説明

液量検出方法、プリンタ及び印刷システム

【課題】インクの有無に関わらず、残留振動を励起させる。
【解決手段】本発明のインク量検出方法は、インクを収容するインク収容部の所定位置に設けられた圧電素子に駆動信号を印加し、前記駆動信号の印加後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、前記所定位置での前記インクの有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して、前記出力信号に基づいて前記所定位置でのインクの有無を検出する。そして、本発明では、前記駆動信号は、前記所定位置に前記インクがあるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記インクがないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液量検出方法、プリンタ及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インク滴を用紙に吐出することによって、用紙にドットを形成する。そして、用紙の所定の位置にドットを形成することにより、無数のドットから構成される印刷画像が用紙に印刷される。このようなプリンタでは、印刷によりインクを消費する。そして、インクが切れたとき、ユーザは、インクカートリッジの交換を行う。
【0003】
インクカートリッジ内のインク量を検出する方法として、インクカートリッジに取り付けられた圧電素子に駆動信号を印加し、駆動信号の印加後の残留振動による圧電素子からの出力信号を検出し、圧電素子の出力信号に基づいて、インク残量を検出する方法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−146019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この検出方法では、残留振動の共振周波数の違いを利用している。つまり、圧電素子により検出された残留振動の共振周波数が、例えば30kHzならばインクがあり、例えば100kHzならばインクがない等として、圧電素子の取付位置でのインクの有無を検出している。
【0005】
しかし、圧電素子の取付位置にインクがあるときの残留振動の共振周波数で圧電素子を駆動すると、圧電素子の取付位置にインクがないときに、残留振動が生じにくくなる。また、圧電素子の取付位置にインクがないときの残留振動の共振周波数で圧電素子を駆動すると、圧電素子の取付位置にインクがあるときに、残留振動が生じにくくなる。この結果、インクの有無を正確に検出できないおそれがある。
【0006】
また、最初に、圧電素子の取付位置にインクがあるときの残留振動の共振周波数で圧電素子を駆動して、圧電素子の取付位置にインクがあるかを検出し、次に、圧電素子の取付位置にインクがないときの残留振動の共振周波数で圧電素子を駆動して、圧電素子の取付位置にインクがないかを検出したのでは、2回検出動作が必要になり、検出時間が長くなる。
【0007】
そこで、本発明は、圧電素子の取付位置のインクの有無に関わらず、検出に十分な残留振動を励起させる駆動信号を、圧電素子に印加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、液体を収容する液体収容部の所定位置に設けられた圧電素子に駆動信号を印加し、
前記駆動信号の印加後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、
前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して、前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する
液量検出方法であって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
液体を収容する液体収容部の所定位置に設けられた圧電素子に駆動信号を印加し、
前記駆動信号の印加後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、
前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して、前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する
液量検出方法であって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とする液量検出方法。
このような液量検出方法によれば、前記所定位置での液体の有無に関わらず、残留振動を励起させることができる。
【0012】
かかる液量検出方法であって、前記第1駆動波形部と前記第2駆動波形部のうち、前記共振周波数の低い方の波形部が先に前記圧電素子に印加されることが望ましい。共振周波数の低い振動の方が、減衰しにくいからである。また、前記共振周波数の低い方の波形部を複数回連続して前記圧電素子に印加した後、前記共振周波数の高い方の波形部を前記圧電素子に印加することが望ましい。共振周波数の低い振動の方が、振幅が大きくなりにくいからである。
【0013】
かかる液量検出方法であって、前記第1駆動波形部を前記圧電素子に印加した後、前記第2駆動波形部を前記圧電素子に印加することが望ましい。前記所定位置に液体がある場合の方が、残留振動が減衰しにくいからである。また、前記第1駆動波形部を複数回連続して前記圧電素子に印加した後、前記第2駆動波形部を前記圧電素子に印加することが望ましい。前記所定位置に液体がある場合の方が、残留振動の振幅が大きくなりにくいからである。
【0014】
かかる液量検出方法であって、前記第1駆動波形部及び前記第2駆動波形部は、前記残留振動の共振周波数に応じた期間だけ、前記圧電素子を駆動することが望ましい。また、前記第1駆動波形部は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号であることが好ましい。これにより、前記所定位置に液体があるときに、残留振動が励起される。また、前記第2駆動波形部は、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号であることが好ましい。これにより、前記所定位置に液体がないときに、残留振動が励起される。
【0015】
かかる液量検出方法であって、駆動信号生成部が、前記液体収容部に収容された液体を吐出するための吐出用駆動信号を生成し、前記圧電素子とは別の駆動素子が前記吐出用駆動信号により駆動されて、ノズルから前記液体が吐出され、前記駆動信号生成部が、前記第1駆動波形部及び前記第2駆動波形部を含む前記駆動信号を生成し、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動されることが望ましい。これにより、駆動信号生成部を兼用することができる。
【0016】
かかる液量検出方法であって、スイッチを切り替えることにより、前記駆動信号生成部が生成した信号を、前記駆動素子及び前記圧電素子のうちの一方に印加することが望ましい。これにより、駆動信号生成部が生成した信号を、前記駆動素子及び前記圧電素子のうちの一方に、選択的に印加することができる。但し、前記駆動信号生成部が生成した信号を、前記圧電素子に印加するスイッチを備えても良い。
【0017】
かかる液量検出方法であって、液体を吐出するヘッドの制御回路を動作させるための電源の電圧よりも、前記駆動信号の電圧の方が高いことが望ましい。これにより、高い電圧で、圧電素子を駆動することができる。
【0018】
かかる液量検出方法であって、前記液体収容部の中の液体の状態の影響を前記圧電素子が受けないようにするためのバッファ室が、前記所定位置の近傍に、設けられていることが望ましい。これにより、液体収容部内の液体の状態(例えば振動等)の影響を受けずに、残留振動を検出することができる。
【0019】
かかる液量検出方法であって、前記液体収容部には開口部が設けられており、前記開口部が振動板により塞がれており、前記振動板に前記圧電素子が設けられており、前記開口部の中心と前記圧電素子の中心が一致していることが望ましい。これにより、振動板の共振周波数を精度良く検出できる。
【0020】
かかる液量検出方法であって、前記液体がインクであることが望ましい。これにより、例えばプリンタに用いられるインクカートリッジのインク残量を検出することができる。
【0021】
液体を収容する液体収容部であって、前記液体収容部の所定位置に圧電素子が設けられた液体収容部を、取り外し可能に装着する装着部と、
前記圧電素子に印加するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号を前記圧電素子に印加し、その後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する、コントローラと、
を備えるプリンタであって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とするプリンタ。
このようなプリンタであれば、前記所定位置での液体の有無に関わらず、残留振動を励起させることができ、精度良く液量を検出することができる。
【0022】

コンピュータと、前記コンピュータと接続されたプリンタと、を備える印刷システムであって、
前記プリンタは、
液体を収容する液体収容部であって、前記液体収容部の所定位置に圧電素子が設けられた液体収容部を、取り外し可能に装着する装着部と、
前記圧電素子に印加するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号を前記圧電素子に印加し、その後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する、コントローラと、
を備え、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムによれば、前記所定位置での液体の有無に関わらず、残留振動を励起させることができ、精度良く液量を検出することができる。
【0023】
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0024】
プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示するためのものである。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
【0025】
===コンピュータ===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間に介在し、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したように、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
【0026】
プリンタドライバは、コンピュータ110に、画像データを印刷データに変換させ、この印刷データをプリンタ1へ送信する。印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データSI(図8等を参照。)とを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。
【0027】
===プリンタ===
<プリンタ1の構成について>
図3Aは、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタ1の構成を説明する側面図である。なお、以下の説明では、図2も参照する。
【0028】
プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、検出器群50、プリンタ側コントローラ60、及び駆動信号生成回路70を有する。なお、本実施形態において、プリンタ側コントローラ60及び駆動信号生成回路70は、共通のコントローラ基板CTRに設けられている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド41とを有している。
【0029】
このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC、ヘッド41)、及び駆動信号生成回路70が制御される。これにより、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、検出器群50の各検出器は、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各検出器は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
【0030】
<用紙搬送機構20について>
用紙搬送機構20は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当する。この用紙搬送機構20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりする。この搬送方向は、キャリッジ移動方向と交差する方向である。そして、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に送るためのローラであり、この例ではD形の断面形状をしている。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのモータであり、その動作は、プリンタ側コントローラ60によって制御される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを、印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。この搬送ローラ23の動作も搬送モータ22によって制御される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、この用紙Sの裏面側から支持する部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
【0031】
<キャリッジ移動機構30について>
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。なお、ヘッドユニット40はヘッド41を有するので、キャリッジ移動方向はヘッド41の移動方向に相当し、キャリッジ移動機構30はヘッド41を移動方向に移動させるヘッド移動部に相当する。そして、このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、従動プーリー35とを有する。キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための駆動源に相当する。このキャリッジモータ31は、プリンタ側コントローラ60によって動作が制御される。そして、キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側のキャリッジ移動方向の他端側には、従動プーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34と従動プーリー35に架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRは、このガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。
【0032】
キャリッジCRには、取り外し可能にインクカートリッジ87が装着される。インクカートリッジ87には、インクが収容されており、このインクがヘッド41に供給される。なお、本実施形態のインクカートリッジには、収容しているインクの残量を検出するための液面検出部90(後述)が設けられている。
【0033】
<ヘッドユニット40について>
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものである。このヘッドユニット40は、キャリッジCRに取り付けられている。このヘッドユニット40が有するヘッド41は、ヘッドケース42の下面に設けられている。また、ヘッドユニット40が有するヘッド制御部HCは、ヘッドケース42の内部に設けられている。なお、このヘッド制御部HCについては、後で詳しく説明する。
【0034】
図4は、ヘッド41の構造を説明するための断面図である。例示したヘッド41は、流路ユニット41Aと、アクチュエータユニット41Bとを有する。流路ユニット41Aは、ノズルNzが設けられたノズルプレート411と、インク貯留室412aとなる開口部が形成された貯留室形成基板412と、インク供給口413aが形成された供給口形成基板413とを有する。アクチュエータユニット41Bは、圧力室414aとなる開口部が形成された圧力室形成基板414と、圧力室414aの一部を区画する振動板415と、供給側連通口416aとなる開口部が形成された蓋部材416と、振動板415の表面に形成されたピエゾ素子417とを有する。このヘッド41には、インク貯留室412aから圧力室414aを通ってノズルNzに至る一連の流路が形成されている。使用時において、この流路はインクで満たされており、ピエゾ素子417を変形させることで、対応するノズルNzからインクを吐出させることができる。従って、このヘッド41において、ピエゾ素子417は、インクを吐出させるための動作を実行可能な素子に相当する。
【0035】
そして、各ノズルNzからは、量が異なる複数種類のインクを吐出させることができる。例えば、各ノズルNzからは、大ドットを形成し得る量の大インク滴、中ドットを形成し得る量の中インク滴、及び小ドットを形成し得る量の小インク滴からなる3種類のインクを吐出させることができる。これにより、プリンタ1は、用紙S上の各画素において、ドット無し、小ドット、中ドット及び大ドットの4階調を表現できる。
【0036】
<検出器群50について>
検出器群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。図3A、図3Bに示すように、この検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出器53、及び光学センサ54等が含まれている。リニア式エンコーダ51は、キャリッジCR(ヘッド41、ノズルNz)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出器53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。光学センサ54は、キャリッジCR上に設けられ、対向する位置の用紙Sの有無を検出可能であり、例えば、移動中に用紙Sの端部を検出することにより用紙Sの幅を検出することができる。
【0037】
<プリンタ側コントローラ60について>
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間で、データの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。
【0038】
また、CPU62は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに出力したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。ヘッド制御信号には、転送用クロックCLK、画素データSI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号等が含まれる。また、駆動信号COMを生成させるための制御信号については、後述するDAC値が含まれる。
【0039】
<駆動信号生成回路70について>
駆動信号生成回路70は、ピエゾ素子を駆動するための駆動信号を生成するものであり、駆動信号生成部に相当する。本実施形態では、駆動信号生成回路70は、それぞれノズル毎に設けられている複数のピエゾ素子417に共通に用いられる吐出用駆動信号COM、又は、後述するインク量の検出のために設けられている検出用ピエゾ素子911を駆動するための検出用駆動信号、を駆動信号として生成する。
【0040】
図5は、駆動信号生成回路70の構成を説明するブロック図である。この駆動信号生成回路70は、波形生成回路71と、電流増幅回路72とを有している。図6は、波形生成回路71に入力されるDAC値と、波形生成回路71から出力される出力電圧との関係を説明する図である。
【0041】
波形生成回路71は、D/A変換器711と、電圧増幅回路712とを有している。D/A変換器711は、DAC値に応じた電圧信号を出力する電気回路である。このDAC値は、電圧増幅回路712から出力させる電圧(以下、出力電圧ともいう。)を指示するための情報であり、メモリ63に記憶された波形データに基づき、CPU62から出力される。本実施形態において、DAC値は10ビットのデータによって構成されているが、便宜上、図では16進数で示している。
【0042】
電圧増幅回路712は、D/A変換器711からの出力電圧を、ピエゾ素子417の動作に適した電圧まで増幅する。本実施形態の電圧増幅回路712では、D/A変換器711からの出力電圧を、最大40数Vまで増幅する。そして、増幅後の出力電圧は、制御信号S_Q1及び制御信号S_Q2として電流増幅回路72に出力される。
【0043】
例えば、CPU62からD/A変換器711Aに入力されたDAC値が16進数で「24Eh」の場合(2進数で「1001001110」の場合)、電圧増幅回路712で増幅された後の出力電圧は25Vとなる。また、CPU62からD/A変換器711に入力されたDAC値が16進数で「0h」の場合(2進数で「0000000000」の場合)、電圧増幅回路712で増幅された後の出力電圧は1.4Vとなり、入力されたDAC値が16進数で「3FF」の場合(2進数で「1111111111」の場合)、電圧増幅回路712で増幅された後の出力電圧は42.32Vとなる。すなわち、波形生成回路71の最低出力電圧は1.4Vであり、CPU62から入力されるDAC値が1つ大きくなると、波形生成回路の出力電圧が0.04Vだけ上昇する。
【0044】
電流増幅回路72は、多数のピエゾ素子417が支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。電流増幅回路72は、トランジスタ対721を有する。そして、このトランジスタ対721は、互いのエミッタ端子同士が接続されたNPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2を有する。NPN型のトランジスタQ1は、駆動信号の電圧上昇時に動作するトランジスタである。このNPN型のトランジスタQ1は、コレクタが電源に、エミッタが駆動信号の出力信号線に、それぞれ接続されている。PNP型のトランジスタQ2は、電圧降下時に動作するトランジスタである。PNP型のトランジスタQ2は、コレクタが接地(アース)に、エミッタが駆動信号の出力信号線に、それぞれ接続されている。なお、NPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2のエミッタ同士が接続されている部分の電圧(駆動信号の電圧)は、符号FBで示すように、電圧増幅回路712へフィードバックされている。
【0045】
そして、この電流増幅回路72は、波形生成回路71からの出力電圧によって動作が制御される。例えば、出力電圧が上昇状態にあると、制御信号S_Q1によってNPN型のトランジスタQ1がオン状態となる。これに伴い、電流I1が流れて、駆動信号の電圧も上昇する。一方、出力電圧が降下状態にあると、制御信号S_Q2によってPNP型のトランジスタQ2がオン状態となる。これに伴い、電流I2が流れて、駆動信号の電圧も降下する。なお、出力電圧が一定である場合、NPN型のトランジスタQ1もPNP型のトランジスタQ2もオフ状態となる。その結果、駆動信号は一定電圧となる。
【0046】
<駆動信号生成回路70の動作について>
図7Aは、駆動信号生成回路70により生成される駆動信号の一部分を説明する図である。図7Bは、電流増幅回路72の出力電圧を、電圧V1から電圧V4まで降下させる動作を説明するための図である。
【0047】
プリンタ側コントローラ60のCPU62は、まず、駆動信号を生成するためのパラメータに基づき、更新周期τ毎の出力電圧を求める。図7Aに示される駆動パルスPS´を例に挙げると、パラメータとしては、駆動電圧Vhと、この駆動電圧Vhと基準電圧Vcの関係を規定する比率と、中間電圧VCを維持する時間PWh1と、中間電圧VCから最低電圧VLまで一定の傾きで電圧を降下させる時間PWd1と、最低電圧VLを維持する時間PWh2と、最低電圧VLから最高電圧VHまで一定の傾きで電圧を上昇させる時間PWc1と、最高電圧VHを維持する時間PWh3と、最高電圧VHから中間電圧VCまで一定の傾きで電圧を降下させる時間PWd2と、中間電圧VCを維持する時間PWh4がある。
【0048】
ここで、駆動電圧Vhは、駆動パルスPS´における最高電圧VHと最低電圧VLの電圧差である。言い換えれば、ピエゾ素子417における最低電位(最低電圧VLによって定まる電位)と最高電位(最高電圧VHによって定まる電位)の差に相当する。基準電圧Vcは、ピエゾ素子417における基準となる変形状態を定めている。本実施形態は、この基準電圧Vcを、駆動電圧Vhの40%としている。このため、駆動電圧Vhと基準電圧Vcの関係を規定する比率として、値「0.4」が記憶されている。中間電圧VCは、最低電圧VLに基準電圧Vcを加算して得られた電圧である。また、最高電圧VHは、最低電圧VLに駆動電圧Vhを加算して得られた電圧である。そして、これらのパラメータは、メモリ63に記憶されている。
【0049】
CPU62は、メモリ63に記憶されているパラメータに基づいて、駆動電圧Vhを定める。駆動電圧Vhを定めると、CPU62は、基準電圧Vc、中間電圧VC、最高電圧VHを算出する。そして、CPU62は、前述した時間PWh1〜時間PWh4を用いて、更新周期τ毎の出力電圧を求める。この更新周期τは、例えば0.1μs(クロックCLK=10MHz)〜0.05μs(クロックCLK=20MHz)である。そして、求められた更新周期τ毎の出力電圧に基づいて、更新周期τ毎のDAC値が定められ、例えばメモリ63の作業領域(図示せず)に記憶される。
【0050】
駆動信号を生成する場合には、CPU62は、更新周期τ毎のDAC値を、D/A変換器711Aへ順次出力する。図7Bの例では、クロックCLKで規定されるタイミングt(n)で電圧V1に対応するDAC値が出力される。これにより、周期τ(n)にて、電圧増幅回路712からは電圧V1が出力される。そして、更新周期τ(n+4)までは、電圧V1に対応するDAC値がCPU62からD/A変換器711に順次入力され、電圧増幅回路712からは電圧V1が出力され続ける。また、タイミングt(n+5)では、電圧V2に対応するDAC値がCPU62からD/A変換器711に入力される。これにより、周期τ(n+5)にて、電圧増幅回路712の出力は、電圧V1から電圧V2へ降下する。同様に、タイミングt(n+6)では、電圧V3に対応するDAC値がCPU62からD/A変換器711に入力され、電圧増幅回路712の出力が電圧V2から電圧V3へ降下する。以下同様に、DAC値がD/A変換器711に順次入力されるため、電圧増幅回路712から出力される電圧は、次第に降下する。そして、周期τ(n+10)にて、電圧増幅回路712の出力は電圧V4まで降下する。
【0051】
このようにして、図7Aに示される信号が、波形生成回路71から出力され、電流増幅回路72から駆動信号として出力される。
【0052】
<ヘッド制御部HCについて>
図8は、ヘッド制御部HCの構成を説明するブロック図である。図9には、吐出用駆動信号COMが示されている。
【0053】
図に示すように、ヘッド制御部HCには、プリンタ側コントローラ60から、ヘッド制御信号が入力される。また、駆動信号生成回路70から出力される駆動信号が、ヘッド制御部HCの上流側に設けられた選択スイッチ65に入力される。選択スイッチ65がヘッド制御部HC側の端子に接続すると、駆動信号生成回路70から出力される駆動信号が、複数のピエゾ素子に共通に用いられる吐出用駆動信号COMとして、ヘッド制御部HCに入力される。
【0054】
ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、制御ロジック84と、スイッチ85と、を備えている。制御ロジック84を除いた各部、すなわち、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、スイッチ85は、それぞれピエゾ素子417毎に設けられる。なお、ピエゾ素子417はノズル毎に設けられているので、言い換えると、これらの各部は、ノズル毎に設けられていることになる。
【0055】
ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ60からの印刷データ(画素データSI)に基づき、インクを吐出させるための制御を行う。本実施形態では、画素データが2ビットで構成されており、クロック信号CLKに同期して、この画素データが記録ヘッド41へ送られてくる。この画素データは、上位ビット群から下位ビット群の順で送られる。本実施形態のヘッド41の各ノズル列は、1番目のノズル#1から180番目のノズル#180までの180個のノズルを有する。このため、画素データは、ノズル#1の上位ビット、ノズル#2の上位ビット、…、ノズル#179の上位ビット、ノズル#180の上位ビット、ノズル#1の下位ビット、ノズル#2の下位ビット、…、ノズル#179の下位ビット、ノズル#180の下位ビットの順で送られてくる。この結果、各画素データの上位ビット群が第1シフトレジスタ81Aにセットされ、下位ビット群が第2シフトレジスタ81Bにセットされる。
【0056】
各第1シフトレジスタ81Aにはそれぞれ第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、各第2シフトレジスタ81Bにはそれぞれ第2ラッチ回路82Bが電気的に接続されている。そして、プリンタ側コントローラ60からのラッチ信号LATがHレベルになると、つまり、ラッチパルスが第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bに入力されると、第1ラッチ回路82Aは第1シフトレジスタ81Aの上位ビットをラッチし、第2ラッチ回路82Bは第2シフトレジスタ81Bの下位ビットをラッチする。
【0057】
第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bには、デコーダ83が電気的に接続されている。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bにラッチされた画素データ(上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダ83に入力される。
【0058】
図9には、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHが示されている。また、この図には、波形選択信号q0〜q3が示されている。
【0059】
制御ロジック84には、CPU62からラッチ信号LAT、チェンジ信号CHが入力される。制御ロジック84は、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHに基づいて、図9に示される波形選択信号q0〜q3を生成する。制御ロジック84により生成された波形選択信号q0〜q3は、各デコーダ83に入力される。
【0060】
デコーダ83は、第1ラッチ回路82Aと第2ラッチ回路82Bにラッチされた画素データに基づいて、スイッチ85のオンオフを制御するスイッチ制御信号SWを出力する。画素データが「00」の場合、デコーダ83は、スイッチ制御信号SWとして波形選択信号q0を出力する。画素データが「01」の場合、デコーダ83は、スイッチ制御信号SWとして波形選択信号q1を出力する。画素データが「10」の場合、デコーダ83は、スイッチ制御信号SW1として波形選択信号q2を出力する。画素データが「11」の場合、デコーダ83は、スイッチ制御信号SWとして波形選択信号q3を出力する。スイッチ制御信号SWがHレベルであればスイッチ85はオン状態になり、Lレベルであればオフ状態になる。
【0061】
各スイッチ85には駆動信号COMが共通に入力される。スイッチ85がオン状態であれば、駆動信号COMがピエゾ素子417に入力される。スイッチ85がオフ状態であれば、駆動信号COMはピエゾ素子417に入力されない。スイッチ85の出力側は、ピエゾ素子417に電気的に接続されている。スイッチ85がオンオフすることにより、駆動信号COMを構成する波形部がピエゾ素子417に選択的に印加される。
【0062】
図9には、ピエゾ素子417に印加される印加信号が示されている。この結果、画素データが「00」の場合、駆動信号COMに含まれる6つのパルスはどれも印加されず、ピエゾ素子417が駆動されず、インク滴は吐出されない。画素データが「01」の場合、駆動信号COMに含まれる1つのパルスが印加され、このパルスに応じてピエゾ素子417が駆動され、小インク滴が吐出され、用紙に小ドットが形成される。同様に、画素データが「10」の場合、駆動信号COMに含まれる2つのパルスが印加され、用紙に中ドットが形成される。また、画素データが「11」の場合、駆動信号COMに含まれる6つのパルスが印加され、用紙に大ドットが形成される。
【0063】
<印刷処理について>
図10は、印刷処理を説明するフローチャートである。前述した構成を有するプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63に格納されたコンピュータプログラムに従って、制御対象部(用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路70)を制御して、これらの処理を行う。従って、このコンピュータプログラムは、これらの処理を実行するため、制御対象部を制御するためのコードを有する。
【0064】
この印刷処理は、印刷命令の受信(S10)、給紙動作(S20)、ドット形成動作(S30)、搬送動作(S40)、排紙判断(S50)、排紙動作(S60)、及び印刷終了判断(S70)を有している。以下、各処理について、簡単に説明する。
【0065】
印刷命令の受信(S10)は、コンピュータ110からの印刷命令を受信する処理である。この処理において、プリンタ側コントローラ60はインタフェース部61を介して印刷命令を受信する。
給紙動作(S20)は、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂頭出し位置)に位置決めする動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動するなどして、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させる。
ドット形成動作(S30)は、用紙Sにドットを形成するための動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ31を駆動したり、駆動信号生成回路70やヘッド41に対して制御信号を出力したりする。これにより、ヘッド41の移動中にノズルNzからインクが吐出され、用紙Sにドットが形成される。
搬送動作(S40)は、用紙Sを搬送方向へ移動させる動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動して搬送ローラ23を回転させる。この搬送動作により、先程のドット形成動作によって形成されたドットとは異なる位置に、ドットを形成することができる。
排紙判断(S50)は、印刷対象となっている用紙Sに対する排出の要否を判断する動作である。この判断は、例えば、印刷データの有無に基づき、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
排紙処理(S60)は、用紙Sを排出させる処理であり、先程の排紙判断で「排紙する」と判断されたことを条件に行われる。この場合、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることで、印刷済みの用紙Sを外部に排出させる。
印刷終了判断(S70)は、印刷を続行するか否かの判断である。この判断も、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
【0066】
===インク量の検出方法===
<概要>
図11は、キャリッジCR及びキャリッジCRに装着されたインクカートリッジ87の断面図である。
【0067】
インクカートリッジ87には、内部にインクを収容するためのインク収容部871が設けられている。また、カートリッジ87には、インクを供給するための供給部872が設けられている。キャリッジCRには針Pが設けられており、インクカートリッジ87がキャリッジCRに装着されると、針Pが供給部872に突き刺さり、インク収容部871の中のインクが供給部872からヘッド41へ供給されるようになる。
【0068】
印刷によりインクを消費すると、インク収容部871内のインクの量が減り、インク収容部871内のインクの液面が下がってくる。そこで、本実施形態では、インク収容部871内の所定位置(検出位置と呼ぶ)に、液面検出部90が設けられている。この液面検出部90は、検出位置でのインクの有無を検出することにより、インク収容部871内のインクの液面が検出位置に達したことを検出する。これにより、プリンタ側コントローラ60は、液面検出部90からの検出結果に基づいて、インク収容部871内のインクの残量を検出することができる。
【0069】
プリンタ側コントローラ60は、インク収容部871内のインクの液面が検出位置に達したことを検出した場合、コンピュータ110にその旨を通知する。コンピュータ110は、その検出結果に基づいて、インクカートリッジのインク残量を表示装置120に表示する。もちろん、検出結果に基づいて、プリンタ側コントローラやコンピュータ110がユーザに対して警告を行っても良いし、他の動作をしても良い。
【0070】
なお、インク量の検出処理は、プリンタ1の電源投入時や、インクカートリッジ87の交換時に行われる。また、所定のジョブの前後に行っても良い。また、インクの吐出回数をプリンタ1がカウントし、そのカウント値が所定値に達したときに、インク量の検出処理が行われても良い。
【0071】
<液面検出部90の構成>
図12Aは、液面検出部90の構成の説明図である。液面検出部90は、振動部91と、バッファ室92と、第1インク流路93、第2インク流路94とを備えている。振動部91は、ピエゾ素子911と、振動板912とを有する。バッファ室92は、インク収容部871及び第1インク流路93の状態によって、振動部91の近傍のインクの振動が影響を受けないようようにするためのインク室である。このバッファ室92とインク収容部871とは、第1インク流路93及び第2インク流路94とを介して連結されている。インク収容部81の液面が下がり、インク収容部81の液面が振動部91よりも低い位置に変化すると、第1インク流路93から空気が流入し、振動部91はインクに接しなくなる。仮に、振動部91がインク収容部871のインクに直接接していると、表面張力の影響により、インク収容部871内の液面が振動部91よりも低くなっても、振動部91がインクに接する可能性がある(図12B参照)。本実施形態では、第1インク流路93・第2インク流路94により、毛細管現象を利用して、インク収容部871内の液面が振動部91よりも低くなると速やかに振動部91はインクに接しなくなるので、インク収容部871内の液面の位置を正確に検出できる。
【0072】
ピエゾ素子911は、振動板912に設けられている。振動板912は、カートリッジ87の開口部を塞ぐように、カートリッジ87の側面に設けられている。すなわち、振動板912の一方の面にはピエゾ素子911が設けられ、他方の面にはインク又は空気が接している。振動板912がインクに接するか空気に接するかは、インク収容部871の中のインクの液面の高さに応じて、変わることになる。
【0073】
<振動部91の構成>
図13Aは、振動部の詳細な構成を説明するための平面図である。図13Bは、B−B断面図である。図13Cは、C−C断面図である。
【0074】
ピエゾ素子911は、圧電層911a、上部電極911b及び下部電極911cから構成される。圧電層911a、上部電極911b及び下部電極911cは、主要部が円形になっている。この円形部分において、圧電層911aは、上部電極911bと下部電極911cに挟み込まれる。この上部電極911bに上部電極端子911dが電気的に結合する。また、下部電極911cに下部電極端子911eが電気的に結合する。また、下部電極端子911eは、下部電極911cに電気的に接続するように、振動板912の表面に形成される。一方、上部電極端子911dは、補助電極911fを介して上部電極911bと電気的に接続するように、振動板912の表面に形成される。これにより、圧電層911a及び上部電極911bが補助電極911fに支持される構成になり、機械的強度を向上できる。
【0075】
下部電極911cは、インク収容部871の開口部871aの反対側の振動板912の表面に位置している。下部電極911cの円形部分の中心は、インク収容部871の開口部871aの中心とほぼ一致する。なお、下部電極911cの円形部分の面積は、開口部871aの面積よりも小さい。一方、上部電極911bの円形部分の中心は、インク収容部871の開口部871aの中心とほぼ一致する。なお、上部電極911bの円形部分の面積は、開口部871aの面積よりも小さく、かつ下部電極911cの円形部分の面積よりも大きい。圧電層911aの円形部分の中心は、開口部871aの中心とほぼ一致する。また、圧電層911aの円形部分の面積は、開口部871aの面積よりも小さく、上部電極911b及び下部電極911cの円形部分の面積よりも大きい。
【0076】
ピエゾ素子911を構成する圧電層911a、上部電極911b及び下部電極911cの円形部分の中心は、開口部871aの中心とほぼ一致する。一方、振動板912の振動部分は、開口部871aによって決定される。したがって、ピエゾ素子911の中心が、振動板912の振動部分の中心とほぼ一致する。これにより、振動板912が振動するとき、ピエゾ素子911は、ノイズの影響が少ない状態で、振動板912の共振周波数に応じた信号を出力できる。
【0077】
なお、本実施形態では、圧電層911aは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を使用している。しかし、これに限られるものではなく、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)でもよく、鉛レス圧電膜を用いても良い。要するに、圧電効果の得られる材料であれば良い。
【0078】
<液面検出の原理>
ピエゾ素子911に駆動信号が印加されると、ピエゾ素子911が伸縮し、振動板912が図中の矢印の方向に振動する。ピエゾ素子911への駆動信号の印加を止めても、振動板912には残留振動が生じている。この残留振動は、振動板912がインクに接触しているか否かによって、その性質が大きく変化する。振動板912がインクに接触しているとき、残留振動の周波数は低くなり、残留振動の振幅は小さい。一方、振動板912がインクに接触していないとき、残留振動の周波数は高くなり、残留振動の振幅は大きくなる。振動板912が残留振動により振動すると、ピエゾ素子911は振動板912を残留振動に応じて伸縮し、信号を出力する。すなわち、振動板912がインクに接触しているとき、ピエゾ素子911は、周波数が低く、振幅の小さい信号を出力する。一方、振動板912がインクに接触していないとき、ピエゾ素子911は、周波数が高く、振幅の大きい信号を出力する。このため、ピエゾ素子911から出力される信号の周波数を検出できれば、振動板912の位置まで液面が達したか否かを検出でき、インク収容部871の中のインクの量を検出できる。
【0079】
図14は、インク収容部871内のインクの量と残留振動の周波数との関係を示すグラフである。インク収容部871内のインク量がQになる前は、インクの液面が振動板912よりも上に位置し、振動板912がインクに接しているので、残留振動の周波数は低い。一方、インク収容部871内のインク量がQになったとき、インクの液面が振動板912よりも下に位置し、振動板912がインクに接しなくなるので、残留振動の周波数が高くなる。ところで、インク収容部871の容量や液面検出部90の取付位置は設計上決まっているため、液面検出部90が液面を検出したときのインク収容部871内のインク量Qも既知の値である。このため、残留振動の周波数が低い状態から高い状態に変化したとき、インクカートリッジのインク残量がインク量Qであることが検出される。
【0080】
<信号検出部95の構成>
選択スイッチ65(図8参照)がピエゾ素子911側の端子に接続すると、駆動信号生成回路70から出力される駆動信号が、ピエゾ素子911に印加される。これにより、振動板912が振動する。そして、選択スイッチ65が切れると、ピエゾ素子911が残留振動に応じて信号を出力し、その信号が信号検出部95に入力される。
【0081】
図15は、信号検出部95の構成の説明図である。信号検出部95は、ピエゾ素子911から出力される信号の周期(又は周波数)を検出し、検出結果をプリンタ側コントローラ60へ出力する。この信号検出部95は、増幅部951と、パルス幅検出部952とを有する。
【0082】
図16は、増幅部951の構成の説明図である。増幅部951では、ピエゾ素子911からの信号に含まれる低周波成分をコンデンサC1と抵抗R1からなる高域通過フィルタによって除去し、オペアンプ951aにより増幅する。次に、オペアンプ951aの出力をコンデンサC2と抵抗R2からなる高域通過フィルタに通過させることにより、基準電圧Vrefを中心に上下に振動する信号に変換する。そして、増幅部951のコンパレータ951bによって基準電圧Vrefと比較し、基準電圧より高いか否かによって信号を2値化する。
【0083】
図17A〜図17Cは、信号検出部96内に流れる信号の説明図である。図17Aは、ピエゾ素子911が残留振動に応じて出力する信号を示す図である。図17Bは、オペアンプ951aの出力をコンデンサC2と抵抗R2からなる高域通過フィルタに通過させた後の信号、及び基準電圧Vrefを示す図である。すなわち、コンパレータ951bに入力される信号である。図17Cは、コンパレータからの出力信号を示す図である。すなわち、パルス幅検出部952に入力される信号である。
【0084】
パルス幅検出部952は、図17Cに示されるパルスが入力されると、パルスの立ち上がりでカウント値をリセットし、その後のクロック信号毎にカウント値をインクリメントし、次のパルスの立ち上がりでのカウント値をプリンタ側コントローラ60に出力する。プリンタ側コントローラ60は、パルス幅検出部952の出力するカウント値に基づいて、すなわち、信号検出部95から出力される検出結果に基づいて、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を検出することができる。
【0085】
<ピエゾ素子911を駆動する駆動信号(参考例)>
まず、2つの参考例の駆動信号について説明する。本実施形態では、振動板912は、インクに接触しているとき、共振周波数が30kHz(周期が33.3μs)である。また、インクに接触していないとき、共振周波数は100kHz(周期が10μs)である。このように、振動板912が特定の共振周波数で残留振動するならば、残留振動を励起するように、ピエゾ素子912に印加する駆動信号を共振周波数にすることが望ましい。
【0086】
図18Aは、振動板912がインクに接触しているときの共振周波数30kHzに合わせた駆動信号(第1参考駆動信号と呼ぶ)の波形の説明図である。図18Bは、振動板912がインクに接触していないときの共振周波数100kzに合わせた駆動信号(第2参考駆動信号と呼ぶ)の波形の説明図である。それぞれの駆動信号は周波数が異なるだけなので、ここでは、図18Aの駆動信号について説明する。
【0087】
第1参考駆動信号は、期間T11で生成される第1波形部SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で生成される第3波形部SS13と、期間T14で生成される第3波形部SS14とを有する。各期間は約8.3μsであり、全体としては33.3μsである(第2参考駆動信号の場合、各期間は約2.5μsであり、全体として10μsである)。
【0088】
第1波形部SS11がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は、インク収容部871の内側に向かって変位する。つまり、期間T11の間、振動板912は、インク収容部871の内側に向かって変位し続ける。そして、第2波形部SS12がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は変位を止めて、ホールド状態になる。そして、第3波形部SS13がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は、インク収容部871の外側に向かって変位する。つまり、期間T13の間、振動板912は、インク収容部871の外側に向かって変位し続ける。そして、第4波形部SS14がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は変位を止めて、ホールド状態になる。なお、期間T14の後、選択スイッチ65が切られて、振動板912が残留振動し、その残留振動に応じた信号がピエゾ素子911から出力される。
【0089】
第1参考駆動信号がピエゾ素子911に印加される場合、振動板912が変位するのは、期間T11と期間T13のときである。そして、第1波形部SS11や第3波形部SS13がピエゾ素子911に印加されると、振動板912がインクに接触しているときの残留振動の共振周波数で、ピエゾ素子911が駆動される。このため、振動板912がインクに接触しているときに、ピエゾ素子912に第1波形部SS11及び第3波形部SS13が印加されると、残留振動の共振周波数で振動板912が変位するため、選択スイッチ65が切られた後の残留振動が大きく励起される。
【0090】
図19A及び図19Bは、第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加した後のピエゾ素子911の出力信号である。図19Aでは振動板912がインクに接触しており、図19Bでは振動板912がインクに接触していない。
図19Aに示されるとおり、振動板912がインクに接触しているときに、第1参考駆動信号がピエゾ素子911に印加されると、残留振動が大きく励起され、ピエゾ素子911の出力信号が大きくなる。この結果、信号検出部95のコンパレータ951bが出力する2値化信号にノイズが入っても、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を精度良く検出できる。
一方、図19Bに示されるとおり、振動板912がインクに接触していないときに、第1参考駆動信号がピエゾ素子911に印加されると、ピエゾ素子911から出力される信号が小さくなる。なぜなら、振動板912がインクに接触していないときの残留振動の共振周波数は100kHzであり、33kHzでピエゾ素子911を駆動する第1参考駆動信号を印加しても、残留振動が励起され難いからである。この結果、信号検出部95のコンパレータ951bが出力する2値化信号にノイズが入ると、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を正確に検出することができなくなる。
【0091】
図20A及び図20Aは、第2参考駆動信号をピエゾ素子911に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。図20Aでは振動板912がインクに接触しており、図20Bでは振動板912がインクに接触していない。
この場合、第1参考駆動信号の場合と逆の現象が起こる。すなわち、振動板912にインクが接触しているときは、ピエゾ素子911の出力信号が小さくなる。一方、振動板912にインクが接触していないときは、ピエゾ素子911の出力信号が大きくなる。つまり、振動板912にインクが接触しているとき、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を正確に検出できなくなる。一方、振動板912にインクが接触していないとき、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を精度良く検出できる。
【0092】
したがって、振動板912にインクが接触していることを検出するのは、第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加することが望ましい。一方、振動板912にインクが接触していないことを検出するのは、第2参考駆動信号をピエゾ素子911に印加することが望ましい。
【0093】
しかし、振動板912にインクが接触しているか否かを検出する際に、まず第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加して残留振動を検出し、次に第2参考駆動信号をピエゾ素子911に印加して残留振動を検出したのでは、検出に時間がかかってしまう。かといって、第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加した直後に第2参考駆動信号をピエゾ素子911に印加したのでは、振動板912がインクに接触している場合に、第1参考駆動信号により励起された30kHzの振動が、第2参考駆動信号の印加中に減少してしまう。
そこで、本実施形態では、1つの駆動信号を印加するだけで、インクの有無に関わらずに振動板912の残留振動を励起させるような、特殊な駆動信号をピエゾ素子911に印加している。
【0094】
<ピエゾ素子911を駆動する駆動信号(本実施形態)>
図21は、本実施形態の駆動信号の波形の説明図である。この駆動信号は、期間T1で生成される第1波形部SS1と、期間T2で生成される第2波形部SS2と、期間T3で生成される第2波形部SS3と、期間T4で生成される第4波形部SS4とを有する。期間T1は8.3μs(第1参考駆動信号の期間T11と同じ)であり、期間T2は11.2μsであり、期間T3は2.5μs(第2参考駆動信号の期間T23と同じ)であり、期間T4は11.2μsである。本実施形態の駆動信号の周期は、全体として、33.3μs(第1参考駆動信号と同じ)である。
【0095】
第1波形部SS1がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は、インク収容部871の内側に向かって変位する。つまり、期間T11の間、振動板912は、インク収容部971の内側に向かって変位する。仮に、このとき振動板912がインクに接触していれば、30kHzの振動が励起される。そして、第2波形部SS2がピエゾ素子911に印加されると、振動板912は変位を止めて、ホールド状態になる。そして、第3波形部SS3がピエゾ素子に印加される。仮に、このとき振動板912がインクに接触していなければ、100kHzの振動が励起される。そして、第4波形部SS4がピエゾ素子911に印加された後、選択スイッチ65が切られて、振動板912が残留振動し、その残留振動に応じた信号がピエゾ素子から出力される。
【0096】
図22A及び図22Bは、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加した後のピエゾ素子911の出力信号である。図22Aでは振動板912がインクに接触しており、図22Bでは振動板912がインクに接触していない。
【0097】
振動板912がインクに接触している場合において、本実施形態の駆動信号を印加した場合(図22A参照)と第1参考駆動信号を印加した場合(図19A参照)とを比較すると、ピエゾ素子911からの出力信号の大きさに大差はない。一般的に、共振周波数が低い振動は、共振周波数が高い振動よりも減衰しにくい。したがって、第1波形部SS1が印加されて30kHzの振動が励起された後に、100kHzの振動を励起するための第3波形部SS3が印加されても、30kHzの振動の減衰が少なかったと考えられる。このため、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加すれば、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を精度良く検出できる。
【0098】
また、振動板912がインクに接触している場合において、本実施形態の駆動信号を印加した場合(図22A参照)と第2参考駆動信号を印加した場合(図20A参照)とを比較すると、本実施形態の方が、ピエゾ素子911からの出力信号が大きい。これは、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加することによって、30kHzの残留振動が励起されていることを意味している。このため、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加すれば、信号検出部95のコンパレータ951bが出力する2値化信号にノイズが入っても、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を精度良く検出できる。
【0099】
振動板912がインクに接触していない場合において、本実施形態の駆動信号を印加した場合(図22B参照)と第1参考駆動信号を印加した場合(図20B参照)とを比較すると、本実施形態の方が、ピエゾ素子911からの出力信号が大きい。これは、第1参考駆動信号を印加した場合には、100kHzの振動がほとんど励起されないからである。また、本実施形態の駆動信号を印加した場合には、第3波形部SS3により100kHzの振動が励起されているからである。このため、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加すれば、信号検出部95のコンパレータ951bが出力する2値化信号にノイズが入っても、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911の出力する信号の周期を精度良く検出できる。
【0100】
振動板912がインクに接触していない場合において、本実施形態の駆動信号を印加した場合(図22B参照)と第2参考駆動信号を印加した場合(図20B参照)とを比較すると、本実施形態の方が、若干、ピエゾ素子911からの出力信号が小さくなる。これは、第2参考駆動信号の場合では、第1波形部SS21と第3波形部SS23の2つの波形部によって100kHzの振動を励起しているのに対して、本実施形態の場合では、第3波形部SS3のみで100kHzの振動を励起しているためである。但し、振動板912がインクに接触していない場合、ピエゾ素子911が駆動されると振動板912が変位し易いので、本実施形態のように第3波形部のみで振動を励起しても、残留振動の検出に十分な振幅が得られている。また、第2参考駆動信号の場合では、期間T24のホールド時間が100kHzの振動周期の1/4に相当し、100kHzの振動が減衰しにくいのに対し、本実施形態では、期間T4のホールド時間が100kHzの振動周期とずれているため、100kHzの振動のエネルギーが軽減してしまう。但し、本実施形態の場合でも、100kHzの振動を励起した後、比較的早期に残留振動の検出が開始されるので、振動の減衰の影響は少なく、残留振動の検出に十分な振幅が得られている。
【0101】
そして、図22A及び図22Bに示されるとおり、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加すれば、振動板912がインクに接触しているか否かに関わらず、残留振動の検出に十分な振幅が得られる。このため、1回の駆動信号の印加によってインクの有無を検出できるので、検出時間を短縮できる。
【0102】
<ピエゾ素子911を駆動する駆動信号(本実施形態の改良例)>
図23は、本実施形態の駆動信号の波形の改良例の説明図である。この改良例では、まず、前述の第1参考駆動信号を2回連続してピエゾ素子911に印加させた直後に、前述の実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加させる。すなわち、改良例では、30kHzの振動を励起させる波形部(図18Aの第1波形部SS11・第3波形部SS13や図21の第1波形部SS1)を5回連続してピエゾ素子911に印加させた後、100kHzの振動を励起させる波形部(図21の第3波形部S3)を印加させる。
【0103】
振動板912がインクに接触している場合、残留振動の振幅を大きくするためには、それまでに振動板912を大きく変位させる必要がある。そこで、この改良例では、30kHz(振動板912がインクに接触しているときの残留振動の共振周波数と同じ周波数)で繰り返しピエゾ素子911を駆動している。このため、もし振動板912がインクに接触していれば、第1参考駆動信号を2回連続して印加させたときに、振動板912が大きく変位した状態になっている。そして、30kHzの振動は、一度大きく励起されると100kHzの振動と比較して減衰しにくいので、その後に100kHzの振動を励起するための第3波形部SS3(図21参照)が印加されても、30kHzの振動の減衰は少ない。このため、この改良例の駆動信号をピエゾ素子911に印加すれば、前述の実施形態よりも、30kHzの残留振動を精度良く検出できる。
【0104】
また、振動板912がインクに接触していない場合、ピエゾ素子911が駆動されると振動板912が変位し易いので、1回だけ図21の第3波形部SS3をピエゾ素子911に印加すれば、残留振動の検出に十分な振幅が得られる。
【0105】
ところで、図24は、比較例の駆動信号の説明図である。この比較例では、まず、前述の第2参考駆動信号を2回連続してピエゾ素子911に印加させた直後に、前述の実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加させる。この場合、最初に100kHzで繰り返しピエゾ素子911を駆動しているので、振動板912がインクに接触していない場合、振動板912が大きく変位した状態になっている。
しかし、100kHzの振動は、30kHzの振動と比較して減衰しやすいので、その後に30kHzの振動を励起するための第1波形部SS1が印加されると、急激に振幅が減衰してしまう。この結果、比較例では、100kHzの残留振動の検出の精度が前述の実施形態と大差がないにもかかわらず、検出時間が余分にかかってしまう。このため、この比較例の駆動信号をピエゾ素子911に印加よりも、前述の実施形態の駆動信号をピエゾ素子911に印加する方が良い。
【0106】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタ1を有する印刷システム100について記載されているが、その中には、駆動信号の印加方法や液体吐出システム等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0107】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、液体状の染料インク又は顔料インクをノズルNzから吐出させていた。しかし、ノズルNzから吐出させる液体は、液体状であれば、このようなインクに限られるものではない。
【0108】
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【0109】
===まとめ===
(1)前述の実施形態では、インクカートリッジ87には、インクを収容するインク収容部871が設けられている。このインク収容部871には開口部871aが設けられており、この開口部871aの位置に、液面検出部90の振動部91のピエゾ素子911(圧電素子の一例)が設けられている(図11、図12A参照)。
【0110】
ピエゾ素子91の取付位置にインクがある場合(振動板912がインクに接触している場合)、残留振動の共振周波数は30kHzになる。また、ピエゾ素子911の取付位置にインクがない場合(振動板912がインクに接触していない場合)、残留振動の共振周波数は100kHzになる。このため、プリンタ側コントローラ60は、ピエゾ素子911に駆動信号を印加させ、駆動信号の印加後の残留振動によるピエゾ素子911からの出力信号を検出すれば、ピエゾ素子911の出力信号の周波数に基づいて、ピエゾ素子911の取付位置でのインクの有無を検出することができる。そして、インクありの状態から、インク無しの状態に検出結果が切り替わったとき、インクの液面がピエゾ素子911の取付位置の高さに達したことが検出されるので、インク収容部871の中のインクの量を検出することができる。
【0111】
ここで、第1参考駆動信号(図18A参照)をピエゾ素子に印加すれば、30kHzの残留振動を励起することができる。しかし、ピエゾ素子911の取付位置にインクがない場合、第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加しても、残留振動が励起されにくい(図19B参照)。同様に、ピエゾ素子911の取付位置にインクがある場合、第2参考駆動信号(図18B参照)をピエゾ素子911に印加しても、残留振動が励起されにくい(図20A参照)。このため、一方の駆動信号のみをピエゾ素子911に印加しただけでは、残留振動が励起されない場合があるので、誤検出するおそれがある。
【0112】
但し、ピエゾ素子911の取付位置のインクの有無を検出する際に、まず第1参考駆動信号をピエゾ素子911に印加して残留振動を検出し、次に第2参考駆動信号をピエゾ素子911に印加して残留振動を検出したのでは、検出に時間がかかってしまう。
【0113】
そこで、本実施形態では、駆動波形生成回路70(図2参照)が、30kHzの残留振動を励起させるための第1波形部SS1(図21参照、第1駆動波形部の一例)と、100kHzの残留振動を励起させるための第3波形部SS3(図21参照、第2駆動波形部の一例)とを含む駆動信号(図21参照)を生成し、この駆動信号をピエゾ素子911に印加する。これにより、ピエゾ素子911の取付位置のインクの有無に関わらず、検出に十分な残留振動を励起させることができる。
【0114】
(2)前述の実施形態では、励起させるべき共振周波数の低い第1波形部SS1が、第3波形部SS3よりも先に、ピエゾ素子911に印加される(図21参照)。低い周波数の振動は、一度励起されると減衰しにくい性質があるからである。但し、減衰後でも十分な振幅があれば、100kHzの振動を励起させる駆動波形部を先にピエゾ素子911に印加しても良い。
【0115】
(3)前述の実施形態では、第1参考駆動信号を2回連続してピエゾ素子911に印加し、更に第1波形部SS1をピエゾ素子911に印加した後、第3波形部SS3をピエゾ素子911に印加している(図23参照)。高い周波数の振動は小さいエネルギーで十分な振幅が得られるが、低い周波数の振動は十分な振幅が得られるまで大きなエネルギーを必要とするためである。
【0116】
(4)前述の実施形態では、インクがあるときの残留振動を励起させるための第1波形部SS1(図21参照、第1駆動波形部の一例)をピエゾ素子911に印加した後、インクがないときの残留振動を励起させるための第3波形部SS3(図21参照、第2駆動波形部の一例)をピエゾ素子911に印加している。インクがあるときの残留振動の方が、インクがないときの残留振動よりも、減衰しにくい性質があるからである。
【0117】
(5)前述の実施形態では、インクがあるときの残留振動を励起させる第1参考駆動信号を2回連続してピエゾ素子911に印加し、更に第1波形部SS1をピエゾ素子911に印加した後、インクがないときの残留振動を励起させる第3波形部SS3をピエゾ素子911に印加している。インクがあるときの残留振動は、十分な振幅を得るために大きなエネルギーを必要とするためである。
【0118】
(6)前述の実施形態では、第1波形部SS1(第1駆動波形部の一例)及び第3波形部SS3(第2駆動波形部の一例)は、残留振動の共振周波数に応じた期間だけ、ピエゾ素子を駆動している。このようにするからこそ、第1波形部SS1は30kHzの残留振動を励起することができ、第3波形部SS3は100kHzの残留振動を励起することができるのである。
【0119】
(7)前述の実施形態では、第1波形部SS1は、30kHzの残留振動の周期(33.3μs)の1/4である8.3μsの期間だけ、圧電素子を駆動する信号である。これにより、第1波形部SS1は30kHzの残留振動を励起することができる。
【0120】
(8)前述の実施形態では、第3波形部SS3は、100kHzの残留振動の周期(10.0μs)の1/4である2.5μsの期間だけ、圧電素子を駆動する信号である。これにより、第3波形部SS3は100kHzの残留振動を励起することができる。
【0121】
但し、第1波形部SS1や第3波形部SS3は、残留振動の周期の1/4の期間だけ圧電素子を駆動するものに限られるものではない。また、前述の駆動信号は台形波であるが、これに限られるものではない。
例えば、図25は、第3波形部SS3の他の例である。図中の第1波形部SS1は前述のものと同じであり、第2波形部SS2及び第4波形部SS4は、前述のものと期間が若干短くなっている。この例の第3波形部SS3は、残留振動の1/2の期間だけ圧電素子を駆動する。また、この第3波形部SS3は、サイン波である。このような駆動信号であっても、100kHzの残留振動を励起することができる。
【0122】
(9)前述の実施形態では、駆動信号生成回路70が、吐出用駆動信号COMを生成している。そして、ピエゾ素子417(駆動素子の一例)が吐出用駆動信号COMにより駆動されて、ノズルからインク滴が吐出される。また、前述の実施形態では、吐出用駆動信号を生成する駆動信号生成回路70が、第1波形部SS1及び第3波形部SS3を含む駆動信号を生成する(図21参照)。そして、この駆動信号により、ピエゾ素子911が駆動される。
つまり、前述の実施形態では、駆動信号生成回路70は、インクを吐出するための駆動信号と、インクの量を検出するための駆動信号を生成する。これにより、2種類の駆動信号生成回路を設ける必要がないので、装置の構成を簡略化できる。
【0123】
(10)前述の実施形態では、選択スイッチ65(図8参照)を切り替えることにより、駆動信号生成回路70が生成した信号を、ピエゾ素子417(駆動素子の一例)又はピエゾ素子911(圧電素子の一例)のうちの一方に印加する。
【0124】
(11)但し、前述の実施形態のように、駆動信号生成回路70が生成した駆動信号を、ピエゾ素子417又はピエゾ素子911のうちのいずれか一方のみに印加する構成に限られるものではない。例えば、全てのノズルに対応する画素データを「00」にしておけば、ピエゾ素子911(圧電素子の一例)へ駆動信号を印加する際に、その駆動信号がスイッチ85に印加されていても良い。つまり、選択スイッチ65は、ピエゾ素子911に駆動信号を印加するときに、ピエゾ素子417(駆動素子の一例)への駆動信号の印加を切らなくても良い。
【0125】
(12)前述の実施形態では、ヘッドの制御回路は、不図示の5Vの電源により動作している。仮に、この5Vの電源でピエゾ素子911を駆動しても、電圧が低いので、検出に十分な残留振動を励起することができない。
一方、駆動信号生成回路70は、インク滴を吐出させるようにピエゾ素子417を駆動する必要があるので、大きな電圧変化を伴う駆動信号を生成する必要がある。前述の実施形態では、この駆動信号生成回路70により生成された駆動信号をピエゾ素子911に印加させているので、ピエゾ素子911を大きく伸縮させることができ、検出に十分な残留振動を励起させることができる。
【0126】
(13)前述の実施形態では、バッファ室92(図12A参照)が設けられている。これにより、インク収容部の中のインクが振動しても、その振動の影響が振動板912に伝わらないようにすることができる。これにより、ピエゾ素子911は、振動板912の共振周波数を精度良く検出することができる。
【0127】
(14)前述の実施形態では、インク収容部871の開口部871aが振動板912により塞がれている。このため、振動板912のうち、開口部871aの範囲内の部分が振動する。そして、ピエゾ素子911の中心は、開口部871aの中心とほぼ一致している。これにより、ピエゾ素子911は、振動板912の共振周波数を精度良く検出することができる。
【0128】
(15)前述の実施形態では、プリンタに用いられるインクカートリッジに収容されたインクの残量を検出している。しかし、検出対象となる液体は、インクに限られるものではない。
例えば、液体を吐出して半導体に回路を形成するような半導体製造装置に本液量検出方法を適用すれば、加工液の液量を検出することができる。このように、本実施形態は、液体収容部に収容された液体の液量を圧電素子を用いて検出する液量検出方法に、広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】印刷システムの構成を説明する図である。
【図2】コンピュータ、及びプリンタの構成を説明するブロック図である。
【図3】図3Aは、本実施形態のプリンタの構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタの構成を説明する側面図である。
【図4】ヘッドの構造を説明するための断面図である。
【図5】駆動信号生成回路の構成を説明するブロック図である。
【図6】波形生成回路の入力と、波形生成回路の出力との関係を説明する図である。
【図7】図7Aは、駆動信号生成回路70により生成される駆動信号の一部分を説明する図である。図7Bは、電流増幅回路72の出力電圧を、電圧V1から電圧V4まで降下させる動作を説明するための図である。
【図8】ヘッド制御部HCの構成を説明するブロック図である。
【図9】吐出用駆動信号COMが示されている。
【図10】印刷処理を説明するフローチャートである。
【図11】キャリッジとインクカートリッジの断面図である。
【図12】図12Aは、液面検出部の構成の説明図である。図12Bは、表面張力の影響の説明図である。
【図13】図13Aは、振動部の詳細な構成を説明するための平面図である。図13Bは、B−B断面図である。図13Cは、C−C断面図である。
【図14】インク量と残留振動の周波数との関係を示すグラフである。
【図15】信号検出部の構成の説明図である。
【図16】増幅部の構成の説明図である。
【図17】図17Aは、圧電素子の出力信号を示す図である。図17Bは、基準信号Vrefを示す図である。図17Cは、コンパレータからの出力信号を示す図である。
【図18】図18Aは、第1参考駆動信号の波形の説明図である。図18Bは、第2参考駆動信号の波形の説明図である。
【図19】図19Aは、振動板がインクに接触しているときに、第1参考駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。図19Bは、振動板がインクに接触していないときに、第1参考駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。
【図20】図20Aは、振動板がインクに接触しているときに、第2参考駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。図20Bは、振動板がインクに接触していないときに、第2参考駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。
【図21】本実施形態の駆動信号の波形の説明図である。
【図22】図22Aは、振動板がインクに接触しているときに、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。図22Bは、振動板がインクに接触していないときに、本実施形態の駆動信号をピエゾ素子に印加した後のピエゾ素子の出力信号である。
【図23】本実施形態の駆動信号の波形の改良例の説明図である。
【図24】比較例の駆動信号の説明図である。
【図25】第3波形部SS3の他の例の説明図である。
【符号の説明】
【0130】
1 プリンタ、
20 用紙搬送機構、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、23 搬送ローラ、
24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジ移動機構、31 キャリッジモータ、32 ガイド軸、
33 タイミングベルト、34 駆動プーリー、35 従動プーリー、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、41A 流路ユニット、
411 ノズルプレート、412 貯留室形成基板、412a インク貯留室、
413 供給口形成基板、413a インク供給口、
41B アクチュエータユニット、414 圧力室形成基板、414a 圧力室、
415 振動板、416 蓋部材、416a 供給側連通口、417 ピエゾ素子、
42 ヘッドケース、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出器、54 光学センサ、
60 プリンタ側コントローラ、61 インタフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 制御ユニット、
70 駆動信号生成回路、71 波形生成回路、72 電流増幅回路
81A 第1シフトレジスタ、81B 第2シフトレジスタ、
82A 第1ラッチ回路、82B 第2ラッチ回路、83 デコーダ、
84 制御ロジック、85 スイッチ、86 選択スイッチ、
87 インクカートリッジ、871 インク収容部、871a 開口部、
90 液面検出部、91 振動部、911 ピエゾ素子、912 振動板、
92 バッファ室、93 第1インク流路、94 第2インク流路、
95 信号検出部、96 増幅部、97 パルス幅検出部、
100 印刷システム、110 コンピュータ、111 ホスト側コントローラ、
112 インタフェース部、113 CPU、114 メモリ、120 表示装置、
130 入力装置、131 キーボード、132 マウス、140 記録再生装置、
141 フレキシブルディスクドライブ装置、142 CD−ROMドライブ装置、
S 用紙、HC ヘッド制御部、CR キャリッジ、Nz ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体収容部の所定位置に設けられた圧電素子に駆動信号を印加し、
前記駆動信号の印加後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、
前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して、前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する
液量検出方法であって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液量検出方法であって、
前記第1駆動波形部と前記第2駆動波形部のうち、前記共振周波数の低い方の波形部が先に前記圧電素子に印加される
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液量検出方法であって、
前記共振周波数の低い方の波形部を複数回連続して前記圧電素子に印加した後、前記共振周波数の高い方の波形部を前記圧電素子に印加する
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項4】
請求項1に記載の液量検出方法であって、
前記第1駆動波形部を前記圧電素子に印加した後、前記第2駆動波形部を前記圧電素子に印加する
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液量検出方法であって、
前記第1駆動波形部を複数回連続して前記圧電素子に印加した後、前記第2駆動波形部を前記圧電素子に印加する
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の液量検出方法であって、
前記第1駆動波形部及び前記第2駆動波形部は、前記残留振動の共振周波数に応じた期間だけ、前記圧電素子を駆動する
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の液量検出方法であって、
前記第1駆動波形部は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号である
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の液量検出方法であって、
前記第2駆動波形部は、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号である
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の液量検出方法であって、
駆動信号生成部が、前記液体収容部に収容された液体を吐出するための吐出用駆動信号を生成し、
前記圧電素子とは別の駆動素子が前記吐出用駆動信号により駆動されて、ノズルから前記液体が吐出され、
前記駆動信号生成部が、前記第1駆動波形部及び前記第2駆動波形部を含む前記駆動信号を生成し、
前記圧電素子が前記駆動信号により駆動される
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項10】
請求項9に記載の液量検出方法であって、
スイッチを切り替えることにより、前記駆動信号生成部が生成した信号を、前記駆動素子及び前記圧電素子のうちの一方に印加する
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項11】
請求項9に記載の液量検出方法であって、
前記駆動信号生成部が生成した信号を、前記圧電素子に印加するスイッチを備える
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の液量検出方法であって、
液体を吐出するヘッドの制御回路を動作させるための電源の電圧よりも、前記駆動信号の電圧の方が高い
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の液量検出方法であって、
前記液体収容部の中の液体の状態の影響を前記圧電素子が受けないようにするためのバッファ室が、前記所定位置の近傍に、設けられている
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の液量検出方法であって、
前記液体収容部には開口部が設けられており、
前記開口部が振動板により塞がれており、
前記振動板に前記圧電素子が設けられており、
前記開口部の中心と前記圧電素子の中心が一致している
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の液量検出方法であって、
前記液体がインクであることを特徴とする液量検出方法。
【請求項16】
液体を収容する液体収容部の所定位置に設けられた圧電素子に駆動信号を印加し、
前記駆動信号の印加後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、
前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して、前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する
液量検出方法であって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含み、
前記第1駆動波形部を複数回連続して前記圧電素子に印加した後、前記第2駆動波形部を前記圧電素子に印加し、
前記第1駆動波形部は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号であり、
前記第2駆動波形部は、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の周期の1/4の期間だけ前記圧電素子を駆動する信号であり、
駆動信号生成部が、前記液体収容部に収容された液体を吐出するための吐出用駆動信号を生成し、
前記圧電素子とは別の駆動素子が前記吐出用駆動信号により駆動されて、ノズルから前記液体が吐出され、
前記駆動信号生成部が、前記第1駆動波形部及び前記第2駆動波形部を含む前記駆動信号を生成し、
前記圧電素子が前記駆動信号により駆動され、
スイッチを切り替えることにより、前記駆動信号生成部が生成した信号を、前記駆動素子及び前記圧電素子のうちの一方に印加し、
液体を吐出するヘッドの制御回路を動作させるための電源の電圧よりも、前記駆動信号の電圧の方が高く、
前記液体収容部の中の液体の振動の影響を前記圧電素子が受けないようにするためのバッファ室が、前記所定位置の近傍に、設けられ、
前記液体収容部には開口部が設けられており、
前記開口部が振動板により塞がれており、
前記振動板に前記圧電素子が設けられており、
前記開口部の中心と前記圧電素子の中心が一致しており、
前記液体がインクである
ことを特徴とする液量検出方法。
【請求項17】
液体を収容する液体収容部であって、前記液体収容部の所定位置に圧電素子が設けられた液体収容部を、取り外し可能に装着する装着部と、
前記圧電素子に印加するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号を前記圧電素子に印加し、その後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する、コントローラと、
を備えるプリンタであって、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項18】
コンピュータと、前記コンピュータと接続されたプリンタと、を備える印刷システムであって、
前記プリンタは、
液体を収容する液体収容部であって、前記液体収容部の所定位置に圧電素子が設けられた液体収容部を、取り外し可能に装着する装着部と、
前記圧電素子に印加するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号を前記圧電素子に印加し、その後の残留振動による前記圧電素子からの出力信号を検出し、前記所定位置での前記液体の有無による前記残留振動の共振周波数の違いを利用して前記出力信号に基づいて前記所定位置での液体の有無を検出する、コントローラと、
を備え、
前記駆動信号は、前記所定位置に前記液体があるときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第1駆動波形部と、前記所定位置に前記液体がないときの前記残留振動の共振周波数で前記圧電素子を駆動するための第2駆動波形部と、を含む
ことを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−142515(P2006−142515A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332339(P2004−332339)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】