液滴吐出装置
【課題】低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できるようにする。
【解決手段】液滴を帯電させ、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。このように、液滴の進路を変更するために、帯電された液滴の静電力を相互に作用されるものであり、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成ではない。偏向電圧が例えば、1kv必要なのに比べ、帯電電圧は、50V程度で足りるので、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低電圧で液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。
【解決手段】液滴を帯電させ、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。このように、液滴の進路を変更するために、帯電された液滴の静電力を相互に作用されるものであり、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成ではない。偏向電圧が例えば、1kv必要なのに比べ、帯電電圧は、50V程度で足りるので、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低電圧で液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置としては、特許文献1に開示される機能性材料塗布装置及び特許文献2に開示されるインクジェット記録装置が公知である。
【0003】
特許文献1に開示される機能性材料塗布装置は、機能性材料の塗布液14を連続して加圧して、吐出ヘッド12のノズル121から液柱状の塗布液14を吐出させ、その吐出した液柱状の塗布液14を液滴化して、被塗布物10へ塗布する。このように、連続的に加圧して塗布液14を吐出させるため、高粘度の塗布液(例えば水に近い粘度3mPa・s程度以下のものから、粘度300mPa・s程度の塗布物)でも、安定して塗布液14を吐出し、被塗布物10へ塗布することが可能となる。
【0004】
特許文献2に開示されるインクジェット記録装置では、液滴の帯電の有無により記録紙上への着弾をオン・オフするインクジェット方式で、帯電信号発生手段が、帯電したインク粒子と帯電しないインク粒子とが電気的に相互に反発し合うことに起因するインク粒子の位置ずれをあらかじめ考慮して、インク粒子に対して一定の帯電を付与するための帯電信号を発生する。この帯電信号がインク粒子に印加されると、この帯電信号で帯電量が補正されることにより、一定の帯電が付与されたインクを粒子は、記録媒体上の正規の位置へ飛着することになる。
【特許文献1】特開2007−325993号公報(図2)
【特許文献2】特開平01−159254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る液滴吐出装置は、ノズル面に形成された複数のノズルで構成されるノズル組を有し、前記ノズル組から液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ノズル面に対向して配置され、前記ノズル組から吐出された液滴が通過可能な通過孔が形成された対向部材と、前記ノズル組から吐出される液滴を帯電させ、その帯電による静電力を前記ノズル組の各ノズルから吐出された液滴の間で相互に作用させてそれらの液滴の進路を変更させる帯電電極と、を備えている。
【0007】
本発明の請求項2に係る液滴吐出装置は、請求項1の構成において、前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズル組のうち一方のノズルから吐出された液滴の吐出方向に沿って他方のノズルから液滴を吐出する。
【0008】
本発明の請求項3に係る液滴吐出装置は、請求項1又は請求項2の構成において、前記液滴吐出ヘッドは、前記帯電電極の非帯電動作状態において前記液滴が前記通過孔を通過するように前記液滴を吐出し、前記帯電電極は、前記液滴を帯電させて相互に反発させることにより、前記液滴の進路を変更させて前記対向部材に衝突させる。
【0009】
本発明の請求項4に係る液滴吐出装置は、請求項3の構成において、前記通過孔は、前記液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0010】
本発明の請求項5に係る液滴吐出装置は、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構と、前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構と、を備え、前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルの配列が同じである前記ノズル組が前記回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置され、前記移動機構は、前記回転機構が前記被吐出物を1周又は複数周回転させる間に、前記間隔分前記被吐出物を相対移動させる。
【0011】
本発明の請求項6に係る液滴吐出装置は、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構を備え、前記帯電電極は、前記被吐出物の回転位置によって生成される信号に基づき、帯電動作・非帯電動作が制御される。
【0012】
本発明の請求項7に係る液滴吐出装置は、請求項1〜6のいずれか1項の構成において、前記対向部材は、前記対向部材に衝突した液滴を回収するための回収機構を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の構成によれば、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できる。
【0014】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できる。
【0015】
本発明の請求項3の構成によれば、液滴の進路を変更させたときに通過孔を通過させる構成に比べ、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を簡易に制御できる。
【0016】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、対向部材に衝突すべき液滴が、誤って通過孔を通過することを抑制できる。
【0017】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、吐出開始側と吐出終了側において着弾した液滴を噛み合わせることができる。
【0018】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、帯電電極の帯電動作・非帯電動作の制御が容易になる。
【0019】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、対向部材に衝突した液滴の液だれを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0021】
本実施形態では、液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、機能性材料の塗布液を被塗布物へ塗布する液体塗布装置について説明する。
【0022】
なお、液滴吐出装置としては、この液体塗布装置に限定されるものではない。液滴吐出装置としては、例えば、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置、フィルムやガラス上にインク等を吐出してカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造装置、溶解状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成する装置、金属を含む液体を吐出して配線パターンを形成する装置、及び液滴を吐出して膜を形成する各種の成膜装置であってもよく、液滴を吐出するものであればよい。
【0023】
(本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成)
まず、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【0024】
本実施形態に係る液体塗布装置10は、液滴の吐出を受ける被吐出物の一例としての被塗布物12に塗布液を塗布する装置である。液体塗布装置10は、図1及び図2に示すように、被塗布物12を支持する被塗布物支持部14を備えている。
【0025】
被塗布物支持部14は、例えば、板状に形成されており、基板16上に立て設けられている。被塗布物支持部14は、被塗布物12の両端部にそれぞれ配置されており、被塗布物12が取り付けられる回転軸18Aを被塗布物12の両端側で回転可能に支持している。
【0026】
被塗布物12としては、例えば、感光体ドラムが用いられる。なお、被塗布物12としては、感光体ドラムに限られず、例えば、他の電子写真用部材(機能性ベルト(中間転写体)、転写ロール、帯電ロールなど)や、その他工業製品(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体製品)を用いても良い。
【0027】
また、被塗布物12の形状は、円筒状に限られず、例えば、円柱状、角筒状など他の形状をしているものであってもよい。
【0028】
液体塗布装置10は、前記被吐出物を回転させる回転機構の一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12を回転駆動する回転装置18を備えている。回転装置18は、被塗布物12が取り付けられる回転軸18Aと、回転軸18Aの軸方向一端部に配置されたギア部に連結された無端状のベルト18Bと、ベルト18Bを介して被塗布物12に回転力を付与する駆動モータ18Cと、を備えて構成されている。
【0029】
回転装置18の回転軸18Aには、回転軸18Aの回転位置を検知するためのエンコーダ29が設けられている。このエンコーダ29により、回転軸18Aの回転角がカウントされる。
【0030】
なお、回転機構としては、回転装置18に限られず、被塗布物12を回転させる回転機構であれば、他の機械要素によって構成された回転機構であってもよい。
【0031】
液体塗布装置10は、液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドの一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12へ機能性材料の塗布液を連続吐出する吐出ヘッド20を備えている。吐出ヘッド20は、ノズル24が、被塗布物12の回転軸方向に沿って配置されている(図3参照)。
【0032】
吐出ヘッド20が吐出する機能性材料の塗布液としては、例えば、感光体に使用される、樹脂と電荷輸送剤を有機溶剤に溶解させた、電荷輸送層溶液が用いられる。
【0033】
また、液体塗布装置10は、吐出ヘッド20から吐出される塗布液を貯留する塗布液タンク30を備えている。この塗布液タンク30には、塗布液タンク30に貯留された塗布液を吐出ヘッド20に供給するための塗布液供給管32の一端部が連結されている。塗布液供給管32の他端部は、吐出ヘッド20の一端部に連結されている。
【0034】
吐出ヘッド20の他端部には、吐出ヘッド20から塗布液タンク30へ塗布液を排出するための塗布液排出管34の一端部が連結されている。塗布液排出管34の他端部は、塗布液タンク30に連結されている。
【0035】
塗布液タンク30には、塗布液供給管32を通じて、塗布液タンク30から吐出ヘッド20へ塗布液を送るためのポンプ36が設けられている。ポンプ36は、連続加圧して塗布液タンク30から吐出ヘッド20へ塗布液を送り、さらに、吐出ヘッド20へ送られた塗布液が吐出ヘッド20のノズル24から連続吐出されるようになっている。
【0036】
また、吐出ヘッド20には、圧電素子33が設けられている(図4参照)。この圧電素子33によって、吐出ヘッド20内の塗布液に対し、振動を付与し、ノズル24から吐出される塗布液を液滴化する。圧電素子33は、図示しないが、例えばPZTセラミック膜に電極から高周波電圧を印加して振動(音波)を発生せしめ、この振動を吐出ヘッド20内の塗布液へ伝達せしめる。
【0037】
本実施形態では、ポンプ36は、塗布液をノズル24から液柱状に吐出させる機能を有し、圧電素子33は、液柱状の塗布液を液滴化する機能を有する。すなわち、ポンプ36及び圧電素子33が協働して、塗布液を液滴として吐出ヘッド20から吐出させる。
【0038】
なお、塗布液を液滴化する塗布液液滴化手段としては、圧電素子を適用した構成に限られず、塗布液を加熱し、当該熱の揺らぎにより液滴化する方式でもよい。
【0039】
また、液体塗布装置10は、前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構の一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12をその軸方向へ移動させる移動装置28を備えている。
【0040】
この移動装置28は、被塗布物支持部14の間に配置されたレール28Aと、このレール28Aに被塗布物12の回転軸方向に沿って往復移動可能に支持された移動体28Bと、移動体28Bをレール28Aに沿って移動させる駆動部(図示省略)を備えている。
【0041】
移動体28Bには、回転装置18の回転軸18Aに連結される連結部28Cが設けられている。連結部28Cは、移動体28Bから腕状に伸びており、先端部が回転軸18Aに固定されている。
【0042】
これにより、移動体28Bがレール28Aに沿って被塗布物12の回転軸方向に移動することで、回転装置18の回転軸18Aがその軸方向に移動し、被塗布物12がその軸方向へ移動する。
【0043】
なお、移動機構としては、移動装置28に限られず、被塗布物12をその軸方向へ移動させる移動機構であれば、他の機械要素によって構成された移動機構であってもよい。
【0044】
上記のように、回転装置18によって被塗布物12を回転させると共に、移動装置28によって被塗布物12を回転軸方向に移動させることにより、吐出ヘッド20から吐出された液滴を被塗布物12に螺旋状に着弾させて、塗布液が被塗布物12に塗布される。
【0045】
この液体塗布装置10では、エンコーダ29によって検知された回転軸18Aの予め定められた回転位置において、塗布開始信号を生成し、被塗布物12への塗布が完了する回転軸18Aが前記回転位置から複数周したときに、塗布終了信号を生成するようになっている。
【0046】
なお、吐出ヘッド20が、例えば、被塗布物12の回転軸方向の塗布領域の全領域を一度に塗布可能な場合には、被塗布物12をその回転軸方向に移動させずに塗布する構成であってもよい。この場合には、エンコーダ29によって検知された回転軸18Aの予め定められた回転位置において、塗布開始信号を生成し、被塗布物12への塗布が完了する回転軸18Aが前記回転位置から1周したときに、塗布終了信号を生成するようになっている。
【0047】
(被塗布物12への液滴の着弾・非着弾を制御するための構成)
次に、被塗布物12への液滴の着弾・非着弾を制御するための構成を説明する。
【0048】
吐出ヘッド20は、図3及び図5(A)に示すように、ノズル面20Aに形成された複数のノズル24で構成されるノズル組26を有している。
【0049】
本実施形態では、ノズル組26は、隣接するノズルであるノズル24A及びノズル24Bで構成されている。なお、本明細書では、ノズル24A及びノズル24Bを区別せずに、ノズルを示す場合にはノズル24と記す。
【0050】
ノズル24A及びノズル24Bは、吐出ヘッド20の長手方向(軸方向)に対して斜めに配列されている。具体的は、ノズル24Bは、ノズル24Aから見て、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向の一方側(図5(A)における左側)に、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(A)における下側)にずれて配置されている。
【0051】
なお、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向は、移動装置28によって吐出ヘッド20が被塗布物12に対して相対的に移動する相対移動方向であり、また、複数のノズル24全体が配列される配列方向でもある。
【0052】
また、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向は、回転装置18によって吐出ヘッド20が被塗布物12に対して、相対的に回転する相対回転方向であり、また、ノズル面20Aの長手方向と直交する方向でもある。
【0053】
また、後述のように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に静電力を作用させるため、これらの液滴が相互に静電力を作用させる距離を保つ程度に、ノズル24A及びノズル24Bが近接されている。
【0054】
また、ノズル24Aのノズル孔は、ノズル24Bのノズル孔に沿って形成されており、ノズル24Bから吐出された液滴に沿ってノズル24Aから液滴が吐出されるようになっている。これにより、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に静電力を作用させるための時間が確保される。
【0055】
より具体的には、ノズル24A及びノズル24Bのノズル孔が平行に形成され、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が平行になることが望ましい。
【0056】
ノズル組26では、ノズル24A及びノズル24Bの2つで構成されているので、ノズル24Aから吐出された液滴は、ノズル24Bから吐出された液滴のみの反発力が作用され、ノズル24Bから吐出された液滴は、ノズル24Aから吐出された液滴のみの反発力が作用される。
【0057】
仮に、図6(A)及び図6(B)に示すように、3つ以上のノズル24が直線状に配置される構成では、間に挟まれたノズル24からの液滴がその両側のノズル24からの液滴から反発力を受けると、反発力が相殺されてしまい、間に挟まれたノズル24から吐出された液滴の進路が変更されにくくなる。従って、3つ以上のノズル24を直線状に配置するノズル配列は、望ましくない。
【0058】
なお、図5及び図6において、実線の矢印にて液滴の反発力(静電力)を示し、点線の矢印にて液滴の反発方向を示す。また、ノズル組26のノズル数は、2つに限られず、図5(B)及び図5(C)に示すように、3つ以上であっても良い。
【0059】
図5(B)に示す構成では、ノズル24がジグザグ形状に配列されており、隣接するノズル24の中心間の距離が等しくされている。このため、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向に両側で隣接するノズル24から吐出された液滴から反発力が作用されるようになっている。これにより、両側で隣接するノズル24から吐出された液滴からの合算された反発力が発生する。
【0060】
図5(C)に示す構成では、ノズル組26は、3つのノズル24で構成されている。1つのノズル24には、他の2つのノズル24から吐出された液滴からの合算された反発力が発生する。
【0061】
また、図5(C)に示す構成では、ノズル24の配列が異なるノズル組26を有している。具体的には、ノズル組26は、2種類で構成されており、ノズル組26A及びノズル組26Bを有している。
【0062】
ノズル組26Aは、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(C)における上側)に2つのノズル24が配置され、ノズル面20Aの短手方向の他方側(図5(C)における下側)に1つのノズル24が配置されている。
【0063】
ノズル組26Bは、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(C)における上側)に1つのノズル24が配置され、ノズル面20Aの短手方向の他方側(図5(C)における下側)に2つのノズル24が配置されている。
【0064】
このように、ノズル24の配列が異なるノズル組26を有する構成において、被塗布物12に液滴を螺旋状に着弾させ、異なるノズル24から着弾した液滴をつなぎ合わせる場合には、つなぎ目を考慮する必要がある。
【0065】
例えば、図7に示すように、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Bから着弾した液滴の塗布終了側とがつなぎ合うようにした場合は、ノズル組26Aとノズル組26Bとは、ノズル24の配列が異なるので、着弾した液滴が噛み合わない。
【0066】
従って、図8に示すように、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布終了側とがつなぎ合うように、被塗布物12をその軸方向へ移動させて、液滴を螺旋状に打滴する必要がある。図8に示す例では、ノズル組26Aとノズル組26Bとが交互に配置され、ノズル組26Aは、被塗布物12の回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置されている。
【0067】
本実施形態では、回転装置18が被塗布物12を1周又は複数周回転させる間に、被塗布物12をその軸方向へ前記間隔分、移動させることで、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布終了側とをつなぎ合せる。
【0068】
また、液体塗布装置10は、図3及び図4に示すように、吐出ヘッド20のノズル面20Aに対向して配置され、ノズル組26から吐出された液滴が通過可能な通過孔40Aが形成された対向部材40を備えている。この対向部材40は、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12と吐出ヘッド20との間に配置されている。また、対向部材40は、板状に形成された板体で構成されており、その両端部が支持部(図示省略)で支持されている。
【0069】
通過孔40Aは、少なくとも、吐出ヘッド20から吐出される液滴よりも大きく形成されている。吐出ヘッド20から吐出される液滴の径は、吐出ヘッド20のノズル径によって規定されるので、通過孔40Aの径は、吐出ヘッド20のノズル径よりも大きくされる。
【0070】
また、通過孔40Aは、吐出ヘッド20が液滴を吐出する吐出方向に形成されている。これにより、帯電電極42の非帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴が、通過孔40Aを通過する。
【0071】
通過孔40Aは、ノズル24A、24Bと同数で構成され、ノズル24A、24Bと同様の形状で配列される。
【0072】
また、通過孔40Aは、図9(A)に示すように、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。これにより、進路を変更した液滴が他の通過孔40Aを通過しにくい。
【0073】
図5(B)に示すように、ノズル24がジグザグ形状に配列される場合には、図9(B)に示すように、通過孔40Aもジグザグ形状に配列される。この場合も、通過孔40Aは、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0074】
また、 図5(C)に示すように、ノズル組26が3つのノズル24で構成される場合には、図9(B)に示すように、通過孔40Aも同様に、3つずつ配列される。この場合も、通過孔40Aは、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0075】
仮に、図10(A)及び図10(B)に示すように、液滴が相互に反発して変更した進路上に通過孔40Aが形成されると、進路を変更した液滴が他の通過孔40Aを通過するおそれがある。なお、図9及び図10において、実線の矢印にて液滴の反発力(静電力)を示し、点線の矢印にて液滴の反発方向を示す。
【0076】
また、ノズルのノズル径は、例えば、30μmとされ、ノズル中心でのノズルの間隔が、例えば、100μmとされる。この場合において、通過孔40Aは、例えば、孔径が70μmとされ、孔中心での間隔が、例えば、100μmとされている。この場合では、液滴の進路が、対向部材40に到達するまでに50μm変更されていれば、通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突することになる。
【0077】
また、液体塗布装置10は、対向部材40に着弾した液滴を回収するための回収機構の一例としての漏斗46を備えている。この漏斗46は、円錐を扁平に潰した形状をしており、口部46A側が被塗布物支持部14に支持されている。
【0078】
漏斗46は、上部の口部46Aから流入した液体を、下部へ流下して、下部にある排出口から排出タンク48に排出する。対向部材40は、漏斗46の口部46Aの縁から伸び出ており、漏斗46に一体的に設けられている。また、漏斗46は、グランドに接続されている。これにより、漏斗が不要な電位を持ち、帯電された液滴の進路を意図せず変更させることが抑制される。
【0079】
なお、対向部材40は、漏斗46と別体で設けられている構成であってもよい。
【0080】
対向部材40と吐出ヘッド20との間には、ノズル組26から吐出された液滴を帯電させる帯電電極42が配置されている。この帯電電極42は、対向部材40及び吐出ヘッド20との間に隙間を有しており、対向部材40及び吐出ヘッド20とは別体で設けられている。
【0081】
また、本実施形態では、帯電電極42は、2つ設けられており、帯電電極42A及び帯電電極42Bで構成されている。なお、本明細書では、帯電電極42A及び帯電電極42Bを区別せずに、帯電電極を示す場合には帯電電極42と記す。
【0082】
帯電電極42Aは、ノズル組26のうち、一方のノズル24A(図3及び図5における上部側のノズル)に近接して配置されている。帯電電極42Bは、ノズル組26のうち、他方のノズル24B(図3及び図5における下部側のノズル)に近接して配置されている。
【0083】
帯電電極42Aには、帯電電極42Aとノズル24Aとの間に帯電電圧を印加するための電源50及び回路52(図12参照)に接続されている。帯電電極42Aとノズル24Aとの間に帯電電圧が印加されることにより、帯電電極42Aとノズル24Aとの間には、ノズル24Aから吐出された液滴を帯電させる帯電電界が形成される。
【0084】
帯電電極42Bには、帯電電極42Bとノズル24Bとの間に帯電電圧を印加するための電源(図示省略)及び回路(図示省略)に接続されている。帯電電極42Bとノズル24Bとの間に帯電電圧が印加されることにより、帯電電極42Bとノズル24Bとの間には、ノズル24Bから吐出された液滴を帯電させる帯電電界が形成される。
【0085】
帯電電極42Aとノズル24Aとの間で形成される帯電電界及び帯電電極42Bとノズル24Bとの間で形成される帯電電界は、同極性(例えば、正極)とされている。
【0086】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、帯電電界を通過することで帯電し、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。
【0087】
具体的には、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、同極性とされているので、相互に反発して進路を通過孔40Aの外側まで変更するようになっている。
【0088】
なお、帯電電極42A及び帯電電極42Bは、被塗布物12の回転位置によって生成される塗布開始信号によって、帯電電界を形成する帯電動作状態となり、塗布終了信号によって停止し、非帯電動作状態となる。
【0089】
また、帯電電極の形状は平板形状である必要は無く、液滴を良好に帯電できるものであれば、円筒状、ドーナツ形状等、いかなる形のものでもよい。
【0090】
(本実施形態に係る液体塗布装置の作用)
次に、本実施形態に係る液体塗布装置の作用を説明する。
【0091】
液体塗布装置10では、塗布開始するためのスタート指令を取得すると、まず、図11に示すように、ステップ102において、ポンプ36が吐出ヘッド20への塗布液の送液を開始し、回転装置18が被塗布物12の回転を開始する。ポンプ36により塗布液の送液が開始されると、吐出ヘッド20から塗布液が徐々に吐出され始め、塗布液が吐出ヘッド20から飛翔するようになる。
【0092】
次に、ステップ104において、塗布液が飛翔する前に、帯電電極42による帯電を開始する。これにより、図12(A)及び図12(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、相互に反発して、対向部材40に衝突する。このため、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12には到達しない。
【0093】
次に、ステップ106において、エンコーダ29が検知する被塗布物12の回転位置によって生成される塗布開始信号を取得して、帯電電極42による帯電を終了する。これにより、図13(A)及び図13(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、通過孔40Aを通過して被塗布物12に着弾し、被塗布物12への塗布が開始される。
【0094】
被塗布物12への塗布が開始されると、被塗布物12を回転させながら徐々にその回転軸方向へ移動させ、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12の外周面に螺旋状に着弾して、被塗布物12の外周面に塗布され、被塗布物12の外周面に塗布膜が形成される。
【0095】
次に、ステップ108において、エンコーダ29が検知する被塗布物12の周回数によって生成される塗布終了信号を取得して、帯電電極42による帯電を開始する。これにより、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、相互に反発して、対向部材40に衝突する。このため、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12には到達せず、被塗布物12への塗布が終了される。
【0096】
次に、ステップ110において、ポンプ36が吐出ヘッド20への塗布液の送液を終了し、回転装置18が被塗布物12の回転を終了する。
【0097】
次に、ステップ112において、帯電電極42による帯電を終了して、被塗布物12への塗布動作が終了する。
【0098】
以上のように、本実施形態では、液滴を帯電させ、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。
【0099】
このため、一度に複数のノズル24から吐出される液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。また、液滴の進路を変更するために、帯電された液滴の静電力を相互に作用されるものであり、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成ではない。偏向電圧が例えば、1kv必要なのに比べ、帯電電圧は、50V程度で足りるので、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低電圧で液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。
【0100】
なお、ここで示した帯電電圧は一例であり、液体の種類や、帯電電極とノズルの間隔によって変化するものである。良好に液滴を帯電できるものであれば、本実施形態に記載された値にこだわるものではない。
【0101】
なお、上記のように、吐出ヘッド20は、ノズル24Bから吐出された液滴に沿ってノズル24Aから液滴が吐出されるようになっているが、ノズル24A及びノズル24Bからの液滴の吐出方向は、これに限られるものではない。例えば、図14(A)に示すように、上方から見た場合に、ノズル24Aからの液滴の吐出軌道と、ノズル24Bからの液滴の吐出軌道が交差すると共に(図14(B)参照)、横方向から見た場合に、ノズル24Aからの液滴の吐出軌道と、ノズル24Bからの液滴の吐出軌道とが平行になるように(図14(C)参照)、ノズル24A及びノズル24Bからの液滴の吐出方向を設定してもよい。
【0102】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が相互に静電力を作用させることが可能な距離を飛翔すること、また、その距離を相互に静電力を作用させることが可能な時間保つことが可能なように、液滴が吐出される方向が設定されればよい。
【0103】
また、図15(A)及び図15(B)に示すように、ノズル24Bから吐出された液滴を被塗布物12への塗布に使用し、ノズル24Aからの液滴を被塗布物12への塗布に使用せずに、ノズル24Aから吐出された液滴に静電力を作用させるためだけに用いる構成であってもよい。
【0104】
図15(A)及び図15(B)に示す構成では、ノズル24Aから吐出された液滴を通過させるための通過孔40Aが、対向部材40に形成されていない。帯電電極42の非帯電動作状態においては、図15(A)に示すように、ノズル24Bから吐出された液滴が、通過孔40Aを通過する一方、ノズル24Aから吐出された液滴は対向部材40に衝突する。
【0105】
帯電電極42の帯電動作状態においては、図15(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が、相互に反発していずれも対向部材40に衝突する。
【0106】
また、本実施形態の構成では、図12及び図13に示すように、帯電電極42の非帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過し、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突させる構成であったが、図16及び図17に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過し、帯電電極42の非帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突させる構成であってもよい。
【0107】
この構成では、図16(A)及び図16(B)に示すように、対向部材40には、吐出ヘッド20から液滴が吐出される吐出方向に通過孔40Aが形成されておらず、帯電電極42の非帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴は、直進して対向部材40に衝突し、被塗布物12には到達しない。
【0108】
図17(A)及び図17(B)に示すように、対向部材40には、吐出ヘッド20から吐出された液滴が、相互に反発して変更された進路上に通過孔40Aが形成されている。このため、帯電電極42の帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴は、通過孔40Aを通過して被塗布物12に到達する。
【0109】
また、本実施形態の構成では、図12に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴を相互に反発させて進路を変更させる構成であったが、図18に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴を相互に吸引させて進路を変更させる構成であってもよい。
【0110】
帯電電極42Aとノズル24Aとの間で形成される帯電電界及び帯電電極42Bとノズル24Bとの間で形成される帯電電界は、逆極性とされている。
【0111】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、帯電電界を通過することで帯電し、帯電による静電力により、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に吸引して、それらの液滴の進路が変更される。進路を変更した液滴は、通過孔40Aを通過せずに対向部材40に衝突し、被塗布物12には到達しない。
【0112】
また、液体塗布装置10では、吐出ヘッド20、帯電電極42及び対向部材40が別体で設けられていたが、図19に示すように、吐出ヘッド20、帯電電極42及び対向部材40が一体的に設けられ、吐出ヘッドユニット100として構成されていてもよい。この構成では、帯電電極42は、絶縁部材43を介して吐出ヘッド20のノズル面20A側に取り付けられている。対向部材40は、絶縁部材44を介して帯電電極42に取り付けられており、帯電電極42と絶縁部材43を介して吐出ヘッド20に設けられている。
【0113】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図であり、図1とは反対側から装置を見た図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材の構成を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材の構成を示す概略斜視図であり、図3とは反対側から吐出ヘッド等を見た図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るノズル又は通過孔の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、好ましくないノズル又は通過孔の構成を示す概略図である。
【図7】図7は、ノズルの配列が異なるノズル組を有する構成において、塗布開始と塗布終了が噛み合っていない場合を示す概略図である。
【図8】図8は、ノズルの配列が異なるノズル組を有する構成において、塗布開始と塗布終了が噛み合っている場合を示す概略図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る通過孔の構成を示す概略図である。
【図10】図10は、好ましくない通過孔の構成を示す概略図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る液体塗布装置における被塗布物への塗布手順を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る帯電電極の帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図13】図13は、本実施形態に係る帯電電極の非帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図14】図14(A)は、上方から見た場合に2つのノズルから吐出された液滴の吐出軌道が交差する構成を示す概略図であり、図14(B)は、上方から見た場合の液滴の吐出軌道を示し、図14(C)は、横方向から見た場合の液滴の吐出軌道を示す。
【図15】図15は、一方のノズルから吐出された液滴を、他方のノズルから吐出された液滴に静電力を作用させるためだけに用いる構成を示す概略図であり、(A)は、帯電電極の非帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(B)は、帯電電極の帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図である。
【図16】図16は、帯電電極の非帯電動作状態において、液滴が対向部材に衝突する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図17】図17は、帯電電極の帯電動作状態において、液滴が通過孔を通過して被塗布物に着弾する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図18】図18は、液滴が相互に吸引して進路を変更する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図19】図19は、液滴吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材が一体化された液滴吐出ヘッドユニットの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
10 液体塗布装置(液滴吐出ヘッド)
12 被塗布物(被吐出物)
18 回転装置(回転機構)
20A ノズル面
20 吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)
24 ノズル
26 ノズル組
28 移動装置(移動機構)
40 対向部材
40A 通過孔
42 帯電電極
46 漏斗(回収機構)
100 吐出ヘッドユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置としては、特許文献1に開示される機能性材料塗布装置及び特許文献2に開示されるインクジェット記録装置が公知である。
【0003】
特許文献1に開示される機能性材料塗布装置は、機能性材料の塗布液14を連続して加圧して、吐出ヘッド12のノズル121から液柱状の塗布液14を吐出させ、その吐出した液柱状の塗布液14を液滴化して、被塗布物10へ塗布する。このように、連続的に加圧して塗布液14を吐出させるため、高粘度の塗布液(例えば水に近い粘度3mPa・s程度以下のものから、粘度300mPa・s程度の塗布物)でも、安定して塗布液14を吐出し、被塗布物10へ塗布することが可能となる。
【0004】
特許文献2に開示されるインクジェット記録装置では、液滴の帯電の有無により記録紙上への着弾をオン・オフするインクジェット方式で、帯電信号発生手段が、帯電したインク粒子と帯電しないインク粒子とが電気的に相互に反発し合うことに起因するインク粒子の位置ずれをあらかじめ考慮して、インク粒子に対して一定の帯電を付与するための帯電信号を発生する。この帯電信号がインク粒子に印加されると、この帯電信号で帯電量が補正されることにより、一定の帯電が付与されたインクを粒子は、記録媒体上の正規の位置へ飛着することになる。
【特許文献1】特開2007−325993号公報(図2)
【特許文献2】特開平01−159254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る液滴吐出装置は、ノズル面に形成された複数のノズルで構成されるノズル組を有し、前記ノズル組から液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドと、前記ノズル面に対向して配置され、前記ノズル組から吐出された液滴が通過可能な通過孔が形成された対向部材と、前記ノズル組から吐出される液滴を帯電させ、その帯電による静電力を前記ノズル組の各ノズルから吐出された液滴の間で相互に作用させてそれらの液滴の進路を変更させる帯電電極と、を備えている。
【0007】
本発明の請求項2に係る液滴吐出装置は、請求項1の構成において、前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズル組のうち一方のノズルから吐出された液滴の吐出方向に沿って他方のノズルから液滴を吐出する。
【0008】
本発明の請求項3に係る液滴吐出装置は、請求項1又は請求項2の構成において、前記液滴吐出ヘッドは、前記帯電電極の非帯電動作状態において前記液滴が前記通過孔を通過するように前記液滴を吐出し、前記帯電電極は、前記液滴を帯電させて相互に反発させることにより、前記液滴の進路を変更させて前記対向部材に衝突させる。
【0009】
本発明の請求項4に係る液滴吐出装置は、請求項3の構成において、前記通過孔は、前記液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0010】
本発明の請求項5に係る液滴吐出装置は、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構と、前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構と、を備え、前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルの配列が同じである前記ノズル組が前記回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置され、前記移動機構は、前記回転機構が前記被吐出物を1周又は複数周回転させる間に、前記間隔分前記被吐出物を相対移動させる。
【0011】
本発明の請求項6に係る液滴吐出装置は、請求項1〜4のいずれか1項の構成において、前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構を備え、前記帯電電極は、前記被吐出物の回転位置によって生成される信号に基づき、帯電動作・非帯電動作が制御される。
【0012】
本発明の請求項7に係る液滴吐出装置は、請求項1〜6のいずれか1項の構成において、前記対向部材は、前記対向部材に衝突した液滴を回収するための回収機構を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の構成によれば、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できる。
【0014】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、低い電圧で、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を制御できる。
【0015】
本発明の請求項3の構成によれば、液滴の進路を変更させたときに通過孔を通過させる構成に比べ、被吐出物への液滴の着弾及び非着弾を簡易に制御できる。
【0016】
本発明の請求項4の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、対向部材に衝突すべき液滴が、誤って通過孔を通過することを抑制できる。
【0017】
本発明の請求項5の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、吐出開始側と吐出終了側において着弾した液滴を噛み合わせることができる。
【0018】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、帯電電極の帯電動作・非帯電動作の制御が容易になる。
【0019】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、対向部材に衝突した液滴の液だれを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0021】
本実施形態では、液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、機能性材料の塗布液を被塗布物へ塗布する液体塗布装置について説明する。
【0022】
なお、液滴吐出装置としては、この液体塗布装置に限定されるものではない。液滴吐出装置としては、例えば、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置、フィルムやガラス上にインク等を吐出してカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造装置、溶解状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成する装置、金属を含む液体を吐出して配線パターンを形成する装置、及び液滴を吐出して膜を形成する各種の成膜装置であってもよく、液滴を吐出するものであればよい。
【0023】
(本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成)
まず、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【0024】
本実施形態に係る液体塗布装置10は、液滴の吐出を受ける被吐出物の一例としての被塗布物12に塗布液を塗布する装置である。液体塗布装置10は、図1及び図2に示すように、被塗布物12を支持する被塗布物支持部14を備えている。
【0025】
被塗布物支持部14は、例えば、板状に形成されており、基板16上に立て設けられている。被塗布物支持部14は、被塗布物12の両端部にそれぞれ配置されており、被塗布物12が取り付けられる回転軸18Aを被塗布物12の両端側で回転可能に支持している。
【0026】
被塗布物12としては、例えば、感光体ドラムが用いられる。なお、被塗布物12としては、感光体ドラムに限られず、例えば、他の電子写真用部材(機能性ベルト(中間転写体)、転写ロール、帯電ロールなど)や、その他工業製品(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、半導体製品)を用いても良い。
【0027】
また、被塗布物12の形状は、円筒状に限られず、例えば、円柱状、角筒状など他の形状をしているものであってもよい。
【0028】
液体塗布装置10は、前記被吐出物を回転させる回転機構の一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12を回転駆動する回転装置18を備えている。回転装置18は、被塗布物12が取り付けられる回転軸18Aと、回転軸18Aの軸方向一端部に配置されたギア部に連結された無端状のベルト18Bと、ベルト18Bを介して被塗布物12に回転力を付与する駆動モータ18Cと、を備えて構成されている。
【0029】
回転装置18の回転軸18Aには、回転軸18Aの回転位置を検知するためのエンコーダ29が設けられている。このエンコーダ29により、回転軸18Aの回転角がカウントされる。
【0030】
なお、回転機構としては、回転装置18に限られず、被塗布物12を回転させる回転機構であれば、他の機械要素によって構成された回転機構であってもよい。
【0031】
液体塗布装置10は、液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドの一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12へ機能性材料の塗布液を連続吐出する吐出ヘッド20を備えている。吐出ヘッド20は、ノズル24が、被塗布物12の回転軸方向に沿って配置されている(図3参照)。
【0032】
吐出ヘッド20が吐出する機能性材料の塗布液としては、例えば、感光体に使用される、樹脂と電荷輸送剤を有機溶剤に溶解させた、電荷輸送層溶液が用いられる。
【0033】
また、液体塗布装置10は、吐出ヘッド20から吐出される塗布液を貯留する塗布液タンク30を備えている。この塗布液タンク30には、塗布液タンク30に貯留された塗布液を吐出ヘッド20に供給するための塗布液供給管32の一端部が連結されている。塗布液供給管32の他端部は、吐出ヘッド20の一端部に連結されている。
【0034】
吐出ヘッド20の他端部には、吐出ヘッド20から塗布液タンク30へ塗布液を排出するための塗布液排出管34の一端部が連結されている。塗布液排出管34の他端部は、塗布液タンク30に連結されている。
【0035】
塗布液タンク30には、塗布液供給管32を通じて、塗布液タンク30から吐出ヘッド20へ塗布液を送るためのポンプ36が設けられている。ポンプ36は、連続加圧して塗布液タンク30から吐出ヘッド20へ塗布液を送り、さらに、吐出ヘッド20へ送られた塗布液が吐出ヘッド20のノズル24から連続吐出されるようになっている。
【0036】
また、吐出ヘッド20には、圧電素子33が設けられている(図4参照)。この圧電素子33によって、吐出ヘッド20内の塗布液に対し、振動を付与し、ノズル24から吐出される塗布液を液滴化する。圧電素子33は、図示しないが、例えばPZTセラミック膜に電極から高周波電圧を印加して振動(音波)を発生せしめ、この振動を吐出ヘッド20内の塗布液へ伝達せしめる。
【0037】
本実施形態では、ポンプ36は、塗布液をノズル24から液柱状に吐出させる機能を有し、圧電素子33は、液柱状の塗布液を液滴化する機能を有する。すなわち、ポンプ36及び圧電素子33が協働して、塗布液を液滴として吐出ヘッド20から吐出させる。
【0038】
なお、塗布液を液滴化する塗布液液滴化手段としては、圧電素子を適用した構成に限られず、塗布液を加熱し、当該熱の揺らぎにより液滴化する方式でもよい。
【0039】
また、液体塗布装置10は、前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構の一例として、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12をその軸方向へ移動させる移動装置28を備えている。
【0040】
この移動装置28は、被塗布物支持部14の間に配置されたレール28Aと、このレール28Aに被塗布物12の回転軸方向に沿って往復移動可能に支持された移動体28Bと、移動体28Bをレール28Aに沿って移動させる駆動部(図示省略)を備えている。
【0041】
移動体28Bには、回転装置18の回転軸18Aに連結される連結部28Cが設けられている。連結部28Cは、移動体28Bから腕状に伸びており、先端部が回転軸18Aに固定されている。
【0042】
これにより、移動体28Bがレール28Aに沿って被塗布物12の回転軸方向に移動することで、回転装置18の回転軸18Aがその軸方向に移動し、被塗布物12がその軸方向へ移動する。
【0043】
なお、移動機構としては、移動装置28に限られず、被塗布物12をその軸方向へ移動させる移動機構であれば、他の機械要素によって構成された移動機構であってもよい。
【0044】
上記のように、回転装置18によって被塗布物12を回転させると共に、移動装置28によって被塗布物12を回転軸方向に移動させることにより、吐出ヘッド20から吐出された液滴を被塗布物12に螺旋状に着弾させて、塗布液が被塗布物12に塗布される。
【0045】
この液体塗布装置10では、エンコーダ29によって検知された回転軸18Aの予め定められた回転位置において、塗布開始信号を生成し、被塗布物12への塗布が完了する回転軸18Aが前記回転位置から複数周したときに、塗布終了信号を生成するようになっている。
【0046】
なお、吐出ヘッド20が、例えば、被塗布物12の回転軸方向の塗布領域の全領域を一度に塗布可能な場合には、被塗布物12をその回転軸方向に移動させずに塗布する構成であってもよい。この場合には、エンコーダ29によって検知された回転軸18Aの予め定められた回転位置において、塗布開始信号を生成し、被塗布物12への塗布が完了する回転軸18Aが前記回転位置から1周したときに、塗布終了信号を生成するようになっている。
【0047】
(被塗布物12への液滴の着弾・非着弾を制御するための構成)
次に、被塗布物12への液滴の着弾・非着弾を制御するための構成を説明する。
【0048】
吐出ヘッド20は、図3及び図5(A)に示すように、ノズル面20Aに形成された複数のノズル24で構成されるノズル組26を有している。
【0049】
本実施形態では、ノズル組26は、隣接するノズルであるノズル24A及びノズル24Bで構成されている。なお、本明細書では、ノズル24A及びノズル24Bを区別せずに、ノズルを示す場合にはノズル24と記す。
【0050】
ノズル24A及びノズル24Bは、吐出ヘッド20の長手方向(軸方向)に対して斜めに配列されている。具体的は、ノズル24Bは、ノズル24Aから見て、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向の一方側(図5(A)における左側)に、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(A)における下側)にずれて配置されている。
【0051】
なお、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向は、移動装置28によって吐出ヘッド20が被塗布物12に対して相対的に移動する相対移動方向であり、また、複数のノズル24全体が配列される配列方向でもある。
【0052】
また、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向は、回転装置18によって吐出ヘッド20が被塗布物12に対して、相対的に回転する相対回転方向であり、また、ノズル面20Aの長手方向と直交する方向でもある。
【0053】
また、後述のように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に静電力を作用させるため、これらの液滴が相互に静電力を作用させる距離を保つ程度に、ノズル24A及びノズル24Bが近接されている。
【0054】
また、ノズル24Aのノズル孔は、ノズル24Bのノズル孔に沿って形成されており、ノズル24Bから吐出された液滴に沿ってノズル24Aから液滴が吐出されるようになっている。これにより、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に静電力を作用させるための時間が確保される。
【0055】
より具体的には、ノズル24A及びノズル24Bのノズル孔が平行に形成され、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が平行になることが望ましい。
【0056】
ノズル組26では、ノズル24A及びノズル24Bの2つで構成されているので、ノズル24Aから吐出された液滴は、ノズル24Bから吐出された液滴のみの反発力が作用され、ノズル24Bから吐出された液滴は、ノズル24Aから吐出された液滴のみの反発力が作用される。
【0057】
仮に、図6(A)及び図6(B)に示すように、3つ以上のノズル24が直線状に配置される構成では、間に挟まれたノズル24からの液滴がその両側のノズル24からの液滴から反発力を受けると、反発力が相殺されてしまい、間に挟まれたノズル24から吐出された液滴の進路が変更されにくくなる。従って、3つ以上のノズル24を直線状に配置するノズル配列は、望ましくない。
【0058】
なお、図5及び図6において、実線の矢印にて液滴の反発力(静電力)を示し、点線の矢印にて液滴の反発方向を示す。また、ノズル組26のノズル数は、2つに限られず、図5(B)及び図5(C)に示すように、3つ以上であっても良い。
【0059】
図5(B)に示す構成では、ノズル24がジグザグ形状に配列されており、隣接するノズル24の中心間の距離が等しくされている。このため、吐出ヘッド20のノズル面20Aの長手方向に両側で隣接するノズル24から吐出された液滴から反発力が作用されるようになっている。これにより、両側で隣接するノズル24から吐出された液滴からの合算された反発力が発生する。
【0060】
図5(C)に示す構成では、ノズル組26は、3つのノズル24で構成されている。1つのノズル24には、他の2つのノズル24から吐出された液滴からの合算された反発力が発生する。
【0061】
また、図5(C)に示す構成では、ノズル24の配列が異なるノズル組26を有している。具体的には、ノズル組26は、2種類で構成されており、ノズル組26A及びノズル組26Bを有している。
【0062】
ノズル組26Aは、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(C)における上側)に2つのノズル24が配置され、ノズル面20Aの短手方向の他方側(図5(C)における下側)に1つのノズル24が配置されている。
【0063】
ノズル組26Bは、吐出ヘッド20のノズル面20Aの短手方向の一方側(図5(C)における上側)に1つのノズル24が配置され、ノズル面20Aの短手方向の他方側(図5(C)における下側)に2つのノズル24が配置されている。
【0064】
このように、ノズル24の配列が異なるノズル組26を有する構成において、被塗布物12に液滴を螺旋状に着弾させ、異なるノズル24から着弾した液滴をつなぎ合わせる場合には、つなぎ目を考慮する必要がある。
【0065】
例えば、図7に示すように、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Bから着弾した液滴の塗布終了側とがつなぎ合うようにした場合は、ノズル組26Aとノズル組26Bとは、ノズル24の配列が異なるので、着弾した液滴が噛み合わない。
【0066】
従って、図8に示すように、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布終了側とがつなぎ合うように、被塗布物12をその軸方向へ移動させて、液滴を螺旋状に打滴する必要がある。図8に示す例では、ノズル組26Aとノズル組26Bとが交互に配置され、ノズル組26Aは、被塗布物12の回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置されている。
【0067】
本実施形態では、回転装置18が被塗布物12を1周又は複数周回転させる間に、被塗布物12をその軸方向へ前記間隔分、移動させることで、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布開始側と、ノズル組26Aから着弾した液滴の塗布終了側とをつなぎ合せる。
【0068】
また、液体塗布装置10は、図3及び図4に示すように、吐出ヘッド20のノズル面20Aに対向して配置され、ノズル組26から吐出された液滴が通過可能な通過孔40Aが形成された対向部材40を備えている。この対向部材40は、被塗布物支持部14に支持された被塗布物12と吐出ヘッド20との間に配置されている。また、対向部材40は、板状に形成された板体で構成されており、その両端部が支持部(図示省略)で支持されている。
【0069】
通過孔40Aは、少なくとも、吐出ヘッド20から吐出される液滴よりも大きく形成されている。吐出ヘッド20から吐出される液滴の径は、吐出ヘッド20のノズル径によって規定されるので、通過孔40Aの径は、吐出ヘッド20のノズル径よりも大きくされる。
【0070】
また、通過孔40Aは、吐出ヘッド20が液滴を吐出する吐出方向に形成されている。これにより、帯電電極42の非帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴が、通過孔40Aを通過する。
【0071】
通過孔40Aは、ノズル24A、24Bと同数で構成され、ノズル24A、24Bと同様の形状で配列される。
【0072】
また、通過孔40Aは、図9(A)に示すように、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。これにより、進路を変更した液滴が他の通過孔40Aを通過しにくい。
【0073】
図5(B)に示すように、ノズル24がジグザグ形状に配列される場合には、図9(B)に示すように、通過孔40Aもジグザグ形状に配列される。この場合も、通過孔40Aは、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0074】
また、 図5(C)に示すように、ノズル組26が3つのノズル24で構成される場合には、図9(B)に示すように、通過孔40Aも同様に、3つずつ配列される。この場合も、通過孔40Aは、液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている。
【0075】
仮に、図10(A)及び図10(B)に示すように、液滴が相互に反発して変更した進路上に通過孔40Aが形成されると、進路を変更した液滴が他の通過孔40Aを通過するおそれがある。なお、図9及び図10において、実線の矢印にて液滴の反発力(静電力)を示し、点線の矢印にて液滴の反発方向を示す。
【0076】
また、ノズルのノズル径は、例えば、30μmとされ、ノズル中心でのノズルの間隔が、例えば、100μmとされる。この場合において、通過孔40Aは、例えば、孔径が70μmとされ、孔中心での間隔が、例えば、100μmとされている。この場合では、液滴の進路が、対向部材40に到達するまでに50μm変更されていれば、通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突することになる。
【0077】
また、液体塗布装置10は、対向部材40に着弾した液滴を回収するための回収機構の一例としての漏斗46を備えている。この漏斗46は、円錐を扁平に潰した形状をしており、口部46A側が被塗布物支持部14に支持されている。
【0078】
漏斗46は、上部の口部46Aから流入した液体を、下部へ流下して、下部にある排出口から排出タンク48に排出する。対向部材40は、漏斗46の口部46Aの縁から伸び出ており、漏斗46に一体的に設けられている。また、漏斗46は、グランドに接続されている。これにより、漏斗が不要な電位を持ち、帯電された液滴の進路を意図せず変更させることが抑制される。
【0079】
なお、対向部材40は、漏斗46と別体で設けられている構成であってもよい。
【0080】
対向部材40と吐出ヘッド20との間には、ノズル組26から吐出された液滴を帯電させる帯電電極42が配置されている。この帯電電極42は、対向部材40及び吐出ヘッド20との間に隙間を有しており、対向部材40及び吐出ヘッド20とは別体で設けられている。
【0081】
また、本実施形態では、帯電電極42は、2つ設けられており、帯電電極42A及び帯電電極42Bで構成されている。なお、本明細書では、帯電電極42A及び帯電電極42Bを区別せずに、帯電電極を示す場合には帯電電極42と記す。
【0082】
帯電電極42Aは、ノズル組26のうち、一方のノズル24A(図3及び図5における上部側のノズル)に近接して配置されている。帯電電極42Bは、ノズル組26のうち、他方のノズル24B(図3及び図5における下部側のノズル)に近接して配置されている。
【0083】
帯電電極42Aには、帯電電極42Aとノズル24Aとの間に帯電電圧を印加するための電源50及び回路52(図12参照)に接続されている。帯電電極42Aとノズル24Aとの間に帯電電圧が印加されることにより、帯電電極42Aとノズル24Aとの間には、ノズル24Aから吐出された液滴を帯電させる帯電電界が形成される。
【0084】
帯電電極42Bには、帯電電極42Bとノズル24Bとの間に帯電電圧を印加するための電源(図示省略)及び回路(図示省略)に接続されている。帯電電極42Bとノズル24Bとの間に帯電電圧が印加されることにより、帯電電極42Bとノズル24Bとの間には、ノズル24Bから吐出された液滴を帯電させる帯電電界が形成される。
【0085】
帯電電極42Aとノズル24Aとの間で形成される帯電電界及び帯電電極42Bとノズル24Bとの間で形成される帯電電界は、同極性(例えば、正極)とされている。
【0086】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、帯電電界を通過することで帯電し、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。
【0087】
具体的には、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、同極性とされているので、相互に反発して進路を通過孔40Aの外側まで変更するようになっている。
【0088】
なお、帯電電極42A及び帯電電極42Bは、被塗布物12の回転位置によって生成される塗布開始信号によって、帯電電界を形成する帯電動作状態となり、塗布終了信号によって停止し、非帯電動作状態となる。
【0089】
また、帯電電極の形状は平板形状である必要は無く、液滴を良好に帯電できるものであれば、円筒状、ドーナツ形状等、いかなる形のものでもよい。
【0090】
(本実施形態に係る液体塗布装置の作用)
次に、本実施形態に係る液体塗布装置の作用を説明する。
【0091】
液体塗布装置10では、塗布開始するためのスタート指令を取得すると、まず、図11に示すように、ステップ102において、ポンプ36が吐出ヘッド20への塗布液の送液を開始し、回転装置18が被塗布物12の回転を開始する。ポンプ36により塗布液の送液が開始されると、吐出ヘッド20から塗布液が徐々に吐出され始め、塗布液が吐出ヘッド20から飛翔するようになる。
【0092】
次に、ステップ104において、塗布液が飛翔する前に、帯電電極42による帯電を開始する。これにより、図12(A)及び図12(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、相互に反発して、対向部材40に衝突する。このため、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12には到達しない。
【0093】
次に、ステップ106において、エンコーダ29が検知する被塗布物12の回転位置によって生成される塗布開始信号を取得して、帯電電極42による帯電を終了する。これにより、図13(A)及び図13(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、通過孔40Aを通過して被塗布物12に着弾し、被塗布物12への塗布が開始される。
【0094】
被塗布物12への塗布が開始されると、被塗布物12を回転させながら徐々にその回転軸方向へ移動させ、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12の外周面に螺旋状に着弾して、被塗布物12の外周面に塗布され、被塗布物12の外周面に塗布膜が形成される。
【0095】
次に、ステップ108において、エンコーダ29が検知する被塗布物12の周回数によって生成される塗布終了信号を取得して、帯電電極42による帯電を開始する。これにより、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、相互に反発して、対向部材40に衝突する。このため、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、被塗布物12には到達せず、被塗布物12への塗布が終了される。
【0096】
次に、ステップ110において、ポンプ36が吐出ヘッド20への塗布液の送液を終了し、回転装置18が被塗布物12の回転を終了する。
【0097】
次に、ステップ112において、帯電電極42による帯電を終了して、被塗布物12への塗布動作が終了する。
【0098】
以上のように、本実施形態では、液滴を帯電させ、この帯電による静電力が、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に作用して、それらの液滴の進路が変更される。
【0099】
このため、一度に複数のノズル24から吐出される液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。また、液滴の進路を変更するために、帯電された液滴の静電力を相互に作用されるものであり、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成ではない。偏向電圧が例えば、1kv必要なのに比べ、帯電電圧は、50V程度で足りるので、帯電された液滴を偏向させるための偏向電界を形成する構成に比べ、低電圧で液滴の被塗布物12への着弾・非着弾が制御される。
【0100】
なお、ここで示した帯電電圧は一例であり、液体の種類や、帯電電極とノズルの間隔によって変化するものである。良好に液滴を帯電できるものであれば、本実施形態に記載された値にこだわるものではない。
【0101】
なお、上記のように、吐出ヘッド20は、ノズル24Bから吐出された液滴に沿ってノズル24Aから液滴が吐出されるようになっているが、ノズル24A及びノズル24Bからの液滴の吐出方向は、これに限られるものではない。例えば、図14(A)に示すように、上方から見た場合に、ノズル24Aからの液滴の吐出軌道と、ノズル24Bからの液滴の吐出軌道が交差すると共に(図14(B)参照)、横方向から見た場合に、ノズル24Aからの液滴の吐出軌道と、ノズル24Bからの液滴の吐出軌道とが平行になるように(図14(C)参照)、ノズル24A及びノズル24Bからの液滴の吐出方向を設定してもよい。
【0102】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が相互に静電力を作用させることが可能な距離を飛翔すること、また、その距離を相互に静電力を作用させることが可能な時間保つことが可能なように、液滴が吐出される方向が設定されればよい。
【0103】
また、図15(A)及び図15(B)に示すように、ノズル24Bから吐出された液滴を被塗布物12への塗布に使用し、ノズル24Aからの液滴を被塗布物12への塗布に使用せずに、ノズル24Aから吐出された液滴に静電力を作用させるためだけに用いる構成であってもよい。
【0104】
図15(A)及び図15(B)に示す構成では、ノズル24Aから吐出された液滴を通過させるための通過孔40Aが、対向部材40に形成されていない。帯電電極42の非帯電動作状態においては、図15(A)に示すように、ノズル24Bから吐出された液滴が、通過孔40Aを通過する一方、ノズル24Aから吐出された液滴は対向部材40に衝突する。
【0105】
帯電電極42の帯電動作状態においては、図15(B)に示すように、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴が、相互に反発していずれも対向部材40に衝突する。
【0106】
また、本実施形態の構成では、図12及び図13に示すように、帯電電極42の非帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過し、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突させる構成であったが、図16及び図17に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過し、帯電電極42の非帯電動作状態において、液滴が通過孔40Aを通過せずに、対向部材40に衝突させる構成であってもよい。
【0107】
この構成では、図16(A)及び図16(B)に示すように、対向部材40には、吐出ヘッド20から液滴が吐出される吐出方向に通過孔40Aが形成されておらず、帯電電極42の非帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴は、直進して対向部材40に衝突し、被塗布物12には到達しない。
【0108】
図17(A)及び図17(B)に示すように、対向部材40には、吐出ヘッド20から吐出された液滴が、相互に反発して変更された進路上に通過孔40Aが形成されている。このため、帯電電極42の帯電動作状態においては、吐出ヘッド20から吐出された液滴は、通過孔40Aを通過して被塗布物12に到達する。
【0109】
また、本実施形態の構成では、図12に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴を相互に反発させて進路を変更させる構成であったが、図18に示すように、帯電電極42の帯電動作状態において、液滴を相互に吸引させて進路を変更させる構成であってもよい。
【0110】
帯電電極42Aとノズル24Aとの間で形成される帯電電界及び帯電電極42Bとノズル24Bとの間で形成される帯電電界は、逆極性とされている。
【0111】
ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴は、帯電電界を通過することで帯電し、帯電による静電力により、ノズル24A及びノズル24Bから吐出された液滴の間で相互に吸引して、それらの液滴の進路が変更される。進路を変更した液滴は、通過孔40Aを通過せずに対向部材40に衝突し、被塗布物12には到達しない。
【0112】
また、液体塗布装置10では、吐出ヘッド20、帯電電極42及び対向部材40が別体で設けられていたが、図19に示すように、吐出ヘッド20、帯電電極42及び対向部材40が一体的に設けられ、吐出ヘッドユニット100として構成されていてもよい。この構成では、帯電電極42は、絶縁部材43を介して吐出ヘッド20のノズル面20A側に取り付けられている。対向部材40は、絶縁部材44を介して帯電電極42に取り付けられており、帯電電極42と絶縁部材43を介して吐出ヘッド20に設けられている。
【0113】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る液体塗布装置の全体構成を示す概略斜視図であり、図1とは反対側から装置を見た図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材の構成を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材の構成を示す概略斜視図であり、図3とは反対側から吐出ヘッド等を見た図である。
【図5】図5は、本実施形態に係るノズル又は通過孔の構成を示す概略図である。
【図6】図6は、好ましくないノズル又は通過孔の構成を示す概略図である。
【図7】図7は、ノズルの配列が異なるノズル組を有する構成において、塗布開始と塗布終了が噛み合っていない場合を示す概略図である。
【図8】図8は、ノズルの配列が異なるノズル組を有する構成において、塗布開始と塗布終了が噛み合っている場合を示す概略図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る通過孔の構成を示す概略図である。
【図10】図10は、好ましくない通過孔の構成を示す概略図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る液体塗布装置における被塗布物への塗布手順を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る帯電電極の帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図13】図13は、本実施形態に係る帯電電極の非帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図14】図14(A)は、上方から見た場合に2つのノズルから吐出された液滴の吐出軌道が交差する構成を示す概略図であり、図14(B)は、上方から見た場合の液滴の吐出軌道を示し、図14(C)は、横方向から見た場合の液滴の吐出軌道を示す。
【図15】図15は、一方のノズルから吐出された液滴を、他方のノズルから吐出された液滴に静電力を作用させるためだけに用いる構成を示す概略図であり、(A)は、帯電電極の非帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図であり、(B)は、帯電電極の帯電動作状態における液滴の動作を示す概略図である。
【図16】図16は、帯電電極の非帯電動作状態において、液滴が対向部材に衝突する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図17】図17は、帯電電極の帯電動作状態において、液滴が通過孔を通過して被塗布物に着弾する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図18】図18は、液滴が相互に吸引して進路を変更する構成を示す概略図であり、(A)は、斜視図であり、(B)は、側面図である。
【図19】図19は、液滴吐出ヘッド、帯電電極及び対向部材が一体化された液滴吐出ヘッドユニットの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
10 液体塗布装置(液滴吐出ヘッド)
12 被塗布物(被吐出物)
18 回転装置(回転機構)
20A ノズル面
20 吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)
24 ノズル
26 ノズル組
28 移動装置(移動機構)
40 対向部材
40A 通過孔
42 帯電電極
46 漏斗(回収機構)
100 吐出ヘッドユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル面に形成された複数のノズルで構成されるノズル組を有し、前記ノズル組から液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ノズル面に対向して配置され、前記ノズル組から吐出された液滴が通過可能な通過孔が形成された対向部材と、
前記ノズル組から吐出される液滴を帯電させ、その帯電による静電力を前記ノズル組の各ノズルから吐出された液滴の間で相互に作用させてそれらの液滴の進路を変更させる帯電電極と、
を備えた液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズル組のうち一方のノズルから吐出された液滴の吐出方向に沿って他方のノズルから液滴を吐出する請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記液滴吐出ヘッドは、前記帯電電極の非帯電動作状態において前記液滴が前記通過孔を通過するように前記液滴を吐出し、
前記帯電電極は、前記液滴を帯電させて相互に反発させることにより、前記液滴の進路を変更させて前記対向部材に衝突させる請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記通過孔は、前記液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構と、
前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構と、
を備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルの配列が同じである前記ノズル組が前記回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置され、
前記移動機構は、前記回転機構が前記被吐出物を1周又は複数周回転させる間に、前記間隔分前記被吐出物を相対移動させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過口を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構を備え、
前記帯電電極は、前記被吐出物の回転位置によって生成される信号に基づき、帯電動作・非帯電動作が制御される請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記対向部材に衝突した液滴を回収するための回収機構を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項1】
ノズル面に形成された複数のノズルで構成されるノズル組を有し、前記ノズル組から液滴を連続吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ノズル面に対向して配置され、前記ノズル組から吐出された液滴が通過可能な通過孔が形成された対向部材と、
前記ノズル組から吐出される液滴を帯電させ、その帯電による静電力を前記ノズル組の各ノズルから吐出された液滴の間で相互に作用させてそれらの液滴の進路を変更させる帯電電極と、
を備えた液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズル組のうち一方のノズルから吐出された液滴の吐出方向に沿って他方のノズルから液滴を吐出する請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記液滴吐出ヘッドは、前記帯電電極の非帯電動作状態において前記液滴が前記通過孔を通過するように前記液滴を吐出し、
前記帯電電極は、前記液滴を帯電させて相互に反発させることにより、前記液滴の進路を変更させて前記対向部材に衝突させる請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記通過孔は、前記液滴が相互に反発して変更した進路上以外の位置に形成されている請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過孔を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構と、
前記被吐出物を前記液滴吐出ヘッドに対して前記回転機構の回転軸方向に相対移動させる移動機構と、
を備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記ノズルの配列が同じである前記ノズル組が前記回転軸方向に沿って一定の間隔で複数配置され、
前記移動機構は、前記回転機構が前記被吐出物を1周又は複数周回転させる間に、前記間隔分前記被吐出物を相対移動させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記液滴吐出ヘッドより吐出され前記通過口を通った液滴が着弾する被吐出物を回転させる回転機構を備え、
前記帯電電極は、前記被吐出物の回転位置によって生成される信号に基づき、帯電動作・非帯電動作が制御される請求項1〜4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記対向部材に衝突した液滴を回収するための回収機構を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−158646(P2010−158646A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3730(P2009−3730)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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