説明

液面レベル測定装置

【課題】構造簡単且つ取り扱いが容易で,しかも測定対象の液体の導電性の有無に拘らず使用可能な液面レベル測定装置を提供する。
【解決手段】基準面10に設置される支持体11と,この支持体11に軸支されるリール13と,このリール13に繰り出し可能に巻装される糸状部材14と,この糸状部材14の自由端に接続され,測定対象の液面17aに向かって垂下させる測定錘15と,この測定錘15の垂下による糸状部材14の張力が,該測定錘15の液面17a下への浸漬に伴ない減少することを検出する,支持体11に設けられる張力センサ20と,この張力センサ20の検出信号に応動する表示手段30とを備える。その表示手段30の作動時における糸状部材14のリール13から繰り出し長さから基準面10から液面17aまでの距離Lを読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば地表面等の基準面から井戸の水面等の液面までの距離を測定する液面レベル測定装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来,かゝる液面レベル測定装置として,基準面から測定対象の液面に向かって垂らす巻き尺テープの先端にプローブを取り付け,そのプローブが前記液面に到達して導通状態になることで表示器を作動させ,そのときの巻き尺テープの目盛りから,基準面及び液面間の距離を読み取るようにしたものが,下記特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−318150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,上記従来装置では,巻き尺テープに,プローブ及び表示器間を結ぶ長い導線を配線する必要があり,構造が複雑の上,導線の断線の有無を常にチェックしなければならず,その取り扱いも面倒である。また上記プローブは,液体の導電性を利用するものであるから,水等の導電性液体に用途が限定される。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,構造簡単且つ取り扱いが容易で,しかも測定対象の液体の導電性の有無に拘らず使用可能な液面レベル測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,基準面に設置される支持体と,この支持体に軸支されるリールと,このリールに繰り出し可能に巻装される糸状部材と,この糸状部材の自由端に接続され,測定対象の液面に向かって垂下させる測定錘と,この測定錘の垂下による前記糸状部材の張力が,該測定錘の前記液面下への浸漬に伴ない減少することを検出する,前記支持体に設けられる張力センサと,この張力センサの検出信号に応動する表示手段とを備えてなり,その表示手段の作動時における前記糸状部材の前記リールから繰り出し長さから前記基準面から前記液面までの距離を読み取ることを第1の特徴とする。
【0006】
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記測定錘の比重を,前記液面をなす液体の比重の60%〜99%に設定すると共に,その重心を該測定錘の中心より下方に設定したことを第2の特徴とする。
【0007】
さらにまた,本発明は,第1の特徴に加えて,前記張力センサを,前記支持体に取り付けられるマイクロスイッチで構成し,このマイクロスイッチの作動片に,前記糸状部材を摺動自在に且つ該糸状部材の張力が該作動片に作用するように係合し,前記作動片は,前記測定錘の前記液面下への浸漬前,該測定錘による前記糸状部材の張力により第1位置へ前進し,また前記測定錘の前記液面下への浸漬時,それに伴なう前記糸状部材の張力の減少により第2位置に後退し,その第2位置で前記表示手段を作動させる検出信号を該マイクロスイッチが発することを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば,基準面に設置される支持体に設けられる張力センサにより,糸状部材に吊り下げた測定錘が液面下に浸漬することで糸状部材の張力が減少することを検出し,その検出により表示手段を作動させ,そのときの糸状部材のリールから繰り出し長さから基準面から液面までの距離を読み取るようにしたので,前記従来装置のように,巻き尺テープに沿わせるような長いリード線は不要であり,液面レベル測定装置の構造の簡素化,延いてはそのコストの低減に寄与し得る。また,長いリード線を不要とすることから,その断線等のチェックも不要となり,取り扱いが容易となると共に,信頼性を高めることができる。しかも,この液面レベル測定装置は,測定錘の比重を測定対象の液体に対応して予め調整しておくことにより,導電性の有無に拘らず,種々の液体の液面レベルの測定に使用することができる。
【0009】
本発明の第2の特徴によれば,測定錘は,液面下に浸漬したとき,その半分以上を液面下に浸漬した状態で浮遊姿勢を安定させることができ,これにより糸状部材の不必要な繰り出しを防ぎ,液面レベルを正確に測定することができる。
【0010】
さらに,本発明は,第1の特徴に加えて,前記糸状部材に,該糸状部材の前記リールからの繰り出し長さを表示する目盛りもしくはマークを施したことを第3の特徴とする。
【0011】
本発明の第3の特徴によれば,表示手段の作動時,リードから繰り出された糸状部材の目盛りもしくはマークを読み取ることで,液面レベルを迅速に知ることができる。
【0012】
本発明の第4の特徴によれば,張力センサとして,安価なマイクロスイッチの使用が可能となり,液面レベル測定装置のコスト低減を更に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る液面レベル測定装置の正面図,図2は同装置の平面図(図1の2−2矢視図),図3は同装置における張力センサの斜視図,図4は同装置の電気回路図である。
【0015】
本発明の液面レベル測定装置Mを井戸の水面レベルの測定用に適用した実施例について説明する。
【0016】
図1及び図2において,液面レベル測定装置Mは,地上における任意の基準面10に設置される板状の支持体11と,この支持体11の一側面に枢軸12により回転自在に支持される,ハンドル13a付きのリール13と,このリール13に繰り出し可能に巻装される糸状部材14と,この糸状部材14の自由端に接続され,井戸16の水面17aに向かって垂下させる測定錘15と,リール13に隣接して支持体11一側面に取り付けられる制御ボックス18と,この制御ボックス18に付設され,測定錘15の垂下による糸状部材14の張力が,測定錘15の前記液面17a下への浸漬に伴ない減少することを検出する張力センサ20と,この張力センサ20の発する検出信号に応動する表示手段30とを備える。支持体11の一側面には,リール13から引出した糸状部材14を,それが制御ボックス18の上方を水平に通るように誘導するガイドローラ19,19が軸支され,これらガイドローラ19,19を通過した糸状部材14の自由端に前記測定錘15が接続される。
【0017】
上記張力センサ20はマイクロスイッチ20で構成される。このマイクロスイッチ20は,図1,図3及び図4に示すように,スイッチ接点22及びこのスイッチ接点22をオフ方向に付勢するばね23等を収容して前記制御ボックス18の一側面に固定されるスイッチケース21と,このスイッチケース21の上壁に上下揺動可能に支持され,自由状態では上方の後退位置に復帰し得る弾性を有する作動片24と,スイッチケース21に昇降自在に支持され,作動片24の下方への前進動作を受けて前記スイッチ接点22をオン状態にするボタン25とよりなっている。
【0018】
上記作動片24の先端部には,溝型又は目玉状のガイド部26が形成され,このガイド部26に,前記一対のガイドローラ19,19間を渡る糸状部材14が摺動自在に係合する。しかも,作動片24は,糸状部材14の無負荷状態では前記後退位置に復帰して糸状部材14を弛緩させるが,糸状部材14が張力を受けて一対のローラ19,19間に直線状に緊張すると,その糸状部材14に押圧されて前記前進位置に移動するように配置される。
【0019】
前記制御ボックス18には,さらに,バッテリ28が収容され,またメインスイッチ29と,このメインスイッチ29及び前記マイクロスイッチ20を介してバッテリ28に接続される表示ランプ31及びブザー32とが付設される。それら表示ランプ31及びブザー32により前記表示手段30が構成される。
【0020】
前記測定錘15は,その垂下方向に長い円柱状に形成されると共に,その比重が測定対象の液体17の比重の60〜99%に調整される。したがって,井戸16の水17を測定対象とする場合,その測定錘15の比重は0.6〜0.99に調整される。それと同時に,測定錘15の重心15gは,測定錘15の長手方向中心よりも下方,即ち糸状部材14の接続点とは反対側にオフセットした位置にくるように調整される。
【0021】
前記糸状部材14には,リール13からの繰り出し長さを示す目盛り,もしくは所定の単位長さ(例えば10m)毎に色分けしたマーク33が施される。
【0022】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0023】
井戸16の水面17aのレベルを測定するには,先ず,地上の任意の基準面10に支持体11を設置し,メインスイッチ29をオン状態にして,リール13から糸状部材14を繰り出しながら測定錘15を井戸16の水面17aに向かって垂下させる。
【0024】
而して,測定錘15が水面17aに到達するまでは,垂下する測定錘15の全重量が糸状部材14に張力として加わるため,一対のガイドローラ19,19間の糸状部材14が直線状に緊張して,マイクロスイッチ20の作動片24を前進位置へと押圧し,スイッチ接点22をオフ状態にするので,表示ランプ31及びブザー32を不作動状態にしている。
【0025】
しかしながら,測定錘15が水面17a下に浸漬すると,その比重が0.6〜0.99であるので,測定錘15は,半分以上を水面17a下に沈めた状態で浮遊することになる。したがって,測定錘15の重量は,測定錘15が水から受ける浮力により大幅に減少し,糸状部材14は殆ど無負荷状態となるため,マイクロスイッチ20の作動片24は自動的に後退位置に復帰し,それに伴ないスイッチ接点22がばね23の付勢力によりオン状態となり,バッテリ28からの通電により表示ランプ31及びブザー32を作動せしめる。このとき,リール13から繰り出された糸状部材14の目盛り,もしくはマーク33から糸状部材14の繰り出し長さを読み取ることにより,基準面10から井戸16の水面17aまでの距離L,即ち水面17aのレベルを迅速に知ることができる。
【0026】
ところで,測定錘15は,その垂下方向に長い円柱状に構成されると共に,その比重が0.6〜0.99に調整されると共に,測定錘15の重心15gが測定錘15の長手方向中心より下方にオフセットした位置にくるように調整されているから,測定錘15は浮遊姿勢を垂直状態に安定させることができ,これにより糸状部材14の不必要な繰り出しを防ぎ,前記距離Lを正確に測定することができる。
【0027】
このように,本発明の液面レベル測定装置Mは,基準面10に設置される支持体11に設けられる張力センサ20により,糸状部材14に吊り下げた測定錘15が液面17a下に浸漬することで糸状部材14の張力が減少することを検出し,その検出により表示手段30を作動させ,そのときの糸状部材14のリール13から繰り出し長さから基準面10から液面17aまでの距離を読み取るようにしたので,前記従来装置のように,巻き尺テープに沿わせるような長いリード線は不要であり,液面レベル測定装置Mの構造の簡素化,延いてはそのコストの低減に寄与し得る。また,長いリード線を不要とすることから,その断線等のチェックも不要となり,取り扱いが容易となると共に,信頼性を高めることができる。
【0028】
しかも,本発明の液面レベル測定装置Mは,測定錘15の比重を測定対象の液体に対応して,予め調整しておくことにより,導電性の有無に拘らず,種々の液体の液面レベルの測定に使用することができる。
【0029】
また張力センサ20として,前述のように比較的安価なマイクロスイッチ20を利用することにより,液面レベル測定装置Mのコストの更なる低減を図ることができる。
【0030】
液面レベル測定装置Mの使用後は,ハンドル13aによる操作により,糸状部材14をリール13で巻き取り,測定水15を支持体11に設けられる保持部(図示せず)に保持させる。
【0031】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,張力センサとしてリードスイッチを利用することもできる。この場合,糸状部材14の張力の減少により移動する作動片に永久磁石を取り付け,この永久磁石の接近でオン状態となって表示手段を作動させるリードスイッチを設ければよい。また表示手段30としては,表示ランプ31及びブザー32の何れか一方のみを採用することもできる。さらに糸状部材14としては,巻き尺テープを採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例に係る液面レベル測定装置の正面図。
【図2】同装置の平面図(図1の2−2矢視図)。
【図3】同装置における張力センサの斜視図。
【図4】同装置の電気回路図。
【符号の説明】
【0033】
M・・・・・液面レベル測定装置
10・・・・基準面
11・・・・支持体
13・・・・リール
14・・・・糸状部材
15・・・・測定錘
15g・・・測定錘の重心
17・・・・液体(水)
17a・・・液面(水面)
20・・・・張力センサ(マイクロスイッチ)
24・・・・作動片
33・・・・マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面(10)に設置される支持体(11)と,この支持体(11)に軸支されるリール(13)と,このリール(13)に繰り出し可能に巻装される糸状部材(14)と,この糸状部材(14)の自由端に接続され,測定対象の液面(17a)に向かって垂下させる測定錘(15)と,この測定錘(15)の垂下による前記糸状部材(14)の張力が,該測定錘(15)の前記液面(17a)下への浸漬に伴ない減少することを検出する,前記支持体(11)に設けられる張力センサ(20)と,この張力センサ(20)の検出信号に応動する表示手段(30)とを備えてなり,その表示手段(30)の作動時における前記糸状部材(14)の前記リール(13)から繰り出し長さから前記基準面(10)から前記液面(17a)までの距離(L)を読み取ることを特徴とする液面レベル測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の液面レベル測定装置において,
前記測定錘(15)の比重を,前記液面(17a)をなす液体(17)の比重の60%〜99%に設定すると共に,その重心(15g)を該測定錘(15)の中心より下方に設定したことを特徴とする液面レベル測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の液面レベル測定装置において,
前記糸状部材(14)に,該糸状部材(14)の前記リール(13)からの繰り出し長さを表示する目盛りもしくはマーク(33)を施したことを特徴とする液面レベル測定装置。
【請求項4】
請求項1記載の液面レベル測定装置において,
前記張力センサ(20)を,前記支持体(11)に取り付けられるマイクロスイッチ(20)で構成し,このマイクロスイッチ(20)の作動片(24)に,前記糸状部材(14)を摺動自在に且つ該糸状部材(14)の張力が該作動片(24)に作用するように係合し,前記作動片(24)は,前記測定錘(15)の前記液面(17a)下への浸漬前,該測定錘(15)による前記糸状部材(14)の張力により第1位置へ前進し,また前記測定錘(15)の前記液面(17a)下への浸漬時,それに伴なう前記糸状部材(14)の張力の減少により第2位置に後退し,その第2位置で前記表示手段(30)を作動させる検出信号を該マイクロスイッチ(20)が発することを特徴とする液面レベル測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−164503(P2010−164503A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8536(P2009−8536)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000112635)フジコントロールズ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】