液晶表示装置
【課題】IPS方式の液晶表示装置において、対向基板に形成された外部導電膜を確実にアースに接続し、安定したシールド効果を確保する。
【解決手段】対向基板200に形成された外部導電膜210とTFT基板100に形成されたアースパッド20とを導電熱圧着テープ10によって接続する。導電熱圧着テープ10は熱圧着ヘッド30によって接続し、導電領域15を形成する。対向基板200における導電領域15の幅w2をTFT基板100における導電領域15の幅w3よりも大きくして対向基板200における導電熱圧着テープ10の剥離を防止する。これによって、対向基板200の外部導電膜210を確実にアースする。
【解決手段】対向基板200に形成された外部導電膜210とTFT基板100に形成されたアースパッド20とを導電熱圧着テープ10によって接続する。導電熱圧着テープ10は熱圧着ヘッド30によって接続し、導電領域15を形成する。対向基板200における導電領域15の幅w2をTFT基板100における導電領域15の幅w3よりも大きくして対向基板200における導電熱圧着テープ10の剥離を防止する。これによって、対向基板200の外部導電膜210を確実にアースする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特にIPS方式の液晶表示装置における、対向基板に形成されたシールド用導電膜のアースの取り方に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等、色々な分野で用途が広がっている。一方、液晶表示装置では視野角特性が問題である。視野角特性は、画面を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合に、輝度が変化したり、色度が変化したりする現象である。視野角特性は、液晶分子を水平方向の電界によって動作させるIPS(In Plane Switching)方式が優れた特性を有している。
【0004】
IPS方式では、画素電極および対向電極がいずれもTFT基板に形成され、対向基板の内側には電極が形成されていない。このような構造では、外部からの電界が液晶層に侵入し、ノイズとなって画質を劣化させる。
【0005】
これを防止するために、「特許文献1」には、対向基板の外側に、ITO(Indium Tin Oxide)等をスパッタリングすること等によって外部導電膜を形成し、これをアースすることによって液晶表示装置の内部をシールドする構成が記載されている。「特許文献1」には、外部導電膜のアースの取り方として、導電物質を介して金属製のフレームと接続する方法、ケーブルを介して周辺基板のアース端子に接続する等の方法が記載されている。「特許文献1」には、対応米国特許U.S. Patent No. 6034757が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−105918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
導電物質を介して直接金属製のフレームと接続する方法は、液晶表示装置をフレーム内に組み込む精度を考慮すると、外部導電膜と比較的広い接続面積を必要とする。しかし、対向基板の上には偏光板が配置されており、外部導電膜を外部のアース端子と接続するための面積を十分にとることは困難である。近年は、液晶表示装置の外形を所定の値に保ちながら、表示領域を大きくすることが要求されており、外部導電膜が偏光板によって覆われていない部分、すなわち、外部導電膜の露出面積がさらに小さくなっている。
【0008】
一方、ケーブル等によって、対向基板の外部導電膜と配線基板等のアース端子とを接続する方法は、ケーブルと対向基板の外部導電膜との接続の信頼性を確保することが難しい。
【0009】
本発明の課題は、IPS方式の液晶表示装置において、対向基板に形成された外部導電膜に対して高い信頼性を持ってアースを取ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、主な手段は次のとおりである。すなわち、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持され、前記対向基板の外面に透明電極による外部導電膜が形成され、前記外部導電膜の上に上偏光板が配置された液晶表示装置であって、前記TFT基板には、アースと接続するアースパッドが形成され、前記外部導電膜が上偏光板に覆われていない部分と前記アースパッドとを導電熱圧着テープで接続し、前記導電熱圧着テープが配置されている前記対向基板の辺と平行な方向を幅と定義したとき、前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、w3<w2<w1であることを特徴とする液晶表示装置である。
【0011】
さらに好ましくは、前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、1.2w3≦w2≦2.4w3<w1であることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、IPS方式の液晶表示装置において、対向基板に形成した外部導電膜に対して、高い信頼性を持ってアースに接続することが出来るので、信頼性が高く、画質の優れたIPS方式の液晶表示装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。
【図2】図1のA-A断面図である。
【図3】本発明を示す平面図である。
【図4】導電熱圧着テープによる接続を示す断面図である。
【図5】本発明で使用される熱圧着ヘッドである。
【図6】導電熱圧着テープの形状を示す図である。
【図7】本発明の他の形態を示す平面図である。
【図8】比較例1を示す平面図である。
【図9】比較例1で使用される熱圧着ヘッドである。
【図10】比較例2を示す平面図である。
【図11】比較例2で使用される熱圧着ヘッドである。
【図12】比較例3を示す平面図である。
【図13】比較例2で使用される熱圧着ヘッドである。
【図14】比較例3の他の形態を示す平面図である。
【図15】IPS液晶表示装置の表示領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例を説明する前に、本発明が適用されるIPS方式の液晶表示装置の構造について説明する。図15はIPS方式の液晶表示装置の表示領域における構造を示す断面図である。IPS方式の液晶表示装置の電極構造は種々のものが提案され、実用化されている。図15の構造は、現在広く使用されている構造であって、簡単に言えば、平面ベタで形成された対向電極108の上に絶縁膜を挟んで櫛歯状の画素電極110が形成されている。そして、画素電極110と対向電極108の間の電圧によって液晶分子301を回転させることによって画素毎に液晶層300の光の透過率を制御することにより画像を形成するものである。以下に図15の構造を詳しく説明する。なお、本発明は、図15の構成を例にとって説明するが、図15以外のIPSタイプの液晶表示装置にも適用することが出来る。
【0015】
図15において、ガラスで形成されるTFT基板100の上に、ゲート電極101が形成されている。ゲート電極101を覆ってゲート絶縁膜102がSiNによって形成されている。ゲート絶縁膜102の上に、ゲート電極101と対向する位置に半導体層103がa−Si膜によって形成されている。a−Si膜はTFTのチャネル部を形成するが、チャネル部を挟んでa−Si膜上にソース電極104とドレイン電極105が形成される。なお、a−Si膜とソース電極104あるいはドレイン電極105との間には図示しないn+Si層が形成される。半導体層とソース電極104あるいはドレイン電極105とのオーミックコンタクトを取るためである。
【0016】
ソース電極104は映像信号線が兼用し、ドレイン電極105は画素電極110と接続される。ソース電極104もドレイン電極105も同層で同時に形成される。TFTを覆って無機パッシベーション膜106がSiNによって形成される。無機パッシベーション膜106はTFTの、特にチャネル部を不純物401から保護する。無機パッシベーション膜106の上には有機パッシベーション膜107が形成される。有機パッシベーション膜107はTFTの保護と同時に表面を平坦化する役割も有するので、厚く形成される。厚さは1μmから4μmである。
【0017】
有機パッシベーション膜107の上には対向電極108が形成される。対向電極108は透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)を表示領域全体にスパッタリングすることによって形成される。すなわち、対向電極108は面状に形成される。対向電極108を全面にスパッタリングによって形成した後、画素電極110とドレイン電極105を導通するためのスルーホール111部だけは対向電極108をエッチングによって除去する。
【0018】
対向電極108を覆って上部絶縁膜109がSiNによって形成される。上部絶縁膜109が形成された後、エッチングによってスルーホール111を形成する。この上部絶縁膜109をレジストにして無機パッシベーション膜106をエッチングしてスルーホール111を形成する。その後、上部絶縁膜109およびスルーホール111を覆って画素電極110となるITOをスパッタリングによって形成する。スパッタリングしたITOをパターニングして画素電極110を形成する。
【0019】
図15において、画素電極110は櫛歯状の電極となっており、櫛歯状の電極と櫛歯状の電極の間は図15に示すスリット112となっている。対向電極108には一定電圧が印加され、画素電極110には映像信号による電圧が印加される。画素電極110に電圧が印加されると図15に示すように、電気力線が発生して液晶分子301を電気力線の方向に回転させてバックライトからの光の透過を制御する。画素毎にバックライトからの透過が制御されるので、画像が形成されることになる。画素電極110の上には配向膜113が形成されている。
【0020】
図15において、液晶層300を挟んで対向基板200が設置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタ201が形成されており、カラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成され、画像のコントラストを向上させている。カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜113が形成されている。この配向膜113にも光配向処理が施されている。
【0021】
以上説明したように、IPS方式液晶表示装置では、画素電極110も対向電極108もTFT基板100に形成されており、対向基板200の内側には電極は形成されていない。したがって、この状態では、外部からの電界が液晶層300あるいは画素電極110に侵入し、これがノイズとなって画質を劣化させる。
【0022】
これを防止するために、IPS方式液晶表示装置においては、対向基板200の外側にITO等の透明導電膜によって外部導電膜210を形成し、この外部導電膜210をアースすることによって液晶表示装置の内部をシールドしている。しかしながら、後で説明するように、対向基板200の表面の大部分は上偏光板70によって覆われており、外部導電膜210が露出している面積が小さい。したがって、外部導電膜210を高い信頼性を持ってアースと接続することが大きな課題となっている。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明が適用される、例えば、携帯電話等に使用される液晶表示装置の平面図である。図1において、TFT基板100の上に対向基板200が図示しないシール材を介して接着している。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100のみの部分は端子部150となっている。
【0024】
対向基板200の外側にはITOによる外部導電膜210が形成されている。ITO上には、上偏光板70が貼り付けられている。図1で示すように、上偏光板70は、対向基板200の大部分を覆っており、外部導電膜210が露出している面積は、周辺のわずかな幅の部分である。この周辺のわずかな部分からTFT基板100側に形成されたアースパッド20に接続してアースを取る必要がある。
【0025】
本発明では、導電熱圧着テープ10を用いて対向基板周辺に露出した外部導電膜210とTFT基板100に形成されたアースパッド20との接続を取っている。アースパッド20はアース配線21を介して、端子部150に接続しているフレキシブル配線基板50のアース端子、あるいは、端子部150に形成されたICドライバ40のアース端子と接続している。
【0026】
図2は図1のA−A断面図である。図2において、TFT基板100と対向基板200との間に図示しない液晶層が挟持されている。TFT基板100の下側には下偏光板60が接着している。対向基板200の上側には外部導電膜210がITOによって形成されている。外部導電膜210の上に上偏光板70が貼り付けられている。
【0027】
液晶表示装置の内部をシールドするためには、外部導電膜210をアースしなければならない。アースパッド20はTFT基板100に形成されているので、導電熱圧着テープ10を用いて対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20を接続している。図2に示すように、対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20とは、TFT基板100の厚さ分の段差を有している。このような形状での接続をするために、図4に示すような、先端が段差を有する熱圧着ヘッド30を用いて導電熱圧着テープ10を対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続する。
【0028】
このような接続構成において問題となるのは、対向基板200の外部導電膜210が上偏光板70によって覆われていない部分の幅d1が0.9mm程度と小さいことである。さらに、導電熱圧着テープ10は熱圧着ヘッド30によって120℃〜140℃の温度で接続される。このような熱圧着ヘッド30が上偏光板70に接触すると上偏光板70の端部が破壊されてしまう。したがって、上偏光板70と導電熱圧着テープ10との間隔d2は所定の値、例えば、0.4mm程度を確保する必要がある。この0.4mmの値は、作業裕度を考慮した値である。
【0029】
このような構成においては、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210と接続できる幅は0.5mm程度となる。したがって、特に、対向基板200の外部導電膜210と導電熱圧着テープ10との接続の信頼性が重要となる。
【0030】
本発明では、図5に示すような熱圧着ヘッド30を用いることによって対向基板200における導電熱圧着テープ10の導通面積および接着面積を大きくしている。図5(a)は熱圧着ヘッド30の断面図であり、図5(b)は熱圧着ヘッド30の下面図である。図5(b)において、対向基板200の外部導電膜210に接続する部分の幅はw2は、TFT基板100のアースパッド20に接続する部分の幅w3よりも大きい。その分、外部導電膜210における接着面積を稼ぐことが出来る。
【0031】
図3はこのようにして導電熱圧着テープ10を接続した部分を示す平面図である。図3において、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20を接続している。図3における導電熱圧着テープ10は正方形であり、w1、w4とも例えば、3mmである。当然w1とw4は異なる場合もある。電気的な導通および接着は、導電熱圧着テープ全体でとるのではなく、熱圧着ヘッド30で圧着した部分のみで行う。すなわち、図3における導通領域15によって電気的な導通をとっている。
【0032】
図3に示すように、導電熱圧着テープ10の接着及び電気的な導通は、対向基板200の外部導電膜210において幅w2と広く、TFT基板100のアースパッド20においては、幅w3というように狭い。本実施例においては、w2は2mm、w3は1mmである。このように、対向基板200において接着力を大きくするためには、w2はw3の1.2倍以上とすることが必要である。より好ましくは、w2はw3の2倍以上である。
【0033】
一方、接着部分あるいは導通部分から導電熱圧着テープ10の端部までの距離gは0.3mm以上とる必要がある。熱圧着ヘッド30による圧着作業の精度が±0.2mm程度であり、最低でも、熱圧着ヘッド30の端部と導電熱圧着テープ10の端部の距離gを0.1mm以上とるためである。w1を3mmとし、gを0.3mmとった場合、w2は2.4mmとなる。このとき、w3は1mmであるから、w2はw3の2.4倍になる。
【0034】
図3において、TFT基板100における、導電熱圧着テープ10はアースパッド20と接続し、アースパッド20はアース配線21を介してフレキシブル配線基板50等と接続する。また、図3において、対向基板200の外部導電膜210の露出している幅d1は0.9mmであり、導電熱圧着テープ10の端部と上偏光板70の端部までの距離d2は0.4mmである。
【0035】
図6は導電熱圧着テープ10の例を示す詳細図である。図6における導電熱圧着テープ10は、断面において、大きく3つに分かれている。すなわち、上から順に微粘着テープ11(例えば、厚さ85μm)、導電性粘着シート12(例えば、厚さ45μm)、両面粘着テープ13(例えば、厚さ30μm)である。これらの層のうち、熱圧着によって接着性および導電性を発揮するのは、導電性粘着シートの層12である。
【0036】
図6における両面粘着テープ13は、導電熱圧着テープ10を熱圧着する前に、TFT基板100あるいは対向基板200に導電熱圧着テープ10を仮止めするためのものである。図6において、両面粘着テープ13は幅w5にわたって形成されており、w5/w1は図6において、1/3である。
【0037】
熱圧着ヘッド30が両面粘着テープ13が形成されている領域に当たると、両面粘着テープ13がつぶれて外側にはみ出す。図7は、本発明における熱圧着ヘッド30を使用した場合に、両面粘着テープ13がはみ出した領域16が存在している状態を示す。両面粘着テープ13がはみ出すと、熱圧着ヘッド30に付着し、その後の作業の効率を下げたり、接着精度を低下させたりする場合がある。本発明の接続方法では、図7に示すように、両面粘着テープ13がはみ出す量は非常に小さいので、作業効率の低下、接着精度の低下は極めて小さく抑えることが出来る。
【0038】
<比較例1>
図8および図9は、本発明に対する比較例1である。図8は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図8が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の対向基板200の外部導電膜210に接着あるいは導通している部分の幅が導電熱圧着テープ10の幅w1と同じになっている点である。
【0039】
図9は、図8に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図9(a)は断面図、図9(b)は下面図である。図9が実施例で使用する熱圧着ヘッド30と異なる点は、対向基板200側に圧着するヘッド30の幅が導電熱圧着テープ10の幅w1と同じになっている点である。
【0040】
導電熱圧着テープ10の外部導電膜210と接着している部分の幅が大きければ、対向基板200と導電熱圧着テープ10との接着の信頼性は高まるが、両面粘着テープ13がはみ出す量が大きくなり、その分、粘着材が熱圧着ヘッド30に付着する機会が増え、圧着作業の作業性、あるいは、圧着作業の作業精度が低下する。
【0041】
<比較例2>
図10および図11は、本発明に対する比較例2である。図10は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図10が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の全体に熱圧着ヘッド30を圧着し、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続している点である。
【0042】
図11は、図10に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図11(a)は断面図、図11(b)は下面図である。図11(b)において、熱圧着ヘッド30下面の外形は導電熱圧着テープ10の外形と同じになっている。
【0043】
図10において、導電熱圧着テープ10全体が対向基板200の外部導電膜210、あるいは、TFT基板100のアースパッド20に接着しているので、接着、あるいは、導通の信頼性は高くなる。しかし、図10に示すように、両面粘着テープ13が導電熱圧着テープ10から広くはみ出す。そうすると、熱圧着ヘッド30に粘着材13が付着し、熱圧着の作業性および熱圧着の作業精度を低下させる。
【0044】
<比較例3>
図12、図13および図14は、本発明に対する比較例3である。図12は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図12が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の中央の一定の幅w3をもって対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続している点である。
【0045】
図13は、図12に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図13(a)は断面図、図13(b)は下面図である。図13(b)において、熱圧着ヘッド30下面の外形はT字型ではなく、幅w1の長方形となっている。本比較例では、この幅は例えば、1mmである。
【0046】
図12において、導電熱圧着テープ10は対向基板200の外部導電膜210とは、幅w1でしか接着していない。したがって、対向基板200の外部導電膜210との接着強度および導通の信頼性は十分にとることが出来ない。図14は、比較例3において、導電熱圧着テープ10における両面粘着テープ13の状態を示すものである。本比較例は、作業のばらつきを考慮しない場合は、導電熱圧着テープ10の両面粘着テープ13の部分は圧着しない構成となっている。したがって、両面粘着テープ13が熱圧着ヘッド30に付着して圧着作業の作業性あるいは圧着寸法の精度を害することは少ない。
【符号の説明】
【0047】
10…導電熱圧着テープ、 11…微粘着テープ、 12…導電性粘着シート、 13…両面粘着テープ、 15…導電領域、 16…粘着材はみ出し領域、 20…アースパッド、 21…アース配線、 30…熱圧着ヘッド、 40…ICドライバ、 50…フレキシブル配線基板、 60…下偏光板、 70…上偏光板、 100…TFT基板、 101…ゲート電極、 102…ゲート絶縁膜、 103…半導体層、 104…ソース電極、 105…ドレイン電極、 106…無機パッシベーション膜、 107…有機パッシベーション膜、 108…対向電極、 109…上部絶縁膜、 110…画素電極、 111…スルーホール、 112…スリット、 113…配向膜、 150…端子部、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 300…液晶層、 301…液晶分子
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特にIPS方式の液晶表示装置における、対向基板に形成されたシールド用導電膜のアースの取り方に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等、色々な分野で用途が広がっている。一方、液晶表示装置では視野角特性が問題である。視野角特性は、画面を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合に、輝度が変化したり、色度が変化したりする現象である。視野角特性は、液晶分子を水平方向の電界によって動作させるIPS(In Plane Switching)方式が優れた特性を有している。
【0004】
IPS方式では、画素電極および対向電極がいずれもTFT基板に形成され、対向基板の内側には電極が形成されていない。このような構造では、外部からの電界が液晶層に侵入し、ノイズとなって画質を劣化させる。
【0005】
これを防止するために、「特許文献1」には、対向基板の外側に、ITO(Indium Tin Oxide)等をスパッタリングすること等によって外部導電膜を形成し、これをアースすることによって液晶表示装置の内部をシールドする構成が記載されている。「特許文献1」には、外部導電膜のアースの取り方として、導電物質を介して金属製のフレームと接続する方法、ケーブルを介して周辺基板のアース端子に接続する等の方法が記載されている。「特許文献1」には、対応米国特許U.S. Patent No. 6034757が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−105918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
導電物質を介して直接金属製のフレームと接続する方法は、液晶表示装置をフレーム内に組み込む精度を考慮すると、外部導電膜と比較的広い接続面積を必要とする。しかし、対向基板の上には偏光板が配置されており、外部導電膜を外部のアース端子と接続するための面積を十分にとることは困難である。近年は、液晶表示装置の外形を所定の値に保ちながら、表示領域を大きくすることが要求されており、外部導電膜が偏光板によって覆われていない部分、すなわち、外部導電膜の露出面積がさらに小さくなっている。
【0008】
一方、ケーブル等によって、対向基板の外部導電膜と配線基板等のアース端子とを接続する方法は、ケーブルと対向基板の外部導電膜との接続の信頼性を確保することが難しい。
【0009】
本発明の課題は、IPS方式の液晶表示装置において、対向基板に形成された外部導電膜に対して高い信頼性を持ってアースを取ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、主な手段は次のとおりである。すなわち、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持され、前記対向基板の外面に透明電極による外部導電膜が形成され、前記外部導電膜の上に上偏光板が配置された液晶表示装置であって、前記TFT基板には、アースと接続するアースパッドが形成され、前記外部導電膜が上偏光板に覆われていない部分と前記アースパッドとを導電熱圧着テープで接続し、前記導電熱圧着テープが配置されている前記対向基板の辺と平行な方向を幅と定義したとき、前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、w3<w2<w1であることを特徴とする液晶表示装置である。
【0011】
さらに好ましくは、前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、1.2w3≦w2≦2.4w3<w1であることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、IPS方式の液晶表示装置において、対向基板に形成した外部導電膜に対して、高い信頼性を持ってアースに接続することが出来るので、信頼性が高く、画質の優れたIPS方式の液晶表示装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される液晶表示装置の平面図である。
【図2】図1のA-A断面図である。
【図3】本発明を示す平面図である。
【図4】導電熱圧着テープによる接続を示す断面図である。
【図5】本発明で使用される熱圧着ヘッドである。
【図6】導電熱圧着テープの形状を示す図である。
【図7】本発明の他の形態を示す平面図である。
【図8】比較例1を示す平面図である。
【図9】比較例1で使用される熱圧着ヘッドである。
【図10】比較例2を示す平面図である。
【図11】比較例2で使用される熱圧着ヘッドである。
【図12】比較例3を示す平面図である。
【図13】比較例2で使用される熱圧着ヘッドである。
【図14】比較例3の他の形態を示す平面図である。
【図15】IPS液晶表示装置の表示領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施例を説明する前に、本発明が適用されるIPS方式の液晶表示装置の構造について説明する。図15はIPS方式の液晶表示装置の表示領域における構造を示す断面図である。IPS方式の液晶表示装置の電極構造は種々のものが提案され、実用化されている。図15の構造は、現在広く使用されている構造であって、簡単に言えば、平面ベタで形成された対向電極108の上に絶縁膜を挟んで櫛歯状の画素電極110が形成されている。そして、画素電極110と対向電極108の間の電圧によって液晶分子301を回転させることによって画素毎に液晶層300の光の透過率を制御することにより画像を形成するものである。以下に図15の構造を詳しく説明する。なお、本発明は、図15の構成を例にとって説明するが、図15以外のIPSタイプの液晶表示装置にも適用することが出来る。
【0015】
図15において、ガラスで形成されるTFT基板100の上に、ゲート電極101が形成されている。ゲート電極101を覆ってゲート絶縁膜102がSiNによって形成されている。ゲート絶縁膜102の上に、ゲート電極101と対向する位置に半導体層103がa−Si膜によって形成されている。a−Si膜はTFTのチャネル部を形成するが、チャネル部を挟んでa−Si膜上にソース電極104とドレイン電極105が形成される。なお、a−Si膜とソース電極104あるいはドレイン電極105との間には図示しないn+Si層が形成される。半導体層とソース電極104あるいはドレイン電極105とのオーミックコンタクトを取るためである。
【0016】
ソース電極104は映像信号線が兼用し、ドレイン電極105は画素電極110と接続される。ソース電極104もドレイン電極105も同層で同時に形成される。TFTを覆って無機パッシベーション膜106がSiNによって形成される。無機パッシベーション膜106はTFTの、特にチャネル部を不純物401から保護する。無機パッシベーション膜106の上には有機パッシベーション膜107が形成される。有機パッシベーション膜107はTFTの保護と同時に表面を平坦化する役割も有するので、厚く形成される。厚さは1μmから4μmである。
【0017】
有機パッシベーション膜107の上には対向電極108が形成される。対向電極108は透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)を表示領域全体にスパッタリングすることによって形成される。すなわち、対向電極108は面状に形成される。対向電極108を全面にスパッタリングによって形成した後、画素電極110とドレイン電極105を導通するためのスルーホール111部だけは対向電極108をエッチングによって除去する。
【0018】
対向電極108を覆って上部絶縁膜109がSiNによって形成される。上部絶縁膜109が形成された後、エッチングによってスルーホール111を形成する。この上部絶縁膜109をレジストにして無機パッシベーション膜106をエッチングしてスルーホール111を形成する。その後、上部絶縁膜109およびスルーホール111を覆って画素電極110となるITOをスパッタリングによって形成する。スパッタリングしたITOをパターニングして画素電極110を形成する。
【0019】
図15において、画素電極110は櫛歯状の電極となっており、櫛歯状の電極と櫛歯状の電極の間は図15に示すスリット112となっている。対向電極108には一定電圧が印加され、画素電極110には映像信号による電圧が印加される。画素電極110に電圧が印加されると図15に示すように、電気力線が発生して液晶分子301を電気力線の方向に回転させてバックライトからの光の透過を制御する。画素毎にバックライトからの透過が制御されるので、画像が形成されることになる。画素電極110の上には配向膜113が形成されている。
【0020】
図15において、液晶層300を挟んで対向基板200が設置されている。対向基板200の内側には、カラーフィルタ201が形成されている。カラーフィルタ201は画素毎に、赤、緑、青のカラーフィルタ201が形成されており、カラー画像が形成される。カラーフィルタ201とカラーフィルタ201の間にはブラックマトリクス202が形成され、画像のコントラストを向上させている。カラーフィルタ201およびブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203の上には、液晶の初期配向を決めるための配向膜113が形成されている。この配向膜113にも光配向処理が施されている。
【0021】
以上説明したように、IPS方式液晶表示装置では、画素電極110も対向電極108もTFT基板100に形成されており、対向基板200の内側には電極は形成されていない。したがって、この状態では、外部からの電界が液晶層300あるいは画素電極110に侵入し、これがノイズとなって画質を劣化させる。
【0022】
これを防止するために、IPS方式液晶表示装置においては、対向基板200の外側にITO等の透明導電膜によって外部導電膜210を形成し、この外部導電膜210をアースすることによって液晶表示装置の内部をシールドしている。しかしながら、後で説明するように、対向基板200の表面の大部分は上偏光板70によって覆われており、外部導電膜210が露出している面積が小さい。したがって、外部導電膜210を高い信頼性を持ってアースと接続することが大きな課題となっている。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明が適用される、例えば、携帯電話等に使用される液晶表示装置の平面図である。図1において、TFT基板100の上に対向基板200が図示しないシール材を介して接着している。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100のみの部分は端子部150となっている。
【0024】
対向基板200の外側にはITOによる外部導電膜210が形成されている。ITO上には、上偏光板70が貼り付けられている。図1で示すように、上偏光板70は、対向基板200の大部分を覆っており、外部導電膜210が露出している面積は、周辺のわずかな幅の部分である。この周辺のわずかな部分からTFT基板100側に形成されたアースパッド20に接続してアースを取る必要がある。
【0025】
本発明では、導電熱圧着テープ10を用いて対向基板周辺に露出した外部導電膜210とTFT基板100に形成されたアースパッド20との接続を取っている。アースパッド20はアース配線21を介して、端子部150に接続しているフレキシブル配線基板50のアース端子、あるいは、端子部150に形成されたICドライバ40のアース端子と接続している。
【0026】
図2は図1のA−A断面図である。図2において、TFT基板100と対向基板200との間に図示しない液晶層が挟持されている。TFT基板100の下側には下偏光板60が接着している。対向基板200の上側には外部導電膜210がITOによって形成されている。外部導電膜210の上に上偏光板70が貼り付けられている。
【0027】
液晶表示装置の内部をシールドするためには、外部導電膜210をアースしなければならない。アースパッド20はTFT基板100に形成されているので、導電熱圧着テープ10を用いて対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20を接続している。図2に示すように、対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20とは、TFT基板100の厚さ分の段差を有している。このような形状での接続をするために、図4に示すような、先端が段差を有する熱圧着ヘッド30を用いて導電熱圧着テープ10を対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続する。
【0028】
このような接続構成において問題となるのは、対向基板200の外部導電膜210が上偏光板70によって覆われていない部分の幅d1が0.9mm程度と小さいことである。さらに、導電熱圧着テープ10は熱圧着ヘッド30によって120℃〜140℃の温度で接続される。このような熱圧着ヘッド30が上偏光板70に接触すると上偏光板70の端部が破壊されてしまう。したがって、上偏光板70と導電熱圧着テープ10との間隔d2は所定の値、例えば、0.4mm程度を確保する必要がある。この0.4mmの値は、作業裕度を考慮した値である。
【0029】
このような構成においては、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210と接続できる幅は0.5mm程度となる。したがって、特に、対向基板200の外部導電膜210と導電熱圧着テープ10との接続の信頼性が重要となる。
【0030】
本発明では、図5に示すような熱圧着ヘッド30を用いることによって対向基板200における導電熱圧着テープ10の導通面積および接着面積を大きくしている。図5(a)は熱圧着ヘッド30の断面図であり、図5(b)は熱圧着ヘッド30の下面図である。図5(b)において、対向基板200の外部導電膜210に接続する部分の幅はw2は、TFT基板100のアースパッド20に接続する部分の幅w3よりも大きい。その分、外部導電膜210における接着面積を稼ぐことが出来る。
【0031】
図3はこのようにして導電熱圧着テープ10を接続した部分を示す平面図である。図3において、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210とTFT基板100のアースパッド20を接続している。図3における導電熱圧着テープ10は正方形であり、w1、w4とも例えば、3mmである。当然w1とw4は異なる場合もある。電気的な導通および接着は、導電熱圧着テープ全体でとるのではなく、熱圧着ヘッド30で圧着した部分のみで行う。すなわち、図3における導通領域15によって電気的な導通をとっている。
【0032】
図3に示すように、導電熱圧着テープ10の接着及び電気的な導通は、対向基板200の外部導電膜210において幅w2と広く、TFT基板100のアースパッド20においては、幅w3というように狭い。本実施例においては、w2は2mm、w3は1mmである。このように、対向基板200において接着力を大きくするためには、w2はw3の1.2倍以上とすることが必要である。より好ましくは、w2はw3の2倍以上である。
【0033】
一方、接着部分あるいは導通部分から導電熱圧着テープ10の端部までの距離gは0.3mm以上とる必要がある。熱圧着ヘッド30による圧着作業の精度が±0.2mm程度であり、最低でも、熱圧着ヘッド30の端部と導電熱圧着テープ10の端部の距離gを0.1mm以上とるためである。w1を3mmとし、gを0.3mmとった場合、w2は2.4mmとなる。このとき、w3は1mmであるから、w2はw3の2.4倍になる。
【0034】
図3において、TFT基板100における、導電熱圧着テープ10はアースパッド20と接続し、アースパッド20はアース配線21を介してフレキシブル配線基板50等と接続する。また、図3において、対向基板200の外部導電膜210の露出している幅d1は0.9mmであり、導電熱圧着テープ10の端部と上偏光板70の端部までの距離d2は0.4mmである。
【0035】
図6は導電熱圧着テープ10の例を示す詳細図である。図6における導電熱圧着テープ10は、断面において、大きく3つに分かれている。すなわち、上から順に微粘着テープ11(例えば、厚さ85μm)、導電性粘着シート12(例えば、厚さ45μm)、両面粘着テープ13(例えば、厚さ30μm)である。これらの層のうち、熱圧着によって接着性および導電性を発揮するのは、導電性粘着シートの層12である。
【0036】
図6における両面粘着テープ13は、導電熱圧着テープ10を熱圧着する前に、TFT基板100あるいは対向基板200に導電熱圧着テープ10を仮止めするためのものである。図6において、両面粘着テープ13は幅w5にわたって形成されており、w5/w1は図6において、1/3である。
【0037】
熱圧着ヘッド30が両面粘着テープ13が形成されている領域に当たると、両面粘着テープ13がつぶれて外側にはみ出す。図7は、本発明における熱圧着ヘッド30を使用した場合に、両面粘着テープ13がはみ出した領域16が存在している状態を示す。両面粘着テープ13がはみ出すと、熱圧着ヘッド30に付着し、その後の作業の効率を下げたり、接着精度を低下させたりする場合がある。本発明の接続方法では、図7に示すように、両面粘着テープ13がはみ出す量は非常に小さいので、作業効率の低下、接着精度の低下は極めて小さく抑えることが出来る。
【0038】
<比較例1>
図8および図9は、本発明に対する比較例1である。図8は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図8が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の対向基板200の外部導電膜210に接着あるいは導通している部分の幅が導電熱圧着テープ10の幅w1と同じになっている点である。
【0039】
図9は、図8に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図9(a)は断面図、図9(b)は下面図である。図9が実施例で使用する熱圧着ヘッド30と異なる点は、対向基板200側に圧着するヘッド30の幅が導電熱圧着テープ10の幅w1と同じになっている点である。
【0040】
導電熱圧着テープ10の外部導電膜210と接着している部分の幅が大きければ、対向基板200と導電熱圧着テープ10との接着の信頼性は高まるが、両面粘着テープ13がはみ出す量が大きくなり、その分、粘着材が熱圧着ヘッド30に付着する機会が増え、圧着作業の作業性、あるいは、圧着作業の作業精度が低下する。
【0041】
<比較例2>
図10および図11は、本発明に対する比較例2である。図10は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図10が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の全体に熱圧着ヘッド30を圧着し、導電熱圧着テープ10が対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続している点である。
【0042】
図11は、図10に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図11(a)は断面図、図11(b)は下面図である。図11(b)において、熱圧着ヘッド30下面の外形は導電熱圧着テープ10の外形と同じになっている。
【0043】
図10において、導電熱圧着テープ10全体が対向基板200の外部導電膜210、あるいは、TFT基板100のアースパッド20に接着しているので、接着、あるいは、導通の信頼性は高くなる。しかし、図10に示すように、両面粘着テープ13が導電熱圧着テープ10から広くはみ出す。そうすると、熱圧着ヘッド30に粘着材13が付着し、熱圧着の作業性および熱圧着の作業精度を低下させる。
【0044】
<比較例3>
図12、図13および図14は、本発明に対する比較例3である。図12は、液晶表示装置において、導電熱圧着テープ10が配置されている部分の拡大図であり、実施例1の図3に対応する部分である。図12が図3と異なる点は、導電熱圧着テープ10の中央の一定の幅w3をもって対向基板200の外部導電膜210およびTFT基板100のアースパッド20に接続している点である。
【0045】
図13は、図12に示す導電熱圧着テープ10の接続をするための熱圧着ヘッド30の形状である。図13(a)は断面図、図13(b)は下面図である。図13(b)において、熱圧着ヘッド30下面の外形はT字型ではなく、幅w1の長方形となっている。本比較例では、この幅は例えば、1mmである。
【0046】
図12において、導電熱圧着テープ10は対向基板200の外部導電膜210とは、幅w1でしか接着していない。したがって、対向基板200の外部導電膜210との接着強度および導通の信頼性は十分にとることが出来ない。図14は、比較例3において、導電熱圧着テープ10における両面粘着テープ13の状態を示すものである。本比較例は、作業のばらつきを考慮しない場合は、導電熱圧着テープ10の両面粘着テープ13の部分は圧着しない構成となっている。したがって、両面粘着テープ13が熱圧着ヘッド30に付着して圧着作業の作業性あるいは圧着寸法の精度を害することは少ない。
【符号の説明】
【0047】
10…導電熱圧着テープ、 11…微粘着テープ、 12…導電性粘着シート、 13…両面粘着テープ、 15…導電領域、 16…粘着材はみ出し領域、 20…アースパッド、 21…アース配線、 30…熱圧着ヘッド、 40…ICドライバ、 50…フレキシブル配線基板、 60…下偏光板、 70…上偏光板、 100…TFT基板、 101…ゲート電極、 102…ゲート絶縁膜、 103…半導体層、 104…ソース電極、 105…ドレイン電極、 106…無機パッシベーション膜、 107…有機パッシベーション膜、 108…対向電極、 109…上部絶縁膜、 110…画素電極、 111…スルーホール、 112…スリット、 113…配向膜、 150…端子部、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 300…液晶層、 301…液晶分子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持され、前記対向基板の外面に透明電極による外部導電膜が形成され、前記外部導電膜の上に上偏光板が配置された液晶表示装置であって、
前記TFT基板には、アースと接続するアースパッドが形成され、
前記外部導電膜が上偏光板に覆われていない部分と前記アースパッドとを導電熱圧着テープで接続し、
前記導電熱圧着テープが配置されている前記対向基板の辺と平行な方向を幅と定義したとき、
前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、
w3<w2<w1
であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、
1.2w3≦w2≦2.4w3<w1
であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導電熱圧着テープには、その一部に仮止めのための両面粘着テープが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持され、前記対向基板の外面に透明電極による外部導電膜が形成され、前記外部導電膜の上に上偏光板が配置された液晶表示装置であって、
前記TFT基板には、アースと接続するアースパッドが形成され、
前記外部導電膜が上偏光板に覆われていない部分と前記アースパッドとを導電熱圧着テープで接続し、
前記導電熱圧着テープが配置されている前記対向基板の辺と平行な方向を幅と定義したとき、
前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、
w3<w2<w1
であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記導電熱圧着テープの幅をw1とし、前記導電熱圧着テープが前記外部導電膜と接着している幅をw2とし、前記導電熱圧着テープが前記アースパッドと接着している幅をw3としたとき、
1.2w3≦w2≦2.4w3<w1
であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導電熱圧着テープには、その一部に仮止めのための両面粘着テープが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−29767(P2013−29767A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167303(P2011−167303)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
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