説明

液晶配向剤およびこれを利用して製造された液晶配向膜

本発明は、特定の化学式で表される可溶性ポリイミド重合体および溶剤を含み、前記可溶性ポリイミド重合体の数平均分子量が10,000〜500,000g/molであり、分散度(polydispersity)が1.2〜1.75である液晶配向剤を提供する。
前記液晶配向剤は、基板への印刷性が優れていて、仮乾燥温度が変化しても塗布膜の均一性が優れている液晶配向膜を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(a)技術分野
本発明は、液晶表示素子に使用される液晶配向剤およびこれを利用して製造された液晶配向膜に関するものである。より詳細には、本発明は、終端凝集現象(terminal aggregation )がなく、印刷性が優れていて、均一な塗布膜の形成が可能な液晶配向剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(b)関連技術の記載
液晶表示素子は、一般に、透明な酸化インジウム錫(indium tin oxide、ITO)導電膜が蒸着されているガラス基板に液晶配向剤を塗布し、これを熱で硬化して配向膜を形成した後、2枚の基板を対向させて合着し、液晶を注入して製造する。または、前記液晶表示素子は、一側の基板に液晶を滴下した後で対向側の基板を合着する液晶滴下方式で製造する。特に、5代(5th generation)以上の中大型ラインでは、後者を主に採択している。
【0003】
一般的に、液晶配向剤は、配向膜を形成する高分子樹脂を溶媒に溶解することによって調製される。かかる高分子樹脂は、芳香族酸二無水物および芳香族ジアミンを縮重合したポリアミック酸そのもの、それを脱水閉環してイミド化したポリイミド、または、これらを互いにブレンディング(blending)したものを含む。
【0004】
一般的に、液晶配向膜は、ポリアミック酸またはポリイミドを有機溶媒に溶解した液晶配向剤をフレキソ印刷などによって基板に塗布した後、仮乾燥および焼成を実施することによって形成される。この時に、液晶配向剤の印刷性が不良であると、形成された塗布膜に厚さ偏差が発生するようになり、このような塗布膜の不均一性は、液晶表示素子の表示特性に悪影響を与えることがあるので好ましくない。
【0005】
このような問題点を解決するために、ポリアミック酸やポリイミドに対する溶解性が優れている溶媒にジエチレングリコールジエチルエーテルを使用したり(特許文献1)、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合使用したりする(特許文献2)ことによって、印刷性が優れている液晶配向剤を得ようとする試みが行われてきた。
【0006】
前記溶媒を使用した液晶配向剤は、拡散性が増加して、印刷性を改善する面がないわけではないが、基板への印刷後に基板の終端に凝集現象が発生して、塗布膜を不均一にするなどの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−208983号公報
【特許文献2】韓国特許公開第2005−0106423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、印刷性が優れていて、垂直配向力が均一で安定していて、液晶配向性が優れている液晶配向剤を提供することである。加えて、ワンドロップフィリング(One Drop Filling、ODF)方式の液晶滴下によって調製されても、かかる液晶配向剤の垂直配向力は低下せず、工程条件に関らず安定である液晶配向剤を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、前記液晶配向剤を使用して製造された塗布膜の均一性が優れている液晶配向膜を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は上記の技術的課題には制限されず、当業者であれば他の目的を理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態によれば、下記の化学式1で表される可溶性ポリイミド重合体および溶剤を含む、液晶配向剤が提供される。前記可溶性ポリイミド重合体の数平均分子量は、10,000〜500,000g/molであり、分散度(polydispersity)が1.2〜1.75である。
【0012】
【化1】

【0013】
上記化学式1で、
前記Rは、脂肪族環状酸二無水物および芳香族酸二無水物からなる群より選択される酸二無水物から誘導された4価の有機基であり、
前記Rは芳香族ジアミンから誘導された2価の有機基である。
【0014】
本発明の他の形態は、前記液晶配向剤を基板に塗布して製造される液晶配向膜を提供する。
【0015】
以下、本発明の他の形態を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液晶配向剤は、基板への印刷性が優れていて、仮乾燥温度が変化しても塗布膜の均一性が優れている液晶配向膜を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の典型的な実施形態を詳細に説明する。しかし、これらの形態は、単なる典型例に過ぎず、本発明はこれらによって制限されない。
【0018】
本発明の一形態による液晶配向剤は、下記の化学式1で表される可溶性ポリイミド重合体および溶剤を含む。前記可溶性ポリイミド重合体の数平均分子量は10,000〜500,000g/molであり、分散度は1.2〜1.75である。
【0019】
【化2】

【0020】
上記化学式1で、
前記Rは、脂肪族環状酸二無水物および芳香族酸二無水物からなる群より選択される酸二無水物から誘導された4価の有機基であり、前記Rは、芳香族ジアミンから誘導された2価の有機基である。
【0021】
特に定義のない場合、本明細書で使用される、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロシクロアルキル基、置換のアリール基、または置換のヘテロアリール基との用語は、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1〜30のハロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30のヘテロアリール基、または炭素数1〜20のアルコキシ基に置換された、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはアルコキシ基を意味する。
【0022】
また、本明細書において、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール基は、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、およびリン(P)からなる群より選択されるヘテロ原子を1つの環内に1〜3個含み、残りは炭素である、シクロアルキル基またはアリール基を意味する。
【0023】
前記可溶性ポリイミド重合体は、芳香族ジアミン、脂肪族環状酸二無水物または芳香族環状酸二無水物からポリアミック酸を合成した後、前記ポリアミック酸をイミド化させて製造することができる。
【0024】
しかしながら、ポリアミック酸は、特に制限なく、ポリアミック酸の一般的な共重合の方法によって準備できる。
【0025】
前記脂肪族環状酸二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)、1,2,4−トリカルボキシ−3−メチルカルボキシシクロペンタン二無水物、1,2,3,4−テトラカルボキシシクロペンタン二無水物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含むが、これに限定されない。
【0026】
前記脂肪族環状酸二無水物の含有量は、酸二無水物含有量全体に対して5〜90モル%であるのが好ましい。他の形態によれば、10〜50モル%でもよい。
【0027】
前記脂肪族環状酸二無水物から誘導される4価の有機基は、下記の化学式2〜6で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される構造からなる。
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
上記化学式2〜6で、
前記Rは、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記nは0〜3の整数であり、
前記R〜R10は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基である。
【0034】
前記芳香族酸二無水物は、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6−FDA)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を含むが、これに限定されない。
【0035】
前記4価の有機基は、芳香族酸二無水物から誘導される。かかる4価の有機基は、下記の化学式7で表される化合物、化学式8で表される化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される構造を有する。
【0036】
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
上記化学式7および化学式8で、
前記R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R13およびR14は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記nおよびnは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、前記R15は、O、CO、C(CF、置換または非置換の炭素数1〜6のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3〜30のシクロアルキレン基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルキレン基からなる群より選択される置換基であり、前記nは、0または1の整数である。
【0039】
芳香族ジアミンは、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるが、これに限定されない。
【0040】
前記2価の有機基は、芳香族ジアミンから誘導される。かかる2価の有機基は、下記の化学式9〜11で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される構造を有してもよい。
【0041】
【化10】

【0042】
【化11】

【0043】
【化12】

【0044】
上記化学式9〜11で、
前記R16〜R18、R20〜R22、およびR41は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および、置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基、ならびに、O、COO、CONH、OCO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものをさらに含む前記置換基からなる群より選択され、
前記R19、R23、R24、およびR40は、それぞれ独立して、O、SO、C(CF、およびC(R42)(R43)(ここで、R42およびR43は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基である)からなる群より選択される置換基であり、
前記n〜n、n〜n11、およびn26は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n、n12、n13、およびn25は、それぞれ独立して、0〜1の整数である。
【0045】
また、液晶配向膜が液晶分子の調節容易なプレティルト角(easily-controlled pre-tilt angle)を有し、優れた配向性を有するように、前記芳香族ジアミンは、下記の化学式12〜14で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される機能性ジアミンを含んでもよい。
【0046】
【化13】

【0047】
上記化学式12で、
前記R26は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記n14は0〜3の整数であり、
前記R27は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基である。
【0048】
【化14】

【0049】
上記化学式13で、
前記R27〜R29は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R30は、O、COO、CONH、OCO、および(C(R38)(R39))n24(ここで、前記R38およびR39は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記n24は、1〜10の整数である)からなる群より選択される置換基であり、
前記R31は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記n15およびn17は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n16は、0〜3の整数であり、
前記n18は、0または1の整数である。
【0050】
【化15】

【0051】
上記化学式14で、
前記R32およびR33は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R34は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R35およびR36は、それぞれ独立して、OおよびCOOからなる群より選択される置換基であり、
前記R37は、O、COO、CONH、およびOCOからなる群より選択される置換基であり、
前記n19およびn20は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n21〜n23は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【0052】
前記ポリアミック酸を脱水閉環してイミド化させることによって、前記可溶性ポリイミド重合体を製造することができる。
【0053】
前記可溶性ポリイミド重合体は、数平均分子量が10,000〜500,000g/molであり、分散度が1.2〜1.75である。前記可溶性ポリイミド重合体の分散度が1.2未満である場合には、製造された膜は、基板上に終端凝集現象(terminal aggregation)などの問題を有する場合があり、1.75超過である場合には、製造された膜は、基板の端部に膜の厚さ偏差が発生して、形成された塗布膜が不均一になる問題点がある。
【0054】
前記可溶性ポリイミド重合体の分散度は、前記芳香族ジアミン、前記機能性ジアミン、および前記酸二無水物の順序によって調節されうる。従来のように、前記芳香族ジアミンおよび前記機能性ジアミンを先に混合した後で前記酸二無水物と反応させる場合には、分散度が前記範囲内に調節されない。
【0055】
つまり、前記芳香族ジアミンおよび前記酸二無水物を反応させた後で前記機能性ジアミンと反応させたり、または前記機能性ジアミンおよび前記酸二無水物を反応させた後で前記芳香族ジアミンと反応させる場合に、前記可溶性ポリイミド重合体の分散度を前記範囲内に調節することができる。ただし、前記可溶性ポリイミド重合体の分散度を調節する方法は多様な方法が利用され、前記方法に限定されない。
【0056】
前記液晶配向剤は、前記可溶性ポリイミド重合体および前記可溶性ポリイミド重合体を溶解することができる溶剤を含む。
【0057】
前記溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、およびメタクレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒などを好ましく使用することができる。
【0058】
また、前記溶剤は、貧溶媒のアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、またはハロゲン化炭化水素類を、前記可溶性ポリイミド重合体が析出されない限度内で使用することができる。前記貧溶媒は、液晶配向剤の表面エネルギーを低くして、塗布時の拡散性および平坦性を向上させるためである。
【0059】
前記貧溶媒は、溶剤全体に対して1〜90体積%の範囲で使用するのが好ましく、1〜70体積%の範囲で使用するのがより好ましい。
【0060】
前記貧溶媒の具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水酸化ジエチル、マロン酸エステル、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールフェニルメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエチル、ジエチレングリコールジメチルエチル、ジエチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、メチルメトキシブタノール、エチルメトキシブタノール、メチルエトキシブタノール、エチルエトキシブタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものがある。
【0061】
前記液晶配向剤における前記溶剤の含有量は特に制限されないが、前記液晶配向剤の固形分が0.01〜30重量%、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%になるように使用する。前記固形分の含有量が0.01重量%未満である場合には、印刷時に基板の表面の影響を受けて膜の均一度が低下する問題があり、30重量%を超える場合には、高粘度によって印刷時に形成される膜の均一度が低下し、透過率が低下する問題がある。
【0062】
前記液晶配向剤は、伸長粘度が1.5〜2.2Pa・sであるのが好ましい。前記液晶配向剤の伸長粘度が1.5Pa・s未満である場合には、印刷時に基板の端部に染み現象が発生し、2.2Pa・sを超える場合には、印刷時に基板の端部に膜の厚さ偏差が発生して、形成された塗布膜が不均一になる問題点がある。
【0063】
前記液晶配向剤は、信頼性および電気光学特性の向上のために、2〜4個のエポキシ官能基を有するエポキシ化合物を1種以上含むことができる。前記エポキシ化合物は、前記可溶性ポリイミド重合体100重量部に対して0.01〜50重量部で含まれるのが好ましく、1〜30重量部で含まれるのがより好ましい。前記エポキシ化合物の含有量が30重量部を超える場合には、基板への塗布時に印刷性や平坦性を低下させることがあり、1重量部未満である場合には、エポキシ化合物を添加する効果が微小であるので、1〜30重量部で含まれるのがより好ましい。
【0064】
前記エポキシ化合物の具体的な例としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノフェニルメタン(TGDDM)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノフェニルエタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノフェニルプロパン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノフェニルブタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンゼンなどがあるが、これに限定されない。
【0065】
また、前記液晶配向剤は、基板との接着力を向上させ、平坦性および膜コーティング性を向上させるために、シランカップリング剤または界面活性剤を追加的に使用することができる。
【0066】
前記液晶配向剤は、基板に塗布して、液晶配向膜を形成させることができる。前記液晶配向剤を前記基板に塗布する方法としては、スピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット法などがある。その中でも、フレキソ印刷法は、形成した塗布膜の均一性が優れていて、大型化が容易であるため、好ましく使用することができる。
【0067】
前記基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されずに使用することができ、ガラス基板またはアクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板を使用することができる。また、液晶の駆動のためのITO電極などが形成された基板を使用するのが製造工程の簡素化の観点で好ましい。
【0068】
前記液晶配向剤は、塗布膜の均一性を高めるために、基板に均一に塗布した後で、室温〜200℃、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜120℃の温度で1〜100分間の仮乾燥を実施するのが好ましい。前記仮乾燥によって液晶配向剤の各成分の揮発度を調整することによって、均一で偏差がない塗布膜を製造することができる。
【0069】
その後、再び80〜300℃、好ましくは120〜280℃の温度で5〜300分間の焼成を実施して完全に溶剤成分を蒸発させることによって、液晶配向膜を形成することができる。
【0070】
このような方法で形成された液晶配向膜は、ラビングまたは偏光紫外線の照射による一軸配向処理を行うことによって、垂直配向膜などの一部の用途では一軸配向処理を行わずに、液晶表示素子に使用される。前記液晶配向膜は、均一性が高いため、大型基板を使用する場合にも良好な収率で液晶表示素子を製造することができる。
【0071】
以下、本発明の一実施態様による液晶配向剤を製造するための具体的な方法、およびこのような方法を利用して製造された液晶配向剤を利用して液晶配向膜を製造する方法を、具体的な実施例および比較例を提示して説明する。しかし、ここに記載されない内容は、この技術分野で熟練した者であれば十分に技術的に類推可能であるので、その説明は省略する。
【実施例】
【0072】
〔液晶配向剤の製造〕
〔実施例1〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0073】
続いて、前記完全溶解した溶液に下記の化学式15で表される3,5−ジアミノフェニルデシルソクシイミド0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果物を激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。かかる溶液を温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0074】
そして、前記ポリアミック酸溶液に3.0モルの酢酸無水物および5.0モルのピリジンを添加した。結果物を80℃に昇温させて6時間反応させた後、真空蒸留させて、固形分の含有量が30重量%の可溶性ポリイミド樹脂を製造した。
【0075】
そして、前記可溶性ポリイミド樹脂にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、常温で24時間攪拌して、液晶配向剤を製造した。
【0076】
【化16】

【0077】
〔実施例2〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式15で表される3,5−ジアミノフェニルデシルソクシイミド0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0078】
続いて、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果物を、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。この最終結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0079】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0080】
〔実施例3〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、固体状態の1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0081】
続いて、前記完全溶解した溶液に、下記の化学式16で表される3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルを入れた。そして、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。それを、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0082】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0083】
【化17】

【0084】
〔実施例4〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式16で表される3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0085】
続いて、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果物を激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。最終結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0086】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0087】
〔実施例5〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0088】
続いて、前記完全溶解した溶液に下記の化学式17で表される2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−トリアジン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果物を激しく攪拌した。
【0089】
この時の固形分の含有量は15重量%であった。最終結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0090】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0091】
【化18】

【0092】
〔実施例6〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式17で表される2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−トリアジン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0093】
続いて、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果物を激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。最終結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0094】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0095】
〔実施例7〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0096】
前記完全溶解した溶液に前記化学式15で表される3,5−ジアミノフェニルデシルソクシイミド0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた後、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0097】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0098】
〔実施例8〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式15で表される3,5−ジアミノフェニルデシルソクシイミド0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0099】
その後、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。結果溶液を激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。最終結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0100】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0101】
〔実施例9〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0102】
続いて、前記完全溶解した溶液に前記化学式16で表される3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させ、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0103】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0104】
〔実施例10〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式16で表される3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0105】
続いて、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させ、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0106】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0107】
〔実施例11〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に入れて完全溶解させた。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0108】
続いて、前記完全溶解した溶液に前記化学式17で表される2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−トリアジン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させ、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0109】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0110】
〔実施例12〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、前記化学式17で表される2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−。その後、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを入れて完全溶解させた。
【0111】
続いて、前記完全溶解した溶液にフェニレンジアミン0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させ、激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を、温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0112】
前記ポリアミック酸溶液を実施例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0113】
〔比較例1〕
撹拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置、および冷却器が装着された4口フラスコに窒素を通過させながら、フェニレンジアミン0.5モルおよび前記化学式15で表される3,5−ジアミノフェニルデシルソクシイミド0.5モルを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を入れて溶解させた。その後、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モルを入れて激しく攪拌した。この時の固形分の含有量は15重量%であった。結果物を温度を30〜50℃に維持して10時間反応を行って、ポリアミック酸溶液を製造した。
【0114】
続いて、前記ポリアミック酸溶液に3.0モルの酢酸無水物および5.0モルのピリジンを添加した。結果混合物を80℃に昇温させて6時間反応させた。その後、真空蒸留させて、固形分の含有量が30重量%の可溶性ポリイミド樹脂を製造した。
【0115】
前記可溶性ポリイミド樹脂にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加した。結果物を常温で24時間攪拌して、液晶配向剤を製造した。
【0116】
〔比較例2〕
前記化学式16で表されるジアミン3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0117】
〔比較例3〕
前記化学式17で表されるジアミン2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−トリアジン0.5モルを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0118】
〔比較例4〕
酸二無水物として5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0119】
〔比較例5〕
前記化学式16で表されるジアミン3,5−ビス(3−アミノフェニル)−メチルフェノキシトリフルオロペンタデカン0.5モルおよび酸二無水物として5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0120】
〔比較例6〕
前記化学式17で表されるジアミン2,4−ジニトロフェノキシ−6−ヘキサデシル−1,3,5−トリアジン0.5モルおよび酸二無水物として5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)1.0モルを使用したことを除いては、比較例1と同様の方法で液晶配向剤を製造した。
【0121】
〔製造された可溶性ポリイミド重合体の分散度の測定〕
前記実施例1〜12および比較例1〜6で製造された液晶配向剤に対して、GPC(gel permeation chromatography、CTS30(登録商標),Younglin社)装備を利用して数平均分子量および分散度を測定した。その結果を下記の表1に示した。
【0122】
〔製造された液晶配向剤の伸長粘度の測定〕
前記実施例1〜12および比較例1〜6で製造された液晶配向剤に対してCaBER(登録商標)(capillary breakup extensional rheometer、TA instrument社)装備を利用して伸長粘度および液体フィラメントが切れる時間(tbreak)を測定した。その結果を下記の表1に示した。
【0123】
〔終端塗布膜の均一性の評価〕
洗浄したITOが付着されたガラス基板上に、前記実施例1〜12および比較例1〜6で製造された液晶配向剤を各々配向膜印刷器(CZ200(登録商標)、ナカン社)を使用してフレキソ印刷した。前記印刷された基板を50〜90℃のホットプレート上に2〜5分間放置して、塗布膜の仮乾燥を実施した。
【0124】
前記基板を仮乾燥した後、前記基板を200〜230℃のホットプレート上で10〜30分間焼成して、液晶配向膜が付着された基板を製造した。
【0125】
前記液晶配向膜の膜面を肉眼および電子顕微鏡(MX50(登録商標)、オリンパス社)で観察して基板の全面(中央部分および端部)にかけて塗布膜の厚さの変化を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0126】
下記の表1で、膜の厚さ偏差が0.005μm未満である場合を「良好」と示し、0.005〜0.01μmである場合を「普通」と示し、0.01μmを超える場合を「不良」と示した。
【0127】
【表1】

【0128】
前記表1を参照すれば、実施例1〜12の液晶配向剤の場合、分散度が1.2〜1.75であり、伸長粘度およびtbreakが相対的に小さい。反面、比較例1〜6の液晶配向剤の場合、分散度が1.75を超えて、伸張点粘度およびtbreakが相対的に大きい。
【0129】
また、実施例1〜12の液晶配向剤を利用して製造された液晶配向膜は、比較例1〜6の液晶配向剤を利用して製造された液晶配向膜に比べて、伸長粘度およびtbreakが小さく、終端凝集現象が発生しないことが確認された。また、前記実施例1〜12の液晶配向剤を利用して製造された液晶配向膜は、印刷性が優れていて、形成された塗布膜が均一であることが確認された。
【0130】
以上で、本発明の一実施態様を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に実施され、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに異なる具体的な形態に実施されるということを理解することができる。したがって、以上で記載した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される可溶性ポリイミド重合体および溶剤を含み、
前記可溶性ポリイミド重合体の数平均分子量が10,000〜500,000g/molであり、分散度が1.2〜1.75である、液晶配向剤:
【化1】

前記化学式1で、
前記Rは、脂肪族環状酸二無水物および芳香族酸二無水物からなる群より選択される酸二無水物から誘導された4価の有機基であり、
前記Rは、芳香族ジアミンから誘導された2価の有機基である。
【請求項2】
前記液晶配向剤は、伸長粘度が1.5〜2.2Pa・sである、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記液晶配向剤は、固形分の含有量が液晶配向剤全体に対して0.01〜30重量%である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
前記脂肪族環状酸二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン−2,3,5、6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)、1,2,4−トリカルボキシ−3−メチルカルボキシシクロペンタン二無水物、1,2,3,4−テトラカルボキシシクロペンタン二無水物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
前記Rは、下記の化学式2〜6で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される4価の有機基である、請求項1に記載の液晶配向剤:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

上記化学式2〜6で、
前記Rは、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記nは0〜3の整数であり、
前記R〜R10は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基である。
【請求項6】
前記芳香族酸二無水物は、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6−FDA)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
前記Rは、下記の化学式7で表される化合物、化学式8で表される化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される4価の有機基である、請求項1に記載の液晶配向剤:
【化7】

【化8】

上記化学式7および化学式8で、
前記R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R13およびR14は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記nおよびnは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり、
前記R15は、O、CO、C(CF、置換または非置換の炭素数1〜6のアルキレン基、置換または非置換の炭素数3〜30のシクロアルキレン基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルキレン基からなる群より選択される置換基であり、前記nは、0または1の整数である。
【請求項8】
前記芳香族ジアミンは、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項9】
前記Rは、下記の化学式9〜11で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される2価の有機基である、請求項1に記載の液晶配向剤:
【化9】

【化10】

【化11】

上記化学式9〜11で、
前記R16〜R18、R20〜R22、およびR41は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基、ならびに、O、COO、CONH、OCO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものをさらに含む前記置換基からなる群より選択され、
前記R19、R23、R24、およびR40は、それぞれ独立して、O、SO、C(CF、およびC(R42)(R43)(ここで、R42およびR43は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基である)からなる群より選択される置換基であり、
前記n〜n、n〜n11、およびn26は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n、n12、n13、およびn25は、それぞれ独立して、0〜1の整数である。
【請求項10】
前記芳香族ジアミンは、下記の化学式12〜14で表される化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の液晶配向剤:
【化12】

上記化学式12で、
前記R26は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記n14は0〜3の整数であり、
前記R27は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
【化13】

上記化学式13で、
前記R27〜R29は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R30は、O、COO、CONH、OCO、および(C(R38)(R39))n24(ここで、前記R38およびR39は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、前記n24は、1〜10の整数である)からなる群より選択される置換基であり、
前記R31は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記n15およびn17は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n16は、0〜3の整数であり、
前記n18は、0または1の整数であり、
【化14】

上記化学式14で、
前記R32およびR33は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R34は、水素、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基、および置換または非置換の炭素数2〜30のヘテロアリール基からなる群より選択される置換基であり、
前記R35およびR36は、それぞれ独立して、OおよびCOOからなる群より選択される置換基であり、
前記R37は、O、COO、CONH、およびOCOからなる群より選択される置換基であり、
前記n19およびn20は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
前記n21〜n23は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【請求項11】
前記液晶配向剤は、2〜4個のエポキシ官能基を有するエポキシ化合物を前記可溶性ポリイミド重合体100重量部に対して1〜30重量部でさらに含む、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項12】
請求項1の液晶配向剤を基板に塗布して製造された、液晶配向膜。

【公表番号】特表2010−538311(P2010−538311A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522778(P2010−522778)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【国際出願番号】PCT/KR2007/007035
【国際公開番号】WO2009/028770
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】