説明

液晶配向剤、液晶配向膜およびその形成方法ならびに液晶表示素子

【課題】光配向法によりプレチルト角を付与することができ、付与されたプレチルト角の経時的安定性に優れる液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、(A)共役二重結合を含む感光性構造、(B)炭素数1〜3のフルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基、および炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種の基、ならびに(C)光増感性構造を有する重合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜およびその形成方法ならびに液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、偏光または非偏光の放射線の照射により液晶配向性が付与され、プレチルト角安定性に優れる液晶配向膜を与える液晶配向剤、良好な液晶配向性を示し、且つプレチルト角安定性に優れる液晶配向膜およびその形成方法ならびに長期信頼性に優れる液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、必要に応じて液晶分子の長軸が基板間で0〜360°連続的に捻れるようにしてなるTN(Twisted Nematic)型およびSTN(Super Twisted Nematic)型、液晶分子の長軸を基板に対して水平方向に配向してなるIPS(In Plane Switching)型などの各種の液晶セルを有する液晶表示素子が知られている(特許文献1〜4参照)。
このような液晶セルにおいて液晶を配向する手段としては、基板表面に有機膜を形成し、次いでその有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこすることにより液晶配向能を付与し、これを液晶配向膜とする方法(ラビング処理を施す方法)、基板表面に酸化珪素を斜方蒸着する方法またはラングミュア・ブロジェット法(LB法)を用いて長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法などがある。このうち、基板サイズ、液晶の配向均一性、処理時間および処理コストの観点からラビング処理による液晶配向能の付与が一般的である。
しかし、液晶の配向をラビング処理により行うと、工程内でほこりが発生したり、静電気が発生したりしやすいために、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に不可避的に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが徐々に困難となりつつある。
【0003】
液晶セルにおける液晶配向膜に液晶配向能を付与する別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリイミドなどの感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現できる(特許文献6〜16および19〜21参照)。
ところで、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などの液晶セルにおいては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度(プレチルト角)で傾斜配向させる必要がある(特許文献2参照)。光配向法により液晶配向膜を形成する場合においては、プレチルト角は、通常、基板面への入射方向が基板法線から傾斜した放射線の照射により付与される(特許文献6参照)。
一方、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させる垂直(ホメオトロピック)配向モードも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加して液晶分子が基板に平行な方向に向かって傾く際に、液晶分子が基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾くようにする必要がある。このための手段として、例えば、基板表面に突起を設ける方法、透明電極にストライプを設ける方法、ラビング配向膜を用いることにより液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けてわずかに傾けておく(プレチルトさせる)方法などが提案されている(特許文献5および非特許文献参照1〜3参照)。
前記光配向法は、垂直配向モードの液晶表示素子において液晶分子の傾き方向を制御する方法としても有用であることが知られている(特許文献15〜21参照)。
このように、前記光配向法により製造した液晶配向膜は、液晶表示素子に有効に適用されうるものである。しかしながら、従来の光配向法により製造した液晶配向膜は、プレチルト角が不安定である、すなわち液晶配向膜の形成直後には良好なプレチルト角特性を示したとしても、経時的にプレチルト性が減少するという問題があった。
【特許文献1】特開平4−153622号公報
【特許文献2】特開昭60−107020号公報
【特許文献3】特開昭56−91277号公報
【特許文献4】米国特許第5,928,733号明細書
【特許文献5】特開平11−258605号公報
【特許文献6】特開平9−222605号公報
【特許文献7】特開平6−287453号公報
【特許文献8】特開平10−251646号公報
【特許文献9】特開平11−2815号公報
【特許文献10】特開平11−152475号公報
【特許文献11】特開2000−144136号公報
【特許文献12】特開2000−319510号公報
【特許文献13】特開2000−281724号公報
【特許文献14】特開平9−297313号公報
【特許文献15】特開2003−307736号公報
【特許文献16】特開2004−163646号公報
【特許文献17】特開平9−211468号公報
【特許文献18】特開2003−114437号公報
【特許文献19】特開2006−171304号公報
【特許文献20】特開2007−224273号公報
【特許文献21】特開2007−256484号公報
【特許文献22】特開2007−191447号公報
【非特許文献1】“液晶”vol.3 No.2, p117(1999年)
【非特許文献2】“液晶”vol.3 No.4, p272(1999年)
【非特許文献3】“Jpn Appl.phys.” Vol.36, p428(1997年)
【非特許文献4】T.J.Scheffer et. al., J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光配向法によりプレチルト角を付与することができ、付与されたプレチルト角の経時的安定性に優れる液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、上記液晶配向剤から液晶配向膜を形成する方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、良好な液晶配向性を示し、且つプレチルト角の経時的安定性に優れる液晶配向膜を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、長期信頼性に優れる液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに別の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)共役二重結合を含む感光性構造、
(B)炭素数1〜3のフルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基、および炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種の基、ならびに
(C)光増感性構造
を有する重合体を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
基板上に、上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に偏光または非偏光の放射線を照射する液晶配向膜の形成方法によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第3に、
上記の方法により形成された液晶配向膜によって達成され、第4に、
上記液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法により、プレチルト角の経時的安定性に優れる液晶配向膜を形成することができる。本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に好適に適用することができる。かかる液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、長期間にわたり使用した場合にも表示性能が劣化することがない。従って、本発明の液晶表示素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば時計、携帯型ゲーム、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、携帯情報端末、デジタルカメラ、携帯電話、各種モニター、液晶テレビなどの表示装置に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、
(A)共役二重結合を含む感光性構造(以下、「(A)感光性構造」という。)、
(B)炭素数1〜3のフルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基、および炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種の基(以下、「特定基(B)」という。)、ならびに
(C)光増感性構造
を有する重合体を含有する。
上記重合体からなる薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射すると、(A)感光性構造が感応して方位選択的に光反応を起こし、一定方向に配向された構造が形成される。このような構造を有する膜上では、液晶分子の配向方位が前記配向構造によって制御されることとなる。この液晶分子の配向方位には、プレチルト角特性が包含される。上記の特定基(B)は、上記(A)感光性構造の配向方向と同方向に配向するとともに、薄膜の表面張力を減少することによりプレチルト角を生じやすくする機能を発揮する。さらに、上記(C)光増感性構造は、放射線の照射により励起し、この励起エネルギーを重合体内で近接する(A)感光性構造に移動する。そして励起エネルギーを受容した(A)感光性構造は二量化反応を起こして重合体間に架橋構造を形成する。このことにより、上記の配向された(A)感光性構造の分子運動が抑制されることとなり、その結果、プレチルト角の発現性が安定するものと考えられる。
(A)感光性構造としては、下記式(a)
【0008】
【化1】

【0009】
(式(a)中、Arは2価の芳香族基であり、RおよびRIIは、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。)
で表される構造であることが好ましい。
上記式(a)中、Arで表される芳香族基としては、例えば1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,4−フランジイル基、3,4−フランジイル基、2,5−フランジイル基、2,4−チオフェンジイル基、3,4−チオフェンジイル基、2,5−チオフェンジイル基、2,4−ピロールジイル基、3,4−ピロールジイル基、2,5−ピロールジイル基、2,4−ピリジンジイル基および2,5−ピリジンジイル基ならびにこれらの基に含まれる1つまたはそれ以上の水素原子を、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基およびハロゲン原子で置換されていてもよいアリールオキシル基よりなる群から選択される少なくとも1つの基で置換して得られる基を挙げることができる。これらのうち、好ましいものとして、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基および2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基を挙げることができ、より好ましいものとして、1,4−フェニレン基および2−フルオロ−1,4−フェニレン基を挙げることができる。
およびRIIは、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0010】
特定基(B)である炭素数1〜3のフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基などを挙げることができる。
特定基(B)であるフッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基としては、例えばブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、パーフルオロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナデシルペンチル基、パーフロオロペンチル基などをあげることができる。
特定基(B)である、炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基における炭素数9〜30の縮合脂環構造としては、例えばデカリン骨格、ペルヒドロアントラセン骨格またはステロイド骨格からなる構造を挙げることができる。このステロイド骨格とは、シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン核からなる骨格またはその炭素−炭素結合の一つもしくは二つ以上が二重結合となった骨格をいう。特定基(B)としては、ステロイド骨格を含む1価または2価の炭化水素基が好ましく、その具体例としては、ステロイド骨格を含む1価の基として、例えばコレステリル基、コレスタニル基、ラノステリル基、ラノスタニル基などを;ステロイド骨格を含む2価の基として、例えばコレスタ−3,6−ジイル基、コレスタ−3,3−ジイル基、ラノスタ−3,3−ジイル基などを、それぞれ挙げることができる。
【0011】
上記(C)光増感性構造は、放射線の照射により励起し、この励起エネルギーを重合体内で近接する(A)感光性構造に与える機能を有する構造である。この励起状態は、一重項であってもよく、三重項であってもよいが、寿命が長く効率的にエネルギー移動がなされることから、三重項であることが好ましい。上記光増感性構造が吸収する放射線は、波長150〜600nmの範囲の紫外線または可視光線であることが好ましい。波長がこれより短い放射線は、通常の光学系で取り扱うことができないため、光配向法に好適に用いることができない。一方、これより波長の長い放射線は、エネルギーが小さく、上記(C)光増感性構造の励起状態を誘起し難い。かかる光増感性構造としては、例えばアセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、フルオレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、アクリジン構造などを挙げることができる。これらの構造は、それぞれ、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ビフェニル、カルバゾール、ニトロベンゼンもしくはジニトロベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセンまたはアクリジンから、1〜4個の水素原子を除去して得られる基からなる構造をいう。ここで、アセトフェノン構造およびカルバゾール構造は、それぞれ、アセトフェノンまたはカルバゾールのベンゼン環が有する水素原子のうちの1〜4個を除去して得られる基からなる構造であることが好ましい。
(C)光増感性構造としては、これらのうち、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、またはナフタレン構造が好ましく、アセトフェノン構造、アントラキノン構造、カルバゾール構造またはニトロアリール構造が特に好ましい。
【0012】
上記(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造の各々は、重合体の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。上記(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のうち2種以上が重合体の側鎖中に含まれる場合、それらの構造または基は、同一の側鎖中に併存していてもよく、あるいは、別々の側鎖に含まれていてもよい。また、重合体中で、上記(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のうち2種以上が、その構造の一部分を互いに共有していてもよい。
重合体における上記(A)感光性構造の含有割合は、1×10−5〜1×10−2mol/gであることが好ましく、5×10−4〜5×10−3mol/gであることがより好ましい。重合体における特定基(B)の含有割合は、2×10−5〜2×10−2mol/gであることが好ましく、1×10−4〜1×10−3mol/gであることがより好ましい。重合体における(C)光増感性構造の含有割合は、1×10−6〜1×10−3mol/gであることが好ましく、5×10−6〜5×10−4mol/gであることがより好ましい。
本発明で用いられる重合体の骨格には特に制限はなく、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルガノシロキサン、セルロースまたはその誘導体、ポリアセタール、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)またはその誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、重合体の安定性に優れている点から、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリオルガノシロキサン、ポリスチレン誘導体およびポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミック酸、ポリイミドおよびポリオルガノシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
以下、本発明の液晶配向剤に含有される重合体として特に好ましいポリアミック酸およびポリイミドについて説明する。
【0013】
ポリアミック酸およびポリイミド
本発明におけるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができ、ポリイミドは、該ポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
ここで、原料として、上記の(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造を有するテトラカルボン酸二無水物またはジアミンを使用することにより、これらの構造および基を有するポリアミック酸およびポリイミドを得ることができる。(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造の各々は、原料であるテトラカルボン酸二無水物のみが有していてもよく、ジアミンのみが有していてもよく、あるいはテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの双方が有していてもよいが、これらの構造または基を有するジアミンの方が合成が容易であり、入手しやすいことから、ジアミンのみが有していることが好ましい。
これらの構造または基を有するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンは、それぞれ、一分子中にこれらの構造および基のすべてを有するものであることができ、あるいは上記(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のいずれか1種または2種を有するものの混合物であってもよい。(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のうちの1種以上を有するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンは、それぞれ、(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のいずれをも含まないテトラカルボン酸二無水物(以下、「その他のテトラカルボン酸二無水物」という。)またはジアミン(以下、「その他のジアミン」という。)と併用してもよい。
【0014】
[テトラカルボン酸二無水物]
上記の(A)感光性構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば3,3’,4,4’−カルコンテトラカルボン酸二無水物、4,4’,5,5’−カルコンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,5’−カルコンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ジヒドロキシカルコンビストリメリテート、3,4’−ジヒドロキシカルコンビストリメリテート、3’,5’−ジヒドロキシカルコンビストリメリテート、2,4−ジヒドロキシカルコンビストリメリテート、2,2’−ビス(4−カルコニルオキシ)−3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(4−カルコニルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(4−カルコニルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(4−カルコニルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(4−カルコニルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(4−カルコニル)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−ピロメリット酸二無水物、3(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−ピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−ピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−ピロメリット酸二無水物、下記式(1)〜(22)
【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
特定基(B)を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(23)〜(26)
【0018】
【化4】

【0019】
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。上記式(23)〜(26)のそれぞれで表される化合物のベンゼン環は、それぞれ1つまたは2つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
(C)光増感性構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジメチル−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラメチル−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラキノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’, 3,3’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’, 4,4’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(2,6−ジオキソ−4−オキサニル)ビフェニル、2,3,6,7−カルバゾールテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、及び、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
(A)感光性構造および特定基(B)の双方を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(オリザニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4’(3−コレスタニルオキシ)4−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4’(3−コレステリルオキシ)4−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレスタニルオキシ)シンナモイルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレステリルオキシ)シンナモイルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレスタニルオキシ)4’−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレステリルオキシ)4’−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、好ましいものとして、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8(2(オリザニルオキシ)エトキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンおよび1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンを挙げることができる。ここに、「オリザニル基」とは、天然のγ−オリザノールに由来する、下記式(b−1)〜(b−7)
【0021】
【化5】

【0022】
(式(b−1)〜(b−7)中、「*」は、それぞれ、結合手であることを表す。)
のそれぞれで表される基の混合物を意味する。
(A)感光性構造および(C)光増感性構造の双方を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,2’−ビス(4−カルコニルオキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(4−カルコニルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(4−カルコニルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(4−カルコニルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(4−カルコニルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(4−カルコニルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
【0023】
5,5’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−4,4’,5,5’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,2’,3,3’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。
【0024】
その他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
【0025】
【化6】

【0026】
(上記式中、RおよびRは、それぞれ、芳香環を有する2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはアルキル基であり、複数存在するRおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、及び、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0027】
これらのその他のテトラカルボン酸二無水物のうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうのち下記式(T−1)および(T−2)
【0028】
【化7】

【0029】
のそれぞれで表される化合物ならびに上記式(T−II)で表される化合物のうちの下記式(T−3)
【0030】
【化8】

【0031】
で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」という。)が好ましい。特に好ましい特定テトラカルボン酸二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−1)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である。
【0032】
[ジアミン]
(A)感光性構造を有するジアミンとしては、例えば3,3’−ジアミノカルコン、4,4’−ジアミノカルコン、3,4’−ジアミノカルコン、2,3−ジアミノカルコン、2,4−ジアミノカルコン、3,4−ジアミノカルコン、4(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4’(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、下記式(D−I)および(D−II)
【0033】
【化9】

【0034】
(上記式中、Arは、それぞれ、上記式(a)におけるのと同じ意味であり、AおよびAは、それぞれ、2価の芳香族基であり、hおよびiは、それぞれ1〜3の整数である。)
のそれぞれで表される化合物、6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8(4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、10(4−カルコニルオキシ)デシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、10(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)デシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、2(2(4−カルコニルオキシ)エトキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、2(2(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、2(2(4−カルコニルオキシ)エトキシ)エトキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、2(2(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)エトキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、1−((4−カルコニルオキシ)エトキシ)−2−((2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)エタン、1−((4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)−2−((2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)エタン、1−((4−カルコニルオキシ)エトキシ)−2−((3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)エタン、1−((4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)−2−((3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)エタン、6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、8(4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、8(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、10(4−カルコニルオキシ)デシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、10(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)デシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、6(4−カルコニルオキシ)ヘキサン酸(2,4−ジアミノフェニル)、6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサン酸(2,4−ジアミノフェニル)、8(4−カルコニルオキシ)−オクタン酸−(2,4−ジアミノフェニル)、8(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−オクタン酸−(2,4−ジアミノフェニル)、10(4−カルコニルオキシ)−デカン酸−(2,4−ジアミノフェニル)、10(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−デカン酸−(2,4−ジアミノフェニル)、
【0035】
アジピン酸モノ(4−カルコニル)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、アジピン酸モノ(4’−フルオロ−4−カルコニル)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、スベリン酸モノ(4−カルコニル)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、スベリン酸モノ(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、セバシン酸モノ(4−カルコニル)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、セバシン酸モノ(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)モノ(2,4−ジアミノフェニル)、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−6−(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサン、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−8−(4−カルコニルオキシ)オクタン、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−8−(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタン、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−10−(4−カルコニルオキシ)デカン、ビス−1,1−(4−アミノフェニル)−10−(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)デカン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(6(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(8(4−カルコニルオキシ)オクタノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(8(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(10(4−カルコニルオキシ)デカノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(10(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)デカノキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(2(2(4−カルコニルオキシ)エトキシ)エトキシフェニル)アミン、ビス−N,N−(4−アミノフェニル)−N−(4(2(2(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル)アミンなどのカルコン誘導体;
【0036】
3,5−ジアミノベンジル=シンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−ペンチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−フルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−ペンチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−フルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3−トリフルオロメチルシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3,4−ジフルオロシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=シンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3,4−ジフルオロシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=シンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−ペンチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−フルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3,4−ジフルオロシンナメート、2,4−ジアミノフェニル=3,4,5−トリフルオロシンナメート、メチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(3,5−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、フェニル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、ペンチル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメートおよびフェニル=4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメートなどのけい皮酸誘導体;
下記式(1a)、(1b)、(1c)および(1d)
【0037】
【化35】

【0038】
のそれぞれで表される化合物などのフェニレンジアクリレート誘導体、などを挙げることができる。
これらのうち、(A)感光性構造を有するジアミンとしては、けい皮酸誘導体およびフェニレンジアクリレート誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、3,5−ジアミノベンジル=シンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、3,5−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=シンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−メトキシシンナメート、2,4−ジアミノベンジル=4−トリフルオロメチルシンナメート、メチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメート、エチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメートおよびペンチル=4’−(2,4−ジアミノベンジルオキシ)シンナメートよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが特に好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
特定基(B)を有するジアミンとしては、例えば下記式(D−III)
【0039】
【化22】

【0040】
(式(D−III)中、Rは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の結合基であり、Rはステロイド骨格および炭素数1〜3のフルオロアルキル基から選ばれる少なくとも1つの骨格もしくは基を有する1価の有機基または炭素数4〜20のアルキル基である。)
で表されるモノ置換フェニレンジアミン;
下記式(D−1)〜(D−3)
【0041】
【化23】

【0042】
のそれぞれで表される化合物、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミンなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。上記モノ置換フェニレンジアミンおよび上記式(D−1)〜(D−3)のそれぞれで表される化合物の有するベンゼン環は、それぞれ、1つまたは2つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。上記における「ステロイド骨格」の意味するところは、上記したテトラカルボン酸二無水物におけるステロイド骨格と同様である。
特定基(B)を有するジアミンとしては、上記のうち、上記式(D−1)〜(D−3)のそれぞれで表される化合物、上記式(D−III)で表される化合物のうちのドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼンおよび下記式(D−4)〜(D−10)
【0043】
【化24】

【化34】

【0044】
のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
(C)光増感性構造を有するジアミンとしては、例えば3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル-2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチル−ベンジジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、3,6−ジアミノアクリジン、1,5−ジアミノナフタレン、および、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、下記式(D−VI)
【0045】
【化27】

【0046】
(式(D−VI)中、Zは光増感性構造を有する基であり、Xは2価の結合基である。)
で表される化合物などを挙げることができる。
上記式(D−VI)中のZは、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、フルオレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造およびアクリジン構造よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を有する基であることが好ましい。Xは好ましくはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合、アルキレン基もしくはフェニレン基またはこれらの基から選ばれる基を2個以上連結して得られる基(ただし、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合および尿素結合から選ばれる、同種または異種の2個以上の基が互いに隣接することはない)である。これらの化合物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(C)光増感性構造を有するジアミンとしては、上記のうち、1,4−ジアミノアントラキノン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N −フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、上記式(D−VI)で表される化合物のうちの1(4−アセチルフェノキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(4−ベンゾイルフェノキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェノキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(4−ビフェニリルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2−カルバゾリルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、
【0047】
1(4−ニトロフェノキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2,4−ジニトロフェノキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2−ナフチルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(4−アセチルフェノキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(4−ベンゾイルフェノキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェノキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(4−ビフェニリルオキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(2−カルバゾリルオキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(4−ニトロフェノキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(2,4−ジニトロフェノキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(2(2−ナフチルオキシ)エトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(4−アセチルフェノキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(4−ベンゾイルフェノキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェノキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(4−ビフェニリルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(2−カルバゾリルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(4−ニトロフェノキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(2,4−ジニトロフェノキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、1(6(2−ナフチルオキシ)ヘキシルオキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸(4−アセチルフェニル)、3,5−ジアミノ安息香酸(4−ベンゾイルフェニル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェニル)、3,5−ジアミノ安息香酸(4−ビフェニル)、
【0048】
3,5−ジアミノ安息香酸(2−カルバゾリル)、3,5−ジアミノ安息香酸(4−ニトロフェニル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2,4−ジニトロフェニル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2−ナフチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(4−アセチルフェノキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(4−ベンゾイルフェノキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェノキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(4−ビフェニリルオキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(2−カルバゾリルオキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(2(2−ナフチルオキシ)エチル)、3,5−ジアミノ安息香酸(6(4−アセチルフェノキシ)ヘキシル)、3,5−ジアミノ安息香酸(6(4−ベンゾイルフェノキシ)ヘキシル)、3,5−ジアミノ安息香酸(6(2(4−ジメチルアミノベンゾイル)−4−メチルフェノキシ)ヘキシル)、3,5−ジアミノ安息香酸(6(4−ビフェニリル)ヘキシル)、3,5−ジアミノ安息香酸(6(2−カルバゾリルオキシ)ヘキシル)および3,5−ジアミノ安息香酸(6(2−ナフチル)ヘキシル)よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、1,4−ジアミノアントラキノン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾールおよびN−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾールよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが、特に好ましい。
(A)感光性構造および特定基(B)の双方を有するジアミンとしては、例えば下記式(D−IV)および(D−V)
【0049】
【化25】

【0050】
(上記式中、Arは、それぞれ、上記式(a)におけるのと同じ意味であり、AおよびAは、それぞれ、2価の芳香族基であり、jおよびkは、それぞれ4〜10の整数である。)
のそれぞれで表される化合物、下記式(VI−1)〜(VI−7)
【0051】
【化26】

【0052】
(上式中、Rは単結合あるいは2価の結合基または有機基である。)
のそれぞれで表される化合物、オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(2−(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)、6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、1,3−ジアミノ−4−(オリザニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼン、3−コレステリル−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、
【0053】
4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(2,4−ジアミノフェニル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2,4−ジアミノフェニル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、及び、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、下記式(2a)〜(20a)、(2b)〜(20b)、(2c)〜(20c)および(2d)〜(20d)
【0054】
【化20】

【0055】
【化21】

【0056】
【化10】

【0057】
【化11】

【0058】
【化12】

【0059】
【化13】

【0060】
【化14】

【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
【化18】

【0065】
【化19】

【0066】
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記における「オリザニル基」の意味は、上記したテトラカルボン酸二無水物におけるオリザニル基と同様である。
このようなジアミンは、例えば特許文献22(特開2007−191447号公報)に記載された方法により合成することができる。
上記その他のジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)メタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリンなどの芳香族ジアミン;
【0067】
メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、下記式(D−VII)
【0068】
【化28】

【0069】
(式(D−VII)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基であり、Xは2価の有機基である。)
で表される化合物、下記式(D−VIII)
【0070】
【化29】

【0071】
(式(D−VIII)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基であり、Xは、それぞれ、2価の有機基であり、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−IX)
【0072】
【化30】

【0073】
(式(D−IX)中、Rは、それぞれ、炭素数1〜3の炭化水素基であり、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、pは、それぞれ、1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサン;
下記式(D−11)および(D−12)
【0074】
【化31】

【0075】
(式(D−11)中のyは2〜12の整数であり、式(D−12)中のzは1〜5の整数である。)
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
その他のジアミンとしては、上記のうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、上記式(D−11)および(D−12)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、上記式(D−VII)で表される化合物のうちの下記式(D−13)
【0076】
【化32】

【0077】
で表される化合物、上記式(D−VIII)で表される化合物のうちの下記式(D−14)
【0078】
【化33】

【0079】
で表される化合物ならびに上記式(D−IX)で表される化合物のうちの1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定ジアミン」という。)を用いることが好ましい。
[各テトラカルボン酸二無水物および各ジアミンの使用割合]
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリアミック酸またはポリイミドを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンそれぞれの種類および使用割合は、(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造の含有割合が、それぞれ上記の好ましい範囲となるように適宜に選択されるべきである。
このため、(A)感光性構造を有するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物および全ジアミンの合計に対して10〜90モル%であることが好ましく、20〜50モル%であることがより好ましい。特定基(B)を有するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物および全ジアミンの合計に対して1〜90モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましい。また、(C)光増感性構造を有するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物および全ジアミンの合計に対して0.1〜30モル%であることが好ましく、0.5〜10モル%であることがより好ましい。ここで、(A)感光性構造および特定基(B)の双方を有するテトラカルボン酸二無水物またはジアミンを使用する場合、その合計の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物および全ジアミンの合計に対して10〜90モル%であることが好ましく、20〜50モル%であることがより好ましい。
【0080】
上記のとおり、本発明においては、(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造のすべてがジアミンに由来するようにテトラカルボン酸二無水物およびジアミンをそれぞれ選択して使用することが好ましく、従って、本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリアミック酸またはポリイミドを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンそれぞれの種類および使用割合としては、好ましくは以下のとおりである。
テトラカルボン酸二無水物としてはその他のテトラカルボン酸二無水物のみを使用することが好ましい。この場合のテトラカルボン酸二無水物は、上記特定テトラカルボン酸二無水物を含むものであり、特定テトラカルボン酸二無水物の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物に対して、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上である。
ジアミンとしては、(A)感光性構造を有するジアミン、特定基(B)を有するジアミンおよび(C)光増感性構造を有するジアミンならびに必要に応じて上記特定ジアミンを含むもの、あるいは、
(A)感光性構造および特定基(B)の双方を有するジアミンならびに(C)光増感性構造を有するジアミンならびに必要に応じて上記特定ジアミンを含むもの
であることが好ましく、
その全ジアミンに対する使用割合としては、前者の場合、
(A)感光性構造を有するジアミンについて好ましくは20〜90モル%、より好ましくは40〜70モル%であり、特定基(B)を有するジアミンについて好ましくは2〜50モル%、より好ましくは20〜50モル%であり、(C)光増感性構造を有するジアミンについて好ましくは0.2〜60モル%、より好ましくは1〜20モル%であり、必要に応じて使用される特定ジアミンについて好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下であり、
一方後者の場合、
(A)感光性構造および特定基(B)の双方を有するジアミンについて好ましくは20〜99モル%、より好ましくは40〜95モル%であり、(C)光増感性構造を有するジアミンについて好ましくは0.2〜60モル%、より好ましくは1〜20モル%であり、必要に応じて使用される特定ジアミンについて好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは50モル%以下である。
【0081】
[ポリアミック酸の合成]
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されるポリアミック酸は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得られる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンの有するアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.5〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。ここで、有機溶媒としては、生成するポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール性溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。なお、有機溶媒を後述の貧溶媒と併用する場合には、上記有機溶媒の使用量(a)とは、有機溶媒と貧溶媒との合計の使用量を意味するものとして理解されるベきである。
【0082】
前記有機溶媒には、一般にポリアミック酸の貧溶媒であると信じられているアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。
有機溶媒と上記の如き貧溶媒とを併用する場合、貧溶媒の使用割合は生成するポリアミック酸が析出しない範囲で適宜に設定することができるが、溶媒の全量に対して50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、さらに30重量%以下であることが好ましい。
【0083】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、エバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
【0084】
[ポリイミド]
本発明の液晶配向剤に好ましく含有されることのできるポリイミドは、上記の如きポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明におけるポリイミドは、原料であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。
本発明の液晶配向剤におけるポリイミドは、イミド化率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。上記イミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくは(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは1.0〜24時間であり、より好ましくは1.0〜12時間である。
【0085】
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
上記方法(i)において得られるポリイミドは、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においてはポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
【0086】
[末端修飾型の重合体]
本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などをさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
[溶液粘度]
以上のようにして得られるポリアミック酸およびポリイミドは、それぞれ濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
【0087】
その他の添加剤
本発明の液晶配向剤は、上記の如き(A)感光性構造、特定基(B)および
(C)光増感性構造を有する重合体、好ましくはポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種、を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えばその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記その他の重合体は、(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造を有する重合体以外の重合体である。このようなその他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために本発明の液晶配向剤に使用することができる。
このようなその他の重合体としては、例えば上記その他のテトラカルボン酸二無水物と上記その他のジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド(以下、「他のポリイミド」という。)などを挙げることができる。
その他の重合体の使用割合は、重合体の合計((A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造を有する重合体ならびに他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量%以下であり、さらに50重量%以下であることが好ましい。
【0088】
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0089】
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
【0090】
液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、上記の如き(A)感光性構造、特定基(B)および(C)光増感性構造を有する重合体ならびに必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
【0091】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
【0092】
液晶表示素子
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下(1)ないし(3)の工程により製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
【0093】
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去することなどを目的として、焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であるポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤に含有される重合体が、アミック酸構造を有する重合体である場合には、さらに加熱することによってアミック酸構造の脱水閉環を進行させてもよい。
このようにして、液晶配向膜となる塗膜を形成することができる。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0094】
(2)上記のようにして形成された塗膜に、次いで直線偏光もしくは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射し、場合によってはさらに150〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する。放射線としては、150〜600nmの波長を有する紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長を有する紫外線が好ましい。用いた放射線が直線偏光ないしは部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。無偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
前記光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどが使用できる。また、前記の好ましい波長領域の紫外線は、フィルター、回折格子などを前記光源と併用する手段などにより得ることができる。
放射線の照射量としては、50J/m以上10,000J/m未満であることが好ましく、より好ましくは100〜5,000J/mであり、さらに200〜4,000J/mであることが好ましい。本発明の液晶配向剤は、放射線の照射量を4,000J/m以下としても良好な液晶配向能を有する液晶配向膜を形成することができる。この放射線の照射量は、さらに2,000J/m以下とすることができ、特に1,000J/m以下とすることができる。
工程(2)において、放射線照射後の加熱処理は行わないことが好ましい。
【0095】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、2枚の基板は、各塗膜における放射線の照射方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
【0096】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤とスペーサーとしての酸化アルミニウム球とを含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができ、これらのうちネマティック型液晶が好ましい。VA型液晶セルの場合、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合には、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。これらの液晶に、例えばコレステリルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。下記における重合体の溶液粘度、ポリイミドのイミド化率は、それぞれ以下の方法により評価した。
[重合体の溶液粘度]
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、各重合体を10重量%含有するN−2−メチルピロリドン溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドのイミド化率は、各合成例で得たポリイミドの溶液を少量とり、これを純水に投入して得られた沈殿を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定したH−NMRから、下記数式(1)に従って計算により求めた。

イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)

(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
【0098】
合成例1
ポリアミック酸の合成
その他のテトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.01モル(2.2g)ならびに(A)感光性構造および特定基(B)の双方を含むジアミンとして天然のγ−オリザノールから特許文献22(特開2007−191447号公報)に記載された方法により合成した2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)7.0gおよび(C)増感性構造を含むジアミンとして1,4−ジアミノアントラキノン0.001モル(0.23g)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)85gに溶解し、60℃で6時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(A−1)を10重量%含有する溶液を得た。この溶液の溶液粘度は50mPa・sであった。
ポリイミドの合成
上記のポリアミック酸(A−1)を10重量%含有する溶液に、ピリジン1.6gおよび無水酢酸2.0gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約80%のポリイミド(B−1)を約15重量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は52mPa・sであった。
【0099】
合成例2〜7および比較合成例1
上記合成例1において、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの種類および使用量ならびに溶媒であるNMPの使用量を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは合成例1の「ポリアミック酸の合成」と同様にしてポリアミック酸(A−2)〜(A−7)、(A−r)をそれぞれ10重量%含有する溶液を得て、さらに合成例1の「ポリイミドの合成」と同様にしてポリイミド(B−2)〜(B−7)、(B−r)をそれぞれ約15重量%含有する溶液を得た。
これらポリアミック酸溶液の溶液粘度、ポリイミドのイミド化率およびポリイミド溶液を少量分取してNMPを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度を表1に示した。
合成例8
他のポリアミック酸の合成
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物200g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)をNMP3,700gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(A−8)を度10重量%含有する溶液を得た。この溶液の溶液粘度は130mPa・sであった。
【0100】
【表1】

【0101】
なお、表1において、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの略称はそれぞれ以下の意味である。
<テトラカルボン酸二無水物>
TCA:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
TDA:1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン
CB:シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
<ジアミン>
ANT:1,4−ジアミノアントラキノン
PDA:p−フェニレンジアミン
DDB:2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル
O−1:2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)
O−2:6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)
O−3:1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼン
O−4:オリザニルオキシ(2(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)
O−5:オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)
【0102】
実施例1
[液晶配向剤の調製]
上記合成例1で得られたポリイミド(B−1)を含む溶液に、NMPおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がNMP:ブチルセロソルブ=60:40(重量比)となるように希釈して固形分濃度3.0重量%の溶液とし、さらにこの溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
[液晶表示素子の製造]
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間加熱して膜厚0.06μmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を、基板法線から45°傾いた方向から50秒間照射することにより液晶配向能を付与して液晶配向膜とした。このとき、被照射面における波長313nmでの照度は2mW/cmであった。同様の操作を繰り返し、偏光紫外線照射処理を行った塗膜(液晶配向膜)を有する基板を2枚(1対)作成した。
次に、上記1対の基板について、液晶配向膜を形成した面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷によって塗布した後、各基板の有する液晶配向膜面が対向し、且つ偏光紫外線の照射方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口から基板の間隙にネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、液晶注入口をエポキシ系接着剤で封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃まで加熱してから室温まで徐冷した。次いで基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の偏光方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、液晶表示素子を製造した。
【0103】
[液晶表示素子の評価]
(1)プレチルト角の測定
上記で製造した液晶表示素子につき、非特許文献4(T.J.Scheffer et. al., J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980))に記載の方法に準拠してHe−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した液晶分子の基板面からの傾き角の値として求めたところ、プレチルト角は89°であった。
(2)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を目視で観察したところ、異常ドメインは観察されず、液晶配向性は「良好」であった。
(3)プレチルト角安定性の評価
上記で製造した液晶表示素子を25℃にて30日間保管した後、上記(1)の方法に従って再度プレチルト角を測定したところ、プレチルト角は89°であり、保管中のプレチルト角の変化は見られなかった。
【0104】
実施例2〜7
上記実施例1において、ポリイミド(B−1)を含有する溶液に代えて、ポリイミド(B−2)〜(B−7)をそれぞれ含有する溶液を用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。さらに、実施例1と同様にして、プレチルト角、液晶配向性およびプレチルト角安定性の評価を行った。評価結果は表2に示した。
実施例8
[液晶配向剤の調製]
上記合成例1で得られたポリイミド(B−1)を含む溶液と、上記合成例8で得られたポリアミック酸(A−8)を含む溶液を、各溶液に含まれるポリイミド(B−1)とポリアミック酸(A−8)の重量比が20:80となるように混合した。さらに、この混合液にNMPおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がNMP:ブチルセロソルブ=60:40(重量比)となるように希釈して固形分濃度3.0重量%の溶液とし、さらにこの溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
[液晶表示素子の製造]
上記で調製した液晶配向剤を用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。さらに、実施例1と同様にして、プレチルト角、液晶配向性およびプレチルト角安定性の評価を行った。評価結果は表2に示した。
【0105】
実施例9〜14
上記実施例8において、ポリイミド(B−1)を含有する溶液に代えて、ポリイミド(B−2)〜(B−7)をそれぞれ含有する溶液を用いたほかは、実施例8と同様にして液晶表示素子を製造して評価したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。さらに、実施例1と同様にして、プレチルト角、液晶配向性およびプレチルト角安定性の評価を行った。評価結果は表2に示した。
実施例15および16
上記実施例8において、ポリイミド(B−1)を含む溶液とポリアミック酸(A−8)を含む溶液とを、ポリイミド(B−1)とポリアミック酸(A−8)の重量比がそれぞれ30:70および50:50となるように混合したほかは、実施例8と同様にして液晶表示素子を製造して評価したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。さらに、実施例1と同様にして、プレチルト角、液晶配向性およびプレチルト角安定性の評価を行った。評価結果は表2に示した。
比較例1
上記実施例1において、ポリイミド(B−1)を含有する溶液に代えて、ポリイミド(B−r)を含有する溶液を用いたほかは、実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価したところ、液晶の垂直配向性は良好であった。さらに実施例1と同様にして、プレチルト角、液晶配向性およびプレチルト角安定性を評価した。評価結果は表2に示した。
この液晶表示素子の製造直後のプレチルト角は89°であったが、30日間保管後のプレチルト角は90°であり、時間の経過によりプレチルト角特性は失われていた。
【0106】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)共役二重結合を含む感光性構造、
(B)炭素数1〜3のフルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基、および炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種の基、ならびに
(C)光増感性構造
を有する重合体を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
【請求項2】
上記(A)共役二重結合を含む感光性構造が、下記式(a)
【化1】

(式(a)中、Arは2価の芳香族基であり、RおよびRIIは、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。)
で表される構造である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記重合体が、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
前記(C)光増感性構造が、アセトフェノン構造、ベンゾフェノン構造、アントラキノン構造、ビフェニル構造、カルバゾール構造、ニトロアリール構造、フルオレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造およびアクリジン構造よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に偏光または非偏光の放射線を照射することを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法により形成された液晶配向膜。
【請求項7】
垂直配向性である、請求項6に記載の液晶配向膜。
【請求項8】
請求項6または7に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
【請求項9】
(A)共役二重結合を含む感光性構造、
(B)炭素数1〜3のフルオロアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数4〜20のアルキル基、および炭素数9〜30の縮合脂環構造を含む1価または2価の炭化水素基よりなる群から選択される少なくとも1種の基、ならびに
(C)光増感性構造
を有する重合体。

【公開番号】特開2010−102014(P2010−102014A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271872(P2008−271872)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】