説明

液滴吐出装置、パターン膜形成部材の製造方法

【課題】隣接する所定領域に塗布された機能液同士の接触を防止する。
【解決手段】液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに向けて前記機能液を液滴として吐出させる制御部を備え、前記制御部では、前記ワーク上の所定領域に着弾させる前記液滴の主滴とサテライトとの着弾距離を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、パターン膜形成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法では、基材上に形成された区画部によって区画された所定領域に向けて、パターン膜の材料を含む機能液を液滴として吐出して、機能液を所定領域に付着させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−142417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカラーフィルターの製造方法では、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら、液滴を吐出して、当該液滴を基材面に着弾させ、機能液を基材上に付着させている。ところで、液滴吐出ヘッドのノズルから機能液を液滴として吐出した際、液滴の主滴に追随して尾引き部やサテライト等が発生することがある。この場合、液滴吐出ヘッドと基材とが相対的に移動しているため、尾引き部やサテライトは、主滴が基材に着弾するタイミングよりも遅れて着弾する。その結果、尾引き部やサテライトは、主滴が着弾された位置からずれた位置に付着することになる。すなわち、所望した位置からずれた位置に付着してしまうことになる。そうすると、例えば、尾引き部やサテライトが区画部に乗り上がって付着してしまった場合には、隣接する所定領域内に塗布された機能液同士が接触して混色が発生してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに向けて機能液を液滴として吐出させる制御部を備え、前記制御部では、前記ワーク上の所定領域に着弾させる前記液滴の主滴とサテライトとの着弾距離を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出させた際、液滴の主部となる主滴と、当該主滴に追従するサテライトとが吐出されるが、ワークの所定領域内に、主滴とサテライトとが着弾した距離(着弾距離)が制御される。すなわち、ワークの所定領域において着弾距離を短くしたり、長くしたりすることが可能となる。このため、例えば、着弾距離を短く(着弾された主滴とサテライトとの距離を短く)した場合には、主滴とサテライトとが一体になって着弾、もしくは、主滴の近傍にサテライトが着弾することとなり、液滴の着弾位置精度を向上させることができる。一方、着弾距離を長く(着弾された主滴とサテライトとの距離を長く)した場合には、主滴とサテライトとが離れて着弾することとなり、機能液の塗布面積を広げることができる。従って、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、所定領域(画素領域)に対して着弾距離を制御することにより、混色等の発生を低減させるとともに生産性を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部は、前記所定領域に対して、前記液滴吐出ヘッドの移動方向側の前記着弾距離が、前記液滴吐出ヘッドの移動方向の反対側の前記着弾距離よりも短くなるように制御することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドの移動方向の反対側に比べ、液滴吐出ヘッドの移動方向側では、主滴とサテライトとがほぼ同一の位置に着弾される。すなわち、所定領域であって、液滴吐出ヘッドの移動方向側では液滴の着弾精度が高くなる。このため、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、隣接する所定領域間における機能液の接触が低減し、混色等を低減させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記所定領域内において、前記液滴が吐出される前記液滴吐出ヘッドのノズルプレートの面から吐出された前記液滴が着弾する前記ワークの着弾面までの距離を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、所定領域内においてノズル面からワークの着弾面までの距離、すなわち、プラテンギャップが制御されながら液滴が吐出される。この場合、例えば、プラテンギャップを小さくする方向に制御することにより、主滴とサテライトがそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、着弾距離を短くすることができる。一方、プラテンギャップを大きくする方向に制御することにより、主滴とサテライトがそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、着弾距離を長くすることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記所定領域内において、前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとが相対的に移動する移動速度を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移動速度を遅い方向に制御する場合には、主滴が着弾してから液滴吐出ヘッドとワークの相対的な移動距離が短いため、着弾距離を短くすることができる。一方、移動速度を速い方向に制御する場合には、主滴が着弾してから液滴吐出ヘッドとワークの相対的な移動距離が長いため、着弾距離を長くすることができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、前記所定領域内において、前記液滴の吐出速度を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、吐出速度を遅い方向に制御する場合には、主滴とサテライトとの距離が比較的に短い状態で吐出されるため、主滴とサテライトとの着弾の時間差が短くなり、着弾距離を短くすることができる。一方、吐出速度を速い方向に制御する場合には、主滴とサテライトとの距離が比較的に長い状態で吐出されるため、主滴とサテライトとの着弾の時間差が長くなり、着弾距離を長くすることができる。
【0016】
[適用例6]本適用例にかかるパターン膜形成部材の製造方法は、液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに向けて機能液を液滴として吐出して、前記ワーク上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、前記ワーク上の所定領域において、主滴とサテライトとの着弾距離を異ならせながら、前記液滴を吐出して、前記ワーク上に前記機能液を塗布する塗布工程を含むことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、液滴吐出ヘッドから液滴を吐出させた際、液滴の主部となる主滴と、当該主滴に追従するサテライトとが吐出されるが、ワークの所定領域内に、主滴とサテライトとが着弾した距離(着弾距離)が制御される。すなわち、ワークの所定領域において着弾距離を短くしたり、長くしたりすることが可能となる。このため、例えば、着弾距離を短く(着弾された主滴とサテライトとの距離を短く)した場合には、主滴とサテライトとが一体になって着弾、もしくは、主滴の近傍にサテライトが着弾することとなり、液滴の着弾位置精度を向上させることができる。一方、着弾距離を長く(着弾された主滴とサテライトとの距離を長く)した場合には、主滴とサテライトとが離れて着弾することとなり、機能液の塗布面積を広げることができる。従って、例えば、カラーフィルターの製造にあっては、所定領域(画素領域)に対して着弾距離を制御することにより、混色等の発生を低減させるとともに生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態にかかる液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図3】第1実施形態にかかる液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図4】液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図。
【図5】第1実施形態にかかる液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【図6】カラーフィルターの構成を示し、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図7】カラーフィルターの製造方法を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態にかかるカラーフィルターの製造方法を示す工程図。
【図9】カラーフィルターの製造方法を示す工程図。
【図10】電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図。
【図11】電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図。
【図12】第2実施形態にかかる液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【図13】第2実施形態にかかるカラーフィルターの製造方法を示す工程図。
【図14】第3実施形態にかかる液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【図15】第3実施形態にかかるカラーフィルターの製造方法を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した第1〜第3実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材ごとに縮尺を異ならせて図示している。
【0020】
[第1実施形態]
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、第1実施形態にかかる液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。
【0021】
図1において、液滴吐出装置30は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド50を有するヘッド機構部32と、液滴吐出ヘッド50から吐出された液滴の吐出対象であるワーク10を載置するワーク機構部33と、液滴吐出ヘッド50に機能液を供給する材料供給部34と、液滴吐出ヘッド50の保守を行うメンテナンス機構部35と、これら各機構部および供給部を統括的に制御する制御部36等を備えている。
【0022】
本実施形態の液滴吐出装置30は、床上に設置された複数の支持脚41と、支持脚41の上側に設置された定盤42を備えている。定盤42の上側には、ワーク機構部33が定盤42の長手方向(X軸方向)に延在するように配置されている。ワーク機構部33の上方には、定盤42に固定された2本の支持柱52で支持されているヘッド機構部32が、ワーク機構部33と直交する方向(Y軸方向)に延在して配置されている。また、定盤42の一方の端部には、ヘッド機構部32の液滴吐出ヘッド50から連通して機能液を供給する材料供給部34が配置されている。そして、ヘッド機構部32の一方の支持柱52近傍には、メンテナンス機構部35がワーク機構部33と並んでX軸方向に延在するように配置されている。さらに、定盤42の下側には、制御部36が備えられている。
【0023】
ヘッド機構部32は、機能液を吐出する液滴吐出ヘッド50と、液滴吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51と、ヘッドキャリッジ51のY軸方向への移動をガイドするY軸ガイド53と、Y軸ガイド53の側方にY軸ガイド53と平行に設置されたY軸リニアモーター54と、液滴吐出ヘッド50のZ軸方向への移動をガイドするZ軸ガイド55(図示せず)と、Z軸ガイド55の側方にZ軸ガイド55と平行に設置されたZ軸リニアモーター56(図示せず)等を備えている。
【0024】
ワーク機構部33は、ヘッド機構部32の下方に位置し、ヘッド機構部32とほぼ同様の構成でX軸方向に延在するように配置されており、ワーク10を載置する載置台61と、載置台61の移動をガイドするX軸ガイド63と、X軸ガイド63の側方にX軸ガイド63と平行に設置されたX軸リニアモーター64等を備えている。
【0025】
これらの構成により、液滴吐出ヘッド50とワーク10とは、それぞれY軸方向およびX軸方向に往復自在に移動することができる。最初に、液滴吐出ヘッド50の移動について説明する。液滴吐出ヘッド50を懸架したヘッドキャリッジ51は、Y軸ガイド53に移動可能に取り付けられている。図示しないが、ヘッドキャリッジ51からY軸リニアモーター54側へ張り出している突起部が、Y軸リニアモーター54と係合して駆動力を得ることにより、ヘッドキャリッジ51がY軸ガイド53に沿って任意の位置に移動する。また、液滴吐出ヘッド50は、図示しないZ軸ガイド55に移動可能に取り付けられている。そして、液滴吐出ヘッド50からZ軸リニアモーター56側へ張り出している突起部が、Z軸リニアモーター56と係合して駆動力を得ることにより、液滴吐出ヘッド50がZ軸ガイド55に沿って任意の位置に移動する。同様に、載置台61に搭載されたワーク10もX軸方向に自在に移動する。
【0026】
このように、液滴吐出ヘッド50は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワーク10のX軸方向の移動に同調して、液滴を吐出する構成となっている。X軸方向に移動するワーク10と、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド50とを相対的に制御することにより、ワーク10上に機能液を吐出することができる。さらに、液滴吐出ヘッド50は、ワーク10のX軸方向の移動に同調して、Z軸方向に移動しながらワーク10上に機能液を吐出することができる。
【0027】
液滴吐出ヘッド50に機能液を供給する材料供給部34は、タンク75と、ポンプ74と、タンク75からポンプ74を経て液滴吐出ヘッド50までを接続する流路チューブ79とを備えている。
【0028】
図2は、液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図2に示すように、液滴吐出ヘッド50は、ノズルプレート115を備え、ノズルプレート115には、ノズル120が形成されている。ノズルプレート115の上側であってノズル120と相対する位置には、ノズル120に連通するキャビティ111が形成されている。そして、キャビティ111には、材料供給部34から機能液が供給される。
【0029】
キャビティ111の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ111内の容積を拡大縮小する振動板114と、上下方向に伸縮して振動板114を振動させる加圧手段としての圧電素子113が配設されている。そして、液滴吐出ヘッド50が圧電素子113を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子113が伸張して、振動板114がキャビティ111内の容積を縮小する。その結果、ノズル120から縮小した容積分の機能液が液滴121として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子113を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0030】
図1に戻り、次に、メンテナンス機構部35について説明する。メンテナンス機構部35は、キャッピングユニット86、ワイピングユニット87、およびフラッシングユニット88のメンテナンスユニットを備えている。さらに、メンテナンスユニットを載置するメンテキャリッジ81と、メンテキャリッジ81の移動をガイドするメンテキャリッジガイド82と、メンテキャリッジ81と一体の螺合部85と、螺合部85が螺合するボールねじ84と、ボールねじ84を回転させるメンテモーター83とを備えている。これにより、メンテモーター83が正逆回転すると、ボールねじ84が回転し、螺合部85を介してメンテキャリッジ81が、X軸方向に移動する。メンテキャリッジ81が液滴吐出ヘッド50のメンテナンスのために移動するときには、Y軸ガイド53に沿って液滴吐出ヘッド50が移動して、メンテナンスユニットの直上部に臨んでいる。
【0031】
メンテナンスユニットのキャッピングユニット86は、液滴吐出装置30が稼動していない時に、液滴吐出ヘッド50に密着してキャッピングし、機能液が乾燥してノズル120が詰まるなどの不具合が生じないようにする。ワイピングユニット87は、機能液の連続吐出後やキャッピング時にノズル120に付着した機能液などを、洗浄液を含むワイピング布で拭い、全ノズルの清浄な状態を維持する。フラッシングユニット88は、液滴吐出装置30の稼動開始時やワーク10への加工前に、ノズル120から吐出される機能液を受け、ノズル120の吐出状態を常に良好な状態にする。
【0032】
これらのメンテナンスユニットにより、液滴吐出装置30の非稼動時やワーク10を交換載置している加工待ち時などに、液滴吐出ヘッド50の状態を保全して良好な吐出状態を保つことができる。
【0033】
次に、以上述べた構成を制御する制御部36の構成について説明する。図3は、制御部36の構成を示すブロック図である。制御部36は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133、RAM134および入出力インターフェース131からなり、CPU132が入出力インターフェース131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェース131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。
【0034】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、ポンプドライバー143、メンテドライバー145を備えている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸リニアモーター64、Y軸リニアモーター54、Z軸リニアモーター56を制御し、ワーク10、液滴吐出ヘッド50の移動を制御する。さらに、メンテモーター83を制御してメンテナンス機構部35の必要なユニットをメンテナンス位置へ移動させる。ヘッドドライバー141は、液滴吐出ヘッド50からの機能液の吐出を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、ワーク10上の所定位置に吐出などが行えるようにする。また、ポンプドライバー143は、機能液の吐出状態に対応してポンプ74を制御し、液滴吐出ヘッド50への供給を最適に制御する。そして、メンテドライバー145は、メンテナンス機構部35のキャッピングユニット86、ワイピングユニット87およびフラッシングユニット88を制御する。
【0035】
次に、液滴吐出ヘッド50から液滴121が吐出され、吐出された液滴121がワークに塗布される状態等について説明する。図4は、液滴の吐出状態及び着弾状態を示す説明図である。
【0036】
まず、液滴の吐出状態について説明する。図4(a)は、液滴吐出ヘッド50のノズル120から吐出された液滴121の状態を示している。図4(a)に示すように、液滴121は、主滴121aと当該主滴121aに追従するサテライト121c等で形成される。さらに詳細には、主滴121aと、主滴121aに追随する尾引き部121bと、当該尾引き部121bに追随してサテライト121cが形成される。
【0037】
次に、液滴の着弾状態について説明する。図4(b)〜(f)は、吐出された液滴121がワーク10の面に着弾する状態を示したものである。なお、図4(b)〜(f)では、液滴吐出ヘッド50を固定して、ワーク10をX軸方向に一定速度で移動させた場合を例にして説明する。また、図4(b)〜(f)において、ワーク10に着弾した主滴121a、尾引き部121b、サテライト121cに対応して主滴121a’、尾引き部121b’、サテライト121c’と表している。
【0038】
まず、図4(b)では、液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対的に移動させながら、ワーク10に向けて液滴121が吐出された状態を示している。吐出された液滴121は、ワーク10に向けて、主滴121a、尾引き部121b、サテライト121cの順で移動する。
【0039】
図4(c)では、ワーク10の表面に液滴121が着弾した状態を示している。図4(c)に示すように、まず、主滴121aがワーク10の面に着弾する。このとき、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121aに比べて遅れて進んでいるため、ワーク10の面に着弾していない。
【0040】
次に、図4(d)に示すように、主滴121aに続いて尾引き部121bがワーク10の面に着弾する。主滴121aがワーク10に着弾して尾引き部121bがワーク10に着弾するまでの間、ワーク10がX軸方向に移動しているため、尾引き部121bは、主滴121aの着弾位置に対して、X軸の負方向側にずれて着弾される。換言すれば、ワーク10の移動方向に対して上流側にずれて着弾される。
【0041】
次に、図4(e)に示すように、尾引き部121bに続いてサテライト121cがワーク10の面に着弾する。尾引き部121bがワーク10に着弾してサテライト121cがワーク10に着弾するまでの間、ワーク10がX軸方向に移動しているため、サテライト121cは、尾引き部121bの着弾位置に対して、X軸の負方向側にずれて着弾される。換言すれば、ワーク10の移動方向に対して上流側にずれて着弾される。また、図5(f)は、図5(e)の液滴121の着弾状態を平面視したものである。図5(f)に示すように、尾引き部121bやサテライト121cは、主滴121aの着弾位置からずれた位置に着弾する。なお、本実施形態では、着弾した主滴121a’のほぼ中心からサテライト121c’の端部までの距離を着弾距離ADと定める。
【0042】
以上、図4に示したように、液滴吐出ヘッド50から吐出された液滴121は、ワーク10に着弾する際、主滴121aの着弾位置に対してサテライト121cの着弾位置がずれてしまう傾向にある。従って、例えば、液滴吐出ヘッド50をカラーフィルター等の製造に適用して吐出した場合では、液滴121の着弾位置がずれて隣接するパターン膜形成領域に塗布された機能液と接触し、混色を起こしてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対的に移動させながら、ワーク10上の所定領域に着弾させる液滴121の主滴121a’とサテライト121c’との着弾距離ADを制御して液滴121を吐出させる。具体的には、液滴121が吐出される液滴吐出ヘッド50のノズルプレート115の面から吐出された液滴121が着弾するワーク10の面までの距離を制御しながら液滴121を吐出させる。すなわち、プラテンギャップPGを制御しながら液滴121を吐出させる。以下、制御方法について説明する。
【0043】
図5は、プラテンギャップPGを制御する制御方法を示す説明図である。本実施形態では、図5(a)、(c)に示す2種類のプラテンギャップPG1,PG2で制御する場合について説明する。プラテンギャップPG1は、プラテンギャップPG2よりも小さく設定される。各プラテンギャップPG1,PG2の設定は、Z軸リニアモーター56を駆動させることにより行われる。そして、液滴吐出ヘッド50をZ軸方向に移動させながら、すなわち、プラテンギャップPG1からプラテンギャップPG2へ、或いは、プラテンギャップPG2からプラテンギャップPG1へ変化させながらワーク10に向けて液滴121を吐出する。
【0044】
まず、図5(a)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対的に移動させながら、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出させた場合には、図5(b)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1が比較的短くなる。一方、液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対的に移動させながら、プラテンギャップPG2で液滴121を吐出させた場合には、図5(d)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2が比較的長くなる。従って、プラテンギャップPG1,PG2を制御することにより、ワーク10上に向けて吐出された液滴121の着弾距離ADを制御することができる。
【0045】
次に、パターン膜形成部材の製造方法において上記の液滴吐出装置30を適用した例について具体的に説明する。
【0046】
(パターン膜形成部材の構成)
まず、パターン膜形成部材の構成について説明する。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの構成について説明する。図6は、カラーフィルターの構成を示し、図6(a)は、平面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図である。
【0047】
図6(a),(b)において、カラーフィルター1は、ワーク10と、ワーク10の上に形成された区画部11と、区画部11によって区画された所定領域(色素膜形成領域)16と、所定領域16に形成されたパターン膜としての色素膜14と、区画部11と色素膜14の上に形成された保護膜18等で構成されている。
【0048】
ワーク10は、透明性を有し、一般にガラス基材が用いられるが、他にプラスチック等も使用可能であり、カラーフィルター機能として透過率、強度等の必要特性を有するものであれば特に限定されるものではない。区画部11は、遮光性を有し、金属、樹脂等を用いることができる。
【0049】
(パターン膜形成部材の製造方法)
次に、パターン形成部材の製造方法について説明する。パターン膜形成部材の製造方法は、液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、ワークに向けて機能液を液滴として吐出して、ワーク上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、ワーク上の所定領域において、主滴とサテライトとの着弾距離を異ならせながら、液滴を吐出して、ワーク上に機能液を塗布する塗布工程を含むものである。なお、本実施形態では、パターン膜形成部材としてのカラーフィルターの製造方法について説明する。図7は、カラーフィルターの製造方法を示すフローチャートである。
【0050】
まず、ワーク載置工程S1では、例えば、ガラス基材上に区画部11が形成されたワーク10を液滴吐出装置30の載置台61上に載置する。
【0051】
次いで、塗布工程S2では、ワーク10上の所定領域16において、主滴121a’とサテライト121c’との着弾距離ADを異ならせて液滴121を塗布する。さらに詳細には、所定領域16に対して、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離ADが、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の着弾距離ADよりも短くなるように塗布する。本実施形態では、所定領域16内において、液滴121が吐出される液滴吐出ヘッド50のノズルプレート115面から吐出された液滴121が着弾するワーク10の着弾面までの距離、すなわち、プラテンギャップPGを制御しながら液滴121を吐出する。本実施形態では、相対的にギャップが短いプラテンギャップPG1と、相対的にギャップが長いプラテンギャップPG2とを設定しながら液滴121を吐出する。以下、具体的に説明する。
【0052】
まず、図8(a)に示すように、ワーク10上に形成された区画部11によって区画された所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域においてプラテンギャップPG2で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(a)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0053】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図8(b)に示すように、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Aであって、隣接する所定領域16Bに近接した領域では、比較的ギャップが短いプラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(b)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0054】
次いで、図8(c)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域においてプラテンギャップPG2で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(c)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0055】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図8(d)に示すように、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(d)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0056】
このように、所定領域16Aと所定領域16Aに隣接する所定領域16Bとの関係おいて、液滴吐出ヘッド50の移動方向に対応する所定領域16A、すなわち、所定領域16Aの隣接する所定領域16Bに近接する領域では、着弾距離ADが短くなるため、区画部11上に乗り上げて付着することがないので、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触が低減される。一方、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では、着弾距離ADが長くなる、すなわち、塗布面積を広げることができる。
【0057】
この後、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、先の相対移動とは逆方向に液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対移動させながら液滴121を吐出させる。具体的には、図8(e)に示すように、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域においてプラテンギャップPG2で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(e)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0058】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図8(f)に示すように、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Bであって、隣接する所定領域16Aに近接した領域では、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(f)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0059】
次いで、図8(g)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域においてプラテンギャップPG2で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(g)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0060】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図8(h)に示すように、プラテンギャップPG1で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、図9(h)に示すように、主滴121a’とサテライト121c’がそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。このように、所定領域16Aと所定領域16Aに隣接する所定領域16Bとの関係おいて、液滴吐出ヘッド50の移動方向に対応する所定領域16A、すなわち、所定領域16Aの隣接する所定領域16Bに近接する領域では、着弾距離ADが短くなるため、区画部11上に乗り上げて付着することがないので、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触が低減される。一方、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では、着弾距離ADが長くなる、すなわち、塗布面積を広げることができる。なお、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、図8に示す塗布工程を繰り返す。
【0061】
そして、機能液の塗布が終了した場合には、固化工程S3に移行する。固化工程S3では、塗布された機能液を、例えば、乾燥等により固化する。これにより、パターン膜としての色素膜14が形成される。その後、必要に応じて、区画部11と色素膜14の上に保護膜18を形成する。保護膜18の形成方法としては、スピンコート法等が用いられ、材料としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプあるいは光熱併用タイプの樹脂材料、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。以上、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図6参照)が形成される。
【0062】
(電気光学装置)
次に、本実施形態にかかる電気光学装置について説明する。図10は、電気光学装置としての液晶ディスプレイの構成を示す断面図である。
【0063】
図10において、液晶ディスプレイ150は、カラーフィルター1と、カラーフィルター1に対向して配置された素子基材151と、シール材152によって接着されたカラーフィルター1と素子基材151の隙間に充填された液晶153等で構成されている。
【0064】
カラーフィルター1の保護膜18の上には共通電極161が形成され、共通電極161の上には配向膜162が形成されている。また、ワーク10の色素膜14が形成された面の反対面には偏光板175が備えられている。
【0065】
素子基材151は、透明性を有する基材170と、基材170の上に形成されたTFT(Thin Film Transistor)素子171と、基材170とTFT素子171の上に形成された配向膜172等で構成されている。また、基材170のTFT素子171が形成された面の反対面には偏光板176が備えられている。
【0066】
(電子機器)
次に、本実施形態にかかる電子機器について説明する。図11は、電子機器としてのテレビ受像機の構成を示す斜視図である。図11において、テレビ受像機180の表示部に液晶ディスプレイ150が搭載されている。
【0067】
従って、上記の第1実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0068】
所定領域16内において、相対的にギャップを小さくしたプラテンギャップPG1で液滴121を吐出させることにより、主滴121aとサテライト121cがそれぞれ着弾する時間差が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1を短くすることができる。一方、相対的にギャップを大きくしたプラテンギャップPG2で液滴121を吐出させることにより、主滴121aとサテライト121cがそれぞれ着弾する時間差が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2を長くすることができる。すなわち、所定領域16内で、プラテンギャップPG1で吐出することにより液滴121の着弾精度を高めることができる。また、プラテンギャップPG2で吐出することにより液滴121の着弾領域を広げることができる。従って、例えば、カラーフィルター1の製造において、ワーク10上に形成された複数の所定領域16に機能液を塗布する場合に、所定領域16であって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側ではプラテンギャップPG1で液滴121を吐出させ、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側ではプラテンギャップPG2で液滴121を吐出させることにより、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離AD1が、短くなるため、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触がなくなり、混色を低減することができる。また、他の領域では、塗布面積を広げることができるため、機能液を効率よく塗布することができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。先の第1実施形態では、プラテンギャップPG1,PG2を制御しながら液滴121を吐出させたが、第2実施形態では、所定領域16内において、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度を制御しながら、液滴121を吐出させる。以下、制御方法について説明する。なお、液滴吐出装置30の基本的な構成は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。但し、本第2実施形態の液滴吐出装置30では、液滴吐出ヘッド50をZ軸方向に移動させるZ軸ガイド55及びZ軸リニアモーター56を省略してもよい。
【0070】
図12は、相対的な移動速度を制御する制御方法を示す説明図である。本実施形態では、図12(a)、(c)に示す2種類の移動速度SPa,SPbで制御する場合について説明する。なお、移動速度SPa,SPbの違いをベクトルで表示している。ここで、移動速度SPaは、移動速度SPbよりも遅くなるように設定される。各移動速度SPa,SPbの設定は、X軸リニアモーター64を駆動制御することにより行われる。そして、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度SPa,SPbを、例えば、移動速度SPaから移動速度SPbへ、或いは、移動速度SPbから移動速度SPaへ変化させながらワーク10に向けて液滴121を吐出する。
【0071】
まず、図12(a)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度SPaで液滴121を吐出させた場合には、主滴121aが着弾してからの液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動速度が遅いために、主滴121a’が着弾してからのワーク10の移動距離が短くなり、図12(b)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1が比較的短くなる。一方、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度SPbで液滴121を吐出させた場合には、主滴121aが着弾してからの液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動が速いため、主滴121a’が着弾してからのワーク10の移動距離が長くなり、図12(d)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2が比較的長くなる。従って、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度SPa,SPbを制御することにより、ワーク10上に向けて吐出された液滴121の着弾距離ADを制御することができる。
【0072】
次に、パターン膜形成部材の製造方法において上記の液滴吐出装置30を適用した例について具体的に説明する。なお、パターン膜形成部材の製造方法は、図7に示すフローチャートと同様である。
【0073】
まず、ワーク載置工程S1では、例えば、ガラス基材上に区画部11が形成されたワーク10を液滴吐出装置30の載置台61上に載置する。
【0074】
次いで、塗布工程S2では、ワーク10上の所定領域16において、主滴121a’とサテライト121c’との着弾距離ADを異ならせて液滴121を塗布する。さらに詳細には、所定領域16に対して、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離ADが、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の着弾距離ADよりも短くなるように塗布する。本実施形態では、所定領域16内において、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度を制御しながら液滴121を吐出する。本実施形態では、相対的に速度が遅い移動速度SPaと、相対的に速度が速い移動速度SPbとを設定しながら液滴121を吐出する。以下、具体的に説明する。
【0075】
まず、図13(a)に示すように、ワーク10上に形成された区画部11によって区画された所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において移動速度SPbの状態で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、まず、主滴121aが着弾する。そして、主滴121aが着弾してからサテライト121cが着弾するまでの間、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動が速いため、図9(a)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0076】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図13(b)に示すように、移動速度SPaの状態で液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Aであって、隣接する所定領域16Bに近接した領域では、比較的速度が遅い移動速度SPaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、ワーク10の移動速度が比較的遅いため、主滴121a’が着弾してからの移動距離が短くなり、図9(b)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0077】
次いで、図13(c)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において移動速度SPbで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、まず、主滴121aが着弾する。そして、主滴121aが着弾してからサテライト121cが着弾するまでの間、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動が速いため、図9(c)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0078】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図13(d)に示すように、移動速度SPaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、ワーク10の移動速度が比較的遅いため、主滴121a’が着弾してからの移動距離が短くなり、図9(d)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0079】
この後、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、先の相対移動とは逆方向に液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対移動させながら液滴121を吐出させる。具体的には、図13(e)に示すように、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において移動速度SPbで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、まず、主滴121aが着弾する。そして、主滴121aが着弾してからサテライト121cが着弾するまでの間、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動が速いため、図9(e)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0080】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図13(f)に示すように、移動速度SPaで液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Bであって、隣接する所定領域16Aに近接した領域では、比較的速度が遅い移動速度SPaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、ワーク10の移動速度が比較的遅いため、主滴121a’が着弾してからの移動距離が短くなり、図9(f)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0081】
次いで、図13(g)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において移動速度SPbで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、まず、主滴121aが着弾する。そして、主滴121aが着弾してからサテライト121cが着弾するまでの間、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的な移動が速いため、図9(g)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0082】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図13(h)に示すように、移動速度SPaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、ワーク10の移動速度が比較的遅いため、主滴121a’が着弾してからの移動距離が短くなり、図9(h)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0083】
上記のように、所定領域16Aと所定領域16Aに隣接する所定領域16Bとの関係おいて、液滴吐出ヘッド50の移動方向に対応する所定領域16A、すなわち、所定領域16Aの隣接する所定領域16Bに近接する領域では、着弾距離ADが短くなるため、区画部11上に乗り上げて付着することがないので、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触が低減される。一方、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では、着弾距離ADが長くなる、すなわち、塗布面積を広げることができる。すなわち、所定領域16A,16Bに効率よく機能液を塗布することができる。なお、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、図13に示す塗布工程を繰り返す。
【0084】
そして、機能液の塗布が終了した場合には、固化工程S3に移行する。なお、固化工程S3の内容は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。そして、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図6参照)が形成される。
【0085】
なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成については、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0086】
従って、上記の第2実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0087】
所定領域16内において、相対的に速度が遅い移動速度SPaで液滴121を吐出させることにより、主滴121a’が着弾されてからのワーク10の移動距離が短くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1を短くすることができる。一方、相対的に速度が速い移動速度SPbで液滴121を吐出させることにより、主滴121a’が着弾されてからのワーク10の移動距離が長くなるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2を長くすることができる。すなわち、所定領域16内で、移動速度SPaで吐出することにより液滴121の着弾精度を高めることができる。また、移動速度SPbで吐出することにより液滴121の着弾領域を広げることができる。従って、例えば、カラーフィルター1の製造において、ワーク10上に形成さえた複数の所定領域16に機能液を塗布する場合に、所定領域16であって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側では移動速度SPaで液滴121を吐出させ、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では移動速度SPbで液滴121を吐出させることにより、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離AD1が、短くなるため、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触がなくなり、混色を低減することができる。また、他の領域では、塗布面積を広げることができるため、機能液を効率よく塗布することができる。
【0088】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。先の第1実施形態では、プラテンギャップPGを制御し、また、第2実施形態では、液滴吐出ヘッド50とワーク10とが相対的に移動する移動速度SPを制御したが、本第3実施形態では、所定領域内において、液滴121の吐出速度を制御しながら、液滴を吐出させる。以下、制御方法について説明する。なお、液滴吐出装置30の基本的な構成は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。但し、第3実施形態の液滴吐出装置30では、液滴吐出ヘッド50をZ軸方向に移動させるZ軸ガイド55及びZ軸リニアモーター56を省略してもよい。
【0089】
図14は、吐出速度を制御する制御方法を示す説明図である。本実施形態では、図14(a)、(c)に示す2種類の吐出速度VSa,VSbで制御する場合について説明する。なお、吐出速度VSa,VSbの違いをベクトルで表示しており、吐出速度VSaは、吐出速度VSbよりも遅い速度である。各吐出速度VSa,VSbの設定は、各ノズル120に対応する圧電素子113を制御駆動することにより行われる。そして、吐出速度VSa,VSbを、例えば、吐出速度VSaから吐出速度VSbへ、或いは、吐出速度VSbから吐出速度VSaへ変化させながらワーク10に向けて液滴121を吐出する。
【0090】
まず、図14(a)に示すように、吐出速度VSaで液滴121を吐出させた場合には、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が同等、或いは、それ以上の速度になるため、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が短くなり、図14(b)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1が比較的短くなる。一方、図14(c)に示すように、吐出速度VSbで液滴121を吐出させた場合には、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が遅いため、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が長くなり、図14(d)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2が比較的長くなる。従って、吐出速度VSa,VSbを制御することにより、ワーク10上に向けて吐出された液滴121の着弾距離ADを制御することができる。
【0091】
次に、パターン膜形成部材の製造方法において上記の液滴吐出装置30を適用した例について具体的に説明する。なお、パターン膜形成部材の製造方法は、図7に示すフローチャートと同様である。
【0092】
まず、ワーク載置工程S1では、例えば、ガラス基材上に区画部11が形成されたワーク10を液滴吐出装置30の載置台61上に載置する。
【0093】
次いで、塗布工程S2では、ワーク10上の所定領域16において、主滴121a’とサテライト121c’との着弾距離ADを異ならせて液滴121を塗布する。さらに詳細には、所定領域16に対して、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離ADが、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の着弾距離ADよりも短くなるように塗布する。本実施形態では、所定領域16内において、液滴吐出ヘッド50から吐出する吐出速度を制御しながら液滴121を吐出する。本実施形態では、相対的に速度が遅い吐出速度VSaと、相対的に速度が速い吐出速度VSbに制御しながら液滴121を吐出する。以下、具体的に説明する。
【0094】
まず、図15(a)に示すように、ワーク10上に形成された区画部11によって区画された所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において吐出速度VSbの状態で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が遅いため、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が長くなり、図9(a)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0095】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図15(b)に示すように、吐出速度VSaの状態で液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Aであって、隣接する所定領域16Bに近接した領域では、比較的速度が遅い吐出速度VSaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が同等、或いは、それ以上の速度になるため、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が短くなり、図9(b)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0096】
次いで、図15(c)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において吐出速度VSbで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が遅いため、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が長くなり、図9(c)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0097】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図15(d)に示すように、吐出速度VSaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が同等、或いは、それ以上の速度になるため、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が短くなり、図9(d)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0098】
この後、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、先の相対移動とは逆方向に液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対移動させながら液滴121を吐出させる。具体的には、図15(e)に示すように、ワーク10上に形成された区画部11によって区画された所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において吐出速度VSbの状態で液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が遅いため、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が長くなり、図9(e)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0099】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Bであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図15(f)に示すように、吐出速度VSaの状態で液滴121を吐出する。すなわち、所定領域16Bであって、隣接する所定領域16Aに近接した領域では、比較的速度が遅い吐出速度VSaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が同等、或いは、それ以上の速度になるため、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が短くなり、図9(f)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0100】
次いで、図15(g)に示すように、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の領域において吐出速度VSbで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が遅いため、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が長くなり、図9(g)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾される。
【0101】
次いで、液滴吐出ヘッド50とワーク10との相対的移動が進み、所定領域16Aであって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の領域では、図15(h)に示すように、吐出速度VSaで液滴121を吐出する。吐出された液滴121は、吐出過程において、主滴121aの吐出速度に対してサテライト121cの吐出速度が同等、或いは、それ以上の速度になるため、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出される。そのため、主滴121aとサテライト121cが着弾する時間差が短くなり、図9(h)に示すように、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾される。
【0102】
上記のように、所定領域16Aと所定領域16Aに隣接する所定領域16Bとの関係おいて、液滴吐出ヘッド50の移動方向に対応する所定領域16A、すなわち、所定領域16Aの隣接する所定領域16Bに近接する領域では、着弾距離ADが短くなるため、区画部11上に乗り上げて付着することがないので、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触が低減される。一方、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では、着弾距離ADが長くなる、すなわち、塗布面積を広げることができる。すなわち、所定領域16A,16Bに効率よく機能液を塗布することができる。なお、さらに、同一の所定領域16A,16B内に機能液を塗布する必要がある場合は、図15に示す塗布工程を繰り返す。
【0103】
そして、機能液の塗布が終了した場合には、固化工程S3に移行する。なお、固化工程S3の内容は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。そして、上記の製造方法によって、カラーフィルター1(図1参照)が形成される。
【0104】
なお、パターン膜形成部材の構成、電気光学装置の構成、電子機器の構成については、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0105】
従って、上記の第3実施形態によれば、以下に示す効果がある。
【0106】
所定領域16内において、相対的に速度が遅い吐出速度VSaで液滴121を吐出させることにより、主滴121aとサテライト121cとの距離が短い状態で吐出されるため、サテライト121c’は、主滴121a’上、或いは、主滴121a’の近傍に着弾され、着弾距離AD1を短くすることができる。一方、相対的に速度が速い吐出速度VSbで液滴121を吐出させることにより、主滴121aとサテライト121cとの距離が長い状態で吐出されるため、サテライト121c’は、主滴121a’から離れた位置に着弾され、着弾距離AD2を長くすることができる。すなわち、所定領域16内で、吐出速度VSaで吐出することにより液滴121の着弾精度を高めることができる。また、吐出速度VSbで吐出することにより液滴121の着弾領域を広げることができる。従って、例えば、カラーフィルター1の製造において、ワーク10上に形成された複数の所定領域16に機能液を塗布する場合に、所定領域16であって、液滴吐出ヘッド50の移動方向側では吐出速度VSaで液滴121を吐出させ、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側では吐出速度VSbで液滴121を吐出させることにより、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離AD1が、短くなるため、隣接する所定領域16に塗布された機能液との接触がなくなり、混色を低減することができる。また、他の領域では、塗布面積を広げることができるため、機能液を効率よく塗布することができる。
【0107】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0108】
(変形例1)第1実施形態では、2種類のプラテンギャップPG1,PG2で制御したが、これに限定されない。3種類以上のプラテンギャップPGで制御してもよい。また、第2及び第3実施形態についても同様にして、3種類以上の移動速度SP、吐出速度VSで制御してもよい。このようにしても、所定領域16内において、着弾距離ADが制御されるため、上記同様の効果を得ることができる。
【0109】
(変形例2)第1実施形態では、プラテンギャップPG1とプラテンギャップPG2を交互に変更したが、これに限定されない。例えば、液滴吐出ヘッド50とワーク10とを相対的に移動させながら徐々にプラテンギャップPG1をプラテンギャップPG2に変更するように制御してもよい。プラテンギャップPG2をプラテンギャップPG1に変更する場合も同様である。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。また、第2及び第3実施形態についても同様にして、移動速度SPaと移動速度SPbとの変更を徐々に行ってもよいし、吐出速度VSaと吐出速度VSbとの変更を徐々に行ってもよい。このようにしても上記同様の効果を得ることができる。
【0110】
(変形例3)上記実施形態では、所定領域16に対して、液滴吐出ヘッド50の移動方向側の着弾距離AD1が、液滴吐出ヘッド50の移動方向の反対側の着弾距離AD2よりも短くなるように制御したが、これに限定されず、所定領域16の端部における着弾距離が、所定領域の中央部おける着弾距離よりも短くなるように制御してもよい。このようにすれば、所定領域が隣接する位置においては、いずれも着弾距離が短くなるため、隣接する所定領域に塗布された機能液との接触を防止することができる。
【0111】
(変形例4)上記実施形態では、吐出された液滴121の主滴121aとサテライト121cの着弾距離ADの制御を行ったが、これに限定されず、例えば、サテライト121cが吐出されない場合には、吐出された液滴121の主滴121aと主滴121aに追従する尾引き部121bの着弾距離を制御してもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0112】
(変形例5)第1実施形態では、プラテンギャップPGの制御を行い、第2実施形態では、移動速度SPの制御を行い、第3実施形態では、吐出速度VPの制御を行ったが、例えば、これらの制御を適宜組み合わせてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
【0113】
(変形例6)上記実施形態では、パターン膜形成部材としてカラーフィルター1を例として説明したが、これに限定されることなく、例えば、EL(Electro−Luminescence)発光部材、シリカガラス前駆体、金属化合物等の導電部材、誘電体部材等についても適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1…パターン膜形成部材としてのカラーフィルター、10…ワーク、11…区画部、16,16A,16B…所定領域、30…液滴吐出装置、32…ヘッド機構部、33…ワーク機構部、34…材料供給部、35…メンテナンス機構部、36…制御部、50…液滴吐出ヘッド、51…ヘッドキャリッジ、55…Z軸ガイド、56…Z軸リニアモーター、61…載置台、113…圧電素子、115…ノズルプレート、120…ノズル、121…液滴、121a…主滴、121b…尾引き部、121c…サテライト、150…電気光学装置としての液晶ディスプレイ、180…電子機器としてのテレビ受像機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに向けて機能液を液滴として吐出させる制御部を備え、
前記制御部では、
前記ワーク上の所定領域に着弾させる前記液滴の主滴とサテライトとの着弾距離を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部は、
前記所定領域に対して、前記液滴吐出ヘッドの移動方向側の前記着弾距離が、前記液滴吐出ヘッドの移動方向の反対側の前記着弾距離よりも短くなるように制御することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記所定領域内において、前記液滴が吐出される前記液滴吐出ヘッドのノズルプレートの面から吐出された前記液滴が着弾する前記ワークの着弾面までの距離を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記所定領域内において、前記液滴吐出ヘッドと前記ワークとが相対的に移動する移動速度を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
前記所定領域内において、前記液滴の吐出速度を制御しながら、前記液滴を吐出させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
液滴吐出ヘッドとワークとを相対的に移動させながら、前記ワークに向けて機能液を液滴として吐出して、前記ワーク上にパターン膜を形成するパターン膜形成部材の製造方法であって、
前記ワーク上の所定領域において、主滴とサテライトとの着弾距離を異ならせながら、前記液滴を吐出して、前記ワーク上に前記機能液を塗布する塗布工程を含むことを特徴とするパターン膜形成部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−40499(P2012−40499A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183710(P2010−183710)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】