説明

液晶高分子(LCP)物質を用いる変圧器及び関連する製造方法

変圧器及びその製造方法は、第1液晶高分子(LCP)シートの金属クラッド上にエッチングされた金属回路としての前半の1次及び2次巻き線を含む。2次巻き線は、1次巻き線と間隔を空けて配置される。第2LCPシートは、第1LCPシートの上に適用される。1次及び2次巻き線の後の半分は、第2LCPシートの金属クラッド上の金属回路としてエッチングされる。導電性ビアにより1次巻き線の各前半及び後半は、互いに相互接続され、2次巻き線の各前半及び後半は、互いに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器の分野に関し、特に、セラミック、フェライト又は液晶高分子物質を用いる変圧器及び関連する製造に関する。
【背景技術】
【0002】
インピーダンス整合用及びシングルエンドを差動に変換するバラン(BALUNS)用、小型、低コスト、小信号変圧器は、標準巻線磁心技術を用いる携帯用の設計としては、時々ひどく大きい。低温同時焼成セラミックスフェライトテープ及びペーストにおける幾つかの進歩は、巻線磁心に代わる物の製造を可能にする。例えば、変圧器構造又は類似装置用の幾つかの製造工程は、米国特許番号6,007,758及び5,802,702に開示されたような金属磁性基板又はグリーンテープ(green tape)プロセスを用いる。例えば、ビア(vias)は、セラミックの本体と導電材を塗布した側面とを通して形成できる。孔は、セラミック本体とビアとの交差を通して形成できる。非焼成セラミック体は、導電路を形成するように金属化できる。又、幾つかの装置は、グリーンテープ型製造を許す単一ビア塗布ステップで多非焼成フェライト層から形成できる。
【0003】
他のプロセスは、米国特許番号5,312,674及び5,532,667に開示されたような従来の低温同時焼成セラミックス(LTCC)及びフェライトテープ/インク組み合わせを使用する。例えば、強磁性材料は、低温同時焼成セラミックステープとほぼ同じ熱収縮特性である焼成形状を用い、インク又はテープの形で及び焼結可能に提供可能である。
【0004】
他の磁性素子は、米国特許番号5,349,743に開示されたような多層低温同時焼成セラミックス技術を用いるモノリシック(monolithic)構造として製造可能である。磁性材の複数の層及び絶縁非磁性材料は、磁性領域及び絶縁非磁性領域を有するモノリシック構造を形成できる。巻き線は、導電性ビアにより多層構造を通じて接続されたスクリーン印刷導体を用いて形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許番号6,007,758
【特許文献2】米国特許番号5,802,702
【特許文献3】米国特許番号5,312,674
【特許文献4】米国特許番号5,532,667
【特許文献5】米国特許番号5,349,743
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の厚膜印刷及び商業利用可能な多層セラミック(フェライト)テーププロセスが、巻き線無しの銀及び金厚膜導体とともに使用可能である事の確認が、改良に、望まれる。薄型で高周波、小信号応用の設計が実施される事が望まれる。導体と磁心を一体化できる融通性ある設計が望まれる。1次及び2次巻き線間の緊密な相互結合を提供するために最小の層数が、単純なパターンとともに望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
変圧器及びその製造方法は、2次巻き線が1次巻き線と間隔を開けた位置にあるように第1の液晶高分子(LCP)シートの金属クラッド上にエッチングされた金属回路としての1次及び2次巻き線の最初の半分を含む。第2のLCPシートは、第1のLCPシートの上に適用される。1次及び2次巻き線の後の半分は、第2のLCPシートの金属クラッド上の金属回路としてエッチングされる。1次巻き線の各前半及び後半部は、互いに相互接続され、2次巻き線の各第前半及び後半部は、導電性ビアにより互いに接続される。
【0008】
導電性ビアは、メッキした貫通孔又は導電性充填剤で充填されたパンチ孔として形成され得る。
【0009】
更に他の面において、1次及び2次LCPシートは、圧力釜内で融合可能である。1次及び2次LCPシートは、2軸配向され得る。フェライト充填剤は、1次及び2次LCPシートの少なくとも1に供給可能である。フェライト層を1次及び2次LCPシートの間に加えることができる。
【0010】
更に他の面において、LCPシートは、約25マイクロメータから約3ミリメータの間の薄さが可能である。金属クラッドは、1非制限の例において銅クラッドとして形成され得る。
【0011】
本発明の他の目的、機能及び利点は、添付図面が考慮される時、以降に記述される実施例を参照することにより明らかとなるであろう:
異なる実施例は、好ましい実施例が示される添付図面を参照してこれからより詳しく記述される。実施例が記述された多くの異なる形態は、実施例を制限するものとして構成されてはいない。むしろ、これらの実施例は、明細書が完全になるように提供され、当業者に発明の範囲を十分に伝える。本明細書を通じて類似の番号は類似の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】種々の電子素子及び標準設計を用い形成されたミニ回路としての3つの小変圧器及びそのような先行技術変圧器の大外形を示す先行技術回路基板の平面図である。
【図2】先行技術合成磁性素子構造の等角部分外見図である。
【図3】図2に示すものに類似の、しかし内部素子の異なる方向を示す先行技術合成磁性素子構造のもう1つの等角図である。
【図4】本発明の1非制限例による変圧器の平面図である。
【図5】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図6】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図7】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図8】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図9】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図10】図4に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図11】本発明の1非制限例による変圧器のもう1つの例の平面図である。
【図12】図11に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図13】図11に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図14】図11に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図15】図11に示す変圧器の製造用に使用される1つ続きのステップを示す平面図である。
【図16】液晶高分子(LCP)シートを用いる変圧器の製造用に使用されるステップの1例を示すフローチャートである。
【図17】図16のフローチャートに記述されるステップの例に従いLCPシートを用いることにより形成された変圧器の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書を通じて記述される非制限例により、記述された変圧器及びその製造方法は、例えば、非制限例として銀又は金の金属厚膜導体とともに同時焼成され得る従来の厚膜印刷及び商業利用可能な多層セラミック(フェライト)テーププロセスの使用を可能にする。巻き導線は必要ではなく且つ高周波、小信号応用のための小設計が可能である。その変圧器は、導体と磁心が一体化しているので、より融通の効く体積効率設計のための薄い断面を有する。記述されたような変圧器設計は、1次及び2次巻き線間の緊密な相互結合を提供する単純なパターン並びに最小の層数を使用できる。本発明の非制限例に従い、液晶高分子(LCP)シートを変圧器の製造に使うことは又、可能である。
【0014】
変圧器は、無線周波(RF)及び中間周波(IF)回路での使用に適合させることができ、且つ問題のある且つ共通の素子用に小型化できる。変圧器は、商業利用可能な材料を使用でき、商業利用可能なプロセスを用いて製造可能である。本発明の非制限例に従い、この変圧器の構造は、商品変圧器市場及び携帯無線設計での広い応用を有する。特にそれは、S帯受信器設計に関係しうる。
【0015】
記述目的のために、以下に先行技術設計の簡単な記述に引き続き、本発明の非制限例に従う変圧器及びその製造方法の非制限例が続く。
【0016】
図1は、集積回路(IC)12及び数多くの他の電子素子14を含む数多くの電子素子をその上に取り付けた回路基板10の平面図を示す。ミニ回路としての3つの「小」変圧器16は、回路基板10の上に取り付けられる。これらの先行技術変圧器は、標準巻線磁心技術を用いて形成可能である。これらの先行技術型変圧器16は、厚型で設置面積が大きい。幾つかの例において、その先行技術型変圧器16は、回路基板10上に図示され取り付けられている多くの他の素子12,14より垂直に、より大きい距離延びる。
【0017】
もう1つの先行技術モノリシック構造は、多層同時焼成セラミックステープ技術を用い、図2,3に例が示される。変圧器のようなこれらの磁性素子の製造は、多層の磁性材料を用い、よく定められた磁性及び絶縁非磁性領域でモノリシック構造を形成するために非磁性材料を絶縁する。巻き線は、導電性ビアにより多層構造を通じて接続されたスクリーン印刷導体を用い形成され得る。同時焼成多層構造は、マイクロ電子回路パッケージの製造における従来の厚膜技術とますます競合的になってきている事は理解されなければならない。同時焼成多層パッケージは、種々層のための非焼成グリーン(誘電性)セラミックテープで構成可能である。互換性ある導電性構成物は、誘電層と中間層接続ビアとの間に点在する印刷導体層を使うことができる。導体層は通常、グリーンテープ上に印刷され、アセンブリー全体は、1操作で積層され且つ焼成される。それは、回路の物理的大きさを小さくでき、信頼性を改善できる。
【0018】
図2及び3に示される先行技術例は、米国特許番号5,349,743に説明される。複数の2つのセラミックグリーンテープ材料は、よく定められた磁性及び非磁性領域を持った薄層構造を形成するために所望形状で層状になる。導電路は、選択された絶縁非磁性テープ層上に堆積される。これらの導電路は、磁性素子用に望みの多巻き線を作るために層中に形成されたビアによって接続される。
【0019】
導電路は、印刷又は他の堆積技術を受け入れ、且つフェライト材の焼成焼結プロセス特性と適合性のある導電材で構成可能である。適切な導電材料は、有機結合剤中に点在するパラジウム(Pd)又はパラジウム銀構成物(Pd-Ag)を含む。他の適切な構成物は、磁性素子を構成する時に使用されるフェライト材と同じ焼成焼結特性を有する、導電性金属酸化物(結合剤中に)を含む。
【0020】
層状化技術により形成された構造は、望まれる電気的磁気的特性を有するモノリシック磁性素子構造を形成するために、圧力下積層化され且つ摂氏1100度から1400度の温度で焼成焼結される。
【0021】
第2テープ材の電気抵抗を増加させ且つ更に透磁率を減少させるために、Niフェライト粉末材料は、全体の物質構成の1−10%モルに等しくなるまでMnにドープされる。
【0022】
図2に示される素子は、トロイダル磁心構造を有する多巻変圧器として構成される。このトロイダル磁心は、4つのよく定められたセクション31−34を有し、各セクションは、複数の高透磁セラミックグリーンテープ層から構成される。セクション32及び34は、導電性巻き線35及び36により各々、囲まれる。別々に採用されたこれらの巻き線は、変圧器の1次及び2次巻き線を形成する。もしこれらの巻き線が直列に接続されるなら、しかし、その構造は、多巻き誘導器として機能する。巻き導線35及び36は、導体巻き線のスクリーン印刷対により複数の絶縁非磁性セラミックグリーンテープ層上に形成可能である。各絶縁非磁性層は、磁性グリーンテープ層化した挿入物のセクションを含むための適切な開口部を有することができる。
【0023】
各層に印刷された巻き線は、導電性ビア37、即ち、導電物質で充填された貫通孔、を用いて他層の巻き線に接続される。追加の絶縁非磁性層は、磁気テープ部分のセクション31及び33を含むために用いられ且つ素子の上下構造を形成するために用いられる。導電性ビア38は、巻き線35及び36の端部を素子の頂面上のコネクターパッド39に接続するために用いられる。その構造の絶縁非磁性領域は、参照番号40によって言及される。巻き線35及び36の電流励起は、トロイダル磁心のセクション31−34により定義される閉磁路に磁束を作る。この実施例における磁束路は、垂直平面、例えば、図3に示すx−z面内にある。
【0024】
もう1つの先行技術磁性素子の見通し図は、図3に示す。この素子は又、先行実施例の場合のように、トロイダル磁心構造を有する多巻変圧器として構成される。図2の実施例から異なる主眼点は、磁束路がX−Y面内に水平に存在することである。トロイダル磁心は、絶縁非磁性材層である頂部及び底部部材55及び56の間に位置する磁性物質41の主構造により定められる。導電ビア61用のサポートを提供し、巻き線の部分を形成する絶縁非磁性材挿入物42,43,及び44の挿入により、部材41は更に中断される。巻き線51及び52は、変圧器の各々1次及び2次巻き線である。巻き線51及び52は、誘導器として形成するために直列に接続可能である。その構造の頂部近くの部材55の層上のスクリーン印刷導体と、その構造の底部近くの部材56の層上のスクリーン印刷導体と、巻き線を形成するためにこれらのスクリーン印刷導体を導電ビア61で相互接続する事により、これらの巻き線は形成される。コネクターパッド57は、部材58の最上層の最上面に印刷され、導電ビア62により巻き線51及び52に接続される。
【0025】
本発明の非制限例に従い、2つの異なる変圧器構造は、図4及び11に示され、共通磁心上の1次及び2次巻き線を示す。図4は、変圧器100を示し、開放領域104を有する長方形構成磁心102を示す。図4に示される変圧器100の製造に用いられるステップは、図5−10に示される。各々の1次及び2次巻き線106,108は、図示される。
【0026】
図5は、厚膜基板としての製作手順のために実質的に平面状のセラミック基板としてこの実施例中に形成された実質的に平面の基板110を示す平面図である。実質的に平面状に構成された前半の1次巻線112は、セラミック基板110上に形成される。この巻き線は、基板110上のスクリーン印刷金属導体、例えば、銀又は金スクリーン印刷導体により典型的に形成可能である。ベース(base)セラミック材は、1の非制限例においてアルミナ型セラミックであり得る。示されたとおり、前半の1次巻線112の1端112は、他コイル端を越え延び、完全化変圧器100の接続点、即ち、端子の1つとして作用する。標準写真平板技術は、金属導体を印刷するのに使用可能である。
【0027】
図6に示すように、フェライトペースト114は、前半の1次巻線112に適用され、基板上に終端部を曝す。フェライトペースト114は、無機ペースト、例えば、非制限例としてフェライトセラミック粒子と結合剤を含むセラミックスラリー(ceramic slurry)で有りうる。それは後に、密度と性能向上のため焼成可能である。末端使用設計によりこれは、低温システム又は高温システムであり得る。タングステン又はモリブデンを使用することも可能である。プロセスを通じて1以上の焼成を行うことは可能であるが、このステップで焼成は必要ない事は理解されなければならない。
【0028】
図7に示されるように、この後半の1次巻線の両端がフェライトペースト114に重なり、前半の1次巻線の露出した両端に接触するように、後半の1次巻線120は、フェライトペースト114に印刷される。1端120aは、長目で且つ端子接続を形成する。このように、巻き線の両端は、互いに接触し、フェライトペースト114により形成されたフェライトコア上に完全な変圧器1次巻き線を形成する。前半の1次巻線から形成された巻き線導体が露出しないようにフェライトを刷り重ねることは、可能である。ビアは、導電ペーストで充填されるか又は導電ビアを形成するようにメッキされるパターンで形成可能である。もしフェライトペーストが厚く、巻き線両端が前半の1次巻線の巻き線両端に接触するように、後半の1次巻線を刷り重ねることは困難であるならこれは可能である。ビアは記述されたように、共通の厚膜プロセスを用い形成可能である。
【0029】
行間は、約2ミルから約4ミルであり得る。厚膜プロセスは、約1/2ミル、例えば、約12ミクロンが可能で、非制限例において2から約4ミルの厚膜システム基準まで可能である。グリーンテープシステムとビアを用いることも又可能であることは理解されなければならない。
【0030】
図8に示されるように、誘電層130は、図示されるように後半の1次巻線120上に堆積され得る。誘電層130は、ガラス材及び類似構造が可能で、図4に示されるように空洞104に対応する空洞を形成する。印刷すべきある構造が残っている限り燃え尽きて孔を残す材料を用いることも又可能である。ある製造手順において蒸発を通し孔を形成する事は可能である。
【0031】
図8に示されるように、前半の2次巻線140は、誘電層130上に印刷され、完成した変圧器用の端子として作用する1端140aを含む。第2フェライト層150は、図9に示されるように付加され、後半の2次巻線160がフェライト層150に印刷されるので、その両端は、図10に示されるように前半の2次巻線140の両端に接続する。1端160aは、完成した変圧器用の端子として作用する。再び、もしフェライト層150が厚いなら、その層は、前半の2次巻線160に刷り重ね可能である。導電ビアは、前半の2次巻線140及び後半の2次巻線160を付着するために使用可能である。完成された変圧器構造の保護を助けるために、塗布層又は他の層は、図10に示されるステップに続き適用可能である。
【0032】
本発明の非制限例に従い、変圧器の第2例は図11に示され、製造手順は、図12−15に示される。この変圧器設計は、約2から4GHzで操作可能な小型S帯レシーバー(receiver)に使用可能で、幾つかの商業的カウンター越し部品を交換するための設計が可能である。変圧器は、200で示され、1次及び2次変圧器巻き線206,208が巻かれている中央部204を持ったコア(core)202を含む。
【0033】
図12に示されるようにベース層210は、1非制限例において、グリーンテープ層、例えば、LTCC構造、例えば、非焼成フェライトテープとして形成可能である。前半の1次巻線212は、前半の2次巻線214とともに印刷され、巻き線間又は前半の1次巻線導体の間に間隔を置いて配置される。前半の2次巻線214を形成する導電性金属線が前半の1次巻線212を形成する如何なる金属線からも間隔を置かれるように、導体は互いに間隔を置かれる。両端212a、214aは露出し、1次及び2次巻き線用の端子を形成する。
【0034】
フェライト層220(図13)は、「巻き心」を形成し、前半の1次巻線212及び前半の2次巻線214に適用される。このフェライト層220は、その中に、メッキされた貫通孔又は充填物で充填されたパンチ孔として形成できる導電ビア222を有する。
【0035】
図示されたように、巻き線両端が、導電ビア222に接続し、前半の1次巻線212と前半の2次巻線214の両端を接続するように、後半の1次巻線230と後半の2次巻線232は、このフェライト「巻き心」220に印刷される。各巻き線230,232の長めの端部は、図示されたように、端子端230a、232aを形成する。図5に示されたように、両端のみ露出されたまま残すために、1層を、後半の1次巻線230及び後半の2次巻線232の上に置くことができる。この層は、フェライト層250であっても良い。
【0036】
磁束は通常は、最小のリラクタンス路中にあるので如何なる形成された空洞も有利である事は理解されなければならない。もし幾つかの空洞が外側のビアに隣接して長手方向縁に沿って置かれたなら、幾つかの実施例の効率を改善可能である。
【0037】
図16は、フローチャートを示し且つ液晶高分子(LCP)を用いる、図11に示されたような変圧器構造に類似した変圧器構造の製造用に使用されるステップの1続きを示す。変圧器形成に使用されるステップは、図12−15に示される符号に類似可能であるが、代わりに用いられるエッチングステップとともに用いられる。通常、液晶高分子は、非制限例において、2軸延伸フィルムとして、シート形式で供給可能である。2軸延伸フィルムとして、直交結晶構造を含むことができる。フェライト充填物を、透磁性及び磁気特性を増すために使うことができる。LCPシートを好ましくは、金属クラッド、例えば、銅クラッドを含む積層として供給できる。その金属クラッドは、前半の1次及び2次巻線を用いて図12に示された変圧器構造に類する変圧器構造の1部分を形成するためにエッチングされ、その後もう1つのLCPシートが追加され且つ後半の1次及び2次巻線を形成するためにエッチングされる。
【0038】
図16のフローチャートに示されたように、第1LCP層は、前半の1次及び2次巻線を形成するために戻しエッチング(ブロック300)され得る。1非制限例において、フェライト層が適用され(ブロック302)、後半の1次及び2次巻線を形成するために第2LCP層が適用され且つエッチングされる(ブロック304)。ビアが形成され(ブロック306)且つカバー層が上塗りされる(ブロック308)。LCPシートは、圧力釜中で融合され得る。
【0039】
図17は、LCPを用い変圧器を形成するために使用可能な異なる層の断面図を示す。変圧器構造310は、前半の1次及び2次巻線を形成する戻しエッチングされたLCP回路層314を含む第1LCP層312を含む。フェライト層316は加えられ、後半の1次及び2次巻線のための戻しエッチングされたLCP回路層322を含む第2LCP層320が続く。ビア324は、LCP回路層314,322間を接続し、1次巻き線を相互接続し2次巻き線を相互接続する。カバー層326は、第2LCP層320の上に付加可能である。この層は又、使用されたプロセス手順に依存して幾つかの例においてフェライトに隣接するLCP回路層を有することができる。
【0040】
LCPは、独特な性質を有し、圧力下それ自身に融合可能である。圧力釜は、LCPシートがそれら自身に融合できるように熱及び圧力を加えるために使用可能である。メッキされた貫通孔を用いる従来のプロセスも又、使用可能である。このように、磁性変圧器特性用及び戻しエッチングされた銅クラッド用のフェライトで装填されたLCP材のシートを用いて開始できる。前半の1次及び2次巻線は、形成可能で、後半の1次及び2次巻線を形成するために戻しエッチングされたもう1つのLCPシートが適用される。完全に組み立てられた時、ビアは、孔を開けられ且つメッキされ又は導電性ペーストで充填される。
【0041】
液晶高分子は、典型的に熱可塑性高分子物質として形成され、互いに結合する堅く且つ柔軟性あるモノマーを有する。セグメント(segment)は、流れを剪断する方向に互いに整列する。LCPが融点より下の温度に冷却されるときでさえ、この配向の方向及び構造は続く。これは、固体状態で分子があちこちに向いている大抵の熱可塑性高分子とは異なる。
【0042】
結果として、LCPは、有利な電気的、熱的、機械的及び化学的性質を有する。LCPは、高密度印刷回路基板(PCB)製造及び半導体包装に使用可能である。LCPは、約0.5から約40GHz領域で約3の誘電率と約0.004の低損失係数と低湿度吸収と低透湿性とを有する。
【0043】
LCPは、約25マイクロメータから約3ミリメータに亘る範囲で薄膜物質として供給可能である。1面又は両面は、幾つかの非制限例において約18マイクロメータの厚さ及びそれ以上の領域にある銅クラッドを含むことができる。この銅クラッド(層)は、LCPの融点近辺で真空圧力下重ね合わせられる事ができる。微細機械加工技術をMEMS応用を可能にするために用いることができる。これには、写真平板術、金属化技術、エッチング及び電気メッキを含む。幾つかのLCP物質は、融点付近又はちょっと下の温度で僅かな圧力下熱接着プロセスを用いMEMS関係物質に接着させる事ができる。複雑な
多層、3次元構造を形成できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次巻き線が1次巻き線と間隔を開ける関係に位置するように第1液晶高分子(LCP)シートの金属クラッド上の金属回路として前半の1次及び2次巻線をエッチングするステップ;
第2LCPシートを前記第1LCPシート上に適用するステップ;
前記第2LCPシートの金属クラッド上の金属回路として後半の1次及び2次巻線をエッチングするステップ;及び
導電ビアにより前記各前半及び後半の1次巻き線をお互いに相互接続し、各前半及び後半の2次巻き線をお互いに相互接続するステップ
を含む変圧器を作る方法。
【請求項2】
メッキされた貫通孔として前記導電ビアを形成するステップを更に含む請求項1に従う方法。
【請求項3】
前記導電ビアを形成するために前記LCPシート内に孔を開け且つその孔を導電性充填物質で充填するステップを更に含む請求項1に従う方法。
【請求項4】
第1及び第2LCPシートを一緒に融合するステップを更に含む請求項1に従う方法。
【請求項5】
第1及び第2LCPシートの間にフェライト層を加えるステップを更に含む請求項1に従う方法。
【請求項6】
対向する面を有し且つ前記面の少なくとも1面に金属クラッドを有する第1液晶高分子(LCP)シート;
前記金属クラッド上にエッチングされた金属回路としての前半の1次及び2次巻線;
対向する面を有し且つ前記面の少なくとも1面に金属クラッドを有し且つ前記第1LCPシート上に適用された第2LCPシート;
前記第2LCPシートの金属クラッド上のエッチングされた金属回路としての後半の1次及び2次巻線;及び
第1及び第2LCPシート内に形成され、且つ各前半及び後半の1次巻き線をお互いに相互接続し、各各前半及び後半の2次巻き線をお互いに相互接続する導電ビア
を含む変圧器。
【請求項7】
前記導電ビアがメッキされた貫通孔として形成された請求項6に従う変圧器。
【請求項8】
前記導電ビアが導電性充填物質で充填されたパンチ孔として形成された請求項6に従う変圧器。
【請求項9】
前記第1及び第2LCPシートが2軸配向されたLCPシートを含む請求項6に従う変圧器。
【請求項10】
第1及び第2LCPシート間に位置したフェライト層を更に含む請求項6に従う変圧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2009−543361(P2009−543361A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518618(P2009−518618)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/072763
【国際公開番号】WO2008/005993
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】