説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置において、画素トランジスタの長寿命化と消費電力を低減させるゲート信号の波形をより簡易な構成により出力する。
【解決手段】各画素の液晶の配向を制御する画素トランジスタのゲートに入力されるゲート信号を出力し、各画素が並べられたライン毎に配置された複数のシフトレジスタ回路(281,282)と、奇数ラインシフトレジスタ回路(281)に入力される第1クロック出力線CK1と、偶数ラインシフトレジスタ回路(282)に入力される第2クロック出力線CK2と、を備え、第1クロック出力線CK_A及び第2クロック出力線CK_Bには、1画面分を表示する期間であるフレーム期間ごとに第1クロック信号CK_A及び第2クロック信号CK_Bの2種類の異なるクロック信号が交互に印加され、第1クロック信号CK_A及び第2クロック信号CK_Bは、周期が同じで位相が異なるクロック信号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の情報通信端末やテレビ受像機の表示デバイスとして、液晶表示装置が広く用いられている。液晶表示装置は、電界を変化させることにより、2つの基板の間に封じ込められた液晶組成物の配向を変え、2つの基板と液晶組成物を通過する光の透過度合いを制御することにより画像を表示させる装置であり、この電界を変化させるために、各画素の階調値に対応する電圧(以下、「階調電圧」という。)を、各画素の画素トランジスタを介して画素電極に印加している。一般に、画面の1ライン分の各画素トランジスタの各ゲートは一つの信号線(以下、「走査信号線」という。)に接続され、走査信号線は、駆動回路内で、各ライン毎に設けられたシフトレジスタにより、1ライン毎に順番に画素トランジスタを導通させる信号を出力するように制御されている。
【0003】
一方、画素トランジスタのソース・ドレイン線に印加される階調電圧において、供給される電荷の極性に偏りがある場合には液晶パネルの短寿命化を招くため、電荷の極性を反転させながら駆動する、いわゆる反転駆動により表示画像の制御を行うのが一般的となっている。特許文献1は、反転駆動を行うアクティブマトリクス基板において、信号書込と信号保持との間のレベルシフト△Vを小さくするゲート信号の波形について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−159756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各ラインのすべての画素トランジスタを導通させるための走査信号線には大きな電圧が印加されるため、画素トランジスタの長寿命化と消費電力の低減のために、走査信号線にかかる信号の波形を工夫することは重要である。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてされたものであり、画素トランジスタの長寿命化と消費電力を低減させる走査信号線にかかる信号の波形を、より簡易な構成により実現させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶表示装置は、各画素の液晶の配向を制御する画素トランジスタのゲートに入力されるゲート信号を出力し、前記各画素が並べられたライン毎に配置された複数のシフトレジスタ回路と、前記シフトレジスタ回路に入力される第1クロック出力線と、を備え、前記第1クロック出力線は、1画面分を表示する期間であるフレーム期間ごとに2種類の異なるクロック信号が交互に印加される、ことを特徴とする液晶表示装置である。
【0008】
また、本発明の液晶表示装置は、前記2種類の異なるクロック信号は、第1クロック信号及び第2クロック信号であり、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号は、周期が同じで位相が異なるクロック信号であり、前記第1クロック信号は、第1ハイレベルの電圧値と、前記第1ハイレベルの電圧値よりも低い電圧値である第1ローレベルの電圧値とが交互に繰り返される信号であり、前記第2クロック信号は、前記第1ハイレベルの電圧値よりも低く、前記第1ローレベルの電圧値よりも高い電圧値である第2ハイレベルの電圧値と、前記第1ローレベルの電圧値よりも低い電圧値である第2ローレベルの電圧値とが交互に繰り返される信号である、とすることができる。
【0009】
また、本発明の液晶表示装置は、前記シフトレジスタ回路に入力される第2クロック出力線を更に備え、前記第1クロック出力線は、前記シフトレジスタ回路のうち、奇数ラインの画素に前記ゲート信号を出力する奇数ラインシフトレジスタ回路に接続され、前記第2クロック出力線は、前記シフトレジスタ回路のうち、偶数ラインの画素に前記ゲート信号を出力する偶数ラインシフトレジスタ回路に接続され、前記第2クロック出力線には、前記第1クロック出力線が前記第1クロック信号を出力している前記フレーム期間に、前記第2クロック信号が印加され、前記第1クロック出力線が前記第2クロック信号を出力している前記フレーム期間には、前記第1クロック信号が印加される、とすることができる。
【0010】
また、本発明の液晶表示装置は、前記第1クロック信号の反転信号である第3クロック信号が出力される第3クロック出力線と、前記第2クロック信号の反転信号である第4クロック信号が出力される第4クロック出力線と、を更に備え、前記第3クロック出力線は、前記第1クロック出力線と共に前記奇数ラインシフトレジスタ回路に入力され、前記第4クロック出力線は、前記第2クロック出力線と共に前記偶数ラインシフトレジスタ回路に入力される、とすることができる。
【0011】
また、本発明の液晶表示装置は、前記第1ハイレベルの電圧値、前記第1ローレベルの電圧値、前記第2ハイレベルの電圧値及び前記第2ローレベルの電圧値を生成する電圧変換部と、前記電圧変換部により生成された前記第1ハイレベルの電圧値、前記第1ローレベルの電圧値、前記第2ハイレベルの電圧値及び前記第2ローレベルの電圧値と、外部から入力される基準クロック信号とから第1クロック信号と第2クロック信号とを生成するレベルシフト部と、フレーム期間毎に第1クロック信号と第2クロック信号とを入れ替える信号スイッチ部と、を更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、本発明の液晶表示装置は、前記偶数ラインシフトレジスタ回路及び前記奇数ラインシフトレジスタ回路のいずれかからの出力信号が印加され、基板上で第1方向に延びる複数の導電線である走査信号線と、前記基板上で前記走査信号線と垂直な第2方向に延びる複数の導電線であるデータ信号線と、前記走査信号線と前記データ信号線とにより囲まれることにより形成された複数の画素にそれぞれ配置された画素トランジスタと、前記複数の画素のうちの一画素の前記画素トランジスタのゲートは、前記一画素の第1方向側の前記走査信号線に接続され、前記一画素の前記画素トランジスタのソース及びドレインのいずれか一方は、前記一画素の第2方向とは反対側の前記データ信号線に接続され、前記一画素に隣接する前記複数の画素である隣接画素の前記画素トランジスタのゲートは、前記隣接画素の第1方向とは反対側の前記走査信号線に接続され、前記隣接画素の前記画素トランジスタのソース及びドレインのいずれか一方は、前記隣接画素の第2方向側の前記データ信号線に接続されることにより、前記第2方向に延びる前記複数の画素が同じ極性であり、前記第1方向に延びる、隣り合う前記複数の画素は極性が入れ替わる反転駆動であるカラム反転駆動を行う、とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置を示す図である。
【図2】図1の液晶表示パネルの構成を示す図である。
【図3】図2のTFT基板に形成された複数の画素の一部と、画素内の回路について概略的に示す図である。
【図4】図2の走査信号駆動回路の構成について概略的に示す図である。
【図5】図4のクロック波形生成回路の内部構成について概略的に示す図である。
【図6】図4のシフトレジスタ回路を示す回路図である。
【図7】図4の走査信号駆動回路のタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板に形成された複数の画素の一部と画素内の回路について概略的に示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板に形成された複数の画素の一部と画素内の回路について概略的に示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の走査信号駆動回路の構成について概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置100を示す図である。この図に示すように、液晶表示装置100は、液晶表示パネル200と、液晶表示パネル200を挟むように固定する上フレーム101及び下フレーム102と、表示する情報を生成する回路素子を備える不図示の回路基板と、その回路基板において生成された表示情報を液晶表示パネル200に伝える不図示のフレキシブル基板と、により構成される。
【0016】
図2には、図1の液晶表示パネル200の構成が示されている。液晶表示パネル200は、TFT基板230とカラーフィルタ基板220の2枚の基板を有し、これらの基板の間には液晶組成物が封止されている。TFT基板230には、走査信号駆動回路240により制御される走査信号線G[N]、及びデータ信号駆動回路250により制御されるデータ信号線D[M]が張り巡らされ、これらの信号線は、液晶表示装置100の画素260を形成している。なお、M及びNは、それぞれカラム数及びライン数に対応した自然数である。また、液晶表示パネル200は、その表示の解像度に対応する数の画素260を有するが、図が煩雑になるのを避けるため、図2では簡略化して示している。
【0017】
なお、本実施形態の液晶表示パネル200は、TFT基板230内に2つの電極(図3の画素電極262及び共通電極263)を有するいわゆるIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示パネル200である。
【0018】
図3は、TFT基板230に形成された複数の画素260の一部と画素260内の回路について概略的に示す図である。画素260は、各画素の階調値に対応する電圧が印加される画素電極262と、画素電極262との間で電界を形成し、各画素で共通の電位を有する共通電極263と、走査信号線G[N]がゲートに接続され、ソース及びドレインのいずれか一方がデータ信号線D[M]に、他方が画素電極262に接続された画素トランジスタ261と、を有している。本実施形態においては、1ライン毎に異なる極性のデータ信号を印加する、いわゆるライン反転駆動を行うため、図3に示すように、画面の第1ラインの画素260の画素トランジスタ261は、すべて走査信号線G[1]に接続され、画面の第1カラムの画素260の画素トランジスタ261は、すべてデータ信号線D[1]に接続されており、他のライン及びカラムの各画素トランジスタ261についても同様に、対応する走査信号線G[N]及びデータ信号線D[M]に接続されている。
【0019】
図4は、走査信号駆動回路240の構成について概略的に示す図である。走査信号駆動回路240は、クロック波形生成回路270と、偶数ライン(N:偶数)の走査信号線G[N]に接続された複数のシフトレジスタ回路281と、奇数ライン(N:奇数)の走査信号線G[N]に接続された複数のシフトレジスタ回路282と、を有している。
【0020】
クロック波形生成回路270は、外部からのクロック信号CLK1等を入力とし、奇数ラインの画素の走査信号線G[N]に走査信号を出力するシフトレジスタ回路281に対する入力信号である第1クロック信号及び第1クロック信号の反転信号である第1クロック反転信号、並びに第1ラインのシフトレジスタ回路281への開始の合図となる第1セット信号を、それぞれ第1クロック信号線CK1、第1クロック反転信号線CKB1及び第1セット信号線SET1に印加し、偶数ラインの画素の走査信号線G[N]に走査信号を出力するシフトレジスタ回路282に対する入力信号である第2クロック信号及び第2クロック信号の反転信号である第2クロック反転信号、並びに第2ラインのシフトレジスタ回路282への開始の合図となる第2セット信号を、それぞれ第2クロック信号線CK2及び第2クロック反転信号線CKB2、並びに第2セット信号線SET2に印加する。
【0021】
クロック波形生成回路270から出力された上述の各信号を入力した各シフトレジスタ回路281及び282は、各走査信号線G[N]に走査信号を出力する。なお、各シフトレジスタ回路281及び282には、2ライン前のシフトレジスタの出力OUTB[N−2]の信号、及び2ライン後のシフトレジスタの出力OUTA[N+2]の信号も入力される。
【0022】
図5は、クロック波形生成回路270の内部構成について概略的に示す図である。クロック波形生成回路270は、クロック信号において使用される2種類のハイレベル電圧及び2種類のローレベル電圧を生成する電圧変換部272と、フレーム期間毎に、2種類のハイレベル電圧及び2種類のローレベル電圧をそれぞれ入れ替えて出力する信号スイッチ部276と、2種類のクロック信号をクロック信号線CK1及びCK2等に出力するレベルシフト部274とを備えている。
【0023】
これら各部について詳細に説明すると、電圧変換部272は、電源電圧VDD及び接地電圧GNDを入力し、第1のクロック信号のハイレベル電圧値VDD_H及びローレベル電圧値VSS_H、並びに第2のクロック信号のハイレベル電圧値VDD_L及びローレベル電圧値VSS_Lを出力する。
【0024】
信号スイッチ部276は、電圧変換部272の出力である第1のクロック信号のハイレベル電圧値VDD_H及びローレベル電圧値VSS_H、第2のクロック信号のハイレベル電圧値VDD_L及びローレベル電圧値VSS_L、並びに制御信号を入力し、第1のクロック信号の各電圧と第2のクロック信号の各電圧が出力される端子をフレーム期間毎に切替える。すなわちレベルシフト部274に入力される各電圧値はフレーム期間毎に切替えられる。
【0025】
また、レベルシフト部274は、外部からの2種類のクロック信号CK1in及びCK2inと、その反転信号CKB1in及びCKB2in、スタート信号SET1in及びSET2inとを入力すると共に、電圧変換部272で生成され、信号スイッチ部を介して入力される各レベル電圧値VDD_H、VSS_H、VDD_L及びVSS_Lを入力し、2種類のクロック信号をクロック信号線CK2及びCK1に出力し、その反転信号を反転信号線CKB1及びCKB2に出力し、スタート信号を第1セット信号線SET1及びSET2に出力する。ここで、2種類のクロック信号の一方は、タイミングをクロック信号CK1inのタイミングとするクロックであり、他方は、タイミングをクロック信号CK2inのタイミングとするクロックである。また、それぞれのクロック信号には、ハイレベル電圧をVDD_H、ローレベル電圧をVSS_Hとするクロック電圧と、ハイレベル電圧をVDD_L、ローレベル電圧をVSS_Lとするクロック電圧とのいずれかがフレーム期間毎に交互に印加される。
【0026】
図6には、奇数ラインに配置されたシフトレジスタ回路281の代表的な回路図が示されており、図7には、タイミングチャートが示されている。また、OUTA[N]は走査信号線G[N]に接続されている。なお、第1ラインのシフトレジスタ回路281におけるOUTB[N−2]には、第1セット信号線SET1が接続されている。
【0027】
第1ラインのシフトレジスタ回路281の動作について、図6及び図7を参照しつつ説明する。図7の時刻t2において、第1クロック反転信号線CKB1及びOUTB[N−2]に接続された第1セット信号線SET1に電位VDD_Hが印加されると、まず、トランジスタT1及びトランジスタT2が導通し、ノードN1に電位VDD_Hとなると共に、ノードN2が電位VSS_Hとなるため、容量C1には電位VDD_H及び電位VSS_Hの差の電位差が生じると共に、トランジスタT3及びトランジスタT4が導通する。次に、時刻t3において、第1クロック信号線CK1に電位VDD_Hが印加されると、トランジスタT3及びトランジスタT4が導通しているため、第1クロック信号線CK1の信号はそのままOUTA[1]及びOUTB[1]に出力され走査信号線G[1]に印加されると共に、トランジスタT5が導通し、容量C1は放電する。時刻t4において、第1クロック信号線CK1に電位VSS_Hが印加され、2ライン後の出力信号であるOUTA[N+2]が電位VDD_Hになると、トランジスタT6及びT7が導通し、ノードN1が電位VSS_Hになるため、第1クロック信号線CK1へ電位VDD_Hは出力されなくなる。
【0028】
一方、偶数ラインに配置されたシフトレジスタ回路282も同様の動作を行うが、入力信号が第2クロック信号線CK2及び第2クロック反転信号線CKB2等に印加された信号であるため、出力される電位も異なっている。図7の走査信号線G[2]及びG[4]の出力に表されるように、偶数ラインの走査信号線G[N]の電位は、電位VSS_Hを跨ぐように、ハイレベル電位VDD_L及びローレベル電位VSS_Lが設定されている。つまり、第1ラインの書込の際には、各カラムのデータ信号線D[M]の極性が正極性の階調電圧が印加され、走査信号線G[1]には、ハイレベル電位VDD_H及びローレベル電位VSS_Hを有するAクロック信号CK_Aが印加される。次に、第2ラインの書込の際には、各カラムのデータ信号線D[M]には負極性の階調電圧が印加され、走査信号線G[2]には、走査信号線G[1]に印加した電位より低い、ハイレベル電位VDD_L及びローレベル電位VSS_Lを有するBクロック信号CK_Bが印加される。以下、各ライン毎に極性の異なるデータ信号が印加されると共に、奇数ラインにAクロック信号CK_A、偶数ラインにBクロック信号CK_Bが印加される。図3では、ハッチングにより、ライン毎にデータ信号の極性が入れ替わる様子が示されている。
【0029】
なお、各画素の画素電極262に印加される信号の反転の極性は、一画面を書き換えるフレーム期間ごとに入れ替わり、クロック波形生成回路270から出力される第1クロック信号線CK1及び第2クロック信号線CK2に印加されるAクロック信号CK_A及びBクロック信号CK_Bも、クロック波形生成回路270の信号スイッチ部276により、フレーム期間ごとに入れ替えられる。そのため、正極性のデータ信号の場合には、Aクロック信号CK_Aが用いられ、負極性のデータ信号の場合には、Bクロック信号CK_Bが用いられるように制御されている。
【0030】
したがって、正極性のデータ信号を印加する場合と、負極性のデータ信号を印加する場合とで、走査信号線G[N]に印加されるハイレベル電位及びローレベル電位を異ならせているため、画素トランジスタ261に与える負荷を軽減することができ、画素トランジスタ261の長寿命化と消費電力を低減させることができる。また、クロック信号の種類を増加させるのみの簡易な構成で実現することができる。
【0031】
[第2実施形態]
図8には、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板330に形成された複数の画素360の一部と画素360内の回路について概略的に示す図である。本実施形態の液晶表示装置及び液晶表示パネルの構成は、第1実施形態の図1及び図2と同様であるため説明を省略する。
【0032】
第1実施形態のTFT基板230の回路とは、各画素トランジスタ361のゲートが接続する走査信号線G[N]が異なっている。具体的には、奇数カラムで第Nラインの画素トランジスタ361のゲートは、第1実施形態と同様に、走査信号線G[N]に接続されているが、偶数カラムで第Nラインの画素トランジスタ361のゲートは、走査信号線G[N+1]に接続されている。このような接続とし、第1実施形態と同様の走査信号駆動回路240を用いることにより、市松模様状に極性が反転する、いわゆるドット反転駆動を実現することができる。
【0033】
したがって、TFT基板330のような回路としたとしても、第1実施形態と同様に、正極性のデータ信号を印加する場合と、負極性のデータ信号を印加する場合とで、走査信号線G[N]に印加するハイレベル電位及びローレベル電位を異ならせているため、画素トランジスタ361に与える負荷を軽減することができ、画素トランジスタ361の長寿命化と消費電力を低減させることができる。また、クロック信号の種類を増加させるのみの簡易な構成で実現することができる。
【0034】
[第3実施形態]
図9には、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板430に形成された複数の画素460の一部と画素460内の回路について概略的に示す図である。本実施形態の液晶表示装置及び液晶表示パネルの構成は、第1実施形態の図1及び図2と同様であるため説明を省略する。本実施形態のTFT基板430の回路は、第1実施形態のTFT基板230の回路と比較して、各画素トランジスタのゲートが接続する走査信号線G[N]が異なると共に、各画素トランジスタ461のソース及びドレインのいずれかが接続するデータ信号線D[N]が異なっている。
【0035】
具体的には、第Mカラムで第Nラインの画素で、MとNの和が偶数となる場合には、画素トランジスタ461のゲートは走査信号線G[N]に接続され、ソース及びドレインのいずれかはデータ信号線D[M+1]に接続される。また、MとNの和が奇数となる場合には、画素トランジスタ461のゲートは走査信号線G[N+1]に接続され、ソース及びドレインのいずれかはデータ信号線D[M]に接続されている。別の表現では、ある一画素から見て、その一画素の画素トランジスタのゲートがデータ信号線の延びる方向とは逆の方向の走査信号線に接続され、ソース及びドレインのいずれか一方が走査信号線が延びる方向のデータ信号線に接続されている場合に、その一画素と隣接する画素では、画素トランジスタのゲートがデータ信号線の延びる方向の走査信号線に接続され、ソース及びドレインのいずれか一方が走査信号線が延びる方向とは逆の方向のデータ信号線に接続されている。このような接続とし、第1実施形態と同様の走査信号駆動回路240を用いることにより、列ごとに極性が反転する、いわゆるカラム反転駆動を実現することができる。
【0036】
したがって、TFT基板430のような回路としたとしても、第1実施形態と同様に、正極性のデータ信号を印加する場合と、負極性のデータ信号を印加する場合とで、走査信号線G[N]に印加するハイレベル電位及びローレベル電位を異ならせているため、画素トランジスタ461に与える負荷を軽減することができ、画素トランジスタ461の長寿命化と消費電力を低減させることができる。また、クロック信号の種類を増加されるのみの簡易な構成で実現することができる。
【0037】
[第4実施形態]
図10には、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の走査信号駆動回路540の構成について概略的に示す図である。本実施形態の液晶表示装置、液晶表示パネル及びTFT基板の画素内の回路の構成は、走査信号駆動回路を除き、第1実施形態の図1〜図3と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
走査信号駆動回路540は、第1実施形態の走査信号駆動回路240と同様に、クロック波形生成回路570と、走査信号線G[N]の数に対応した数のシフトレジスタ回路580と、を有している。クロック波形生成回路570は、外部からのクロック信号CLKを入力とし、画素の走査信号線G[N]に走査信号を出力するシフトレジスタ回路580に対する入力信号である第1クロック信号及び第1クロック信号の反転信号である第1クロック反転信号、並びに第1ラインのシフトレジスタ回路580への開始の合図となる第1セット信号を、それぞれ第1クロック信号線CK1、第1クロック反転信号線CKB1及び第1セット信号線SET1に印加する。
【0039】
クロック波形生成回路570から出力された上述の各信号を入力した各シフトレジスタ回路580は、各走査信号線G[N]に走査信号を出力する。なお、各シフトレジスタ回路580には、1ライン前のシフトレジスタの出力OUTB[N−1]の信号、及び1ライン後のシフトレジスタの出力OUTA[N+1]の信号も入力される。
【0040】
ここで、クロック波形生成回路570は、図5に示された第1実施形態のクロック波形生成回路270と同様の構成であり、第1クロック信号線CK1、第1クロック反転信号線CKB1及び第1セット信号線SET1に出力される信号のみが使用され、第2クロック信号線CK2、第2クロック反転信号線CKB2及び第2セット信号線SET2に出力される信号は使用しない。なお、第1実施形態で説明したように、第1クロック信号線CK1及び第1クロック反転信号線CKB1に印加される信号は、フレーム期間毎に2種類のAクロック信号CK_A及びBクロック信号CK_Bのいずれかに切替えて出力されている。
【0041】
このように、第1実施形態と同様のTFT基板の画素回路において、本実施形態の走査信号駆動回路540を用いることにより、フレーム期間ごとに極性が反転する、いわゆるフレーム反転駆動を実現することができる。
【0042】
したがって、本実施形態の走査信号駆動回路540を用いたとしても、第1実施形態と同様に、正極性のデータ信号を印加する場合と、負極性のデータ信号を印加する場合とで、走査信号線G[N]に印加するハイレベル電位及びローレベル電位を異ならせているため、画素トランジスタに与える負荷を軽減することができ、画素トランジスタの長寿命化と消費電力を低減させることができる。また、クロック信号の種類を増加させるのみの簡易な構成で実現することができる。
【0043】
なお、上述の実施形態では、第1クロック信号線CK1と第2クロック信号線CK2に印加される信号は、位相がπ/2だけずれた信号を使用しているが、これに限られず、π及びπ/4その他の位相ずれの信号を使用してもよい。
【0044】
また、上述の実施形態に係る液晶表示装置は、TFT基板にのみに電極が設けられたIPS(In Plane Switching)方式としたが、TFT基板及びカラーフィルタ基板の両方に電極が設けられたTN(Twisted Nematic)方式又はVA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100 液晶表示装置、101 上フレーム、102 下フレーム、200 液晶表示パネル、220 カラーフィルタ基板、230 TFT基板、240 走査信号駆動回路、250 データ信号駆動回路、260 画素、261 画素トランジスタ、262 画素電極、263 共通電極、270 クロック波形生成回路、272 電圧変換部、274 レベルシフト部、276 信号スイッチ部、281,282 シフトレジスタ回路、330 TFT基板、360 画素、361 画素トランジスタ、430 TFT基板、460 画素、461 画素トランジスタ、540 走査信号駆動回路、570 クロック波形生成回路、580 シフトレジスタ回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素の液晶の配向を制御する画素トランジスタのゲートに入力されるゲート信号を出力し、前記各画素が並べられたライン毎に配置された複数のシフトレジスタ回路と、
前記シフトレジスタ回路に入力される第1クロック出力線と、を備え、
前記第1クロック出力線は、1画面分を表示する期間であるフレーム期間ごとに2種類の異なるクロック信号が交互に印加される、ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記2種類の異なるクロック信号は、第1クロック信号及び第2クロック信号であり、
前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号は、周期が同じで位相が異なるクロック信号であり、
前記第1クロック信号は、第1ハイレベルの電圧値と、前記第1ハイレベルの電圧値よりも低い電圧値である第1ローレベルの電圧値とが交互に繰り返される信号であり、
前記第2クロック信号は、前記第1ハイレベルの電圧値よりも低く、前記第1ローレベルの電圧値よりも高い電圧値である第2ハイレベルの電圧値と、前記第1ローレベルの電圧値よりも低い電圧値である第2ローレベルの電圧値とが交互に繰り返される信号である、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記シフトレジスタ回路に入力される第2クロック出力線を更に備え、
前記第1クロック出力線は、前記シフトレジスタ回路のうち、奇数ラインの画素に前記ゲート信号を出力する奇数ラインシフトレジスタ回路に接続され、
前記第2クロック出力線は、前記シフトレジスタ回路のうち、偶数ラインの画素に前記ゲート信号を出力する偶数ラインシフトレジスタ回路に接続され、
前記第2クロック出力線には、前記第1クロック出力線が前記第1クロック信号を出力している前記フレーム期間に、前記第2クロック信号が印加され、前記第1クロック出力線が前記第2クロック信号を出力している前記フレーム期間には、前記第1クロック信号が印加される、ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1クロック信号の反転信号である第3クロック信号が出力される第3クロック出力線と、
前記第2クロック信号の反転信号である第4クロック信号が出力される第4クロック出力線と、を更に備え、
前記第3クロック出力線は、前記第1クロック出力線と共に前記奇数ラインシフトレジスタ回路に入力され、
前記第4クロック出力線は、前記第2クロック出力線と共に前記偶数ラインシフトレジスタ回路に入力される、ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1ハイレベルの電圧値、前記第1ローレベルの電圧値、前記第2ハイレベルの電圧値及び前記第2ローレベルの電圧値を生成する電圧変換部と、
前記電圧変換部により生成された前記第1ハイレベルの電圧値、前記第1ローレベルの電圧値、前記第2ハイレベルの電圧値及び前記第2ローレベルの電圧値と、外部から入力される基準クロック信号とから第1クロック信号と第2クロック信号とを生成するレベルシフト部と、
フレーム期間毎に第1クロック信号と第2クロック信号とを入れ替える信号スイッチ部と、を更に備える請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記偶数ラインシフトレジスタ回路及び前記奇数ラインシフトレジスタ回路のいずれかからの出力信号が印加され、基板上で第1方向に延びる複数の導電線である走査信号線と、
前記基板上で前記走査信号線と垂直な第2方向に延びる複数の導電線であるデータ信号線と、
前記走査信号線と前記データ信号線とにより囲まれることにより形成された複数の画素にそれぞれ配置された画素トランジスタと、
前記複数の画素のうちの一画素の前記画素トランジスタのゲートは、前記一画素の第1方向側の前記走査信号線に接続され、前記一画素の前記画素トランジスタのソース及びドレインのいずれか一方は、前記一画素の第2方向とは反対側の前記データ信号線に接続され、
前記一画素に隣接する前記複数の画素である隣接画素の前記画素トランジスタのゲートは、前記隣接画素の第1方向とは反対側の前記走査信号線に接続され、前記隣接画素の前記画素トランジスタのソース及びドレインのいずれか一方は、前記隣接画素の第2方向側の前記データ信号線に接続されることにより、前記第2方向に延びる前記複数の画素が同じ極性であり、前記第1方向に延びる、隣り合う前記複数の画素は極性が入れ替わる反転駆動であるカラム反転駆動を行う、ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−232697(P2011−232697A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105422(P2010−105422)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】