説明

液晶配向剤

【課題】光配向法によって良好なプレチルト特性を得ることができ、しかも長時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、(A)テトラカルボン酸二無水物と、光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸A、および(B)1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを反応させて得られるポリアミック酸B(ただし、上記ポリアミック酸Aは除く)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、印刷性に優れ、かつ、長時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を与える液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子の動作モードとしては、正の誘電異方性を有する液晶分子を用いるTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型など、および負の誘電異方性を有する液晶分子を用いるVA(Vertical Alignment)型などが知られており、それぞれ液晶分子の配向制御のために主として有機膜からなる液晶配向膜が使用されている(特許文献1〜4)。
上記TN型、STN型などにおける液晶配向膜は液晶分子の高速応答のため、上記VA型などにおける液晶配向膜は液晶駆動時の傾き方向を一定とするため、それぞれプレチルト角特性を有する必要がある。このプレチルト角特性を付与する方法としては、前者においてはラビング法が、後者においてはラビング法、基板表面に突起物を設ける方法などによることが一般的であった。このうち、ラビング法は工程内で発生するほこりや静電気が表示不良や回路破壊の問題を引き起こす場合があり、一方、基板表面に突起物を設ける方法は得られる液晶表示素子の輝度が損なわれる場合があるなど、いずれも問題を有していた。
そこでこれらに代わるプレチルト角付与方法として、感光性薄膜に紫外線を膜法線に対して斜め方向から照射することによる、いわゆる光配向法が提案されている(特許文献5および非特許文献1)。
【0003】
近年、液晶表示素子は、特にテレビジョン用途への展開が急であり、従来の液晶表示素子と比較すると桁外れの長時間視聴が現実化してきている。ところが、従来知られている液晶表示素子を長時間連続駆動すると、表示品位が劣化することが知られている。その理由のひとつは、長時間駆動により液晶配向膜が長時間光に晒されることにより劣化することにあると考えられている。そのため液晶配向膜の分野においては、長時間連続駆動した場合でも表示性能の劣化を来たさない材料の検討がなされている。
例えば特許文献6では、架橋構造を有する配向膜材料の使用が提案されている。しかしながら、同文献の技術によっても長時間連続駆動した場合における表示品位劣化の抑制の程度は十分ではない。
また、液晶配向膜の製造に際して従来知られている液晶配向剤を使用すると、形成される塗膜に印刷ムラやピンホールなどの印刷不良が一定の確率で生じ、液晶配向膜製造の際の製品歩留まりが不十分であることが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭56−91277号公報
【特許文献2】特開平1−120528号公報
【特許文献3】特開平11−258605号公報
【特許文献4】特開2002−250924号公報
【特許文献5】特開2004−83810号公報
【特許文献6】特開2008−216985号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. of the SID 11/3, 2003, p579
【非特許文献2】T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光配向法によって良好なプレチルト特性を得ることができ、しかも長時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、印刷性に優れた液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば本発明の上記目的および利点は、
(A)テトラカルボン酸二無水物と、光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸A、および
(B)1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを反応させて得られるポリアミック酸B(ただし、上記ポリアミック酸Aは除く)
を含有することを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液晶配向剤は、光配向法を適用しうる液晶配向剤として従来知られている液晶配向剤と比較して、印刷性に優れており、かつ、長時間連続駆動した場合であっても表示性能の劣化を来たさない液晶配向膜を形成することができる。
それゆえ、本発明の液晶配向膜を液晶表示素子に適用した場合、得られる液晶表示素子は、その表示特性、信頼性などの諸性能に優れるものとなる。従って、該液晶表示素子は種々の装置に有効に適用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビなどの装置に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の液晶配向剤は、上記のとおり、
(A)テトラカルボン酸二無水物と、光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸A、および
(B)1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを反応させて得られるポリアミック酸B(ただし、上記ポリアミック酸Aは除く)を含有する。
【0010】
[ポリアミック酸A]
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリアミック酸Aを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、2,4,6,8−テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンなどを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを、それぞれ挙げることができるほか、特願2009−157556号に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。
【0011】
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、これらのうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むものであることが好ましく、特に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含むものであることが好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、10モル%以上含むものであることが好ましく、20モル%以上含むものであることがより好ましい。
前記ポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物のみからなるものであるか、あるいは2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物のみからなるものであることが、最も好ましい。
【0012】
<ジアミン>
本発明におけるポリアミック酸Aを合成するために用いられるジアミンは、光反応性構造を有するジアミンを含む。
【0013】
光反応性構造としては、光の照射によって異性化および二量化から選択される少なくとも一つの反応をしうる機能を有する構造であることが好ましく、例えば下記式(A−2)
【0014】
【化1】

【0015】
(式(A−2)中、dは0または1であり、AおよびAは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、eおよびfは、それぞれ、0〜4の整数であり、「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
で表される構造を挙げることができる。
上記式(A−2)におけるAおよびAとしては、それぞれ、炭素数1〜6のアルコキシル基またはハロゲン原子であることが好ましい。eおよびfは、それぞれ、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
光反応性構造を有するジアミンは、さらに液晶分子を配向させる機能を有する部位を持っていることが好ましく、かかる部位をも具備する光反応性構造としては、例えば下記式(A−2−1)および(A−2−2)
【0016】
【化2】

【0017】
(式(A−2−1)および(A−2−2)中、A、A、d、eおよびfは、それぞれ、上記式(A−2)におけるのと同義であり、
およびRIIは、それぞれ、水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜40のアルキル基であり、
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−または−O−CO−O−(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)であり、
IIIは、それぞれ、メチレン基、アリーレン基、2価の脂環式基、−Si(CH−、−CH=CH−または−C≡C−であり、ただしRIIIの有する水素原子の1個または2個以上は、シアノ基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基に置換されていてもよく、hは1〜6の整数であり、iは0〜2の整数であり、上記XIIおよびRIIIが複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても相異なっていてもよく、jは0または1であり、そして「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
のそれぞれで表される構造から選択される少なくとも1種の構造を挙げることができる。
【0018】
上記式(A−2−1)および(A−2−2)におけるRおよびRIIの水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜40のアルキル基であり、
炭素数1〜40のアルキル基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、ただしこのアルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されていてもよい、であることが好ましい。かかるアルキル基の例としては、例えばn−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフロロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基等を挙げることができる。
水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜40のアルキル基としては、直鎖状または分岐状の炭素数1〜16のフルオロアルキル基が好ましく、良好な液晶配向性を発現しうるとの観点から炭素数1〜8の直鎖のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数3〜6の直鎖のフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。例えば2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−n−ペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基などを挙げることができ、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−n−ペンチル基が好ましい。
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−であることが好ましい。
光反応性構造を有するジアミンは、かかる光配向性構造を、一分子中に1個または2個以上有していればよく、かかる構造を1個または2個有するものであることが好ましい。
【0019】
かかる光反応性構造を有するジアミンの具体例としては、上記式(A−2−1)で表される構造を有するものとして、例えば下記式(A−2−1−1)〜(A−2−1−27)
【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
【化8】

【0026】
【化9】

【0027】
【化10】

【0028】
のそれぞれで表される化合物などを、上記式(A−2−2)で表される構造を有するものとして、例えば下記式(A−2−2−1)〜(A−2−2−2)
【0029】
【化11】

【0030】
で表される化合物などを、それぞれ挙げることができる。
【0031】
前記ポリアミック酸Aを合成するために用いられるジアミンとしては、前記光反応性構造を有するジアミン以外のジアミンを併用することができる。ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
【0032】
芳香族ジアミンとして、例えばp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、
【0033】
4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、
【0034】
オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、
【0035】
1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサンおよび下記式(A−1)
【0036】
【化12】

(式(A−1)中、Xは炭素数1〜3のアルキル基、−O−、−COO−または−OCO−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であり、aは0または1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数である。)
で表される化合物などを;
【0037】
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができるほか、
特願2009−157556号に記載のジアミンを用いることができる。
【0038】
上記式(A−1)におけるXは炭素数1〜3のアルキル基、−O−または−COO−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基C2c+1−の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などを挙げることができる。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位または3,5−位にあることが好ましい。
上記式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1−1)〜(A−1−4)
【0039】
【化13】

【0040】
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記式(A−1)において、aおよびbは同時に0にはならないことが好ましい。
【0041】
[ジアミンの組成]
本発明におけるポリアミック酸Aを合成するために用いられるジミアンは、前記光反応性構造を有するジアミンを含むものであり、任意的にその他のジアミンの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
本発明におけるポリアミック酸Aを合成するために用いられる光反応性構造を有するジアミンジアミンは、全ジアミンに対して、50〜99モル%含むものであることが好ましく、特に80〜95モル%含むものであることが好ましい。
【0042】
[分子量調節剤]
前記ポリアミック酸Aを合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸二無水物およびジミアンとともに、適当な分子量調節剤を用いて末端修飾型の重合体を合成することとしてもよい。かかる末端修飾型の重合体とすることにより、本発明の効果を損なうことなく液晶配向剤の塗布性(印刷性)を改善することができる。
前記分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
【0043】
これらの具体例としては、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを;
モノアミン化合物として、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミンなどを;
モノイソシアネート化合物として、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを、それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
【0044】
<ポリアミック酸Aの合成>
ポリアミック酸Aの合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃において、好ましくは0.1〜120時間、より好ましくは0.5〜48時間行われる。
ここで、有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール性溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜50重量%になるような量であることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。
この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
【0045】
[ポリアミック酸B]
ポリアミック酸Bは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを反応させて得られるものである。
【0046】
前記ポリアミック酸Bを合成するために、前記特定テトラカルボン酸二無水物およびジアミン以外のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを併用することができる。ここで使用することのできるその他のジアミンとしては、例えばポリアミック酸Aを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンとして上述したもの(ただし、光反応性構造を有するジアミンは含まない)と同様のものを挙げることができる。
ポリアミック酸Bを合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物を、使用する全テトラカルボン酸二無水物に対して50モル%以上含むものであることが好ましく、80モル%以上含むものであることがより好ましい。
ポリアミック酸Bを合成するために用いられるジアミンは、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを、使用する全ジアミンに対して50モル%以上含むものであることが好ましく、80モル%以上含むものであることがより好ましい。
ポリアミック酸Bは上記ポリアミック酸Aと同様にして合成することができる。
【0047】
上記ポリアミック酸Aを、上記ポリアミック酸Aと上記ポリアミック酸Bの合計を基準にして10〜70重量%含有することが好ましく、20〜50重量%含有することがより好ましい。上記ポリアミック酸Aの使用割合が、上記ポリアミック酸Aと上記ポリアミック酸Bの合計を基準にして10重量%未満ではプレチルト角耐光性に劣る場合があり、70重量%より多いと残留DC電圧が大きくなる場合がある。
【0048】
<その他の成分>
本発明の液晶配向膜は、上記の如き特定重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば上記特定重合体以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
【0049】
[その他の重合体]
上記他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかる他の重合体は、上記の如き特定重合体以外の重合体であり、ポリアミック酸A、ポリアミック酸B以外のポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸が好ましい。
【0050】
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを好ましいものとして挙げることができる。これらエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0051】
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、
【0052】
10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
【0053】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き特定重合体ならびに必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、従来ポリアミック酸およびポリイミドの貧溶媒であると信じられている有機溶媒も適宜選択して併用することができる。かかる有機溶媒の好ましい例としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、
【0054】
エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチルカルビトール、エトキシエチルプロピオネート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
本発明の液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤のうち有機溶媒を除いた成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、これを基板表面に塗布し、有機溶媒を除去することにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難くなる場合があり、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって同様に良好な液晶配向膜を得難くなる場合があり、また液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
【0056】
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範好ましい。
【0057】
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤は、光配向法により液晶配向膜を形成するために好適に使用することができる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えば液晶配向剤を基板上に塗付して塗膜を形成し、該塗膜に、偏光もしくは非偏光の紫外線を塗膜面に対して斜めから照射するか、または偏光紫外線を塗膜面に対して垂直方向から照射して塗膜に液晶配向能を付与する方法を挙げることができる。
【0058】
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。塗布後、該塗布面を、予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより塗膜を形成する。プレベーク条件は、例えば40〜120℃において0.1〜5分であり、ポストベーク条件は、好ましくは120〜300℃、より好ましくは150〜250℃において、好ましくは5〜200分、より好ましくは10〜100分である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックなどからなる透明基板などを用いることができる。
【0059】
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA膜、In−SnOからなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や透明導電膜を形成する際にマスクを用いる方法などが用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネート化合物などを塗布しておいてもよい。
【0060】
次いで塗膜に、偏光または非偏光の紫外線を照射することにより、液晶配向能を付与して前記塗膜は液晶配向膜となる。ここで、放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。用いる放射線が偏光(直線偏光または部分偏光)している場合には、塗膜面に対して垂直方向から照射してもプレチルト角付与のために斜め方向から照射してもよい。一方、非偏光の放射線を照射する場合には、照射は塗膜面に対して斜め方向から行う必要がある。
【0061】
照射放射線の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
【0062】
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10,000J/m未満であり、より好ましくは10〜3,000J/mである。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m以下、さらに1,000J/m以下、さらには300J/m以下であっても良好な液晶配向能を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
【0063】
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、この2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
【0064】
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
【0065】
いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。ここで、液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向のなす角度およびそれぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
【0066】
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを好ましく用いることができる。
TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。また前記液晶に、例えばコレステリルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
【0067】
一方、垂直配向型液晶セルの場合には、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
かくして製造された本発明の液晶表示素子は、表示性能に優れ、長時間使用しても表示性能が劣化することがない。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の合成例における重合体の溶液粘度、ポリイミドのイミド化率は、それぞれ下記の方法により評価した。
【0069】
[重合体の溶液粘度]
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、各重合体溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
各合成例で得たポリイミドを含有する溶液を少量分取して純水に投入し、得られた沈殿をろ過により回収することによりポリイミドを単離した。このポリイミドを室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定したH−NMRから、下記数式(1)により求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)
(数式(1)中、Aは10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。
【0070】
<重合体の合成例および比較合成例>
[ポリアミック酸Aの合成]
合成例1〜31
N−メチル−2−ピロリドン135gに、第1表に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を、この順に加えて溶解し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が、反応溶液の全重量に対して10重量%である溶液とし、これを60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸(PA−1)〜(PA−31)をそれぞれ10重量%含有する溶液各150gをそれぞれ得た。ここで得られた各溶液の粘度を第1表に併せて示した。
【0071】
[ポリイミドの合成]
比較合成例1〜15
N−メチル−2−ピロリドン135gに、第2表に示した種類および量のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を、この順に加えて溶解し、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の合計重量が、反応溶液の全重量に対して10重量%である溶液とし、これを60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸10重量%含有する溶液各150gをそれぞれ得た。ここで得られた各溶液の粘度を第1表に併せて示した。
【0072】
次いで、これら各ポリアミック酸を含有する溶液のそれぞれに、第2表に示した量のピリジンおよび無水酢酸をそれぞれ添加し、110℃において4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、ポリイミド(RPI−1)〜(RPI−15)をそれぞれ15重量%含有する溶液を得た。各溶液の収量、各溶液の少量をそれぞれ分取してN−メチル−2−ピロリドンを加えて10重量%に希釈して測定した溶液粘度および各ポリイミドのイミド化率を、それぞれ第2表に併せて示した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
なお、第1表および第2表において、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の略称は、それぞれ以下の意味である。
[ジアミン]
第二のジアミン
d−1:上記式(A−2−1−1)で表される化合物
d−2:上記式(A−2−1−2)で表される化合物
d−3:上記式(A−2−1−3)で表される化合物
d−4:上記式(A−2−1−4)で表される化合物
d−5:上記式(A−2−2−1)で表される化合物
d−6:上記式(A−2−1−5)で表される化合物
d−7:上記式(A−2−1−6)で表される化合物
d−8:上記式(A−2−1−7)で表される化合物
d−9:上記式(A−2−1−8)で表される化合物
d−10:上記式(A−2−1−9)で表される化合物
d−11:上記式(A−2−1−10)で表される化合物
d−12:上記式(A−2−1−11)で表される化合物
d−13:上記式(A−2−1−12)で表される化合物
d−14:上記式(A−2−1−13)で表される化合物
第一のジアミン
d−15:3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル
d−16:1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
d−17:3,5−ジアミノ安息香酸コレステリル
【0077】
[テトラカルボン酸二無水物]
t−1:1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、
t−2:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
t−3:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
[ポリアミック酸Bの合成]
合成例OPA−1
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルメタン200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン230gおよびγ―ブチロラクトンからなる混合溶媒2,100gに溶解し、40℃で3時間反応を行った後、γ―ブチロラクトン1,350gを追加することにより、ポリアミック酸(OPA−1)を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は125mPa・sであった。
【0078】
合成例OPA−2
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物200g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン370gおよびγ―ブチロラクトン3,300gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(OPA−2)を10重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は160mPa・sであった。
【0079】
[ポリイミドの合成]
合成例OPI−3
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物 110g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン43g(0.40モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン52g(0.10モル)を、N−メチル−2−ピロリドン830gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。 得られたポリアミック酸溶液を小量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて固形分濃度10%の溶液で粘度を測定したところ、60mPa・sであった。次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP1900gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、イミド化率約50%のポリイミド(OPI−3)を約15重量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は47mPa・sであった。
【0080】
実施例1
I.液晶配向剤の調製
重合体として、上記合成例1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液および上記合成例OPA−2で得たポリアミック酸(OPA−2)を含有する溶液を、ポリアミック酸(PA−1):ポリアミック酸(OPA−2)=20:80(重量比)になるように混合し、これにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がBL:NMP:DEDG=30:20:50(重量比)、固形分濃度が3重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
【0081】
III.液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤をITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面にスピンコート法により塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、庫内を窒素置換した200℃のオーブン中で40分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて波長313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向性を付与し、液晶配向膜とした。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)製造した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を対向配置し、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを120℃まで加熱してから室温まで徐冷することにより、液晶セルを製造した。
この液晶セルにつき、以下の方法により液晶配向性、プレチルト角および電圧保持率をそれぞれ評価した。評価結果は第3表に示した。
【0082】
IV.液晶セルの評価
(1)液晶配向性
上記で製造した液晶セルに対し、25℃において5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合を液晶配向性「良好」として評価した。
(2)電圧保持率
上記で製造した液晶セルに対し、70℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を、(株)東陽テクニカ製の「VHR−1」により測定した。
【0083】
(3)プレチルト耐光性の評価
上記で製造した液晶セルに対し、非特許文献2(T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980))に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によってプレチルト角を測定した(初期プレチルト角(θIN))。次いで該液晶セルに対しカーボンアークを光源とするウェザーメーターで5、000時間照射実験を実施し、上記と同様の方法により再度プレチルト角を測定した(照射後プレチルト角(θAF))。
【0084】
(4)残留DC電圧
上記で製造した液晶セルに対し、直流5Vを重畳した30Hz、3Vの矩形波を60℃の環境温度で2時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)をフリッカ−消去法により求めた。この値は残像特性の指標となり、この値がおおむね150mV以下のとき、残像特性は良好であるといえ、おおむね50mV以下のとき、特に優れているといえる。
実施例2〜34および比較例1〜17
上記実施例1において、重合体として第3表及び第4表に示した種類および量の重合体をそれぞれ用いたほかは、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶セルを製造して評価した。
評価結果は第3表及び第4表に示した。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
実施例35
V.液晶配向剤の調製
上記合成例1で得たポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液および上記合成例OPA−2で得たポリアミック酸(OPA−2)を含有する溶液を、(PA−1):(OPA−2)=20:80(重量比)になるように混合し、これにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がBL:NMP:BC=71:17:12(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
VI.印刷性の評価
上記で調製した液晶配向剤につき、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラおよびピンホールの有無を調べたところ、印刷ムラおよびピンホールとも観察されず、印刷性は良好であった。
【0089】
実施例36〜65
上記合成例1で得たポリアミック酸(PA−1)に替えて、上記合成例2〜31で得られたポリアミック酸(PA−2)〜(PA−31)を用いたほかは実施例35と同様にして、液晶配向剤を調製し、印刷性を評価したところ、印刷ムラおよびピンホールとも観察されず、印刷性は良好であった。
【0090】
比較例18〜32
上記合成例1で得たポリアミック酸(PA−1)に替えて、上記比較合成例1〜15で得られたポリイミド(RPI−1)〜(RPI−15)を用いたほかは実施例35と同様にして、液晶配向剤を調製し、印刷性を評価したところ、印刷ムラ及びピンホールが観察され、印刷性は不良であった。
【0091】
比較例33
上記合成例1で得たポリアミック酸(PA−1)に替えて、上記合成例16で得られたポリアミック酸(PA−16)を用い、上記合成例OPA−2で得たポリアミック酸(OPA−2)に替えて、上記合成例OPI−3で得られたポリイミド(OPI−3)を用いたほかは実施例35と同様にして、液晶配向剤を調製し、印刷性を評価したところ、印刷ムラ及びピンホールが観察され、印刷性は不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)テトラカルボン酸二無水物と、光反応性構造を有するジアミンを含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸A、および
(B)1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを反応させて得られるポリアミック酸B(ただし、上記ポリアミック酸Aは除く)
を含有することを特徴とする液晶配向剤。
【請求項2】
上記ポリアミック酸Aを、上記ポリアミック酸Aと上記ポリアミック酸Bの合計を基準にして10〜70重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
上記光反応性構造が、下記式(A−2)
【化1】

(式(A−2)中、dは0または1であり、AおよびAは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、ハロゲン原子またはシアノ基であり、eおよびfは、それぞれ、0〜4の整数であり、「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
で表される構造である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
上記式(A−2)で表される構造が、下記式(A−2−1)および(A−2−2)
【化2】

(式(A−2−1)および(A−2−2)中、A、A、d、eおよびfは、それぞれ、上記式(A−2)におけるのと同義であり、
およびRIIは、それぞれ、水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜40のアルキル基であり、
IIおよびXIIIは、それぞれ、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−または−O−CO−O−(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)であり、
IIIは、それぞれ、メチレン基、アリーレン基、2価の脂環式基、−Si(CH−、−CH=CH−または−C≡C−であり、ただしRIIIの有する水素原子の1個または2個以上は、シアノ基、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基に置換されていてもよく、
hは1〜6の整数であり、
iは0〜2の整数であり、
上記XIIおよびRIIIが複数存在する場合には、これらは互いに同一であっても相異なっていてもよく、
jは0または1であり、そして
「+」は、それぞれ、結合手であることを示す。)
のそれぞれで表される構造から選択される少なくとも1種の構造である、請求項3に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。

【公開番号】特開2011−158835(P2011−158835A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22370(P2010−22370)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】