液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法および有機EL装置の製造方法
【課題】複数の被吐出領域へ吐出される液状体の偏りを低減させ、領域内に掲載される薄膜の厚さの不均一を低減させる。
【解決手段】複数のノズル52からなるノズル列52aを有する液滴吐出ヘッド50と複数の略矩形形状の被吐出領域103を備えた基板Bとを前記液滴吐出ヘッド50の配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズル52から前記被吐出領域103に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、前記被吐出領域103は、配列方向が略直交するとともに面積の異なる第1被吐出領域103r',103g'103b'および第2被吐出領域103r,103g,103bとからなり、前記吐出工程において、面積の大きい前記第1被吐出領域103r',103g'103b'の長辺方向が前記主走査方向に沿うように配置されることを特徴とする液状体の吐出方法。
【解決手段】複数のノズル52からなるノズル列52aを有する液滴吐出ヘッド50と複数の略矩形形状の被吐出領域103を備えた基板Bとを前記液滴吐出ヘッド50の配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズル52から前記被吐出領域103に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、前記被吐出領域103は、配列方向が略直交するとともに面積の異なる第1被吐出領域103r',103g'103b'および第2被吐出領域103r,103g,103bとからなり、前記吐出工程において、面積の大きい前記第1被吐出領域103r',103g'103b'の長辺方向が前記主走査方向に沿うように配置されることを特徴とする液状体の吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体をノズルから吐出する液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法および有機EL装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜等の分野に、機能性材料を含む液状体を吐出する液状体の吐出方法が適用されている。この液状体の吐出方法には液滴吐出装置が用いられる。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが規則的に形成されている。カラーフィルタや有機EL装置の製造では、これらのノズルから機能性材料を含む液状体を基板等に液滴として吐出して、機能性材料からなる薄膜を形成する。
【0003】
近年、表示装置は、適用される分野が拡大しており、様々なサイズのパネルが提供されている。また、表示装置の高画質化の要求もあり、それに応えるため高精細、高密度なカラーフィルタや有機EL装置の成膜を実現しなくてはならない。そのため、様々なサイズの基板に対して、液状体を、高精細、高密度に吐出することが重要になってきている。また、表示装置のパネルの需要が増加し、パネルの生産性を向上させるため、1枚の大型基板から多数のパネルを製造したいとの要求もある。この場合、取り数の効率を追求するため、または、1枚の基板から異なったサイズのパネルを生産するため、様々なレイアウトが検討されている。レイアウトによっては、液状体が吐出される最小単位の領域である画素領域の配置が、90度異なる場合がある。
【0004】
ワーク(基板)に液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出方法として、ワークを第1方向および第1方向と略直交する第2方向に移動させて、第2方向に沿ってあらかじめ位置決めされた複数のキャリッジに配設された液滴吐出ヘッドのノズルから液状体を吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−187758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の液滴吐出装置は、あらかじめ位置決めされたノズルから液状体を基板の所定の領域に吐出する。なお、ノズルは一定のピッチで列状に構成されており、液状体が吐出される最小単位の領域である画素領域は略矩形形状に形成されている。そのため、ノズルの吐出ばらつきを分散させるためにも、できるだけ多くのノズルを画素領域に対向すべく画素領域の長辺とノズル列とは平行に配置されることが好ましい。ところが、基板に配置方向の異なる画素領域が混在して構成されていると、ノズル列に対して短辺が平行に配置される画素領域が存在することになる。この場合、領域内に液状体を吐出できるノズルが制約され、領域内の偏った位置に液状体が吐出され、領域内に液状体の吐出量の偏りが生ずる虞がある。液状体の吐出量の偏りが生ずると、領域に形成される薄膜の厚さの不均一が発生する可能性がある。液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の機能膜等の薄膜において、膜厚の不均一が発生すると、製造された表示装置の画像品質が低下してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)液状体を液滴として吐出する複数のノズルが列状に配設されたノズル列を有する複数の液滴吐出ヘッドと複数の略矩形形状の被吐出領域を備えた基板とを前記液滴吐出ヘッドの配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズルから前記被吐出領域に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、前記被吐出領域は、略矩形形状の長辺方向が一定の方向に沿うように前記基板上に配設された第1被吐出領域と、前記第1被吐出領域より面積の小さい略矩形形状に形成されるとともに前記第1被吐出領域の配設方向と略直交する方向に配設される第2被吐出領域とからなり、前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の長辺方向を前記主走査方向に沿うように配置することを特徴とする液状体の吐出方法。
【0009】
この方法によれば、ノズル列を有する液滴吐出ヘッドの配置方向を、面積の大きい第1被吐出領域の略矩形形状の短辺方向および面積の小さい第2被吐出領域の略矩形形状の長辺方向と同一方向にすることができる。すなわち、面積の大きい第1被吐出領域は略矩形形状の短辺方向に、面積の小さい第2被吐出領域は略矩形形状の長辺方向に、ノズルを配置することができる。そのため、面積の異なる第1被吐出領域および第2被吐出領域が同一基板内に混在していても、それぞれの被吐出領域内に液状体を吐出することができるノズルの数を多くすることができる。従って、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、それぞれの被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。従って、品質の安定した少なくとも2種類の薄膜を製造することができ生産性の向上に寄与することができる。
【0010】
(適用例2)前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の短辺方向の領域内に少なくとも2つ以上の前記ノズルが対向することを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0011】
この方法によれば、第1被吐出領域に対して複数のノズルを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズルの吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズルを用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0012】
(適用例3)前記ノズルから吐出され前記第1被吐出領域に配置される前記液滴の前記第1被吐出領域の短辺方向の配置間隔は、前記ノズル列を前記短辺方向に対して角度を有するように配置することによって調整可能であることを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0013】
この方法によれば、液滴吐出ヘッドのノズル列を、第1被吐出領域の短辺方向に対して角度を有するように配置することによって、第1被吐出領域の短辺方向に配置される液滴の配置間隔は、実質的に狭くすることができる。すなわち、第1被吐出領域に対してより多くのノズルを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0014】
(適用例4)前記吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドと前記基板との前記主走査方向の複数回の相対移動の間に、前記液滴吐出ヘッドと前記基板とを前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0015】
この方法によれば、吐出工程において、液滴吐出ヘッドと基板とを主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる、すなわち改行動作を行いながら、ノズルから被吐出領域に液状体を吐出することができる。そのため、例えば、第1被吐出領域の短辺方向に配置することができる液滴を実質的に多くすることができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0016】
(適用例5)基板上の複数の被吐出領域に複数色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、上記の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む複数色の液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、吐出された前記液状体を固化して前記複数色の着色層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0017】
この方法によれば、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域および第2被吐出領域に形成される着色層の厚さの不均一を低減させることができるとともに、着色層の配列方向が異なる少なくとも2種のカラーフィルタを高い生産性で製造することができる。
【0018】
(適用例6)基板上の複数の被吐出領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、上記の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、吐出された前記液状体を固化して前記発光層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0019】
この方法によれば、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域および第2被吐出領域に形成される発光層の厚さの不均一を低減させることができるとともに、有機EL素子の配列方向が異なる少なくとも2種の有機EL装置を高い生産性で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、基板上に区画された複数の画素領域に複数色の着色層を有するカラーフィルタの製造を例にとり説明する。着色層は、画素構成要素であり、複数のノズルから画素領域に向けて着色層形成材料を含む液状体が液滴として吐出されて形成される。この液状体を液滴として吐出するには、以下に説明する液状体吐出装置を用いる。
【0021】
(液状体吐出装置の構成について)
まず、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドを備えた液状体吐出装置について図1を参照して説明する。図1は、液状体吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、液状体吐出装置10は、被吐出領域(膜形成領域)を有する基板Bを主走査方向に移動させる基板移動機構20と、複数の液滴吐出ヘッドを有するヘッドユニット9を副走査方向に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。この液状体吐出装置10は、基板Bとヘッドユニット9との相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出して、基板Bに液状体で所定の機能膜を形成するものである。なお、図中のX方向は基板Bの移動方向すなわち主走査方向を示し、Y方向はヘッドユニット9の移動方向すなわち副走査方向を示し、Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向を示している。
【0022】
このような液状体吐出装置10を用いて、例えば、赤、緑および青の3色のフィルタエレメントを有するカラーフィルタを製造する場合は、液状体吐出装置10の各々の液滴吐出ヘッドから、赤、緑および青の3色の液状体のいずれかを基板Bの膜形成領域に液滴として吐出して、赤、緑および青の3色のフィルタエレメントを形成する。
【0023】
ここで、液状体吐出装置10の各構成について説明する。
基板移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動テーブル22と、移動テーブル22上に基板Bを吸着固定可能に載置するステージ5とを備えている。移動テーブル22は、ガイドレール21の内部に設けられた図示しないエアスライダとリニアモータによりX方向(主走査方向)に移動する。
【0024】
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する第1の移動台32とを備えている。第1の移動台32にはキャリッジ8が設けられ、キャリッジ8には複数の液滴吐出ヘッド50(図2参照)を搭載したヘッドユニット9がヘッドユニット回転機構70を介して取り付けられている。ヘッドユニット9は、ヘッドユニット回転機構70により図1に示す回転軸Lを中心にXY平面において回転することができる。そして、第1の移動台32は、キャリッジ8をY方向(副走査方向)に移動させてヘッドユニット9を基板Bに対してZ方向に所定の間隔をあけて対向配置することができる。
【0025】
液状体吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消等のメンテナンスを行うメンテナンス機構60を備えている。また、液状体吐出装置10は、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構や、液滴吐出ヘッド50もしくはノズルごとに吐出された液状体を受けて、その吐出重量を計測する電子天秤等の計測器を有する吐出量計測機構が設けられている。これらの各機構は、制御部4(図4参照)によって制御される。図1では、制御部4、液状体供給機構および吐出量計測機構は、図示省略した。
【0026】
(液滴吐出ヘッドについて)
ここで複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドについて図2および図3を参照して説明する。図2は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図である。(a)は概略分解斜視図、(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図3は、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、基板Bに対向する側から見た図である。なお、図3に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。
【0027】
図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、各キャビティ55に対応する駆動素子としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
【0028】
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54と、キャビティ55に液状体を充填するための流路56,57とを有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
【0029】
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに、駆動信号としての駆動波形が印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動波形の印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。ピエゾ素子59cへ印加される駆動波形を制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
【0030】
図3に示すように、上述の液滴吐出ヘッド50は、ヘッドユニット9のヘッドプレート9aに配置される。ヘッドプレート9aには、3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Aと、同じく3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Bの合計6個の液滴吐出ヘッド50が搭載されている。この場合、ヘッド群50Aの液滴吐出ヘッド50(ヘッドR1)とヘッド群50Bの液滴吐出ヘッド50(ヘッドR2)とは同種の液状体を吐出する。他のヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様である。すなわち、3種の異なる液状体を吐出可能な構成となっている。
【0031】
各液滴吐出ヘッド50は、一定のノズルピッチPで配設された複数(180個)のノズル52からなるノズル列52aを有している。そのため、1つの各液滴吐出ヘッド50は長さLなる吐出幅を有している。ヘッドR1とヘッドR2とは、主走査方向(X方向)から見て隣り合うノズル列52aが主走査方向と直交する副走査方向(Y方向)に1ノズルピッチPを置いて連続するように主走査方向に並列して配設されている。そのため、ヘッドR1およびヘッドR2は、長さ2Lの吐出幅を有している。
【0032】
また、前述のようにヘッドユニット9は、ヘッドユニット回転機構70により図1に示す回転軸Lを中心にXY平面において回転することができる。すなわち、ヘッドプレート9aは、図3に示すように、回転軸Lがヘッドプレート9aを貫く点lを中心にXY平面において回転することができる。なお、点lはヘッドプレート9aの略中心に位置する。
【0033】
本実施例では、ノズル列52aが1列の場合について説明しているがこれに限定されない。液滴吐出ヘッド50は、複数のノズル列52aが図中X方向に一定の間隔をおいて、Y方向に1/2ピッチ(P/2)ずれて配列されていてもよい。このようにすることにより、実質的なノズルピッチPが狭くなり、高精細に液滴Dを吐出することができる。
【0034】
(液状体吐出装置の制御系について)
次に液状体吐出装置10の制御系について図4を参照して説明する。図4は、液状体吐出装置の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、液状体吐出装置10の制御系は、液滴吐出ヘッド50、基板移動機構20、ヘッド移動機構30等を駆動する各種ドライバを有する駆動部46と、駆動部46を含め液状体吐出装置10を制御する制御部4とを備えている。駆動部46は、基板移動機構20およびヘッド移動機構30の各リニアモータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ47と、液滴吐出ヘッド50を吐出制御するヘッドドライバ48と、ヘッドユニット9を回転させるヘッドユニット回転機構70を制御するヘッド回転用ドライバ68と、メンテナンス機構60の各メンテナンス用ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ49と、吐出量計測機構を制御する図示しない吐出量計測用ドライバとを備えている。
【0035】
制御部4は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、P−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。P−CON44には、上位コンピュータ11が接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や機能回復処理等を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
【0036】
RAM43は、基板Bにパターンを描画するパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバ等が接続されており、CPU41の機能を補うとともに、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピュータ11からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス45に取り込むとともに、CPU41と連動して、CPU41等からバス45に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
【0037】
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに従って、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM43内の各種データ等を処理した後、P−CON44を介して駆動部46等に各種の制御信号を出力することにより、液状体吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、液滴吐出ヘッド50、基板移動機構20およびヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9と基板Bとを対向配置させる。そして、ヘッドユニット9と基板Bとの相対移動に同期して、ヘッドユニット9に搭載された各液滴吐出ヘッド50の所定数のノズル52から基板Bに液状体を液滴Dとして吐出してパターンを形成する。
【0038】
この場合、X方向への基板Bの移動に同期して液状体を吐出することを主走査と呼び、Y方向にヘッドユニット9を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施例の液状体吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより液状体を吐出することができる。主走査は、液滴吐出ヘッド50に対して一方向への基板Bの移動に限らず、基板Bを往復させて行うこともできる。
【0039】
上位コンピュータ11は、制御プログラムや制御データ等の制御情報を液状体吐出装置10に送出するだけでなく、これらの制御情報を修正することもできる。また、ノズル52の位置情報等に基づいて、基板B上の吐出領域ごとに必要量の液状体を液滴Dとして配置する配置情報を生成する配置情報生成部としての機能を有している。配置情報は、吐出させるノズル52と待機させるノズル52との分類および吐出領域における液滴Dの吐出位置(言い換えれば、基板Bとノズル52との相対位置)、液滴Dの配置数(言い換えれば、ノズル52ごとの吐出数、吐出割合)、主走査における複数のノズル52のON/OFF、吐出タイミング等の情報を、例えば、ビットマップとして現したものである。
【0040】
(液状体の吐出方法およびカラーフィルタの製造方法)
次に、本実施形態の液状体の吐出方法を適用したカラーフィルタの製造方法について図5〜図9を参照して説明する。図5(a)はカラーフィルタを示す概略平面図であり、同図(b)は同図(a)のC−C’断面図である。図6はカラーフィルタの製造方法を示すフローチャートであり、図7(a)〜(d)はカラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。
【0041】
図5(a)および(b)に示すように、カラーフィルタ100は、透明なガラスなどの基板101上に赤(R)、緑(G)、青(B)3色のフィルタエレメントである着色層103を有している。着色層103が形成される矩形形状の被吐出領域としての膜形成領域103r,103g,103bは隔壁部104によりマトリクス状に区画されている。本実施形態のカラーフィルタ100は、同色の着色層103が直線的に配列するいわゆるストライプ方式のカラーフィルタである。
【0042】
図5(b)に示すように、隔壁部104は、第1隔壁部104aと第2隔壁部104bとからなる2層構造となっている。第1隔壁部104aは、例えば、CrやAlなどの金属薄膜からなり遮光性を有している。第2隔壁部104bは、例えば、樹脂材料からなる。なお、二層構造に限定されず、遮光性を有する部材を含む樹脂材料により隔壁部104を構成する一層構造でもよい。
【0043】
着色層103は、着色材料を含む透光性樹脂材料からなる。本実施形態では、このようなカラーフィルタ100を上述の液状体吐出装置10を用いて製造する。
【0044】
図6に示すように、本実施形態のカラーフィルタ100の製造方法は、隔壁部104を形成する隔壁部形成工程(ステップS1)と、隔壁部104が形成された基板101の表面を表面処理する表面処理工程(ステップS2)と、着色層形成材料を含む液状体を吐出する液状体の吐出工程(ステップS3)と、吐出された液状体を乾燥させて着色層103を形成する乾燥工程(ステップS4)とを基本的に備えるものである。
【0045】
図6のステップS1では、まず、基板101の表面にCrやAlなどの金属薄膜を成膜する。成膜方法としては真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。膜厚は、例えば遮光性が得られるように0.1μm程度とする。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口させた図7(a)に示す第1隔壁部104aを形成する。次いで、第1隔壁部104aを覆って感光性樹脂を厚み2μm程度に塗布し、同じくフォトリソグラフィ法によりパターニングして、第1隔壁部104a上に第2隔壁部104bを形成する。これにより図7(a)に示すように基板101上に開口した矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bを形成する。そして、ステップS2へ進む。
【0046】
図6のステップS2では、後の液状体の吐出工程において、吐出された液状体が膜形成領域103r,103g,103bに着弾して濡れ拡がるように、基板101の表面を親液処理する。また、吐出された液状体の一部が第2隔壁部104bに着弾したとしても膜形成領域103r,103g,103b内に収まるように、第2隔壁部104bの少なくとも上面部を撥液処理する。
【0047】
表面処理方法としては、隔壁部104が形成された基板101に対して、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、膜形成領域103r,103g,103bが親液処理され、その後、感光性樹脂からなる第2隔壁部104bの上面が撥液処理される。なお、第2隔壁部104bを形成する材料自体が撥液性を有していれば後者の処理を省くこともできる。そして、ステップS3へ進む。
【0048】
図6のステップS3では、図1に示す液状体吐出装置10のステージ5に表面処理された基板101を載置する。そして、図3に示したヘッドユニット9の液滴吐出ヘッド50から異なる着色層形成材料を含む3色の液状体をそれぞれ吐出する。詳しくは、図7(b)および(c)に示すように、基板101と液滴吐出ヘッド50との主走査方向への相対移動に同期して、液滴吐出ヘッド50のノズル52から3色の液状体のそれぞれを液滴Dとして所望の膜形成領域103r,103g,103bに吐出する。膜形成領域103r,103g,103bに吐出される液状体の吐出量は、予め膜形成領域103r,103g,103bごとに選択されるノズル52の選択パターンと液滴Dの吐出数などが主走査ごとに設定された吐出データに基づいて、制御部4のCPU41から適正な制御信号がヘッドドライバ48に送られて制御される。これにより、所定量の液状体が膜形成領域103r,103g,103bごとに吐出される。そして、ステップS4へ進む。
【0049】
図6のステップS4では、図7(d)に示すように、基板101に吐出された液状体から溶媒成分を蒸発させて、着色層形成材料からなる着色層103を形成する。本実施形態では、溶媒の蒸気圧を一定にして乾燥することが可能な減圧乾燥装置に基板101をセットして減圧乾燥し、R,G,B3色の着色層103を形成した。なお、1色の液状体を吐出して乾燥する工程を3回繰り返してもよい。ステップS3の液状体の吐出工程において、着色層103の膜厚は、色ごとに設定すればよく、必ずしも3色が同一でなくてもよい。必要な膜厚の設定に基づいて、必要量の液状体を対応する膜形成領域103r,103g,103bに吐出すればよい。
【0050】
カラーフィルタ100が形成される基板101の大きさは、これを用いる表示装置の大きさによる。また、同一の大きさの表示装置であっても画素が高密度に配置されている場合は、対応するカラーフィルタ100の着色層103の配置も高密度な配置が要求される。
【0051】
カラーフィルタ100をより効率的に生産する方法として、一般的には基板101よりも面積が大きいマザー基板Bに多面取りする方法が採用されている。だが、マザー基板Bの大きさによって面積的に効率的なカラーフィルタ100のサイズが決まる。面積的に非効率なサイズのカラーフィルタ100を多面取りすると、空きスペースが生ずる。よって、この空きスペースに異なるサイズのカラーフィルタ100を面付けしてマザー基板Bを無駄なく利用することが考えられる。
【0052】
マザー基板B上に異なるサイズのカラーフィルタ100を面付けする場合、膜形成領域103r,103g,103bの配列方向すなわちストライプ方向が互いに直交することがある。前述したように膜形成領域103r,103g,103bにおける液滴の配置は、主走査における吐出タイミングにより液状体が吐出されることにより実現される。主走査方向から見た複数のノズル52は、前述したように一定のノズルピッチPで配設されている。従って、マザー基板B上において矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの配列方向が異なる場合には、配列方向によって膜形成領域103r,103g,103bに対向するノズル52の数が制約される場合がある。
【0053】
本実施形態の液状体の吐出方法を用いたカラーフィルタ100の製造方法は、マザー基板Bにおける膜形成領域103r,103g,103bの配置に基づいて、好適な液状体の吐出方法を提供するものである。詳しくは実施例を参照して説明する。
【0054】
(第1実施例)
ここで第1実施例のカラーフィルタの製造方法を図8および図9を参照して説明する。図8は、液状体の吐出工程におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図であり、図9(a)および(b)は、液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図8および図9に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。
【0055】
図8に示すように、第1実施例におけるマザー基板Bは、マザー基板Bの長辺に沿って複数(7つ)面付けされた第2パネルE2と、長辺と短辺とに沿ってマトリクス状に複数(4つ)面付けされた第1パネルE1と、を有している。第2パネルE2の面積は第1パネルE1の面積よりも小さい。
【0056】
第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列している。同様に、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列している。ここで膜形成領域103r,103g,103bの面積は、膜形成領域103r',103g',103b'の面積よりも小さい。膜形成領域103r,103g,103bと膜形成領域103r',103g',103b'とは、同種(同色)の液状体が吐出されるストライプ方向が直交している。また、それぞれに所望の液状体が所定量吐出されて着色層103が形成される。
【0057】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させる間にヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。
【0058】
この場合、膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向は副走査方向(Y方向)に合致している。膜形成領域103r',103g',103b'の長辺方向は主走査方向(X方向)に合致している。また、液滴吐出ヘッド50に配列されたノズル列52aは、ヘッドユニット回転機構70により副走査方向(Y方向)に合致するように配置されている。その結果、図9(a)に示すように、複数のノズル52からなるノズル列52aは、矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向に沿って配置されている。
【0059】
例えば、主走査(X方向)において、赤の液状体が吐出される膜形成領域103rには、4つのノズル52がかかりそれぞれから液滴D1を吐出する。これにより膜形成領域103rにはそれぞれ4滴の液滴D1が塗布される。着弾した液滴D1は、膜形成領域103r内に濡れ拡がる。また、主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103rのいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。副走査方向(Y方向)における着弾位置は、膜形成領域103rの副走査方向における配置ピッチとノズルピッチPとの関係から膜形成領域103rごとに必ずしも同一とは限らない。なお、第2パネルE2における他の膜形成領域103g,103bにおいても同様に所望の液状体を液滴D1として4滴ずつ吐出する。
【0060】
図9(b)に示すように、上記主走査において、例えば、膜形成領域103rに対して面積が大きく配列方向が直交する膜形成領域103r'には、2つのノズル52が掛かる。そして、それぞれのノズル52から主走査方向に複数の液滴D1を吐出する。これにより各膜形成領域103r'ごとに液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103r'のいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。一方、副走査方向(Y方向)における着弾位置は、膜形成領域103r'の副走査方向における配置ピッチとノズルピッチPとの関係から膜形成領域103r'ごとに2つのノズル52が掛かるものの必ずしも同一とは限らない。なお、第1パネルE1における他の膜形成領域103g',103b'においても同様に所望の液状体を液滴D1として吐出する。
【0061】
上述したように第1実施例の吐出工程では、膜形成領域103r',103g',103b'に対して面積の小さい膜形成領域103r,103g,103bにより多くのノズル52が掛かるようにヘッドユニット9とマザー基板Bとを位置決めして、それぞれの膜形成領域103r,103g,103bと膜形成領域103r',103g',103b'とに液滴D1を吐出することができる。
【0062】
以下、第1実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ノズル列52aの配置方向を、面積の大きい第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向および面積の小さい第2被吐出領域としての膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向と同一方向にすることができる。すなわち、面積の大きい膜形成領域103r',103g',103b'は短辺方向に、面積の小さい膜形成領域103r,103g,103bは長辺方向に、ノズル52を配置することができる。そのため、面積の異なる第1被吐出領域および第2被吐出領域が同一基板内に混在していても、それぞれの被吐出領域内に液状体を吐出することができるノズルの数を多く配置することができる。従って、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0063】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交する面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0064】
(第2実施例)
ここで、第2実施例のカラーフィルタの製造方法について、図10および図11を参照して説明する。図10は、第2実施例の液状体の吐出工程におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図、図11は、第2実施例の液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図10および図11に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。また、第1実施例と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
【0065】
第2実施例におけるマザー基板は、第1実施例のマザー基板Bと同様に7つの第2パネルE2と、4つの第1パネルE1とを有している。従って、第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列されており、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列されている。
【0066】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。ただし、第2実施例では、図10に示すように、ヘッドユニット回転機構70を用いてヘッドユニット9を点lを中心にY方向に対してα度だけ回転させる。その結果、液滴吐出ヘッド50に配列されたノズル列52aもα度だけ回転して、配置される。
【0067】
すなわち、図11(a)に示すように、複数のノズル52からなるノズル列52aは、矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向からα度の角度を有して配置される。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させる間にヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。この場合、ノズル列52aは、Y方向に対してα度の角度を有しているため、膜形成領域103rに対する実質的な液滴の配置間隔P1(P×Cosα)は、ノズル列52aのノズルピッチPより狭くなる。
【0068】
そのため、主走査(X方向)において、赤の液状体が吐出される膜形成領域103rには、5つのノズル52がかかりそれぞれから液滴D1を吐出する。これにより膜形成領域103rにはそれぞれ5滴の液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103rのいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。すなわち、膜形成領域103rのX方向の任意の位置に1列に液滴を配置することができる。なお、第2パネルE2における他の膜形成領域103g,103bにおいても同様に所望の液状体を液滴D1として5滴ずつ吐出する。
【0069】
図11(b)に示すように、同様に、ノズル列52aは、Y方向に対してα度の角度を有しているため、膜形成領域103rに対して面積が大きく配列方向が直交する膜形成領域103r'に対する実質的な液滴の配置間隔P1(P×Cosα)は、ノズル列52aのノズルピッチPより狭くなる。従って、膜形成領域103r'には、3つのノズル52が掛かる。そして、それぞれのノズル52から液滴D1を吐出する。これにより各膜形成領域103r'の副走査方向に3滴の液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103r'のいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。なお、第1パネルE1における他の膜形成領域103g',103b'においても同様に所望の液状体を液滴D1として吐出する。
【0070】
以下、第2実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ノズル列52aを、第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に対して角度αを有するように配置することによって、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に配置される液滴の配置間隔P1をノズルピッチPより実質的に狭くすることができる。すなわち、膜形成領域103r',103g',103b'に対してより多くのノズル52から液状体を吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0071】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、被吐出領域に対してより多くのノズル52を対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしてもより多くのノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0072】
(3)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ヘッドユニット9の回転角度αを調整することによって、ノズルピッチPに関わらず被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔P1を任意に設定することができる。そのため、被吐出領域の副走査方向のサイズに関わらず多くのノズル52から液状体を液滴として吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。また、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0073】
(4)また、被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔P1を任意に設定することができるため、被吐出領域に対して高密度、高精細に液状体を吐出することができる。そのため、高密度、高精細な薄膜を形成することができ表示装置の高画質化に寄与することができる。
【0074】
(5)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交し面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0075】
(第3実施例)
ここで、第3実施例のカラーフィルタの製造方法について、図12を参照して説明する。図12は、第3実施例の液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図12に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。また、第1および第2実施例と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
【0076】
第3実施例におけるマザー基板は、第1および第2実施例のマザー基板Bと同様に7つの第2パネルE2と、4つの第1パネルE1とを有している。従って、第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列されており、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列されている。
【0077】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させ、ヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。
【0078】
このとき、ヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50のノズル列52aは、副走査方向に対して角度αを有していてもよいし、副走査方向と同一な方向に配置されていてもよい。本実施例では、ノズル列52aが副走査方向と同一な方向に配置されている場合を例にとり説明する。また、本実施例では説明を簡便にするため、第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'に液状体を吐出する場合を例にとり説明する。
【0079】
この場合、図12(a)に示すように、複数のノズル52i(iは1からiまでの自然数)からなるノズル列52aは、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に沿って配置されている。本実施例では、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向の幅が小さく形成されているため、例えば、2つのノズル521,522から赤の液状体を膜形成領域103r'に同時に吐出すると、隣接する膜形成領域103g'に赤の液状体が混入する虞がある。そのため、赤の液状体が吐出される膜形成領域103r'には、1つのノズル521のみを用いる必要がある。なお、同様にモザイク状に配設された他の膜形成領域103r'には、1つのノズル526が用いられる。
【0080】
図1に示すステージ5によりマザー基板Bを図12中X(+)方向に移動させながらノズル521,526から液滴D1を吐出する1回目の吐出動作を行うと、図12(a)に示すように、膜形成領域103r'の図中左側に液滴D1が列状に配置される。なお、X方向の配置間隔は、吐出タイミングを制御することにより任意の間隔に調整できる。
【0081】
次いで、図1に示すヘッド移動機構30によりヘッドユニット9を図12中Y(−)方向に微量移動させる。移動距離を調整することにより、図12(b)に示すように、赤の液状体が吐出される膜形成領域103r'には、ノズル522およびノズル527が対向する。そして、マザー基板Bを図12中X(−)方向に移動させながらノズル522,527から液滴D2を吐出する2回目の吐出動作を行うと、膜形成領域103r'の図中右側に液滴D2が列状に配置される。
【0082】
このように、マザー基板BのX方向(主走査方向)の移動およびノズル52iからの液状体の吐出の間にヘッドユニット9のY方向(副走査方向)の微量移動を行うことによって、膜形成領域103r'のY方向の異なった位置に異なったノズル52iから液状体を液滴Dとして配置することができる。
【0083】
なお、液状体の吐出量の調整、もしくは、より高密度な液滴の配置を望む場合は、図12(c)に示すように、2回目の吐出動作の後、図1に示すヘッド移動機構30によりヘッドユニット9を図12中Y(−)方向にさらに微量移動させ、ノズル522およびノズル527を液滴D1および液滴D2からなる液滴列の間に対向させ、マザー基板Bを図12中X(+)方向に移動させながらノズル522,527から液滴D3を吐出する3回目の吐出動作を行う。このようにすることにより、膜形成領域103r'には液滴D1〜D3からなる3列の液滴列が形成される。
【0084】
以下、第3実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、マザー基板BのX方向(主走査方向)の移動およびノズル52iからの液状体の吐出の間にヘッドユニット9のY方向(副走査方向)の微量移動を行うことによって、膜形成領域103のY方向の異なった位置に異なったノズル52iから液状体を液滴Dとして配置することができる。そのため、膜形成領域103に配置することができる液滴Dを実質的に多くすることができる。そのため、膜形成領域103内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0085】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、膜形成領域103に対してより多くのノズル52iを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしてもより多くのノズル52iを用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、膜形成領域103に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0086】
(3)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ヘッド移動機構30によるヘッドユニット9の移動量を調整することによって、ノズルピッチPに関わらず被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔を任意に設定することができる。そのため、被吐出領域の副走査方向のサイズに関わらず多くのノズル52から液状体を液滴として吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。また、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0087】
(4)また、被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔を任意に設定することができるため、被吐出領域に対して高密度、高精細に液状体を吐出することができる。そのため、高密度、高精細な薄膜を形成することができ表示装置の高画質化に寄与することができる。
【0088】
(5)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交する面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0089】
(第4実施例)
次に前述の液状体の配置方法を用いた有機EL装置の製造方法について説明する。
(有機EL装置)
図13は、有機EL装置の要部構造を示す概略断面図である。図13に示すように、本実施形態の電気光学装置としての有機EL装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bがそれぞれの色要素領域としての被吐出領域Qに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの被吐出領域Qを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。本実施形態の有機EL装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
【0090】
封止基板620は、ガラス又は金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水又は酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水又は酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
【0091】
本実施形態の素子基板601は、回路素子部602上に複数の被吐出領域Qを有するものであって、複数の被吐出領域Qを区画する隔壁部としてのバンク618と、複数の被吐出領域Qに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の被吐出領域Q内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する色要素としての発光素子部603を備えている。バンク618は、下層バンク618aと被吐出領域Qを実質的に区画する上層バンク618bとからなり、下層バンク618aは、被吐出領域Qの内側に張り出すように設けられて、電極613と各発光層617R,617G,617Bとが直接接触して電気的に短絡することを防止するためにSiO2等の無機絶縁材料により形成されている。
【0092】
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。なお、半導体膜607には、ソース領域607a及びドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606及び半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609及びゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され(電極形成工程)、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図13ではこれらの図示を省略している。
【0093】
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617a、各発光層617R,617G,617B(総称して発光層617b)と、上層バンク618bと発光層617bとを覆うように積層された陰極604とを備えている。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
【0094】
有機EL装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、更に正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを介して陰極604に電流が流れる。発光層617bは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。
【0095】
(有機EL装置の製造方法)
次に本実施形態の有機EL装置の製造方法について図14および図15に基づいて説明する。図14は、有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図15は、有機EL装置の製造方法を示す概略断面図である。なお、図15(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
【0096】
図14に示すように、有機EL装置の製造方法は、素子基板601の複数の被吐出領域Qに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるように下層バンク618aを形成し、さらに下層バンク618a上に実質的に被吐出領域Qを区画するように上層バンク618bを形成するバンク(隔壁部)形成工程とを備えている。また上層バンク618bで区画された被吐出領域Qの表面処理を行う工程と、表面処理された被吐出領域Qに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を付与して正孔注入/輸送層617aを吐出描画する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、正孔注入/輸送層617aが形成された被吐出領域Qの表面処理を行う工程と、表面処理された被吐出領域Qに色要素形成材料としての発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して発光層617bを吐出描画する色要素描画工程としての発光層描画工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層617bを成膜する工程とを備えている。さらに、上層バンク618bと発光層617bを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。各液状体の被吐出領域Qへの付与は、液状体吐出装置10を用いて行う。
【0097】
図14のステップS11は、電極(陽極)形成工程である。ステップS11では、図15(a)に示すように、回路素子部602がすでに形成された素子基板601の被吐出領域Qに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。また、フォトレジストで素子基板601を先に覆って、電極613を形成する領域が開口するように露光・現像する。そして開口部にITO等の透明電極膜を形成し、残存したフォトレジストを除く方法でもよい。そしてステップS12へ進む。
【0098】
図14のステップS12は、バンク(隔壁部)形成工程である。ステップS12では、図15(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の一部を覆うように下層バンク618aを形成する。下層バンク618aの材料としては、無機材料である絶縁性のSiO2(酸化珪素)を用いている。下層バンク618aの形成方法としては、例えば、後に形成される発光層617bに対応して、各電極613の表面をレジスト等を用いてマスキングする。そしてマスキングされた素子基板601を真空装置に投入し、SiO2をターゲットあるいは原料としてスパッタリングや真空蒸着することにより下層バンク618aを形成する方法が挙げられる。レジスト等のマスキングは、後に剥離する。なお、下層バンク618aは、SiO2により形成されているため、その膜厚が200nm以下であれば十分な透明性を有しており、後に正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが積層されても発光を阻害することはない。
【0099】
続いて、各被吐出領域Qを実質的に区画するように下層バンク618aの上に上層バンク618bを形成する。上層バンク618bの材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体84R,84G,84Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理によりテトラフルオロエチレン化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。上層バンク618bの形成方法としては、例えば、下層バンク618aが形成された素子基板601の表面に感光性の前記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、被吐出領域Qに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク618bを形成する方法が挙げられる。これにより下層バンク618aと上層バンク618bとを有する隔壁部としてのバンク618が形成される。そして、ステップS13へ進む。
【0100】
図14のステップS13は、被吐出領域Qを表面処理する工程である。ステップS13では、バンク618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、下層バンク618aの張り出し部および上層バンク618bの表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。つぎにCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなる上層バンク618bの表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、ステップS14へ進む。
【0101】
図14のステップS14は、正孔注入/輸送層形成工程である。ステップS14では、図15(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体82を被吐出領域Qに付与する。液状体82を付与する方法としては、前述の液状体吐出装置10を用いる。液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体82は、液滴として素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体82は被吐出領域Qの面積に応じて必要量が液滴として吐出され表面張力で盛り上がった状態となる。液状体吐出装置10により、1種の液状体82を吐出して描画するので、少なくとも1回の主走査により吐出描画が可能である。そしてステップS15へ進む。
【0102】
図14のステップS15は、乾燥・成膜工程である。ステップS15では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体82の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613の下層バンク618aにより区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料としてPEDOT(Polyethylene Dioxy Thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)を用いた。なお、この場合、各被吐出領域Qに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後の発光層の形成材料に対応して正孔注入/輸送層617aの材料を被吐出領域Qごとに変えてもよい。そしてステップS16へ進む。
【0103】
図14のステップS16は、正孔注入/輸送層617aが形成された素子基板601を表面処理する工程である。ステップS16では、上記の正孔注入/輸送層形成材料を用いて正孔注入/輸送層617aを形成した場合、その表面が、次のステップS17で用いられる3種の液状体84R,84G,84Bに対して撥液性を有するので、少なくとも被吐出領域Qの領域内を再び親液性を有するように表面処理を行う。表面処理の方法としては、3種の液状体84R,84G,84Bに用いられる溶媒を塗布して乾燥する。溶媒の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法等の方法が挙げられる。そしてステップS17へ進む。
【0104】
図14のステップS17は、RGB発光層描画工程である。ステップS17では、図15(d)に示すように、前述の液状体の配置方法を適用して液状体吐出装置10の異なる液滴吐出ヘッド50から複数の被吐出領域Qに発光層形成材料を含む3種の液状体84R,84G,84Bを付与する。液状体84Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体84Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体84Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。着弾した各液状体84R,84G,84Bは、被吐出領域Qに濡れ拡がって断面形状が円弧状に盛り上がる。そして、ステップS18へ進む。
【0105】
図14のステップS18は、乾燥・成膜工程である。ステップS18では、図15(eに示すように、吐出描画された各液状体84R,84G,84Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、各被吐出領域Qの正孔注入/輸送層617aに各発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜化する。各液状体84R,84G,84Bが吐出描画された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そしてステップS19へ進む。
【0106】
図14のステップS19は、陰極形成工程である。ステップS19では、図15(f)に示すように、素子基板601の各発光層617R,617G,617Bと上層バンク618bの表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層に近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層の熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。このようにして出来上がった素子基板601を用いて有機EL装置600を製造する。
【0107】
以下、第4実施形態の効果を記載する。
(1)この有機EL装置600の製造方法によれば、発光層描画工程において、面積が異なるとともに配列方向が互いに直交する素子基板601の2種類の被吐出領域Qに、前述の液状体の吐出方法を用いて3種の液状体84R,84G,84Bを吐出して、3種の色要素としての発光層617R,617G,617Bを形成することができる。そして、2種類の被吐出領域Qに形成される発光層617R,617G,617Bの厚さの不均一を低減させることができるとともに、有機EL素子としての発光素子部603の配列方向が異なる少なくとも2種の有機EL装置600を高い生産性で製造することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0109】
(変形例1)上記実施形態で説明したマザー基板Bにおける第1パネルE1および第2パネルE2のレイアウトは1実施例でありこれに限定されない。第1パネルE1および第2パネルE2がマザー基板Bにおいて、ある規則性を有して配置されていればよい。また、本実施形態で説明した第1被吐出領域および第2被吐出領域のレイアウトは、いわゆるストライプ方式の場合について説明したが、これに限定されない。いわゆるモザイク方式もしくはデルタ方式のレイアウトであってもよい。
【0110】
(変形例2)上記実施形態では、第1被吐出領域および第2被吐出領域の面積が異なる場合を例にとり説明したがこれに限定されない。例えば、第1被吐出領域および第2被吐出領域とが同じ面積で配列方向が異なっている場合でも、ノズル列52aに短辺方向が沿っている被吐出領域に対して上記で説明した液状体の吐出方法を適用して、被吐出領域の短辺方向にかかるノズル52の数を多く設定することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】液状体吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図。
【図3】ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。
【図4】液状体吐出装置の制御系を示すブロック図。
【図5】カラーフィルタを示す概略図。
【図6】カラーフィルタの製造方法を示すフローチャート。
【図7】カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図。
【図8】ヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図。
【図9】液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図。
【図10】第2実施例におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図。
【図11】第2実施例における液滴の配置を示す概略平面図。
【図12】第3実施例における液滴の配置を示す概略平面図。
【図13】有機EL装置の要部構造を示す概略断面図。
【図14】有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図15】有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0112】
4…制御部、9…ヘッドユニット、9a…ヘッドプレート、10…液状体吐出装置、20…基板移動機構、30…ヘッド移動機構、50…液滴吐出ヘッド、52,52i…ノズル、52a…ノズル列、70…ヘッドユニット回転機構、100…カラーフィルタ、103…着色層、103r,103g,103b…第2被吐出領域としての膜形成領域、103r',103g',103b'…第1被吐出領域としての膜形成領域、600…有機EL装置、603…有機EL素子としての発光素子部、617R,617G,617B…発光層、617a…正孔注入/輸送層、B…マザー基板(基板)、D,D1,D2,D3…液滴、E1…第1パネル、E2…第2パネル、P…ノズルピッチ、P1…液滴配置間隔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体をノズルから吐出する液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法および有機EL装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜等の分野に、機能性材料を含む液状体を吐出する液状体の吐出方法が適用されている。この液状体の吐出方法には液滴吐出装置が用いられる。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと呼ばれる液滴吐出機構を有している。この液滴吐出ヘッドには、複数のノズルが規則的に形成されている。カラーフィルタや有機EL装置の製造では、これらのノズルから機能性材料を含む液状体を基板等に液滴として吐出して、機能性材料からなる薄膜を形成する。
【0003】
近年、表示装置は、適用される分野が拡大しており、様々なサイズのパネルが提供されている。また、表示装置の高画質化の要求もあり、それに応えるため高精細、高密度なカラーフィルタや有機EL装置の成膜を実現しなくてはならない。そのため、様々なサイズの基板に対して、液状体を、高精細、高密度に吐出することが重要になってきている。また、表示装置のパネルの需要が増加し、パネルの生産性を向上させるため、1枚の大型基板から多数のパネルを製造したいとの要求もある。この場合、取り数の効率を追求するため、または、1枚の基板から異なったサイズのパネルを生産するため、様々なレイアウトが検討されている。レイアウトによっては、液状体が吐出される最小単位の領域である画素領域の配置が、90度異なる場合がある。
【0004】
ワーク(基板)に液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出方法として、ワークを第1方向および第1方向と略直交する第2方向に移動させて、第2方向に沿ってあらかじめ位置決めされた複数のキャリッジに配設された液滴吐出ヘッドのノズルから液状体を吐出してパターンの描画を行う液滴吐出装置および液滴吐出方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−187758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の液滴吐出装置は、あらかじめ位置決めされたノズルから液状体を基板の所定の領域に吐出する。なお、ノズルは一定のピッチで列状に構成されており、液状体が吐出される最小単位の領域である画素領域は略矩形形状に形成されている。そのため、ノズルの吐出ばらつきを分散させるためにも、できるだけ多くのノズルを画素領域に対向すべく画素領域の長辺とノズル列とは平行に配置されることが好ましい。ところが、基板に配置方向の異なる画素領域が混在して構成されていると、ノズル列に対して短辺が平行に配置される画素領域が存在することになる。この場合、領域内に液状体を吐出できるノズルが制約され、領域内の偏った位置に液状体が吐出され、領域内に液状体の吐出量の偏りが生ずる虞がある。液状体の吐出量の偏りが生ずると、領域に形成される薄膜の厚さの不均一が発生する可能性がある。液晶表示装置等のカラーフィルタ、有機EL装置の機能膜等の薄膜において、膜厚の不均一が発生すると、製造された表示装置の画像品質が低下してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)液状体を液滴として吐出する複数のノズルが列状に配設されたノズル列を有する複数の液滴吐出ヘッドと複数の略矩形形状の被吐出領域を備えた基板とを前記液滴吐出ヘッドの配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズルから前記被吐出領域に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、前記被吐出領域は、略矩形形状の長辺方向が一定の方向に沿うように前記基板上に配設された第1被吐出領域と、前記第1被吐出領域より面積の小さい略矩形形状に形成されるとともに前記第1被吐出領域の配設方向と略直交する方向に配設される第2被吐出領域とからなり、前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の長辺方向を前記主走査方向に沿うように配置することを特徴とする液状体の吐出方法。
【0009】
この方法によれば、ノズル列を有する液滴吐出ヘッドの配置方向を、面積の大きい第1被吐出領域の略矩形形状の短辺方向および面積の小さい第2被吐出領域の略矩形形状の長辺方向と同一方向にすることができる。すなわち、面積の大きい第1被吐出領域は略矩形形状の短辺方向に、面積の小さい第2被吐出領域は略矩形形状の長辺方向に、ノズルを配置することができる。そのため、面積の異なる第1被吐出領域および第2被吐出領域が同一基板内に混在していても、それぞれの被吐出領域内に液状体を吐出することができるノズルの数を多くすることができる。従って、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、それぞれの被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。従って、品質の安定した少なくとも2種類の薄膜を製造することができ生産性の向上に寄与することができる。
【0010】
(適用例2)前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の短辺方向の領域内に少なくとも2つ以上の前記ノズルが対向することを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0011】
この方法によれば、第1被吐出領域に対して複数のノズルを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズルの吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズルを用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0012】
(適用例3)前記ノズルから吐出され前記第1被吐出領域に配置される前記液滴の前記第1被吐出領域の短辺方向の配置間隔は、前記ノズル列を前記短辺方向に対して角度を有するように配置することによって調整可能であることを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0013】
この方法によれば、液滴吐出ヘッドのノズル列を、第1被吐出領域の短辺方向に対して角度を有するように配置することによって、第1被吐出領域の短辺方向に配置される液滴の配置間隔は、実質的に狭くすることができる。すなわち、第1被吐出領域に対してより多くのノズルを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0014】
(適用例4)前記吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドと前記基板との前記主走査方向の複数回の相対移動の間に、前記液滴吐出ヘッドと前記基板とを前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることを特徴とする上記の液状体の吐出方法。
【0015】
この方法によれば、吐出工程において、液滴吐出ヘッドと基板とを主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる、すなわち改行動作を行いながら、ノズルから被吐出領域に液状体を吐出することができる。そのため、例えば、第1被吐出領域の短辺方向に配置することができる液滴を実質的に多くすることができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0016】
(適用例5)基板上の複数の被吐出領域に複数色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、上記の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む複数色の液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、吐出された前記液状体を固化して前記複数色の着色層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0017】
この方法によれば、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域および第2被吐出領域に形成される着色層の厚さの不均一を低減させることができるとともに、着色層の配列方向が異なる少なくとも2種のカラーフィルタを高い生産性で製造することができる。
【0018】
(適用例6)基板上の複数の被吐出領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、上記の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、吐出された前記液状体を固化して前記発光層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【0019】
この方法によれば、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域および第2被吐出領域に形成される発光層の厚さの不均一を低減させることができるとともに、有機EL素子の配列方向が異なる少なくとも2種の有機EL装置を高い生産性で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、基板上に区画された複数の画素領域に複数色の着色層を有するカラーフィルタの製造を例にとり説明する。着色層は、画素構成要素であり、複数のノズルから画素領域に向けて着色層形成材料を含む液状体が液滴として吐出されて形成される。この液状体を液滴として吐出するには、以下に説明する液状体吐出装置を用いる。
【0021】
(液状体吐出装置の構成について)
まず、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドを備えた液状体吐出装置について図1を参照して説明する。図1は、液状体吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、液状体吐出装置10は、被吐出領域(膜形成領域)を有する基板Bを主走査方向に移動させる基板移動機構20と、複数の液滴吐出ヘッドを有するヘッドユニット9を副走査方向に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。この液状体吐出装置10は、基板Bとヘッドユニット9との相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッドから液状体を液滴として吐出して、基板Bに液状体で所定の機能膜を形成するものである。なお、図中のX方向は基板Bの移動方向すなわち主走査方向を示し、Y方向はヘッドユニット9の移動方向すなわち副走査方向を示し、Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向を示している。
【0022】
このような液状体吐出装置10を用いて、例えば、赤、緑および青の3色のフィルタエレメントを有するカラーフィルタを製造する場合は、液状体吐出装置10の各々の液滴吐出ヘッドから、赤、緑および青の3色の液状体のいずれかを基板Bの膜形成領域に液滴として吐出して、赤、緑および青の3色のフィルタエレメントを形成する。
【0023】
ここで、液状体吐出装置10の各構成について説明する。
基板移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動テーブル22と、移動テーブル22上に基板Bを吸着固定可能に載置するステージ5とを備えている。移動テーブル22は、ガイドレール21の内部に設けられた図示しないエアスライダとリニアモータによりX方向(主走査方向)に移動する。
【0024】
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する第1の移動台32とを備えている。第1の移動台32にはキャリッジ8が設けられ、キャリッジ8には複数の液滴吐出ヘッド50(図2参照)を搭載したヘッドユニット9がヘッドユニット回転機構70を介して取り付けられている。ヘッドユニット9は、ヘッドユニット回転機構70により図1に示す回転軸Lを中心にXY平面において回転することができる。そして、第1の移動台32は、キャリッジ8をY方向(副走査方向)に移動させてヘッドユニット9を基板Bに対してZ方向に所定の間隔をあけて対向配置することができる。
【0025】
液状体吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消等のメンテナンスを行うメンテナンス機構60を備えている。また、液状体吐出装置10は、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構や、液滴吐出ヘッド50もしくはノズルごとに吐出された液状体を受けて、その吐出重量を計測する電子天秤等の計測器を有する吐出量計測機構が設けられている。これらの各機構は、制御部4(図4参照)によって制御される。図1では、制御部4、液状体供給機構および吐出量計測機構は、図示省略した。
【0026】
(液滴吐出ヘッドについて)
ここで複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドについて図2および図3を参照して説明する。図2は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図である。(a)は概略分解斜視図、(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図3は、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、基板Bに対向する側から見た図である。なお、図3に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。
【0027】
図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、各キャビティ55に対応する駆動素子としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
【0028】
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54と、キャビティ55に液状体を充填するための流路56,57とを有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
【0029】
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに、駆動信号としての駆動波形が印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動波形の印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。ピエゾ素子59cへ印加される駆動波形を制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
【0030】
図3に示すように、上述の液滴吐出ヘッド50は、ヘッドユニット9のヘッドプレート9aに配置される。ヘッドプレート9aには、3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Aと、同じく3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Bの合計6個の液滴吐出ヘッド50が搭載されている。この場合、ヘッド群50Aの液滴吐出ヘッド50(ヘッドR1)とヘッド群50Bの液滴吐出ヘッド50(ヘッドR2)とは同種の液状体を吐出する。他のヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様である。すなわち、3種の異なる液状体を吐出可能な構成となっている。
【0031】
各液滴吐出ヘッド50は、一定のノズルピッチPで配設された複数(180個)のノズル52からなるノズル列52aを有している。そのため、1つの各液滴吐出ヘッド50は長さLなる吐出幅を有している。ヘッドR1とヘッドR2とは、主走査方向(X方向)から見て隣り合うノズル列52aが主走査方向と直交する副走査方向(Y方向)に1ノズルピッチPを置いて連続するように主走査方向に並列して配設されている。そのため、ヘッドR1およびヘッドR2は、長さ2Lの吐出幅を有している。
【0032】
また、前述のようにヘッドユニット9は、ヘッドユニット回転機構70により図1に示す回転軸Lを中心にXY平面において回転することができる。すなわち、ヘッドプレート9aは、図3に示すように、回転軸Lがヘッドプレート9aを貫く点lを中心にXY平面において回転することができる。なお、点lはヘッドプレート9aの略中心に位置する。
【0033】
本実施例では、ノズル列52aが1列の場合について説明しているがこれに限定されない。液滴吐出ヘッド50は、複数のノズル列52aが図中X方向に一定の間隔をおいて、Y方向に1/2ピッチ(P/2)ずれて配列されていてもよい。このようにすることにより、実質的なノズルピッチPが狭くなり、高精細に液滴Dを吐出することができる。
【0034】
(液状体吐出装置の制御系について)
次に液状体吐出装置10の制御系について図4を参照して説明する。図4は、液状体吐出装置の制御系を示すブロック図である。
図4に示すように、液状体吐出装置10の制御系は、液滴吐出ヘッド50、基板移動機構20、ヘッド移動機構30等を駆動する各種ドライバを有する駆動部46と、駆動部46を含め液状体吐出装置10を制御する制御部4とを備えている。駆動部46は、基板移動機構20およびヘッド移動機構30の各リニアモータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ47と、液滴吐出ヘッド50を吐出制御するヘッドドライバ48と、ヘッドユニット9を回転させるヘッドユニット回転機構70を制御するヘッド回転用ドライバ68と、メンテナンス機構60の各メンテナンス用ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ49と、吐出量計測機構を制御する図示しない吐出量計測用ドライバとを備えている。
【0035】
制御部4は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、P−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。P−CON44には、上位コンピュータ11が接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や機能回復処理等を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
【0036】
RAM43は、基板Bにパターンを描画するパターンデータを記憶するパターンデータ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバ等が接続されており、CPU41の機能を補うとともに、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピュータ11からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス45に取り込むとともに、CPU41と連動して、CPU41等からバス45に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
【0037】
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに従って、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM43内の各種データ等を処理した後、P−CON44を介して駆動部46等に各種の制御信号を出力することにより、液状体吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、液滴吐出ヘッド50、基板移動機構20およびヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9と基板Bとを対向配置させる。そして、ヘッドユニット9と基板Bとの相対移動に同期して、ヘッドユニット9に搭載された各液滴吐出ヘッド50の所定数のノズル52から基板Bに液状体を液滴Dとして吐出してパターンを形成する。
【0038】
この場合、X方向への基板Bの移動に同期して液状体を吐出することを主走査と呼び、Y方向にヘッドユニット9を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施例の液状体吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより液状体を吐出することができる。主走査は、液滴吐出ヘッド50に対して一方向への基板Bの移動に限らず、基板Bを往復させて行うこともできる。
【0039】
上位コンピュータ11は、制御プログラムや制御データ等の制御情報を液状体吐出装置10に送出するだけでなく、これらの制御情報を修正することもできる。また、ノズル52の位置情報等に基づいて、基板B上の吐出領域ごとに必要量の液状体を液滴Dとして配置する配置情報を生成する配置情報生成部としての機能を有している。配置情報は、吐出させるノズル52と待機させるノズル52との分類および吐出領域における液滴Dの吐出位置(言い換えれば、基板Bとノズル52との相対位置)、液滴Dの配置数(言い換えれば、ノズル52ごとの吐出数、吐出割合)、主走査における複数のノズル52のON/OFF、吐出タイミング等の情報を、例えば、ビットマップとして現したものである。
【0040】
(液状体の吐出方法およびカラーフィルタの製造方法)
次に、本実施形態の液状体の吐出方法を適用したカラーフィルタの製造方法について図5〜図9を参照して説明する。図5(a)はカラーフィルタを示す概略平面図であり、同図(b)は同図(a)のC−C’断面図である。図6はカラーフィルタの製造方法を示すフローチャートであり、図7(a)〜(d)はカラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。
【0041】
図5(a)および(b)に示すように、カラーフィルタ100は、透明なガラスなどの基板101上に赤(R)、緑(G)、青(B)3色のフィルタエレメントである着色層103を有している。着色層103が形成される矩形形状の被吐出領域としての膜形成領域103r,103g,103bは隔壁部104によりマトリクス状に区画されている。本実施形態のカラーフィルタ100は、同色の着色層103が直線的に配列するいわゆるストライプ方式のカラーフィルタである。
【0042】
図5(b)に示すように、隔壁部104は、第1隔壁部104aと第2隔壁部104bとからなる2層構造となっている。第1隔壁部104aは、例えば、CrやAlなどの金属薄膜からなり遮光性を有している。第2隔壁部104bは、例えば、樹脂材料からなる。なお、二層構造に限定されず、遮光性を有する部材を含む樹脂材料により隔壁部104を構成する一層構造でもよい。
【0043】
着色層103は、着色材料を含む透光性樹脂材料からなる。本実施形態では、このようなカラーフィルタ100を上述の液状体吐出装置10を用いて製造する。
【0044】
図6に示すように、本実施形態のカラーフィルタ100の製造方法は、隔壁部104を形成する隔壁部形成工程(ステップS1)と、隔壁部104が形成された基板101の表面を表面処理する表面処理工程(ステップS2)と、着色層形成材料を含む液状体を吐出する液状体の吐出工程(ステップS3)と、吐出された液状体を乾燥させて着色層103を形成する乾燥工程(ステップS4)とを基本的に備えるものである。
【0045】
図6のステップS1では、まず、基板101の表面にCrやAlなどの金属薄膜を成膜する。成膜方法としては真空蒸着法、スパッタ法などが挙げられる。膜厚は、例えば遮光性が得られるように0.1μm程度とする。これをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口させた図7(a)に示す第1隔壁部104aを形成する。次いで、第1隔壁部104aを覆って感光性樹脂を厚み2μm程度に塗布し、同じくフォトリソグラフィ法によりパターニングして、第1隔壁部104a上に第2隔壁部104bを形成する。これにより図7(a)に示すように基板101上に開口した矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bを形成する。そして、ステップS2へ進む。
【0046】
図6のステップS2では、後の液状体の吐出工程において、吐出された液状体が膜形成領域103r,103g,103bに着弾して濡れ拡がるように、基板101の表面を親液処理する。また、吐出された液状体の一部が第2隔壁部104bに着弾したとしても膜形成領域103r,103g,103b内に収まるように、第2隔壁部104bの少なくとも上面部を撥液処理する。
【0047】
表面処理方法としては、隔壁部104が形成された基板101に対して、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、膜形成領域103r,103g,103bが親液処理され、その後、感光性樹脂からなる第2隔壁部104bの上面が撥液処理される。なお、第2隔壁部104bを形成する材料自体が撥液性を有していれば後者の処理を省くこともできる。そして、ステップS3へ進む。
【0048】
図6のステップS3では、図1に示す液状体吐出装置10のステージ5に表面処理された基板101を載置する。そして、図3に示したヘッドユニット9の液滴吐出ヘッド50から異なる着色層形成材料を含む3色の液状体をそれぞれ吐出する。詳しくは、図7(b)および(c)に示すように、基板101と液滴吐出ヘッド50との主走査方向への相対移動に同期して、液滴吐出ヘッド50のノズル52から3色の液状体のそれぞれを液滴Dとして所望の膜形成領域103r,103g,103bに吐出する。膜形成領域103r,103g,103bに吐出される液状体の吐出量は、予め膜形成領域103r,103g,103bごとに選択されるノズル52の選択パターンと液滴Dの吐出数などが主走査ごとに設定された吐出データに基づいて、制御部4のCPU41から適正な制御信号がヘッドドライバ48に送られて制御される。これにより、所定量の液状体が膜形成領域103r,103g,103bごとに吐出される。そして、ステップS4へ進む。
【0049】
図6のステップS4では、図7(d)に示すように、基板101に吐出された液状体から溶媒成分を蒸発させて、着色層形成材料からなる着色層103を形成する。本実施形態では、溶媒の蒸気圧を一定にして乾燥することが可能な減圧乾燥装置に基板101をセットして減圧乾燥し、R,G,B3色の着色層103を形成した。なお、1色の液状体を吐出して乾燥する工程を3回繰り返してもよい。ステップS3の液状体の吐出工程において、着色層103の膜厚は、色ごとに設定すればよく、必ずしも3色が同一でなくてもよい。必要な膜厚の設定に基づいて、必要量の液状体を対応する膜形成領域103r,103g,103bに吐出すればよい。
【0050】
カラーフィルタ100が形成される基板101の大きさは、これを用いる表示装置の大きさによる。また、同一の大きさの表示装置であっても画素が高密度に配置されている場合は、対応するカラーフィルタ100の着色層103の配置も高密度な配置が要求される。
【0051】
カラーフィルタ100をより効率的に生産する方法として、一般的には基板101よりも面積が大きいマザー基板Bに多面取りする方法が採用されている。だが、マザー基板Bの大きさによって面積的に効率的なカラーフィルタ100のサイズが決まる。面積的に非効率なサイズのカラーフィルタ100を多面取りすると、空きスペースが生ずる。よって、この空きスペースに異なるサイズのカラーフィルタ100を面付けしてマザー基板Bを無駄なく利用することが考えられる。
【0052】
マザー基板B上に異なるサイズのカラーフィルタ100を面付けする場合、膜形成領域103r,103g,103bの配列方向すなわちストライプ方向が互いに直交することがある。前述したように膜形成領域103r,103g,103bにおける液滴の配置は、主走査における吐出タイミングにより液状体が吐出されることにより実現される。主走査方向から見た複数のノズル52は、前述したように一定のノズルピッチPで配設されている。従って、マザー基板B上において矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの配列方向が異なる場合には、配列方向によって膜形成領域103r,103g,103bに対向するノズル52の数が制約される場合がある。
【0053】
本実施形態の液状体の吐出方法を用いたカラーフィルタ100の製造方法は、マザー基板Bにおける膜形成領域103r,103g,103bの配置に基づいて、好適な液状体の吐出方法を提供するものである。詳しくは実施例を参照して説明する。
【0054】
(第1実施例)
ここで第1実施例のカラーフィルタの製造方法を図8および図9を参照して説明する。図8は、液状体の吐出工程におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図であり、図9(a)および(b)は、液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図8および図9に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。
【0055】
図8に示すように、第1実施例におけるマザー基板Bは、マザー基板Bの長辺に沿って複数(7つ)面付けされた第2パネルE2と、長辺と短辺とに沿ってマトリクス状に複数(4つ)面付けされた第1パネルE1と、を有している。第2パネルE2の面積は第1パネルE1の面積よりも小さい。
【0056】
第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列している。同様に、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列している。ここで膜形成領域103r,103g,103bの面積は、膜形成領域103r',103g',103b'の面積よりも小さい。膜形成領域103r,103g,103bと膜形成領域103r',103g',103b'とは、同種(同色)の液状体が吐出されるストライプ方向が直交している。また、それぞれに所望の液状体が所定量吐出されて着色層103が形成される。
【0057】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させる間にヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。
【0058】
この場合、膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向は副走査方向(Y方向)に合致している。膜形成領域103r',103g',103b'の長辺方向は主走査方向(X方向)に合致している。また、液滴吐出ヘッド50に配列されたノズル列52aは、ヘッドユニット回転機構70により副走査方向(Y方向)に合致するように配置されている。その結果、図9(a)に示すように、複数のノズル52からなるノズル列52aは、矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向に沿って配置されている。
【0059】
例えば、主走査(X方向)において、赤の液状体が吐出される膜形成領域103rには、4つのノズル52がかかりそれぞれから液滴D1を吐出する。これにより膜形成領域103rにはそれぞれ4滴の液滴D1が塗布される。着弾した液滴D1は、膜形成領域103r内に濡れ拡がる。また、主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103rのいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。副走査方向(Y方向)における着弾位置は、膜形成領域103rの副走査方向における配置ピッチとノズルピッチPとの関係から膜形成領域103rごとに必ずしも同一とは限らない。なお、第2パネルE2における他の膜形成領域103g,103bにおいても同様に所望の液状体を液滴D1として4滴ずつ吐出する。
【0060】
図9(b)に示すように、上記主走査において、例えば、膜形成領域103rに対して面積が大きく配列方向が直交する膜形成領域103r'には、2つのノズル52が掛かる。そして、それぞれのノズル52から主走査方向に複数の液滴D1を吐出する。これにより各膜形成領域103r'ごとに液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103r'のいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。一方、副走査方向(Y方向)における着弾位置は、膜形成領域103r'の副走査方向における配置ピッチとノズルピッチPとの関係から膜形成領域103r'ごとに2つのノズル52が掛かるものの必ずしも同一とは限らない。なお、第1パネルE1における他の膜形成領域103g',103b'においても同様に所望の液状体を液滴D1として吐出する。
【0061】
上述したように第1実施例の吐出工程では、膜形成領域103r',103g',103b'に対して面積の小さい膜形成領域103r,103g,103bにより多くのノズル52が掛かるようにヘッドユニット9とマザー基板Bとを位置決めして、それぞれの膜形成領域103r,103g,103bと膜形成領域103r',103g',103b'とに液滴D1を吐出することができる。
【0062】
以下、第1実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ノズル列52aの配置方向を、面積の大きい第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向および面積の小さい第2被吐出領域としての膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向と同一方向にすることができる。すなわち、面積の大きい膜形成領域103r',103g',103b'は短辺方向に、面積の小さい膜形成領域103r,103g,103bは長辺方向に、ノズル52を配置することができる。そのため、面積の異なる第1被吐出領域および第2被吐出領域が同一基板内に混在していても、それぞれの被吐出領域内に液状体を吐出することができるノズルの数を多く配置することができる。従って、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0063】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交する面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0064】
(第2実施例)
ここで、第2実施例のカラーフィルタの製造方法について、図10および図11を参照して説明する。図10は、第2実施例の液状体の吐出工程におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図、図11は、第2実施例の液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図10および図11に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。また、第1実施例と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
【0065】
第2実施例におけるマザー基板は、第1実施例のマザー基板Bと同様に7つの第2パネルE2と、4つの第1パネルE1とを有している。従って、第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列されており、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列されている。
【0066】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。ただし、第2実施例では、図10に示すように、ヘッドユニット回転機構70を用いてヘッドユニット9を点lを中心にY方向に対してα度だけ回転させる。その結果、液滴吐出ヘッド50に配列されたノズル列52aもα度だけ回転して、配置される。
【0067】
すなわち、図11(a)に示すように、複数のノズル52からなるノズル列52aは、矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bの長辺方向からα度の角度を有して配置される。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させる間にヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。この場合、ノズル列52aは、Y方向に対してα度の角度を有しているため、膜形成領域103rに対する実質的な液滴の配置間隔P1(P×Cosα)は、ノズル列52aのノズルピッチPより狭くなる。
【0068】
そのため、主走査(X方向)において、赤の液状体が吐出される膜形成領域103rには、5つのノズル52がかかりそれぞれから液滴D1を吐出する。これにより膜形成領域103rにはそれぞれ5滴の液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103rのいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。すなわち、膜形成領域103rのX方向の任意の位置に1列に液滴を配置することができる。なお、第2パネルE2における他の膜形成領域103g,103bにおいても同様に所望の液状体を液滴D1として5滴ずつ吐出する。
【0069】
図11(b)に示すように、同様に、ノズル列52aは、Y方向に対してα度の角度を有しているため、膜形成領域103rに対して面積が大きく配列方向が直交する膜形成領域103r'に対する実質的な液滴の配置間隔P1(P×Cosα)は、ノズル列52aのノズルピッチPより狭くなる。従って、膜形成領域103r'には、3つのノズル52が掛かる。そして、それぞれのノズル52から液滴D1を吐出する。これにより各膜形成領域103r'の副走査方向に3滴の液滴D1が塗布される。主走査方向においては、吐出タイミングを制御することにより膜形成領域103r'のいずれか任意の位置に液滴D1を着弾させることができる。なお、第1パネルE1における他の膜形成領域103g',103b'においても同様に所望の液状体を液滴D1として吐出する。
【0070】
以下、第2実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ノズル列52aを、第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に対して角度αを有するように配置することによって、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に配置される液滴の配置間隔P1をノズルピッチPより実質的に狭くすることができる。すなわち、膜形成領域103r',103g',103b'に対してより多くのノズル52から液状体を吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0071】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、被吐出領域に対してより多くのノズル52を対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしてもより多くのノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0072】
(3)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ヘッドユニット9の回転角度αを調整することによって、ノズルピッチPに関わらず被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔P1を任意に設定することができる。そのため、被吐出領域の副走査方向のサイズに関わらず多くのノズル52から液状体を液滴として吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。また、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0073】
(4)また、被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔P1を任意に設定することができるため、被吐出領域に対して高密度、高精細に液状体を吐出することができる。そのため、高密度、高精細な薄膜を形成することができ表示装置の高画質化に寄与することができる。
【0074】
(5)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交し面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0075】
(第3実施例)
ここで、第3実施例のカラーフィルタの製造方法について、図12を参照して説明する。図12は、第3実施例の液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図である。なお、図12に示すX方向、Y方向は、図1に示すX方向、Y方向と同一な方向を示す。また、第1および第2実施例と同様な構成および内容については、符号を等しくして説明を省略する。
【0076】
第3実施例におけるマザー基板は、第1および第2実施例のマザー基板Bと同様に7つの第2パネルE2と、4つの第1パネルE1とを有している。従って、第2パネルE2には、第2被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r,103g,103bがマトリクス状に複数配列されており、第1パネルE1には、第1被吐出領域としての矩形形状の膜形成領域103r',103g',103b'がマトリクス状に複数配列されている。
【0077】
液状体の吐出工程では、図1に示す液状体吐出装置10を用いて、ヘッド移動機構30において副走査方向(Y方向)に配置した複数のヘッドユニット9に対して、マザー基板Bの長辺がほぼ平行となるようにマザー基板Bをステージ5上に位置決めする。そして、主走査方向(X方向)にステージ5を移動させ、ヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50からマザー基板Bに向けて液状体を吐出する。
【0078】
このとき、ヘッドユニット9に搭載された液滴吐出ヘッド50のノズル列52aは、副走査方向に対して角度αを有していてもよいし、副走査方向と同一な方向に配置されていてもよい。本実施例では、ノズル列52aが副走査方向と同一な方向に配置されている場合を例にとり説明する。また、本実施例では説明を簡便にするため、第1被吐出領域としての膜形成領域103r',103g',103b'に液状体を吐出する場合を例にとり説明する。
【0079】
この場合、図12(a)に示すように、複数のノズル52i(iは1からiまでの自然数)からなるノズル列52aは、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向に沿って配置されている。本実施例では、膜形成領域103r',103g',103b'の短辺方向の幅が小さく形成されているため、例えば、2つのノズル521,522から赤の液状体を膜形成領域103r'に同時に吐出すると、隣接する膜形成領域103g'に赤の液状体が混入する虞がある。そのため、赤の液状体が吐出される膜形成領域103r'には、1つのノズル521のみを用いる必要がある。なお、同様にモザイク状に配設された他の膜形成領域103r'には、1つのノズル526が用いられる。
【0080】
図1に示すステージ5によりマザー基板Bを図12中X(+)方向に移動させながらノズル521,526から液滴D1を吐出する1回目の吐出動作を行うと、図12(a)に示すように、膜形成領域103r'の図中左側に液滴D1が列状に配置される。なお、X方向の配置間隔は、吐出タイミングを制御することにより任意の間隔に調整できる。
【0081】
次いで、図1に示すヘッド移動機構30によりヘッドユニット9を図12中Y(−)方向に微量移動させる。移動距離を調整することにより、図12(b)に示すように、赤の液状体が吐出される膜形成領域103r'には、ノズル522およびノズル527が対向する。そして、マザー基板Bを図12中X(−)方向に移動させながらノズル522,527から液滴D2を吐出する2回目の吐出動作を行うと、膜形成領域103r'の図中右側に液滴D2が列状に配置される。
【0082】
このように、マザー基板BのX方向(主走査方向)の移動およびノズル52iからの液状体の吐出の間にヘッドユニット9のY方向(副走査方向)の微量移動を行うことによって、膜形成領域103r'のY方向の異なった位置に異なったノズル52iから液状体を液滴Dとして配置することができる。
【0083】
なお、液状体の吐出量の調整、もしくは、より高密度な液滴の配置を望む場合は、図12(c)に示すように、2回目の吐出動作の後、図1に示すヘッド移動機構30によりヘッドユニット9を図12中Y(−)方向にさらに微量移動させ、ノズル522およびノズル527を液滴D1および液滴D2からなる液滴列の間に対向させ、マザー基板Bを図12中X(+)方向に移動させながらノズル522,527から液滴D3を吐出する3回目の吐出動作を行う。このようにすることにより、膜形成領域103r'には液滴D1〜D3からなる3列の液滴列が形成される。
【0084】
以下、第3実施例の効果を記載する。
(1)この実施例の液状体の吐出方法によれば、マザー基板BのX方向(主走査方向)の移動およびノズル52iからの液状体の吐出の間にヘッドユニット9のY方向(副走査方向)の微量移動を行うことによって、膜形成領域103のY方向の異なった位置に異なったノズル52iから液状体を液滴Dとして配置することができる。そのため、膜形成領域103に配置することができる液滴Dを実質的に多くすることができる。そのため、膜形成領域103内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0085】
(2)この実施例の液状体の吐出方法によれば、膜形成領域103に対してより多くのノズル52iを対向させ液状体を吐出することができる。そのため、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしてもより多くのノズル52iを用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、膜形成領域103に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0086】
(3)この実施例の液状体の吐出方法によれば、ヘッド移動機構30によるヘッドユニット9の移動量を調整することによって、ノズルピッチPに関わらず被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔を任意に設定することができる。そのため、被吐出領域の副走査方向のサイズに関わらず多くのノズル52から液状体を液滴として吐出することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。また、ノズル52の吐出特性のばらつきがあったとしても複数のノズル52を用いることによって吐出特性のばらつきを分散させることができる。その結果、被吐出領域に形成される薄膜の厚さの不均一を低減させることができる。
【0087】
(4)また、被吐出領域に着弾する液滴の配置間隔を任意に設定することができるため、被吐出領域に対して高密度、高精細に液状体を吐出することができる。そのため、高密度、高精細な薄膜を形成することができ表示装置の高画質化に寄与することができる。
【0088】
(5)この実施例の液状体の吐出方法によれば、配列方向が互いに直交する面積の異なる膜形成領域103r',103g',103b'および膜形成領域103r,103g,103bに形成される着色層103の厚さの不均一を低減させることができる。すなわち、着色層103の配列方向が異なり、大きさの異なる少なくとも2種のカラーフィルタ100を高い生産性で製造することができる。
【0089】
(第4実施例)
次に前述の液状体の配置方法を用いた有機EL装置の製造方法について説明する。
(有機EL装置)
図13は、有機EL装置の要部構造を示す概略断面図である。図13に示すように、本実施形態の電気光学装置としての有機EL装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bがそれぞれの色要素領域としての被吐出領域Qに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの被吐出領域Qを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。本実施形態の有機EL装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
【0090】
封止基板620は、ガラス又は金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水又は酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水又は酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
【0091】
本実施形態の素子基板601は、回路素子部602上に複数の被吐出領域Qを有するものであって、複数の被吐出領域Qを区画する隔壁部としてのバンク618と、複数の被吐出領域Qに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の被吐出領域Q内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する色要素としての発光素子部603を備えている。バンク618は、下層バンク618aと被吐出領域Qを実質的に区画する上層バンク618bとからなり、下層バンク618aは、被吐出領域Qの内側に張り出すように設けられて、電極613と各発光層617R,617G,617Bとが直接接触して電気的に短絡することを防止するためにSiO2等の無機絶縁材料により形成されている。
【0092】
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。なお、半導体膜607には、ソース領域607a及びドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606及び半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609及びゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され(電極形成工程)、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図13ではこれらの図示を省略している。
【0093】
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617a、各発光層617R,617G,617B(総称して発光層617b)と、上層バンク618bと発光層617bとを覆うように積層された陰極604とを備えている。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
【0094】
有機EL装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、更に正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを介して陰極604に電流が流れる。発光層617bは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。
【0095】
(有機EL装置の製造方法)
次に本実施形態の有機EL装置の製造方法について図14および図15に基づいて説明する。図14は、有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図15は、有機EL装置の製造方法を示す概略断面図である。なお、図15(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
【0096】
図14に示すように、有機EL装置の製造方法は、素子基板601の複数の被吐出領域Qに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるように下層バンク618aを形成し、さらに下層バンク618a上に実質的に被吐出領域Qを区画するように上層バンク618bを形成するバンク(隔壁部)形成工程とを備えている。また上層バンク618bで区画された被吐出領域Qの表面処理を行う工程と、表面処理された被吐出領域Qに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を付与して正孔注入/輸送層617aを吐出描画する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、正孔注入/輸送層617aが形成された被吐出領域Qの表面処理を行う工程と、表面処理された被吐出領域Qに色要素形成材料としての発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して発光層617bを吐出描画する色要素描画工程としての発光層描画工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層617bを成膜する工程とを備えている。さらに、上層バンク618bと発光層617bを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。各液状体の被吐出領域Qへの付与は、液状体吐出装置10を用いて行う。
【0097】
図14のステップS11は、電極(陽極)形成工程である。ステップS11では、図15(a)に示すように、回路素子部602がすでに形成された素子基板601の被吐出領域Qに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。また、フォトレジストで素子基板601を先に覆って、電極613を形成する領域が開口するように露光・現像する。そして開口部にITO等の透明電極膜を形成し、残存したフォトレジストを除く方法でもよい。そしてステップS12へ進む。
【0098】
図14のステップS12は、バンク(隔壁部)形成工程である。ステップS12では、図15(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の一部を覆うように下層バンク618aを形成する。下層バンク618aの材料としては、無機材料である絶縁性のSiO2(酸化珪素)を用いている。下層バンク618aの形成方法としては、例えば、後に形成される発光層617bに対応して、各電極613の表面をレジスト等を用いてマスキングする。そしてマスキングされた素子基板601を真空装置に投入し、SiO2をターゲットあるいは原料としてスパッタリングや真空蒸着することにより下層バンク618aを形成する方法が挙げられる。レジスト等のマスキングは、後に剥離する。なお、下層バンク618aは、SiO2により形成されているため、その膜厚が200nm以下であれば十分な透明性を有しており、後に正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが積層されても発光を阻害することはない。
【0099】
続いて、各被吐出領域Qを実質的に区画するように下層バンク618aの上に上層バンク618bを形成する。上層バンク618bの材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体84R,84G,84Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッ素系ガスを処理ガスとするプラズマ処理によりテトラフルオロエチレン化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。上層バンク618bの形成方法としては、例えば、下層バンク618aが形成された素子基板601の表面に感光性の前記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、被吐出領域Qに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク618bを形成する方法が挙げられる。これにより下層バンク618aと上層バンク618bとを有する隔壁部としてのバンク618が形成される。そして、ステップS13へ進む。
【0100】
図14のステップS13は、被吐出領域Qを表面処理する工程である。ステップS13では、バンク618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、下層バンク618aの張り出し部および上層バンク618bの表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。つぎにCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなる上層バンク618bの表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、ステップS14へ進む。
【0101】
図14のステップS14は、正孔注入/輸送層形成工程である。ステップS14では、図15(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体82を被吐出領域Qに付与する。液状体82を付与する方法としては、前述の液状体吐出装置10を用いる。液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体82は、液滴として素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体82は被吐出領域Qの面積に応じて必要量が液滴として吐出され表面張力で盛り上がった状態となる。液状体吐出装置10により、1種の液状体82を吐出して描画するので、少なくとも1回の主走査により吐出描画が可能である。そしてステップS15へ進む。
【0102】
図14のステップS15は、乾燥・成膜工程である。ステップS15では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体82の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613の下層バンク618aにより区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料としてPEDOT(Polyethylene Dioxy Thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)を用いた。なお、この場合、各被吐出領域Qに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後の発光層の形成材料に対応して正孔注入/輸送層617aの材料を被吐出領域Qごとに変えてもよい。そしてステップS16へ進む。
【0103】
図14のステップS16は、正孔注入/輸送層617aが形成された素子基板601を表面処理する工程である。ステップS16では、上記の正孔注入/輸送層形成材料を用いて正孔注入/輸送層617aを形成した場合、その表面が、次のステップS17で用いられる3種の液状体84R,84G,84Bに対して撥液性を有するので、少なくとも被吐出領域Qの領域内を再び親液性を有するように表面処理を行う。表面処理の方法としては、3種の液状体84R,84G,84Bに用いられる溶媒を塗布して乾燥する。溶媒の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法等の方法が挙げられる。そしてステップS17へ進む。
【0104】
図14のステップS17は、RGB発光層描画工程である。ステップS17では、図15(d)に示すように、前述の液状体の配置方法を適用して液状体吐出装置10の異なる液滴吐出ヘッド50から複数の被吐出領域Qに発光層形成材料を含む3種の液状体84R,84G,84Bを付与する。液状体84Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体84Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体84Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。着弾した各液状体84R,84G,84Bは、被吐出領域Qに濡れ拡がって断面形状が円弧状に盛り上がる。そして、ステップS18へ進む。
【0105】
図14のステップS18は、乾燥・成膜工程である。ステップS18では、図15(eに示すように、吐出描画された各液状体84R,84G,84Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、各被吐出領域Qの正孔注入/輸送層617aに各発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜化する。各液状体84R,84G,84Bが吐出描画された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そしてステップS19へ進む。
【0106】
図14のステップS19は、陰極形成工程である。ステップS19では、図15(f)に示すように、素子基板601の各発光層617R,617G,617Bと上層バンク618bの表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層に近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層の熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。このようにして出来上がった素子基板601を用いて有機EL装置600を製造する。
【0107】
以下、第4実施形態の効果を記載する。
(1)この有機EL装置600の製造方法によれば、発光層描画工程において、面積が異なるとともに配列方向が互いに直交する素子基板601の2種類の被吐出領域Qに、前述の液状体の吐出方法を用いて3種の液状体84R,84G,84Bを吐出して、3種の色要素としての発光層617R,617G,617Bを形成することができる。そして、2種類の被吐出領域Qに形成される発光層617R,617G,617Bの厚さの不均一を低減させることができるとともに、有機EL素子としての発光素子部603の配列方向が異なる少なくとも2種の有機EL装置600を高い生産性で製造することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0109】
(変形例1)上記実施形態で説明したマザー基板Bにおける第1パネルE1および第2パネルE2のレイアウトは1実施例でありこれに限定されない。第1パネルE1および第2パネルE2がマザー基板Bにおいて、ある規則性を有して配置されていればよい。また、本実施形態で説明した第1被吐出領域および第2被吐出領域のレイアウトは、いわゆるストライプ方式の場合について説明したが、これに限定されない。いわゆるモザイク方式もしくはデルタ方式のレイアウトであってもよい。
【0110】
(変形例2)上記実施形態では、第1被吐出領域および第2被吐出領域の面積が異なる場合を例にとり説明したがこれに限定されない。例えば、第1被吐出領域および第2被吐出領域とが同じ面積で配列方向が異なっている場合でも、ノズル列52aに短辺方向が沿っている被吐出領域に対して上記で説明した液状体の吐出方法を適用して、被吐出領域の短辺方向にかかるノズル52の数を多く設定することができる。そのため、被吐出領域内の偏った位置に液状体が吐出され液状体の吐出量の偏りが発生することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】液状体吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図。
【図3】ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。
【図4】液状体吐出装置の制御系を示すブロック図。
【図5】カラーフィルタを示す概略図。
【図6】カラーフィルタの製造方法を示すフローチャート。
【図7】カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図。
【図8】ヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図。
【図9】液状体の吐出工程における液滴の配置を示す概略平面図。
【図10】第2実施例におけるヘッドユニットとマザー基板との相対配置を示す概略平面図。
【図11】第2実施例における液滴の配置を示す概略平面図。
【図12】第3実施例における液滴の配置を示す概略平面図。
【図13】有機EL装置の要部構造を示す概略断面図。
【図14】有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。
【図15】有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0112】
4…制御部、9…ヘッドユニット、9a…ヘッドプレート、10…液状体吐出装置、20…基板移動機構、30…ヘッド移動機構、50…液滴吐出ヘッド、52,52i…ノズル、52a…ノズル列、70…ヘッドユニット回転機構、100…カラーフィルタ、103…着色層、103r,103g,103b…第2被吐出領域としての膜形成領域、103r',103g',103b'…第1被吐出領域としての膜形成領域、600…有機EL装置、603…有機EL素子としての発光素子部、617R,617G,617B…発光層、617a…正孔注入/輸送層、B…マザー基板(基板)、D,D1,D2,D3…液滴、E1…第1パネル、E2…第2パネル、P…ノズルピッチ、P1…液滴配置間隔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状体を液滴として吐出する複数のノズルが列状に配設されたノズル列を有する複数の液滴吐出ヘッドと複数の略矩形形状の被吐出領域を備えた基板とを前記液滴吐出ヘッドの配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズルから前記被吐出領域に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、
前記被吐出領域は、略矩形形状の長辺方向が一定の方向に沿うように前記基板上に配設された第1被吐出領域と、前記第1被吐出領域より面積の小さい略矩形形状に形成されるとともに前記第1被吐出領域の配設方向と略直交する方向に配設される第2被吐出領域とからなり、
前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の長辺方向を前記主走査方向に沿うように配置することを特徴とする液状体の吐出方法。
【請求項2】
前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の短辺方向の領域内に少なくとも2つ以上の前記ノズルが対向することを特徴とする請求項1に記載の液状体の吐出方法。
【請求項3】
前記ノズルから吐出され前記第1被吐出領域に配置される前記液滴の前記第1被吐出領域の短辺方向の配置間隔は、前記ノズル列を前記短辺方向に対して角度を有するように配置することによって調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の液状体の吐出方法。
【請求項4】
前記吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドと前記基板との前記主走査方向の複数回の相対移動の間に、前記液滴吐出ヘッドと前記基板とを前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
【請求項5】
基板上の複数の被吐出領域に複数色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む複数色の液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、
吐出された前記液状体を固化して前記複数色の着色層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
基板上の複数の被吐出領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、
複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、
吐出された前記液状体を固化して前記発光層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項1】
液状体を液滴として吐出する複数のノズルが列状に配設されたノズル列を有する複数の液滴吐出ヘッドと複数の略矩形形状の被吐出領域を備えた基板とを前記液滴吐出ヘッドの配置方向と略直交する主走査方向に相対移動させながら、前記ノズルから前記被吐出領域に前記液状体を吐出する吐出工程を有し、
前記被吐出領域は、略矩形形状の長辺方向が一定の方向に沿うように前記基板上に配設された第1被吐出領域と、前記第1被吐出領域より面積の小さい略矩形形状に形成されるとともに前記第1被吐出領域の配設方向と略直交する方向に配設される第2被吐出領域とからなり、
前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の長辺方向を前記主走査方向に沿うように配置することを特徴とする液状体の吐出方法。
【請求項2】
前記吐出工程において、前記第1被吐出領域の短辺方向の領域内に少なくとも2つ以上の前記ノズルが対向することを特徴とする請求項1に記載の液状体の吐出方法。
【請求項3】
前記ノズルから吐出され前記第1被吐出領域に配置される前記液滴の前記第1被吐出領域の短辺方向の配置間隔は、前記ノズル列を前記短辺方向に対して角度を有するように配置することによって調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の液状体の吐出方法。
【請求項4】
前記吐出工程は、前記液滴吐出ヘッドと前記基板との前記主走査方向の複数回の相対移動の間に、前記液滴吐出ヘッドと前記基板とを前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法。
【請求項5】
基板上の複数の被吐出領域に複数色の着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、
複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む複数色の液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、
吐出された前記液状体を固化して前記複数色の着色層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
基板上の複数の被吐出領域に発光層を含む機能層を有する有機EL素子を複数備えた有機EL装置の製造方法であって、
複数の前記被吐出領域は、配設方向が互いに直交する第1被吐出領域と第2被吐出領域とからなり、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の前記被吐出領域に吐出する吐出工程と、
吐出された前記液状体を固化して前記発光層を形成する成膜工程と、を備えたことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−94600(P2010−94600A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267144(P2008−267144)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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