421は、各部分発光領域36内の複数の画素信号から所定の特徴量(例えば、輝度レベルの最大値や平均値、それらの合成値など)を抽出することにより、再構築を行うようになっている。
【0030】
重心算出部422Aは、映像信号D1に基づいて、映像の重心位置を示すデータである重心位置データDgを、部分発光領域36単位で算出するものである。具体的には、各部分発光領域36に対応する部分照射領域26内の画素信号を対象として、後述する所定の式を用いて信号の重心位置を算出するようになっている。なお、この重心算出部422Aの詳細動作については後述する。
【0031】
ゲイン補正部422Bは、低解像度化処理部421から出力される映像信号D2に対して、重心算出部422Aから出力される重心位置データDgを用いた所定のゲイン補正を行うことにより、そのようなゲイン補正後の映像信号D3を生成するものである。このゲイン補正の際のゲインαは、詳細は後述するが、重心位置データDgにより規定される各部分発光領域36の重心位置に応じて定まるものとなっている。このゲイン補正部422Bは、具体的には以下の(1)式を用いてゲイン補正を行い、映像信号D3を生成する。なお、このゲイン補正部422Bの詳細動作については後述する。
D3=α×D2 ……(1)
【0032】
BLレベル算出部423は、ゲイン補正部422Bから出力されるゲイン補正後の映像信号D3に基づいて、部分発光領域36ごとの発光輝度レベルを算出することにより、部分発光領域36単位での発光パターンを示す発光パターン信号BL1を生成するものである。具体的には、部分発光領域36ごとに映像信号D3の輝度レベルを解析することにより、各領域の輝度レベルに応じた発光パターンを得ることが可能となっている。
【0033】
拡散部424は、BLレベル算出部423から出力される発光パターン信号BL1に対して所定の拡散処理を行い、拡散処理後の発光パターン信号BL2をLCDレベル算出部425へ出力するものであり、部分発光領域36単位の信号から画素20単位の信号への変換を行っている。この拡散処理は、バックライト3内の実際の光源(ここでは各色のLED)における輝度分布(光源からの光の拡散分布)を考慮してなされる処理である。
【0034】
LCDレベル算出部425は、映像信号D1と、拡散処理後の発光パターン信号BL2とに基づいて、部分駆動用映像信号D4を生成するものである。具体的には、映像信号D1の信号レベルを拡散処理後の発光パターン信号BL2で除算することにより、部分駆動用映像信号D4を生成している。詳細には、LCDレベル算出部425は以下の(2)式を用いて、映像信号D4を生成するようになっている。
D4=(D1/BL2) ……(2)
【0035】
ここで、上記(2)式により、原信号(映像信号D1)=(発光パターン信号BL2×部分駆動用映像信号D4)という関係が得られる。このうち、(発光パターン信号BL2×部分駆動用映像信号D4)の物理的意味は、ある発光パターンで点灯されたバックライト3における各部分発光領域36の画像イメージに、部分駆動用映像信号D4の画像イメージを重ね合わせるというものである。これにより、詳細は後述するが、液晶表示パネル2における透過光の明暗分布を相殺し、本来の表示(原信号による表示)を目視することと等価となる。
【0036】
[液晶表示装置1の作用・効果]
続いて、本実施の形態の液晶表示装置1の作用および効果について説明する。
【0037】
(1.部分発光動作の概要)
この液晶表示装置1では、図1に示したように、まず、映像信号処理部41が入力映像信号Dinに対して所定の画像処理を行うことにより、映像信号D1を生成する。次に、部分駆動化処理部42は、この映像信号D1に対して所定の部分駆動化処理を行う。これにより、バックライト3における部分発光領域36単位での発光パターンを示す発光パターン信号BL1と、部分駆動用映像信号D4とが、それぞれ生成される。
【0038】
次いで、このようにして生成された部分駆動用映像信号D4および発光パターン信号BL1はそれぞれ、タイミング制御部43へ入力される。このうち、部分駆動用映像信号D4は、タイミング制御部43からデータドライバ51へ供給される。データドライバ51は、この部分駆動用映像信号D4に対してD/A変換を施し、アナログ信号である映像電圧を生成する。そして、ゲートドライバ52およびデータドライバ51から出力される各画素20への駆動電圧によって表示駆動動作がなされる。これにより、部分駆動用映像信号D4に基づく表示駆動が、液晶表示パネル2内の各画素20に対してなされる。
【0039】
具体的には、図2に示したように、ゲートドライバ52からゲート線Gを介して供給される選択信号に応じて、TFT素子21のオン・オフ動作が切り替えられる。これにより、データ線Dと液晶素子22および補助容量素子23との間が選択的に導通される。その結果、データドライバ51から供給される部分駆動用映像信号D4に基づく映像電圧が液晶素子22へと供給され、線順次の表示駆動動作がなされる。
【0040】
一方、発光パターン信号BL1は、タイミング制御部43からバックライト駆動部50へ供給される。バックライト駆動部50は、この発光パターン信号BL1に基づいて、バックライト3内の各部分発光領域36に対する発光駆動(部分駆動動作)を行う。
【0041】
このとき、映像電圧が供給された画素20では、バックライト3からの照明光が液晶表示パネル2において変調され、表示光として出射される。これにより、入力映像信号Dinに基づく映像表示が、液晶表示装置1において行われる。
【0042】
具体的には、例えば図5に示したように、バックライト3の各部分発光領域36による発光面イメージ71と、表示パネル2単独によるパネル面イメージ72とが物理的に重ね合わせられた(掛け算的に合成された)合成イメージ73が、液晶表示装置1全体として最終的に観察される映像となる。
【0043】
また、部分駆動化処理部42へ入力される映像信号D1が、全体的に暗い(グレイレベルの)背景内に小さな明るい物体が存在する静止画像を表すものとなっている場合、部分発光動作は以下のようになる。
【0044】
図6は、この場合における、液晶表示装置1における部分発光動作をタイミング図で模式的に表したものである。この図6において、(A)は映像信号D1を、(B)は発光パターン信号BL1を、(C)は発光パターン信号BL2を、(D)は部分駆動用映像信号D4(=D1/BL2)を、それぞれ示している。また、(E)はバックライト3における実際の輝度分布(BL輝度分布)を、(F),(G)は実際に目視される画像(=D4×BL輝度分布)を、それぞれ示している。なお、(B)〜(F)において、横軸は、(A),(G)中のII−II線に沿った水平方向の画素位置を示している。また、(A),(G)において、縦軸は画面の縦方向(垂直方向)の画素位置を示し、(B)〜(F)において、縦軸はレベル軸を示している。この図6により、部分発光動作を用いた映像表示の際に、入力される映像信号D1の内容(画像)と、目視画像とが互いに一致していることが分かる。
【0045】
(2.発光パターン信号の生成動作)
次に、図7〜図14を参照して、本発明の特徴的部分の1つである、部分駆動化処理部42における発光パターン信号BL1の生成動作について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
【0046】
(2−1.比較例)
図7は、比較例に係る液晶表示装置における部分駆動化処理部(部分駆動化処理部104)のブロック構成を表したものである。この比較例の部分駆動化処理部104は、図4に示した本実施の形態の部分駆動化処理部42において、重心算出部422Aおよびゲイン補正部422Bを省いた(設けないようにした)ものとなっている。
【0047】
この部分駆動化処理部104では、まず、低解像度化処理部421において、映像信号D1に対して低解像度化処理を行い、映像信号D102を生成する。次いで、BLレベル算出部423がこの映像信号D102に基づいて、部分発光領域36単位での発光パターンを示す発光パターン信号BL101を生成する。また、拡散部424では、BLレベル算出部423から出力される発光パターン信号BL101に対して拡散処理を行い、拡散処理後の発光パターン信号BL102をLCDレベル算出部425へ出力する。そして、LCDレベル算出部425は、映像信号D1と、拡散処理後の発光パターン信号BL102とに基づいて、部分駆動用映像信号D104を生成する。具体的には、LCDレベル算出部425は、本実施の形態と同様にして以下の(3)式を用いることにより、映像信号D104を生成する。
D104=(D1/BL102) ……(3)
【0048】
このようにして、この比較例の部分駆動化処理部104では、低解像度化処理部421において、映像信号D1から部分発光領域36単位で特徴量(例えば、最大画素値など)を検出し、低解像度化信号としての映像信号D102を生成する。そして、BLレベル算出部423において、この部分発光領域36単位での特徴量に基づいて発光パターン信号BL1を生成している。すなわち、以下説明する本実施の形態とは異なり、各部分発光領域36内に位置する画素信号の輝度レベルを用いて、各部分発光領域36の発光輝度を決定している。
【0049】
ところが、この比較例の手法では、映像信号D1の内容(入力映像のパターン)によっては、以下説明するように、隣接する部分発光領域36間での発光輝度の時間変動が目立ってしまい、表示画質が低下してしまうという問題がある。具体的には、例えば図8に示した映像信号D1のように、全体的に暗い(黒レベルの)背景内において高輝度の小物体が移動していくような動画像を表示する際に、隣接する部分発光領域36同士での発光輝度が、時間軸に沿って急激に(2値で)変化してしまう。換言すると、隣接する部分発光領域36同士において、発光輝度の時間変化が急峻となってしまう。
【0050】
ここで、図9および図10を参照して説明すると、以下のようになる。図9(A),(B)は、図8に示した動画像からなる映像信号D1を入力した場合における、比較例に係る部分発光動作の際の発光パターンBL101の波形の時間変化を、隣接する2つの部分発光領域36A,36Bについて示したものである。一方、図10(A),(B)は、この場合における、比較例に係るバックライト3の輝度分布の時間変化を、同様に隣接する2つの部分発光領域36A,36Bについて示したものである。
【0051】
比較例では、上記したように、各部分発光領域36内に位置する画素信号のみを用いて、各部分発光領域36の発光輝度を決定している。このため、図8に示した動画像からなる映像信号D1を入力した場合、部分発光領域36A,36Bにおける発光輝度は、上記した高輝度の小物体がその部分発光領域内に存在するか否かにより決定され、この小物体の移動に応じて発光輝度が2値(「0」またはある一定値)で切り替わることになる。すなわち、図9および図10に示したように、この高輝度の小物体が、隣接する2つの部分発光領域部36A,36B間の境界を横切って移動する際に、その横切る前後で、部分発光領域36A,36B同士の点灯状態と消灯状態とが瞬時に切り替わることになる。したがって、このような動画像等を特に暗い環境下で観察した場合には、そのような隣接する部分発光領域36A,36B間の点灯状態と消灯状態との急激な切り替えが目立ってしまい、表示画質が低下してしまう。
【0052】
(2−2.実施の形態)
これに対して、本実施の形態では、部分駆動化処理部42において、まず、重心算出部422Aが、映像信号D1に基づいて、映像の重心位置を示すデータである重心位置データDgを部分発光領域36単位で算出する。また、低解像度化処理部421が、映像信号D1に対して所定の低解像度化処理を行い、低解像度化信号としての映像信号D2を生成する。次いで、ゲイン補正部422Bが、映像信号D2に対して重心位置データDgを用いた所定のゲイン補正を行うことにより、ゲイン補正後の映像信号D3を生成する。そして、BLレベル算出部423、拡散部424およびLCDレベル算出部425において、このゲイン補正後の映像信号D3に基づいて、発光パターン信号BLおよび部分駆動用映像信号D4を生成する。すなわち、本実施の形態の部分駆動化処理部42では、映像信号D1に基づいて、映像の重心位置を示す重心位置データDgを部分発光領域36単位で算出し、この映像の重心位置データDgを用いて発光パターン信号BL1および部分駆動用映像信号D4を生成している。以下、このような本実施の形態の部分発光動作について詳細に説明する。
【0053】
まず、重心算出部422Aは、映像信号D1に基づいて、各部分発光領域36に対応する部分照射領域26内の画素信号を対象として、以下の(4)〜(7)式を用いて信号の重心位置を算出する。具体的には、図11を参照して説明すると、以下のようになる。ここで、ある部分発光領域36内の注目画素の水平方向(H方向)の画素位置(x位置)をxi、このx=xiの画素における画素値をy(xi)、その部分発光領域36のx位置の最小値,最大値をxn,xm、その部分発光領域36における映像の重心位置をxgとする。
【0054】
ここで、この部分発光領域36内の全ての画素20について、画素値(輝度レベル)を加算した結果をS1とすると、この加算結果S1は以下の(4)式により表わされる。次いで、画素20のx位置xiとその輝度レベルy(xi)とを乗算したものを、部分発光領域36内の全ての画素20について加算した結果をS2とすると、この加算結果S2は以下の(5)式により表わされる。ここで、これらの加算結果S1,S2と映像の重心位置xgとの関係は、以下の(6)式により表わされる。したがって、この(6)式を変形してなる以下の(7)式により、映像の重心位置xgが求められる。すなわち、各部分発光領域36について、(5)式により算出される加算結果S2を(4)式により算出される加算結果S1により除算することにより、その部分発光領域36における映像の重心位置xgが求められる。なお、ここでは、液晶表示パネル2内の水平方向(H方向)に対応するx位置についての重心位置の算出方法について説明したが、垂直方向(V方向)に対応するy位置についての重心位置についても同様にして算出することが可能である。
【0055】
【数1】

【0056】
次に、ゲイン補正部422Bは、このようにして算出された重心位置データDgを用いて、映像信号D2に対して部分発光領域36ごとに、前述した(1)式により規定される所定のゲイン補正を行い、ゲイン補正後の映像信号D3を生成する。ここで、このゲイン補正の際のゲインαは、例えば図12(A),(B)に示したように、重心位置データDgにより規定される各部分発光領域36の重心位置に応じて定まるものとなっている。この図12において、重心位置とゲインαの値との関係を示すゲイン特性(ゲイン関数)G1A,G2Aはそれぞれ、部分発光領域36Aについてのゲイン特性を示し、ゲイン特性G1B,G2Bはそれぞれ、部分発光領域36Bについてのゲイン特性を示す。なお、実際のゲイン特性は、水平方向(H方向,x方向)および垂直方向(V方向,y方向)のそれぞれについて2次元的に規定されているものであるが、以下では説明の容易化のため、1方向(例えば水平方向)に沿ったゲイン特性を参照して説明する。
【0057】
図12(A),(B)に示したように、各ゲイン特性(ゲイン関数)G1A,G2A,G1B,G2Bではそれぞれ、重心位置が部分発光領域36A,36Bの中心付近から周辺に向かうに従って、ゲインαの値が次第に小さくなっている。具体的には、各部分発光領域36A,36Bの中心では、ゲインαの値が1.0となり、隣接する部分発光領域36A,36B間の境界等では、ゲインαの値が0.5となっている。また、これらのゲイン特性G1A,G2A,G1B,G2Bではそれぞれ、重心位置が対応する部分発光領域の外側にある場合であっても、ゲインαの値が0とはならず、それらのゲイン特性により定まる値(>0)となっている。
【0058】
なお、図12(A)では、ゲイン特性G1A,G1Bがそれぞれ、直線により規定されている(ゲイン特性線が直線となっている)が、ゲイン特性の形状はこれには限られない。すなわち、例えば図12(B)に示したゲイン特性G2A,G2Bのように、ゲイン特性が曲線(ここではS字状の曲線)により規定されていても(ゲイン特性線が曲線となっていても)よい。また、ここでは、各部分発光領域の中心ではゲインα=1.0となり、隣接する部分発光領域間の境界ではゲインα=0.5となっている例を示したが、重心位置に対するゲインαの値はこれには限られない。このようなゲイン特性は、例えばバックライト3の輝度分布等を考慮して設定されるものであるが、実使用上は、例えば図12(A)に示したような、直線により規定されるゲイン特性を用いても問題はない。
【0059】
次いで、このようなゲインαを用いてゲイン補正がなされた後の映像信号D3に基づいて、発光パターン信号BLおよび部分駆動用映像信号D4がそれぞれ生成される。これにより、本実施の形態の部分発光動作では、例えば前述した図8のように、全体的に暗い(黒レベルの)背景内において高輝度の小物体が移動していくような動画像等を表示する際に、上記比較例とは異なり、以下のようになる。すなわち、例えば図13(A),(B)および図14(A)〜(E)中の矢印でそれぞれ示したように、隣接する部分発光領域36A,36B同士での発光輝度が、時間軸に沿って滑らかに(ソフトに)変化するようになる(発光輝度の時間変化が滑らかになる)。その結果、本実施の形態では動画像表示の際に、上記比較例と比べ、隣接する部分発光領域36A,36B間での発光輝度の時間変動が目立たなくなる。なお、この場合、図13(B)に示したバックライト3の輝度分布では、隣接する2つの部分発光領域36A,36B等における輝度分布を合成したものとなる。
【0060】
以上のように本実施の形態では、部分駆動化処理部42において、映像信号D1に基づいて映像の重心位置(重心位置データDg)を部分発光領域36単位で算出すると共に、この映像の重心位置を用いて発光パターン信号BL1および部分駆動用映像信号D4を生成するようにしたので、動画像表示の際に、隣接する部分発光部36間での発光輝度の時間変動を目立たなくすることができる。よって、部分発光動作を行う光源部を用いて映像表示を行う際に、表示画質を向上させることが可能となる。また、部分発光動作を行うことにより、従来の部分発光動作の際と同様の、低消費電力化および黒輝度の改善を図ることも可能となる。
【0061】
<変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例について説明する。なお、実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0062】
図15は、変形例に係る液晶表示装置における部分駆動化処理部(部分駆動化処理部42A)のブロック構成を表したものである。本変形例の部分駆動化処理部42Aは、図4に示した実施の形態の部分駆動化処理部42において、以下説明するように、映像の位置分散値を算出する分散算出部422Cを更に設けたものとなっている。これにより本変形例では、上記実施の形態で説明した映像の重心位置に加え、この映像の位置分散値をも用いて発光パターン信号BL1を生成するようになっている。
【0063】
分散算出部422Cは、映像信号D1に基づいて、映像の位置分散値Dvを部分発光領域36単位で算出するものである。具体的には、この分散算出部422Cは、例えば、前述した(7)式により規定される重心位置xgと、(4)式により規定される加算結果S1とを用いて規定された以下の(8)式により、位置分散値Dvを算出する。
【0064】
【数2】

【0065】
また、本変形例のゲイン補正部422Bは、低解像度化処理部421から出力される映像信号D2に対して、重心算出部422Aから出力される重心位置データDgに加えて分散算出部422Cから出力される位置分散値Dvをも用いてゲイン補正を行い、ゲイン補正後の映像信号D3を生成する。そして、BLレベル算出部423は、このようにして生成されたゲイン補正後の映像信号D3に基づいて、発光パターン信号BL1を生成する。
【0066】
具体的には、ゲイン補正部422Bは、例えば図16に示したようにして、重心位置データDgにより規定される重心位置と、位置分散値Dvとを用いて、ゲイン補正の際のゲインαの値を決定する。すなわち、ここでは図12(A)に示したゲイン特性G1A,G1Bにおいてそれぞれ、図16中の矢印で示したように、ゲイン特性G1A,G1Bを規定するゲイン特性線の傾きを、位置分散値Dvの大きさに応じて変化させている(図中のゲイン特性G3A,G3B参照)。具体的には、位置分散値Dvが小さくなるのに従って、重心位置の変化に対するゲイン特性線の傾きが相対的に急峻となるように、ゲイン特性線の傾きを設定する。一方、位置分散値Dvが大きくなるのに従って、重心位置の変化に対するゲイン特性線の傾きが相対的に緩やかとなるように、ゲイン特性線の傾きを設定する。詳細には、例えば図17に示した特性G4のように、位置分散値Dvが最小値Dvminから最大値Dvmaxまで増加するのに応じて、上記したゲイン特性線の傾きを直線的に(線形に)減少させていくようにする。ただし、位置分散値Dvとゲイン特性線の傾きとの関係は図17に示したもの(特性G4で示したもの)には限られず、例えば曲線的な変化を示すようにしてもよい。
【0067】
このようにして、本変形例では、上記実施の形態で説明した映像の重心位置に加え、この映像の位置分散値Dvをも用いて、発光パターン信号BL1を生成している。これは、以下の理由によるものである。すなわち、まず上記実施の形態では、映像の位置分散値Dvを考慮せずにゲイン補正を行っているため、例えば信号が1点に集中している場合、信号が広く分散している場合のいずれにおいても、映像の重心位置が同じである限り、部分発光領域36の発光輝度は同一となる。ここで、信号が1点に集中している場合等、位置分散値Dvの値が小さい場合には、上記実施の形態で説明したゲイン特性G1A,G1Bのように、ゲイン特性線の傾きが急峻であるものを用いることが好ましい。すなわち、例えば、ある部分発光領域36の中心に重心位置があるときには、その部分発光領域36だけを点灯状態とし(ゲインα=1.0とする)、隣接する部分発光領域36は点灯させない(消灯状態とする)ようにする。そして、物体が移動して、重心位置が部分発光領域36間の境界になったときに、それら隣接する部分発光領域36同士をそれぞれ、重心位置が中心にあるときの半分の発光輝度で点灯させる(各々のゲインα=0.5とする)。これにより、上記実施の形態で説明したように、白点移動時の見た目の品位を改善しつつ、低消費電力化が図ることができる。
【0068】
ところが、映像の重心位置が部分発光領域36の中心にあるときに、位置分散値Dvの値が大きい場合(信号が部分発光領域36内で広く分散している場合)には、信号の一部が、既に部分発光領域36間の境界付近に存在している可能性がある。この場合、物体(信号)が少し移動しただけでも隣の部分発光領域36に信号の一部が移動してしまうため、その時点で隣の部分発光領域36も点灯してしまい、表示品位が低下してしまうことになる。
【0069】
そこで、本変形例のように、映像の重心位置に加えて映像の位置分散値Dvをも用いて発光パターン信号BL1を生成する、具体的には、位置分散値Dvが大きくなるのに従って、ゲイン特性線の傾きが相対的に緩やかとなるようにゲイン特性線の傾きを設定することにより、上記のように位置分散値Dvの値が大きい場合(信号が部分発光領域36内で広く分散している場合)であっても、そのような表示品位の低下を抑えることが可能となる。
【0070】
(その他の変形例)
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態等では、バックライトが、光源として赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んで構成されている場合について説明したが、これらに加えて(またはこれらに代えて)、他の色光を発する光源を含んで構成するようにしてもよい。例えば、4色以上の色光によって構成した場合、色再現範囲を拡大し、より多彩な色を表現することが可能となる。
【0072】
また、上記実施の形態等では、バックライト3が、いわゆる直下型のバックライト(光源部)である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、例えば図18(A)〜(C)に示したバックライト3−1〜3−3のような、いわゆるエッジライト型のバックライトにも適用することが可能である。具体的には、これらのバックライト3−1〜3−3は、光出射面を形成する例えば矩形状の導光板30と、この導光板30の側面(光出射面の側面)側に配設された複数の光源31とを含んで構成されている。詳細には、図18(A)に示したバックライト3−1では、矩形状の導光板30における対向する1対の側面(上下方向の側面)の各側に、複数(ここでは4つ)の光源31が配設されている。また、図18(B)に示したバックライト3−2では、矩形状の導光板30における対向する1対の側面(左右方向の側面)の各側に、複数(ここでは4つ)の光源31が配設されている。更に、図18(C)に示したバックライト3−3では、矩形状の導光板30における対向する2対の側面(上下左右方向の側面)の各側に、複数(ここでは4つ)の光源31が配設されている。このような構成によりバックライト3−1〜3−3では、互いに独立して制御可能な複数の部分発光領域36が、導光板30の光出射面上に形成されるようになっている。
【0073】
加えて、上記実施の形態等において説明した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされるようになっている。このようなプログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体に予め記録してさせておくようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…液晶表示装置、2…液晶表示パネル、20…画素、21…TFT素子、22…液晶素子、23…補助容量素子、26…部分照射領域、3,3−1〜3−3…バックライト、3R…赤色LED、3G…緑色LED、3B…青色LED、30…導光板、31…光源、36,36A,36B…部分発光領域、41…映像信号処理部、42,42A…部分駆動化処理部、421…低解像度化処理部、422A…重心算出部、422B…ゲイン補正部、422C…分散算出部、423…BLレベル算出部、424…拡散部、425…LCDレベル算出部、43…タイミング制御部、50…バックライト駆動部、51…データドライバ、52…ゲートドライバ、71…発光面イメージ、72…パネル面イメージ、73…合成イメージ、Din…入力映像信号、D1,D3…映像信号、D2…映像信号(低解像度化信号)、Dg…重心位置データ、Dv,Dvmin,Dvmax…位置分散値、D4…部分駆動用映像信号、BL1,BL2…発光パターン信号、α…ゲイン、G1A,G1B,G2A,G2B,G3A,G3B…ゲイン特性線、D…データ線、G…ゲート線、Cs…補助容量線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立して制御可能であるように構成された複数の部分発光部を有する光源部と、
前記光源部から前記部分発光部単位で射出された光を入力映像信号に基づいて変調することにより、映像表示を行う液晶表示パネルと、
前記入力映像信号に基づいて、前記光源部における前記部分発光部単位での発光パターンを示す発光パターン信号と、部分駆動用映像信号とをそれぞれ生成する部分駆動化処理部を有し、前記発光パターン信号を用いて前記光源部の各部分発光部に対する発光駆動を行うと共に、前記部分駆動用映像信号を用いて前記液晶表示パネルに対する表示駆動を行う表示制御部と
を備え、
前記部分駆動化処理部は、
前記入力映像信号に基づいて、映像の重心位置を前記部分発光部単位で算出すると共に、この映像の重心位置を用いて前記発光パターン信号および前記部分駆動用映像信号を生成する
液晶表示装置。
【請求項2】
前記部分駆動化処理部は、
前記入力映像信号に対して所定の低解像度化処理を行うことにより、前記部分発光部単位での映像信号である低解像度化信号を生成し、
前記低解像度化信号に対して、前記重心位置に応じて定まるゲインを乗算するゲイン補正を行い、
前記ゲイン補正後の低解像度化信号に基づいて、前記発光パターン信号を生成する
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記重心位置と前記ゲインの値との関係を示すゲイン特性は、前記重心位置が各部分発光部の中心付近から周辺に向かうに従って前記ゲインの値が次第に小さくなる特性となっている
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ゲイン特性において、
各部分発光部の中心では、前記ゲインの値が1.0であると共に、
隣接する部分発光部間の境界では、前記ゲインの値が0.5となっている
請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記部分駆動化処理部は、更に、
前記入力映像信号に基づいて、映像の位置分散値を前記部分発光部単位で算出し、
前記重心位置に加えて前記位置分散値をも用いて、前記発光パターン信号を生成する
請求項3または請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記部分駆動化処理部は、
前記ゲイン特性を規定するゲイン特性線の傾きを、前記位置分散値の大きさに応じて変化させる
請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記部分駆動化処理部は、
前記位置分散値が小さくなるのに従って、前記重心位置の変化に対する前記ゲイン特性線の傾きが相対的に急峻となるように、前記ゲイン特性線の傾きを設定すると共に、
前記位置分散値が大きくなるのに従って、前記重心位置の変化に対する前記ゲイン特性線の傾きが相対的に緩やかとなるように、前記ゲイン特性線の傾きを設定する
請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記光源部が、直下型またはエッジライト型の光源部である
請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−227200(P2011−227200A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95313(P2010−95313)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】