液滴吐出装置、及びこれを用いた画像形成装置
【課題】複雑な制御機構を用いず、インクを無駄に消費せずに供給経路で生じた気泡による圧力増加の影響を取り除けるインク吐出装置を実現する。
【解決手段】液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッド1と、これに供給する液体を貯留するサブタンク101、インクカートリッジ76と、これらの間を連通する供給チューブ16、供給チューブ16に介在する送液ポンプ81を備える。供給チューブ16には、重力方向と反対側に可撓性フィルム202と、これを供給チューブ16の内側から外側方向に付勢するばね201を有する。送液ポンプ81で、インクカートリッジ76からサブタンク101への第1の送液方向と、その逆の第2の送液方向の両方向に繰り返し送液し、可撓性フィルム202膨らませたり凹ませたりして送液を繰り返し、気泡を順次カートリッジ76方向へ移動させ、最終的にカートリッジ76に貯留させる。
【解決手段】液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッド1と、これに供給する液体を貯留するサブタンク101、インクカートリッジ76と、これらの間を連通する供給チューブ16、供給チューブ16に介在する送液ポンプ81を備える。供給チューブ16には、重力方向と反対側に可撓性フィルム202と、これを供給チューブ16の内側から外側方向に付勢するばね201を有する。送液ポンプ81で、インクカートリッジ76からサブタンク101への第1の送液方向と、その逆の第2の送液方向の両方向に繰り返し送液し、可撓性フィルム202膨らませたり凹ませたりして送液を繰り返し、気泡を順次カートリッジ76方向へ移動させ、最終的にカートリッジ76に貯留させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンタや同種のプリンタ(以下、単にインクジェットプリンタと言う)では、印刷速度の高速化が進むと共に多様化し、家庭用のみならずビジネス用途にも広く使用され、広幅の記録媒体への画像形成に対する需要も増えてきている。ビジネス用途では、大量に印刷するためインクカートリッジのインク収容量を多くしてカートリッジ交換頻度を低減している。そのために、プリンタ本体にインクカートリッジを備え付け、チューブでキャリッジ上の記録ヘッドと連通させてインク供給するいわゆるオフキャリッジ方式が多く用いられている。このオフキャリッジ方式では、記録ヘッドに供給されるインクの圧力を安定的に保つために記録ヘッドの直前にサブタンクと呼ばれるバッファを設けており、サブタンク内のインクは、記録ヘッドからインクが垂れてしまうことを防ぐために、大気圧よりも低い圧力、すなわち負圧になっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、使い終わったインクカートリッジを取り外した際に、チューブに少量の泡状の空気が入り込むことがある。または、チューブの透気性が低いと、経時的にチューブ内に空気が入り込む。このような空気は気泡となり、記録ヘッドからのインクの消費に伴い、チューブを通ってサブタンクに滞留する。ところで、記録ヘッドは重力方向にインク液滴を飛ばすため、サブタンク内のインクの流れは、重力方向になる。それに対して、気泡はそれ自身が持っている浮力によって、重力方向の逆向き、つまりサブタンク上部にて停滞し、記録ヘッド方向に流れない。さらに、記録ヘッドとサブタンクの間にはフィルタがあり、このフィルタを気泡が通過するためには、大きな圧力差と流速を要する。このような状況のため、気泡をサブタンクから除去することは容易ではない。サブタンクに気泡が滞留した状態で、インクジェットプリンタが高温環境下に置かれると、気泡が膨張し、それに伴いサブタンク内の圧力が上昇する。つまり、サブタンク内の負圧が崩れ、正常な印字ができなくなる。これを防ぐために、サブタンク内の気泡を排出させる技術がある。
【0004】
例えば、インクカートリッジ内のインクを加圧し、カートリッジとサブタンク間にあるチューブに弁を設け、その弁を閉じた状態で記録ヘッドのノズル配置面をキャップし、ポンプによってインクを排出することでサブタンク内の圧力を下げ、その後開弁することで大きな圧力差によって、サブタンク内の気泡を記録ヘッドから一気に排出するいわゆるチョーク方式が既に知られている。また、カートリッジとサブタンク間を連通するチューブに送液ポンプを設け、そのポンプの逆回転により、サブタンク内の伸縮部材が所定量縮むまでサブタンク内の気泡をカートリッジに戻す方法が既に知られている。
【0005】
しかし、上述のチョーク方式の場合、サブタンク内にある気泡を大きな圧力差によって、一気に記録ヘッドから排出するため、本来排出しなくても良いインクを無駄に捨ててしまうという問題がある。また、カートリッジとサブタンク間にあるポンプを逆転させ、サブタンク内の気泡をカートリッジに戻す方式の場合、長いチューブや、内径が大きいチューブを用いたときに、ポンプが逆回転しても、気泡がカートリッジに到達する前に、サブタンク内の伸縮部材が所定量縮んでしまい、過負圧になりノズルから気泡を巻き込むことになる。過負圧を防ぐためにポンプの正転、逆転を繰り返しても、気泡をチューブとサブタンク内で往復させることになり、気泡排出の効果を得にくいという問題がある。
【0006】
特許文献1には、液体噴射ヘッドに残留した気泡による吐出不良を防止できるとともに、液体(インク)廃棄率を減少させる液体噴射装置及びサブタンク内のインク貯留手段を提供することを目的として、以下のような構成が開示されている。
すなわち、インクカートリッジとサブタンク間を供給チューブで連通し、供給チューブにチューブポンプを備える構成で、サブタンクの内部には、伸縮可能な伸縮部材(ベローズ)と、伸縮部材の変位を検出するスイッチ、伸縮部材(ベローズ)内にインクを供給する鉛直管から構成される。サブタンク内にあるスイッチは、2つあり上下に配置されている。さらに、サブタンク内部には、ベローズを伸張する方向に付勢するばねが備わっている。伸縮部材内の貯留室に気泡(空気)が溜りると、チューブポンプがサブタンクからインクカートリッジ方向に送液し、内部の気泡(空気)をカートリッジに移す。このとき貯留室内の負圧が大きくなり、伸縮部材が所定量縮むと、その変位をスイッチで検出する。スイッチの検出により、チューブポンプは逆回転し、カートリッジからサブタンク内にインクを送液するという制御を行う。
【0007】
この技術では、内容積が大きいチューブ(長いチューブや内径の大きいチューブ)を用いたとき、チューブポンプを逆回転して、サブタンク内の気泡をカートリッジに戻そうとしても、気泡がカートリッジに到達する前に、サブタンク内の伸縮部材が所定量凹んで過負圧となってしまう。そして、サブタンク内が過負圧になると、ノズルから気泡が進入し、正常な吐出の妨げとなる。これを防ぐために、過負圧になる前にポンプの回転方向を切り換えても、気泡をチューブとサブタンク内で往復させることになり、気泡排出の効果が得られなという問題がある。さらにこの技術では、サブタンク内に伸縮部材を内包するため、組立性が悪いという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明においては、複雑な制御機構を用いず、かつインクを無駄に消費しなくとも、供給経路で生じた気泡による圧力増加の影響を取り除くことが可能なインク吐出装置、画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液滴吐出装置、画像形成装置は、液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、前記液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、前記供給流路に介在する送液手段と、を備え、前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜を前記供給流路の内側から外側方向に付勢するばねを有し、前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す。
【0010】
また本発明の液滴吐出装置、画像形成装置は、液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、前記液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、前記供給流路に介在する送液手段と、を備え、前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜の外側に一体的に取り付けられた受圧板を有し、さらに前記供給流路の外側で前記受圧板を付勢する付勢ばねを有し、前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で供給経路に生じた気泡による圧力増加の影響を取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例としてのインクジェット記録装置を示した図
【図2】図1の装置のインク供給系、維持回復系の概略図
【図3】図1の装置の排気動作を説明するための図
【図4】気泡溜り部の設置間隔に関して説明するための図
【図5】サブタンク内の圧力と送液ポンプの送液量に関する図
【図6】図3に示す気泡溜り部の代わりに蛇腹構造の膜2を設けている本発明の実施例2を示す図
【図7】チューブ内部にばねを設置した本発明の実施例3を示す図
【図8】本発明の各実施例で用い得る送液ポンプの構成の一例を示す図
【図9】同じく送液ポンプの構成の一例を示す図
【図10】上述した各実施例で採用できる制御シーケンスについて説明するためのフローチャート
【図11】供給チューブが色種ごとに一体形成された本発明のさらに他の実施例の気泡溜り部の構成を示す図
【図12】インク供給方向で記録ヘッドの上流側に、サブタンク、インクカートリッジ、両者を連通する供給チューブを備える構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記目的を、サブタンクとインクカートリッジ間を連通する供給チューブに正転と逆転が可能な送液ポンプを設け、さらに、供給チューブにおいて、重力方向と逆向き側に可撓性フィルム材で作られた気泡溜めを一定間隔で設け、この気泡溜りにチューブ内側から外側を付勢するばねを設けるという構成で達成する。
【0014】
すなわち、図12に示すように、インク供給方向で記録ヘッドの上流側に、記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンク101、液体を貯留する液体タンクであるインクカートリッジ76、両者を連通する供給流路となる液体供給チューブ16(以下、単に供給チューブ16)を備える。さらに、この供給チューブ16に送液手段である送液ポンプ81を介在させる。供給チューブ16は、重力方向と逆向き(浮力が働く方向)に一定間隔で気泡溜り部200が形成されている。さらに供給チューブ16内に設けられたこの気泡溜り部には、供給チューブ16内側から外側に向けてばね201で付勢するようになっている。図中8は紙などの記録材、30は装置本体、50はキャップ、51は維持回復ポンプ、76はインクカートリッジ、125〜127は搬送ローラである。
【0015】
その動作は、
1)サブタンク101内にある気泡をカートリッジ76に送るとき:
送液ポンプ81が第1の方向であるA方向(正転)と第2の方向であるB方向(逆転)との送液動作を繰り返すことで気泡をカートリッジ76に移す。具体的には、まず送液ポンプPをA方向に駆動させ、サブタンク101内にあった気泡をカートリッジ76方向に移動させる。送液ポンプ81をA方向に駆動し続けると、供給チューブ16内の負圧は増大し、チューブ16に設けられた気泡溜り部200が負圧により凹み、チューブの内側に変形する。気泡は送液ポンプ81Pによって作られた流れによって、カートリッジ76方向に移動する。そして、サブタンク101内の負圧が所定値よりも小さくなったとき、すなわち過負圧になる前に送液ポンプ81をB方向に駆動する。過負圧になってしまうとやがてノズルから気泡が流入し、せっかくサブタンク101から取り除いたにもかかわらず、再び気泡がサブタンク101に入ってしまうからである。また、ノズルを気泡が塞ぐことで、正常な吐出ができなくなるためでもある。
その結果、サブタンク101とチューブ16内の圧力が負圧から大気圧方向に回復し、ばね201による付勢力によって気泡溜り部200は膨らむ。チューブ16内にあった気泡は、送液ポンプ81がB方向に駆動されることで、サブタンク101方向に戻ってしまうが、最寄りの気泡溜り部200に入ることで、それ以上逆戻りすることは無い。再び、送液ポンプ81をA方向に駆動させると、可撓性膜である可撓性フィルム202が凹み、気泡がカートリッジ76方向に進み、負圧が所定値よりも小さくなったとき、送液ポンプ81の駆動をB方向に切り換える。この送液動作を繰り返すことで、気泡を順次カートリッジ76方向へ移動させることができ、最終的にカートリッジ76に貯留させることができる。気泡溜り部200は一定間隔で設ける。
2)インクを供給するとき:
送液ポンプ81がB方向に駆動(正転)し、カートリッジ76内に貯留されたインクがサブタンク101に送液される。
【0016】
以上の動作により、インクを無駄にせず、かつサブタンク101を複雑な組み立てをせずにタンク内の気泡が排気される。すなわち、サブタンク101内に滞留した気泡を、インクを捨てずにカートリッジ76に移すことができ、高温環境下で気泡による圧力上昇を防ぐことができ、サブタンク101内の負圧が壊れることが無い。さらに、サブタンク101に複雑な構成部品を必要としないため、組立性を落とすことが無い。
【実施例】
【0017】
<実施例1>
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施例としてのインクジェット記録装置(以下、インクジェットプリンタ)を示した図である。図1(A)は、インクジェットプリンタの正面図を示しており、図1(B)は、右側側面図、図1(C)は平面図を示している。このプリンタは、左右の側板123L、123Rに横架したガイド部材であるガイドロッド122とガイドレール128とでキャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持している。
【0018】
キャリッジ120は、図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に移動走査する。また、キャリッジ120上には、複数の色(例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)など)のインク滴を吐出する記録ヘッド1が主走査方向と交叉する方向に配列され、インク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
【0019】
記録ヘッド1は、インクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものである。記録ヘッドには、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させたりして吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に適用することができる。記録ヘッド1の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク101が一体的に接続される。ここで言う一体的とは、構造的に文字通り一体であるものだけでなく、記録ヘッド1とサブタンク101がチューブ、管等で接続されるものも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジに搭載されるという意味である。
【0020】
サブタンク101には供給チューブ16が接続され、供給チューブ16のもう一端は、本体据え置きのカートリッジホルダ77と接続されている。カートリッジホルダ77の内部には、インクを供給する送液ポンプ81があり、供給チューブ16は、カートリッジホルダ内で送液ポンプ81と接続されている。そして、送液ポンプ81の一端はインクカートリッジ76と接続される。したがって、記録ヘッド1から、サブタンク101、送液ポンプ81、インクカートリッジ76までは連通状態にある。
【0021】
図2は、図1の装置のインク供給系、維持回復系の概略図を示している。インクカートリッジ76は、供給チューブ16を通じて、送液ポンプ81及びサブタンク101と連通している。送液ポンプ81は、正転動作により、インクカートリッジ76に貯留されたインクを矢印A方向、すなわちサブタンク101に供給する。一方、送液ポンプ81は、逆転動作によりサブタンク101内にある流体を矢印B方向、すなわちインクカートリッジ76に送液可能である。なお、図2では、サブタンク101、インクカートリッジ76及び供給チューブ16は1種類であるが、使用するインクの色種によって、複数種あっても良い。
【0022】
記録ヘッド1には、非吐出時にインクの水分乾燥を防止すると同時に、記録ヘッド1内の気泡を取り除き、ノズルが詰まったときなどに記録ヘッド1内のインクを吸引する目的で保湿・吸引用のキャップ50が備わっている。記録ヘッド1内のインクを吸引するときは、記録ヘッド1のインク吐出面にキャップ50をキャッピングさせ、維持回復ポンプ51により、インクを廃液タンク52へ導く。キャップ50は、吸引動作だけではなく、記録ヘッド1からの空吐出受けとしての役割を持つことがある。ワイパーブレード71は、ワイピングユニット70に取り付けられており、このワイパーブレード71により、メンテナンス後の記録ヘッド1のインク吐出面を拭うことで、インク吐出面のメニスカスが整えられる。
【0023】
図3は、図1の装置の排気動作を説明するための図で、図3(A)は供給系でサブタンク101に気泡300が滞留している状態を示している。
この状態でサブタンク101を含むインクジェットプリンタが高温環境に置かれると、気泡300が膨張しようとするが、サブタンク101内部にあるインクの膨張率よりも気泡(空気)の膨張率の方が大きいため、気泡は膨張しきれず圧力が上昇する。その結果、サブタンク101内の圧力が上昇し、サブタンク101内部に形成される負圧が壊れることになる。サブタンク101内の負圧が一定範囲よりも大気圧まで上昇すると、正常なインクの吐出ができなくなる。そこで、気泡300が所定の量以上にサブタンク101内に滞留した場合、内部の気泡300を排出する必要がある。サブタンク101内の気泡を排出する方法として、チョーク方式がある。そこで、インクカートリッジ76内のインクを加圧し、供給チューブ16に弁を設け、その弁を閉じた状態で記録ヘッド1のノズル配置面をキャップし、維持回復ポンプ51によってサブタンク101内の圧力を下げ、その後開弁することで大きな圧力差によって、サブタンク101内の気泡を記録ヘッドから一気に排出する方式である。この方式の場合、圧力差を大きくして、流速を上げることから、通常印字に使用可能なインクを大量に廃棄してしまう。そこで本実施例では、供給チューブ16の重力方向と反対側に気泡300を一時的に貯める気泡溜り部200を設けている。
【0024】
図3(B)、図3(C)は、図3(A)に示す気泡溜り部200を拡大した図である。気泡溜り部200は、圧力差によって変形可能な可撓性フィルム202と、そのフィルム202を供給チューブ16の内側から外側方向に付勢するばね201、及びばねの付勢力をフィルム202に均一に伝えるためのプレート205からなる。
【0025】
次に本実施例装置の排気動作について図3(B)、図3(C)を用いて説明する。
サブタンク101に気泡300が混入した場合、送液ポンプ81は、通常インクを供給する矢印B方向とは逆に、矢印A方向へ駆動する。この駆動により、図3(B)に示すように供給チューブ16内の負圧がより大きくなり、気泡溜り部200の可撓性フィルム202が供給チューブ16の内側に凹む。なお、可撓性フィルム202が確実に凹むために、気泡溜り部200にある付勢ばね201のばね力は、チューブ内の負圧と可撓性フィルム202の面積との積で求まる力よりも小さく設定する。
【0026】
送液ポンプ81の矢印A方向の駆動により、サブタンク101内の気泡300は、供給チューブ16を通じてカートリッジ76方向に移動する。そして送液ポンプ81を矢印A方向に駆動し続けると、サブタンク101内の圧力が低下し続け、やがて負圧が大きくなりすぎる。このことにより、インク吐出用ノズルから空気がサブタンク101内部に混入してしまう。これを防ぐために、いったん送液ポンプ81を矢印B方向に駆動させる。送液ポンプ81が矢印B方向に駆動すると、これまで下がっていた供給チューブ16内の圧力が高まる(大気圧方向に高まる)。その結果、図3(C)に示すように、気泡溜り部200の可撓性フィルム202が膨らみ、供給チューブ16の流路よりも高い位置に膨らむ。
【0027】
気泡溜り部200が膨らむので、送液ポンプが矢印B方向に駆動しても、気泡300は破線の矢印で示すように、気泡溜り部200にて自身の浮力により上昇する。気泡溜り部200で上昇した気泡300は、送液ポンプ81が矢印B方向に駆動して、サブタンク101に向かって流れが生じても、気泡溜り部200からサブタンク101方向に動くことは無い。気泡300は自身の浮力により供給チューブ16の流路よりも高い位置にあり、送液ポンプ81が駆動しても、その位置から下がって流れないからである。つまり、気泡溜り部200は気泡300を矢印A方向に流さないようにトラップすることができる。したがって、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動し、サブタンク101内にあるインクの圧力がある値まで下がったら、再び矢印B方向に駆動することで、サブタンク101内の一定の範囲に収めながら、気泡300のみをインクカートリッジ76に戻すことができる。
【0028】
なお、図3(C)にあるように、ばね201の付勢力を可撓性フィルム202の面全体に伝えることができるため、ばね201と可撓性フィルム202の間にプレート205が挟んであることが望ましい。このプレート205は可撓性フィルム202に接着され一体的に動作する構成でも良い。
【0029】
インクカートリッジ76は、可撓性の袋でも、ボトル上のタンクでも本発明を適用することができる。しかし、気泡300がカートリッジ76内で膨張しても、圧力が極端に上昇しないために、気泡貯留部に一定の容積が必要である。もしくは、送液ポンプ81を、例えばチューブポンプのように供給チューブ16をつぶして流路を閉塞させる方式にすることで、インクカートリッジ76に戻した気泡が膨張して圧力が上昇しても、その影響をサブタンク101に伝わってしまうことを防ぐことができる。
【0030】
上述のように、本実施例では、サブタンク101に貯留した気泡300を、本来使用可能なインクを捨てること無く、かつサブタンク101内に複雑な構成部品を要さず、確実にインクカートリッジに運ぶことができ、気泡が膨張することによるサブタンク101内の圧力上昇を防ぐことができる。
【0031】
サブタンク101の内部に気泡300が滞留したことを検出するために、サブタンク101にセンサを取り付けていることが望ましい。例えば図3(D)に示すように電極ピン150を設置し、そのインクと気泡(空気)との電気抵抗の変化から、気泡300の滞留状態を検出する方法がある。なお、検出方法はこの方式に限定せず、気泡300の滞留を検出できれば良い。このような気泡300の滞留を検出するデバイスが備わっていた方が、適切なタイミングで気泡300をインクカートリッジ76に戻すことができるため、サブタンク101内の圧力を保つことができる。あるいは、検出センサを備えずに、所定の経過時間を過ぎると、自動的に気泡排出シーケンスが作動するようにしても、本発明の効果を得ることはできる。またサブタンク101の重力方向と対抗する天面は、図3(D)に示すように気泡300が一箇所に集まり、効率よく供給チューブ16内に流れるように傾斜が設けてある方が望ましい。
【0032】
図4は、気泡溜り部の設置間隔に関して説明するための図である。
サブタンク101の容積が大きい場合、もしくは供給チューブが短い場合、気泡溜り部200は、供給チューブ16に一つでもあれば良いが、一般的なシリアルプリンタのサブタンク101はその内容積が小さいので、気泡溜り部200が供給チューブ上に一つないし少数であると、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動して気泡溜り部200に気泡300が到達する前に、所定の値以上の負圧になってしまうおそれがある。そこで、図4に示す気泡溜り部200は、サブタンク101の負圧が過負圧にならないように一定の間隔Lで設けてある。
【0033】
このように構成することにより、容積が小さいサブタンク101であっても、内部に滞留した気泡300を、上述の原理で送液ポンプ81のA方向とB方向の駆動を順次繰り返して、インクカートリッジ76に戻すことができる。つまり、サブタンク101の容積にかかわらず、たとえ小型のサブタンク101であっても、一切のインクを無駄にせずに、気泡300をサブタンク101から排出することができる。したがってこの発明の効果は大きい。ところで、図4に示す一定間隔Lは、気泡溜り部200間の距離を表している。気泡300が次の気泡溜り部200に移動できないと、送液ポンプ81が矢印B方向と矢印A方向に駆動している間、気泡300は供給チューブ16内を移動するだけであり、インクカートリッジへ76への排気効果を得ることができない。そこで、この一定間隔Lは、送液ポンプ81が矢印B方向に駆動してから矢印A方向に駆動するまでの間に、気泡300がインクカートリッジ76方向にある次の気泡溜り部200に確実に到達するように設計する必要がある。
【0034】
図5は、サブタンク101内の圧力と送液ポンプの送液量に関する図であり、図5(A)は、サブタンク101の一例を示している。
サブタンク101の側面には可撓性フィルム210があり、その可撓性フィルム210をサブタンク101の内部から外部に向けて付勢する付勢ばね212が備わっている。この付勢ばね212のばね力により、サブタンク101内に負圧が形成される。フィラー211は可撓性フィルム210に当接し、サブタンク101内の圧力を、可撓性フィルム210の変位としている。さらにフィラー211は、この変位量を大きくするために取り付けられている。このフィラー211の変位を検出部213によって検出することで、サブタンク101内の圧力を検出することができる。
【0035】
図5(B)は、このサブタンク101内の圧力変化に対する送液ポンプ81の駆動を示している。縦軸はサブタンク101内の圧力を示しており、上限値と下限値の間がサブタンクの適正負圧範囲である。横軸は時間を示している。今、送液ポンプ81を矢印B方向に駆動させると、サブタンク101内の体積が減少し、圧力が低下する。この圧力をフィラー211の変位で読み取り、下限値に到達する時間まで(図5(B)のBの時間)送液ポンプ81を駆動させる。サブタンク101内の圧力を検出しながら、送液ポンプ81を駆動させることで、適正負圧範囲を保つことができる。その後、送液ポンプを矢印A方向に駆動させることで、サブタンク101内の圧力を上限値まで戻す。
【0036】
このようにサブタンク101内の圧力を検出して、その圧力が下限値・上限値に到達するまで送液ポンプを駆動することで、気泡排出動作中に適正負圧を壊すことを防ぐことができる。さらに、気泡排出動作後に改めて負圧を形成する必要が無い。そのため、このような制御は有効である。なお、図5(A)に示すサブタンク101内の圧力検出はフィラー211に限定せず、例えば圧力センサを内蔵しても良いし、可撓性フィルム210の変位を光学センサで検出するといった方法でも良い。
【0037】
<実施例2>
図6は、他の実施例について説明する図であり、この実施例は、図3に示す気泡溜り部200の代わりに蛇腹構造の膜207を設けている。可撓性フィルムは、フィルムの変形(膨らみや縮み)に対して、偏りを持ち易く、一定の変形挙動を持たせることが難しいことがあり得る。変形の仕方が変化して、フィルムが傾いたりすると、気泡溜り部200において、気泡300を確実にトラップすることができないことも考えられる。そこで本実施例では、図6に示すように、可撓性フィルムの代わりに蛇腹構造の膜207を用いている。蛇腹構造にすることで、変形が一定になり、予期せぬ膜の変形を防ぎ、確実に気泡溜りの機能を持たせることができる。なお、蛇腹構造にする材料は膜ではなく、弾性変形可能なエラストマーでも良い。
【0038】
<実施例3>
図7は、本発明のさらに他の実施例について説明する図である。図3の気泡溜り部200は、供給チューブ16の内側にばね201が備わっている構成であるが、この構成ではチューブ内部にばねを設置することになり、組立性が悪いことがあり得る。そこで本実施例では、図7に示すように、ばね201を可撓性フィルム202の外側に設置している。
【0039】
図7(B)は送液ポンプ81が矢印B向に駆動し、供給チューブ16内のインクをサブタンク101方向に移動させる状態を示している。受圧板208は可撓性フィルム202と一体的に取り付けられ、さらにばね202は、受圧板208を矢印α方向に付勢している。この付勢力により、可撓性フィルム202は膨らみ、気泡300をトラップすることができる。
【0040】
図7(A)は、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動した状態を示している。矢印A方向に駆動すると、可撓性フィルム202が凹み、それに伴って受圧板208も凹む。その結果、気泡300は気泡溜り部200でトラップすること無く、カートリッジ方向に移動することができる。以上のような構成にすることで、これまでの気泡溜り部200の動作と同一の動作を実現でき、ばね201を供給チューブ16の外側で組立でき、組立効率の向上を実現できる。
【0041】
<インクカートリッジ>
図8は、上述した各実施例で用い得るインクカートリッジについて説明する図であり、図8に示したカートリッジ76は、インク残量検出用に電極ピン151が取り付けられている。さらに、インクの消費によって液面が降下するために、大気開放口209が設けられている。大気開放口209はインクの水分蒸発を防止するために、細長い形状であることが望ましく、カートリッジ側面にラビリンス形状で備わっていることが一般的である。
【0042】
本実施例では、サブタンク101内に混入した気泡をインクカートリッジ76内に戻した後、インクカートリッジ76内にてインクと空気を分離する。図8(A)はインクカートリッジ76内にインク500が多量に残っている状態を示している。送液ポンプ81が矢印A方向に駆動し、気泡300がインクカートリッジ76まで到達すると、気泡300は浮力によりインクカートリッジ76の上面まで上昇する。そのため、インクと空気が分離される。
【0043】
図8(B)はインクが少量になった状態を示している。インク500が少量になると、液面が降下し、電極ピン151の下端と液面が離間する。このときにインク残量が無いと判断し、送液ポンプ81の駆動を停止させる。以上の制御動作により、印字枚数に伴ってインクカートリッジ76内に貯留されたインク500がなくなったとき、カートリッジ内部にある空気を、送液ポンプ81がB方向に駆動することにより、供給チューブ16方向に送ってしまうことを防ぐことができる。
【0044】
なお、本発明は、電極ピン151の使用に限定されず、カートリッジ内のインク残量検出には種々の手段、方法を採用できる。
【0045】
また、電極ピン152は、サブタンク101から気泡300をカートリッジ方向に戻す際に、インクカートリッジ76に気泡300が確実に戻ったことを検出するために取り付けられている。この電極ピン152からの信号により気泡の戻りを検出する手法だけでなく、電極ピン151のような残量検出手段を設けずに、印字枚数をカウントし、そのカウント枚数によってインクカートリッジ76内のインク残量を推定して、推定結果から送液ポンプ81の駆動を止める方法等も採用可能である。
【0046】
<送液ポンプ>
図9は、上述した各実施例で用い得る送液ポンプの構成の一例を示す図である。
この例では、ポンプ本体とアクチュエータとしてモータを色種ごとに用意し、独立制御している。図3(D)に示すサブタンク101に取り付けられた電極ピン150にて、サブタンク101内の気泡300を検知した場合、図9のモータを駆動させて、気泡300をカートリッジに引き込む。
【0047】
なお、ポンプは正方向、逆方向に送液可能な特徴を持つことが望ましい。インクカートリッジ76が図8に示すような大気連通タイプである場合、大気圧がサブタンク101に伝播すると、サブタンク101内の圧力が高まり、正常な吐出ができなくなる。そのためインクカートリッジが大気と連通しているときは、ポンプ81は例えばチューブポンプのように、流路を閉塞させ得るポンプであることが望ましい。
【0048】
<制御シーケンス>
図10は、上述した各実施例で採用できる制御シーケンスについて説明するためのフローチャートである。
図示の気泡排出シーケンスは、図3(D)に示すサブタンク101の電極ピン150が空気(気泡)を検出して、実行される(ステップS1)、電極ピン150が空気を検知すると、図8に示すインクカートリッジ76にインク500が残っているかを、電極ピン151から検知する(ステップS2)。
【0049】
電極ピン151の信号から、インク500の液面が電極ピン151よりも下がっている状態、すなわちカートリッジ76内にインク500が残っていないと判断されると、図示しない本体ディスプレイにて使用者にインクカートリッジ76の交換を促すようにする(ステップS9)。これは、インク500が無い状態で液体ポンプ81の正転動作(サブタンク101方向へ送液する動作)を実施することで、空気を供給チューブ16内に送ってしまうことを避けるためである。インクカートリッジ76内にインク500があるときは、送液ポンプ81を逆転(インクカートリッジ方向へ送液)させる(ステップS3)。
【0050】
このとき図5に示すように、サブタンク101内のインク圧力が適正負圧範囲の下限値以内であれば(ステップS4)、図8の電極ピン152で気泡の有無を検出しながら、送液ポンプ81を逆回転させ、電極ピン152が気泡を検出したら、確実に気泡がカートリッジ76内に入るように、時刻t[s]間だけ送液ポンプ81を逆回転させ(ステップS5)、時刻t[s]経過後、送液ポンプ81を停止させる(ステップS6)。時刻tの値は、電極ピン152とカートリッジ76との流路と断面積、送液ポンプの流量によって異なるため、最適な値を求めておくことが望ましい。
【0051】
送液ポンプ81が逆回転して、電極ピン152が気泡を検出しない場合は、気泡が供給チューブ16内にあると判断できる。そこで、送液ポンプ81をサブタンク101内の圧力が下限値に達するまで、駆動させる(ステップS3、S4)。サブタンク101の圧力が下限値に達したら、送液ポンプ81の駆動を切り換えて、正回転させる(ステップS7)。サブタンク101内の圧力が上限値に達するまで送液ポンプ81の駆動を続け(ステップS7、8)、上限値に達したら送液ポンプ81を再び逆回転させる(ステップS3)。なお、送液ポンプ81が正回転しているときは、気泡がインクカートリッジ76方向に流れることは無い。そのため、このときはインクカートリッジ76の直前にある電極ピン152において、気泡の有無を検出させる必要は無い。
なお上述した制御フローは一例であり、本発明の作用がこの制御フローに限定されるものではない。
【0052】
<実施例4>
図11は、本発明のまたさらに他の実施例について説明する図であり、供給チューブ16が色種ごとに一体形成された場合の気泡溜り部200の構成を示している。気泡溜り部200は、重力方向の反対側、すなわち気泡300に浮力が掛かる方向に形成される。一般的なインクジェットプリンタの供給チューブのように、複数の供給チューブを縦一列に形成すると、気泡溜り部200を設けることができなくなる。そこで、図7(A)のように、供給チューブ16を斜めに配置し、気泡溜り部200を構成することで、複数の供給チューブ16を一体形成しても、本発明を適用することができる。図7(B)のように、供給チューブ16を色ごとに交互に配置することにより、気泡溜り部200を設けることもできる。したがって、色ごとに複数の供給チューブ16が一体形成された場合でも実施できる。
【0053】
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:記録ヘッド
101:サブタンク
16:液体供給チューブ(供給チューブ)
30:装置本体
50:キャップ
51:維持回復ポンプ
52:廃液タンク
70:ワイピングユニット
71:ワイパーブレード
76:インクカートリッジ
77:カートリッジホルダ
81:送液ポンプ
120:キャリッジ
122:ガイドロッド
123L、123R:側板
125〜127:搬送ローラ
128:ガイドレール
150:電極ピン
200:気泡溜り部
201:ばね
202:可撓性フィルム
205:プレート
207:蛇腹構造の膜
208:受圧板
209:大気開放口
210:可撓性フィルム
211:フィラー
212:付勢ばね
213:検出部
300:気泡
500:インク
L:気泡溜り部の間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2007−230041号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンタや同種のプリンタ(以下、単にインクジェットプリンタと言う)では、印刷速度の高速化が進むと共に多様化し、家庭用のみならずビジネス用途にも広く使用され、広幅の記録媒体への画像形成に対する需要も増えてきている。ビジネス用途では、大量に印刷するためインクカートリッジのインク収容量を多くしてカートリッジ交換頻度を低減している。そのために、プリンタ本体にインクカートリッジを備え付け、チューブでキャリッジ上の記録ヘッドと連通させてインク供給するいわゆるオフキャリッジ方式が多く用いられている。このオフキャリッジ方式では、記録ヘッドに供給されるインクの圧力を安定的に保つために記録ヘッドの直前にサブタンクと呼ばれるバッファを設けており、サブタンク内のインクは、記録ヘッドからインクが垂れてしまうことを防ぐために、大気圧よりも低い圧力、すなわち負圧になっている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、使い終わったインクカートリッジを取り外した際に、チューブに少量の泡状の空気が入り込むことがある。または、チューブの透気性が低いと、経時的にチューブ内に空気が入り込む。このような空気は気泡となり、記録ヘッドからのインクの消費に伴い、チューブを通ってサブタンクに滞留する。ところで、記録ヘッドは重力方向にインク液滴を飛ばすため、サブタンク内のインクの流れは、重力方向になる。それに対して、気泡はそれ自身が持っている浮力によって、重力方向の逆向き、つまりサブタンク上部にて停滞し、記録ヘッド方向に流れない。さらに、記録ヘッドとサブタンクの間にはフィルタがあり、このフィルタを気泡が通過するためには、大きな圧力差と流速を要する。このような状況のため、気泡をサブタンクから除去することは容易ではない。サブタンクに気泡が滞留した状態で、インクジェットプリンタが高温環境下に置かれると、気泡が膨張し、それに伴いサブタンク内の圧力が上昇する。つまり、サブタンク内の負圧が崩れ、正常な印字ができなくなる。これを防ぐために、サブタンク内の気泡を排出させる技術がある。
【0004】
例えば、インクカートリッジ内のインクを加圧し、カートリッジとサブタンク間にあるチューブに弁を設け、その弁を閉じた状態で記録ヘッドのノズル配置面をキャップし、ポンプによってインクを排出することでサブタンク内の圧力を下げ、その後開弁することで大きな圧力差によって、サブタンク内の気泡を記録ヘッドから一気に排出するいわゆるチョーク方式が既に知られている。また、カートリッジとサブタンク間を連通するチューブに送液ポンプを設け、そのポンプの逆回転により、サブタンク内の伸縮部材が所定量縮むまでサブタンク内の気泡をカートリッジに戻す方法が既に知られている。
【0005】
しかし、上述のチョーク方式の場合、サブタンク内にある気泡を大きな圧力差によって、一気に記録ヘッドから排出するため、本来排出しなくても良いインクを無駄に捨ててしまうという問題がある。また、カートリッジとサブタンク間にあるポンプを逆転させ、サブタンク内の気泡をカートリッジに戻す方式の場合、長いチューブや、内径が大きいチューブを用いたときに、ポンプが逆回転しても、気泡がカートリッジに到達する前に、サブタンク内の伸縮部材が所定量縮んでしまい、過負圧になりノズルから気泡を巻き込むことになる。過負圧を防ぐためにポンプの正転、逆転を繰り返しても、気泡をチューブとサブタンク内で往復させることになり、気泡排出の効果を得にくいという問題がある。
【0006】
特許文献1には、液体噴射ヘッドに残留した気泡による吐出不良を防止できるとともに、液体(インク)廃棄率を減少させる液体噴射装置及びサブタンク内のインク貯留手段を提供することを目的として、以下のような構成が開示されている。
すなわち、インクカートリッジとサブタンク間を供給チューブで連通し、供給チューブにチューブポンプを備える構成で、サブタンクの内部には、伸縮可能な伸縮部材(ベローズ)と、伸縮部材の変位を検出するスイッチ、伸縮部材(ベローズ)内にインクを供給する鉛直管から構成される。サブタンク内にあるスイッチは、2つあり上下に配置されている。さらに、サブタンク内部には、ベローズを伸張する方向に付勢するばねが備わっている。伸縮部材内の貯留室に気泡(空気)が溜りると、チューブポンプがサブタンクからインクカートリッジ方向に送液し、内部の気泡(空気)をカートリッジに移す。このとき貯留室内の負圧が大きくなり、伸縮部材が所定量縮むと、その変位をスイッチで検出する。スイッチの検出により、チューブポンプは逆回転し、カートリッジからサブタンク内にインクを送液するという制御を行う。
【0007】
この技術では、内容積が大きいチューブ(長いチューブや内径の大きいチューブ)を用いたとき、チューブポンプを逆回転して、サブタンク内の気泡をカートリッジに戻そうとしても、気泡がカートリッジに到達する前に、サブタンク内の伸縮部材が所定量凹んで過負圧となってしまう。そして、サブタンク内が過負圧になると、ノズルから気泡が進入し、正常な吐出の妨げとなる。これを防ぐために、過負圧になる前にポンプの回転方向を切り換えても、気泡をチューブとサブタンク内で往復させることになり、気泡排出の効果が得られなという問題がある。さらにこの技術では、サブタンク内に伸縮部材を内包するため、組立性が悪いという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明においては、複雑な制御機構を用いず、かつインクを無駄に消費しなくとも、供給経路で生じた気泡による圧力増加の影響を取り除くことが可能なインク吐出装置、画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液滴吐出装置、画像形成装置は、液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、前記液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、前記供給流路に介在する送液手段と、を備え、前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜を前記供給流路の内側から外側方向に付勢するばねを有し、前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す。
【0010】
また本発明の液滴吐出装置、画像形成装置は、液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、前記液体を貯留する液体タンクと、前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、前記供給流路に介在する送液手段と、を備え、前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜の外側に一体的に取り付けられた受圧板を有し、さらに前記供給流路の外側で前記受圧板を付勢する付勢ばねを有し、前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で供給経路に生じた気泡による圧力増加の影響を取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例としてのインクジェット記録装置を示した図
【図2】図1の装置のインク供給系、維持回復系の概略図
【図3】図1の装置の排気動作を説明するための図
【図4】気泡溜り部の設置間隔に関して説明するための図
【図5】サブタンク内の圧力と送液ポンプの送液量に関する図
【図6】図3に示す気泡溜り部の代わりに蛇腹構造の膜2を設けている本発明の実施例2を示す図
【図7】チューブ内部にばねを設置した本発明の実施例3を示す図
【図8】本発明の各実施例で用い得る送液ポンプの構成の一例を示す図
【図9】同じく送液ポンプの構成の一例を示す図
【図10】上述した各実施例で採用できる制御シーケンスについて説明するためのフローチャート
【図11】供給チューブが色種ごとに一体形成された本発明のさらに他の実施例の気泡溜り部の構成を示す図
【図12】インク供給方向で記録ヘッドの上流側に、サブタンク、インクカートリッジ、両者を連通する供給チューブを備える構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記目的を、サブタンクとインクカートリッジ間を連通する供給チューブに正転と逆転が可能な送液ポンプを設け、さらに、供給チューブにおいて、重力方向と逆向き側に可撓性フィルム材で作られた気泡溜めを一定間隔で設け、この気泡溜りにチューブ内側から外側を付勢するばねを設けるという構成で達成する。
【0014】
すなわち、図12に示すように、インク供給方向で記録ヘッドの上流側に、記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンク101、液体を貯留する液体タンクであるインクカートリッジ76、両者を連通する供給流路となる液体供給チューブ16(以下、単に供給チューブ16)を備える。さらに、この供給チューブ16に送液手段である送液ポンプ81を介在させる。供給チューブ16は、重力方向と逆向き(浮力が働く方向)に一定間隔で気泡溜り部200が形成されている。さらに供給チューブ16内に設けられたこの気泡溜り部には、供給チューブ16内側から外側に向けてばね201で付勢するようになっている。図中8は紙などの記録材、30は装置本体、50はキャップ、51は維持回復ポンプ、76はインクカートリッジ、125〜127は搬送ローラである。
【0015】
その動作は、
1)サブタンク101内にある気泡をカートリッジ76に送るとき:
送液ポンプ81が第1の方向であるA方向(正転)と第2の方向であるB方向(逆転)との送液動作を繰り返すことで気泡をカートリッジ76に移す。具体的には、まず送液ポンプPをA方向に駆動させ、サブタンク101内にあった気泡をカートリッジ76方向に移動させる。送液ポンプ81をA方向に駆動し続けると、供給チューブ16内の負圧は増大し、チューブ16に設けられた気泡溜り部200が負圧により凹み、チューブの内側に変形する。気泡は送液ポンプ81Pによって作られた流れによって、カートリッジ76方向に移動する。そして、サブタンク101内の負圧が所定値よりも小さくなったとき、すなわち過負圧になる前に送液ポンプ81をB方向に駆動する。過負圧になってしまうとやがてノズルから気泡が流入し、せっかくサブタンク101から取り除いたにもかかわらず、再び気泡がサブタンク101に入ってしまうからである。また、ノズルを気泡が塞ぐことで、正常な吐出ができなくなるためでもある。
その結果、サブタンク101とチューブ16内の圧力が負圧から大気圧方向に回復し、ばね201による付勢力によって気泡溜り部200は膨らむ。チューブ16内にあった気泡は、送液ポンプ81がB方向に駆動されることで、サブタンク101方向に戻ってしまうが、最寄りの気泡溜り部200に入ることで、それ以上逆戻りすることは無い。再び、送液ポンプ81をA方向に駆動させると、可撓性膜である可撓性フィルム202が凹み、気泡がカートリッジ76方向に進み、負圧が所定値よりも小さくなったとき、送液ポンプ81の駆動をB方向に切り換える。この送液動作を繰り返すことで、気泡を順次カートリッジ76方向へ移動させることができ、最終的にカートリッジ76に貯留させることができる。気泡溜り部200は一定間隔で設ける。
2)インクを供給するとき:
送液ポンプ81がB方向に駆動(正転)し、カートリッジ76内に貯留されたインクがサブタンク101に送液される。
【0016】
以上の動作により、インクを無駄にせず、かつサブタンク101を複雑な組み立てをせずにタンク内の気泡が排気される。すなわち、サブタンク101内に滞留した気泡を、インクを捨てずにカートリッジ76に移すことができ、高温環境下で気泡による圧力上昇を防ぐことができ、サブタンク101内の負圧が壊れることが無い。さらに、サブタンク101に複雑な構成部品を必要としないため、組立性を落とすことが無い。
【実施例】
【0017】
<実施例1>
本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施例としてのインクジェット記録装置(以下、インクジェットプリンタ)を示した図である。図1(A)は、インクジェットプリンタの正面図を示しており、図1(B)は、右側側面図、図1(C)は平面図を示している。このプリンタは、左右の側板123L、123Rに横架したガイド部材であるガイドロッド122とガイドレール128とでキャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持している。
【0018】
キャリッジ120は、図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に移動走査する。また、キャリッジ120上には、複数の色(例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)など)のインク滴を吐出する記録ヘッド1が主走査方向と交叉する方向に配列され、インク滴吐出方向を下方に向けて装着されている。
【0019】
記録ヘッド1は、インクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものである。記録ヘッドには、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させたりして吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に適用することができる。記録ヘッド1の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク101が一体的に接続される。ここで言う一体的とは、構造的に文字通り一体であるものだけでなく、記録ヘッド1とサブタンク101がチューブ、管等で接続されるものも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジに搭載されるという意味である。
【0020】
サブタンク101には供給チューブ16が接続され、供給チューブ16のもう一端は、本体据え置きのカートリッジホルダ77と接続されている。カートリッジホルダ77の内部には、インクを供給する送液ポンプ81があり、供給チューブ16は、カートリッジホルダ内で送液ポンプ81と接続されている。そして、送液ポンプ81の一端はインクカートリッジ76と接続される。したがって、記録ヘッド1から、サブタンク101、送液ポンプ81、インクカートリッジ76までは連通状態にある。
【0021】
図2は、図1の装置のインク供給系、維持回復系の概略図を示している。インクカートリッジ76は、供給チューブ16を通じて、送液ポンプ81及びサブタンク101と連通している。送液ポンプ81は、正転動作により、インクカートリッジ76に貯留されたインクを矢印A方向、すなわちサブタンク101に供給する。一方、送液ポンプ81は、逆転動作によりサブタンク101内にある流体を矢印B方向、すなわちインクカートリッジ76に送液可能である。なお、図2では、サブタンク101、インクカートリッジ76及び供給チューブ16は1種類であるが、使用するインクの色種によって、複数種あっても良い。
【0022】
記録ヘッド1には、非吐出時にインクの水分乾燥を防止すると同時に、記録ヘッド1内の気泡を取り除き、ノズルが詰まったときなどに記録ヘッド1内のインクを吸引する目的で保湿・吸引用のキャップ50が備わっている。記録ヘッド1内のインクを吸引するときは、記録ヘッド1のインク吐出面にキャップ50をキャッピングさせ、維持回復ポンプ51により、インクを廃液タンク52へ導く。キャップ50は、吸引動作だけではなく、記録ヘッド1からの空吐出受けとしての役割を持つことがある。ワイパーブレード71は、ワイピングユニット70に取り付けられており、このワイパーブレード71により、メンテナンス後の記録ヘッド1のインク吐出面を拭うことで、インク吐出面のメニスカスが整えられる。
【0023】
図3は、図1の装置の排気動作を説明するための図で、図3(A)は供給系でサブタンク101に気泡300が滞留している状態を示している。
この状態でサブタンク101を含むインクジェットプリンタが高温環境に置かれると、気泡300が膨張しようとするが、サブタンク101内部にあるインクの膨張率よりも気泡(空気)の膨張率の方が大きいため、気泡は膨張しきれず圧力が上昇する。その結果、サブタンク101内の圧力が上昇し、サブタンク101内部に形成される負圧が壊れることになる。サブタンク101内の負圧が一定範囲よりも大気圧まで上昇すると、正常なインクの吐出ができなくなる。そこで、気泡300が所定の量以上にサブタンク101内に滞留した場合、内部の気泡300を排出する必要がある。サブタンク101内の気泡を排出する方法として、チョーク方式がある。そこで、インクカートリッジ76内のインクを加圧し、供給チューブ16に弁を設け、その弁を閉じた状態で記録ヘッド1のノズル配置面をキャップし、維持回復ポンプ51によってサブタンク101内の圧力を下げ、その後開弁することで大きな圧力差によって、サブタンク101内の気泡を記録ヘッドから一気に排出する方式である。この方式の場合、圧力差を大きくして、流速を上げることから、通常印字に使用可能なインクを大量に廃棄してしまう。そこで本実施例では、供給チューブ16の重力方向と反対側に気泡300を一時的に貯める気泡溜り部200を設けている。
【0024】
図3(B)、図3(C)は、図3(A)に示す気泡溜り部200を拡大した図である。気泡溜り部200は、圧力差によって変形可能な可撓性フィルム202と、そのフィルム202を供給チューブ16の内側から外側方向に付勢するばね201、及びばねの付勢力をフィルム202に均一に伝えるためのプレート205からなる。
【0025】
次に本実施例装置の排気動作について図3(B)、図3(C)を用いて説明する。
サブタンク101に気泡300が混入した場合、送液ポンプ81は、通常インクを供給する矢印B方向とは逆に、矢印A方向へ駆動する。この駆動により、図3(B)に示すように供給チューブ16内の負圧がより大きくなり、気泡溜り部200の可撓性フィルム202が供給チューブ16の内側に凹む。なお、可撓性フィルム202が確実に凹むために、気泡溜り部200にある付勢ばね201のばね力は、チューブ内の負圧と可撓性フィルム202の面積との積で求まる力よりも小さく設定する。
【0026】
送液ポンプ81の矢印A方向の駆動により、サブタンク101内の気泡300は、供給チューブ16を通じてカートリッジ76方向に移動する。そして送液ポンプ81を矢印A方向に駆動し続けると、サブタンク101内の圧力が低下し続け、やがて負圧が大きくなりすぎる。このことにより、インク吐出用ノズルから空気がサブタンク101内部に混入してしまう。これを防ぐために、いったん送液ポンプ81を矢印B方向に駆動させる。送液ポンプ81が矢印B方向に駆動すると、これまで下がっていた供給チューブ16内の圧力が高まる(大気圧方向に高まる)。その結果、図3(C)に示すように、気泡溜り部200の可撓性フィルム202が膨らみ、供給チューブ16の流路よりも高い位置に膨らむ。
【0027】
気泡溜り部200が膨らむので、送液ポンプが矢印B方向に駆動しても、気泡300は破線の矢印で示すように、気泡溜り部200にて自身の浮力により上昇する。気泡溜り部200で上昇した気泡300は、送液ポンプ81が矢印B方向に駆動して、サブタンク101に向かって流れが生じても、気泡溜り部200からサブタンク101方向に動くことは無い。気泡300は自身の浮力により供給チューブ16の流路よりも高い位置にあり、送液ポンプ81が駆動しても、その位置から下がって流れないからである。つまり、気泡溜り部200は気泡300を矢印A方向に流さないようにトラップすることができる。したがって、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動し、サブタンク101内にあるインクの圧力がある値まで下がったら、再び矢印B方向に駆動することで、サブタンク101内の一定の範囲に収めながら、気泡300のみをインクカートリッジ76に戻すことができる。
【0028】
なお、図3(C)にあるように、ばね201の付勢力を可撓性フィルム202の面全体に伝えることができるため、ばね201と可撓性フィルム202の間にプレート205が挟んであることが望ましい。このプレート205は可撓性フィルム202に接着され一体的に動作する構成でも良い。
【0029】
インクカートリッジ76は、可撓性の袋でも、ボトル上のタンクでも本発明を適用することができる。しかし、気泡300がカートリッジ76内で膨張しても、圧力が極端に上昇しないために、気泡貯留部に一定の容積が必要である。もしくは、送液ポンプ81を、例えばチューブポンプのように供給チューブ16をつぶして流路を閉塞させる方式にすることで、インクカートリッジ76に戻した気泡が膨張して圧力が上昇しても、その影響をサブタンク101に伝わってしまうことを防ぐことができる。
【0030】
上述のように、本実施例では、サブタンク101に貯留した気泡300を、本来使用可能なインクを捨てること無く、かつサブタンク101内に複雑な構成部品を要さず、確実にインクカートリッジに運ぶことができ、気泡が膨張することによるサブタンク101内の圧力上昇を防ぐことができる。
【0031】
サブタンク101の内部に気泡300が滞留したことを検出するために、サブタンク101にセンサを取り付けていることが望ましい。例えば図3(D)に示すように電極ピン150を設置し、そのインクと気泡(空気)との電気抵抗の変化から、気泡300の滞留状態を検出する方法がある。なお、検出方法はこの方式に限定せず、気泡300の滞留を検出できれば良い。このような気泡300の滞留を検出するデバイスが備わっていた方が、適切なタイミングで気泡300をインクカートリッジ76に戻すことができるため、サブタンク101内の圧力を保つことができる。あるいは、検出センサを備えずに、所定の経過時間を過ぎると、自動的に気泡排出シーケンスが作動するようにしても、本発明の効果を得ることはできる。またサブタンク101の重力方向と対抗する天面は、図3(D)に示すように気泡300が一箇所に集まり、効率よく供給チューブ16内に流れるように傾斜が設けてある方が望ましい。
【0032】
図4は、気泡溜り部の設置間隔に関して説明するための図である。
サブタンク101の容積が大きい場合、もしくは供給チューブが短い場合、気泡溜り部200は、供給チューブ16に一つでもあれば良いが、一般的なシリアルプリンタのサブタンク101はその内容積が小さいので、気泡溜り部200が供給チューブ上に一つないし少数であると、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動して気泡溜り部200に気泡300が到達する前に、所定の値以上の負圧になってしまうおそれがある。そこで、図4に示す気泡溜り部200は、サブタンク101の負圧が過負圧にならないように一定の間隔Lで設けてある。
【0033】
このように構成することにより、容積が小さいサブタンク101であっても、内部に滞留した気泡300を、上述の原理で送液ポンプ81のA方向とB方向の駆動を順次繰り返して、インクカートリッジ76に戻すことができる。つまり、サブタンク101の容積にかかわらず、たとえ小型のサブタンク101であっても、一切のインクを無駄にせずに、気泡300をサブタンク101から排出することができる。したがってこの発明の効果は大きい。ところで、図4に示す一定間隔Lは、気泡溜り部200間の距離を表している。気泡300が次の気泡溜り部200に移動できないと、送液ポンプ81が矢印B方向と矢印A方向に駆動している間、気泡300は供給チューブ16内を移動するだけであり、インクカートリッジへ76への排気効果を得ることができない。そこで、この一定間隔Lは、送液ポンプ81が矢印B方向に駆動してから矢印A方向に駆動するまでの間に、気泡300がインクカートリッジ76方向にある次の気泡溜り部200に確実に到達するように設計する必要がある。
【0034】
図5は、サブタンク101内の圧力と送液ポンプの送液量に関する図であり、図5(A)は、サブタンク101の一例を示している。
サブタンク101の側面には可撓性フィルム210があり、その可撓性フィルム210をサブタンク101の内部から外部に向けて付勢する付勢ばね212が備わっている。この付勢ばね212のばね力により、サブタンク101内に負圧が形成される。フィラー211は可撓性フィルム210に当接し、サブタンク101内の圧力を、可撓性フィルム210の変位としている。さらにフィラー211は、この変位量を大きくするために取り付けられている。このフィラー211の変位を検出部213によって検出することで、サブタンク101内の圧力を検出することができる。
【0035】
図5(B)は、このサブタンク101内の圧力変化に対する送液ポンプ81の駆動を示している。縦軸はサブタンク101内の圧力を示しており、上限値と下限値の間がサブタンクの適正負圧範囲である。横軸は時間を示している。今、送液ポンプ81を矢印B方向に駆動させると、サブタンク101内の体積が減少し、圧力が低下する。この圧力をフィラー211の変位で読み取り、下限値に到達する時間まで(図5(B)のBの時間)送液ポンプ81を駆動させる。サブタンク101内の圧力を検出しながら、送液ポンプ81を駆動させることで、適正負圧範囲を保つことができる。その後、送液ポンプを矢印A方向に駆動させることで、サブタンク101内の圧力を上限値まで戻す。
【0036】
このようにサブタンク101内の圧力を検出して、その圧力が下限値・上限値に到達するまで送液ポンプを駆動することで、気泡排出動作中に適正負圧を壊すことを防ぐことができる。さらに、気泡排出動作後に改めて負圧を形成する必要が無い。そのため、このような制御は有効である。なお、図5(A)に示すサブタンク101内の圧力検出はフィラー211に限定せず、例えば圧力センサを内蔵しても良いし、可撓性フィルム210の変位を光学センサで検出するといった方法でも良い。
【0037】
<実施例2>
図6は、他の実施例について説明する図であり、この実施例は、図3に示す気泡溜り部200の代わりに蛇腹構造の膜207を設けている。可撓性フィルムは、フィルムの変形(膨らみや縮み)に対して、偏りを持ち易く、一定の変形挙動を持たせることが難しいことがあり得る。変形の仕方が変化して、フィルムが傾いたりすると、気泡溜り部200において、気泡300を確実にトラップすることができないことも考えられる。そこで本実施例では、図6に示すように、可撓性フィルムの代わりに蛇腹構造の膜207を用いている。蛇腹構造にすることで、変形が一定になり、予期せぬ膜の変形を防ぎ、確実に気泡溜りの機能を持たせることができる。なお、蛇腹構造にする材料は膜ではなく、弾性変形可能なエラストマーでも良い。
【0038】
<実施例3>
図7は、本発明のさらに他の実施例について説明する図である。図3の気泡溜り部200は、供給チューブ16の内側にばね201が備わっている構成であるが、この構成ではチューブ内部にばねを設置することになり、組立性が悪いことがあり得る。そこで本実施例では、図7に示すように、ばね201を可撓性フィルム202の外側に設置している。
【0039】
図7(B)は送液ポンプ81が矢印B向に駆動し、供給チューブ16内のインクをサブタンク101方向に移動させる状態を示している。受圧板208は可撓性フィルム202と一体的に取り付けられ、さらにばね202は、受圧板208を矢印α方向に付勢している。この付勢力により、可撓性フィルム202は膨らみ、気泡300をトラップすることができる。
【0040】
図7(A)は、送液ポンプ81が矢印A方向に駆動した状態を示している。矢印A方向に駆動すると、可撓性フィルム202が凹み、それに伴って受圧板208も凹む。その結果、気泡300は気泡溜り部200でトラップすること無く、カートリッジ方向に移動することができる。以上のような構成にすることで、これまでの気泡溜り部200の動作と同一の動作を実現でき、ばね201を供給チューブ16の外側で組立でき、組立効率の向上を実現できる。
【0041】
<インクカートリッジ>
図8は、上述した各実施例で用い得るインクカートリッジについて説明する図であり、図8に示したカートリッジ76は、インク残量検出用に電極ピン151が取り付けられている。さらに、インクの消費によって液面が降下するために、大気開放口209が設けられている。大気開放口209はインクの水分蒸発を防止するために、細長い形状であることが望ましく、カートリッジ側面にラビリンス形状で備わっていることが一般的である。
【0042】
本実施例では、サブタンク101内に混入した気泡をインクカートリッジ76内に戻した後、インクカートリッジ76内にてインクと空気を分離する。図8(A)はインクカートリッジ76内にインク500が多量に残っている状態を示している。送液ポンプ81が矢印A方向に駆動し、気泡300がインクカートリッジ76まで到達すると、気泡300は浮力によりインクカートリッジ76の上面まで上昇する。そのため、インクと空気が分離される。
【0043】
図8(B)はインクが少量になった状態を示している。インク500が少量になると、液面が降下し、電極ピン151の下端と液面が離間する。このときにインク残量が無いと判断し、送液ポンプ81の駆動を停止させる。以上の制御動作により、印字枚数に伴ってインクカートリッジ76内に貯留されたインク500がなくなったとき、カートリッジ内部にある空気を、送液ポンプ81がB方向に駆動することにより、供給チューブ16方向に送ってしまうことを防ぐことができる。
【0044】
なお、本発明は、電極ピン151の使用に限定されず、カートリッジ内のインク残量検出には種々の手段、方法を採用できる。
【0045】
また、電極ピン152は、サブタンク101から気泡300をカートリッジ方向に戻す際に、インクカートリッジ76に気泡300が確実に戻ったことを検出するために取り付けられている。この電極ピン152からの信号により気泡の戻りを検出する手法だけでなく、電極ピン151のような残量検出手段を設けずに、印字枚数をカウントし、そのカウント枚数によってインクカートリッジ76内のインク残量を推定して、推定結果から送液ポンプ81の駆動を止める方法等も採用可能である。
【0046】
<送液ポンプ>
図9は、上述した各実施例で用い得る送液ポンプの構成の一例を示す図である。
この例では、ポンプ本体とアクチュエータとしてモータを色種ごとに用意し、独立制御している。図3(D)に示すサブタンク101に取り付けられた電極ピン150にて、サブタンク101内の気泡300を検知した場合、図9のモータを駆動させて、気泡300をカートリッジに引き込む。
【0047】
なお、ポンプは正方向、逆方向に送液可能な特徴を持つことが望ましい。インクカートリッジ76が図8に示すような大気連通タイプである場合、大気圧がサブタンク101に伝播すると、サブタンク101内の圧力が高まり、正常な吐出ができなくなる。そのためインクカートリッジが大気と連通しているときは、ポンプ81は例えばチューブポンプのように、流路を閉塞させ得るポンプであることが望ましい。
【0048】
<制御シーケンス>
図10は、上述した各実施例で採用できる制御シーケンスについて説明するためのフローチャートである。
図示の気泡排出シーケンスは、図3(D)に示すサブタンク101の電極ピン150が空気(気泡)を検出して、実行される(ステップS1)、電極ピン150が空気を検知すると、図8に示すインクカートリッジ76にインク500が残っているかを、電極ピン151から検知する(ステップS2)。
【0049】
電極ピン151の信号から、インク500の液面が電極ピン151よりも下がっている状態、すなわちカートリッジ76内にインク500が残っていないと判断されると、図示しない本体ディスプレイにて使用者にインクカートリッジ76の交換を促すようにする(ステップS9)。これは、インク500が無い状態で液体ポンプ81の正転動作(サブタンク101方向へ送液する動作)を実施することで、空気を供給チューブ16内に送ってしまうことを避けるためである。インクカートリッジ76内にインク500があるときは、送液ポンプ81を逆転(インクカートリッジ方向へ送液)させる(ステップS3)。
【0050】
このとき図5に示すように、サブタンク101内のインク圧力が適正負圧範囲の下限値以内であれば(ステップS4)、図8の電極ピン152で気泡の有無を検出しながら、送液ポンプ81を逆回転させ、電極ピン152が気泡を検出したら、確実に気泡がカートリッジ76内に入るように、時刻t[s]間だけ送液ポンプ81を逆回転させ(ステップS5)、時刻t[s]経過後、送液ポンプ81を停止させる(ステップS6)。時刻tの値は、電極ピン152とカートリッジ76との流路と断面積、送液ポンプの流量によって異なるため、最適な値を求めておくことが望ましい。
【0051】
送液ポンプ81が逆回転して、電極ピン152が気泡を検出しない場合は、気泡が供給チューブ16内にあると判断できる。そこで、送液ポンプ81をサブタンク101内の圧力が下限値に達するまで、駆動させる(ステップS3、S4)。サブタンク101の圧力が下限値に達したら、送液ポンプ81の駆動を切り換えて、正回転させる(ステップS7)。サブタンク101内の圧力が上限値に達するまで送液ポンプ81の駆動を続け(ステップS7、8)、上限値に達したら送液ポンプ81を再び逆回転させる(ステップS3)。なお、送液ポンプ81が正回転しているときは、気泡がインクカートリッジ76方向に流れることは無い。そのため、このときはインクカートリッジ76の直前にある電極ピン152において、気泡の有無を検出させる必要は無い。
なお上述した制御フローは一例であり、本発明の作用がこの制御フローに限定されるものではない。
【0052】
<実施例4>
図11は、本発明のまたさらに他の実施例について説明する図であり、供給チューブ16が色種ごとに一体形成された場合の気泡溜り部200の構成を示している。気泡溜り部200は、重力方向の反対側、すなわち気泡300に浮力が掛かる方向に形成される。一般的なインクジェットプリンタの供給チューブのように、複数の供給チューブを縦一列に形成すると、気泡溜り部200を設けることができなくなる。そこで、図7(A)のように、供給チューブ16を斜めに配置し、気泡溜り部200を構成することで、複数の供給チューブ16を一体形成しても、本発明を適用することができる。図7(B)のように、供給チューブ16を色ごとに交互に配置することにより、気泡溜り部200を設けることもできる。したがって、色ごとに複数の供給チューブ16が一体形成された場合でも実施できる。
【0053】
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:記録ヘッド
101:サブタンク
16:液体供給チューブ(供給チューブ)
30:装置本体
50:キャップ
51:維持回復ポンプ
52:廃液タンク
70:ワイピングユニット
71:ワイパーブレード
76:インクカートリッジ
77:カートリッジホルダ
81:送液ポンプ
120:キャリッジ
122:ガイドロッド
123L、123R:側板
125〜127:搬送ローラ
128:ガイドレール
150:電極ピン
200:気泡溜り部
201:ばね
202:可撓性フィルム
205:プレート
207:蛇腹構造の膜
208:受圧板
209:大気開放口
210:可撓性フィルム
211:フィラー
212:付勢ばね
213:検出部
300:気泡
500:インク
L:気泡溜り部の間隔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2007−230041号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、
前記液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、
前記供給流路に介在する送液手段と、
を備え、
前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、
前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、
前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜を前記供給流路の内側から外側方向に付勢するばねを有し、
前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、
前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記可撓性膜と前記ばねの間に、前記可撓性膜と一体的に動作するプレートを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記可撓性膜と前記ばねは、前記サブタンクと前記液体タンクとの間で一定間隔に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記送液手段が前記第2の方向に送液する液体の体積は、前記サブタンク内の圧力が所定の値へ降下するまでの体積であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記可撓性膜は、蛇腹構造であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、
前記液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、
前記供給流路に介在する送液手段と、
を備え、
前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、
前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、
前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜の外側に一体的に取り付けられた受圧板を有し、さらに前記供給流路の外側で前記受圧板を付勢する付勢ばねを有し、
前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、
前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
前記供給経路が複数の経路と共に一体的に構成され、各供給経路の重力方向と反対側が他の供給経路と重ならないことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
画像を記録媒体上に記録する手段と、請求項1から7のいずれかに記載の液滴吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、
前記液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、
前記供給流路に介在する送液手段と、
を備え、
前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、
前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、
前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜を前記供給流路の内側から外側方向に付勢するばねを有し、
前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、
前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記可撓性膜と前記ばねの間に、前記可撓性膜と一体的に動作するプレートを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記可撓性膜と前記ばねは、前記サブタンクと前記液体タンクとの間で一定間隔に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記送液手段が前記第2の方向に送液する液体の体積は、前記サブタンク内の圧力が所定の値へ降下するまでの体積であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記可撓性膜は、蛇腹構造であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する液体を貯留するサブタンクと、
前記液体を貯留する液体タンクと、
前記液体タンクと前記サブタンク間を連通する供給流路と、
前記供給流路に介在する送液手段と、
を備え、
前記送液手段は、前記液体タンクから前記サブタンクへの第1の方向と、
前記サブタンクから前記液体タンクへの第2の方向の両方向に送液可能であり、
前記供給流路は、重力方向と反対側に少なくとも一つの可撓性膜と、前記可撓性膜の外側に一体的に取り付けられた受圧板を有し、さらに前記供給流路の外側で前記受圧板を付勢する付勢ばねを有し、
前記送液手段が前記第1の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも膨らみ、
前記送液手段が前記第2の方向へ送液したとき、前記可撓性膜が前記供給流路の外側よりも内側に凹み、前記送液手段は、前記第1の方向と前記第2の方向への送液を繰り返す
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
前記供給経路が複数の経路と共に一体的に構成され、各供給経路の重力方向と反対側が他の供給経路と重ならないことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
画像を記録媒体上に記録する手段と、請求項1から7のいずれかに記載の液滴吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−930(P2013−930A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132044(P2011−132044)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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