説明

液相から固相を分離するための方法及び装置

【課題】本発明は、第一の液相から固体を分離するための方法及び装置であって、これによって第一の液相中の固体を第二の液相と接触させ、この固体を前記第二の液相に転移させる、前記方法及び装置に関する。
【解決手段】この固体は向流で洗浄し、この洗浄プロセスの間に、少なくとも部分置換洗浄が起きる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相から固体を分離するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液相から固体を分離することは、産業では頻繁に実施しなければならない作業である。たとえば、塩基性母液からの水酸化アルミニウム結晶の分離がある。この分離では、多量の希釈洗浄液を得ることなく、できる限り完全に液相から固体を遊離させることが重要である。
【0003】
この液相を実際上完全に(>99%)固体から分離しなければならない場合には、特に分離問題が発生する。この液相は分離しなければならない非揮発性成分を含んでいることが多い。この場合、固体を乾燥させても分離問題を解決することにはならない。むしろ希釈洗浄液を得ないで固体を洗浄しなければならない。これは高沸点溶媒中の数種の高性能ポリマーの分離の場合である。本発明の方法は、続いて中和すべき、塩または酸若しくは塩基の形成を伴う高沸点溶媒中で製造したポリマーに特に関連する。かかる方法の例としては、ジアミン及び二酸クロリドからのポリアラミド類の製造、ジフェノール若しくはジフェノキシドとホスゲンからのポリカーボネート類の製造、ジフェノキシド及びジハロゲン化芳香族炭化水素からのポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類若しくはポリエーテルケトン類の製造、またはジアリールジクロロシランとジフェノキシドからのポリアリーレンシロキサン類の製造が挙げられる。特に、高性能ポリマー類なる用語には、ポリアリーレンスルフィドが含まれる。
【0004】
ポリ(p-フェニレン)スルフィド(PPS)の製造においては、ポリマーを高沸点N-メチルピロリドン(NMP)と、溶解しなかった副生成物と溶解した副生成物とから遊離させなければならない。このポリマー中の残存溶媒(NMP)の割合は100ppm未満でなければならない。希薄NMP-含有洗浄液が生成すると、蒸留するのに高い費用が発生するので、この洗液が生成しないようにしなければならない。
【0005】
従来技術によれば、分離は濾過、続いてフィルターケーキの洗浄によって実施することができる。しかしながら、固体から液相を実質的に完全に除去するにはかなりの量の洗浄液が必要であり、少なからぬコストになってしまう。
【0006】
好適には高温で、固体/液体混合物から溶媒を蒸発させることも公知である。これではNMPなどの高沸点溶媒の場合には、時間も費用もかかってしまう。さらに、非揮発性不純物がPPS固体中に残存し、さらなるプロセス段階でこれを除去しなければならなくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
経済的観点から、連続して操作する分離装置での上記のような分離作業の実施に関心がもたれている。
本発明の目的は、大量の希釈洗浄液を得ることなく、固体から実質的に完全に液相を分離する、固体/液体混合物から固体を分離するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、第一の液相中の固体を向流で第二の液相と接触させ、この固体を前記第二の液相に転移させることによって達成される。
本発明の方法は、少なくとも一つの固体/液体入口(1)、少なくとも一つの固体/液体出口(4)、少なくとも一つの液体入口(3)及び少なくとも一つの液体出口(2)をもつ装置中で、向流で前記第一の液相中の固体を第二の液相と接触させることによって実施する(図1及び図3参照)。
【0009】
前記第一の液相中の固体は固体/液体入口(1)に供給する。この第二の液相は液体入口(3)に供給する。固体は固体/液体出口(4)を通って第二の液相中に殆ど完全に排出される。第一の液相は殆ど完全に液体出口(2)を通して排出される。
【0010】
本発明の方法では、ほんの少量の第一の液相しか、固体/液体出口(4)を通して第二の液相中の固体と一緒に排出されない。出口(4)を通って排出される固体/液体混合物中の、第二の液相をベースとする第一の液相の割合は、50重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは1重量%未満である。
【0011】
本発明の方法では、第一の液相は第二の液相で大きくは希釈されない。出口(2)を通って排出される液体中の、第一の液相をベースとした第二の液相の割合は、80重量%未満、好ましくは50重量%未満、特に好ましくは30重量%未満である。
【0012】
一般的に、本発明の方法では、出口(2)を通って排出される液体中にはほんの少量の固体しか運ばれない。固体のこの割合は、固体/液体入口(1)を通って導入される固体をベースとして、好ましくは30重量%未満、特に好ましくは10重量%未満である。
【0013】
本発明の方法では、固体は重力下での沈降によって装置内を移動する。本発明の好ましい態様では、固体/液体混合物の固体は装置内で少なくとも一回沈降し、沈降した固体は第二の液相中で向流で洗浄される。
【0014】
本発明の方法では、第一の液相は好ましくは有機溶媒であり、第二の液相は好ましくは水である。使用した有機溶媒としては、たとえば極性非プロトン性溶媒、好ましくはNMPがある。
【0015】
本発明の方法では、第一の液相と第二の液相とが混和性であるのが好ましい。
前記固体は一種以上の構成要素からなることができる。前記固体の主構成要素は、好ましくはポリアリーレンスルフィドなどのポリマーであり、非常に好ましくはPPSである。
【0016】
前記構成要素が第一の液相及び第二の液相中で異なる溶解性を持つ場合には、本発明の方法は、固体混合物を分離することもできる。
前記第一の液相にも前記第二の液相にも溶解しない固体の主構成要素が好ましい。分離すべき前記固体または前記固相の第二の構成要素は、前記第二の液相中で高い溶解性をもつのが好ましい。
【0017】
特に好ましい態様では、分離すべき且つ精製すべきポリマー、たとえばPPSは、本発明のプロセス条件下で前記第一及び第二の液相中に不溶性であり、同時に除去すべき不純物、たとえば塩と高沸点溶媒は前記第二の液相に溶解する。
【0018】
本発明の方法の特に都合の良い点は、高温及び過圧下で連続的に固体除去の機会を提供するということである。
本発明の方法では、前記固体の密度は第一の液相の密度とも第二の液相の密度とも異なる。
【0019】
本発明の目的は、本発明のプロセスの装置が、少なくとも一つの上部区分、少なくとも一つの底部区分及び、n個の沈降トレーをもつ少なくとも一つの中間区分を含むプロセスによって達成される。
【0020】
本発明の第一の好ましい態様は、沈殿物出口をもつ少なくとも一つの沈降漏斗、少なくとも一つの流動領域及び少なくとも一つの上清液体出口を含む、少なくとも一つの沈降トレー(ST)をもつ装置を使用するプロセスである。
【0021】
この固体を、前記沈降漏斗のそれぞれの沈降トレーで沈降させ、流動領域で洗浄する。これをn個の段階で連続して繰り返す。この沈降トレーは、固体/液体出口を表す底部出口に漏斗様構造及び端部をもつ。上部区分は、最上部の沈降トレーにつながる固体/液体混合物用の入口をもつ。この上部区分は、最上部の沈降トレーからの上清液体を排出するための出口ももつ。
【0022】
本発明のプロセスの装置は、固体と一緒に運ばれる第一の液相の割合が沈降トレーの数が増加するに連れて減少するように、混合物から固体を分離することができる。
【0023】
前記沈降トレーは、相互に他方の上に配置する。一つの沈降トレーの上清液体出口は、その上の次の沈降トレーの流動領域に接続される。沈降トレーの上清液体は、前記第一の液相と前記第二の液相との混合物を含む。流動領域では、上清液体は、正確に画定された幾何学的配置で沈降する固体内を通過し、固体の少なくとも部分置換がおきる。このようにして、一つの沈降トレーの上清液体をその上の沈降トレー用の洗浄液として使用する。新しい洗浄液体を、純粋な第二の液相の形で液体入口(3)を通して最下部の沈降トレーの流動領域に供給する。上部から下方へ本発明のプロセスの装置を通って固体が通過するに連れて、洗浄液体は底部から上方へ流動する。この向流原理によって、固体からの第一の液相の分離が特に効果的に実施できる。
【0024】
前記流動領域の幾何学的配置は、前記固体が個々の沈降トレーの上行性洗浄液体の流れに対して正反対の方向に沈降しないように選択する。洗浄液は別個の上清液体出口を通って次の高次沈降トレーの流動領域に運ばれるので、次の沈降トレーへの固体の通過は、向流で装置内を通過する洗浄液によって妨害されない。このようにして、沈降がスムーズに妨げられることなく実施され、その結果、低い沈降速度の固体も分離することができる。
【0025】
本発明のプロセスの装置の分離効率は、本質的に沈降トレーの数に依存する。分離効率は、沈降トレーの数によって個々の沈降作業に適合させることができる。沈降トレー数の増加に連れて、分離効率が増加する。
【0026】
本発明の好ましい態様は、n個の沈降トレーをもつ装置(nは2〜1000である)である。
本発明の特に好ましい態様は、nが3〜200の整数である装置である。
【0027】
本発明の非常に好ましい態様は、nが4〜100の整数である装置である。
本発明の第二の好ましい態様は、中心撹拌シャフトをもつ垂直管を含む装置を使用するプロセスである。前記撹拌シャフトは少なくとも一つのレベルに腕木撹拌機を保持する。この腕木撹拌機の水平面には、複数の撹拌ブレードまたは撹拌アームが配置される。
【0028】
固体/液体入口を通して入る固体が上部から下方へ本発明のプロセス装置内を移動する間に、洗浄液体は下部から上方へ流動する。上部から下方へ連続して増加する第二の液相によって第一の液相を置換することにより、固体と一緒に運ばれる第一の液相の割合が減少するように、混合物から固体を分離することができる。新しい洗浄液体は、純粋な第二の液相の形態で液体入口(3)を通して中間区分の下端で装置内に供給する。この向流原理の結果として、固体から第一の液相を非常に効果的に分離できる。
【0029】
腕木撹拌機の幾何学的配置は、上行性の液相2での流れの形成を大きく抑圧するように選択する。特に撹拌ブレードは、垂直管の内壁に殆ど到達するようにする。流れが形成すると、本発明のプロセスの洗浄効率が損なわれる。腕木撹拌機のレベル当たり少なくとも二つの撹拌ブレードまたは撹拌アームが有用であることが知見された。好ましい態様では、前記腕木撹拌機は、レベル当たり3〜8個、特に好ましくは4個の撹拌ブレードまたは撹拌アームを保持する。
【0030】
本発明のプロセスの装置の分離効率は、腕木撹拌機のレベルの数及び間隔に本質的に依存する。分離効率は、レベルの数によって個々の分離作業に適合するようにできる。レベルの数が増加するにつれて、分離効率が増加する。
【0031】
操作の間、腕木撹拌機は中速で回転する。回転速度は通常、0.1〜1000rpmであり、好ましくは1〜200rpmであり、特に好ましくは5〜50rpmである。
最上部の沈降トレーまたは装置の上部区分にとって、下方の沈降トレーよりも直径が大きい方が好都合なことが多い。この寸法であると、最上部の沈降トレーの上清液体出口を形成する出口(2)を通って排出される液体中の固体の割合が減少する。
【0032】
好適な固体/液体混合物は、重力下で固体が沈降するような混合物である。固体含量の上限は、その混合物の流動性によって決定される。この装置は、非常に少ない割合の固体も分離することができる。
【0033】
固体の密度は液相の密度とは異なる。液相中の固体の沈降速度は1mm/分を超えなければならない。固体が沈む速度は、固体と液相との間の密度の差、平均粒径、粒径分布及び液相の粘度に依存する。本発明のプロセスの装置は、>1μmの粒径を持つ固体を分離することができる。粒径を増加させ、密度差を大きくすることによって、分離を促進する。
【0034】
本発明のプロセスの装置の分離効率は、装置の構造を変えたり、操作条件を調整することによって広範囲なそれぞれの分離作業に適合させることができる。第一の好ましい態様では、沈降トレーの数n、沈降漏斗の傾斜、沈降物出口及び上清液体出口の幾何学的配置、並びに流動領域の幾何学的配置も調節することによって、装置の構造を変えることができる。第二の好ましい態様では、本装置の構造は、腕木撹拌機のレベルの数n、レベルの垂直間隔及び撹拌機ブレードまたは撹拌機アームの形状を調節することによって、変えることができる。
【0035】
固体/液体混合物の流入速度及び流出速度、第二の液相の流入速度または腕木撹拌機の回転速度を調節することによって、好都合な操作条件を達成する。
連続して接続されている複数の装置を使用することも可能である。この配置によって、所定の生産高に関して分離効率を改善できる。
【0036】
本発明を図面及び実施例によって詳細に説明する。
図1及び図2の装置は、沈降出口(D)を備えた少なくとも一つの沈降漏斗(A)、少なくとも一つの流動領域(B)及び少なくとも一つの上清液体出口(C)をもつ。
【0037】
図1に示されている底部区分(BT)は漏斗様構造をもち、同時に固体/液体出口(4)を表す底部出口で終端する。上部区分(KT)は固体/液体混合物(1)用の入口をもつ。上部区分(KT)はさらに、液体出口(2)をもつ。中間区分(MT)はn個の沈降トレーをもち、液体入口(3)をもつ。
【0038】
図2に示されている沈降トレー(ST)は、沈降物出口(D)をもつ沈降漏斗(A)、流動領域(B)及び上清液体出口(C)をもつ。流動領域(B)では、第一の液相と第二の液相の混合物が固体の堅く締まっていない床を通って次の下の段階の上清液体出口(C)から流れ、少なくとも部分的置換洗浄を実施する。図2に示されている沈降漏斗は、内部漏斗セグメント(A1)と外部漏斗セグメント(A2)とを含む。内部漏斗セグメント(A2)は回転可能な中心シャフト(E)に固定されている。
【0039】
図3の装置は垂直管(F)と中心撹拌シャフト(G)とをもつ。この撹拌シャフトは、多数のレベルに相互に他方の上に配置された腕木撹拌機を保持する。それぞれのレベルは殆ど壁まで伸張する少なくとも4個の丸い撹拌アームをもつ。
【0040】
図3に示されている装置の底部区分(BT)は、漏斗様形状をもち、固体/液体出口(4)を表す底部出口で終端する。上部区分(KT)には液体出口(2)が備えられている。管(F)の上端部には固体/液体混合物(1)用の入口がある。洗浄液体は入口(3)を経て導入される。
【実施例】
【0041】
実施例1
直径120mmの図1に示されている型の実験装置を使用した。この装置は20個の沈降トレーを備えていた。
【0042】
N-メチルピロリドン(水5重量%含有)中に懸濁させたポリフェニレンスルフィド25重量%と固体塩化ナトリウム5重量%との混合物を、400g/分で、図1に示されている装置の固体/液体入口(1)に温度65℃で供給した。同時に水を300ml/分で、液体入口(3)に温度50℃で供給した。水200g中のポリフェニレンスルフィド100gの懸濁液を300g/分で固体/液体出口(4)で取りだした。取りだした水中のポリフェニレンスルフィド懸濁液は、導入した塩化ナトリウムの0.5重量%未満を含有していた。固体/液体出口(4)で取りだした水性液体相のNMP含有量は1%未満であった。
【0043】
液体出口(2)では、導入した塩化ナトリウムの99.5%を超えて含有する水とNMPとの混合物を排出した。NMP/水混合物は、65重量%を超えるNMPを含有していた。液体出口(2)を通るPPS固体の測定可能な排出量は観察されなかった。ポリフェニレンスルフィドを単離するために、この混合物を乾燥した。NMP/水混合物を蒸留し、NMPを回収した。
【0044】
実施例2
この沈降装置は、直径60mm、長さ600mmで、その撹拌ブレードが殆ど壁まで伸張する複数の腕木撹拌機を備えた垂直管を含んでいた。垂直撹拌シャフトに沿った撹拌ブレードのレベル間隔は50mmであった。上部区分及び底部区分を備えた沈降装置を図3に示す。
【0045】
撹拌機速度を100rpmに設定した。N-メチルピロリドン(5重量%水を含有)に懸濁させたポリフェニレンスルフィド25重量%と固体塩化ナトリウム5重量%との混合物を180g/分で、図2に示されている装置の固体/液体入口(1)に温度65℃で供給した。同時に水を110ml/分で液体入口(3)に温度65℃で供給した。水80g中のポリフェニレンスルフィド45gの懸濁液を125g/分で固体/液体出口(4)から取りだした。取りだした水中のポリフェニレンスルフィド懸濁液は、導入した塩化ナトリウムの0.2重量%未満を含有していた。固体/液体出口で取りだした水性液体相のNMP含有量は0.5重量%未満であった。
【0046】
液体出口(2)では、導入した塩化ナトリウムの99.5%を超えて含有する水とNMPとの混合物を排出した。このNMP/水混合物は65重量%を超えるNMPを含有していた。液体出口(2)を通る測定可能な量のPPS固体の排出は観察されなかった。ポリフェニレンスルフィドを単離するために、出口(4)で取りだしたPPS/水混合物を乾燥した。NMP/水混合物を蒸留し、NMPを回収した。
【0047】
これらの実施例は、高度に希釈洗浄液を得ることなく、沈降装置でNMP中に懸濁させた塩化ナトリウムで混合物からポリフェニレンスルフィドを分離し得ることを示した。多量の水を蒸発させることなく、NMPは蒸留によって完全に回収することができる。PPSからのNMPと塩化ナトリウムとの分離は、有意に99%を超えていた。
【0048】
NMPが好都合に回収でき、且つPPSの損失が少ない本発明の方法は、工業的に重要である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、沈降装置としての本発明のプロセスの装置の第一の好ましい態様の例示である。
【図2】図2は、図1の装置の部分(繰り返し単位)を示す。
【図3】図3は、本発明の方法を実施するための装置の第二の好ましい態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンスルフィド、ポリアリーレンスルフィドの製造中に生成する副生成物である塩、及び高沸点溶媒を含有する第一の液相から、重力下での沈降によって、懸濁しているポリアリーレンスルフィドの1μmより大きい粒径を有する固体粒子を分離する方法であって、
前記第一の液相中に懸濁しているポリアリーレンスルフィドを、向流で、前記高沸点溶媒を含まない第二の液相の上方へ向かう流れと、下向きに接触させ、それによって、前記懸濁しているポリマーが前記第二の液相に転移し、前記高沸点溶媒及び副生成物である塩が上方へ向かって運ばれ;
かかる方法が、少なくとも一つの上部区分、少なくとも一つの底部区分、及び少なくとも一つの中間区分を含む、単一の装置であって、
a)前記第一の液相中の固体を前記装置に供給するための、前記少なくとも一つの上部区分にある少なくとも一つの固体/液体入口、
b)前記第二の液相中の洗浄された固体スラリーを排出するための、前記少なくとも一つの底部区分にある少なくとも一つの固体/液体出口、
c)前記第二の液相を上方へ向かう流れで導入するための、少なくとも一つの底部区分にある少なくとも一つの液体入口、
d)前記高沸点溶媒及び副生成物である塩を排出するための、少なくとも一つの上部区分にある少なくとも一つの液体出口、及び
e)中速で攪拌するための、少なくとも一つの中間区分にある機械的な攪拌手段、
を備えている装置内で行われ;そして、
かかる方法は、前記第一の液相中の前記高沸点溶媒の1重量%未満が、前記少なくとも一つの固体/液体出口を通過するような分離効率を有する;
当該方法。
【請求項2】
前記懸濁しているポリアリーレンスルフィドを洗浄している間に、前記懸濁しているポリアリーレンスルフィドの少なくとも部分的な置換洗浄が起きる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の液相が主構成要素として有機溶媒を含み、前記第二の液相が主構成要素として水を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアリーレンスルフィドが、ポリフェニレンスルフィドである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記d)少なくとも一つの液体出口を通して排出される液体中の、前記第二の液相の割合が、前記第一の液相をベースとして、80重量%未満である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第一の液相と前記第二の液相とが混和可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記懸濁しているポリアリーレンスルフィドの密度が、前記第一の液相と前記第二の液相の密度とは異なる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記装置がn個の段階をもち、nは1以上の整数である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記懸濁しているポリアリーレンスルフィドが、重力下での沈降により装置内を移動する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記装置が、少なくとも一つの上部区分(KT)、少なくとも一つの底部区分(BT)、及びこれらの間にn個の沈降トレーをもつ少なくとも一つの中間区分(MT)を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記懸濁しているポリフェニレンスルフィドが、それぞれの沈降トレーの上行性洗浄液の流れに対して正反対の方向には沈降しない、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
複数の装置が直列または並列で接続されている、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第一の液相中の前記溶媒がN−メチルピロリドンである、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第一の液相中の前記副生成物が塩化ナトリウムを含み、前記第一の液相が水をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記b)少なくとも一つの固体/液体出口を通過したN−メチルピロリドンの濃度が、全液体量の1重量%未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記b)少なくとも一つの固体/液体出口を通過したN−メチルピロリドンの濃度が、全液体量の0.5重量%未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
分離される主な副生成物が塩化ナトリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記d)少なくとも一つの液体出口を通過した塩化ナトリウムの濃度が、前記a)少なくとも一つの固体/液体入口を通じて入った最初の塩化ナトリウムの量の99.5%よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリアリーレンスルフィドから分離されるN−メチルピロリドン及び塩化ナトリウムの量が、前記a)少なくとも一つの固体/液体入口を通じて入った最初の量の99%よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第二の液相中の洗浄液が水である、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−274294(P2008−274294A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160034(P2008−160034)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【分割の表示】特願2001−544971(P2001−544971)の分割
【原出願日】平成12年12月13日(2000.12.13)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】