説明

液晶装置および電子機器

【課題】液晶層中のイオン性不純物の拡散による偏在に起因する表示ムラが低減された液晶装置、および該液晶装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】本適用例の液晶装置は、一対の基板間に挟持された液晶層50と、一対の基板のうち一方の基板に設けられた複数の画素電極15と、一対の基板のうち他方の基板に設けられ、複数の画素電極15と対向する第1電極としての共通電極23と、液晶層50を駆動することによって生ずる液晶分子LCの流動を阻害するための電位が印加される第2電極としての補助電極25と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、一般的に配向処理が施された一対の基板間に液晶が注入封止された構造となっている。このような液晶装置の製造過程において、イオン性不純物が例えば液晶注入時に混入したり、液晶層を取り囲むシール材などから溶出すると、表示領域に拡散・凝集して表示特性の劣化を招くことが知られている。
【0003】
このようなイオン性不純物に起因する表示特性の劣化を抑制することを目的として、例えば特許文献1には、駆動回路基板においてマトリックス状に配置された複数の画素電極間の隙間に遮蔽電極を有し、該遮蔽電極に対して、複数の画素電極と液晶層を挟んで配置された透明電極と所定の電位差を有するように電位を印加する液晶表示装置が開示されている。
【0004】
上記特許文献1の液晶表示装置によれば、液晶層中のイオン性不純物を画素電極の周辺部に設けた遮蔽電極によって捕獲(トラップ)させ、表示特性の向上を図ることができるとしている。
【0005】
また、例えば特許文献2には、画素電極と対向電極とのうち少なくとも一方側に複数の電極からなる周辺電極を備え、該周辺電極の隣り合う電極間で駆動電圧の電圧値が異なる液晶表示装置が開示されている。
【0006】
上記特許文献2の液晶表示装置によれば、周辺電極の隣り合う電極に電圧値が異なる駆動電圧を与えることによって横方向の電界を生じさせる。これによって液晶の微小な揺らぎによる流れに加えて、イオン性不純物を移動させる力となり、画素領域内から移動してくるイオン性不純物をすばやく画素領域外へ移動させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−20725号公報
【特許文献2】特開2008−58497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように、特定の電極(遮蔽電極)に捕獲(トラップ)されたイオン性不純物の量が多くなると、表示ムラとして認識されるおそれがある。
また、上記特許文献2のように周辺電極を備えることは、液晶表示装置の大型化に繋がってしまう。言い換えれば小型化が難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例の液晶装置は、一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうち一方の基板に複数の画素電極と、前記一対の基板のうち他方の基板に、前記複数の画素電極と対向する第1電極と、前記液晶層の液晶分子を駆動することによって生ずる当該液晶分子の流動を阻害するための電位が印加される第2電極と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、複数の画素電極と対向する他方の基板に第2電極を設けることにより、液晶層を駆動することにより生ずる液晶分子の流動が阻害されて、液晶中のイオン性不純物の拡散が抑制される。ゆえに、例えば液晶分子の流動方向における表示領域の角部にイオン性不純物が移動して偏在することに起因する焼き付きなどの表示不具合が発生し難い液晶装置を提供することができる。
【0012】
[適用例2]上記適用例の液晶装置において、前記第2電極には、周期的に前記液晶分子の流動を阻害するための電位が与えられることを特徴とする。
この構成によれば、第2電極に対して周期的に液晶分子の流動を阻害する電位が与えられる。例えば液晶層の駆動電圧を5Vとすれば、0Vから5Vの間の電位を周期的に印加する。これにより、第2電極の近傍に位置する液晶分子が動かされ、表示領域において液晶層を駆動することよって生ずる液晶分子の流動を阻害することになる。よって、液晶中のイオン性不純物の拡散を抑制できる。また、第1電極に対して第2電極を複雑に駆動する必要がないので、簡素な液晶装置の駆動方法を採用することができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例の液晶装置において、前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、前記トランジスターと平面的に重なるように設けられた遮光部と、を備え、前記第2電極は、平面的に前記遮光部が設けられた領域の内側に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第2電極に液晶分子の流動を阻害する電位を与えたときに、液晶層における光漏れが生じたとしても遮光部によって遮光され目立ち難くなる。
【0014】
[適用例4]上記適用例の液晶装置において、前記第2電極は、前記他方の基板において、前記液晶分子の流動方向における前記画素電極の隅部に対向する位置に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、他方の基板において液晶分子の流動方向における画素電極の隅部に対向する位置に設けられた第2電極に液晶分子の流動を阻害する電位を与えることによって、液晶中のイオン性不純物の拡散を効率的に抑制できる。
【0015】
[適用例5]上記適用例の液晶装置において、前記第2電極は、有効表示領域の外周側に位置する前記画素電極の隅部に対向する位置に設けられているとしてもよい。
この構成によれば、有効表示領域の外周側に位置する画素電極にイオン性不純物が偏在することを低減できる。言い換えれば、有効表示領域に亘って万遍なく複数の第2電極を設けなくても、イオン性不純物の偏在に起因する表示不具合を簡素な構成で改善できる。
【0016】
[適用例6]上記適用例の液晶装置において、前記第2電極に電位を与える配線部が前記他方の基板における遮光部を構成しているとしてもよい。
この構成によれば、第2電極を遮光する遮光部を新たに設ける必要がなく、他方の基板の構成を簡略化できる。
【0017】
[適用例7]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、液晶層中のイオン性不純物の偏在に起因する表示不具合が低減され、優れた表示品質を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】(a)は液晶装置における無機配向膜の形成状態と液晶分子の配向状態とを示す概略断面図、(b)は液晶分子の挙動を示す概略図。
【図4】イオン性不純物の偏在に伴う表示ムラの一例を示す概略平面図。
【図5】液晶装置における画素の配置を示す概略平面図。
【図6】対向基板における第1電極と第2電極の配置を示す概略平面図。
【図7】第2電極と配線部との配置を示す概略平面図。
【図8】(a)および(b)は液晶装置の駆動方法を説明する概略断面図。
【図9】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【図10】変形例の第2電極の配置を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0020】
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0021】
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0022】
(第1実施形態)
<液晶装置>
まず、本実施形態の液晶装置について、図1および図2を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0023】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英基板やガラス基板などが用いられている。
【0024】
一対の基板のうち一方の基板としての素子基板10は他方の基板としての対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0025】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が表示領域Eとなっている。表示領域Eには、マトリックス状に画素Pが複数配置されている。なお、図1では図示省略したが、表示領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0026】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
【0027】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射して光リーク電流が流れ、不適切なスイッチング動作となることを防ぐ遮光構造が採用されている。
【0028】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間絶縁膜22と、層間絶縁膜22を覆うように設けられた第1電極としての共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。図1(b)では、図示を省略したが、第1電極としての共通電極23と同一面内に本発明の第2電極が設けられている。第2電極の構成については後述する。
【0029】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮蔽して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0030】
層間絶縁膜22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間絶縁膜22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0031】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間絶縁膜22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0032】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。本実施形態では、負の誘電異方性を有する液晶分子が配向膜面に対してプレチルトを与えられて垂直配向するように施されたものであって、例えば、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を物理気相成長法を用いて成膜した無機配向膜が用いられている。物理気相成長法としては、無機材料を真空中で気化して被成膜物上に到達させ成膜する、真空蒸着法、真空スパッタ法などが挙げられる。無機配向膜の形成方法や液晶分子の詳しい配向状態については後述する。
【0033】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、走査線3aに対して一定の間隔を置いて平行するように配置された容量線3bとを有する。
【0034】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0035】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0036】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0037】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0038】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードや、非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードの光学設計が採用される。光学設計に応じて、光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が配置されて用いられる。
【0039】
次に、液晶装置100における液晶分子の配向状態について、図3を参照して説明する。図3(a)は液晶装置における無機配向膜の形成状態と液晶分子の配向状態とを示す概略断面図、同図(b)は液晶分子の挙動を示す概略図である。
【0040】
図3(a)に示すように、液晶装置100における画素電極15および共通電極23の表面には、酸化シリコンを物理気相成長法の一例である真空蒸着法により斜め蒸着して得られた配向膜18および配向膜24が形成されている。具体的には、液晶層50に面した基板面に対する蒸着方向の角度θbはおよそ45°である。このような斜め蒸着により基板面には蒸着方向に向って酸化シリコンの結晶体が柱状に成長する。この柱状結晶体をカラム18a,24aと呼ぶ。配向膜18,24はこのようなカラム18a,24aの集合体である。また、基板面に対するカラム18a,24aの成長方向の角度θcは蒸着方向の角度θbと必ずしも一致せず、この場合およそ70°となっている。
【0041】
このような配向膜18,24の表面において垂直配向する液晶分子LCのプレチルト角θpはおよそ85°である。また、基板面の法線方向から見た液晶分子LCを傾斜させるプレチルトの方向すなわち傾斜方向は、配向膜18,24における斜め蒸着の平面的な蒸着方向と同じである。垂直配向処理の上記傾斜方向は、液晶装置100の光学設計条件に基づいて適宜設定される。
このように配向膜面に対して負の誘電異方性を有する液晶分子LCが90°未満のプレチルト角θpを与えられて倒立している配向状態を略垂直配向と呼ぶ。
【0042】
対向配置された素子基板10および対向基板20ならびにこれら一対の基板間に挟持された液晶層50を含めたものを液晶パネル110と呼ぶ。液晶装置100は、液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ配置された偏光素子41,42を有して用いられる。また、偏光素子41,42は、偏光素子41,42のうちの一方の透過軸または吸収軸がX方向またはY方向に対して平行となるように、且つ互いの透過軸または吸収軸が直交するように液晶パネル110に対してそれぞれ配置されている。
【0043】
本実施形態では、表示領域Eにおいて偏光素子41,42の透過軸または吸収軸に対して液晶分子LCのプレチルトの方位角が45°で交差するように略垂直配向処理が施されている。したがって、図3(b)に示すように画素電極15と共通電極23との間に駆動電圧を印加して液晶層50を駆動すると、液晶分子LCがプレチルトの傾斜方向に倒れることにより、高い透過率が得られる光学的な配置となっている。
液晶層50の駆動(ON/OFF)を繰り返すと、液晶分子LCはプレチルトの傾斜方向に倒れたり、初期の配向状態に戻ったりする挙動を繰り返す。このような液晶分子LCの挙動が起る略垂直配向処理を1軸の略垂直配向処理という。
【0044】
なお、液晶パネル110に対する光の入射方向は、図3(a)に示すように素子基板10側から入射することに限定されない。また、光の入射側または射出側に位相差板などの光学補償素子を備える構成としてもよい。
【0045】
次に、本発明が解決しようとするイオン性不純物の偏在に起因する表示ムラについて、図4を参照して説明する。図4はイオン性不純物の偏在に伴う表示ムラの一例を示す概略平面図である。なお、図4は、液晶装置の光学設計がノーマリーブラックの場合を示している。
【0046】
図4に示すように、表示領域Eにおいて液晶分子LCのプレチルトの傾斜方向は、Y方向となす方位角θaが45°となるように設定されている。具体的には、破線で示した矢印方向が素子基板10に対する斜め蒸着の方向であり、右上から左下に向かう方向である。一方、実線で示した矢印方向が素子基板10に対向配置される対向基板20に対する斜め蒸着の方向であり、左下から右上に向かう方向である(図3参照)。このような表示領域Eにおける液晶分子LCのプレチルトの傾斜方向を方位角θaをそのまま利用して傾斜方向θaと呼ぶ。
【0047】
このような傾斜方向θaによれば、画素Pを駆動することにより、基板面に対して略垂直配向した液晶分子LCが傾斜方向θaに振られる挙動を示す(図3(b)参照)。これにより、傾斜方向θaに向かう液晶分子LCの挙動すなわち流動(フロー)が生じて、液晶中に含まれたイオン性不純物はこの流動(フロー)に沿って液晶中を移動し、やがて表示領域Eの傾斜方向θaに位置する角部に運ばれてイオン性不純物の偏在が生ずる。そうすると、図4に示すように表示領域Eの角部においてイオン性不純物の偏在に起因する例えば焼き付きや輝度ムラなどの表示ムラが発生する。より具体的には、例えばノーマリーブラックの場合、上記角部に位置する画素Pに光漏れが発生し、コントラストが低下する。図4では表示領域Eの角部に位置する3つの画素Pに光漏れが発生した状態を示している。
なお、傾斜方向θaが45°とは、図4に示すように右上がり45°だけでなく、右下がり45°でもよく、その場合には図4において表示領域Eの左上と右下の角部に表示ムラが発生する。つまり、液晶層50に駆動電圧が与えられたときの液晶分子LCの上記傾斜方向θaが液晶分子LCの流動方向となる。
【0048】
発明者は、イオン性不純物の偏在による表示領域Eの角部の表示ムラを改善すべく、液晶装置100の構成と駆動方法とを開発した。具体的には、対向基板20に第1電極としての共通電極23とは別に第2電極を設けた。また、第2電極に上記した液晶分子LCの流動(フロー)を阻害するための電位を与えることで、液晶層50中のイオン性不純物の偏在を抑制した。
【0049】
以下、図5〜図8を参照して説明する。図5は液晶装置における画素の配置を示す概略平面図、図6は対向基板における第1電極と第2電極の配置を示す概略平面図、図7は第2電極と配線部との配置を示す概略平面図、図8(a)および(b)は液晶装置の駆動方法を説明する概略断面図である。なお、図8(a)および(b)は図7のA−A’線に沿った液晶装置の概略断面図を示すものであり、配向膜18,24は図示を省略している。
【0050】
図5に示すように、液晶装置100における画素Pは、例えば平面的に略四角形の開口領域を有する。開口領域は、X方向とY方向とに延在し格子状に設けられた遮光性の非開口領域により囲まれている。
【0051】
X方向に延在する非開口領域には、図2に示した走査線3aや容量線3bが設けられている。走査線3aや容量線3bは遮光性の導電部材が用いられており、走査線3aや容量線3bによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0052】
同じく、Y方向に延在する非開口領域には、図2に示したデータ線6aが設けられている。データ線6aも遮光性の導電部材が用いられており、これらによって非開口領域の少なくとも一部が構成されている。
【0053】
非開口領域は、素子基板10側に設けられた上記信号線類によって構成されるだけでなく、対向基板20側において格子状にパターニングされた遮光部によっても構成することができる。
【0054】
非開口領域の交差部付近には、図2に示したTFT30や保持容量16が設けられている。遮光性を有する非開口領域の交差部付近にTFT30を設けることにより、TFT30の光誤動作を防止すると共に、開口領域における開口率を確保している。上記交差部付近にTFT30や保持容量16を設ける関係上、上記交差部付近の非開口領域の幅は、他の部分に比べて広くなっている。
【0055】
図6に示すように、液晶装置100の対向基板20は、画素Pの開口領域を囲む非開口領域の上述した交差部と平面的に重なる位置に平面視で四角形の開口部23aを有している。開口部23aの内側に、同じく平面視で四角形の第2電極としての補助電極25が設けられている。
【0056】
また、補助電極25は、液晶分子LCの上記傾斜方向θaすなわち液晶分子LCの流動方向における隣り合う画素Pの画素電極15の隅部に対向する位置に配置されている。なお、補助電極25の平面的な形状は、四角形に限定されず、例えば多角形や円形でもよい。
【0057】
また、図7に示すように、補助電極25は、対向基板20において画素Pを区画するように格子状に配置された配線部26の交差部に配置され、配線部26に電気的に接続されている。配線部26は、例えばAl、Cr、Niなどの遮光性の低抵抗配線材料を用いて形成されている。補助電極25と配線部26との電気的な接続や、配線部26上に補助電極25を形成することを考慮すると、補助電極25もまた配線部26と同様にAl、Cr、Niなどの遮光性の低抵抗配線材料を用いて形成することが好ましい。つまり、配線部26は画素Pを区画する遮光部として機能し、補助電極25は遮光部(非開口領域)内に配置されている。
【0058】
このような補助電極25および配線部26の形成方法としては、対向基板20上に上記低抵抗配線材料をスパッタ法などを用いて成膜した後に、フォトリソグラフィ法によりパターニングして格子状の配線部26を形成する。さらに、配線部26を覆うように層間絶縁膜22(図1(b)参照)を形成し、層間絶縁膜22の補助電極25を設ける位置に補助電極25の平面形状と同じ孔をエッチングなどにより形成する。層間絶縁膜22を覆うように上記低抵抗配線材料を成膜する。成膜された低抵抗配線材料のうち当該孔を埋めた部分以外をエッチングにより取り除くことで、配線部26に電気的に接続された補助電極25を形成することができる。
【0059】
なお、配線部26の形成と同時に、図1(a)および(b)に示した遮光膜21を形成する。配線部26は、表示領域Eの外側まで引き回されて、上下導通部材を介して素子基板10側に設けられた配線に電気的に接続され、当該配線は素子基板10に設けられた複数の外部接続用端子104のうちの少なくとも1つに電気的に接続されている。
外部接続用端子104と配線部26とを経由して補助電極25に液晶分子LCの流動を阻害するための電位を与えることができる構成となっている。
【0060】
また、本実施形態では、表示領域Eの複数の画素Pに対応して設けられた複数の補助電極25に電位をばらつくことなく与えるため、配線部26をX方向とY方向とに延在する格子状に形成したが、X方向またはY方向のいずれかに延在する形状としてもよい。
【0061】
次に、図8(a)および(b)を参照して、液晶装置100の駆動方法について説明する。図8(a)および(b)は前述したように図7のA−A’線に沿った液晶装置の概略断面図を示すものであり、この場合A−A’線は、液晶分子LCの傾斜方向θaつまり流動方向に沿っている。
【0062】
例えば、図8(a)に示すように、A−A’線に沿って隣り合う画素Pの画素電極15と共通電極23との間に駆動電圧が印加されないOFF状態のときに、隣り合う画素電極15と補助電極25との間を駆動電圧が印加されたON状態とする。そうすると、画素電極15と共通電極23の間の液晶層50では、液晶分子LCが略垂直配向状態となり、その一方で、補助電極25の近傍では、負の誘電異方性を有する液晶分子LCが電界方向と交差する方向に配列する。つまり、補助電極25の直下とその周辺とでは、液晶分子LCの配向状態が異なる。
【0063】
また、図8(b)に示すように、A−A’線に沿って隣り合う画素Pの画素電極15と共通電極23との間に駆動電圧が印加されたON状態のときに、隣り合う画素電極15と補助電極25との間を駆動電圧が印加されないOFF状態とする。そうすると、画素電極15と共通電極23の間の液晶層50では、負の誘電異方性を有する液晶分子LCが電界方向と交差する方向に配列し、その一方で、補助電極25の直下では、液晶分子LCが略垂直配向状態となる。やはり、補助電極25の直下とその周辺とでは、液晶分子LCの配向状態が異なる。
【0064】
このように、補助電極25の直下とその周辺とで、液晶分子LCの配向状態が異なるように、補助電極25に電位を与えることによって、補助電極25の近傍に位置する液晶分子を動かし、画素電極15と共通電極23との間の液晶層50を駆動することによって生ずる液晶分子LCの流動を阻害することができる。
【0065】
また、液晶分子LCの流動方向において、補助電極25を挟んで隣り合う画素電極15と共通電極23との間、言い換えれば、補助電極25を挟んで隣り合う画素Pが必ずしも同じ駆動状態であるとは限らないので、いずれか一方の画素Pの駆動状態と異なる駆動状態とすれば、液晶分子LCの流動を阻害することができる。
【0066】
それゆえに、本実施形態では、例えば液晶層50の駆動電圧を5Vとしたときに、補助電極25に対して0Vから5Vまでの電位を周期的に与えることとした。周期的な電位の印加とは、例えば、0V→5V→0Vへと連続的に電位を変化させる方法、0V、5Vの電位をそれぞれ一定の期間印加して繰り返す方法、0Vと5Vとの間に中間電位を設定し、0V→中間電位→5V→中間電位→0Vへとそれぞれ一定の期間印加して繰り返す方法などが挙げられる。また、上記のような電位を補助電極25に与える通電時間としては、5秒から30分程度で表示ムラが改善される効果が認められた。
【0067】
具体的には、表示ムラを評価する試験方法として、例えば、液晶装置100を60℃〜70℃に加温した状態で、表示領域Eのすべての画素PがON/OFFを繰り返すように通電する。所定の時間通電した後に常温に戻してから、再び表示領域Eの複数の画素Pのすべてが中間調となるように駆動させ、コントラストのムラが無いか評価する方法を挙げることができる。加温するのは、液晶層50中のイオン性不純物の移動を加速させるためである。
【0068】
上記液晶装置100において、補助電極25には電位を与えずに上記試験を行ったときには、およそ24Hの通電後に表示ムラが認められた。これに対して上記試験中に補助電極25に対して、0V〜5Vの電位を周期的におよそ30分間与えると、表示ムラが発生する加温通電時間が24Hに対して70倍程度の時間に延びた。すなわち、液晶層50中におけるイオン性不純物の拡散を抑制する効果が認められた。なお、表示ムラの発生は、液晶層50中に含まれるイオン性不純物の濃度にも影響されることは言うまでもない。また、表示ムラを評価する試験方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、表示領域Eにおいて特定のパターンを表示させるように複数の画素Pを駆動させて、イオン性不純物の偏在に伴う、上記特定のパターンの表示ムラを評価するとしてもよい。
【0069】
液晶装置100を実際に駆動するにあたっては、液晶層50中のイオン性不純物の移動速度は温度に依存するので、使用環境温度を考慮して補助電極25に液晶分子LCの流動を阻害するための電位を与える通電時間を設定することが望ましい。
【0070】
以上に述べた前記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)液晶装置100には、対向基板20において第1電極としての共通電極23と同一面内に第2電極としての補助電極25が設けられている。補助電極25は、液晶分子LCの流動方向における画素電極15の隅部に対向する位置に設けられており、周期的に液晶分子LCの流動を阻害する電位が与えられる。したがって、液晶層50中のイオン性不純物の拡散による偏在が抑制され、表示領域Eの角部に表示ムラが発生することを低減できる。つまり、通電による表示ムラが発生し難い液晶装置100を提供できる。
(2)補助電極25は、対向基板20において遮光部として機能する配線部26の交差部に配置されている。また、素子基板10の遮光性を有する低抵抗配線材料からなる走査線3aおよびデータ線6aの交差部と対向する位置に設けられている。したがって、補助電極25に液晶層50の駆動電圧に相当する電位を与えたときに、液晶層50から光漏れが生じたとしても、補助電極25が遮光部(非開口領域)内に位置しているので、上記光漏れを目立ち難くすることができる。言い換えれば、補助電極25への通電によって表示品位が低下することがない。
また、配線部26は遮光部を兼ねることから、配線部26と遮光部とを別々に設ける場合に比べて、対向基板20の構成を簡略化できる。
【0071】
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について図9を参照して説明する。図9は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【0072】
図9に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0073】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0074】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0075】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0076】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0077】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0078】
このような投射型表示装置1000によれば、液晶層50中のイオン性不純物の偏在が抑制された液晶装置100を備え、通電による表示ムラが低減され、高い表示品位と信頼性とが実現されている。
【0079】
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置および該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0080】
(変形例1)上記液晶装置100において、第2電極としての補助電極25の配置は、表示領域Eのすべての画素電極15の隅部に対向する位置に設けることに限定されない。図10は変形例の第2電極の配置を示す概略平面図である。例えば、図10に示すように、有効な表示領域Eの外周側に位置する画素電極15の隅部に対向する位置に、補助電極25を配置する構成としてもよい。これによれば、表示ムラになり易い外周側の画素Pに対応させて補助電極25を設け、より簡素な構成でイオン性不純物の拡散による偏在を抑制することができる。なお、外周側だけに限らず、その内側の液晶分子LCの流動方向に沿った位置に部分的に補助電極25を配置しても、その効果を奏する。
【0081】
(変形例2)上記液晶装置100において、負の誘電異方性を有する液晶分子LCを略垂直配向させる配向膜18,24は、無機配向膜に限定されない。例えば、ポリイミドなどの有機配向膜を用いても液晶分子LCを略垂直配向させることができ、本発明を適用できる。
【0082】
(変形例3)上記液晶装置100において、第2電極としての補助電極25が電気的に接続される配線部26は、遮光性かつ格子状であることに限定されない。例えば、対向基板20上において、配線部26は、少なくとも表示領域Eに亘る全面に設けられた透明導電膜からなるとしてもよい。また、同様に遮光性の低抵抗配線材料を用いて補助電極25を形成することに限定されず、透明導電膜を用いて形成してもよい。
【0083】
(変形例4)本発明を適用可能な液晶装置100は、液晶分子LCが負の誘電異方性を有する略垂直配向(VA;Vertical Alignment)方式に限定されない。例えば、液晶分子LCが正の誘電異方性を有するTN(Twisted Nematic)方式やOCB(Optically Compensated Bend)方式にも適用可能である。TN方式における液晶分子の流動方向は、一対の基板のそれぞれにおいて互いに交差するように施された配向処理のベクトルの合成方向となる。したがって、例えば、図4において、素子基板10側の配向処理方向をX方向に沿って左から右へ向かう方向とし、対向基板20側の配向処理方向をY方向に沿って下から上へ向かう方向とすれば、先に説明したとおり、表示領域Eの左下と右上とに表示ムラが発生する。ゆえに、TN方式の場合でも第2電極としての補助電極25を設けることは有効である。
なお、VA方式やOCB方式における配向処理は、液晶分子の傾斜方向が1軸の配向処理となるため、イオン性不純物が液晶分子の流動によって、特定の方向に拡散・偏在し易い。したがって、本発明を適用することで、TN方式に比べるとその効果がより発揮される。
【0084】
(変形例5)本発明を適用可能な液晶装置100は、透過型に限定されない。例えば、光反射性の導電膜を用いて画素電極15が形成される反射型の液晶装置にも適用できる。
【0085】
(変形例6)上記液晶装置100を適用可能な電子機器は、上記第2実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
10…一方の基板としての素子基板、15…画素電極、20…他方の基板としての対向基板、23…第1電極としての共通電極、25…第2電極としての補助電極、26…配線部、30…薄膜トランジスター(TFT)、50…液晶層、100…液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置、E…表示領域、LC…液晶分子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持された液晶層と、
前記一対の基板のうち一方の基板に複数の画素電極と、
前記一対の基板のうち他方の基板に、前記複数の画素電極と対向する第1電極と、
前記液晶層の液晶分子を駆動することによって生ずる当該液晶分子の流動を阻害するための電位が印加される第2電極と、を備えたことを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第2電極には、周期的に前記液晶分子の流動を阻害するための電位が与えられることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記画素電極に対応して設けられたトランジスターと、
前記トランジスターと平面的に重なるように設けられた遮光部と、を備え、
前記第2電極は、平面的に前記遮光部が設けられた領域の内側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記他方の基板において、前記液晶分子の流動方向における前記画素電極の隅部に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第2電極は、有効表示領域の外周側に位置する前記画素電極の隅部に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記第2電極に電位を与える配線部が前記他方の基板における遮光部を構成していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−3287(P2013−3287A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132925(P2011−132925)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】